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シロバナヒメオドリコソウ(白花姫踊子草)
 私は、自然を見続ける事をしたいのですが、時間がないと焦りを感じています。知りたい事がたくさんあるのに、残された時間は僅かです。もっと早くから観察を始めていれば良かったと後悔をしています。しかし、どんなに早くから始めたとしても、同じように時間がないと感じるのかもしれません。それはともかく、本当にやりたい事や知りたい事は若い時に見つけ出し、若い時から始めるべきです。短期間に結論が出るような事は多くは無いからです。

 この世界は、毎日のように悲惨な出来事が起こっています。その反面、夕焼け空を見て、何て美しいのだろうと感じるのも、この世界です。太陽からの距離、大気を吹き飛ばさず温度を上げすぎない適度な自転等、奇跡的な環境の地球である事を思う時、この自然界に愛着が湧いてきます。この環境を壊さず、次の世代に引き継ぐにはどうしたらよいのか、それに心が捕らわれています。その中で、河川工事が進んでいます。利便を良くするのが行き過ぎると、環境を壊す事につながります。工事は、植物学・動物学等の研究者の意見も取り入れて細心の注意を持って行われるようにと祈るばかりです。そして、市民全体が自然と触れ合い、認識を持つ事の重要性も痛感します。

 環境整備のための草刈り作業が行われている場所で、ヒメオドリコソウ(姫踊子草)が元気良く咲いていました。その中に見慣れない白色の花を見つけました。シロバナヒメオドリコソウ(白花姫踊子草)です。私は、初めて見ました。花が白いだけですが、別種のような雰囲気がありました。高貴な感じさえ漂わせています。他には見あたりませんでした。草刈りされてしまう前に移動させる事にしました。3本の茎が立ち上がって、その内の1本を採ろうとしました。掘り下げてみると、それは1株にまとまっていました。

 シロバナヒメオドリコソウは、ヒメオドリコソウのシロバナ品種という位置づけです。ヒメオドリコソウを参照下さい。

Japanese common name : Shirobana-hime-odoriko-sou
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Lamium purpureum L. f. albiflorum Goiran


シロバナヒメオドリコソウ(白花姫踊子草)
シソ科オドリコソウ属
学名:Lamium purpureum L. f. albiflorum Goiran
花期:4月~6月 越年草(1~2年草) 草丈:15~25cm

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【学名解説】
Lamium : イラクサ様植物の古代ラテン名|laipos(喉)/オドリコソウ属
purpureum : purpureus(紫色の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
f. : forma(品種)
albiflorum : albiflorus(白花の)
Goiran : Agostino (Augustin) Goiran (1835-1909)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.25km 左岸土手 2006.02.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 Februaryl 2006
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by pianix | 2006-02-23 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ヒメオドリコソウ(姫踊子草)
 ヒメオドリコソウ(姫踊子草)は、シソ科オドリコソウ属の越年草です。ヨーロッパの原産で、アジアや北アメリカに分布します。国内では全国に分布し、1893年(明治26年)に東京都の駒場で確認された、非意図的移入とされる自然帰化植物です。名の由来は、花が笠を被った踊子に見立てた在来種のオドリコソウ(踊子草)があり、それより小型であるので、姫を冠した名が付いています。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。オドリコソウ属(Lamium L. (1753))は世界に約40種が存在します。

 茎はシソ科に共通する四角形をしています。地を這い、途中から立ち上がります。赤紫色をしています。葉は対生し、長い柄を持ち、卵形で鋸歯があります。両面に軟毛が多くあります。網目状の葉脈がはっきりとしていて、上部の苞葉は三角状の卵形になります。葉色は緑色ですが、陽が当たる所に咲くものは赤紫を帯びます。大きさは15~30mm程度です。花期は4月から6月頃。花は両性花で、唇形の合弁花です。唇形花(シンケイカ)と言います。上部の葉腋から1cm程の花を数個出します。繁殖力は強く、群生します。染色体数は、2n=18。

