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イチモンジセセリ(一文字挵)
 ある日、河川敷で身動きせずに撮影している女性がいました。遠目でもニラ(韮)の花を写しているのが分かりました。よほど詳細にこだわっている方とお見受けし、話しかけてみました。写しているのはニラではなくて、ニラに止まって吸蜜している、蝶のイチモンジセセリでした。ピントが合わないので時間が掛かっていたのでした。デジカメでマニュアル操作ができない機種でした。そこでマクロでのピントの合わせ方を教えてあげると、綺麗に写ったと喜んでくれました。私が良くやっている、被写体の背景にピントが合わないように対象物の裏側を手の平で覆い隠す方法です。勿論、ピントが合ったら手は引っ込めます。何故イチモンジセセリを写しているのかと聞いたら、「だって、目が可愛いでしょう」との事。確かに、大きな目は可憐な感じがしないでもありません。「どうしてニラの花にいる時は逃げないのかしら」と素朴な疑問も持たれていました。

 イチモンジセセリ(一文字挵)は、セセリチョウ科セセリチョウ亜科イチモンジセセリ属の昆虫で、小型普通種の蝶です。本州以西に分布します。セセリチョウの仲間は国内に30種ほどが生息します。国外では東アジアに広く分布します。南方系の蝶で、越冬可能な地域は関東以西であり、関東以北に現れるのは移動してきたものです。渡をする蝶としても知られています。

 名の由来は、後翅に白色の紋が一直線に並ぶセセリチョウの仲間である事から。セセリとは、「突く」とか「もてあそぶ」の意味です。英名は、rice skipper。体長は18~20mm、翅を広げると30~35mmです。頭部は丸みを帯びて、胴体が太く、地色は茶褐色です。三角状の翅と先端が黒くなった棍棒形の触角があります。口吻で吸蜜します。鱗粉が多いので一見、蛾のように見えますが、飛翔は敏速です。

 昆虫は変温動物なので、環境の温度に影響を受けます。最適温度は18~25度と言われています。温度と体温が同じ時はじっとしている状態になります。イチモンジセセリ成虫の環境温度と活動の関係は次のようになります。8.8度では僅かに動く程度、18.9度で正しい姿勢を取る事ができるようになり、19.7度で歩く事ができます。24.5度から飛翔するようになり、37.8度で興奮状態、44.9度では仮死状態に陥ります。

 完全変態します。卵は灰褐色の半球状で直径1mm前後。葉の裏に1個ずつ産卵します。幼虫で越冬します。終齢幼虫の体長は、30~35mm。全体は淡緑色をしています。頭部は褐色で黒褐色の斑紋があり、紡錘形。腹部は白色で、背面に褐色の筋模様がある芋虫です。頭部の色彩斑紋は齢期によって異なるようです。稲の葉を綴り合わせてツト(苞)と言われる筒巣を作ります。そこから、ツトムシ(苞虫)、あるいはイネツトムシ(稲苞虫)と呼ばれます。夜間にツトから出て稲を食害するので、害虫として農家の嫌われ者となっています。但し、これが大量に発生するのは、食草である稲の豊作によるものですから、豊年虫とも言われます。蛹は体長25mm程で、黒褐色の円筒型をしています。似た蝶に、チャバネセセリ(茶羽根せせり)Pelopidas mathias oberthueri (Evans, 1937)がいます。

参考文献:イチモンジセセリの発育に及ぼす温度の影響 江村 薫,内藤 篤 埼玉県農業試験場研究報告 (43), p36-43, 1989-03

上部から見た写真→
※セセリ「挵」の漢字は、Unicode:U+6335

Japanese common name : Itimonji-seseri
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Parnara guttata guttata (Bremer et Grey, 1852)

イチモンジセセリ(一文字挵)
チョウ目(鱗翅目)セセリチョウ科セセリチョウ亜科イチモンジセセリ属
学名:Parnara guttata guttata (Bremer et Grey, 1852)

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体長:(前翅長)15~21mm/(開張)35mm
出現期:6月~11月(年4~5回)
分布:本州・四国・九州・沖縄
食草:セイバンモロコシ、イネ、ススキ、ヒメシバなどのイネ科
成虫吸蜜:アザミ類・キク類・ハギ類

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.5km左岸河川敷 2006.09.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

