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ヤグルマギク(矢車菊)
 ヤグルマギク(矢車菊)は、キク科ヤグルマギク属の1年草(越年草)です。ヨーロッパ東南部から西アジアが原産です。日本には明治初期から中期に渡来したと言われていますが、詳細は不明です。名の由来は、花の切れ込み形状を矢車に見立てたもの。このヤグルマギクは、古代エジプト第18王朝のファラオであるツタンカーメン(Tut-ankh-amen, BC.1342-1324ca.)の墳墓前室に置かれていた事でも知られています。矢車を冠した名には、ユキノシタ科のヤグルマソウ(矢車草)があり、こちらは葉を例えています。英名は、Cornflower。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。ヤグルマギク属(Cyanus)、旧ケンタウレア属(Centaurea L. (1753))は、地中海と中東に約450~600種が分布します。

 茎は下部で分枝し、綿毛が密生します。葉は互生し、柄は無く、長さ5~10cm。茎葉の下部は倒卵形の浅裂した羽状で、上部は長い線形です。花期は4月~6月。茎頂に3~5cmの頭花を単生します。筒状花で構成されています。周辺の長い筒状花は雌性で中心部の短い筒状花は両性です。総苞は1~2cmの壷形で、総苞片には鋸歯があります。基本種の花色は種小名cyanusに採用されている藍色(濃青紫色)です。他に、園芸種として透明感がある白・赤・桃等があります。果実は痩果です。白い冠毛があります。本種は、蜜源植物・染料物質・青インク原料・薬用植物(利尿・胆汁排出剤)として用いられてきました。染色体数は、2n=24。

 ヤグルマギクの花色である青色については、90年の長期に渡って研究がされてきました。1913年にドイツの化学者がヤグルマギクの青色素がアントシアニン(anthocyanin)である事を明らかにし、それによって1915年にはpH説が提唱されました。また、補助色素が関与するという1932年のコピグメント(copigment)説、1970年代以降には分子会合説が唱えられました。これに対して1919年、日本の植物生理学者の柴田桂太博士が金属錯体説を提唱しました。この証明は2005年、東京学芸大の武田幸作名誉教授、九州大学理学部の塩野正明博士、KEK放射光科学研究施設の松垣直宏博士らによって成功しました。ヤグルマギクの色素1)は、単独では赤いシアニジン(cyanidin)型アントシアニンに、鉄・マグネシウム・カルシウムの3種類の金属イオンと、フラボン(flavon)と呼ばれる有機物が結合した複雑な構造である事が解明されました。

1)"Structure of the blue cornflower pigment. Packaging red-rose anthocyanin as part of a 'superpigment' in another flower turns it brilliant blue."Vol. 436 P. 791 August 11, 2005

Japanese common name : Yaguruma-giku
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Cyanus segetum Hill

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左:壷形の総苞  右:綿毛が密生する茎と葉

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白花。赤や桃色などがある。


ヤグルマギク(矢車菊)
キク科ヤグルマギク属
学名:Cyanus segetum Hill
synonym : Centaurea cyanus L.
花期:4月~6月 1年草(越年草) 草丈:30~70cm 花径:3~5cm

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【学名解説】
cyanus : 藍色の/ヤグルマギク属
segetum : 畑の
Hill : John Hill (1716-1775)
---
Centaurea : 古植物名centaurie|ギリシャ神話の怪物Centaur/ヤグルマギク属
cyanus : 藍色の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
葵区賎機(植栽) 2006.05.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

7 June 2006, 11 August 2012
Last modified: 29 August 2016
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by pianix | 2006-06-07 00:00 | | Trackback | Comments(0)
チョウセンアザミ(朝鮮薊)
 チョウセンアザミ(朝鮮薊)は、キク科チョウセンアザミ属の多年草です。地中海沿岸が原産で、日本へは江戸時代の1868(慶応4)年にオランダから渡来したと言われています。名の由来は、不明です。「チョウセン」は外国産を表す程度の意味合いで、朝鮮とは関係ありません。中国では洋薊(yangji)ですから、ヨーロッパのアザミである事がよく分かります。英名は、アーティチョーク(Artichoke)、あるいはglobe artichoke。Artichokeは、語源がアラビア語のアル・カチェフ(al-kharshuf)で、大きなアザミの意味。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味。保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。チョウセンアザミ属(Scolymus L. (1753))は、地中海沿岸を中心に約8種類あります。

