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ツルボ(蔓穂)
 ツルボ(蔓穂)は、キジカクシ科ツルボ属の多年草です。日本、中国、朝鮮半島に分布し、国内では全国に分布する在来種です。蔓でもないのに蔓穂という不思議な名前が付いています。「連穂」が訛ったのでしょうか。

 キジカクシ科(Asparagaceae Juss. (1789))は、約150属2500種が分布します。旧分類ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ツルボ属(Barnardia Yamaguti, 1963)は、約90種があります。

 山野に自生します。鱗茎は卵形で2~3cm。葉は根生します。扁平な線形で長さ15~25cm。草丈は15~35cm。花期は8月から9月。4~7cmの総状花序となって下から咲いていきます。花は淡い紅紫色で、平開し、花径は7~8mm。外花被片3と内花被片3の合計6の花被片があります。雄しべ6、雌しべ1。染色体数は、2n=26、34、35。

 ツルボは、その2~3cm程の鱗茎が飢饉の時に食べられたようです。灰汁抜きは江戸時代に文献があるようですが、縄文時代以前から知られていたとする説が有力なようです。『日本凶荒史考』(西村真琴・吉川一郎編)によると、『寛永飢民録』寛永13年に救荒植物として「すみれ」が登場し、『西遊記』の天明3年の記述では、葛の根と共に「すみら」があり、これが今のツルボであるとの事です。飢饉によって食べるものが無くなると、手当たり次第に食べられるものは食べ、最終的に毒草によって衰弱して命を落としていく図式は、何度も繰り返されてきたに違いありません。飽食の時代にある私は、鱗茎を粉にして作る「ツルボ餅」というのは、さて、どんな味がするのか、と言う興味しか思い浮かびません。でも、飢餓にあえぐ国は現にあるのですね。

 野山に秋を知らせる代表的な花の一つでしょう。白花品種のシロバナツルボ(白花蔓穂)Barnardia japonica (Thunb.) Schult. et Schult.f. f. albiflora (Satake) Yonek. や、変種として、海岸沿いに分布する、ハマツルボ(浜蔓穂)Barnardia japonica (Thunb.) Schult. et Schult.f. var. litoralis (Konta) M.N.Tamura 、葉幅が広く海岸沿いに分布する、オニツルボ(鬼蔓穂)Barnardia japonica (Thunb.) Schult. et Schult.f. var. major (Uyeki et Tokui) M.N.Tamura があります。

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 毎年、我が家近くの土手にはカワラナデシコが咲きます。そのピンクと交代するように薄紫色のツルボが出てきます。柔らかな雰囲気で土手を飾ってくれます。残念ながら今年は、草刈りの時期がずれたので、それらを味わう事ができませんでした。他の場所に行って初めて、もうその季節なのかと知る事になりました。

Japanese common name : Turubo
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Barnardia japonica (Thunb.) Schult. et Schult.f.

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下から順に開き始める。外花被片3と内花被片3の6花被片。雄しべは6個


ツルボ(蔓穂)
別名:サンダイガサ(参内傘)
キジカクシ科ツルボ属
学名:Barnardia japonica (Thunb.) Schult. et Schult.f.
synonym : Scilla scilloides (Lindl.) Druce
花期:8~9月 多年草 草丈:15~35cm 花径:7~8mm 総状花序:4~7cm

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【学名解説】
Barnardia : Edward Barnard (1786-1861)氏の/ツルボ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Schult. : Josef (Joseph) August Schultes (1773-1831)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Schult.f. : Julius Hermann Schultes (1804-1840)
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Scilla : Urgenea scilla | skyllo(Greek: 有害)/ツルボ属
scilloides : ツルボ属(Scilla)のような
Lindl. : John Lindley (1799-1865)
Druce : George Claridge Druce (1850-1932)
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f. : forma(品種)
albiflora : albiflorus(白花の)
Satake : Yoshisuke Satake 佐竹義輔 (1902-2000)
Yonek. : 米倉浩司 Koji Yonekura (1970- )
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var. : varietas(変種)
litoralis : littoralis(海岸性の)
Konta : 近田 文弘 Fumihiro Konta (1941- )
M.N.Tamura : 田村 実 Minoru N. Tamura
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major : 巨大な
Uyeki : 植木 秀幹 Homiki Uyeki (1882-1976)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Tokui : 得居 修 Osamu Tokui (1932-2013)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12km 右岸土手 2005.08.24
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

14 September 2013, 9 August 2016, 24 November 2016
Last modified: 11 April 2017
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by pianix | 2005-08-30 00:00 | | Trackback | Comments(2)