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ヒガンバナ(彼岸花)
 ヒガンバナ(彼岸花)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。日本と中国に分布します。日本では全国に分布し、中国から稲作と共に渡来した史前帰化植物と考えられています。名の由来は、秋の彼岸頃に開花する事から。別名のマンジュシャゲ(曼珠沙華)は古い呼び名で、古代インド梵語(サンスクリット語)manjusaka(マンジュシャケ)の音写です。如意花と訳し天界の花とされます。多数の別名があります。

 ヒガンバナ科(Amaryllidaceae Jaume Saint-Hilaire, 1805) は、世界の熱帯から温帯にかけて約59属860種が分布します。クロンキスト体系ではユリ科(Liliaceae Juss. (1789))に分類され、世界の熱帯と温帯に約280属4000種が分布します。ヒガンバナ属(Lycoris Herbert, 1821)は東南アジアに3属1)約30種が分布します。

 鱗茎及び全草共に有毒です。毒成分は、リコリン (lycorine, C16H17NO4)、ガランタミン(galantamine, C17H21NO3)です。ガランタミンはアルツハイマー病治療薬として用いられますが、現在は合成精製されたものを使用します。誤食した場合、睡眠作用、痙攣、吐き気、下痢の症状が現れます。飢餓の時に、水にさらして毒抜きをして食べた救荒作物としても知られています。民間療法で外用生薬・石蒜(せきさん)として肩こり、浮腫、乳腺炎の治療に用いられる場合があります。ヒガンバナアルカロイド(Amaryllidaceae alkaloids)は、鎮痛、抗ウイルス、抗マラリア、抗腫瘍、中枢神経作用などの薬理作用が報告されています。※危険なので素人は用いないようにする。

 田の畦道、土手、墓地等、人の生活圏内に自生します。広卵形で大きさ2~6cmの鱗茎があり、栄養繁殖(鱗茎の分球により増殖)します。埋没しても上方の地表下に移動する性質があります。鱗茎に含有するリコリンはアルカロイド系成長阻害物質でもあり、季節変動があるアレロパシー作用によって周囲の植物発生を制御します。花後の10月に葉を出します。葉は線形で長さ30~50cm、幅4~8mm。中央に薄緑色の筋が入ります。

 花期は9月。鱗茎から花茎を30~50cmに立ち上げ、茎先に1つの包をつけます。包から5~8個程の花を輪生状に横向きに出し、散形花序を形成します。花被は倒披針で6枚あり赤色、長さ約4cm、幅5~6mm。縮れていて外側に反り返ります。雄しべ6本、雌しべ1本で、花冠より突出します。子房下位。

 年間の生活形態は次の通りです。9月に花が咲き、10月に葉を出す。4月に葉が枯れ8月に至る。つまり、他の草木が生い茂る季節は葉を落とし、競合する相手が少ない冬に葉を伸ばし鱗茎に栄養を蓄えます。

 染色体数は、2n=3x=33(=33A)。3倍体の不稔性(sterility)であるため結実しません。中国産シナヒガンバナ(支那彼岸花)Lycoris radiata (L'Hér.) Herb. var. pumila Grey の染色体数は2n=22。稔性があり結実し、ヒガンバナの原種と言われています。日本産より早咲きですが、小ぶりなため、コヒガンバナ(小彼岸花)の別名があります。シロバナマンジュシャゲ(白花曼珠沙華)=シロバナヒガンバナ(白花彼岸花)Lycoris x albiflora Koidz.の染色体数は2n=3x=17(=5M+1T+11A)で、ヒガンバナ同様に結実しません。シナヒガンバナ(支那彼岸花)とショウキズイセン(鍾馗水仙)Lycoris traubii W.Hayw. の自然交配種と考えられています。

1) ヒガンバナ属(Lycoris Herbert, 1821)、ハマオモト属(Crinum C. Linnaeus, 1753)、ハエマンサス属(Haemanthus C. Linnaeus, 1753)

参考文献:
ヒガンバナ科植物含有Lycorine型アルカロイドに関する化学的研究(Toriizuka, 2009)
ヒガンバナ自生地における雑草発生制御の実態(Takahashi, Ueki, 1982)
ヒガンバナの他感作用と作用物質リコリン・クリニンの同定(Fujii, Iqbal, Nakajima,1999)

Japanese common name : higan-bana
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Lycoris radiata (L'Hér.) Herb.

