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ケナフ(Kenaf)
 ケナフ(Kenaf)は、アオイ科フヨウ属の1年草です。アフリカ、あるいはインドが原産と言われていますが不明です。アジア、オーストラリア、北アメリカに移入分布します。日本には第二次世界大戦の頃に移入されたと言われています。製紙原料の繊維を取るために栽培されています。また、栽培逸出して野生化する事もありますが帰化状態ではありません。名の由来は、kenab(麻)から。中国名は、ヤンマ(洋麻)。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(AGP)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属、約1500種でした。フヨウ属(Hibiscus L. (1753))は、約250種が分布します。

 栽培種です。播種後は、夏以降に急速に成長します。根はゴボウ状で真下に伸びます。茎は、円柱状で径1~5cm、まばらに棘があり、直立します。草丈は3~4mになります。葉は、互生します。葉柄は6~20cm。掌状深裂します。茎上部になるほど裂片数が増え、3、5、7深裂となり、茎頂付近では槍形となります。掌状裂片は長さ2~12cmの被針形で、鋸歯があります。

 花期は、10月から11月頃。早朝に花を横向きに開きます。一日花です。ごく短い花柄の先に花を単生させます。総苞片(萼状総苞)は7~10個あり、長さ6~8mm。萼は、鐘形で長さ約5cm、萼片は5裂し被針形で、先端は鋭突。花冠は5枚の花被片からなり、薄黄色。中心部は農赤色の楕円形で長さ約6cm。花径は8~15cm。両性花で虫媒花です。雄しべは筒状の単体雄蕊1)で、花糸の長さは1.5~2cm。花柱は5個で、柱頭先端は3裂します。

 果実は蒴果です。径約15mm~20mmで、先端がくちばし状になり棘を密生させます。5室があり、各室に3~5個の種子を含みます。種子は、アサガオの種子に似た茶色の腎臓形で、約5mm。染色体数は、2n=36。

 成長が早く栽培が容易ですが、風、農薬に弱い弱点があります。また、蜜線も多いので虫を呼び寄せやすいようです。葉の表と裏に気孔が多数ある事から、二酸化炭素、二酸化窒素の単位面積当たりの吸収率が高い事が知られています。若葉には、カルシウム、カロチン、鉄分が豊富です。茎から繊維、種子から乾性油が採取されます。繊維は、製紙原料として使われ、麻袋や網、炭等にも利用されます。畑地では連作障害に注意を要します。

※大麻取締法で栽培が規制されているアサ(麻)と間違えられやすい植物です。アサの茎は4稜があり、本種の丸形とは異なります。

1)単体雄蕊(たんたいゆうずい):雄しべが合着して筒状になるもの。monadelphous stamen。

Japanese common name : Kenafu
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Hibiscus cannabinus L.

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ケナフ(Kenaf)
アオイ科フヨウ属
学名:Hibiscus cannabinus L.
花期:10月~11月 1年草 草丈:3~5m 花径:8~15cm

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【学名解説】
Hibiscus : 由来不明、ゼニアオイ属の古名/フヨウ属(ヒビスクス属)
cannabinus : Cannabis(麻)+anus(ラテン語形容詞化)/麻のような
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.10.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 20 December 2015
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by pianix | 2015-12-22 08:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
トロロアオイ(土呂呂葵、黄蜀葵)
 トロロアオイ(土呂呂葵、黄蜀葵)は、アオイ科トロロアオイ属の1年草です。中国原産で、栽培や園芸用途として用いられています。江戸時代までには渡来していたと言われています。名の由来は、根や果実が粘液質であるトロロに似たアオイである事から。別名のハナオクラは、花がオクラ(Okra) 1) に似る事から。黄蜀葵は中国名で、オウショクキ。英名は、Aibika。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(AGP)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属でした。トロロアオイ属(Abelmoschus Medik. (1787))は、アジアやオーストラリアに約15種が分布します。旧分類では、フヨウ属(Hibiscus L. (1753))でした。

