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モミジイチゴ(紅葉苺)
 モミジイチゴ(紅葉苺)は、バラ科キイチゴ属の落葉低木です。本州の中部地方以北から北海道に分布する日本固有種です。日本の東西で地域変異があり、西日本に母種のナガバモミジイチゴ(長葉紅葉苺)1)、東日本に変種としてのモミジイチゴが分布します。名の由来は、葉がモミジ2)に似ているキイチゴ(木苺)3)である事から。別名のキイチゴ(黄苺)は、黄色の実を付ける事によります。

 バラ科(Rosaceae Juss, 1789)は、南極を除く、ほぼ全ての大陸に約107属3100種が分布します。キイチゴ属(Rubus L. (1753))は、北半球の寒帯から温帯地方に多く、南半球の熱帯山岳地区、北極圏と太平洋の島々にも分布し、400~500種あります。日本には8亜属70種が自生します。

 山野の明るい場所に自生します。地下分枝型の地下茎を伸ばし群生します。茎には3mm程の棘があり、分枝して斜上し、高さ100~200cmになります。葉柄は3~8cm。葉は互生します。長さ7~15cm、幅1.5~2.5cmの卵形で重鋸歯があります。普通、掌状に3~5中裂します。裂片は鋭突。葉裏は葉脈が目立ち棘があります。葉の雰囲気はニガイチゴよりも鋭く見えます。

 花期は4月頃。葉脈から花柄を出し、白色の5弁花を下向きに付けます。萼片は5個で鋭突。花弁は狭楕円型で、花径は2.5~3cm。雄しべ、雌しべは多数。果実は、核果の集合果です。球形で1~1.5cm。黄色に熟し、生食できます。ジュース、モミジイチゴ酒などに加工して用いられる事もあります。種子は1~2mm。黄色く熟するキイチゴ属には、ナガバモミジイチゴやカジイチゴ(梶苺)があります。

1)Rubus palmatus Thunb. var. palmatus
2)ムクロジ科カエデ属、約128種の総称。
3)バラ科キイチゴ属の総称。

Japanese common name : Momizi-itigo
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Rubus palmatus var. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Koidz. f. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Matsum.

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花は白色の5弁花。萼は5裂して鋭突。

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葉は、掌状に3~5中裂する。葉裏は葉脈が目立ち棘がある。

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雌しべ周囲を多数の雄しべが取り囲む。枝は斜上して花は下向きに付ける。
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黄色の果実は、核果の集合果


モミジイチゴ(紅葉苺)
別名:キイチゴ(黄苺)
バラ科キイチゴ属
学名:Rubus palmatus var. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Koidz. f. coptophyllus (A.Gray) Kuntze ex Matsum.
花期:4月 落葉低木 樹高:1~2m 花径:2.5~3cm 果期:6~7月

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【学名解説】
Rubus : ruber(赤)/キイチゴ属
palmatus : 掌状の
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
var. : varietas(変種)
coptophyllus : 分裂葉の
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)
Kuntze : Carl Ernst Otto Kuntze (1843-1907)
ex : ~による
Koidz. : 小泉源一 Gen-ichi Koidzumi (1883-1953)
f. : forma(品種)
Matsum. : 松村任三 Ninzo Matsumura (1856-1928)

撮影地:静岡県静岡市
牛ヶ峰(八十岡ルート) 2008.03.27
牛ヶ峰(水見色ルート) 2008.04.04
牛ヶ峰(谷沢ルート) 2008.04.21
林道慈悲尾線 2011.04.07
花沢山(Alt.449.2m) 2015.05.18
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

31 July 2016
Last modified: 20 November 2016
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by pianix | 2016-07-31 00:00 | | Trackback | Comments(0)
コゴメウツギ(小米空木)
 コゴメウツギ(小米空木)は、バラ科コゴメウツギ属の落葉低木です。朝鮮半島や中国、日本に分布します。国内では北海道から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、小さい花を小米に見立てたもの。小米は砕けた米粒の事。ウツギは茎が中空である事から。英名は、Lace shrub。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、南極を除く、ほぼ全ての大陸に約107属3100種が分布します。コゴメウツギ属(Neillia D. Don, 1825) は東アジアに5種、日本には2種が自生します。旧属名は、Stephanandra Siebold & Zuccarini, 1843。