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左:雄しべ6本、雌しべ1本で花冠より突出する。*2 右:茎頂に花を輪生状につける。*2

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左:蕾と花。*2  右:子房下位。*3
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鱗茎(幅約23mm)。ヒガンバナアルカロイドのリコリンやガランタミンが含まれる。*4
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花後の10月頃から葉を出す。*6
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シロバナマンジュシャゲ(白花曼珠沙華)*5
Lycoris x albiflora Koidz.


ヒガンバナ(彼岸花)
別名:マンジュシャゲ(曼珠沙華)
ヒガンバナ科ヒガンバナ属
学名:Lycoris radiata (L'Hér.) Herb.
花期:9月 多年草 草丈:30~50cm 花径:6~12cm

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【学名解説】
Lycoris : ギリシャ神話の海の女神Lycorisに因む/ヒガンバナ属
radiata : radiatus(放射状の)
L'Hér. : Luis Hernández Sandoval (1958- )
Herb. : William Herbert (1778-1847)
---
x : 二種間交配種
albiflora : albiflorus(白花の)
Koidz. : 小泉源一 Genichi Koidzumi (1883-1953)
---
pumila : pumilus(低い)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.75km 左岸河川敷 2005.09.30
*4 安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.09.22
*3 安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2007.09.27
*2 藁科川(安倍川水系)/河口から1.5km 左岸河川敷 2007.09.28
*5 内牧川(安倍川水系)/上流 2006.09.25
*6 賤機山 2010.11.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

8 November 2010, 12 November 2010
Last modified: 6 June 2014
Scientific name confirmed: 9 September 2015
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by pianix | 2010-11-08 00:00 | | Trackback | Comments(4)
キツネノカミソリ(狐の剃刀)
 キツネノカミソリ(狐の剃刀)は、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草です。日本、朝鮮半島に分布し、日本では本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、葉を剃刀に見立てたもので、キツネは「劣る」の意味や、花色を狐火に例えた等の諸説があります。

 ヒガンバナ科1) (Amaryllidaceae J. Saint-Hilaire2), 1805) は、世界の熱帯から温帯にかけて約59属860種が分布します。クロンキスト3)体系ではユリ科(Liliaceae Juss. 4), (1789))に分類され、世界の熱帯と温帯に約280属4000種が分布します。ヒガンバナ属(Lycoris Herbert5), 1821)は、東南アジアに3属約30種が分布します。

 山野の明るい林縁に自生します。広卵形の鱗茎から、春に葉柄のある緑色の葉を2列に出します。葉は、長さ30~40cm、幅8~10mmの狭長状。花をつける夏に葉は枯れます。年間の生活形態は次の通りです。4月に葉が出て、5~6月に葉が枯れる。7月から茎が伸び始め、8月に花が咲く。9月に果期となり、冬越しをして3月に至る。

 鱗茎6)及び全草共に有毒です。有毒成分は、リコリン (lycorine, C16H17NO4)、ガランタミン(galantamine, C17H21NO3)です。ガランタミンはアルツハイマー病治療薬として用いられますが、現在は合成精製されたものを使用します。誤食した場合、睡眠作用、痙攣、吐き気、下痢の症状が現れます。

 花期は8~9月頃。花茎を上部で3~5本に枝分かれさせながら30~50cmに立ち上げ、花を茎先に散形状に付けます。花序基部に総苞片があり、長さ約4cmの披針形。花冠は漏斗型で、橙色の花弁6枚の花を咲かせます。花被片長は5~8cm。雄しべは6本で、先で上向きに反り返り、花被片とほぼ同長。雌雄同花。子房下位。染色体数は、2n=22(=22A)7)、2n=3X=32。2倍体と3倍体とがあり、3倍体は結実しません。果実は蒴果です。径約15mmの扁球形で内部は3室に別れ、中軸胎座8)。種子は黒色、径5~7mmの円形で扁平形。

