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ヤブコウジ(藪柑子)
 ヤブコウジ(藪柑子)は、サクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木です。東アジアの台湾、中国、朝鮮等に分布し、日本では北海道、本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、藪に生える小さなみかんから。コウジ(柑子)とは、小さなミカンの一種で、ヤマミカン(山蜜柑)と呼んでいたのが、万葉時代はヤマタチバナ(夜麻多知婆奈)となり、ヤブコウジへと変遷したものと考えられています。センリョウ(千両)、マンリョウ(万両)に対して、カラタチバナ(唐橘)は百両、ヤブコウジは十両と呼ばれ、正月の縁起物としてもお馴染みです。

 サクラソウ科(Primulaceae Batsch ex Borkh. (1797))は、28属約1000種があります。旧ヤブコウジ科(Myrsinaceae R.Brown, 1810)は、熱帯・暖帯・温帯に37属約1300種が分布し、日本には4属1)12種が自生します。ヤブコウジ属(Ardisia O.Swartz, 1788)は、約300種が分布し、日本には約6種があります。

 丘陵や山地(垂直分布1200m)の林内に自生します。地下茎は横に這い、所々から地上茎を出しながら樹高10から20cmに立ち上げ群生します。葉は、単葉で互生し、茎上部で輪生状につきます。長楕円形で長さ7cm程、幅3cm程、革質で光沢があり、細かな鋸歯があります。

 花期は7月から8月頃。葉腋に散形花序2)を出し、7~10mmの花柄の先に下向きに花を咲かせます。花は白色で赤味のある細かい斑紋があります。合弁花で5深裂し、径5~8mm。先が尖る裂片5.萼5、雄しべ5個、雌しべ1個の雌雄同体。子房上位。果実は核果です。熟すと赤くなります。果肉には若干の甘みがあり、鳥に食べられて種子散布されます。

 庭の下草としての利用があります。中国では、全草を乾燥させたものを紫金牛(しきんぎゅう)として利尿や咳止めに用いられます。

1)ヤブコウジ属、イズセンリョウ属(Maesa Forssk. (1775))、ツルマンリョウ属(Myrsine L. (1753))、タイミンタチバナ属(Rapanea Aublet, 1775) 。
2)散形花序[さんけいかじょ(umbel)]:無限花序のひとつで、放射状(傘形)に花柄をつける花序。

Japanese common name : Yabu-kouji
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Ardisia japonica (Thunb.) Blume

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5深裂した合弁花で、花径は5~8mm

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左:花は葉の下に隠れるように咲く(2008.07.11) 右:蕾(2007.12.13)ダイラボウ

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果実:超小型のリンゴのような形でかわいい。(2012.02.17)
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群生するヤブコウジ 2014.02.19

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左:上部の葉は輪生状につく 右:核(径約5mm)


ヤブコウジ(藪柑子)
別名:ヤマタチバナ(山橘)、ジュウリョウ(十両)
サクラソウ科ヤブコウジ属
学名:Ardisia japonica (Thunb.) Blume
花期:7~8月 常緑小低木 樹高:10~20cm 花径:5~8mm 果実径:5~6mm

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【学名解説】
Ardisia : ardis(鎗先・矢先)/ヤブコウジ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Blume : Carl Ludwig von Blume (1796-1862)
---
Batsch : August Johann Georg Karl Batsch (1761-1802)
ex : ~による
Borkh. : Moritz (Moriz) Balthasar Borkhausen (1760-1806)
---
R.Brown : Robert Brown (1773-1858)
O.Swartz : Olof Peter Swartz (1760-1818)
※japonicaは、ジャポニカではなくヤポニカと発音します。

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2007.12.13 - 2014.02.19
ダイラボウ(Alt. 561m)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 February 2014, 14 March 2014
Last modified: 24 October 2016
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by pianix | 2014-02-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
コナスビ(小茄子)
 コナスビ(小茄子)は、サクラソウ科オカトラノオ属の多年草です。アジアの熱帯や温帯の中国・台湾・インドシナ・マレーシアに分布します。日本では全国に分布する在来種です。名の由来は、果実を小さなナスに例えたもの。茄子との名前が付いていますがナス科ではなく、サクラソウ科です。

 サクラソウ科(Primulaceae Batsch ex Borkh. (1797))は、北半球の暖帯から寒帯を中心に28属約1000種があり、日本には9属37種が分布します。オカトラノオ属(Lysimachia L. (1753))は、アジア、アフリカ、南アメリカ、オーストラリアなどに約160種、日本に15種が分布します。

 茎は細く、まばらに軟毛があり、斜上します。個体の成長と共に地を這います。茎は枝分かれして節から根を出し、四方に広がります。長さは10~30cmで、高さは15cm程度です。葉は対生1)します。5~10mmの葉柄2)があり、軟毛がある鈍頭3)の広卵形4)で、長さは6~23mm。