 原種は、野生種で棘が多いカルドン(Cardoon)=Cynara cardunculus L.と言われています。茎は太く、叢生し、草丈は150~200cmになります。葉はやや硬質で、長さ50~80cmで羽状に深裂し、葉裏は白い綿毛が密生します。棘は、ほとんどありません。小葉の先端は棘状になります。

 花期は6月から9月頃。茎の先に径8~15cmの頭状花を付けます。管状花の集合体で、淡紫色です。総苞片は棘になります。学名のCynaraは、この状態を犬の歯に見立てたものです。ヨーロッパでは、蕾の内に摘んだ総苞片の肉質部や花托を茹でて食用とします。葉にはサポニンやセスキテルペン配糖体が含まれ、薬草として利尿・強壮・食欲増進に用いられます。冬はロゼットで越冬します。繁殖は主に株分けで行います。

 ※「加藤ローサのスローライフ・トラベラー(DVD)」Sony Musicで、このアーティチョークが登場しました。私の弟が撮影したものですが、もっぱらどのような味だったのかに興味津々でした。

Japanese common name : Artichoke
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Cynara scolymus L.

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茎と葉
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チョウセンアザミ(朝鮮薊)
和名:アーティチョーク(Artichoke)
キク科チョウセンアザミ属
学名:Cynara scolymus L.
花期:6月~9月 多年草 草丈:150~200cm 花径:8~15cm

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【学名解説】
Cynara : cyno(犬)/チョウセンアザミ属
scolymus : 古い属名|刺の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
葵区賎機(植栽) 2006.07.03
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

22 July 2006
Last modified: 6 June 2014
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by pianix | 2006-06-06 00:00 | | Trackback | Comments(0)
セイヨウノコギリソウ(西洋鋸草)
 セイヨウノコギリソウ(西洋鋸草)は、キク科ノコギリソウ属の多年草です。ヨーロッパ原産で、アメリカやオーストラリアに帰化しています。日本へは1900年(明治20年)に園芸用として渡来しました。逸出して野生化し、全国に分布しています。名の由来は、葉の縁が鋸状になっている事から。学名の属名は、トロイ戦争の英雄アキレス(Achilles)が傷の治療に用いた事に因むと言われています。英名は、Yarrow。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。Compositae Giseke, 1792は保留名。ノコギリソウ属(Achillea L. (1753))は、北半球の温帯から寒帯にかけて約85種類が分布します。

 地下茎があり、走出枝を出して群生する傾向にあります。葉は互生し、長さ6~9cm、幅1cm程で軟毛があります。根生葉は長い葉柄があり、茎葉は無柄です。中央脈に達する深い切れ込みとなる2回~3回羽状深裂になり、各裂片は線形になります。葉の縁は細かな切れ込みになる細鋸歯があります。

 花期は5月から9月で、頭状花序を付けます。頭花は、茎から傘状に分岐して高さが一様になる散房花序(corymb)となり、多数付きます。頭花は径6~8mmの白色か淡紅色で、縁に雄花の舌状花が普通5枚、中央に両生花の筒状花が多数あり平開します。果実は痩果(achene)です。

 薬用ハーブとして古くから知られています。外傷の止血効果や発汗・健胃に全草が用いられます。類似種に、北海道から本州に分布するノコギリソウ(鋸草)Achillea alpina L.、舌状花が3mm以下のヤマノコギリソウ(山鋸草)Achillea alpina L. var. discoidea (Regel) Kitam.等があります。

Japanese common name : Seiyou-nokogiri-sou
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Achillea millefolium L.

