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カワヂシャ(川萵苣)
 カワヂシャ(川萵苣)は、オオバコ科クワガタソウ属の2年草です。日本、中国、東南アジア、インドに分布します。日本では、本州(中部地方以西)、四国、九州、沖縄に分布する在来種です。環境省カテゴリでは、準絶滅危惧(NT)種。名の由来は、乳草が転訛してチシャ(レタス)となり、川に多い事からカワヂシャ。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss.(1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. (1753))は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 川などの水辺に自生します。茎は淡緑色で丸く柔らかく、直立します。分岐しながら草丈は10~50cmになります。葉は十字対生します。長さ4~8cm、幅0.8~2.5cmで無毛、長楕円状披針形から被針形(先が尖る)です。基部は茎を抱き、鋸歯があり、縁が波打ちます。若い葉は食用になりますが、準絶滅危惧(NT)種という事もあり採取が難しいかもしれません。

 花期は5月から6月頃です。茎の先端や葉腋から、長さ5~15cmの総状花序を出します。花は白色の合弁花で、花冠は深く4裂します。裂片は広卵形で平開し、下側の一弁が少し小さい左右相称。花径3~4mmで、淡紅紫色の条(すじ)が入ります。条色はオオカワヂシャのようには濃くはなく、また花弁全体にではなく上側に偏ってつきます。花冠基部は黄緑色を帯びます。

 雄しべ2個、雌しべ1個の両性花です。葯室は2、葯色は薄黄色で花粉は白色。子房2室。萼は4列し、果実と共に残る宿存性。果実は蒴果です。長さ10~15mmの中央がへこんだ球形で、1mm程の残存花柱があります。種子は褐色の扁平楕円形で、長さ約0.5mm。染色体数は、2n=54。

 類似のオオカワヂシャ1)(大川萵苣)は外来種であり、「外来生物法」で特定外来生物に指定されています。飼育、栽培、保管及び運搬、輸入が原則禁止、野外へ放つ、植える及びまくこと、譲渡し、引渡しなどをすることが禁止され、違反者には懲役あるいは罰金が科せられます。

 在来種カワヂシャ(2n=54)と外来種オオカワヂシャ(2n=36)との交雑種にホナガカワヂシャ2)(2n=5x=45)があります。これは5倍体の為ほとんど結実しません(田中 1994)。しかし「発芽能力のある種子を生産することが、野外観察及び人為交配実験から確認されており、在来種の遺伝的攪乱が生じている」とされています。

1)オオカワヂシャ(大川萵苣) Veronica anagallis-aquatica L.
2)ホナガカワヂシャ(穂長川萵苣) Veronica × myriantha Tos.Tanaka

Japanese common name : Kawa-disya
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Veronica undulata Wall.

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オオカワヂシャが勢力を拡大する中、わずか数株が点在していた。

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花は深く4列した合弁花で径3~4mm。白地に薄い紫色の筋が入る。

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葉は荒い鋸歯がある。時期はじめなので、まだ小さい。


カワヂシャ(川萵苣)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica undulata Wall.
花期:5月~6月 2年草 草丈:10~50cm 花径:3~4mm

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【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
undulata : undulatus(波状の・うねった)
Wall. : Nathaniel (also Nathan Wolf) Wallich (1786-1854)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.75km右岸河川敷 2007.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

2 July 2012
Last modified: 24 September 2015
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by pianix | 2012-06-23 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
早春の野草・その5
 安倍川の水際でオオカワヂシャを観察していたら、散歩の人が声をかけてきました。花の名前を聞かれたのですが、「学名では分からないから普通に」と念を押されました。通常、学名を聞かれる事はありませんし、学名とは何か知らない人も多いはずです。不思議だなと思って話を聞いていたら、生物学を専攻していたとの事。ド素人の私に学名なんぞを聞いてはいけません。観察していたオオカワヂシャの名前だって、その時は度忘れ状態だったのですから。辛うじて思い出した和名を教え、オオイヌノフグリの仲間ですと答えておきました。その人が帰ったので、ほっとして観察を続けました。しかし数分もしない内に、その人はもう一度戻って来ました。「ベロニカだったっけ」と、思い出したのを喜ぶような大きな声で確認しに来たのです。学名は分からないと言っていたのに・・・。帰宅してから、この話を家の者にしました。「オタクって苦手なんだな」と私が言うと、「あんたがオタク」と言われてしまいました。