 根茎は紡錘形に肥大し、長さ約20cm。草丈は30~200cmで、茎に剛毛があり直立します。葉は、互生します。長い柄があり、掌状に5~9深裂します。花期は、8~9月頃。茎頂に淡黄色の5弁花を横向きにつけます。花径は15~20cm。花冠中央部は紅紫色。柱頭先端は紅紫色で5裂します。茎の下部から上へと順に開花します。一日花で、朝開き、夜には落下します。果実は、蒴果です。楕円形で5稜に尖り、剛毛があり、茶色に熟します。種子は、長さ4.5~5mm、幅3~3.5mm。染色体数は、2n=68(桑田晃 1960)。

 花弁をサラダにして食べる事もありますが、果実は食用に用いられません。根から抽出される粘液を和紙を漉く糊料のネリ(糊)として用います。成分は、ガラクツロン酸2)です。コウゾ(楮)の表皮から内側白色部分だけを取り出し粉砕した繊維と混ぜ合わせて和紙を漉きます。漉いた和紙を板で天日干しするか熱した鉄板で乾かします。その為、接した部分は平滑になるので和紙には裏表があります。手間暇かけた高級和紙のできあがりです。

 現在は化学薬品のポリアクリルアミド(polyacrylamide)を用いる場合が多くなりました。栽培最盛期は、昭和40年の1,600haでしたが、現在は5ha程に激減しています。乾燥根を生薬の黄蜀葵根(オウショクキコン)として、咳止めや胃腸薬に用います。

 他に、沖縄諸島に分布する、リュウキュウトロロアオイ(琉球土呂呂葵)Abelmoschus moschatus Medik.、変種として尖閣諸島固有種で、絶滅危惧ⅠA類(CR)の、センカクトロロアオイ(尖閣土呂呂葵)Abelmoschus moschatus Medik. var. betulifolius (Mast.) Hochr. があります。

1) Abelmoschus esculentus (L.) Moench
2) ガラクツロン酸(galacturonic acid, C6H10O7)

Japanese common name : Tororo-aoi
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Abelmoschus manihot (L.) Medik
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花径は15~20cm。花冠中央部は紅紫色。柱頭先端は紅紫色で5裂する。

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左:萼片5、下から咲く一日花。 右:長い柄があり、掌状に5~9深裂する


トロロアオイ(黄蜀葵)
別名:ハナオクラ
アオイ科トロロアオイ属
学名:Abelmoschus manihot (L.) Medik
花期:8~9月 1年草 草丈:30~200cm 花径:15~20cm 果期:10月

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【学名解説】
Abelmoschus : abul-mosk(香りの父)/トロロアオイ属
manihot : イモノキ(芋の木)、キャッサバ、タピオカ/ブラジル名maniocに由来
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Medik. : Friedrich Kasimir Medicus (1736-1808)
---
moschatus : 麝香の香りのする
---
var. : varietas(変種)
betulifolius : カバノキ属(Betula)のような葉(folium)の
Mast. : Maxwell Tylden Masters (1833-1907)
Hochr. : Benedict Pierre Georges Hochreutiner (1873-1959)
---
esculentus : 食用の
Moench : Conrad Moench (1744-1805)

撮影地:静岡県藤枝市
石谷山(びく石) Alt.526m/笹川八十八石コース 2010.08.10, 2012.09.02
[Location : Fujieda City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 15 December 2015
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by pianix | 2015-12-15 08:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)
 ヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)は、アオイ科ヤノネボンテンカ属の常緑低木です。南アメリカ原産で、渡来時期は不明。日本では園芸種として扱われています。逸出したものが野生化して帰化しています。名の由来は、やじり(鏃、矢尻)型の葉を持つボンテンカである事から。矢の根は矢尻の事で、ボンテンカ1)(梵天花)はインドの花との意味。別名のタカサゴフヨウ(高砂芙蓉)は、台湾の芙蓉との意味。高砂は台湾の異名。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、旧分類では約75属1500種が分布します。APG植物分類体系では約240属3700種。ヤノネボンテンカ属(Pavonia Cavanilles, 1786)は、中央及び南アメリカに約100種が分布します。