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セイヨウノコギリソウ(西洋鋸草)
キク科ノコギリソウ属
学名:Achillea millefolium L.
花期:5月~9月 多年草 草丈:30~80cm 花径:6~8mm

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【学名解説】
Achillea : ギリシア神話の英雄アキレス(Achilles)に因む/ノコギリソウ属
millefolium : millefolius(多数の葉の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から10.25km 左岸土手 2006.05.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 1 June 2006
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by pianix | 2006-06-01 00:00 | | Trackback | Comments(2)
チチコグサ(父子草)
 チチコグサ(父子草)は、キク科チチコグサ属の多年草です。日本、中国、韓国、台湾に分布します。日本全国に分布する在来種です。名の由来は、在来種のハハコグサ(母子草)と対比させ、褐色の花に華やかさが無く地味との意味で付けられたと言われています。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味。保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。ハハコグサ属(Gnaphalium L. (1753))は世界で約120種が分布し、日本には数種が自生します。近年にハハコグサ属からチチコグサ属(Euchiton Cassini, 1828)に分離独立されました。

 根は匐枝を横に出し、群生します。根出葉は束生し、葉裏に綿毛が密生する長さ2.5~10cm、幅4~7mmの線状倒披針形です。茎は細く、白色の綿毛を密生します。茎葉は少数が互生し、長さ20~25mm、幅2~4mmの線状。全縁で鋭頭です。両面に毛がありますが、表側はまばらです。草丈は8~25cmになります。

 花期は5月から10月頃。茎頂に頭状花を付けます。茶褐色の頭花は総苞の集合体です。総苞は鐘形で10以上あり、総苞の回りには総苞片があります。合弁花である両性花です。果実は痩果で3mm程の冠毛があり、風によって伝搬されます。繁殖は種子と地下茎によります。染色体数は、2n=28。

 種小名にjaponicusとあります。日本産という意味のラテン語です。ラテン語の場合、名詞には性(gender)があります。男性(masculine)、女性(feminine)、中性(neuter)の3性名詞です。これを「日本」に当てはめると、女性名詞はjaponica(ヤポーニカ)、男性名詞はjaponicus(ヤポーニクス)、中性名詞はjaponicum(ヤポーニクム)となります。チチコグサ属(Euchiton)は男性名詞なので種小名はjaponicusと男性名詞、ハハコグサ属のGnaphaliumという名詞は中性名詞なので、種小名も中性名詞となっています。これは属名と種小名の性の一致という学名規則によっています。このような規則を持った学名でも、中には怪しいものが見受けられます。

 類似種に、チチコグサモドキ(父子草擬)、ウラジロチチコグサ(裏白父子草)があります。

Japanese common name : Titi-ko-gusa
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Gnaphalium japonicum Thunb.
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チチコグサ(父子草)
キク科チチコグサ属
学名:Euchiton japonicus (Thunb.) Anderb.
synonym : Gnaphalium japonicum Thunb.
花期:5月~10月 多年草 草丈:8~25cm 総苞:4~5mm

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【学名解説】
Euchiton : eu(良)+chiton(衣服)/チチコグサ属
japonicus : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Anderb. : Arne A. Anderberg (1954 - )
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
---
Gnaphalium : gnaphallon(一握りの尨毛=獣の毛)|フェルトに由来/ハハコグサ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.05.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 May 2006
Last modified: 31 December 2014
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by pianix | 2006-05-25 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ウラジロチチコグサ(裏白父子草)
 ウラジロチチコグサ(裏白父子草)は、キク科ウスベニチチコグサ属の多年草です。南アメリカ原産の帰化植物で、北アメリカ、オーストラリア、ユーラシア、アフリカなど世界中に帰化しています。日本では1970年に帰化が確認されました。日本各地に分布します。名の由来は、在来種のチチコグサ(父子草)に似ていて葉裏が白い事によります。英名は、Shiny cudweed、Spiked cudweed。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化種は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。Compositae Giseke, 1792は保留名。APG体系では、ウスベニチチコグサ属(Gamochaeta Weddell, 1856)としてハハコグサ属から独立させています。エングラー体系では、ハハコグサ属(Gnaphalium L. (1753))で、世界で約120種が分布し、日本には数種が自生します。

 冬はロゼットを形成して過ごします。幅が広い長楕円形をしています。茎は、地を這い走出枝(runner)を伸ばして増殖し、成長と共に立ち上がってきます。白い綿毛に被われています。在来種のチチコグサよりも大型になります。葉は、縁が波打ち鈍頭、表側は無毛で鮮緑色、葉裏は綿毛を密生させて白くなります。茎の上部に頭花を穂状に付けます。両性花です。総苞は先端が細くなります。総苞片は、成長と共に赤紫色から褐色に変化していきます。花後の頭花は壺型になります。果実は痩果です。染色体数は、2n=38。