 山間部に叢生します。樹高は1~2m。樹皮は灰褐色で、縦に細い裂目があり、中空1)です。枝は細く髄があり、良く分枝します。葉は互生します。長さ20~60mm、幅15~35mmの三角状広卵形で、先端は尾状に伸びた鋭尖頭、重鋸歯があり葉縁は羽状に裂けます。葉は黄緑色で葉裏は白味を帯び両面に散毛があります。

 花期は、5月から6月頃。枝先や葉腋から花柄を出し総状花序をつけます。花は白色でヘラ形の花弁5枚があり径4~5mm。萼は花弁より短い卵形の白色で5枚があり、花弁と合わせて10枚に見えます。日が経つと黄白色になります。

 旧属名は、雄しべが雌しべの周囲に輪状に並ぶ事が属名の由来となっています。stephanos(冠)+andron(雄しべ)で、周囲に雄しべが囲むとの意味合いです。雄しべは10個で葯の色は黄色。雌しべが中央に1個の両性花です。果実は袋果です。球形で径2~3mm。種子は1~2個あり約1mmです。染色体数は、2n=18 (Yoshikane Iwatsubo and Naohiro Naruhashi, 1992)。

1)中空茎の植物は、木本、草本に関わらず多くが存在しています。また、初めは髄が詰っていて、時間経過と共に柔らかい髄の細胞質が壊れて消失し、中空になる場合があります。コゴメウツギの場合は、古くてある程度の太さの茎が中空になります。葉を付けた枝には髄が詰っています。

Japanese common name : Kogome-utugi
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Neillia incisa (Thunb.) S.H.Oh

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左:花(径4~5mm)と蕾 右:雄しべ10本が雌しべを取り囲む

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左:一見すると花弁が10枚のように見える 右:蕾
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裏側から見た萼の様子。長い方が花弁で短いのは萼
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茎標本
【詳細説明】 左から外径(内径) : 11.6mm(6.4mm)。10.5mm(5.3mm)。8mm(2.7mm)、2.42mm(1.8mm)。左は完全に空洞で多数の蟻が入っていた。左から2番目はオレンジ色に変色した髄が詰っていた。左から3番目は細い空洞。左から4番目は葉が付く枝で白色の髄が詰っている。ラベル表記は、旧属名。


コゴメウツギ(小米空木)
バラ科コゴメウツギ属
学名:Neillia incisa (Thunb.) S.H.Oh
synonym : Stephanandra incisa (Thunb.) Zabel
花期:5月~6月 落葉低木 樹高:1~2m 花径:4~5mm 果期:9~10月

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【学名解説】
Neillia : Patrick Neill (1776-1851)氏の/コゴメウツギ属
incisa : incisus(鋭く裂けた)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
S.H.Oh : Sang-Hun Oh (?- )
---
Stephanandra : stephanos(冠)+andron(雄しべ)/コゴメウツギ属
Zabel : Hermann Zabel (1832-1912)

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Sendai-Yama) 2007.04.30
安倍城跡(Alt. 435m) 2014.05.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

26 May 2007, 27 May 2014
Last modified: 17 December 2015
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by pianix | 2007-05-26 00:00 | | Trackback | Comments(0)
早春の花木・その2
 桃の節句にウメ(梅)の掲載とは、少し変かもしれません。ご勘弁ください。

Japanese common name : Ume
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Armeniaca mume (Siebold et Zucc.) de Vriese

ウメ(梅)
バラ科アンズ属
学名:Armeniaca mume (Siebold et Zucc.) de Vriese
synonym : Prunus mume (Siebold) Siebold et Zucc.
花期:1月~2月 落葉高木 樹高:5~10m 花径:約25mm

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【学名解説】
Armeniaca : armeniacus(杏色の、赤みがかった黄色の)/アンズ属
mume : 日本語のウメ
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Zucc : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)
de Vriese : Willem Hendrik1 de Vriese (1806-1862)
---
Prunus : plum(スモモ)に対するラテン古名/サクラ属

撮影地:静岡県静岡市
葵区羽鳥「洞慶院」(植栽) 2007.01.25



 カワヅザクラ(河津桜)は、オオシマザクラ(大島桜)とヒカンザクラ(緋寒桜)との自然交雑品種と言われている、早咲き品種のひとつです。※追記:静岡県伊豆で見出されたカワヅザクラよりも早咲きの「伊豆土肥」が2007年3月15日、種苗法に基づき農林水産省に品種登録されました。

