タグ:アヤメ科 ( 6 ) タグの人気記事
イチハツ(一初)
 イチハツ(一初)は、アヤメ科アヤメ属の多年草です。原産は中国からミャンマー北部にかけてで、日本には江戸時代に渡来したと言われています。名の由来は、アヤメ科の中でいち早く花を咲かせる事から。実際には、シャガ(射干/著莪)の方が先に咲くようです。

 アヤメ科(Iridaceae Juss. (1789))は、世界に約80属1750種があり、アヤメ属(Iris L. (1753))は、北半球の温帯に約220種が分布し、日本には約10種が自生します。アヤメ科の花は、「いずれアヤメかカキツバタ」と言われるように、見分けが難しいものと言われます。この仲間の園芸品種が多い事も拍車をかけているかもしれません。

 根茎は分枝しながら増殖します。葉は薄緑色で、光沢がない剣状の短めの葉で、幅は3~4cm、葉の中央にある中脈は不明瞭で先端は尖ります。花茎は単軸で、分岐し、草丈30~60cmになります。

 花期は4月から5月頃。茎頂に藤紫色で濃紫色の脈や斑点が入った、花径10cm程の花をつけます。苞葉(ほうよう)から子房が立ち上がり、花冠に相当する上弁の内花被片と、萼に相当する下弁の外花被片が3枚ずつあり、縁は縮れます。内花被片は倒卵状円形。外花被片には、白色のとさか状の突起物があり、イチハツの大きな特徴となっています。雄しべは3本、花柱は3つに分岐します。染色体数は、2n=28,32,361)

 乾燥に強く、昔は火災や大風からの魔よけと信じられ、かやぶき屋根に植えられていました。これは種小名のtectorumにも表されています。鳶尾は漢名です。根は民間薬とし、鳶尾根(エンビコン)と称して吐剤・下痢として利用されます。根にはイソフラボン配糖体であるテクトリジン(Tectoridin)が含まれ、摂取量を誤ると胃腸障害を起こす恐れがあります。

 品種に、シロバナイチハツ(白花一初)Iris tectorum Maxim. f. alba (Dykes) Makino があります。

1)Chromosome numbers : 2n=28(Simonet,1932), 2n=32(Sharma,1970), 2n=28(Chimphamba,1973), 2n=28(Karihaloo,1978), 2n=28 (Karihaloo,1984), 2n=28(Huiang,1986), 2n=36(Mao & Xue,1986), 2n=28(Huang,1989), 2n=32(Dong et al.,1994)

Japanese common name : Itihatu
e0038990_2325960.jpg
Iris tectorum Maxim.


イチハツ(一初/一八/鳶尾)
アヤメ科アヤメ属
学名:Iris tectorum Maxim.
花期:4月~5月 多年草 草丈:30~60cm 花径:10cm

e0038990_21323673.gif

【学名解説】
Iris : 虹/アヤメ属
tectorum : 屋根の・屋根に生ずる(複数二格)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
---
alba : albus(白色)
Dykes : William Rickatson Dykes (1877-1925)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 24 May 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-05-24 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)
ニワゼキショウ(庭石菖)
 ニワゼキショウ(庭石菖)は、アヤメ科ニワゼキショウ属の多年草です。北アメリカ原産で、日本へ1887年(明治20年)頃に観賞用植物として渡来し、小石川植物園に植えられました。その後に逸出して日本各地に広まった帰化植物と言われて来ましたが、現在では別経路で侵入帰化したと考えられています。名の由来は、サトイモ科のセキショウ(石菖)に葉が似ていて、庭園に植栽されていた事からと言われています。セキショウの花は肉穂花序であり、当然の事ながら本種とは全く異なります。中国名は、庭菖蒲。英名は、blue-eyed grass。

 アヤメ科(Iridaceae Juss. (1789))は、全世界に分布し、約92属1800種があります。ニワゼキショウ属(Sisyrinchium L. (1753))は、全てが北アメリカ原産です。分類に混乱があり、70から150種と学説が定まっていません。

 単子葉植物です。アヤメ科の仲間は3を基本に花弁や雄しべなどが構成されます。茎は叢生し、扁平で、狭い翼があり無毛です。茎葉は幅2~3mmの線形で基部は茎を抱き、アヤメ科の特徴が見られます。