 茎は直立し、分枝しながら50~150cmになります。茎や葉に星状毛があります。葉は互生します。基部が張り出し鉾形で、長さ3~10cm。波形の鈍鋸歯があります。花期は8月から9月頃。茎頂に花を単生します。蕾は初め赤く、開花前頃に赤い筋模様に変化します。4~7cmの花柄があり、花弁は5枚で花径は4~6cm。白色で基部が半円状に農赤色となります。花弁裏には赤色の筋模様が入ります。

 雄しべは12個で筒状につき赤色。雌しべは赤色で先端が10分岐します。萼は小苞と2列になり5裂します。朝開夕閉の一日花です。閉鎖花をつけます。果実は5分果で径約8mm。染色体数は、2n=56。

 園芸店ではミニ芙蓉の名で販売されている事があります。同じアオイ科のムクゲをそのまま小さくしたような花を付ける事からの命名と思われます。

1) ボンテンカ(梵天花)Urena lobata L. subsp. sinuata (L.) Borss.Waalk.

Japanese common name : Yanone-bontenka
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Pavonia hastata Cav.

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花弁は5個で花柱が目立つ。夕方には萎れてくる一日花。

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蕾は赤く、膨らんでくると赤の筋模様になってくる。蝶はウラナミシジミ。

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花弁裏側の赤筋模様。表側は白色で基部が半円状に農赤色となる。

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野生するヤノネボンテンカ。葉は、互生し鉾型。

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庭先に裂いていたヤノネボンテンカ 2016.08.15


ヤノネボンテンカ(矢の根梵天花)
別名:タカサゴフヨウ(高砂芙蓉)
アオイ科ヤノネボンテンカ属
学名:Pavonia hastata Cav.
花期:8月~9月 常緑低木 樹高:50~150cm 花径:4~6cm

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【学名解説】
Pavonia : Jose Antonio Pavon Jimenez (1754-1844)氏の/ヤノネボンテンカ属
hastata : hastatus(鉾形の)
Cav. : Antonio Jose Cavanilles (1745-1804)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.25km 左岸河川敷 2015.10.07
葵区池ヶ谷(植栽) 2016.08.15
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 November 2015
Last modified: 27 November 2016
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by pianix | 2015-11-24 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ラセンソウ(羅氈草)
 ラセンソウ(羅氈草)は、アオイ科(旧分類シナノキ科)ラセンソウ属の1年草です。日本・朝鮮半島・フィリピン・アフリカに分布します。日本では、関東地方以西に自生分布する暖地性の在来種です。県によっては絶滅危惧II類に指定されている希少種です。名の由来は、毛が多い蒴果がラセン(羅氈)の手触りに似ている事から。羅氈は、ラシャ(羅紗)のモウセン(毛氈)の意味で、獣毛をフェルト状に加工した毛織物の事。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は約240属あります。旧分類のシナノキ科(Tiliaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、約50属700種が分布します。ラセンソウ属(Triumfetta L. (1753))は、亜熱帯から暖温帯に10種程が分布します。

 茎は直立し、途中で分枝しながら50~100cmの高さになります。毛があります。葉は互生します。長さ5~13cm、幅1.5~6cmの卵状披針形。鋭頭、鋸歯があり、両面の脈上に荒い毛があります。葉柄は1~4cm。托葉は線形で反り返ります。

 花期は8月から10月で、葉腋から短い集散花序を出します。互生する葉の反対側に数個の小花を密生させます。花は黄色で径7~9mm。花弁は5個で、倒卵状長楕円形。萼片は5個で、先端の裏に刺状の突起があり、花弁よりも長くなります。雄しべは10個で、子房上位。果実は蒴果です。径6~8mmで、鉤状の長い棘が球状に付きます。動物などに付着して散布されます。

 類似種に、沖縄に分布するカジノハラセンソウ(梶の葉羅氈草)Triumfetta rhomboidea Jacq. 、波照間島以南の砂地に分布するハテルマカズラ(波照間蔓)Triumfetta procumbens G.Forst. 、台湾に分布するカラピンラセンソウ(交力坪羅氈草)Triumfetta semitriloba Jacq. 、アジアやアフリカに分布するナガバラセンソウ(長葉羅氈草)Triumfetta pilosa Roth があります。