 類似種に、ヒメオドリコソウの変種で葉の切れ込みが大きい、モミジバヒメオドリコソウ(紅葉葉姫踊子草)があります。別名はキレハヒメオドリコソウ(切葉姫踊子草)。ヒメオドリコソウとは明らかに形が異なるのですが、たまにホトケノザ(仏の座)と混同しているかたもいるようです。今の時期は、まだ花をつけるものが少なく、葉だけで判別するのが難しいようです。

【類似種】
オドリコソウ(踊子草)
Lamium album L. var. barbatum (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav.
モミジバヒメオドリコソウ(紅葉葉姫踊子草)
Lamium dissectum With.
シロバナヒメオドリコソウ(白花姫踊子草)
Lamium purpureum L. f. albiflorum Goiran
ホトケノザ(仏の座)
Lamium amplexicaule L.

Japanese common name : Hime-odoriko-sou
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Lamium purpureum L.

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右:2006.02.23 左:2007.03.06


ヒメオドリコソウ(姫踊子草)
シソ科オドリコソウ属
学名:Lamium purpureum L.
花期:4月~6月 越年草 草丈:15~25cm 花冠長:1cm

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【学名解説】
Lamium : イラクサ様植物の古代ラテン名|laipos(喉)/オドリコソウ属
purpureum : purpureus(紫色の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.02.23
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2007.03.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

5 February 2006
Last modified: 01 April 2014
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by pianix | 2006-02-05 00:00 | | Trackback | Comments(2)
クサギ(臭木)/実
 クサギの果実が干からびた状態になっているのを見ました。そこで、鮮やかだった頃の果実を思い浮かべました。紅色と黒紫色のコントラストがはっきりとした果実でした。花は良い香りがするのに、全体が独特の臭気を発するので嫌う人もいます。でも、花も果実も独特の装いをした面白い樹木であるのは間違いないと思うのです。そのゆえに、欧米では観賞用に栽培もされています。

 クサギ(臭木)は、シソ科クサギ属の落葉低木です。日本全国のほか、中国や台湾にも分布します。シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。オドリコソウ属Lamiumに由来する名です。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。旧科名のクマツヅラ科(Verbenaceae Jaume Saint-Hilaire, 1805)は、南半球に約100属3000種が分布します。クサギ属(Clerodendrum L. (1753))は約100種が知られています。

 日当たりの良いところに生育します。種小名trichotomumの通りに、枝は三分岐し集散花序を出します。花冠は細長い筒状で、5裂した裂片は白色で平開します。雄しべ4本、雌しべ1本があり、花冠から長く突き出ます。萼は紅紫色をしています。葉は対生し、枝と共に臭いを発しています。

 果実は藍色で、中には種子が4個入っています。受粉は虫に、種子散布は鳥によって行われます。花びらに見える赤い部分は萼です。これを正月の羽根突きの羽根に見立てる人もいれば、小型の茹でタコに見る人もいます。クサギは、染色に使われます。果実は草木染めで空色に、萼は鉄媒染で灰色に染まるそうです。花色が紅色をしているのはベニバナクサギ (紅花臭木)です。

参考:クサギ(臭木) ボタンクサギ(牡丹臭木)

Japanese common name : Kusagi
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Clerodendrum trichotomum Thunb.
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2006.01.09


クサギ(臭木)
別名:ヤマウツギ(山空木)/クサギリ(臭桐)/クサギナ(臭木菜)
漢名:シュウゴリュウ(臭梧桐)
シソ科クサギ属
学名:Clerodendrum trichotomum Thunb.
花期:8月~9月 落葉低木 樹高:3~5m 花径:20~25mm 果期:10~11月 果実:6~7mm

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【学名解説】
Clerodendrum : cleros(運命)+dendron(樹木)=Clerodendron/クサギ属
trichotomum : trichotomus(三分岐の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川河口から11.75km/右岸河川敷 2005.11.01
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 10, 2008
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by pianix | 2006-01-13 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハマゴウ(浜栲)/実
 ハマゴウ(浜栲)は、シソ科ハマゴウ属の落葉小低木です。近年にシソ科に転科されました。クロンキストおよびエングラー体系ではクマツヅラ科で、クマツヅラ属、ムラサキシキブ属、クサギ属、イワダレソウ属、そしてハマゴウ属等があります。その幾つかは良く知られていますが、ムラサキシキブやクサギ、ランタナなど、どれも球状の実を付ける事が思い浮かべられます。このハマゴウも、球状の実を付けます。