Japanese common name : Kawazu-zakura
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Cerasus × lannesiana Carrière 'Kawazu-zakura'


カワヅザクラ(河津桜)
バラ科サクラ属
学名:Cerasus × lannesiana Carrière 'Kawazu-zakura'
Cerasus lannesiana Carrière, 1872 ‘Kawazu-zakura’
Prunus lannesiana Wils. cv. Kawazu-zakura
花期:2月~3月 落葉高木 樹高:3~10m 花径:25~35mm

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【学名解説】
Cerasus : 産地であるトルコのKerasos(現在のGiresun)地方名/サクラ属
x : 二種間交配種
lannesiana : Lannesianus(園芸家ラネスの)
Carrière : Elie Abel Carrière (1818-1896)
---
Prunus : plum(スモモ)のラテン古名/スモモ属
Wils. : Ernest Henry Wilson (1876-1930)
cv. : cultivana varietas(園芸品種)
Kawazu-zakura : 河津桜

撮影地:静岡県静岡市
葵区西ヶ谷(植栽)2007.02.28



  ようやく今日のハナモモ(花桃)です。モモは桃色が普通ですが、園芸品種の「寒白」は白色です。

Japanese common name : hana-momo
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Prunus persica L.

ハナモモ(花桃)
バラ科スモモ属
学名:Prunus persica L.
synonym : Prunus persica (L.) Batsch
花期:3月~4月 落葉高木 樹高:120~700cm 花径:3~5cm 果期:7~9月

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【学名解説】
Prunus : plum(スモモ)のラテン古名/スモモ属
persica : persicus(ペルシャの)|原産地俗説の名残による
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
Batsch : August Johann Georg Karl Batsch (1761-1802)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.25km 左岸河川敷 2007.02.28
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

3 March 2007, 24 March 2014
Last modified: 17 February 2015
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by pianix | 2007-03-03 00:00 | | Trackback | Comments(0)
フユイチゴ(冬苺)
 フユイチゴ(冬苺)は、バラ科キイチゴ属の常緑小低木です。日本や朝鮮、台湾、中国等の東アジアが原産です。国内では、本州、四国、九州に分布し、林床・林縁に生育する在来種です。名の由来は、果実が冬に熟すイチゴである事から。中国名は、寒莓。英名は、Buerger's raspberry。学名の種小名にあるbuergeriは、シーボルトの助手であったBürger氏に因みます。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、ほぼ全ての大陸(南極を除く)に、107属3100種が分布します。キイチゴ属(Rubus L. (1753))は、北半球の寒帯から温帯地方に多く、南半球の熱帯山岳地区、北極圏と太平洋の島々にも分布し、400~500種あります。日本には8亜属70種が自生します。

 匍匐茎は蔓性で這い、長さ1~2mになります。途中から匍枝を出し、20~30cm程に斜上させます。細く木質で、褐色の短毛が密生します。ミヤマフユイチゴ(深山冬苺)のような棘はありません。葉柄は2~10cmあります。葉は単葉で互生します。基部は心形で、長さ5~11cm、幅5~9.5cm。先端は丸みを帯び、縁は浅く3~5裂し、細かな単鋸歯があります。光沢のある濃緑色で革質、裏面には短毛が密生します。

 花期は8月から10月頃。葉腋から花枝を出し、花を数個密集させて付けます。花は離弁花で、花径は約2cm。白色で長さ7~9mmの花弁が5個あります。花托には雌しべが多数あり、多数の雄しべがそれを取り巻きます。薄黄緑の萼片は反り返ります。果実は集合果(果実の集合体)です。雌しべの子房が成長した小核果が集まり、径7~10mm程の球形となります。小核果から出ている髭状のものは、残った花柱です。熟すと赤色になり、食用になります。染色体数は、2n=42,56。

Japanese common name : Fuyu-itigo
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Rubus buergeri Miq.

