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ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
 ミヤマキケマン(深山黄華鬘)は、ケシ科キケマン属の越年草です。本州(近畿地方以東)に分布する在来種です。名の由来は、フウロケマン(風露華鬘)1)の変種で、山に生えるキケマン(黄華鬘)2)であることから。華鬘は、仏教で使われる透かし彫りの飾り。

 APG体系、新エングラー体系ではケシ科(Papaveraceae Adans., 1763)に分類されます。北半球に43種820種が分布します。日本には7種20種、日本固有種は1属4種3変種があるとされています。クロンキスト体系では、ケマンソウ科(Fumariaceae A.P. de Candolle, 1821)に分類され、世界に約16属450種が分布します。キケマン属(Corydalis A.P. de Candolle, in Lamarck & A.P. de Candolle, 1805)は、世界に約200種、日本では約20種が分布します。

 山地の林縁に自生します。茎は叢生し、斜上させて草丈20~45cmになります。褐色で無毛、軟弱で多汁質。折ると汁を出し、悪臭を放ちます。葉は、互生します。1~2回羽状複葉3)で、小葉は羽状に深く裂けます。ただし、発芽時の葉は切れ込みが深くはなく、褐色を帯びる事があります。

 花期は4月から6月。茎の先に、長さ4~10cmの総状花序を出します。花序に8~30個ほどの花を付けます。花柄は長さ5~12mm。苞は広披針形。萼片は2個で小さい。花は、花弁4の筒状で黄色、長さ20~23mm。先端が唇状、後部に緩やかに屈曲した距があります。母種であるフウロケマンの距は長くて大きく屈曲します。花弁は外側に2個、内側に2個あります。外側花弁は上下にあり(上下弁)、花弁先端は緑色で、やがて褐色を帯びて反り返ります。内側花弁は側面にあり(側弁)、先端で外側花弁から出て合着します。両性花です。雄しべ2本で、平形の花糸先端が3裂して1本につき3個の葯をつけます。虫媒花です。

 果実は蒴果です。弓なりになった線形で、長さ2~3cmの波打った数珠状。熟すと二裂して10前後の種子を出します。種子は1.5~1.7mmで小突起が多数あり、黒色。エライオソーム(Elaiosome)が付着していて、蟻によって運ばれます。

 全草にアルカロイド4)を含む毒草です。主成分はプロトピン5)で、誤食によって、嘔吐、麻痺が起こります。食べてはいけません。また、茎を折ったりした時に悪臭がしますが、これを吸い込むと人によっては気持ちが悪くなったりします。臭いを強く吸い込んではいけません。

★  ★  ★

 花の観察のために再訪すると跡形もなく消えているという事が時たまあります。里山では、キンラン(金襴)やササユリ(笹百合)がそれでした。ササユリの場合、翌年に見に行くと1本もありませんでした。それでも山頂に数本あり、誰かが添え木までしてくれてあったので楽しみは残りました。やがてつぼみを持ち開花という時期、山頂へあがって驚きました。掘り返した跡があり一つ残らず消えていました。よくよく見ると、イノシシが荒らし回ったようでした。これにはがっかりしました。

 そして今年、ミヤマキケマンを撮り直そうと出かけたら、これも消えていました。一瞬、時期を間違えたかと思いました。登り口付近にたくさんあったのに、今は草ぼうぼうとして以前と比べて荒れ果てています。おかしいと思い、しばらく登って行きましたが見つからず、雨が降りそうな天候だったので、あきらめて下りました。小川を隔ててカモシカが、じっと動かずこちらを伺っていました。付近の山肌では伐採工事が行われて雰囲気が変わっていました。

 いつも咲く花が今年も咲くという保証はありません。山の道でさえ、倒木1本で道筋が変わり、崩落して廃道となります。それでなくても人が入らなくなった山道は消えてしまいます。それを復活させるには並々ならぬ努力が必要となります。話を生物に戻せば、ありふれた人なつこいアホウドリしかり、トキしかり。例え人為的でなくても自然界は流動していることを実感させられました。失って初めて大切さが分かるものです。