 ■オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)の花冠は8~10mmです。雄しべ2本、雌しべ1本の両性花で、名の由来となる果実は倒心形の蒴果です。

Japanese common name : Oo-inuno-fuguri
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Veronica persica Poir.
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▲内側に曲がった雄しべ2本と、中央に雌しべ1本
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▲名の由来となった蒴果


オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)
別名:テンニンカラクサ(天人唐草)/ルリカラクサ(瑠璃唐草)/ヒョウタングサ(瓢箪草)/ホシノヒトミ(星の瞳)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica persica Poir.
花期:2月~5月 越年草 草丈:10~25cm 花径:8~10mm

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【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
persica : persicus(ペルシャの)
Poir. : Jean Louis Marie Poiret (1755-1834)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2007.01.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]



 ■タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)は、オオイヌノフグリの花冠の半分以下しかありません。また、花柄が無いので花は目立ちません。果実は蒴果で、大きさは3~4mmです。オオイヌノフグリは茎が這うのに対し、タチイヌノフグリは茎が立ち上がります。

Japanese common name : Tati-inuno-fuguri
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Veronica arvensis L.
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▲合弁花で花柄が無く、花冠径は3~4mm。埋もれるように咲く
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▲蒴果


タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica arvensis L.
花期:4月~6月 越年草 草丈:10~25cm 花径:3~4mm

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【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
arvensis : 可耕地の・原野生の・畠地生の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 右岸河川敷 2006.01.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

6 February 2007
Last modified: 24 September 2015
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by pianix | 2007-02-06 00:00 | | Trackback | Comments(0)
タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)
 タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)は、オオバコ科クワガタソウ属の越年草です。ヨーロッパ原産で、北アフリカ、アジア、オーストラリア、南北アメリカ等の寒帯から温帯にかけて分布します。日本へは明治初期に渡来したと言われています。1870年頃、東京で野生が確認された帰化植物で、非意図的移入とされています。

 名の由来は、茎が立ち上がるイヌノフグリ(犬の陰嚢)の意味から。しかし、在来種であるイヌノフグリの花色は薄桃色で、本種は帰化植物のオオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)に近い青紫の花色となります。英名は、Corn speedwell。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. (1753))は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 茎は根本で分枝して叢生し、直立して草丈を10~25cmに伸ばします。短毛があります。葉は、下部で対生、上部で互生します。大部分は無柄で鈍い鋸歯があり、下部の葉は広卵形、上部で長卵形となり、小さい包葉となります。両面に短毛があります。

 花期は,4月から6月頃。花は葉腋に単生します。合弁花で花柄が無く、花冠径は3~4mm。8~10mmあるオオイヌノフグリよりずっと小型で隠れるように咲くので目立ちません。また、晴れた日の数時間しか開きません。花冠は青紫色で、深く4裂します。 花の大きさは、オオイヌノフグリ>イヌノフグリ>タチイヌノフグリで、タチイヌノフグリには花柄が無い事が最大の特徴です。

 雄しべ2本、雌しべ1本の両性花で自家受粉します。果実は蒴果です。柄が無く、扁平で倒心形の腺毛がある3~4mmの実がペアに付きます。これが名称の元になっています。0.8mm程の種子が20個内外あります。染色体数は、2n=16。

Japanese common name : Tachi-inuno-fuguri
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Veronica arvensis L.
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花冠径は3~4mm。雄しべ2本、雌しべ1本の両性花。
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花は葉腋に単生し埋れるように咲く