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葉は互生し、革質で単鋸歯がある。花径は約2cmで雄しべ、雌しべとも多数。

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フ2006.11.03 ユイチゴの果実。集合果 2006.11.17

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左:葉表 右:葉裏


フユイチゴ(冬苺)
別名:カンイチゴ(寒苺)
バラ科キイチゴ属
学名:Rubus buergeri Miq.
花期:8月~10月 常緑小低木 樹高(蔓性):20~30cm 花径:約2cm 果期:11~1月

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【学名解説】
Rubus : ruber(赤)/キイチゴ属
buergeri : Heinrich Bürger (1806-1858))氏の (日本植物の採集家ブュルゲル)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川 2006.08.22
安倍城跡(Alt.435m) 2006.11.03, 2014.11.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

01 September 2006, 08 October 2010, 30 November 2014
Last modified: 23 November 2016
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by pianix | 2006-09-01 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ダイコンソウ(大根草)
 ダイコンソウ(大根草)は、バラ科ダイコンソウ属の多年草です。日本や中国が原産です。国内では全土に分布する在来種です。名の由来は、根生葉が大根の葉に似ている事から。ダイコンの名が付いていますが、ダイコン(アブラナ科)の仲間ではなく、バラ科です。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、南極を除く、ほぼ全ての大陸に約107属3100種が分布します。ダイコンソウ属(Geum L. (1753))は、北半球の温帯から亜寒帯に約50種があり、日本には5種が自生します。

 茎や葉には軟毛が密生します。草丈は25~60cm。根生葉は長さ10~20cmの奇数羽状複葉で、鋸歯があります。頂小葉は広卵形で長さ3~6cm、側小葉は倒卵形で鈍鋸歯があります。茎葉は3裂します。

 花期は7月から8月頃で、分枝した茎頂に、径1~2cmで黄色の5弁花を付けます。雄しべと雌しべは多数あります。雌しべの花柱は5~6mmで関節があり、S字形に捻れます。花後に花柱の関節から先が脱落し、鉤状に曲がります。果実は痩果が集まった集合果で、径15mm程の球形。動物に付着して散布されます。染色体数は、2n=42。

 近似種に、本州中部以北に分布するオオダイコンソウ(大大根草)Geum aleppicum Jacq.があり、この集合果は20~25mmの楕円形をしています。

Japanese common name : Daikon-sou
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Geum japonicum Thunb.

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左:緑色の雌しべ 右:萼

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左:S字型に捻れた花柱の痩果 右:奇数羽状複葉の根生葉。長さ10~20cm


ダイコンソウ(大根草)
バラ科ダイコンソウ属
学名:Geum japonicum Thunb.
花期:7~8月 多年草 草丈:25~60cm 花径:1~2cm

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【学名解説】
Geum : geuo(美味)/ダイコンソウ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
---
Juss. : Adrien Henri Laurent de Jussieu (1797-1853)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.08.22
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

30 August 2006
Last modified: 14 March 2014
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by pianix | 2006-08-30 00:00 | | Trackback | Comments(0)
シモツケ(下野)
 シモツケ(下野)は、バラ科シモツケ属の落葉低木です。日本・中国・朝鮮が原産です。国内では北海道から九州に分布します。名の由来は、現在の栃木県である下野の国で学術採取されたことにより地名が名称になったとされています。あるいは、花の咲く様子を霜が降りた状態に見立てたという説もあります。中国名は、シュクセンギク(繍線菊)。英名は、Japanese spiraea。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、南極を除く、ほぼ全ての大陸に約107属3100種が分布します。シモツケ属(Spiraea L. (1753))は、北半球の温帯と亜寒帯に約120種が分布し、日本に10種が自生します。

 茎は束生し、枝は分枝します。樹高は通常100cm程で、放任すれば150cmまでになります。若い枝は赤褐色、古くなると暗褐色になり、直径は1cm前後です。葉は互生します。長楕円状披針形で長さ3~8cm、幅2~3cm。不揃いな重鋸歯か鋸歯があり、葉先は鋭尖頭または鋭頭で尖ります。歯裏は白っぽい淡緑色。葉柄は長さ1~3mm。

 枝先に3~5cmの複散房花序を半球状に付け、径4~6mmの小花を多数密生させます。花弁は広卵形から円形の5枚で、平開します。花色は紅色から淡紅色で濃淡の変異があり、稀に白色があります。雄しべ花糸は花弁の2倍ほどの長さで、20本以上が長く突き出て、花序全体をもやっとした雰囲気にさせています。雌しべは5本。萼片は5枚で1mm程。果実は袋果です。長さ2~3mmの光沢がある卵形で、5個が集まっています。熟すと縦に裂開して種子を出します。染色体数は、2n=18。

Japanese common name : Shimotuke
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Spiraea japonica L.f.