 ※ササユリは、少し離れた場所で咲きました。2012.06.13に確認、翌日、蕾を持つものも見つかりました。「お前達、よく生きていたな」と思いながら撮影しました。何となく、「山に生きる私たちは、そんなにヤワじゃないわ」と聞こえてくるようでした。

1)フウロケマン(風露華鬘):Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. pallida
2)キケマン(黄華鬘):Corydalis heterocarpa Siebold et Zucc. var. japonica (Franch. et Sav.) Ohwi
3)羽状複葉(うじょうふくよう):葉の軸から小葉が左右に鳥の羽のように並ぶ葉の形態。pinnate compound leaf。二回羽状複葉は、再複葉(decompound leaf)のひとつで、羽状複葉の小葉が羽状になっているもの。bipinnate compound leaf。
4)アルカロイド(alkaloid):窒素原子を分子内に含む塩基性成分の総称。植物毒のひとつで、薬用として用いられるものもある。
5)プロトピン(protopine):C20H19NO5
 ミヤマキケマンの成分:protopine, capauridine, capaurimine, capaurine, l-tetrahydropalmatine(以上、フウロケマンと同じ), sanguinarine (金子・成戸 1970) 。

Japanese common name : Miyama-ki-keman
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Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. tenuis Yatabe
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先端が唇状、後部に緩やかに屈曲した距がある黄色花

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咲き始めは上向きに花を密集させる。

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褐色で無毛、軟弱で多汁質の茎。茎先に総状花序をつける。

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左:葉は、1~2回羽状複葉で、小葉は羽状に深く裂ける。 右:茎は叢生する。


ミヤマキケマン(深山黄華鬘)
ケシ科キケマン属
学名:Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. tenuis Yatabe
花期:4月~6月 越年草 草丈:20~45cm 花冠長:20~23mm 花序長:4~10cm

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【学名解説】
Corydalis : Korydallis(雲雀)/キケマン属
pallida : pallidus(淡白色の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)
var. : varietas(変種)
tenuis : 軟質の
Yatabe : 矢田部良吉 Ryokichi Yatabe (1851-1899)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.716.9m) 2008.03.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 22 June 2012
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by pianix | 2012-06-16 00:00 | | Trackback | Comments(6)
ナガミヒナゲシ(長実雛芥子/長実雛罌栗)
 ナガミヒナゲシ(長実雛芥子/長実雛罌栗)は、ケシ科ケシ属の1年草(越年草)です。地中海沿岸を中心とするヨーロッパ原産で、南北アメリカ、アジア、北アフリカ、オセアニアに分布します。麦の栽培に伴い分布を拡大したと考えられています。日本では、観賞用として導入されたものが野生化し、1961年に東京で確認されました。現在では全国に分布する帰化種になっています。名の由来は、長い実を付ける小型のケシから。英名は、Long-headed poppy。

 ケシ科(Papaveraceae Adans. 1763)は、北半球の亜熱帯から温帯にかけて23属約210種が分布します。ケシ属(Papaver L. (1753))は世界で約100種あり、日本での自生種は1種類です。ナガミヒナゲシはケシ科ケシ属ですが、阿片を精製できないので法的規制はなく問題ありません。

 秋に芽生えロゼットを形成します。草丈は20~60cmになります。葉は互生し、羽状(1~2回羽状)に深裂します。細かな毛が両面に生えています。根生葉は20cm程の長さです。開花前の蕾は毛があり、うなだれていますが、開花時には直立して萼を落下させます。花弁は4枚。サーモンピンク色をしていてシワが多くあります。雄しべは多数。両生花で一日花です。

 果実は蒴果で、2~3cm程の楕円形をしていて上部に蓋を付けた形状をしています。無毛で、円盤形の柱頭に3~9本の筋を放射条につけます。果実が大きなものは筋の本数も増えます。熟すると藁色になり、円盤形の蓋が上に反りかえり、子房との間に隙間ができます。そこから1000個以上の網目状のシワがある小さな種子を風や動物によって散布します。染色体数は、2n=28, 42。

Japanese common name : Nagami-hinagesi
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Papaver dubium L.