Japanese common name : Rasen-sou
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Triumfetta japonica Makino

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葉は3脈が目立ち互生する

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左:全体 右:果実には鉤状の棘がある


ラセンソウ(羅氈草)
アオイ科ラセンソウ属
学名:Triumfetta japonica Makino
花期:8月~10月 1年草 草丈:50~100cm 花径:7~9mm

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【学名解説】
Triumfetta : Giovanni Battista Triumfetti (1858-1908)に因む/ラセンソウ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

13 October 2006
Last modified: 20 August 2016
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by pianix | 2006-10-13 00:00 | | Trackback | Comments(0)
イチビ(*伊知比)
 イチビは、アオイ科イチビ属の1年草で、インド原産の帰化植物です。アジア、南ヨーロッパ、北アフリカ、オーストラリア、北アメリカに分布します。古くに中国から繊維作物として導入され、1905(明治38)年に定着が確認されています。標本では1865年のものが存在します。日本では、全国に分布します。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。名の由来は、茎の芯を火口に使用した事から、打火が転訛したとの説があります。別名のキリアサ(桐麻)は、葉をキリに見立てたもの。英名は、Velvetleafの他、多数あります。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、温帯から熱帯に、約75属1500種が分布します。イチビ属(Abutilon Mill. (1754))は、アジアからヨーロッパにかけての温帯から熱帯に約100種があります。日本には3属があり、2種が自生します。

 現在、日本には2系統のイチビが存在します。栽培されていたイチビが逸出して野生化したものと、近年入ってきた輸入穀物混入系統です。果実に違いが見られ、古くからあった栽培逸出系統は蒴果が黒くならず、輸入穀物混入系統は熟すと蒴果が黒くなり種子の生産量が多くなる性質があります。両系統は遺伝的に遠い関係にあるとされています。

 葉は互生し、長い柄があります。長さ7~10cmの心円形で鋸歯があり、両面に軟毛があります。英名のVelvetleafは、そのベルベットのような感触から名付けられたと思われます。独特の臭いがあります。葉腋から花茎を伸ばし先端に花を単生させます。花は黄色の5弁花で、直径15~20mm。夕には萎む一日花です。雄しべは筒状に合着します。子房は合着した雄しべに包まれています。両性花です。果実は分果で、10~15分果になり、1分果に直径3mmの種子が3~5個あります。染色体数は、2n=42。

 畑地の強害草です。近似種に、ニシキアオイ(錦葵)Anoda cristata D.F.K.Schltdl.があり、メキシコ原産で花色は紫色です。別名はミズイロアオイ。こちらもアメリカなどでの畑地強害草です。

★  ★  ★

 去年、海に近い土手斜面でイチビが咲いているのを確認しました。近くの畑地から種子が飛んで来たものと考えられます。しかし、畑でイチビは確認されませんでした。しばらくして様子を見に行くと、刈り取られたのか所在が不明になりました。イチビの種子は土中で20年以上の寿命がありますから、今後も観察を続けたいと考えています。

Japanese common name : Itibi
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Abutilon theophrasti Medik.

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▲ 撮影地:安倍河口から0.50km/左岸土手 2005.09.14
左:果実 右:全体

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▲ 撮影地:静岡県立大学薬用植物園 2006.09.08
左:黒色化した果実がある 右:葉
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▲ 撮影地:藤枝市岡部町・朝比奈川 2010.08.22
黒色化した実


イチビ(*伊知比)
別名:ボウマ(ぼう麻)/キリアサ(桐麻)
アオイ科イチビ属
学名:Abutilon theophrasti Medik.
synonym : Abutilon avicennae Gaertn.
花期:7月~9月 1年草 草丈:100~250cm 花径:15~20mm