 類似種に、花が淡紅紫色になるウスベニチチコグサ(薄紅父子草)Gamochaeta purpurea (L.) Cabrera があります。葉裏が白くなるのでウラジロチチコグサと混同する場合があります。チチコグサモドキ(父子草擬)Gamochaeta pensylvanica (Willd.) Cabrera は、葉裏が白くなりません。

Japanese common name : Urajiro-titiko-gusa
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Gamochaeta coarctata (Willd.) Kerguélen

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左:茎の上部に頭花を穂状に付ける。蕾は紅紫色。  右:葉裏は白色。


ウラジロチチコグサ(裏白父子草)
キク科ウスベニチチコグサ属
学名:Gamochaeta coarctata (Willd.) Kerguélen
synonym : Gnaphalium spicatum L.
花期:6月~8月 多年草 草丈:20~25cm 総苞径:6~7mm

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【学名解説】
Gamochaeta : gamos(結婚)?+chaeta(ひげ、長い毛)/ウスベニチチコグサ属
coarctata : coarctatus(密集した)
Willd. : Carl Ludwig von Willdenow (1765-1812)
Kerguélen : Michel Francois-Jacques Kerguélen (1928-)
---
Gnaphalium : gnaphallon(一握りの尨毛=獣の毛)|フェルトに由来/ハハコグサ属
spicatum : spicatus(穂状花ある・穂状をなした)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.05.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

17 May 2006
Last modified: 11 June 2014
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by pianix | 2006-05-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ニガナ(苦菜)
 ニガナ(苦菜)は、キク科ニガナ属の多年草です。中国、韓国、日本に分布し、日本国内全域で自生分布する在来種です。名の由来は、茎や葉に含まれる乳液が苦い事によります。山菜として利用され、副鼻腔炎や胃炎の民間療法にも使われます。英名は、Korean lettuce。ニガナの名が付くものは多いので判別には若干の注意が必要です。 

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。ニガナ属(Ixeridium (A. Gray) Tzvelev, in V.L. Komarov, 1964)は、東アジアに約20種が分布し、日本には約10種が分布します。

 長い葉柄を持つ根生葉があり、3~10cmの広披針形から倒卵状長楕円形です。全縁か、羽状に深く裂けます。茎の断面は、四角形状。茎に付く葉は4~5cmの長楕円形で、柄はなく基部で茎を抱きます。総苞片は細い円筒形で、総苞外片は短い鱗片状です。

 花期は5月から7月頃。花茎を分散させ、頭花を集散状に付けます。花弁に見えるのは、小花である黄色の舌状花です。それが集まった径15mm程の集合花で、舌状花は通常5個あります。先端に4つ程の切れ込みがあります。舌状花が7~11枚のものはハナニガナ(花苦菜)と呼ばれます。

 雄しべは5本がまとまって筒になる集約雄ずいです。無性生殖で種子を作ります。無融合生殖1)で、複相胞子生殖2)を行います。果実は紡錘形の痩果で、長さは3~3.5mm。白色の冠毛を付けます。風によって散布されます。染色体数は、2n=21,28。

1)無融合生殖(apomixis):
 受精を行わずに配偶体から新しい胞子体ができる生殖法
2)複相胞子生殖(diplospory, aneuspory):
 配偶体無融合生殖(gametophytic apomixis)の内の一つで、胚珠内の倍数性の大胞子からそのまま胚嚢がつくられるもの。

Japanese common name : Nigana
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Ixeridium dentatum (Thunb.) Tzvelev subsp. dentatum


ニガナ(苦菜)
キク科ニガナ属
学名:Ixeridium dentatum (Thunb.) Tzvelev subsp. dentatum
synonym : Ixeris dentata (Thunb.) Nakai
花期:5月~7月 多年草 草丈:20~40cm 花径:15mm

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【学名解説】
Ixeridium : Ixeris(語源不明)+eidos(構造)/ニガナ属
dentatum : dentatus(歯状の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Tzvelev : Nikolai Nikolaievich Tzvelev (1925- )
subsp. : subspecies(亜種)
---
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
synonym(シノニム) : 同意語、異名。