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左:全体の様子 右:果実は蒴果


タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica arvensis L.
花期:4月~6月 越年草 草丈:10~25cm 花径:3~4mm

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【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
arvensis : 可耕地の・原野生の・畠地生の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸土手 2006.05.24
安倍川/河口から9.0km 左岸河川敷 2007.03.06, 2007.04.14
安倍城跡(Alt. 435m) 2010.04.03
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 June 2006, 7 April 2010
Last modified: 24 September 2015
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by pianix | 2006-06-24 00:00 | | Trackback | Comments(0)
マツバウンラン(松葉海蘭)
 マツバウンラン(松葉海蘭)は、オオバコ科マツバウンラン属の1~2年草です。北アメリカが原産です。日本では1941年に京都で発見され、西日本から広がった帰化植物です。現在では本州から九州にかけて自生分布します。名の由来は、松葉のような線形の葉を付け海辺に咲く、ウンラン属の在来種である、ウンラン(海蘭)Linaria japonia Miq.の花に似ている事から。但し、蘭と名が付いていてもラン科ではありません。英名は、Blue toadflax。

 APG植物分類体系では、オオバコ科 (Plantaginaceae Juss. (1789)) で、約90属1700種が分布します。マツバウンラン属(Nuttallanthus D.A.Sutton, 1988)は、約270種が分布します。エングラー体系、クロンキスト体系では、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))で、世界に約220属3000種があり、ウンラン属(Linaria P. Miller, 1754)は、北半球に約150種が分布します。

 茎は束生1)し、細く無毛で、直立します。葉は多肉質で、幅1~2mmの線形で互生します。根元はロゼット状になります。花期は5月から6月。花茎を20~60cm程に伸ばし、3mm程の柄の先に青紫色の合弁花を総状花序に数個付けます。左右相称の唇形花で、上部が2裂、下部は3裂します。花弁の中央部に白色の隆起部分があります。

 果実は3mm程の球形をしていて、角ばった種子を出します。マツバウンランの細胞には銅イオンに対する耐性があるとの報告2)もあります。染色体数は、2n=12。

 静岡市でも、ここ数年の内に急速に勢力の拡大が見られ群生箇所が増えてきました。生育期間が11月から5月にかけてで、草刈り時期を逃れる事と、農家の方も可愛らしい風情を好み、残しておく事が多いのが原因のようです。

 よく似た種に、花が大型で花冠全体に筋模様があるオオマツバウンラン(大松葉海蘭)Nuttallanthus texanus (Scheele) D.A.Sutton があります。 

1)束生(そくせい):茎や花茎等が根ぎわから束になって付いていること、株立ちしていること(ascicled)
2)和田洋、西岡洋、熊谷哲「マツバウンランの重金属耐性について」第14回環境化学討論会 P240 (2005)

Japanese common name : Matuba-unran
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Nuttallanthus canadensis (L.) D.A.Sutton
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左:葉は多肉質で互生し、茎は束生する。

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右:果実と種子


マツバウンラン(松葉海蘭)
オオバコ科マツバウンラン属
学名:Nuttallanthus canadensis (L.) D.A.Sutton
synonym : Linaria canadensis (L.) Dum.Cours.
花期:5月~6月 1~2年草 草丈:20~60cm 花冠長:7~10mm

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【学名解説】
Nuttallanthus : Nuttall*氏の+anthus(花)/マツバウンラン属
*Thomas Nuttall (1786-1859) /英国生まれで米国で活動した植物・動物学者
canadensis : カナダ(Canada)の
L. : Carl von Linne (1707-1778)
D.A.Sutton : David Andrew Sutton (1952-)
---
Linaria : linon(糸|アマ=亜麻)に似る事に由来の古名/ウンラン属
Dum.Cours. : George(s) Louis Marie Dumont de Courset (1746-1824)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から2.75km 右岸土手 2006.04.28
安倍川/河口から6.50km 左岸土手 2016.04.26, 2016.05.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