 浜辺に生育するハマゴウの実は、コルク質で、波に運ばれて行く海流散布植物として適した構造をしています。日本では本州以南に、また、東南アジアを越えてオーストラリアに達し、南大西洋岸にまで分布しています。実のできはじめは緑色で、やがて赤くなり、熟すと黒色に変化します。この状態でも萼が付いたままになっています。核果で、内部に4個の種子が入っています。

 乾燥させた果実をマンケイシ(蔓荊子)と呼び、滋養強壮、解熱、消炎に使われる事から、薬草園で栽培されている事があります。花を愛でたり観葉植物として扱う事は稀で、もっぱら薬用として重んじられてきました。

参考:ハマゴウ(浜栲)/花

Japanese common name : Hamagou
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Vitex rotundifolia L.f.
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2005.11.22


ハマゴウ(浜栲)
別名:ハマハヒ(浜未浜比)
シソ科ハマゴウ属
学名:Vitex rotundifolia L.f.
花期:7月~9月 落葉小低木 樹高:30~60cm 花径:10~15mm
果期:9月~10月 実径:約8mm

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【学名解説】
Vitex : vieo(結ぶ)/ハマゴウ属
rotundifolia : rotundifolius(円形葉の)
L.f. : Carl filius Linnaeus (1741-1783)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0km 左岸浜辺 2005.11.22
静岡県焼津市石津浜 2015.08.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

9 December 2005
Last modified: June 14, 2008
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by pianix | 2005-12-09 00:00 | 海辺の植物 | Trackback | Comments(2)
コムラサキ(小紫)
 コムラサキ(小紫)は、シソ科ムラサキシキブ属の落葉低木です。(クロンキストとエングラー体系では、クマツヅラ科)。山に咲くムラサキシキブ(紫式部)と違って、コムラサキは花を密につけます。小さなピンク色の花を梅雨明け後に咲かせる事が多いようです。また、コムラサキは葉の鋸歯が途中から先端までの半分しかありません。どちらか迷う時は、これが同定の判断材料となります。

 8月頃に緑色の若い実をつけ、10月頃には美しい紫色に色づきます。花数と同様に実も密にたくさんつけるので、庭に植えられる事が多いようです。東海地方以西に分布します。白い実を付けるのは、シロミノコムラサキ(白実の小紫) Callicarpa dichotoma (Lour.) K.Koch f. albifructa Okuyama です。

 ムラサキシキブ(紫式部)の白実種に、シロシキブ(白式部)Callicarpa japonica Thunb. var. japonica f. albibacca H.Hara があります。
 同じ和名の蝶に、タテハチョウ科コムラサキ亜科のコムラサキ(小紫蝶) Apatura metis substituta Butler, 1873 があります。

Japanese common name : Ko-murasaki
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Callicarpa dichotoma (Lour.) K. Koch


コムラサキ(小紫)
シソ科ムラサキシキブ属
別名:コシキブ(小式部)
学名:Callicarpa dichotoma (Lour.) K. Koch
花期:6月~8月 落葉低木 樹高:200cm 花径:3~4mm 果期:9~11月

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【学名解説】
Callicarpa : callos(美しい)+carpos(果実)/ムラサキシキブ属
dichotoma : dichotomus(二叉になった・叉状分岐の)
Lour. : Joao de Loureiro (1717-1791)
K. Koch : Karl Heinrich Emil Koch (1809-1879)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川 2005.11.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 3 December 2005
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by pianix | 2005-12-03 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ボタンクサギ(牡丹臭木)
 ボタンクサギ(牡丹臭木)は、シソ科クサギ属の落葉低木です。半円球状に花を咲かせるので、遠くから見れば赤い紫陽花の雰囲気です。しかし、葉も、雄花と雌花が長く突きだした花も、クサギそっくりです。当然、葉を揉めば臭い臭いがするのですが、眺める分には別段気になりません。園芸として育てられていますが、性質が強い事から野生化する事もあるようです。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。オドリコソウ属Lamiumに由来する名です。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。旧科名のクマツヅラ科(Verbenaceae Jaume Saint-Hilaire, 1805)は、南半球に約100属3000種が分布します。クサギ属(Clerodendrum L. (1753))は、約100種が知られています。