12 September 2006
Last modified: 08 September 2010
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by pianix | 2006-09-12 00:00 | | Trackback | Comments(0)
コミスジ(小三筋)
 コミスジ(小三筋)は、タテハチョウ科タテハチョウ亜科ミスジチョウ属の蝶です。ヨーロッパ・中央アジアからヒマラヤ・東アジア等の旧北区に分布します。日本では、北海道・本州・四国・九州に分布する普通種です。名の由来は、三本の白線紋がある小型の蝶である事から。英名は、Common Sailer、あるいはCommon Glider。コミスジはタテハチョウの仲間です。

 タテハチョウ科(Nymphalidae Rafinesque, 1815)は南極を除く世界の大陸に6,000種ほどが分布すると言われています。タテハチョウ科の特徴は、翅の表と裏の模様が異なっているものが多く、前脚が退化して短くなっている事です。

 成虫の前翅長は22~30mm。メスはオスよりやや大きめです。地色は茶褐色で、白色横帯と白紋があり、裏面は濃茶褐色です。前翅付け根から出る白色帯は、中室端で2つに分離します。この部分の白点が細かくなっているのがホシミスジ(星三筋)で、滑らかな白線状になるのがミスジチョウ(三筋蝶)、白線上縁がギザギザ状で前翅の先端に白紋があるのがオオミスジ(大三筋)です。

 触覚の先端は3稜があります。飛行の特徴は滑空する事。花の蜜を吸汁します。幼虫は灰褐色で体長は約24mm、前後に小突起があります。マメ科の植物を食べます。終齢(5齢)幼虫は落ち葉の中で越冬します。蛹は尾部のカギ状器官で逆さにぶら下がります。

Japanese common name : Ko-misuji
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Neptis sappho intermedia (W.B. Pryer, 1877)
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2006.08.02
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2009.07.13 
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2009.07.13


コミスジ(小三筋)
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科タテハチョウ亜科ミスジチョウ属
学名:Neptis sappho intermedia (W.B. Pryer, 1877)

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体長:(前翅長)22~30mm/(開張)45~54mm
出現期:4月~10月(年2~4回)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:(幼虫)マメ科・ニレ科

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から14.25km 左岸土手 2006.08.02
賤機山(Alt.140m) 2009.07.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

5 September 2006
Last modified: July 13, 2009
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by pianix | 2006-09-05 00:00 | | Trackback | Comments(0)
モンシロチョウ(紋白蝶)のイナバウアー
 モンシロチョウがいました。いきなり私の前でイナバウアーをしたので驚きました。そこへオスがやってきたので、事の成り行きが分かり安心しました。私からメスを守る為にオスが応援に駆けつけたという訳ではありません。オスが交尾を仕掛けてきたのですが、振られてしまったのです。蝶は、頭・胸・腹に分かれていますが、腹部を大きく反り返らせる事ができます。

 モンシロチョウ(紋白蝶)は、シロチョウ科シロチョウ亜科モンシロチョウ属の蝶です。温帯と亜寒帯(日本・朝鮮半島・中国・中央アジア・ヨーロッパ)に広く分布します。日本では全国に分布する普通種です。奈良時代に大根の栽培と共に移入されたと考えられている帰化昆虫です。名の由来は、シロチョウの仲間で斑点の紋がある事から。英名は、Small White、あるいはCabbage White。

 シロチョウ科は、ほぼ全ての大陸に約1000種類が分布します。シロチョウ科(Pieridae)は、コバネシロチョウ亜科、マルバネシロチョウ亜科、モンキチョウ亜科、シロチョウ亜科の4亜科に分類されます。モンシロチョウはシロチョウ亜科に属します。

 前後翅の前縁が灰黒色で、前翅中央に灰黒色の斑点が2つあります。オスと比べた場合、メスの黒色紋は大きく鮮明になります。オスの地色は白色に黄色味を帯びますが、メスの地色は白色です。また、前翅の中室に灰黒色が強く出るのもメスの特徴です。紫外線によってメスの翅は白く、オスの翅は黒く見えるようで、これで雌雄の区別をしていると言われています。

 メスが翅を開いて腹部を高く突き出しイナバウアーをするのは、交尾拒否姿勢です。すでに交尾が済んでいる場合に、オスに対する合図として行います。完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)します。卵は黄色で1mm程。1週間ほどで孵化します。幼虫は青虫で、4回の脱皮で体長4cm程になります。蛹は糸のバンドで固定されます。蛹で越冬します。