シモツケ(下野)
バラ科シモツケ属
学名:Spiraea japonica L.f.
花期:5月~8月 落葉低木 樹高:20~100cm 花径:4~6mm 果期:9~10月

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【学名解説】
Spiraea : speira(螺旋・輪)/シモツケ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
L.f. : Carl von Linne, filius (1741-1783)
---
Desv. : Nicaise Auguste Desvaux (1784-1856)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.50km左岸 2006.06.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 11 July 2006
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by pianix | 2006-07-11 00:00 | | Trackback | Comments(2)
シャリンバイ(車輪梅)
 シャリンバイ(車輪梅)は、バラ科シャリンバイ属の常緑低木です。中国、日本、朝鮮半島、台湾等に分布し、国内では本州宮城県以西から沖縄に至る海岸沿いに自生するする在来種です。名の由来は、枝が車軸状に出て、花が梅に似ている事から。英名は Yeddo hawthorn。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、南極を除く、ほぼ全ての大陸に約107属3100種が分布します。シャリンバイ属(Rhaphiolepis Lindley, 1820)は、アジアに9種類が分布します。

 最近では、シャリンバイ(車輪梅)、マルバシャリンバイ(丸葉車輪梅)、タチシャリンバイ(立車輪梅)は、同種の変異内としてまとめます。一般的には、葉の形態で判別し、マルバシャリンバイは、楕円形で僅かに鋸歯があり、タチシャリンバイは、細長く縁全体に鋸歯があるとされています。

 葉は、長さ4~8cmの倒卵形で互生し、輪生状に付きます。肉厚で光沢があり、長さ5~10cm、幅2~5cmで、浅い単鋸歯があるか全縁です。葉柄の長さは、5~10mm。枝先に円錐花序を出します。白色の花弁が5枚あり花径は10~15mm。雄しべは20本で赤紫色。果実は球形の液果で、上向きに付き、熟すと黒紫色になります。白い粉を被るので葡萄の実のようにも見えます。種子が2個入っています。公園や、街路樹として植栽されている他、生け垣、道路の分離帯等にも多く見られます。

参考:シャリンバイ(車輪梅)/実

Japanese common name : Syarin-bai
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Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. umbellata (Thunb.) H.Ohashi


シャリンバイ(車輪梅)
別名:マルバシャリンバイ(丸葉車輪梅)/タチシャリンバイ(立車輪梅)
バラ科シャリンバイ属
学名:Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. umbellata (Thunb.) H.Ohashi
花期:5月~6月 常緑低木 花径:10~15mm 樹高:1~4m 果期:10~11月 実径:1cm

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【【学名解説】
Rhaphiolepis : rhaphis(針)+lepis(鱗片)/シャリンバイ属
indica : インドの
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Lindl. : John Lindley (1799-1865)
var. : varietas(変種)
umbellata : umbellatus(散形花序の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
H.Ohashi : 大橋広好 Hiroyoshi Ohashi (1936- )
---
Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. umbellata (Thunb.) H.Ohashi f. umbellata (Thunb.) Hatus.
f. : forma(品種)
Hatus. : 初島住彦 Sumihiko Hatusima (1906-2008)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.25km 左岸土手(植栽) 2006.05.24
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: August 12, 2008
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by pianix | 2006-07-04 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ナワシロイチゴ(苗代苺)
 ナワシロイチゴ(苗代苺)は、バラ科キイチゴ属の落葉小低木です。日本、朝鮮・中国等の東アジアに分布する小果樹類(Smallfruits)で、国内では北海道から沖縄まで分布する在来種です。名の由来は、苗代を用意する頃に花、あるいは実が熟す事から。別名のサツキイチゴ(五月苺)も同様。古くは野苺を伊知古と呼んでいました。英名は、Japanese raspberry。

 バラ科(Rosaceae Jussi. (1789))は、ほぼ全ての大陸(南極を除く)に、107属3100種が分布します。キイチゴ属(Rubus L. (1753))は、北半球の寒帯から温帯地方に多く、南半球の熱帯山岳地区、北極圏と太平洋の島々にも分布し、400~500種あります。日本には8亜属70種が自生します。耐寒性があるラズベリー(Raspberry)の近縁種です。