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.05.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 10 May 2006
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by pianix | 2006-05-10 00:00 | | Trackback | Comments(0)
チチコグサモドキ(父子草擬)
 チチコグサモドキは、キク科ウスベニチチコグサ属の1年草です。北アメリカ原産で、暖帯から温帯にかけた南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニアに分布します。日本には大正時代に渡来したと言われる帰化植物で、1916年(大正4)に報告があり、非意図的移入とされています。全国に分布します。

 名の由来は、在来種のチチコグサ(父子草)に似たとの意味から。変異が多く、学名や和名は諸説あります。英名は、Wandering cudweed、あるいはManystem cudweed。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化種は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。Compositae Giseke, 1792は保留名。エングラー体系では、ハハコグサ属(Gnaphalium L. (1753))で、世界で約120種が分布し、日本には数種が自生します。APG体系では、ウスベニチチコグサ属(Gamochaeta Weddell, 1856)として独立させています。

 根生葉があり、ロゼットを形成します。茎には白い綿毛があり、10~30cm程になります。葉は3~7cmのへら形で、表裏面ともに綿毛に被われていますが、裏面のほうがより白味がかって見えます。縁が波打つのが特徴です。チチコグサの場合は細長い線形です。

 花期は4月から9月頃。茎の上部の葉腋に3~5mm程の頭花をつけます。総苞は先端で細り、白い綿毛で被われた総苞外片があります。花は褐色の筒状花(合弁花)です。褐色茎の成長と共に頭花は散在します。種子は痩果で、白い冠毛があり、主に風により伝播します。気温が下がる秋に発芽します。染色体数は、2n=28。

 近似種に、葉の裏が白いウラジロチチコグサ(裏白父子草)、花色が淡紅紫色のウスベニチチコグサ(薄紅父子草)等があり野生化しています。

Japanese common name : Titikogusa-modoki
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Gamochaeta pensylvanica (Willd.) Cabrera


チチコグサモドキ(父子草擬)
キク科ウスベニチチコグサ属
学名:Gamochaeta pensylvanica (Willd.) Cabrera
synonym : Gnaphalium pensylvanicum Willd.
花期:4月~9月 1年草 草丈:10~30cm 花径:3~5mm

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【学名解説】
Gamochaeta : gamos(結婚)?+chaeta(ひげ、長い毛)/ウスベニチチコグサ属
pensylvanica : 米国ペンシルバニア(Pennsylvania)の
Willd. : Carl Ludwig von Willdenow (1765-1812)
Cabrera : Angel Lulio Cabrera (1908-1999)
---
synonym : (シノニム) 同意語、異名
Gnaphalium : gnaphallon(一握りの尨毛=獣の毛)|フェルトに由来/ハハコグサ属
pensylvanicum : 米国ペンシルバニア(Pennsylvania)の

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷 2006.05.01
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 6 May 2006
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by pianix | 2006-05-06 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ハルジオン(春紫菀)
 ハルジオン(春紫菀)は、キク科ムカシヨモギ属の多年草です。北アメリカ原産で、日本の他、東アジアに分布します。1920年頃に園芸用途で渡来しました。その後の1950年代以降に逸出し、関東を中心に野生化し、勢力を拡大した帰化植物です。現在は全国に分布します。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。名の由来は、在来種で秋咲き種のシオン(紫菀)に似ていて春に咲く事から。同じく在来種のヒメシオン〈姫紫菀〉があるので、区別の為「ジオン」とされています。似ている花にヒメジョオン(姫女菀)Stenactis annuus (L.) Cass.がありますが、ヒメジョオン属で、属が異なります。これらが混同して紛らわしい呼び方が増えています。英名は、Phyladelphia fleabane。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。Compositae Giseke, 1792は保留名。ムカシヨモギ属(Erigeron L. (1753))は世界で約250種あります。

 根が横に広がり、不定芽1)から発芽して繁茂します。花期にも根生葉が残ります。長楕円形またはヘラ形で翼のある葉柄があります。茎葉は無柄で、根生葉と同様に茎を抱きます。茎は灰白色の軟毛で覆われ直立します。これがムカシヨモギ属の学名(Erigeron=eri(早い)+geron(老人))の所以(ゆえん)です。茎の中身は中空で、ヒメジョオンのように髄がありません。従って、茎を切れば区別がつきます。感触に慣れれば、茎を押すだけで分かるようになります。中空の為、成長は極早く、草丈は30~80cm程になります。