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【学名解説】
Abutilon : a(否定)+bous(牝牛)+tilos(下痢)/イチビ属
theophrasti : Theophrastus (372-287 BC)に因むTheophrasta属のような
Medik. : Friedrich Kasimir Medikus (1736-1808)
---
avicennae : Avicenna(980-1037)に因む
*Avicenna [Abu-Ali Al-Husain Ibn Abdullah Ibn Sina]
Gaertn. : Joseph Gaertner (1732-1791)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.50km 左岸土手 2005.09.14
静岡県立大学薬用植物園 2006.09.08
藤枝市岡部町 2010.08.22
[Location : Shizuoka City, & Fujieda City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

13 September 2006, 08 September 2010
Last modified: 30 August 2016
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by pianix | 2006-09-13 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ワタ(綿)
 加工品が多いと、原材料を勘違いする場合があります。例えば、西瓜や落花生の果実が木からぶら下がっていると思いこんでいる子供がいます。アジの開きが泳いでるとなると、その想像力には感服するものの、寂しい思いもします。布団の中身のワタも、植物由来であることを知らない子供が多いし、知っていても、どのような形で付いているのか見たことが無いという人も多いようです。

☆  ☆  ☆

 ワタ(綿)は、アオイ科ワタ属の1年草です。東南アジアが原産です。古くから栽培されてきた繊維作物で、インドのモヘンジョ・ダロ遺跡(紀元前2500~1500年頃)からも発見されているそうです。名の由来は、不明です。綿は中国名で、カイコ由来から変遷して木綿綿を差すようになりました。英名は、tree cotton、あるいはCotton Plant。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は世界に121属1550種が分布、ワタ属(Gossypium L. (1753))は約40種があります。

 日本へは799年(延暦18年)に三河に漂着したインド人よって種がもたらされました(類聚国史による)。その後消滅してしまい、何度かの導入も失敗しています。気候風土が合わなかったと推測されます。

 文禄年間(1592~1595)に中国から入った種子により栽培が成功します。関東以西に広まり、明治20年までには2万4千トンの収穫がありました。その後は安価な輸入品に押され衰退し、商業栽培はほとんど無くなりました。2002年の綿実(食用油・乳牛の餌・油粕は有機肥料)輸入量は約15万トンであり、オーストリアからが96%を占めるに至っています。

 大別すると、アジアワタ(亜細亜綿)とリクチワタ(陸地綿=アプランドワタ)があります。アジアワタには、アジアワタ(Gossypium herbaceum L.)とインドワタ(Gossypium arboreum L.)があります。日本で栽培されてきたのはアジアワタの系統と考えられています。

 花後5週間ほどでできる果実は、卵形の蒴果(さくか)で、英語でコットンボール(Cotton Ball)と呼ばれます。初めは緑色で熟すと薄茶色になり、3~5片に割れて開きます。中から綿毛に包まれた20個以上の種子(綿実)が顔を出します。これを花に例えて綿花と言います。綿の花そのものではありません。綿毛は布団の綿や糸、織物として利用され、綿実の殻はキノコ栽培の培地としての利用があります。綿実には脂肪油約20%が含まれ食用油が精製されます。種子には催乳作用(女性の乳汁の分泌を増大させる作用)があります。ゴシポール(gossypol)という成分は有毒(食べると出血性胃腸障害を起こす・男性避妊薬)で、綿実油の精製ではこれを除去します。

 花は、淡黄色の花弁が5枚で、中心部が濃紅色をしています。オクラに似ています。一日花です。葉は3~5裂します。ワタの最適温度は20~28度の範囲で、生育期には多量の雨が必要となります。塩濃度の高い土壌でも生育する代わりに酸性を嫌う性質があります。種子で繁殖します。現在は綿毛が長いリクチワタ (陸地綿)(Gossypium hirsutum L.)の栽培が主流で、園芸用としても出回っています。

Japanese common name : Wata
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Gossypium herbaceum L.