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左:花弁の展開中 右:花弁の展開後
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柱頭の状態
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蓋が上がり種子を散布した果実


ナガミヒナゲシ(長実雛芥子/長実雛罌栗)
ケシ科ケシ属
学名:Papaver dubium L.
花期:5月~6月 1年草(越年草) 草丈:20~60cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Papaver : papa(粥)/ケシ属
dubium : dubius(疑わしい・不確実の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
葵区堤町 2006.04.07
葵区西ヶ谷 2014.05.16
賤機山 2017.05.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

11 April 2006
Last modified: 22 May 2017
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by pianix | 2006-04-11 00:00 | | Trackback | Comments(2)
クサノオウ(草の黄/瘡の王)
 クサノオウ(草の黄/瘡の王)は、ケシ科クサノオウ属の1年草です。東アジアの温帯に分布し、日本では全国に分布します。名の由来は、幾つかあります。皮膚病である瘡の治療に効果があるので「瘡の王」とするもの、橙黄色の汁液を出すので「草の黄」等です。

 ケシ科(Papaveraceae Adans. 1763)は、北半球の亜熱帯から温帯にかけて23属、約210種が分布します。クサノオウ属 (Chelidonium L. (1753))は、ヨーロッパから東アジアにかけて数種が分布します。

 日当たりの良い草地に生えます。根生葉は叢生(そうせい※群がり生えること)します。茎は中空。葉と茎には縮れた毛が多くあります。葉は、互生します。1~2回羽状に深く裂け、葉裏はやや白っぽくなります。萼片が2個あり、開花直前に脱落します。葉腋に花柄を出し数花を付けます。花は黄色の4弁花で、径2~3cm。黄色の雄しべが多数あり、突き出た緑色の雌しべが目立ちます。

 傷を付けると橙黄色の乳液を出します。これにはアルカロイド(alkaloid)毒が含まれています。食べると、酩酊状態・嘔吐・昏睡・呼吸麻痺を引き起こします。全草を乾燥させたものが生薬の白屈菜で、昔は疥癬の民間薬として使われていました。毒草は薬草でもありますが、素人判断の処方は禁物です。

 果実は5cm程の細長い円柱形の朔果です。種子は黒色で、白い冠毛が付いています。種枕の脂肪体(種子の外側に付いた脂肪)があり、蟻が運び散布します。染色体数は、2n=10。

Japanese common name : Kusa-no-ou
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Chelidonium majus L. subsp. asiaticum H.Hara
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縮れた毛が密生する茎から出る橙黄色の汁液

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細長い円柱形の朔果を付ける

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萼片が2個あり、開花直前に脱落。葉は互生し、1~2回羽状に深裂する。


クサノオウ(草の黄/瘡の王)
ケシ科クサノオウ属
学名:Chelidonium majus L. subsp. asiaticum H.Hara
synonym : Chelidonium majus L. var. asiaticum (Hara) Ohwi ex W.T.Lee
花期:5月~7月 1年草 草丈:30~80cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Chelidonium : chelidon(ツバメ)に由来/クサノオウ属
majus : major(巨大な)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
asiaticum : asiaticus(アジアの)
H. Hara : 原 寛 Hara Hiroshi (1911-1986)
---
var. : varietas(変種)
Ohwi : 大井次三郎 Ohwi Jisaburo (1905-1977)
ex : ~による
W.T. Lee : W.T.Lee (col. 1924-)

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷 2006.03.31, 2017.05.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