 類似種に大型の、オオキツネノカミソリ(大狐の剃刀)Lycoris sanguinea Maxim. var. kiushiana T.Koyama9) があり、雄しべ、雌しべ共に花被片より長く突出しています。キツネノカミソリと共に白花品種10)があります。八重咲き品種のヤエキツネノカミソリ(八重狐の剃刀)Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea f. plena T.Yamaz. は、高尾山で発見されました。ムジナノカミソリ(狢の剃刀)Lycoris sanguinea var. koreana (Nakai) T.Koyamaは、野生絶滅(EW)とされています。

1) 新エングラー体系/Adolf Engler (1844-1930)
2) J. Saint-Hilaire : Jean Henri Jaume Saint-Hilaire (1772-1845)
3) Cronquist : Arthur John Cronquist (1919-1992)
4) Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
5) Herbert : William Herbert (1778-1847)
6) 鱗茎は、地下茎の一種で、葉の付け根が重なって肥大したもの。特徴として玉葱のようにむいていく事ができる。かけらになっても再生能力が高く、根によって鱗茎を地下に引込む能力もある。ヒガンバナ、ラッキョウ、チューリップなども鱗茎をもつ。
7) アクロセントリック染色体(acrocentric chromosome:A-type)
8) 中軸胎座【ちゅうじくたいざ】(axial placentation):胚珠が子房の中軸に付く。
9) synonym : Lycoris sanguinea Maxim. var. kiushiana (Makino) Makino ex Akasawa
10) シロバナキツネノカミソリ(白花狐の剃刀)Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea f. albiflora Honda、シロバナオオキツネノカミソリ(白花大狐の剃刀)Lycoris sanguinea Maxim. var. kiushiana T.Koyama f. albovirescens E.Doi ex Akasawa

Japanese common name : Kitune-no-kamisori
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Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea

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2008.08.08 / 2008.09.03 どちらも群生地ではなく山道脇に咲いていたもの。

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2014.07.30

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左:果実は蒴果(2014.09.23) 右:キツネノカミソリの葉(2008.03.27)


キツネノカミソリ(狐の剃刀)
ヒガンバナ科ヒガンバナ属
学名:Lycoris sanguinea Maxim. var. sanguinea
花期:8月~9月 多年草 草丈:30~50cm 花冠長:50~55mm

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【学名解説】
Lycoris : ギリシャ神話の海の女神Lycorisに因む/ヒガンバナ属
sanguinea : sanguineus(血紅色の)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
var. : varietas(変種)
---
kiushiana : kiusianus(九州の)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
ex : ~による
Akasawa : 赤澤 時之 Yoshyuki Akasawa (1915-2003)
---
f. : forma(品種)
albovirescens : albo(白)+virescens(淡緑色の)
albiflora : albiflorus(白花の)
plena : plenus(八重の)
Honda : 本田 政次 Masaji Honda (1887-1984)
T.Koyama : 小山 鐵夫 Tetsuo Michael Koyama (1933- )
T.Yamaz. : 山崎 敬 Takasi Yamazaki (1921-2007)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.717m)2008.03.27, 2008.08.08, 2008.09.03, 2014.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

31 October 2010, 3 November 2010, 24 September 2014
Last modified: 23 August 2015
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by pianix | 2010-10-31 00:00 | | Trackback | Comments(0)
早春の野草・その1
 寒々とした河川敷は枯れ草で茶色に見えます。そして、そこには何も無いように見えます。しかし、近づいて観察すると幾つかの花が咲いている事に気が付きます。

 ■昨年から咲いている、お馴染みのホトケノザ(仏の座)。例年より1ヶ月ほど早く咲き始めたようです。暖冬の影響でしょうか。農家の方も、花期はあてにならなくなったと嘆いています。

Japanese common name : Hotoke-no-za
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Lamium amplexicaule L.

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右は、閉鎖花(240x320/11kB)

ホトケノザ(仏の座)
別名:サンガイグサ(三階草)
シソ科オドリコソウ属
学名:Lamium amplexicaule L.
花期:3月~6月 2年草(越年草) 草丈:10~30cm 花冠長:8~15mm

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【学名解説】
Lamium : イラクサ様植物の古代ラテン名|laipos(喉)/オドリコソウ属
amplexicaule : amplexicaulis(茎を抱く)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2007.01.12



 ■ホトケノザに良く似た、ヒメオドリコソウ(姫踊子草)も咲いています。この近くにはコハコベ(小繁縷)の群生が広がっていました。

Japanese common name : Hime-odoriko-sou
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Lamium purpureum L.

