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ハタケニラ(畑韮)
 野草観察の出先で、畑仕事をしている農家の方と話をする事が良くあります。ハタケニラを見つけて観察していると、困った顔で話しかけてきました。「困ったもんでなあ、そりゃあ抜いても抜いても駄目だ」と言います。「どうして?」「しっかり抜いたつもりでも鱗茎がポロポロとこぼれるし、それですぐに出てくるんだ」。抜いて私に見せてくれました。「名前は知らんが、困った奴だ」「ハタケニラです」「ハタケニラっていうのか? ニラじゃあねえだ、違うぞ」。名前は知らなくても、戦う相手の特徴を的確に把握しています。生活がかかっているからです。畑では強害草です。

 ハタケニラ(畑韮)は、ヒガンバナ科ステゴビル属の多年草です。北アメリカ原産で、渡来時期は明治の中期とされています。園芸愛好家が移入したものが逸出したと考えられています。日本では近年増え始め、全国に広がっている帰化植物です。名の由来は不明ですが、葉がニラ(韮)に似ていて畑に生えるからと考えられます。しかし、ニラはネギ属であり、本種とは別属です。英名は、Fragrant false garlic、あるいはOnion weed。

  ヒガンバナ科(Amaryllidaceae J.St.-Hil. (1805)) は、世界の熱帯から温帯にかけて約59属860種が分布します。クロンキスト体系ではユリ科(Liliaceae Juss. (1789))で、世界の熱帯と温帯に約280属4000種が分布します。属名のステゴビル(Nothoscordum Kunth, 1843)は、一見外国語風ですが、「捨て小蒜」で和名です。約115種があります。以前はハタケニラ属とされていました。

 野や畑、道端などで自生します。地下に鱗片状の子球をつけた白色の鱗茎があり、栄養繁殖します。繁殖力が強く、農地では強害草とされます。葉は線形で、長さ約30cm。ニラ臭はありません。花期は5月から6月頃。 状況によっては夏の終わり頃まで続きます。30~60cmに伸ばした茎の先に総苞を付けます。そこから細い無毛の花茎を伸ばし、散形花序に6花被片の小さな花を10前後つけます。苞葉は膜質で2個。花被片は白色で、花被片外側に暗赤色の筋が入り、長さ約1cm。花径約1.5cm。雄しべは、花糸に翼があり6本、葯は黄色。果実は朔果で長さ6~7mm。種子は黒色の楕円形で約2mmです。染色体数は、2n=19。

Japanese common name : Hatake-nira
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Nothoscordum gracile (Dryand.) Stearn
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膜質の苞葉
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雄しべ6本と花柱
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花と鱗茎


ハタケニラ(畑韮)
ヒガンバナ科ステゴビル属
学名:Nothoscordum gracile (Dryand.) Stearn
synonym : Nothoscordum fragrans (Vent.) Kunth
花期:5月~6月 多年草 草丈:30~60cm 花径:1~1.5cm

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【学名解説】
Nothoscordum : nothos(偽)+scordon(ニンニク)/ステゴビル属
gracile : gracilis(細い)
Dryand. : Jonas Carlsson Dryander (1748-1810)
Stearn : William Thomas Stearn (1911-2001)
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synonym : (シノニム) 同意語、異名:同物異名
fragrans : 芳香のある
Vent. : Etienne Pierre Ventenat (1757-1808)
Kunth : Carl Sigismund Kunth (1788-1850)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.50km 左岸土手に隣接する畑 2006.05.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 June 2006
Last modified: 19 March 2015
Scientific name confirmed: 14 September 2015
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by pianix | 2006-06-15 00:00 | | Trackback | Comments(0)