 余談です。私は花の名前を知りたいと観察に出かけます。花の名前を覚えるのが大変なのに、学名には植物学者の名前が登場します。人の名前を覚えるのが大の苦手なのです。それでも調べようとすると相当の時間がかかってしまいます。海外のサイトに行って訳の分からない言葉と対面し、頭をクラクラさせています。

参考:クサギ(臭木)

Japanese common name : Botan-kusagi
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Clerodendrum bungei Steud.


ボタンクサギ(牡丹臭木)
別名:ヒマラヤクサギ(ヒマラヤ臭木)/ベニバナクサギ(紅花臭木)
シソ科クサギ属
学名:Clerodendrum bungei Steud.
花期:7月~9月 落葉低木 樹高:100~150cm 花序径:10cm

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【学名解説】
Clerodendrum : cleros(運命)+dendron(樹木)=Clerodendron/クサギ属
bungei : Alexander von Bunge (1803-1890)氏の/ウクライナの植物学者
Steud. : Ernst Gottlieb von Steudel (1783-1856)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 左岸土手(植栽) 2005.10.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 25, 2008
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by pianix | 2005-10-22 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハナトラノオ(花虎の尾)
 シソ科の仲間で花が大きいものの一つではないでしょうか。花穂が長いものにトラノオの名称が付きますが、花が大きいので花虎の尾。シソ科らしく茎が四角いので角虎の尾とも。当然、唇形の花は四方に咲く事になります。

 原産地はアメリカで、英名は、Virginia lion's heart。強い性格で、地下茎で繁殖するので、水さえ切らさなければ大丈夫。野生もします。ピンク、白などの花色があります。

【シソ科(Labiatae)】
参考:オカトラノオ(丘虎尾) メハジキ(目弾) ハッカ(薄荷) ウツボグサ(靭草) ホトケノザ(仏の座) ヒメオドリコソウ(姫踊子草)

Japanese common name : Hana-torano-o
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Physostegia virginiana (L.) Benth.
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ハナトラノオ(花虎の尾)
別名:カクトラノオ(角虎の尾)/フィソステギア(Physostegia)
シソ科ハナトラノオ属
学名:Physostegia virginiana (L.) Benth.
花期:7月~9月 多年草 草丈:60~120cm 花穂:10~30cm

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【学名解説】
Physostegia : physa(胞)+stege(蓋をする・蔽う)/ハナトラノオ属
virginiana : virginianus(北米バージニアの)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Benth. : George Bentham (1800-1884)

撮影地:静岡県静岡市
葵区安倍口(植栽) 2005.09.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 4 October 2005
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by pianix | 2005-10-04 00:00 | | Trackback | Comments(4)
メハジキ(目弾)
 メハジキ(目弾)は、シソ科メハジキ属の2年草です。茎は四角形、上下で全く様相の異なる葉1)をつけるのが特徴で、高さは60~100cmになります。寒さに弱い越年性の二年草で、シソ科らしい唇形の花をつけます。花冠の長さは10~13mm、萼は6~7mm。

 野草は、色々な場面で役に立っています。メハジキ(目弾)は、昔の子供の遊び道具でした。茎を瞼の間に挟み、閉じる勢いで弾き飛ばす遊びです。野性味あふれる昔の子供ならではの遊びで、今時の子供には流行りません。

 このメハジキは、養命酒にも入っています。14種の生薬の内のヤクモソウ(益母草)と記載されているのがこれです。根、茎、花、葉、実の全体が使われ、婦人薬(産前産後に用いる)として古来から使われてきました。英名のMother wort(母の草)は、近似種のLeonurus cardiacaを指しますが、洋の東西を問わず似たような意味合いの名前が付けられています。

☆  ☆  ☆

 京大のグループが植物の開花指令を出す仕組みを8月(2005年)の米科学誌サイエンスに発表しました。1937年に開花伝達に関わる花成ホルモン「フロリゲン(Florigen)」がチャイラヒャン(M.Kh.Chailakhyan 1902-1991)氏によって提唱されて以来、もっとも重要な解明の一つではないでしょうか。タンパク質「FT」が、そのフロリゲンではないかという論文です。