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左:(480x640/25kB) 右:(240x320/13kB)

ヒメオドリコソウ(姫踊子草)
シソ科オドリコソウ属
学名:Lamium purpureum L.
花期:4月~6月 越年草 草丈:15~25cm 花冠長:1cm

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【学名解説】
Lamium : イラクサ様植物の古代ラテン名|laipos(喉)/オドリコソウ属
purpureum : purpureus(紫色の)
L. : Carl von Linne(1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2007.01.12



 ■土手斜面や河川敷には、スイセン(水仙)も咲いています。夕日に照らされたスイセンは、和やかな雰囲気でした。植栽が元になっているとしたら、野草の範疇ではないのかもしれません。

※ニラ(韮)と混同した誤食事故が毎年のように起きています。ご注意下さい。

Japanese common name : Suisen
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Narcissus tazetta L. var. chinensis M.Roem.
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(480x640/50kB)

スイセン(水仙)
別名:ニホンズイセン(日本水仙)/セッチュウカ(雪中花)
ヒガンバナ科スイセン属
学名:Narcissus tazetta L. var. chinensis M.Roem.
花期:12月~4月 多年草(耐寒性球根) 花径:3~4cm 草丈:30~40cm

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【学名解説】
Narcissus : ギリシャ神話の美少年ナルキッソスに因む/スイセン属
tazetta : 小さいコーヒー茶碗
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
chinensis : 支那(中国)の
M.Roem. : Max Joseph Roemer (1791-1849)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.50km 右岸河川敷 2007.01.11

17 January 2007
Last modified: 12 March 12
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by pianix | 2007-01-17 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ハタケニラ(畑韮)
 野草観察の出先で、畑仕事をしている農家の方と話をする事が良くあります。ハタケニラを見つけて観察していると、困った顔で話しかけてきました。「困ったもんでなあ、そりゃあ抜いても抜いても駄目だ」と言います。「どうして?」「しっかり抜いたつもりでも鱗茎がポロポロとこぼれるし、それですぐに出てくるんだ」。抜いて私に見せてくれました。「名前は知らんが、困った奴だ」「ハタケニラです」「ハタケニラっていうのか? ニラじゃあねえだ、違うぞ」。名前は知らなくても、戦う相手の特徴を的確に把握しています。生活がかかっているからです。畑では強害草です。

 ハタケニラ(畑韮)は、ヒガンバナ科ステゴビル属の多年草です。北アメリカ原産で、渡来時期は明治の中期とされています。園芸愛好家が移入したものが逸出したと考えられています。日本では近年増え始め、全国に広がっている帰化植物です。名の由来は不明ですが、葉がニラ(韮)に似ていて畑に生えるからと考えられます。しかし、ニラはネギ属であり、本種とは別属です。英名は、Fragrant false garlic、あるいはOnion weed。

  ヒガンバナ科(Amaryllidaceae J.St.-Hil. (1805)) は、世界の熱帯から温帯にかけて約59属860種が分布します。クロンキスト体系ではユリ科(Liliaceae Juss. (1789))で、世界の熱帯と温帯に約280属4000種が分布します。属名のステゴビル(Nothoscordum Kunth, 1843)は、一見外国語風ですが、「捨て小蒜」で和名です。約115種があります。以前はハタケニラ属とされていました。

 野や畑、道端などで自生します。地下に鱗片状の子球をつけた白色の鱗茎があり、栄養繁殖します。繁殖力が強く、農地では強害草とされます。葉は線形で、長さ約30cm。ニラ臭はありません。花期は5月から6月頃。 状況によっては夏の終わり頃まで続きます。30~60cmに伸ばした茎の先に総苞を付けます。そこから細い無毛の花茎を伸ばし、散形花序に6花被片の小さな花を10前後つけます。苞葉は膜質で2個。花被片は白色で、花被片外側に暗赤色の筋が入り、長さ約1cm。花径約1.5cm。雄しべは、花糸に翼があり6本、葯は黄色。果実は朔果で長さ6~7mm。種子は黒色の楕円形で約2mmです。染色体数は、2n=19。

