ゴマダラチョウ(胡麻斑蝶)
 ゴマダラチョウ(胡麻斑蝶)は、タテハチョウ科ゴマダラチョウ属の蝶です。東アジアに分布します。日本では、北海道の一部から九州までに分布します。名の由来は、黒色の翅に白紋が散在する胡麻状まだら模様の蝶である事から。胡麻斑の名が付くものに、昆虫ではゴマダラカミキリ(胡麻斑天牛)があり、同じ漢字でも読みが異なるゴマフアザラシ(胡麻斑海豹)があります。英名は、Siren Butterfly。ちなみに、Sirenはギリシャ神話の美声の魔女。

 タテハチョウ科(Nymphalidae Rafinesque, 1815)は南極を除く世界の大陸に約6,000種が分布し、日本には約52種が生息すると言われています。タテハチョウ科の特徴は、翅の斑紋が裏表で異なり、前脚が退化して短くなっている事です。後翅の中室は開き、触覚に鱗粉があります。ゴマダラチョウ属(Hestina Westwood, 1850)は、日本には本種とアカボシゴマダラ奄美大島亜種1)の2種があります。近年、人為的移入と考えられるアカボシゴマダラ原名亜種2)が拡大して、生態系被害防止外来種(緊急対策外来種)に指定されています。

 完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)をします。幼虫は頭部に一対の角を持ち、背中の突起は、2対3列あります。エノキ(榎)3)、寒冷地ではエゾエノキ(蝦夷榎)4)を食草とします。幼虫(4~5齢)で越冬します。越冬場所は、エノキの樹下で、枯れ葉の中です。時期が来ると樹を登って葉に取り付き、逆さにぶら下がる垂蛹型の蛹となり、羽化します。

 成虫は5月から8月頃に、雑木林の周辺に現れます。暖地では9月~10月にも現れる事があります。前翅長は、35~50mm、開張は60~85mm。翅は黒褐色の地に白斑と帯状の斑模様があります。退化した前肢、中肢、後肢の、それぞれ1対があります。クヌギ等の樹液や、腐果、獣糞を吸汁します。口吻は淡黄色。複眼は暗黄色で、瞳のような偽瞳孔があります。滑空するように飛翔します。エノキの葉に産卵します。

1)アカボシゴマダラ(赤星胡麻斑)奄美亜種
Hestina assimilis shirakii Shirozu, 1955 [準絶滅危惧(NT)]
2)アカボシゴマダラ(赤星胡麻斑)原名亜種
Hestina assimilis assimilis (Linnaeus, 1758) [生態系被害防止外来種(緊急対策外来種) 旧要注意外来生物]
3)エノキ(榎)Celtis sinensis Pers. [アサ科エノキ属]
4)エゾエノキ(蝦夷榎)Celtis jessoensis Koidz. [アサ科エノキ属]

参考:ヒカゲチョウ(日陰蝶)の給水

☆  ☆  ☆

 夏の盛り時期、キャンプ場にいました。付近を歩き回っていた時、何か変だと気付きました。トレッキングパンツに蝶が止まっているのです。例の如く、汗を吸いに来たのだと推測しました。気にしない事にして足早に歩きました。ところが、どんな動作をしても懸命にしがみついているようで、蝶は離れてくれません。蝶に好かれても嬉しくありません。付近にいる子供たちに引き渡そうかと思いましたが、蝶に何も興味がないようでした。何十分か経ったところで強引に引き剥がしました。何事もなかったかのように夏の空に飛び立って行きました。ここまで強引に張り付いていた蝶は初めてでしたので印象に残りました。

Japanese common name : Gomadara-tyou
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Hestina persimilis japonica (C.Felder et R.Felder, 1862)
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ズボンにしがみつくの、止めてくれない?
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汗を吸うのに忙しいようで、振り落とそうとしても離れてくれない
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葉の上で休憩 2007.09.27
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地表で給水 2009.07.22