 一般的には、花を咲かせる仕組みが未だに分かっていなかったのかと驚かれるかもしれません。その通りで、分からない事はたくさんあります。大体が、人間が生物を根源から作った事は一度もありません。その意味でも、身近な植物であっても謎だらけと言えるのではないでしょうか。この研究で使われたのはアブラナ科のシロイヌナズナ(白犬薺)Arabidopsis thaliana (L.) Heynh.。今や植物分子生物学の最先端を行く野草として有名になりました。

1)※葉の形状
(上)茎頂(けいちょう)=切れ込みがなく、披針形(ひしんけい)か線状。
(中)茎生葉(けいせいよう)=下部は対生で、長柄があり、3深裂し羽状に切れ込む。
(下)根出葉(こんしゅつよう)=長柄があり、卵形、葉縁は小波状。

Japanese common name : Mehajiki
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Leonurus japonicus Houtt.


メハジキ(目弾)
別名:ヤクモソウ(益母草)
シソ科メハジキ属
学名:Leonurus japonicus Houtt.
花期:7月~10月 2年草 草丈:60~100cm 花径:6~7mm

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【学名解説】
Leonurus : leon(ライオン)+ oura(尾)/メハジキ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Houtt. : Maarten (Martin) Houttuyn (1720-1798)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2005.09.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 30 September 2005
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by pianix | 2005-09-30 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ハッカ(薄荷)
 ハッカ(薄荷)は、シソ科ハッカ属の多年草です。日本、中国、サハリン等に分布します。秘本では北海道から九州に分布する在来種です。名の由来は、中国名の薄荷(bòhé)から。語源の詳細は不明です。英名は、Japanese mint。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。ハッカ属(Mentha L. (1753))は、北半球の温帯に約40種が分布し、日本には2種が自生します。

 地下茎によって繁殖します。草丈は20~60cm。茎は四角。葉は対生します。葉柄があり、長楕円形で鋭頭、鋸歯があります。葉裏は腺点が目立ちます。花期は、8月から10月頃。葉腋に偽輪生の輪散花序(仮輪)を数段に付けます。花は、白から淡紫色で花径2~5mm。花冠は筒状の唇形花で上裂片は2裂、下裂片は3裂します。雄性期と雌性期があります。雄しべは約5mmで、花冠から飛び出して目立ちます。萼は筒状。萼歯裂片は先が尖った狭三角状。果実は、分果です。染色体数は、2n=96。

 主成分は、メントール (Menthol、薄荷脳) 、メントン(Menthone) 、α-ピネン(α-Pinene)、リモネン(Limonene)等です。生薬として、乾燥地上部を薄荷、葉を薄荷葉として用いられます。効能は、解熱、清涼、健胃です。

 1817(文化14)年、岡山県で栽培が始められ、明治に北海道で栽培が拡大し、精油が輸出されていました。戦前までは世界生産量の7割を占めるほどでしたが、戦後にメントール(Menthol,C10H20O)の化学合成ができるようになってから急速に栽培が衰退しました。現在は北海道で10ha程度栽培(昭和14年には北海道で2.2万ha栽培)されているだけのようです。ハッカが中国から日本に伝えられたのは西暦600年頃と推定されています。

 ハッカの記述は聖書にもあります。『律法学者たちとファリサイ派の人々、あなたたち偽善者は不幸だ。薄荷いのんど茴香の十分の一は献げるが、律法の中で最も重要な正義、慈悲、誠実はないがしろにしているからだ。これこそ行うべきことである。もとより、十分の一の献げ物もないがしろにしてはならないが。』(マタイによる福音書23章23節・新共同訳)。

 およそ2000年前の記事ですが、神に十分の一を献げる重要なことに使われている事から、大切な香辛料だったことが知られます。ちなみに、イノンド(Anethum graveolens Linn.)は、その種からディル(dill)が採れます。茴香は、ウイキョウ(Foeniculum vulgare Miller)と読み、別名フェンネル(Fennel)の事で、どちらも香辛料です。