Japanese common name : Monsiro-tyou
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▲腹部を高く突き出し交尾拒否をするメス
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▲オスが近寄ってきたところ


モンシロチョウ(紋白蝶)
チョウ目(鱗翅目)シロチョウ科シロチョウ亜科モンシロチョウ属
学名:Pieris rapae crucivora (Boisduval, 1836)

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出現期:3月~11月(年2~7回)
体長:(開張)45~60mm/(前翅長)20~30mm
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄
食草:アブラナ科(キャベツ・大根)/フウチョウソウ科

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から10km 右岸河川敷 2006.07.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 2 September 2006
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by pianix | 2006-09-02 00:00 | | Trackback | Comments(8)
キンモンガ(金紋蛾)
 キンモンガ(金紋蛾)は、アゲハモドキガ科の昼行性の蛾です。本州・四国・九州に分布する日本固有種です。名の由来は、黒地に黄色の紋があることから。

 アゲハモドキガ科(Epicopeiidae Swinhoe, 1892)は、アジアと旧北部に3属6種が分布します。日本には4種が分布します。

 6月から8月頃、山地に現れます。昼行性の蛾は、蝶のような色彩を持つものが少なくありません。黒地に白色や淡黄色の紋があります。白色紋の種は銀紋蛾とでも呼びたくなりますが変異の範疇です。翅の後ろ端には各1カ所、計4カ所の白帯があります。前翅長は、18~20mm、開張で32~39mmです。

 成虫は花の蜜を吸汁します。葉の上に翅を広げて止まっている事が多いようです。完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)をします。幼虫は体長20mm前後で、リョウブ(令法)1)の葉を食草とします。繭は白色。蛹で越冬します。

 近似種に、希少種のフジキオビ(Schistomitra funeralis Butler, 1881)があります。

★  ★  ★

 昆虫を研究する学会は多数ありますが、その内の一つに、蝶や蛾を扱う日本鱗翅(りんし)学会があります。この会長さんである高橋さんが行った蝶の生息調査が新聞に掲載されていました。静岡市葵区にお住まいの方です。南アルプスなどに生息する蝶の古里を確認する為にシベリア奥地で調査をして成果を上げてきました。氷河期や温暖化を経て蝶の分布が変化していく様子を解明しています。近隣にこのような方がいらっしゃるのは心強い限りです。なお、国立・国定公園特別地域内では、捕獲等を規制されている蝶がありますから、そのような場所では充分な注意が必要です。

1)Clethra barbinervis Siebold et Zucc.

Japanese common name : Kinmon-ga
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Psychostrophia melanargia Butler, 1877
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キンモンガ(金紋蛾)
学名:Psychostrophia melanargia Butler, 1877
チョウ目(鱗翅目)アゲハモドキガ科

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体長:(前翅長)18~20mm/(開張)32~39mm
出現期:6月~8月(年2回)
分布:本州・四国・九州
食草:リョウブ科

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.08.18
林道佳山線 2016.09.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

31 August 2006
Last modified: 13 September 2017
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by pianix | 2006-08-31 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヒロヘリアオイラガ(広縁青毒棘蛾)
 ヒロヘリアオイラガ(広縁青毒棘蛾)は、イラガ科イラガ亜科アオイラガ属の蛾です。中国からインドが原産です。日本には1920年頃に侵入したと言われ、1960年以降に帰化し、1980年頃から増え始めた外来昆虫です。関東以西に分布します。

 緑色で前翅の縁に褐色の帯(黒褐色斑)があります。類似種のアオイラガ(青毒棘蛾)より褐色の帯部分が広くなっています。成虫の体長は14~16mm。イラガ科(Limacodidae Duponchel, 1845)は、国内には約20種類がいるとされ、植物防疫法による検疫有害動物に指定されています。

 幼虫や繭には毒毛があり、刺されると激痛が起き皮膚炎を発症します。有毒毛虫です。幼虫は緑色で背中に筋模様があり、放射状に伸びた毛束(肉状突起)を付けます。後胸に一対の突起があり、そこに橙色の棘があります。アオイラガと似ていますが、アオイラガの棘は黒色です。完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)をします。孵化後の初期段階では集団で葉を食害します。繭で越冬します。繭は褐色で12mm前後の扁平な楕円球状です。

Japanese common name : Hiroheri-ao-iraga
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Parasa lepida (Cramer, 1777)