 葉腋から2~3mmの花柄を伸ばし、深く5裂した5~7mmの黄色い合弁花冠を平開します。萼は5全裂した4~8mmの線状披針形で先端は尖ります。雄しべは5本。果実は上向きに付きます。熟すと5裂して1mm程の黒色で球形をした朔果を多数散布します。染色体数は2n=20。

 コナスビの仲間には次の種があります。
 ・オニコナスビ(鬼小茄子)Lysimachia tashiroi Makino 《絶滅危惧IB類(EN)》
 ・ヒメコナスビ(姫小茄子)L. japonica Thunb. var. minutissima Masam.
 ・ミヤマコナスビ(深山小茄子)L. tanakae Maxim.
 ・ヒメミヤマコナスビ(姫深山小茄子)L. liukiuensis Hatus. 《絶滅危惧IA類(CR)》
 ・タニガワコナスビ(谷川小茄子)L. taiwaniana Suzuki
 ・クロボシコナスビ(黒星小茄子)L. nigropunctata Masam.
 ・コバンコナスビ(小判小茄子)L. nummularia L. 《帰化種》
 ・タイワンコナスビ(台湾小茄子)L. formosana Honda
 ・ヘツカコナスビ(辺塚小茄子)L. ohsumiensis H.Hara 《絶滅危惧IA類(CR)》
※列挙する場合はLysimachiaを L. と省略する場合があります。ちなみに、斜体ではない L. は人名で、 Carl von Linne (1707-1778) を表します。

1)対生(たいせい):茎の同じ高さから向き合うように出る2枚の葉
2)葉柄(ようへい):葉身と茎をつなぐ柄の部分
3)鈍頭(どんとう):葉先が丸まっている
4)広卵形(こうらんけい):卵形葉の広い形

Japanese common name : Ko-nasubi
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Lysimachia japonica Thunb.

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葉は広卵形で対生する(2011.07.11)。茎は軟毛が密生する。
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 深く5裂した合弁花冠で、雄しべは5本。


コナスビ(小茄子)
サクラソウ科オカトラノオ属
学名:Lysimachia japonica Thunb.
synonym : Lysimachia japonica Thunb. var. subsessilis F.Maek. ex H.Hara
花期:5月~6月 多年草 草丈:10~30cm 花径:5~7mm

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【学名解説】
Lysimachia : lysis(解ける)+mache(競争・争い)/オカトラノオ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
---
f. : forma(品種)
subsessilis : sub(ほとんど)+sessilis(無柄)/無柄に近い
F.Maek. : 前川文夫 (1908-1984).
ex : ~による
H.Hara : 原 寛 Hiroshi Hara (1911-1986)
Murata : 村田 源 Gen Murata (1927- )

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km東岸河川敷 2006.05.06, 2006.05.24
安倍城跡(Alt. 435.2m) 2011.07.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 May 2006, 28 August 2011, 1 July 2016
Last modified: 23 November 2016
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by pianix | 2006-05-15 00:00 | | Trackback | Comments(2)
プリムラ・マラコイデス(Primula malacoides)
 プリムラ・マラコイデス(Primula malacoides)は、サクラソウ科サクラソウ属の1年草です。和名は、オトメザクラ(乙女桜)。中国雲南省の原産で、一旦ヨーロッパに移入されて改良された園芸種です。中国名はパォチュンホウ(報春花)です。英国の植物採集家、ジョージ・フォレスト(George Forrest 1873-1932)が1908年に雲南で採集し英国に持ち帰りました。日本へは1910~1911年頃に種子の輸入によって導入されました。

 サクラソウ科(Primulaceae Batsch ex Borkh., 1797)は北半球の暖帯から寒帯を中心に広く分布し、世界に28属約1000種、日本には9属37種が分布します。プリムラは約300の品種があります。人為的作出のポリアンサ(polyantha)、中国産でありヨーロッパで改良されたオブコニカ(obconica)、マラコイデス(malacoides)、キネンシス(chinensis)が代表的なものです。日本にはサクラソウ(桜草)P. sieboldii E. Morrenがあり、これに対してヨーロッパの園芸品種群を西洋サクラソウと呼びます。逆に、西洋サクラソウに対し日本サクラソウとは言いません。

 耐寒性が異なる2種があります。耐寒性種は染色体が2倍体で、非耐寒性種は4倍体です。品種は、桃色で中大輪種の「富士桜」、明るい桃色で花径4cmになる世界最大の「富士の誉れ」、桃色系で小輪小型種の「小富士」、大輪八重咲きの「富士の舞」などがあります。今ではほとんど使われなくなったケショウザクラ(化粧桜)の名は、白い粉をまとう事から。輪状に房状花序を付けます。深く5裂し、先端が浅く2裂した合弁花です。