 花期は4月から6月頃。蕾は淡紅紫色で、うな垂れ、開花時に上向きになります。頭花の直径は2~2.5cmで、中央の黄色い管状花と、周囲を取り巻く糸状になった舌状花の集合花です。これはキク科に多い特徴です。花色は個体によって淡紅紫色から白色までの濃淡があります。

 繁殖は根茎と種子によって行われます。虫媒花です。花粉は最大値で19.5×20μm程です。人によっては花粉症の原因ともなります。果実は痩果で、風・雨・動物・人間により散布されます。他の植物を排除するアレロパシー作用2)があります。この作用と、根からの繁殖が強い事と合わせて、農業では強雑草とされています。ロゼット3)で越冬します。染色体数は、2n=18。

1)不定芽(ふていが):
 側芽の生ずる箇所(定芽)以外の予期しない部分に生ずる芽(Adventitious bud)
2)アレロパシー(Allelopathy)作用:
 植物が放出する天然の化学物質(生理活性物質)が他の生物に、阻害的あるいは促進的(共栄的)な作用を及ぼすこと
3)ロゼット(Rosette):
 バラの花の形の事。「ロゼット葉」は地面に葉が広がり立ち上がらない状態を指す

Japanese common name : Haru-zion
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Erigeron philadelphicus L.
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花色は個体によって淡紅紫色から白色までの濃淡がある

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左:茎は中空。茎葉は無柄で茎を抱く。 右:根生葉


ハルジオン(春紫菀)
キク科ムカシヨモギ属
学名:Erigeron philadelphicus L.
花期:4月~6月 多年草 草丈:30~80cm 花径:2~2.5cm

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【学名解説】
Erigeron : eri(早い)+geron(老人)/ムカシヨモギ属
philadelphicus : 北米フィラデルフィアの
L. : Carl von Linne (1707-1778)

生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)
誤りやすい名前:ハルジョオン

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から7.50km 左岸河川敷 2006.04.25, 2006.04.28
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 April 2006
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by pianix | 2006-04-27 00:00 | | Trackback | Comments(3)
フキ(蕗)
 フキ(蕗)は、キク科フキ属の多年草です。日本を中心に、サハリン、朝鮮半島、中国に分布します。国内では本州から沖縄にかけて自生します。農作物として関東以西で多くが栽培されていて、愛知県と群馬県が産地として知られています。栽培作付面積は全国で700ha以上あります。北海道から東北北部に分布するのは、亜種のアキタブキ(秋田蕗)1)です。

 名前の由来は幾つかあります。古名のフフキ(布々岐)が、フユキ(冬葱)あるいはフユキ(冬黄)となり、それが転訛したもの説があります。淡い藍色を浅葱色と言い、冬の浅葱色した植物を指します。「拭き」が由来との説もあります。葉を拭く用途に使用した為です。本草和名(918年)ではカントウ(款冬)を、和名抄(932年)ではフキ(蕗)の漢字を充てています。蕗は路傍に生える草を表しています。中国では蜂斗菜(fēng dǒu yè)。英名は、Japanese Butterbur(日本蕗)。

  キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。Compositae Giseke, 1792は保留名。フキ属(Petasites P.Miller (1754))は、北半球に約20種が分布します。

 フキは、草本植物としては数少ない雄雌異株です。白い花を咲かせるのは雌株、花粉で黄白色の花は雄株です。雄株の花茎は10~25cm程になり、雄株花序は密散房状で径7~10mmの頭花を多数付けます。頭花は筒状花です。苞に包まれた若い花茎と蕾の部分をフキノトウ(蕗の薹)と言い山菜として食用にします。花茎を鎮咳、解毒、健胃薬として用いる事もあります。雌株は、花後に50cm程になります。

 野生種は有性繁殖をする2倍体(2n=58)で、種子を作り、綿毛をつけた種子を飛ばします。栽培種は3倍体(2n=3x=87)であるので種子を作りません。品種改良は進んでいません。地下茎を伸ばし繁殖する栄養繁殖を行います。花後に地下茎から長い中空の葉柄がある腎円形の葉を出します。大きさは15~30cm程で、灰白色の綿毛があり、鋸歯があります。