ワタ(綿)
シロバナワタ(白花綿)
アオイ科ワタ属
学名:Gossypium herbaceum L.
花期:7月~9月 1年草(熱帯地方では多年草) 草丈:90~120cm 花径:5~6cm

【学名解説】
Gossypium : gossypion|gossum(腫れもの)/ワタ属
herbaceum : herbaceus(草本の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県立大学 薬用植物園 2005.12.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 7 February 2006
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by pianix | 2006-02-07 00:00 | | Trackback | Comments(2)
カラスノゴマ(烏の胡麻)
 カラスノゴマ(烏の胡麻)は、アオイ科カラスノゴマ属の1年草です。カラスと名が付いていても、カラスが食べるわけではありません。カラスやスズメの名が付く植物は幾つかありますが、ほとんどが大きさを表しているだけです。本種の場合は黒褐色の種子をゴマに見立てたものと思われます。

 葉の陰に隠れるように下向きに黄色の花をつけます。5弁花で、長く目立つ雄しべは5~15本の範囲内に不規則数あります。通常は雄しべなどを気にしませんが、この種は面白い特徴を持っています。アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、APG分類体系では約240属があります。旧シナノキ科(Tiliaceae Juss. (1789))は世界に約50属700種あり、ほとんどが木本です。特徴の一つである星状毛は、草本である本種も持っています。染色体数は、2n=20。

Japanese common name : Karasu-no-goma
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Corchoropsis crenata Siebold et Zucc.


カラスノゴマ(烏の胡麻)
アオイ科カラスノゴマ属
学名:Corchoropsis crenata Siebold et Zucc.
synonym : Corchoropsis tomentosa (Thunb. ex Murray) Makino
花期:8月~9月 1年草 草丈:30~90cm 花径:15~20mm

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【学名解説】
Corchoropsis : *Corchorus(シナノキ科ツナソ属) +opsis(似)/カラスノゴマ属
*Corchorus : cores(下だす)+core(瞳孔)
crenata : crenatus(円鋸歯状の)
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Zucc. : Gerhard Zuccarini (1790-1848)
---
tomentosa : tomentosus(密に細い綿毛のある)
Thunb.:Carl Peter Thunberg (1743-1828)
ex : ~による
Murray : Johan Andreas Murray (1740-1791)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2005.09.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 October 2005
Last modified: 20 June 2015
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by pianix | 2005-10-24 00:00 | | Trackback | Comments(2)
アメリカフヨウ(亜米利加芙蓉)
 葉も大きいし花も大きい。小さな野草を見慣れている目には、巨大すぎて圧倒されます。葉の長さは20cmくらい。花は1日花ですが、9月頃まで次々と咲き続けます。

 年配のご婦人が近くにおられたので、お話を伺ってみました。私の関心事は、手動式の井戸ポンプ。他の河川敷にあるポンプは破棄されているのに、どうして使えるようになっているのか興味津々でした。お話によると、ゲートボール仲間がお金を出し合って作ったそうです。水は飲めないけれど、草花の水やりに使っているそうです。

 アメリカフヨウに目をやって、「花の面倒を見ていた人が昨年亡くなってしまったのです。一応、他の者が世話をしているのですが、今年は背丈も低いままです」と教えてくれました。また、このアメリカフヨウの押し花を作られているというので驚きました。もしかしたら押し花ではなくて、「標本」だったりして。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(AGP)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属、約1500種でした。フヨウ属(Hibiscus L. (1753))は、約250種が分布します。

Japanese common name : Amerika-fuyou
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Hibiscus moscheutos L.


アメリカフヨウ(亜米利加芙蓉)
別名:クサフヨウ(草芙蓉)
アオイ科フヨウ属
学名:Hibiscus moscheutos L.
花期:7月~10月 多年草 草丈:80~200cm 花径:10~20cm

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【学名解説】
Hibiscus : 由来不明、ゼニアオイ属の古名/フヨウ属(ヒビスクス属)
moscheutos : moschatus(麝香の香りのする)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.25km 右岸河川敷 2005.07.15
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 3 August 2005
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by pianix | 2005-08-03 00:00 | | Trackback | Comments(0)
フヨウ(芙蓉)
フヨウ(芙蓉)は、アオイ科フヨウ属の落葉低木です。中国、日本、台湾に分布します。日本では本州関東以南で栽培され帰化しています。名の由来は、漢名の木芙蓉から。芙蓉は中国での蓮の別名で、花が似ている事からの命名と言われています。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(AGP)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属、約1500種でした。フヨウ属(Hibiscus L. (1753))は、約250種が分布します。