 花期は5月から6月頃。ヘラ形をした1~2枚の葉状の苞から非常に細い花茎を出し、茎頂に径10~15mmの花をつけます。花被片は6個で、先端は尖り、基部は筒状です。花被片と筒状部分には紫色の縞があります。アヤメ科の植物は、内花被片と外花被片が3枚ずつあり、その大きさが異なる事がほとんどですが、本種は花被片6個がすべて同形で、筋の本数だけが異なっています。筒状の中心部と葯の色は黄色です。

 両性花で、雄しべは3本。雌しべ花柱先端は糸状に3裂します。子房下位。花色は白と赤紫色があります。花は朝に咲き夕方に萎む1日花です。遺伝では赤紫が劣性、白花が優性です。従って、第一世代(F1)は全て白花になります。交雑種が出やすい傾向にあります。果実は球形の朔果です。径3mm程で艶がある紫褐色をしています。熟すにつれて下を向き、3裂して細かな種子を散布します。染色体数は、2n=32。

 近似種に、草丈があり花径が小さい淡青色の、オオニワゼキショウ(大庭石菖)Sisyrinchium sp.(学名未確定)、藍色で花弁先端が細く尖る、ルリニワゼキショウ(瑠璃庭石菖)Sisyrinchium graminoides Bicknell、等があります。ヒレニワゼキショウ(鰭庭石菖)やアイイロニワゼキショウ(藍色庭石菖)とも言われます。和名、学名共に混乱があります。

Japanese common name : Niwa-zekisyou
e0038990_1795872.jpg
Sisyrinchium rosulatum E.P.Bicknell

e0038990_101245.jpge0038990_10122025.jpg
花被片は6個で、先端は尖る。筒状の中心部と葯の色は黄色。

e0038990_17105872.jpge0038990_17132773.jpg
花被片先端部分が白色の花。赤紫が劣性、白花が優性遺伝。
e0038990_19243029.gif
▼オオニワゼキショウ(大庭石菖)

e0038990_1714529.jpge0038990_17154375.jpg
Sisyrinchium sp.
e0038990_14534537.jpg
種子


ニワゼキショウ(庭石菖)
アヤメ科ニワゼキショウ属
学名:Sisyrinchium rosulatum E.P.Bicknell
花期:5月~6月 多年草 草丈:10~20cm 花径:10~15mm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Sisyrinchium : sys(豚)+rhynchos(鼻)/ニワゼキショウ属
rosulatum : rosulatus(ロゼット状の・薔薇模様のある)
E.P.Bicknell : Eugene Pintard Bicknell (1859-1925)
---
sp. : species(種)/未確定種の場合、属名+sp.と記される。

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.05.05, 2006.05.10
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2009.05.01, 2013.05.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First draft: 11 May 2006, 05 April 2014, 24 May 2017
Last modified: 02 August 2017

e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-05-11 00:00 | | Trackback | Comments(4)
シャガ(射干/著莪)
 シャガ(射干/著莪)は、アヤメ科アヤメ属の多年草です。中国が原産地です。古くに渡来した史前帰化植物と言われていて、本州以西から九州にかけて自生しています。学名の種小名にjaponica(日本の)とありますが誤りです。学名の幾つかは原産地を取り違えているものがあります。また、「射干」も誤って伝えられたものです。中国名を音読みしたもので、ヒオウギ(檜扇)を指します。葉の形状が似ていた為、取り違えられたと推測されます。「著莪」は、俳句などの文学的表現に使われます。「胡蝶花」の胡蝶は蝶の事で、花を蝶に見立てた名前です。

 アヤメ科(Iridaceae Juss. (1789))は世界に約80属1750種、アヤメ属(Iris L. (1753))は北半球の温帯に約220種が分布します。

 根茎から匍匐枝(stolon)を伸ばして群生します。葉は、鮮緑色で光沢のある長さ30~60cm程の剣型をしています。扇形に葉を付けます。単面葉(unifacial leaf)で、裏表の区別が不明瞭です。斜立した花茎は30~70cm程になり、先を分岐させて総状花序をつけます。