★ ★ ★

 アマチュア無線局には、世界で一つのコールサインが割り当てられています。プリフィックス(Prefix)とサフィクス(Suffix)からなり、一文字を変えただけで全く別の局となってしまいます。交信の中で地名を確認したりしますが、読み間違える事もあります。地名の読みは難しいからで、間違えても許される範囲にあると思います。しかし、相手の局名を間違えたり、氏名を間違えたら困るどころか、大変失礼な事になります。これは社会一般常識と同じで、どなたも細心の注意をしているのだと思います。

 しかし園芸には、おかしな名前が飛び交う事は珍しい事ではありません。世界共通語の学名は植物の氏名に当たります。変な発音にすれば混乱します。省略も同様です。一部でメラコと呼ばれるプリムラ・マラコイデスの事を例に取ります。マラコイデス(malacoides)を訛って発音したと思われるメラコは省略も伴っています。そこまでやるのだったら、サクラソウ科であるから、サクラ・マルコにしたらどうだと思ってしまいます。冗談ですが。学名はラテン語である事を忘れている人が多いのかもしれません。

Japanese common name : Otome-zakura
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Primula malacoides Franch.


プリムラ・マラコイデス(Primula malacoides)
和名:オトメザクラ(乙女桜) 別名:ケショウザクラ(化粧桜)
サクラソウ科サクラソウ属
学名:Primula malacoides Franch.
花期:12月~4月 1年草(本来は多年草) 草丈:15~30cm 花径:15~30mm

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【学名解説】
Primula : primos(最初)/サクラソウ属
malacoides : malac(柔らか)+oides(似た・類する・状の)
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)

撮影地:静岡県静岡市
駿河区谷田(植栽) 2006.02.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 10 02 February 2006
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by pianix | 2006-02-10 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オカトラノオ(丘虎尾)
 オカトラノオ(丘虎尾)は、サクラソウ科オカトラノオ属の多年草です。日本の他、中国や朝鮮半島に分布します。日本では、北海道から九州に分布する在来種です。名の由来は、花序を虎の尾に見立て、ヌマトラノオと区別するためにオカを付けたもの。英名は、Gooseneck loosestrife。

 サクラソウ科(Primulaceae Batsch ex Borkh. 1797)は、北半球の暖帯から寒帯を中心に28属約1000種があり、日本には9属37種が分布します。オカトラノオ属(Lysimachia C. Linnaeus 1753)は、アジア、アフリカ、南アメリカ、オーストラリアなどに約160種、日本に15種が分布します。

 日当たりの良い山野に自生します。茎には短い毛があります。草丈は、60~100cm。葉は、互生します。長楕円形で鋭突、長さ6~13cm、幅2~5cm。花期は6月から7月頃。茎頂に総状花序を出します。花序長は、10~30cm。小花の花弁は5裂し、花径は、8~12mm。雄しべ5本、雌しべ1本があります。果実は蒴果です。球形で2~3mm、残存花柱があります。種子は褐色で1~1.3mm程。染色体数は、2n=24。

 類似種のヌマトラノオ(沼丘虎尾)Lysimachia fortunei Maxim. の花穂はまっすぐに立つのにくらべ、オカトラノオは垂れ下がります。

 交雑種として、ノジトラノオ(野路虎尾)Lysimachia barystachys Bunge とオカトラノオの交雑であるノジオカトラノオ(野路丘虎尾)Lysimachia barystachys Bunge x L. clethroides Duby があります。

Japanese common name : Oka-torano'o
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Lysimachia clethroides Duby

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左:花序が立ち上がり蕾の状態 2012.06.18 右:小花は花序下から咲く 2012.06.26

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左:花柱が残る果実を付ける 2008.07.11 右:長楕円形で先端が尖る葉 2008.06.26


オカトラノオ(丘虎尾)
サクラソウ科オカトラノオ属
学名:Lysimachia clethroides Duby
花期:6月~7月 多年草 草丈:60~100cm 花径:8~12mm

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【学名解説】
Lysimachia : Lysimachion王の名に因む/オカトラノオ属
clethroides : Clethra(リョウブ属)に似た
Duby : Jean Etienne Duby (1798-1885)

撮影地:静岡県静岡市
高山(Alt. 牛ヶ峰・谷沢ルート) 2008.07.12
安倍城跡(Alt. 435m) 2008.07.11, 2012.06.18, 2012.06.26
内牧北陵 2008.06.26
安倍川/河口から17.00km 左岸河川敷 2005.06.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 1 July 2005
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by pianix | 2005-07-01 00:00 | | Trackback | Comments(0)