Japanese common name : Hatake-nira
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Nothoscordum gracile (Dryand.) Stearn
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膜質の苞葉
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雄しべ6本と花柱
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花と鱗茎


ハタケニラ(畑韮)
ヒガンバナ科ステゴビル属
学名:Nothoscordum gracile (Dryand.) Stearn
synonym : Nothoscordum fragrans (Vent.) Kunth
花期:5月~6月 多年草 草丈:30~60cm 花径:1~1.5cm

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【学名解説】
Nothoscordum : nothos(偽)+scordon(ニンニク)/ステゴビル属
gracile : gracilis(細い)
Dryand. : Jonas Carlsson Dryander (1748-1810)
Stearn : William Thomas Stearn (1911-2001)
---
synonym : (シノニム) 同意語、異名:同物異名
fragrans : 芳香のある
Vent. : Etienne Pierre Ventenat (1757-1808)
Kunth : Carl Sigismund Kunth (1788-1850)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.50km 左岸土手に隣接する畑 2006.05.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 June 2006
Last modified: 19 March 2015
Scientific name confirmed: 14 September 2015
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by pianix | 2006-06-15 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ノビル(野蒜)
 ノビル(野蒜)は、ヒガンバナ科ネギ属の多年草です。中国や朝鮮半島が原産地で、古い時代に日本へ渡来した史前帰化植物です。日本全国に分布します。名の由来は、野に咲くヒル(蒜)で、ヒルはニンニク(大蒜)、あるいは臭いがある食用植物の総称です。ノヒルからノビルへと転訛したと考えられています。

 APG植物分類体系1)では、ヒガンバナ科(Amaryllidaceae J.St.-Hil. (1805))で、世界の熱帯から温帯にかけて約20属800種が分布します。クロンキスト、エングラー体系では、ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))で、温帯と亜熱帯に約240属4000種が分布します。ネギ属(Allium L. (1753))は、北半球を中心に約500種が分布します。

 地中に1~3cmになる広卵形で白色の鱗茎があり、下部から髭根を出します。子球を付けることがあり、栄養繁殖します。根生葉は薄緑色で、長さ20~30cm、幅2~3mmの線形です。断面が三日月状で、中空の管状になっています。ニラ臭があります。鱗茎から断面が円柱形の茎を50~80cmに伸ばし、頂端に散形花序を形成します。蕾は先が尖った形の総苞に包まれています。

 花期は5月から6月。15~20mmの花柄を出し、淡紅紫色の花をつけます。花径は8~10mm。花被片6の6弁花で、花被片中央には縦に走る紫色の筋があります。両花性で、長い雄しべ6本があります。花序には小球状のムカゴ(珠芽)2)が多数付きます。花のみ、花とムカゴ、ムカゴのみの3形態があります。果実は蒴果です。紫黒色で、長さ3.5~4mm、幅1.2~1.5mm、厚さ0.8~1mmの長楕円形です。若い全草は食用になります。染色体数は、8を基本数とした4~6倍体(2n=32、2n=40、2n=48)。

1)APG分類体系:
 初版は1998年、改訂版(APG II 2003)は2003年に公表。DNA解析による分子系統学のゲノム解析から実証的に分類体系を構築しようとする被子植物の新分類体系。AGP(Angiosperm Phylogeny Group)
2)珠芽(しゅが):bulbil, bulblet, aerial tuber
 零余子(むかご)は、腋芽(えきが)が養分を蓄えて球状となったもの。葉が多肉化したものを珠芽、茎が肥大して球状になったものを肉芽という。親株からはなれて発芽する。

Japanese common name : Nobiru
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Allium macrostemon Bunge
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花冠は淡紅紫色で花被片6、雄しべ6本。


ノビル(野蒜)
別名:ネビル/ヌビル/タマビル/ヒルナ/ヒル
ヒガンバナ科ネギ属
学名:Allium macrostemon Bunge
synonym : Allium grayi Regel.
花期:5月~6月 多年草 草丈:50~80cm 花径:8~10mm

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【学名解説】
Allium : alere・halium(臭い)/ネギ属
macrostemon : 長い雄蘂(ゆうずい)の
Bunge : Alexander Andrejewitsch von Bunge (1803-1890)
--- 
grayi : Asa Gray (1810-1888)の
Regel. : Eduard August von Regel (1815-1892)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から13.00km 右岸土手 2005.06.07, 2006.06.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