 この場合のハッカは、ペパーミント(胡椒薄荷)Mentha x piperita L. で、他にスペアミント(緑薄荷)Mentha spicata L. があります。日本のハッカは和種薄荷とも呼ばれ、万葉の時代には、めぐさ(目草)と言われていたようです。

☆  ☆  ☆

 《写真の背景》 少年野球をやっている河川敷を歩くと、その傍らから香りがしてきました。振り返ると、そこにハッカ(薄荷)が咲いていました。辺り一面に香りを振りまいているものの、野球関係の親御さん達は一向に興味を示す様子がありませんでした。

参考:マルバハッカ(丸葉薄荷) ヤマハッカ(山薄荷)

Japanese common name : hakka
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Mentha canadensis L. var. piperascens (Malinv. ex Holmes) H.Hara


ハッカ(薄荷)
別名:ニホンハッカ(日本薄荷)
シソ科ハッカ属
学名:Mentha canadensis L. var. piperascens (Malinv. ex Holmes) H.Hara
花期:8月~10月 多年草 草丈:20~60cm 花径:2~5mm

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【学名解説】
Mentha : Menthe(ギリシャ神話の女神の名)に因む/ハッカ属
canadensis : カナダの
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
piperascens : コショウ(Piper)のような
Malinv. : Louis Jules Ernst Malinvaud (1836-1913)
ex : ~による
Holmes : Edward Morell Holmes (1843-1930)
H.Hara : 原 寛 Hiroshi Hara (1911-1986)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2005.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

27 September 2005, 03 February 2015
Last modified: 17 August 2016
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by pianix | 2005-09-27 00:00 | | Trackback | Comments(5)
ハマゴウ(浜栲)/花
 浜辺に到着して真っ先に出迎えてくれたのは、ハマゴウでした。砂地を這い、途中から直立して葉を輪状に出しています。青紫色の唇形の花を咲かせていました。花冠は5裂し、雄しべ4本と雌しべ1本があります。葉の縁取りが白く見えますが、葉裏に毛が密生しているからです。草本のようですが、実は木本。

 浜辺の砂は年々減少しているようすです。私が子供の頃、砂浜が続いていたのを記憶しています。その範囲が狭まり、テトラポットが雰囲気を壊すまでになりました。河口付近ではサーフィンを楽しむ若者と釣り人がいました。波のとどろきは以前と変わりません。

 波によって実が運ばれて、各国の浜辺に広がり、そこで花を開かせているハマゴウです。異国の地でこのハマゴウを眺めている人がいるかもしれないと想像を馳せると、地図上の国境は消えて無くなります。実は生薬ではマンケイシ(蔓荊子)と呼ばれて滋養強壮、解熱、消炎に使われるそうです。茎と葉は乾燥させて入浴剤としても使えるそうで、神経痛、腰痛、筋肉痛、肩こり、冷え性に効果があるとされています。

 ハマハヒ(浜未浜比)からハマホウへ、そしてハマゴウと名前が変遷したであろうと言われています。線香として使われた事から「浜香」の説もあります。「荊」は棘のある低木の総称ですが、ハマゴウには棘がありません。「栲」は布類の総称です。

参考:ハマゴウ(浜栲)/実

Japanese common name : Hamagou
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Vitex rotundifolia L.f.

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葉は対生する。花冠は漏斗状で上部が5裂する。雄しべは4個。
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ハマゴウ(浜栲)
別名:ハマハヒ(浜未浜比)
シソ科ハマゴウ属
学名:Vitex rotundifolia L.f.
花期:7月~9月 落葉小低木 樹高:30~60cm 花径:10~15mm
果期:9月~10月 実径:約8mm

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【学名解説】
Vitex : vieo(結ぶ)/ハマゴウ属
rotundifolia : rotundifolius(円形葉の)
L.f. : Carl filius Linnaeus (1741-1783)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0km 左岸浜辺 2005.07.30, 2005.09.14, 2006.7.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

2 September 2005, 9 September 2015
Last modified: 22 November 2017
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by pianix | 2005-09-02 00:00 | 海辺の植物 | Trackback | Comments(0)