 茎は地を這い、接地した所々から根を出し、栄養繁殖します。茎には棘があります。1m以上に伸びることがあり、花茎を5~30cmに立ち上げます。葉は互生します。奇数羽状複葉で、花枝では3出複葉、徒長する枝では5出複葉になります。小葉は2~4cmの菱形状倒卵形で、1)欠刻状重鋸歯があり、葉先は円頭。葉裏は灰白色の綿毛が密生します。葉柄の長さは2~5cm、葉柄の付け根には線形で5mm程の托葉があります。

 花期は5月から6月頃。枝先や葉腋から花柄を枝分して集散花序を作ります。径15mm程の5枚の萼片があり、平開して反り返ります。花は、淡紅紫色で6~7mmの倒卵形の花弁5枚が上向きに立ち上がり、蕾状になります。この中に雄しべ多数があります。半開のままで平開しません。その後、花弁は落脱しますが萼片は残ります。果実は、直径約15mmの球形液果の集合果で濃赤色。食用となり、ジャムなどに利用されます。

1)欠刻重鋸歯(けっこく・じゅうきょし):葉脈の間の葉肉が欠けて切れ込みが生じ、大きな鋸歯にさらに小さな鋸歯が二重になっている葉の縁の状態

Japanese common name : Nawasiro-itigo
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Rubus parvifolius L.

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▲ 果実は集合果


ナワシロイチゴ(苗代苺)
別名:サツキイチゴ(五月苺)
バラ科キイチゴ属
学名:Rubus parvifolius L.
花期:5月~6月 落葉小低木 樹高:5~30cm(蔓性50~100cm) 花径:1.5cm 果期:6月

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【学名解説】
Rubus : ruber(赤)/キイチゴ属
parvifolius : 小形の葉の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.50km 左岸河川敷 2006.06.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 22 June 2006
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by pianix | 2006-06-22 00:00 | | Trackback | Comments(2)
テリハノイバラ(照葉野茨)
 テリハノイバラ(照葉野茨)は、バラ科バラ属の落葉低木です。朝鮮半島、中国、日本に分布します。日本では、福島県以南の本州・四国・九州・沖縄に分布します。名は、葉に光沢があるノイバラ(野茨)の意味。別名のハイイバラ(這茨)は、匍匐性である事から。イバラ(茨)は、棘のある低木の総称で、省略してバラとなったと言われています。「薔薇」は漢名で、ソウビと読まれていました。薔薇は茨城県の県花で、字の如く、茨で城を築いた事に由来します。英名は、Memorial Rose。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、ほぼ全ての大陸(南極を除く)に、107属3100種が分布します。バラ属(Rosa L. (1753))は、北半球の亜寒帯から熱帯山地に約200種の野生種があり、日本には11種と3変種の野生種が存在します。園芸品種は10000以上があります。

 茎は、匍匐性で地を這って伸び、枝分かれします。緑色あるいは赤褐色で無毛、鉤状の棘があります。葉は互生します。奇数羽状複葉で、小葉は2~4対で5~9枚あります。広倒卵形から倒卵状楕円形で長さ1~2cm。表面は濃緑色、裏面は淡緑色で両面とも光沢があり無毛です。鋸歯があり、葉先は鈍頭。葉柄の基部に托葉があります。

 花期は6月から7月頃で、枝先に1から数個、白色の5弁花を円錐花序につけます。花弁は先端がへこむ倒卵形。平開し、直径30~35mm。萼片は5個で卵形。雄しべは多数、花柱は白色の毛があります。

 果実は偽果です。偽果とは、花床や花軸など子房以外の部分が加わってできている果実の事で、子房だけが発達したものを真果と呼んで区別します。径6~8mmの卵球形で熟すと赤くなります。生薬エイジツ(営実)の代用として使われます。挿し木で容易に発根します。接ぎ木の台木として使われ、蔓性園芸薔薇の元になっています。

Japanese common name : Teriha-noibara
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Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crèp.