 花期は4月から5月頃まで。花は、萼に相当する外花被片と花冠に相当する内花被片を3枚ずつ付けます。外花被片の縁は細かく切れ込んでいて、中央部に橙色の突起があります。黄色の周囲を青紫色の斑点が囲んだ模様を付けます。内花被片は外花被片より小型の長楕円形で、先端は浅く2裂します。

 雄しべは3本。雌しべは1本で、先端が3裂する花柱枝です。一日花です。中国産種は種子繁殖を行いますが、日本野生種は染色体が3倍体(triploidy)であるため種子はできません。株分けの栄養繁殖(vegetative reproduction)を行います。染色体数は、2n=24,28,34,36,54,56。

 類似種に、薄紫色で小型種のヒメシャガ(姫射干)Iris gracilipes A. Grayがあり、準絶滅危惧(NT)とされています。

Japanese common name : Syaga
e0038990_10204090.jpg
Iris japonica Thunb.


シャガ(射干/著莪)
別名:コチョウカ(胡蝶花)
アヤメ科アヤメ属
学名:Iris japonica Thunb.
花期:4月~5月 多年草 草丈:30~70cm 花径:3~5cm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Iris : 虹/アヤメ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.50km 諸岡山(Alt. 92m) 2006.04.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 April 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-04-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)
クロッカス(Crocus)
 ロシア国民楽派の作曲家である、ムソルグスキー1)様。あなたが1867年に作った「禿山の一夜」等は、私の好きな曲です。しかし奇才のあなたは窮乏し、友人関係から孤独感を強め、酒におぼれ、絶望の内に42歳で亡くなりました。もし私が同時代に生まれていたのなら、このような結果にはさせなかったと目頭が熱くなります。

 『なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。』マタイによる福音書6章28~30節(新共同訳聖書)

 私の野草観察テーマは、「なぜ野草は生き続けるのか」です。絶滅しそうな野草であっても、健気に咲きます。相手がいないのに、なおかつ花粉を作ります。植物は幾多の地球上の危機を乗り越えて繁栄してきました。生存の戦略は巧みです。ですから馬鹿だから絶滅していく種があるとは考えにくい事です。人間は悩みから自分を窮地へ追いやる事があるのに、野草は実に従順に生きているように思うのです。そして、誰も立ち入らないような河川敷の荒れた一角に、今年もクロッカスが花を咲かせていました。たった二株しか野生していないので淋しそうです。しかし、そこには人間ではなく、花粉を運んでくれる昆虫がいました。

e0038990_19243029.gif

 クロッカス(Crocus)は、アアヤメ科クロッカス属の多年草です。アアヤメ科(Iridaceae Juss. 1789)は、全世界に分布し、約92属1800種があります。クロッカス属(Crocus L. 1753)は、地中海沿岸から小アジアにかけて分布し、約80種があります。

 日本には、観賞用として明治の初めに渡来しています。クロッカスは属名で、crokeは糸を意味します。雌しべの先が糸状になる事に由来しています。一般的に、春咲き種をクロッカス、紫色で秋咲きの種をサフラン(Saffron) Crocus sativus L.と呼び区別します。クロッカスは園芸用、サフランは薬用・香料・染料として利用されてきました。

 サフランの花色が紫色の一色に対し、クロッカスは園芸用として改良され、白色・黄色・紫色・藍色があります。白や紫の絞り品種もあります。12月に開花するレウィガーツス・フォンティネィーは、淡い菫色で外側に紫色の線が入ります。寒咲きクロッカスの別名を持つシーベリは多花性、澄んだ藤青色のトマシニアヌス。濃黄色のアンキイレンシス、多花性で多くの品種があるクリサントス、黄金色のアウレウス、一般的に一番よく知られているヴェルヌスなどがあります。クロッカスには、サフランのような赤く長い雌しべはありません。