☆  ☆  ☆

 ある季節になると特定の花が咲き出すと言うのは不思議ではありません。しかし、宇宙規模で見ると若干感覚が異なります。地球は秒速約30km(29.78km/s)で太陽の回りを公転しています。円周を考えると一日に凡そ1度移動する事になります。若干の楕円軌道であり、北半球の冬は太陽に一番近い距離に位置しています。近いのに冬とは意外な感じがされるかもしれませんが、地軸の傾きの影響によるものです。遠心力が強まり、公転速度が速まります。つまり、太陽と地球の位置関係が一定の所で花が咲くのです。これから古代の人たちは農作業の目安として暦を作り出しました。立春や啓蟄等の二十四節気は、この目安として使われています。

1)アキタブキ(秋田蕗)Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. subsp. giganteus (G.Nicholson) Kitam.

参考文献:栽培および野生フキの形態・生態ならびに細胞学的研究(第4報),染色体数について,今津正・藤下典之,園芸学会雑誌.第31巻第4号,p293-302

Japanese common name : Fuki
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Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim.

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フキノトウ(蕗の薹) 長い茎の先に一つ以上の蕾をつける


フキ(蕗)
キク科フキ属
学名:Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim.
花期:3月~5月 多年草 草丈:15~50cm 花径:7~10mm

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【学名解説】
Petasites : petasos(鍔広の帽子)/フキ属
japonicus : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
---
subsp. : subspecies(亜種)
giganteus : 巨大な
G.Nicholson : George Nicholson (1847-1908)
Kitam. : 北村四郎 Shiro Kitamura (1906-2002)

撮影地:静岡県静岡市
葵区西ヶ谷 2006.03.15
自宅 2017.02.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 March 2006
Last modified: 20 February 2017
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by pianix | 2006-04-06 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハハコグサ(母子草)
 ハハコグサ(母子草)は、キク科ハハコグサ属の越年草です。中国、日本、東南アジア、インドに分布し、国内では全国に分布する史前帰化植物の在来種です。古くは、オギョウあるいはゴギョウと呼ばれ、春の七草の一つになっています。七草粥や草餅に利用されたようですが、現在ではヨモギが使われます。ハハコグサはホホケグサが訛った名であるとの説があります。冠毛がほおけ立つ(穂穂ける=毛羽立つ)事に由来します。それからすると、母子草との字を充てるのは適切でないようです。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味。保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。ハハコグサ属(Pseudognaphalium M.E. Kirpicznikov, in M.E. Kirpicznikov et L.A. Kuprijanova, 1950)は、世界に120種程が分布しています。

 茎や葉には白い綿毛が密生しています。葉は互生し、へら形で、ロゼット葉は花期にはありません。頭花は黄色で、管状花と糸状小花で構成される総苞の集まりです。ロゼットで越冬します。ロゼットとは、葉が放射状に根際から出ているものの事です。その一枚毎を根出葉あるいは根生葉、ロゼット葉と言います。染色体数は、2n=14。

 近縁種に、アキノハハコグサ(秋の母子草)がありますが絶滅危惧IB類(EN)です。また、チチコグサ(父子草)は、チチコグサ属の在来種で、頭花は茶色です。外来種のチチコグサモドキ(父子草擬き)も多く見られます。葉の裏が白いウラジロチチコグサ(裏白父子草)、花色が淡紅紫色のウスベニチチコグサ(薄紅父子草)も外来種です。また、ヤマハハコ属には、よく似た名のカワラハハコ(河原母子)があります。

Japanese common name : Hahako-gusa
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Pseudognaphalium affine (D.Don) Anderb.
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2006.05.06


ハハコグサ(母子草)
別名:ホウコグサ/オギョウ(御形)/ゴギョウ(御形)
キク科ハハコグサ属
学名:Pseudognaphalium affine (D.Don) Anderb.
synonym : Gnaphalium affine D. Don.
花期:4月~6月 越年草 草丈:10~30cm 花径:3mm(総苞)

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【学名解説】
Pseudognaphalium : pseudos(偽)+Gnaphalium(一握りの尨毛=獣の毛)/ハハコグサ属
affine : affinis(似た)
D. Don : David Don (1799-1841)
Anderb. : Arne A.Anderberg (1954- )

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷 2006.03.19
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.03.19, 2006.05.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 28 March 2006
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by pianix | 2006-03-28 00:00 | | Trackback | Comments(0)