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ニホンカモシカ(日本氈鹿)2
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 毎日のように散歩に出かけている里山があります。朝、登り口付近でカモシカが横になっていました。邪魔なので「起きなさい、起きなさ~い」と手を打ちながら呼びかけました。

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       登り口手前                休んでいるカモシカによく出会う場所

 この山にいるカモシカは性格がおとなしく、出会う事も多いので慣れ親しんでいます。大きな岩陰に休んでいる事があり、出会う時は至近距離です。お互いが驚いてしまいます。登ってくる人間に気付かないなんて、野生動物なのに大丈夫かなと心配してしまいます。

 若いカモシカは好奇心が旺盛のようで、鈴の音に興味を持ったのか駆寄ってくる事があります。音の出所を確認すると、「なんだ、おっさんか」と言う感じで逃去ってしまいます。他の山で出会ったカモシカは、道の真ん中で「キュイーン」と数回鳴いて威嚇してきました。威嚇されたのはもちろん、鳴声を聞いたのも初めてでした。野性的でよろしいとか言いながら進むと逃げてくれます。やはり、いつもの山で出会うカモシカは、写真も撮らせてくれるサービス精神の持主で、温和でリラックスしているので親しみが湧きます。

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 ある日の事。下山途中の山道に座っているカモシカがいました。人が通る道に座っているカモシカを見たのは初めてでした。「どうしたんだ~」と呼びかけると、ゆっくりと起上がり「今日は遊んであげられないよ」と言うような寂しい目でこちらを見ました。一体何があったんだと近寄ると、ゆっくりと林の方向へ歩き始めました。耳から血を流しています。脚を引きずっています。大怪我をしている様子です。大丈夫なのかと心配になり、姿を消すまで見守りました。

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よたよたと元気なく起き上がろうとする
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左耳から血を流して、隣尾根の林に戻っていくカモシカ

 下山してから農家の方にこの話をしたら、「罠にかかったか、イノシシ狩の猟犬に襲われたのかもしれない」と言われました。私はイノシシと闘ったのではないかと思っていましたから、意外でした。もしくは縄張り争いに負けたのかもしれませんが、それは不明です。

 野生動物の生活は過酷です。怪我をしても病院がありません。僅かな怪我でも命に関わる場合があります。嵐の日は耐えるのみです。それにくらべて人間は恵まれています。しかし恵まれているがゆえに野生の強さは無いかもしれません。

◆  ◆  ◆

 何度も「起きなさい、起きなさ~い」と手を打ちながら呼びかけても、カモシカは起きてくれません。その内にハエが飛んできてカモシカの鼻に止りました。その時ようやく事の意味が分りました。……死んじゃったんだ。

 このカモシカは専門家の手によって処理されました。病気だったようです。私が出会った時はまだ温かでした。頭を登り口に向けていたので山へ帰ろうとしていたのでしょうか。つい最近まで元気よく山の中を駆け巡っていた若いカモシカでした。

 温和なカモシカは健在でした。登ってくる人達を今日もじっと眺めています。
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ニホンカモシカ(日本氈鹿)については、こちら

ニホンカモシカは文化財保護法による天然記念物に指定されているため、他の動物のように土地所有者が処理する事はできません。特殊な状況を除き、通常は死骸を静置(現状維持)したまま、当該市町村教育委員会へ連絡して下さい。

ニホンカモシカ(日本氈鹿)
通称:カモシカ(氈鹿)
ウシ目(偶蹄目)ウシ科ヤギ亜科カモシカ属
学名:Capricornis crispus (Temminck, 1845)

体長(頭胴長)約130cm/尾長約10cm/高さ約75cm/体重30~40kg
出産期:5~6月 寿命:5~15年 草食
染色体数:2n=50

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撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2012.09.20, 2014.03.15, 2014.04.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 28 June 2014
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by pianix | 2014-06-21 00:00 | 動物 | Trackback | Comments(0)
ニホンカモシカ(日本氈鹿)
 ニホンカモシカ(日本氈鹿)は、ウシ科カモシカ属の動物(哺乳類)です。普通、カモシカと呼ばれています。1934に特別天然記念物(史蹟名勝天然記念物保存法)、1955年に特別天然記念物(文化財保護法)に指定されました。日本固有種であり、本州(兵庫県より西では絶滅)、四国、九州に分布します。名の由来は諸説あり、獣毛で織った敷物の「氈」に使用する鹿、等があります。

