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スギ(杉)
 スギ(杉)は、ヒノキ科スギ属の常緑高木です。日本が原産で、秋田県以西から九州屋久島まで分布します。日本特産の針葉樹とされています。縄文時代には落葉樹と共に大森林を形成していた事が分かっています。名の由来は、まっすぐに伸びる意味の直木(すぐき)からスギに変遷したとの説があります。吉野杉、秋田杉、北山杉などの産地に因んだ銘木があり、推定樹齢2500年から3000年と言われる縄文スギは著名です。英名は、Japanese Cedar(日本杉)。

 旧スギ科(Taxodiaceae Saporta (1865))は、世界に10属16種程が分布します。日本にはスギ属(Cryptomeria D. Don (1838))のスギだけが自生します。現在は、ヒノキ科(Cupressaceae Gray (1822))に分類されます。

 樹皮は褐色で幹の樹皮は縦に裂けます。葉の先は針状に尖ります。花期は3月から4月頃まで。雌雄同株です。雌花は5mm程の球形で緑色です。雄花は楕円形で、小枝の先に多数が付きます。この雄花から黄色で33×39μm(最大値)程の花粉を大量に飛ばす風媒花です。VI級(26年生)以上のスギは花粉生産量が多いとされています。実は球果で直径15~25mm、緑色から熟して茶色になります。染色体数は、n=11, 2n=22。品種により異なり、2n=2x=22, 2n=3x=33, 2n=4x=44。

 スギの人工林が展望無く多く作られ、花粉症の被害が広がりました。商業的に成長が早いスギを安易に植林したのが原因です。森の自然体系を守るには、間伐は必要な事です。実は、森を守るには大変な労力が必要なのです。林野庁は、スギ林の中から雄花が多い木を選び伐採する計画を実施しています。スギ花粉にアレルギーを持つ人の多くがヒノキ花粉でもアレルギーを起こす事が分かっています。一度に全てを伐採してしまいたい花粉症患者もいる事でしょう。しかし、大規模な大量伐採が行われると山肌が地崩れを起こすなどの自然災害を誘発する事になります。伐採した木材の利用を確保し、植林をしながら進めなければいけないので経費もかさみます。問題点は、林業に活力がない事です。外材に押され、売れば赤字がかさむという状況があります。

 有益な森林を伐採する愚かさも過去にはありました。南方熊楠1)は、神社合祀反対運動を起こしました。鎮守の森の木が商業目的で合法的に伐採されて行くのに反対したものです。また、森林伐採や隠花植物、及び粘菌が絶滅することを危惧したのですが、その結果、投獄に至りました。彼の粘り強い働きのお陰で、森は禿山にならなかったと言えるほどです。日本でのエコロジー先駆者と言われています。彼の訴えで残った巨木「野中の一方杉」は熊野古道の名所の一つです。森は河川流域だけでなく海にまで影響を及ぼします。その為、現代人が真剣に考えなければならないエコロジーの原点と言えます。

 杉は諸外国でも有用な建築材料です。聖書には、ソロモン王がレバノンスギ2)で宮殿を建てた記述があります。「彼は神殿の内壁を床から天井の壁面までレバノン杉の板で仕上げ、内部を木材で覆った。神殿の床にも糸杉3)の板を張り詰めた。また、神殿の奥の部分二十アンマに床から天井の壁面までレバノン杉の板を張って、内部に内陣、すなわち至聖所を造った。 」列王記6章15~16節(新共同訳聖書)。ただし、このレバノンスギは、マツ科ヒマラヤスギ属の針葉樹です。

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 私は、入浴中に新聞を読みます。それが習慣になってしまっています。新聞は隅から隅まで、一部数字の羅列欄を除いて読みます。野草観察から帰っても風呂に入ります。花粉取りシャンプーも用意して使っています。花粉を家の中にばらまかない為です。私自身は、花粉の吹き飛ぶ河川敷に長くいても全く大丈夫なのですが、家族には気を遣います。

1)南方熊楠 Kumagusu Minakata (1867-1941)
2)レバノンスギ(Lebanon杉):マツ科ヒマラヤスギ属 Cedrus libani A. Rich. 1823
3)イトスギ(糸杉):ヒノキ科イトスギ属/ホソイトスギ Cupressus sempervirens L.

Japanese common name : Sugi
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Cryptomeria japonica (L. fil.) D. Don

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【上段】 雄花。 【下段】 左:球果 右:樹皮
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スギ(杉)
ヒノキ科スギ属
学名:Cryptomeria japonica (L.f.) D.Don, 1839
花期:3月~4月 常緑高木 樹高:30~40m 果期:9~10月

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【学名解説】
Cryptomeria : cryptos(隠れた)+meris(部分・関節・突起)/スギ属
japonica : japonicus/japonicum(日本の)
L.f. : Carl von Linne, filius (1741-1783)
D.Don : David Don (1799-1841)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.50km 左岸 2006.03.02
牛ヶ峰(高山) 2008.03.21, 2015.01.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

11 March 2006, 13 January 2015
Last modified: 20 January 2015
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by pianix | 2006-03-11 00:00 | | Trackback | Comments(0)