ヒロヘリアオイラガ(広縁青毒棘蛾)
チョウ目(鱗翅目)イラガ科イラガ亜科アオイラガ属
学名:Parasa lepida (Cramer, 1777)

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体長:14~16mm/(開張)約30mm
出現期:4月~10月(年2回)
分布:本州(関東以西)・四国・九州・沖縄
食草:サクラ、カシ、モミジ等(広食性)

撮影地:静岡県静岡市
自宅/採取は清水区高橋 2006.08.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 29 August 2006
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by pianix | 2006-08-29 00:00 | | Trackback | Comments(2)
アカマダラメイガ(赤斑螟蛾)
 アカマダラメイガ(赤斑螟蛾)は、メイガ科マダラメイガ亜科の小型の蛾です。日本・シベリア・朝鮮・中国・台湾・インド・ヨーロッパの広範囲に分布します。日本では全国に分布します。名の由来は、赤い配色を持ったマダラメイガから。螟は植物の茎に穴を開けて食害する虫の事。

 メイガ科(Pyralidae Latreille, 1809)は世界に10000種以上、日本には約650種があると言われています。成虫は、翅が狭い種で、害虫として扱われる場合が多いようです。完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)をします。

 体長は22~28mmで、幼虫はメドハギ(蓍萩)をはじめ、ミヤコグサ(都草)、シロツメクサ(白詰草)等のマメ科植物を食べます。触角は長く糸状です。翅は4枚あります。赤くなっているのは前翅の縁です。グリーンの目が、とぼけた雰囲気を出して可愛いと感じる人もいます。類似種に、穀物や菓子の保管物を加害するノシメマダラメイガ(熨斗目斑螟蛾)の幼虫があり、台所で発生する害虫として知られていることから、イメージは悪いかもしれません。

 日本には鱗翅目(チョウ目)は5000種以上あると言われています。その内、蝶は約280種で残り全部が蛾になります。それで、チョウ目ではなく、ガ目とも言われます。昼に行動するのが蝶で、蛾は夜であるとのイメージがあります。そして蛾は4枚の翅に付いた鱗粉や毛が多く、嫌われる原因ともなっています。しかし、昼に行動する蛾もあり、蝶のような形態をしています。気温が上がる昼に行動する場合、鱗粉や毛を多く付ける事は得策でないからです。日本では蝶と蛾を区別していますが、これは明治以降の教育によるところが大きいと思われます。

Japanese common name : Aka-madara-mei-ga
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Oncocera semirubella (Scopoli, 1763)


アカマダラメイガ(赤斑螟蛾)
チョウ目(鱗翅目)メイガ科マダラメイガ亜科
学名:Oncocera semirubella (Scopoli, 1763)

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体長:(開張)22~28mm
分布:北海道・本州・四国・九州
出現期:6月~8月
食草:マメ科(メドハギ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から10.50km 左岸河川敷 2006.05.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 August 2006
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by pianix | 2006-08-18 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ヒロオビトンボエダシャク(広帯蜻蛉枝尺蛾)
 ヒロオビトンボエダシャク(広帯蜻蛉枝尺蛾)は、シャクガ科エダシャク亜科の蛾です。海外では中国・朝鮮に、国内では北海道から九州までに分布する昼行性の蛾です。名の由来は、腹の形状が蜻蛉に似て節模様があり、その帯模様の幅が広い事によります。

 日本には5000種以上の蛾がいると言われています。シャクガ科(Geometridae Leach, 1815)の幼虫は、体を曲げ伸ばして進む、いわゆる尺取り虫で、そこからシャクガの名前が付いています。日本には600種以上がいるといわれています。写真は、オニグルミの葉に止まっているところ。

 翅は4枚で、黒色の地色に白色の斑紋があります。前翅と後翅は似た模様になっています。腹部はオレンジ色の地肌に黒紋が不規則にあります。トンボエダシャクの場合は黒紋は長方形です。触角の先端は、蝶と異なり棍棒状にはなりません。成虫は、クリやヒメジョオンの蜜を吸います。卵・幼虫・蛹を経て成虫になる、完全変態をします。終齢の幼虫は40mm内外で、薄黄色の地色に黄色の節があり、節毎に黒色の縦縞があります。

 近似種に、トンボエダシャク(蜻蛉枝尺蛾)Cystidia stratonice stratonice (Stoll, 1782)や、ウメエダシャク(梅枝尺蛾)Cystidia couaggaria couaggaria (Guenee, 1858)がいます。

