タグ:ヒカゲチョウ属 ( 2 ) タグの人気記事
ヒカゲチョウ(日陰蝶)の給水
 夏の暑い盛りの日。山道を汗を流して登り詰め、山頂で休息をしていました。ヒカゲチョウがやってきて、私の手に止まりました。チョウは長い管状の口器である口吻を伸ばして私の肌に当て、汗を吸い始めました。それは私の予想に反した、しっかりとした感触でした。小さく細い口吻を押しつけられると、小さな鞭で叩かれているような刺激がありました。

 口吻(Proboscis)は、口先の事で、蝶では吸収管の事です。口吻は、溝のある小顎外葉2本が重なり合って管状となり、毛細管現象で吸い上げをします。普段は巻かれて収納されます。口吻を伸ばした時に曲がる点を屈折点と言い、屈折点から先端までを前後に動かす事ができます。この僅かな部分の動きの刺激なのです。

 蝶の給水行動は、体温調整とか栄養補給をしているのではないかと推測されています。水分によって体温を下げる事と、汗などに含まれるナトリウム等のミネラルの摂取です。普段は逃げる蝶が、自ら近寄り摂取するというのは、ある意味、危険を冒しているわけで、そうしなければならない強い事情があるのは確かです。給水行動は危険回避を上回るという本能があるのでしょう。

 大群で来られると恐れをなしてしまいますが、1匹程では親しみが湧くのではないでしょうか。ただ、蝶が嫌いな人も少なからずいるので、汗を吸いに来る蝶に恐怖を感じて逃げる事もあるかもしれません。私の場合は、汗を吸わせてあげるから写真を撮らせてもらうという交換条件を付けます。しばらくの時間を蝶と過ごし、私も給水して、初めての道を下り始めました。

※開張:かいちょう(Wing span)。前翅を広げた時の左右端までの幅。
※前翅長:ぜんしちょう(Forewing length)。前翅の根元から先端までの長さ。

※ヒカゲチョウ(日陰蝶)についてはこちらをご覧下さい

Japanese common name : Hikage-chou
e0038990_20521954.jpg
Lethe sicelis (Hewitson, [1862])

e0038990_20523226.jpge0038990_20524529.jpg
左:左手の甲で給水している。       右:左人差し指付け根で給水している


ヒカゲチョウ(日陰蝶)
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科ヒカゲチョウ属
学名:Lethe sicelis (Hewitson, [1862])

e0038990_2163229.gif

体長:(前翅長)25~34mm/(開張)48~62mm
出現期:5月~10月(年2回)
分布:本州・四国・九州
食草:樹木・タケ類(メダケ・マダケ)・ササ類(クマザサ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2008.08.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 June 2010
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2010-06-14 00:00 | | Trackback | Comments(5)
ヒカゲチョウ(日陰蝶)
 ヒカゲチョウ(日陰蝶)は、タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科ヒカゲチョウ属の昆虫です。本州・四国・九州に分布します。日本特産種で、ナミヒカゲ(並日陰)とも言われます。名の由来は、日陰にいることが多い事によります。

 タテハチョウ科(Nymphalidae)は南極を除く世界の大陸に6,000種ほどが分布し、日本には52種が生息すると言われています。タテハチョウ科の特徴は、翅の斑紋が裏表で異なり、前脚が退化して短くなっている事です。後翅の中室は開き、触覚に鱗粉があります。ジャノメチョウ亜科(Satyrinae)の蝶は、翅に眼状紋があり、暗いところを好み、前脚は退化し、蛹は垂れ下がるのが特徴です。

 雑木林の中で生息します。体長は3cm前後、翅を広げて5~6cmです。全体に薄い茶褐色をしています。外縁に蛇の目模様の眼状紋があります。眼状紋は、後翅表面に1対、前翅裏面に1~2対、後翅裏面に6~7対あり、内2対は大きくなります。後翅裏面には淡褐色の斜帯があり、眼状紋列内側の色が濃くなった暗色条は緩やかに曲がります。性標は、後翅表面にあり、雄の場合は黒茶色の毛束があり、雌にはありません。成虫は樹液や腐食した果実の汁などを吸汁します。幼虫の食草は、ススキ・ササ類です。完全変態します。幼虫で越冬します。蛹は垂れ下がります。

 類似種に、黒みが強く暗色条が「くの字」型に屈曲するクロヒカゲ(黒日陰)や、大型のオオヒカゲ(大日陰)がいます。

ヒカゲチョウ(日陰蝶)の給水

Japanese common name : Hikage-chou
e0038990_10362690.jpg
Lethe sicelis (Hewitson, [1862])


ヒカゲチョウ(日陰蝶)
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科ヒカゲチョウ属
学名:Lethe sicelis (Hewitson, [1862])

e0038990_2163229.gif

体長:(前翅長)25~34mm/(開張)48~62mm
出現期:5月~10月(年2回)
分布:本州・四国・九州
食草:樹木・タケ類(メダケ・マダケ)・ササ類(クマザサ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.09.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 3 October 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-10-03 00:00 | | Trackback | Comments(2)