13 June 2006, 19 March 2014
Last modified: 08 April 2016
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by pianix | 2006-06-13 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ハナニラ(花韮)
 やればできると言われながら、私は勉強をやりませんでした。やるか、やらないのか、そこが分かれ目のような気がします。やる人は、それが一種の才能なのかもしれません。では、何故やらなかったのか。それは学習の行き着くところを示唆されなかったのが原因だったかもしれません。これはどこでどのように役立つ、という具体的なイメージを与えられていれば、必要性を感じて奮起したかもしれません。

 そしてもう一つは、学習の方法を教わらなかった事が挙げられます。教える側は、この点に留意しなければいけないのだと感じています。しかし、学校は全てを教えてくれるわけではありません。多くの若い人たちが、それは学校で教えてもらわなかったと言って免罪符にしようとします。必要を感じたら、自分から学ばなければならないのは当然の事です。ですから、社会に出ても通用する学習方法を教師が教えていてくれたら、率先して学べるのではないかと考えています。

☆ ☆ ☆

 土手斜面に春の花が少しずつ出てきました。毎年顔を出すハナニラも、まだ数は少ないけれど咲き始めました。ここ1週間ほどで季節の雰囲気は、がらりと変わりました。このハナニラは、最初に誰かが植えたのかもしれませんが、今では野生しています。さて、咲くべきか、咲かざるべきか、植物の世界でも迷う事はあるのでしょうか。

 ハナニラ(花韮)は、ヒガンバナ科ナハニラ属の多年草です。南米アルゼンチン、ペルー、ウルグアイ原産で、平地に自生します。日本へは明治中頃に渡来したと言われています。北海道から九州に分布し、野生化しています。 

 ヒガンバナ科(Amaryllidaceae J.St.-Hil. (1805))は、世界の熱帯から温帯にかけて約59属860種が分布します。クロンキスト体系ではユリ科(Liliaceae Juss. (1789))に分類され、世界の熱帯と温帯に約280属4000種が分布します。

 この花の属名は多くの変遷を経ています。Brodiaea、Triteleia、Milla、Leucocoryne等です。ここではIpheion(イフェイオン)としました。ハナニラの名の由来は、葉を揉むとニラのような臭いがする事から。英名は、spring star flowerです。春の星形をした花として、ふさわしい名前になっています。主な品種に濃青色で花径5cm程の、ウィズレー・ブルー'Wisley Blue'があります。

 球根は1~2cm程の卵球形です。鱗茎から10~20cm程の細い花茎を立て、花茎1本に1花(単頂花序)を咲かせます。花は花被片6枚の白色あるいは淡青色で、先端が尖ります。葉は広線形肉質で、ニラのように細く、10~20cmの長さになります。地面を這い直立しません。葉や鱗茎は葱の臭がします。分球によって繁殖します。

Japanese common name : Hana-nira
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Ipheion uniflorum (Graham) Raf.


ハナニラ(花韮)
別名:セイヨウアマナ(西洋甘菜)/トリテリア
ヒガンバナ科ナハニラ属
学名:Ipheion uniflorum (Graham) Raf.
花期:3月~4月 多年草(球根) 草丈:10~20cm 花径:3~4cm

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【学名解説】
Ipheion : 詳細不明:Asphodelus(ツルボラン属)/ナハニラ属
uniflorum : uniflorus(単花の)
Graham : Robert Graham (1786-1845)
Raf. : Constantin Samuel Rafinesque(-Schmalz) (1783-1840)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km 左岸土手 2006.03.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

2 March 2006
Last modified: 7 September 2016
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by pianix | 2006-03-02 00:00 | | Trackback | Comments(4)
スイセン(水仙)
 例年だと姿を見せ始めている野生の花達は、ほとんど見つけられずにいます。ちょっとした異変です。河川敷のど真ん中で寒風にさらされ、鼻水をすすりながら歩き回るのは慣れてしまいました。茶色に枯れた草も倒れかかり、鬱蒼としていた姿は見る事ができません。そのお陰で草むらだったところは通る事ができるようになりました。安倍川には、幾つもの小さな川が注いでいます。その一つに降り立つと、一株のスイセン(水仙)が目に飛び込んできました。誰も入り込まないような荒れ果てた場所に、ひっそり咲いている姿を見て、寒さの中に天使を見つけたような気分でした。