01 May 2006, 02 April 2016
Last modified: 27 April 2016
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by pianix | 2006-05-01 00:00 | | Trackback(3) | Comments(9)
フラサバソウ(フラサバ草)
 趣味の時間を確保するのは大変です。幾つかの趣味を持っていますが、現在は野草観察に時間を費やしています。やらなければならない事が幾つもあるのに、天候が良いと出かけてしまいます。最近、卒園式の編曲を頼まれていたので外出を控えました。野草観察の時間を使わざるを得なかったからです。できあがって気持ちが軽くなったところで出かけました。そこで見つけたフラサバソウ。安倍川河川敷では見た事がなかったし、咲いていないと思いこんでいました。今日は、その群生に出会って驚きました。

 フラサバソウ(フラサバ草)は、ヨーロッパ及びアフリカを原産とするオオバコ科の越年草です。越年草とは、発芽後に年を越してから開花するものです。フラサバソウは11月頃に芽生えます。本州から九州にかけて分布しています。日本では明治初年に長崎で確認されました。実際は、それ以前から存在していた帰化植物です。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. (1753))は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 一風変わった和名は、フランスの植物学者である、フランシエ氏(Adrien Rene Franchet, 1834-1900)と、サバチエ氏(Paul Amedee Ludovic Savatier, 1830-1891)の名前を組み合わせたものです。だから、Fra-Sava草との意味になります。学名の命名者にFranch. et Sav.と記載されている植物が多くありますが、このお馴染みのお二人の事です。それにしても、カスマグサ(カス間草)と良い勝負の変な名前です。

 フラサバソウは、オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)と同じクワガタソウ属で、大変よく似ています。クガイソウ属(Veronicastrum Heister ex Fabricius, 1759)という似た属名がありますが、果実が扁平形であるのがクワガタソウ属です。多くは群生します。茎は基部で枝分かれし、地を這い、立ち上がって高さ10~20cmとなります。葉は互生し、3~5の切れ込みがある広楕円形をしています。全体的に軟毛が多く、特に萼片に顕著です。この毛深さが特徴です。花色は薄青色で、4~5mmの小さな合弁花を葉腋に咲かせます。繁殖は種子によります。染色体数は、2n=54。

参考:オオカワヂシャ(大川萵苣) カワヂシャ(川萵苣)

Japanese common name : Furasaba-sou
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Veronica hederaefolia L.
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軟毛が多い


フラサバソウ(フラサバ草)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica hederaefolia L.
花期:4月~5月 越年草 草丈:10~20cm 花径:4~5mm

【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
hederaefolia : hedera(キヅタ属)+efolia(のような葉の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.75km 右岸河川敷 2006.02.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

17 February 2006, 02 April 2012, 24 September 2015
Last modified: 8 July 2016
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by pianix | 2006-02-17 00:00 | | Trackback | Comments(4)
オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)
 オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)は、オオバコ科クワガタソウ属の越年草です。ヨーロッパ原産で、アジア・南北アメリカ・オセアニア・アフリカ等に広く分布します。日本では全国で野生化している外来種です。1887年に東京で確認され、大正時代初期に全国に拡大しました。史前帰化植物の在来種、イヌノフグリ(犬の陰嚢)を駆逐しています。名の由来は実の形が、雄犬の陰嚢に似ているイヌノフグリより大型、という意味からです。犬であろうと何であろうと、ちょっと困った名前であるので、別名が多く存在しています。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss.(1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. 1753)は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 茎は長さ30cm程で、分枝して地を這います。葉は卵円形で鋸歯があり、茎の下部で対生し、上部で互生します。花期は、2月から5月頃。立ち上がった茎の葉腋に花柄を出し、瑠璃色の花を付けます。花冠は4裂していますが花弁が基部で合着する合弁花です。両性花で、雄しべは2本。一日花で、花冠は簡単に剥離します。温暖な地では秋にも咲きます。果実は倒心形の蒴果で、長さ2mm以下の種子が8個程入っています。1株あたり300個以上の種子があり、風などで散布されます。扁平形であるのはクワガタソウ属の特徴です。染色体数は、2n=28。