ゴマダラチョウ(胡麻斑蝶)
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科ゴマダラチョウ属
学名:Hestina persimilis japonica (C.Felder et R.Felder, 1862)
※日本本土亜種

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体長:(前翅長)35~50mm/(開張)60~85mm
出現期:5月~6月/7月~8月/(9月~10月)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:エノキ、エゾエノキ

【学名解説】
Hestia : ギリシア神話の炉の女神/ゴマダラチョウ属
persimilis : 非常に類似
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
C.Felder : Baron Cajetan von Felder (1814-1894)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
R.Felder : Rudolf Felder (1842-1871)

撮影地:静岡県静岡市
清水区西里 静岡市清水森林公園 黒川キャンプ場 2015.08.14
安倍川/河口から6.5km 河川敷 2007.09.27
賤機山 2009.07.22
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 January 2017
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# by pianix | 2017-01-26 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハリアサガオ(針朝顔)
 ハリアサガオ(針朝顔)は、ヒルガオ科サツマイモ属の1年草です。熱帯アメリカ原産の帰化植物で、江戸時代には中国経由で渡来していたと言われています。日本では、関東以西で栽培される観賞用栽培種ですが、逸出して野生化する事があります。名の由来は、茎に刺状突起があるアサガオである事から。中国名は、丁香茄(dīng xiang qié)、天茄子(tiān qié zi)、天茄(tiān qié)。

 ヒルガオ科(Convolvulaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜熱帯に約58属1650種が分布し、日本には4属があります。サツマイモ属(Ipomoea L. (1753)) は、熱帯から亜熱帯に約500種が分布します。

 蔓性で、他の物に巻き付き2~10mになります。茎や葉柄には、肉質で軟質の刺状突起が多数付きます。これが本種の特徴ですが、柔らかいので触っても痛くはありません。葉は互生します。葉柄は、4~12cm。葉は長さ5~7cmの心形。深裂した変異形状もあります。

 花期は、8月から10月頃。夜開性で午後から開花する一日花です。3~6cmの花柄の先に、漏斗状で淡赤紫色の合弁花を数個つけます。花径は約5cmで、花冠中心部は濃色。雄しべ5本、雌しべ1本の両性花。萼片は5枚。

 果実は、蒴果です。西洋独楽型で先端に突起があり、萼が反り返ります。若い果実は食用とされる事があり、救荒植物としても知られています。子房室は3室で、各室に普通2個の種子があります。乾燥果実は、径約17mm。種子は黒褐色で、長さ約6~7mm、短い綿毛が付きます。染色体数は、2n=30。

参考文献:
Flora of China : Ipomoea turbinata Lagasca, Gen. Pl. 10. 1816, FOC Vol. 16 Page 310

Japanese common name : Hari-asagao
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Ipomoea turbinata Lag.

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蕾の先端は尖る。茎に刺状突起がある。

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長い柄の先に漏斗状の花を付ける。径3~5cm。

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果実は蒴果。葉は心形で互生するが、深裂する変異形状もある。
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果実と種子


ハリアサガオ(針朝顔)
別名:アカバナヨルガオ(赤花夜顔)
ヒルガオ科サツマイモ属
学名:Ipomoea turbinata Lag.
synonym : Ipomoea muricata (L.) Jacq.
花期:8月~10月 1年草(国内) 蔓性:2~10m 花径:3~5cm

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【学名解説】
Ipomoea : ips(芋虫)+homoios(似た)/サツマイモ属
turbinata : turbinatus (西洋ゴマ形の、倒円錐形の)
Lag. : Mariano Lagasca y Segura (1776-1839)
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synonym : (シノニム) 同意語、異名
muricata : muricatus(硬尖面の)
L. : Carl Linnaeus (1707-1778)
Jacq. : Nicolaus(Nicolaas) Joseph von Jacquin (1727-1817)

撮影地:静岡県静岡市
帆掛山(押切コース) 2016.11.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 19 January 2017
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# by pianix | 2017-01-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)