Japanese common name : Hiroobi-tonbo-edasyaku
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Cystidia truncangulata Wehrli, 1933


ヒロオビトンボエダシャク(広帯蜻蛉枝尺蛾)
チョウ目(鱗翅目)シャクガ科エダシャク亜科
学名:Cystidia truncangulata Wehrli, 1933

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体長:(開張)48~58mm
出現期:6月~8月
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:ニシキギ科(ツルウメモドキ・マユミ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から10.50km 右岸河川敷 2006.06.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 June 2006
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by pianix | 2006-06-27 00:00 | | Trackback(1) | Comments(4)
カノコガ(鹿子蛾)
 カノコガ(鹿子蛾)は、ヒトリガ科カノコガ亜科の蛾です。昼行性の蛾で、日本全国に分布し、成虫は花の蜜を吸汁します。幼虫はタンポポの枯れ葉を食草としているようです。キオビツチバチ(Scolia oculata (Matsumura, 1911))等に擬態していると言われています。名の由来は、翅の斑紋が子鹿の模様に似ているからだとされています。

 以前はカノコガ科(Ctenuchina W.Kirby, 1837)とされていましたが、現在ではヒトリガ科(Arctiinae Leach, 1815)のカノコガ亜科(Syntominae)に分類されています。チョウ目(鱗翅目)は、日本には約5000種以上あり、蝶と呼ばれるものは約280種類で、蛾は約4800種とされています。

 頭部は光沢のある黒色をしています。頭部・肢・触角全体に黒っぽい色です。触覚は糸状。翅には黒褐色の地に半透明の白い斑紋があります。胴体地色は黒色で、オレンジ色の帯び模様が胴体を一周する2本があります。それ以外に短い帯模様が腹部に4本あります。幼虫(毛虫)で越冬します。完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)します。

 本種は人の生活圏内で見られますが、生態に関しては不明なところが多く、研究が進められています。その1つとして、配偶行動にはフェロモンが関与する可能性が高い事が報告1)されています。

 ヒトリガ科カノコガ亜科Amata属には、次の種類がいます。
ツマキカノコ(褄黄鹿子)Amata flava aritai Inoue, 1965 [与那国島に分布]
カノコガ(鹿子蛾)Amata fortunei fortunei (Orza, 1869)
キハダカノコ(黄肌鹿子)Amata germana nigricauda (Miyake, 1907)

1)昼行性蛾類カノコガAmata fortuneiの飼育法と配偶行動 近藤勇介(岐阜大)・中 秀司(農環研)・安藤 哲(農工大)・土田浩治(岐阜大)

Japanese common name : Kanoko-ga
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Amata fortunei fortunei (Orza, 1869)
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カノコガ(鹿子蛾)
チョウ目(鱗翅目)ヒトリガ科(カノコガ亜科)カノコガ属
学名:Amata fortunei fortunei (Orza, 1869)

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体長:(前翅長)15~18mm/(開張)30~37mm
出現期:6月~9月(年2回)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:タンポポ・シロツメグサ・スギナ・ギシギシ

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.06.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 June 2006
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by pianix | 2006-06-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤマトシジミ(大和小灰蝶)
 ヤマトシジミについて話をしていると噛み合わなくなる事があります。貝と蝶で同じ和名の生物がいるからです。異物同名(homonym)は幾つもあり、お互いに失笑する事になります。貝のヤマトシジミはCorbicula japonica Prime, 1864ですが、ここでは蝶のヤマトシジミについて書いています。しかし、本家は貝の方で、翅裏がシジミ貝の内側に似ている事からシジミチョウの名が付けられています。ヤマトは「大和」で、日本の事です。

 ヤマトシジミ(大和小灰蝶)は、シジミチョウ科ヒメシジミ亜科ヤマトシジミ属の昆虫です。日本本州北部から沖縄までに分布する小型の蝶です。低地性の蝶で、極普通に見られます。北朝鮮南部が北限のようです。シジミチョウ科(Lycaenidae)は、9亜科に分類されます。日本に生息するものは、ウラギンシジミ亜科・カニアシシジミ亜科・ベニシジミ亜科・ヒメシジミ亜科・ミドリシジミ亜科の5亜科があります。ヤマトシジミはハマヤマトシジミ属(Zizeeria)でしたが、ヤマトシジミ属(Pseudozizeeria)に転属されました。「偽の」という意味のPseudoが付き、偽のハマヤマトシジミ属と怪しい名前になっています。