4 April 2006, 31 May 2014
Last modified: 8 May 2017
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by pianix | 2006-04-04 00:00 | | Trackback(1) | Comments(2)
ムラサキケマン(紫華鬘)
 ムラサキケマン(紫華鬘)は、ケシ科(ケマンソウ科1))キケマン属の2年草です。中国、朝鮮半島、日本に分布し、国内では全国に分布する在来種です。名の由来は、花色が黄色のキケマン(黄華鬘)に対して、本種は紫色である事から。華鬘とは、寺院の堂内を飾る花の輪を形取った透かし彫り仏具の事です。しかし似ている訳ではありません。別名のヤブケマン(藪華鬘)は、藪に生える事から。まとめてケマンソウ(華鬘草)と言いたいところですが、ケマンソウはコマクサ属の別種です。

 APG体系、新エングラー体系ではケシ科(Papaveraceae Juss. (1789))に分類されます。北半球に43種820種が分布します。日本には7種20種、日本固有種は1属4種3変種があるとされています。キケマン属(Corydalis A.P. de Candolle, in Lamarck et A.P. de Candolle, 1805)は、世界に約200種、日本には約20種が分布します。

 茎の断面は5角形。草丈は20~50cm程になります。葉は互生し、葉柄があります。羽状に細かく裂ける2回3出複葉です。茎や葉を傷つけると嫌な臭いがします。花期は4月から6月。茎の上部に紅紫色の筒状唇形花を総状に付けます。花冠長は約2cm。萼片は2個で小型で糸状。雄しべは2個。虫媒花です。

 果実は蒴果です。マメ科の鞘のような形をしていて、長さ約1.5cm。熟すと二つに裂開し、径1.5~2mm程の黒い種子を散らす自動散布をします。種子は痩果で、仮種皮が付いています。種沈(エライオソーム(Elaiosome))があり、蟻などに運んでもらう動物散布で分布を広げます。

 全草にプロトピン(Protopine)等の毒があり、誤って食べた場合は嘔吐・呼吸困難・心臓麻痺等の中毒症状が出ます。

 稀に白色品種の、シロヤブケマン(白藪華鬘)Corydalis incisa (Thunb.) Pers. f. pallescens Makino があります。

1)クロンキスト(Arthur John Cronquist, 1919-1992)体系では、ケマンソウ科(Fumariaceae Marquis (1820))です。モクレン綱(Magnoliopsida)、モクレン亜綱(Magnoliidae)、ケシ目(Papaverales)です。ケマンソウ科は、北半球に16属450種程が分布します。

Japanese common name : Murasaki-keman
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Corydalis incisa (Thunb.) Pers.

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果実は狭長楕円形の蒴果で下垂させる

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果実は、熟すとパチンと激しく爆ぜて2つに裂開して丸まり、種子を飛ばす
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シロヤブケマン(白藪華鬘))
Corydalis incisa (Thunb.) Pers. f. pallescens Makino


ムラサキケマン(紫華鬘)
別名:ヤブケマン(藪華鬘)
ケシ科キケマン属
学名:Corydalis incisa (Thunb.) Pers.
花期:4月~6月 2年草 草丈:20~50cm 花径:5mm 花冠長:約2cm

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【学名解説】
Corydalis : Korydallis(雲雀)/キケマン属
incisa : incisus(鋭く裂けた)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)
---
f. : forma(品種)
pallescens : 淡白色の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
A.P. de Candolle = DC. : Augustin Pyramus de Candolle (1778-1841)
Lamarck : Jean Baptiste Antoine Pierre de Monnet de Lamarck (1744-1829)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.03.23
千代山(Sensdai-yama Alt.226m) 2007.04.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First draft: 1 April 2006, 5 July 2015, 16 November 2016
Last modified: 1 April 2017
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by pianix | 2006-04-01 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)
 ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)は、ケシ科キケマン属の多年草です。本州の関東地方以西に分布する、在来の野生種です。何とも変わった名前です。スミレを伊勢地方の方言で太郎坊と呼ぶのに対し、本種を二郎坊と呼んだのが由来とされています。延胡索は漢名で、玄胡索が元になっています。玄が尊称である為に延に置き換えられたと言われています。「玄」は黒、「胡」は国名、「索」は縄の意味。根茎が黒く、胡の国に咲く苗に紐状のものがあるとの意味になります。