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左:(480x640/37kb)            右: (480x640/28kb)
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ピンク種


テリハノイバラ(照葉野茨)
別名:ハイイバラ(這茨)
バラ科バラ属
学名:Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crèp.
synonym : Rosa wichuraiana Crèp.
花期:6月~7月 落葉低木 樹高:15~50cm 花径:30~35mm 果期:10~11月

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【学名解説】
Rosa : ギリシャ語のrhodon(バラ)、ケルト語のrhodd(赤色)に由来/バラ属
Luciae : Paul Amedee Ludovic Savatier (1830-1891)の婦人、栽培家Luciaの
Rochebr. : Alphonse Tremeau de Rochebrune (1834-1912)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
ex : ~による
Crèp. : François Crépin (1830-1903)
---
wichuraiana : Max Ernst Wichura (1817-1866)の

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.06.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

19 June 2006
Last modified: 24 April 2014
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by pianix | 2006-06-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)
クサイチゴ(草苺)
 クサイチゴ(草苺)は、バラ科キイチゴ属の半常緑低木です。本州から九州にかけて分布する在来種で、アジア東部の中国や朝鮮にも分布します。木本なのに草と名が付けられているのは、見た目に丈が低く地を這う形状が草に見えるとか、地上茎の寿命の短さが草のようだからと言われています。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、ほぼ全ての大陸(南極を除く)に、107属3100種が分布します。キイチゴ属(Rubus L. (1753))は、北半球の寒帯から温帯地方に多く、南半球の熱帯山岳地区、北極圏と太平洋の島々にも分布し、400~500種あります。日本には8亜属70種が自生します。

 地下茎を広げて茎を出します。這った茎は途中で立ち上がり20~60cmになります。短毛が密生しています。葉は互生する奇数羽状複葉で柔らかです。5小葉の羽状複葉で、花茎には3~5枚の小葉を付けます。卵状披針形で鋸歯があります。長さ3~7cmで先端は尖り、両面に毛があります。中脈と羽軸には棘があります。萼片は花弁より長く、先が細く尖ります。

 花期は4月から5月頃。花は離弁花で、白色で楕円形の花弁5枚を平開させ3~4cmになります。雄しべは多数。葯は白色で、やがて黒くなります。果実は核果の集合体で直径約1~1.5cmになる液果です。雄しべ1本につき1個の核果を作ります。果実は生食でき、ジャムや果実酒にも利用されます。動物が食べて種子を散布する動物被食散布(endozoochory)が行われます。染色体数は、2n=14。

 類似種に、ハチジョウクサイチゴRubus x nishimuranus Koidz.、マルバクサイチゴRubus hirsutus Thunb. var. simplicifolium Makino、ヤエザキクサイチゴRubus hirsutus Thunb. f. harai (Makino) Ohwiがあります。

★  ★  ★

 野草観察は、花と名前を一致させる事から始まります。初めて出会ったものは、これに時間が費やされるかもしれません。もう少し学術的に進むと、同定作業になります。同定は難しい問題をはらんでいます。同じようだけど同じではない事があります。細かい観察が必要になります。ただ単に名前を知りたいと言う事であっても、資料がなければお手上げです。人から教えてもらったものでも、自分で確認する事が必要になります。

 この日本語カタカナの名前は標準和名です。国際的には通用しません。お互いが、その国の名前を使うと混乱するからです。そこでラテン語の学名が登場します。しかし、世間話をする程度なら和名で充分です。その場合でも、草と名が付いていても木本(樹木)であったりするので、思いこみは排除しないといけません。

Japanese common name : Kusa-itigo
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Rubus hirsutus Thunb.

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花弁は5枚。萼片5個は花弁より長く、先が細く尖る。

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左:花弁が脱落した若い果実 右:果実は核果の集合体


クサイチゴ(草苺)
別名:ワセイチゴ(早稲苺)/ナベイチゴ(鍋苺)
バラ科キイチゴ属
学名:Rubus hirsutus Thunb.
花期:4月~5月 半常緑低木 樹高:20~60cm 花径:3~4cm 果期:5~6月

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【学名解説】
Rubus : ruber(赤)/キイチゴ属
hirsutus : 粗毛のある・多毛の
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.04.07
花沢山(Alt. 449.2m) 2015.05.18
満観峰(Alt. 470m) 2015.06.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

26 April 2006, 16 June 2015
Last modified: 20 November 2016
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by pianix | 2006-04-26 00:00 | | Trackback(1) | Comments(2)