 フヨウは、ムクゲほど多くの品種・系統はありません。桃色花は在来種で、一重白花の白花芙蓉、八重咲きの七面芙蓉、八重咲きで白から紅色に変化する酔芙蓉があります。

 フヨウとムクゲの違いは、花柱の形態にあります。フヨウは花柱の先端が曲がり花粉袋が中央に付くのに対し、ムクゲの花柱はまっすぐで花粉袋は全体に付きます。また、フヨウの花柄は長く、ムクゲは短くなります。フヨウとハイビスカスは似ていますが、ハイビスカスは花柱が突出していて花粉袋が中央より先端よりにつきます。

 早朝に咲き、夕方には萎んでしまう一日花です。写真の花は萎みかけ始めています。

参考:アメリカフヨウ(亜米利加芙蓉) ムクゲ(木槿)

Japanese common name : Fuyou
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Hibiscus mutabilis L.

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フヨウ(芙蓉)
別名:モクフヨウ(木芙蓉)
アオイ科フヨウ属

学名:Hibiscus mutabilis L.
花期:8月~10月 落葉低木 樹高:1~3m 花径:10~14cm

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【学名解説】
Hibiscus : 由来不明、ゼニアオイ属の古名/フヨウ属(ヒビスクス属)
mutabilis : 変化しやすい
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
藁科川(安倍川水系) 河口から2km 2005.07.29
葵区池ヶ谷 2016.08.15
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

01 August 2005
Last modified: 28 August 2016
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by pianix | 2005-08-01 00:00 | | Trackback(2) | Comments(7)
ムクゲ(木槿)
 ムクゲ(木槿)は河川敷の緑地公園などに植えられています。川沿いを歩いていて見つけたムクゲは、流れで崩された斜面にありました。過酷な場所で花を咲かせているのですから、性質が強いのでしょう。斜面にあると撮影しにくくて苦労します。何かに掴まって少しでも近づこうとすると、ノイバラのトゲが邪魔をします。何度「痛い」と叫んだ事か……。

 このような場所に行くのですから、当然、夏でも長ズボン長袖上着が常識です。しかしながら暑さに負けて半袖で出かけるので、手や腕は傷だらけになります。何故、そんな事になってまでも野草に会いに行くのか、自分でも笑ってしまいます。

 ムクゲの英名を"Rose of Sharon"と言いますが、Sharon(シャーローン)はヘブライ語の平原という意味。イスラエルの地中海沿いの平原の事です。そして讃美歌「シャロンの薔薇」と同じです。しかしハイビスカス(Hibiscus)系の花はバラ科ではないですよね。聖書で言う"Rose of Sharon"は諸説があります。「サフラン」と訳した聖書もあります。ユリだとか野生のチューリップだと考える人もいます。実は、この時代の植物は同定できていないものが多いのです。私は「平原に咲く野草」程度に考えています。ムクゲではないでしょう。

There's a Beautiful Rose ever blooming,
In the Garden of God's Love for me;
It has filled all the world with it's fragrance,
It will last for eter - ernity.

Chorus
Rose of Sharon now blooming I see,
Blessed Jesus, who died on the tree;
With my whole heart I sing "Hallelujah!"
Rose of Sharon, so precious to me.

(Words and music by Alfred B. Smith and John Peterson)

 韓国名はムグンファ(無窮花)で、韓国国花、中国名はムージン(木槿)、英名はRose of Sharon。

Japanese common name : Mukuge
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Hibiscus syriacus L.


ムクゲ(木槿)
別名:ハチス(蓮)
アオイ科ムクゲ属
学名Hibiscus syriacus L.
花期:7月~10月 落葉低木 樹高:150~400cm 花径:7~10cm 果期:10月

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【学名解説】
Hibiscus : 由来不明、ゼニアオイ属の古代ギリシャ及びラテン名古名/フヨウ属
syriacus : シリアの
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.75km 左岸河川敷 2005.07.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 28 July 2005
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by pianix | 2005-07-28 00:00 | | Trackback(2) | Comments(0)