 類似種として、桃色の花を付けるイヌノフグリ(Veronica didyma Tenore var. lilacina (Hara) T.Yamaz.)の他、青紫色の花で茎が立ち上がるタチイヌノフグリ(Veronica arvensis Linn.)、毛が多く淡青紫色のフラサバソウ(Veronica hederaefolia L.)があります。

オオイヌノフグリ・他の写真
参考:オオカワヂシャ(大川萵苣) カワヂシャ(川萵苣)

Japanese common name : Oo-inuno-fuguri
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Veronica persica Poir.
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大犬の陰嚢=フグリに似ている果実


オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica persica Poir.
花期:2月~5月 越年草 草丈:10~25cm 花径:8~10mm

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【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
persica : persicus(ペルシャの)
Poir. : Jean Louis Marie Poiret (1755-1834)

撮影地:静岡県静岡市
葵区羽鳥「洞慶院」 2006.01.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 January 2006
Last modified: 24 September 2015
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by pianix | 2006-01-24 00:00 | | Trackback(1) | Comments(6)
オオカワヂシャ(大川萵苣)
 オオカワヂシャ(大川萵苣)は、オオバコ科クワガタソウ属の多年草です。ヨーロッパからアジア北部が原産と言われています。1867(慶応3)年に神奈川県相模で定着が確認され、関東以西に分布域を広げ、現在ではかなりの地域に侵入拡大しています。チシャ(萵苣)はレタスの別名で、球状のレタスはタマヂシャ(玉萵苣)と呼ばれます。オオカワヂシャの名は、川辺に生える大きな萵苣、との意味です。名前は似ていますが、チシャはキク科アキノノゲシ属で、オオカワヂシャはオオバコ科クワガタソウ属であり、科属が異なります。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. (1753))は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 日当たりの良い水辺や湿地に自生します。横に広げた根茎で栄養繁殖します。草丈は、20~100cm。葉や茎の色は濃い緑色で無毛。葉は対生します。無柄。基部が心臓形で茎を抱きます。長楕円形から披針形で、艶があり、僅かな鋸歯があります。花期は、4月から10月頃。葉腋から穂状花序を出します。花柄を湾曲しながら斜上させ、紫色の筋模様を持った淡紫色の花を多数付けます。花は4深裂して径約5mm。オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)と、そっくりな花です。果実は蒴果です。球形で約2mmの残存花柱があります。種子は、約0.5mmの楕円形。染色体数は、2n=36。

 葉と茎の色が黄緑色である在来種のカワヂシャ(川萵苣)は、今や準絶滅危惧種です。帰化種であるオオカワヂシャが競合し、脅かし、駆逐しているのです。やっかいな事に、オオカワヂシャとカワヂシャの交雑種にホナガカワヂシャ(穂長川萵苣)があり、在来種の生態系を乱す遺伝的攪乱という問題を引き起こしています。

 オオカワヂシャ(大川萵苣)は外来種であり、「外来生物法」で特定外来生物に指定されています。飼育、栽培、保管及び運搬、輸入が原則禁止、野外へ放つ、植える及びまくこと、譲渡し、引渡しなどをすることが禁止され、違反者には懲役あるいは罰金が科せられます

参考:オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)フラサバソウ(フラサバ草)

Japanese common name : Oo-kawa-disya
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Veronica anagallis-aquatica L.

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オオカワヂシャ(大川萵苣)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica anagallis-aquatica L.
花期:4月~10月 多年草 草丈:20~100cm 花径:6~7mm

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【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
anagallis-aquatica : anagallis-aquaticus(水中の、ルリハコベ属Anagallisに似た)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川 2005.11.29
安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2007.04.06
安倍川/河口から10.25km 左岸河川敷 2007.04.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

4 December 2005, 15 December 2014, 24 September 2015
Last modified: 19 November 2016
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by pianix | 2005-12-04 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(2)