 翅の表面は雄と雌で異なります。雄は淡青白色で、雌は暗褐色をしています。裏面は褐色を帯びた灰白色地で、黒の斑紋があります。夏に出現するものは小型です。幼虫で越冬します。卵は扁平で細かな網目があります。幼虫は草鞋(わらじ)型で、終令幼虫は緑色で12mm内外です。蛹は、シジミチョウ共通のだるま型で、黄緑色あるいは淡褐色です。

 食草のカタバミは、どこにでも生える強い野草なので、生育に困る事はなさそうです。他の蝶には、河川が整備される事によって食草を失い絶滅へと向かうものもあります。類似種にゴマシジミ(胡麻小灰蝶)aculinea teleius (Bergstrasser, 1779)、誤認しやすいルリシジミ(瑠璃小灰蝶)Celastrina argiolus ladonides (de l'Orza, 1869)がいます。

Japanese common name : Yamato-sizimi
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Pseudozizeeria maha argia (Menetries, 1857)
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交尾


ヤマトシジミ(大和小灰蝶)
チョウ目(鱗翅目)シジミチョウ科ヒメシジミ亜科ヤマトシジミ属
学名:Pseudozizeeria maha argia (Menetries, 1857)

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体長:(前翅長)9~16mm/(開張)20~28mm
出現期:3月~11月年(年5~6回)
分布:本州・四国・九州・沖縄
食草:(幼虫)カタバミ科(カタバミ)

撮影地:静岡県静岡市
葵区西ヶ谷 2006.03.13
賤機山 2009.07.22

Last modified: 31 September 2009
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by pianix | 2006-03-18 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ベニシジミ(紅小灰蝶)
 蝶の翅の模様は様々です。しかし、表面と裏面では全く異なる色彩や模様を持つものが多く、蝶を見慣れない方にとっては、全く違った蝶だと思ってしまうかもしれません。裏面とは翅を閉じた時に見える面です。人間を例えて考えると、こちらが表ではないかと思ってしまいます。

 ベニシジミ(紅小灰蝶)は、シジミチョウ科ベニシジミ属の昆虫です。日本での生息範囲は、北海道から九州まで広範囲に渡ります。草原性で明るく開けたところを好みます。汎世界種の一つです。シジミチョウ科(Lycaenidae)は、世界中に分布し約5500種を抱える、鱗翅目の中で最大の科です。ベニシジミ亜科は、旧北区のユーラシア大陸と新北区の北アメリカに広く分布します。日本には、シジミチョウ科の仲間は80種程いますが、ベニシジミ亜科は、ベニシジミの一種だけです。

 翅に黒褐色の地に紅色の模様がある小型の蝶です。春型は明るい橙赤色で、夏型は黒っぽい橙赤色になります。前翅の表は黒褐色の縁取があり、後翅の表は黒褐色で、縁に赤橙色の帯模様があります。タデ科の植物に卵を産み付けます。幼虫で越冬します。幼虫は10mm程で、緑色で紫色の筋が入ります。食草のタデ科植物は川沿いに多い事から、河川の土手に多く現れます。「蓼食う虫も好き好き」の代表格と言えます。

 ベニシジミの翅裏面は、「ベニシジミ(紅小灰蝶)2005年」をご覧下さい。どちらの模様が好きかは様々と思います。

Japanese common name : Beni-sizimi
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Lycaena phlaeas daimio (Matsumura, 1919)
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2006.03.15

追記:2006.03.18
 J.Jさんからベニシジミの幼虫写真を送って頂きました。ありがとうございます。
 「幼虫も紅をさしています。プレゼントです。喜んでいただけますように。3月11日川原で見つけました。」
田中川の生き物調査隊
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Photo by J.J (田中川の生き物調査隊)


ベニシジミ(紅小灰蝶)
チョウ目(鱗翅目)シジミチョウ科ベニシジミ属
学名:Lycaena phlaeas daimio (Matsumura, 1919)

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体長:(前翅長)15~18mm/(開張)27~35mm
出現期:3月~11月(年3~5回)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:(幼虫)タデ科(ギシギシ、スイバ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km 左岸土手 2006.03.15
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 17 March 2006
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by pianix | 2006-03-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)