 ウシ科(Bovidae Gray, 1821)は世界に8属、カモシカ属(Capricornis Ogilby, 1837)は北半球に3種1)が分布します。

 牛の仲間で、蹄が2つあります(偶蹄目=ウシ目)。ヤギに近いと言われています。漢字で羚羊(れいよう)と記される場合がありますが、異なった仲間です。体型からすると動きが鈍そうですが、強い足を持って斜面の岩場では俊敏に移動します。雄雌とも10cm程の角(洞角・どうかく/Horn・ホーン)があります。頭骨から伸びていて生え替わる事はありません。基部に年輪状の節があり、後ろに湾曲しています。

 目の下にあるコブ状の物は眼下腺(suborbital gland)で、分泌液を出して臭い付けに使われます。体色は灰褐色で濃淡があり、低山に生息するものほど濃いと言われています。5~6月に出産期を迎えます。4乳頭は牛と同じ。冬眠はせず、ほぼ単体で過ごします。歯は32本、胃は4あり、草などを食べて反芻します。糞は楕円形。遭遇した場合は距離を置いて騒ぎ立てなければ人を襲う事はなく、しばらくして離れていきます。染色体数は、2n=50。

★  ★  ★

 私にとってカモシカは、よく山で遭遇する動物です。しばらく前までは、ある程度の標高で見られました。出会うとラッキーと思う人が多いようです。やがて900m、700、500mと低い山でも出会うようになり、最近は里山にも現れるようになりました。今回の個体が一番低い標高で私が確認した野生のカモシカです。

 この時の出会いは、距離2m程で、お互いが驚き、カモシカは飛び跳ねて10m程離れ、様子を伺い始めました。何回か出会っていると逃げた後、こちらにあまり興味を示さず、くつろいだ動作を始めます。近寄って撮影したいのですが場所は急斜面、近付きすぎて刺激させるのを避けるためにも、一定の距離を保つようにしています。

1) カモシカ属(Capricornis)の3種
スマトラカモシカ(シーロー) : Capricornis sumatraensis (Bechstein, 1799)
タイワンカモシカ : Capricornis swinhoei (Gray, 1862)
ニホンカモシカ : Capricornis crispus (Temminck, 1845)

【参考文献】
改訂レッドリスト付属説明資料(環境省自然環境局野生生物課・平成22年3月)
日本産ほ乳類の最近の分類体系(Mammalian Science 46(2), 181-191, 2006-12-30)
永田純子. "日本産偶蹄類の遺伝学的知見とブラキストン線について." 哺乳類科学= Mammalian Science 39.2 (1999): 343-350.

参考:ニホンカモシカ(日本氈鹿)2

Japanese common name : Nihon-kamosika
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Capricornis crispus (Temminck, 1845)
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ツノは後ろに湾曲する。目の下にある眼下腺は目のように見える事がある。
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「変なオッサンがフラフラと近付いてくるが、滑り落ちるのではないかと心配」
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「なんだ、いつものオッサンだったか」。後脚でポリポリ。
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「おいで~と呼んでいるオッサンは無視して木の根元にある草でも食べようか」


ニホンカモシカ(日本氈鹿)
通称:カモシカ(氈鹿)
ウシ目(偶蹄目)ウシ科ヤギ亜科カモシカ属
学名:Capricornis crispus (Temminck, 1845)

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体長(頭胴長)約130cm/尾長約10cm/高さ約75cm/体重30~40kg
出産期:5~6月 寿命:5~15年 草食
染色体数:2n=50

撮影地:静岡県静岡市
葵区の低山(イチョウ植林) 2012.01.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

12 February 2012
Last modified: 03 January 2015
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by pianix | 2012-02-12 00:00 | 動物 | Trackback | Comments(0)