 新エングラー体系、APG体系ではケシ科(Papaveraceae Juss. (1789))に分類されます。北半球に43種820種が分布します。日本には7種20種、日本固有種は1属4種3変種があるとされています。クロンキスト体系では、ケマンソウ科(Fumariaceae A.P. de Candolle, 1821)に分類され、世界に約16属450種が分布します。キケマン属(Corydalis A.P. de Candolle, in Lamarck & A.P. de Candolle, 1805)は、世界に約200種、日本では約20種が分布します。

 平地性の多年草です。ムラサキケマン(紫華鬘)に似ていますが、葉の形状が異なります。茎は弱く、地面を這い、途中で立ち上がり唇形の花をつけます。花にはスミレと同様の距があります。根茎は約1cmの球形です。根茎を生薬「延胡索」として胃腸薬に用いますが、日本薬局方では中国種の延胡索(Corydalis turtschaninovil Bess. forma yanhusuo Y.H.Chou et C.C.Hsu)を用います。アルカロイド(有毒)成分を含みます。類似種にヤマエンゴサク(山延胡索)があります。

Japanese common name : Jirobou-engosaku
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Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.
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ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)
ケシ科キケマン属
学名:Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.
花期:4月~5月 多年草(宿根草) 草丈:10~20cm 花長:12~15mm

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【学名解説】
Corydalis : Korydallis(雲雀)|花の形に由来/キケマン属
decumbens : 横臥した
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷 2006.03.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 March 2006
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by pianix | 2006-03-21 00:00 | | Trackback | Comments(4)
タケニグサ(竹似草)
 タケニグサ(竹似草)は、ケシ科タケニグサ属の多年草です。中国、台湾、日本に分布します。日本では本州、四国、九州に分布します。名の由来は、竹のように中空の茎を持つ事から。別名のチャンパギク(占城菊)は、インドシナのチャンパ(占城)から渡来と伝えられた事によります。英名は、Plume poppy。

 ケシ科(Papaveraceae Adans. 1763)は、北半球に43種820種が分布します。日本には7種20種、日本固有種は1属4種3変種があるとされています。タケニグサ属(Macleaya R.Br. (1826))は、2種が分布します。

 ぐんぐんと大きくなるタケニグサ。まずは葉が大きいので目立ちます。葉裏は細かい毛のため白っぽく見えます。茎は白い粉を吹いたよう。触ると取れて緑の茎が現れます。内部は中空で、切ると茶色の液が出ます。この液は皮膚炎を起こす事があります。花は白色筒状の萼が集まり、下部から咲いて茶色と白が入り交じる状態になります。

 ※アルカロイド(サンギナリン・ヘレリスリン)を含む毒草です。内服すると中毒を起こします。全草を博落廻(ハクラクカイ)と称し、民間療法で皮膚病薬や害虫駆除として用いますが危険です。

Japanese common name : Take-ni-gusa
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Macleaya cordata (Willd.) R.Br.

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左:葉表                       右:葉裏


タケニグサ(竹似草)
別名:チャンパギク(占城菊)
ケシ科タケニグサ属
学名:Macleaya cordata (Willd.) R.Br.
花期:6月~8月 多年草 草丈:100~200cm 花(長さ):15mm

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【学名解説】
Macleaya : Alexander Macleay (1767-1848)に因む/タケニグサ属
cordata : cordatus(心臓形の)
Willd. : Carl Ludwig von Willdenow (1765-1812)
R.Br. : Robert Brown (1773-1858)

ケシ科 : Papaveraceae Juss. (1789))
タケニグサ属 : Macleaya R. Brown, 1826

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 右岸河川敷 2005.07.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First modified: 16 July 2005
Last modified: 26 December 2013
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by pianix | 2005-07-16 00:00 | | Trackback(1) | Comments(0)