 球茎は25mm程の扁平球形です。葉は細い線形で、中央に白色の筋がある根出葉です。花に先立ち伸び、花後も20cm程に成長して黄変します。地上に伸びる茎はなく、短縮肥大した球茎があります。花茎は薄い筒状のさやになります。筒状の花冠となり、6つに深く切れ込みます。花は早朝に開き夜閉じます。これは温度変化の刺激によって起こる温度傾性によるもので、陽が当たって温度が上がると花弁の内側が伸びて開く事になります。光の刺激を受けて平開するものを光傾性、陽の当たる側の茎が縮み傾斜するようなものを光屈性と言います。他に、重力屈性、接触屈性、水分屈性があります。

1) Modest Petrovich Mussorgsky (1839-1881)

Japanese common name : Hana-safuran
e0038990_16115691.jpg
Crocus vernus (L.) J. Hill
e0038990_16125345.jpg


クロッカス(Crocus)
和名:ハナサフラン(花泊夫蘭)/別名:ハルサフラン(春泊夫蘭)
アヤメ科クロッカス属
学名:Crocus vernus (L.) J.Hill
花期:3月~4月 多年草 草丈:5~10cm 花径:4~5cm

e0038990_21323673.gif

【学名解説】
Crocus : crokos(サフラン)| croke(糸)/クロッカス属
vernus : 春咲きの
L. : Carl von Linne (1707-1778)
J.Hill : John Hill (1716-1775)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.03.03
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 6 March 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-03-06 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヒメヒオウギ(姫檜扇)
 今日は7月第一週目で、礼拝では聖餐式が行われました。聖餐式はパンと葡萄酒(ジュース)を食べる儀式です。会堂入り口には、一鉢のヒメヒオウギ(姫檜扇)が置かれていました。そこで種を無料配布していました。

 配布されている方に話を聞くと、星野富弘さんの事務局を担当しているので花に興味があるとの事でした。山野草などの話もしてくれました。花が好きな人は本当に好きなのですね。私とは大違い。

 ヒメヒオウギの特徴は、6枚の花弁の内、内側3枚だけに色が濃くなったブロッチ(斑点)が入ることでしょうか。南アフリカ原産です。Red Type, Red and White Type, White Typeなどがあります。

Japanese common name : Hime-hiougi
e0038990_955938.jpg
Freesia laxa (Thunb.) Goldblatt & J. C. Manning
e0038990_9551913.jpg
2014.07.04 安倍城跡


ヒメヒオウギ(姫檜扇)
旧名:アノマテカ(anomatheca)/ラペイロウシア(Lapeirousia)
アヤメ科ヒメヒオウギ属
学名:Freesia laxa (Thunb.) Goldblatt & J. C. Manning
ex : Anomatheca laxa Lindl. (=Anomatheca cruenta =Lapeirousia laxa)
花期:4月~6月 多年草(球根) 草丈:30~50cm 花径:約3cm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Freesia : H.Th.Freese氏に因む
laxa : laxus(疎な・開いた・怠情な)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Goldblatt : Peter Goldblatt (1943- )
J.C.Manning : John Charles Manning (1962- )
---
Anomatheca : anomalus(変則の・異常の)+theca(箱)
Lindl. : John Lindley (1799-1865)

撮影地:静岡県静岡市
静岡市駿河区 2005.07.03
安倍城跡 2014.07.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

03 July 2005
Last modified: 30 November 2014
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2005-07-03 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハナショウブ(花菖蒲)
 どちらの鼻息が荒いかと、鼻が勝負しているわけではありません。花菖蒲のことを一般的には単なる「ショウブ(菖蒲)」と言いますが、それはサトイモ科ショウブ属で学名を Acorus calamus L. という全く異なる花になってしまいます。菖蒲湯に使われますが、花菖蒲を入れてはいけません。ややこしいです。

Japanese common name : Hana-syoubu
e0038990_185843.jpg
Iris ensata Thunb. var. ensata


ハナショウブ(花菖蒲)
アヤメ科アヤメ属
学名:Iris ensata Thunb. var. ensata
花期:5月~6月 多年草 草丈:60~120cm 花径:10~15cm

e0038990_21323673.gife0038990_2122812.gif

【学名解説】
Iris : 虹/アヤメ属
ensata : ensatus(剣形の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
var. : varietas(変種)

撮影地:静岡県静岡市
葵区秋山町 2005.05.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

16 June 2005
Last modified: 30 July 2015
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2005-06-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)