☆  ☆  ☆

 スイセンは、ヒガンバナ科スイセン属の多年草です。地中海沿岸やスペイン、ポルトガルが原産地と言われています。属名のNarcissusは、ギリシャ神話の美少年ナルキッソスに因むと言われ、その名前は麻痺させると言う意味です。スイセンには30種類ほどの野生種があり、ニホンズイセンは平安時代に中国経由で渡来したと言われています。

 スイセンの園芸分類は英国王立園芸協会で作成されたものを元にしていますが、登録品種は1万を超えています。分類は、12の部門の数字と花弁の色、副花冠内部底・中央・縁の3部分の色を記号で表し、ハイフンでつなげます。花色はW(白)、Y(黄色)、P(ピンク)、O(オレンジ)、R(赤)、G(緑)です。例えば「8W-OOO」は「房咲きスイセン(8)の花弁が白色(W)、副花冠が橙色(O)」という品種になります。略して8W-Oとも表記されます。

 12の部門の詳細は次の通りです。

部門01|ラッパズイセン:副花冠が花被片と同長かそれよりも長いもの。1茎1花。
部門02|大杯スイセン:副花冠が花被片の1/3を超え花被片よりも短いもの。1茎1花。
部門03|小杯スイセン:副花冠が花被片の1/3を超えないもの。1茎1花。
部門04|八重咲きスイセン:副花冠・雄しべ・雌しべが花弁になり八重咲きになるもの。
部門05|トライアンドラス・スイセン:野生種トリアンドルスの特徴を持つもの。
部門06|シクラミニウス・スイセン:野生種キクラミネウスの特徴を持つもの。
部門07|ジョンクィラ・スイセン:野生種ヨンクィルラの特徴を持つもの。
部門08|房咲きスイセン:野生種タゼッタ(房咲きスイセン)の特徴を持つもの。
部門09|口紅ズイセン:他の種の混じらない口紅ズイセンの園芸種。
部門10|種・野生の変種タイプおよび野生の雑種。
部門11|スプリット・コロナ・スイセン:副花冠が1/3以上裂けるもの。
部門12|前記のどの部門にも属さないもの。

※ニラ(韮)と思い込んだスイセンの誤食事故が多数おきています。生半可な知識で採取するのは危険です。十分にご注意下さい。

参考:早春の野草・その1(スイセン)

Japanese common name : Suisen
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Narcissus tazetta L. var. chinensis M.Roem.
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各部分の名称


スイセン(水仙)
別名:ニホンズイセン(日本水仙)/セッチュウカ(雪中花)
ヒガンバナ科スイセン属
学名:Narcissus tazetta L. var. chinensis M.Roem.
花期:12月~4月 多年草(耐寒性球根) 花径:3~4cm 草丈:30~40cm

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【学名解説】
Narcissus : ギリシャ神話の美少年ナルキッソスに因む/スイセン属
tazetta : 小さいコーヒー茶碗
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
chinensis : 支那(中国)の
M.Roem. : Max Joseph Roemer (1791-1849)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.01.04

6 January 2006, 11 June 2008
Last modified: 12 March 2016
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by pianix | 2006-01-06 00:00 | | Trackback | Comments(0)
タマスダレ(玉簾)
 10月12日の静岡は、久しぶりに太陽が顔をのぞかせました。明るい景色を見たら、野草達に会いたくなりました。その余裕がない日なのに浮かれて飛び出したので、水筒を忘れてしまいました。取りに戻った時、我が家の近くにタマスダレ(玉簾)を見つけました。すでに時期終盤なのに、このタマスダレは元気いっぱいのように見えました。

 タマスダレ(玉簾)の花は、明るい時は全開し、曇りや日陰では半開きになります。夜は閉じます。

 花の名前を問われてタマスダレと答えると、ほとんどの方は「さては南京玉簾」と歌い出します。大道芸南京玉簾の初めのフレーズですね。玉簾は切断面が丸くなっているので玉の名称が使われています。細い葉をこの簾に見立てて玉簾という名称がつきました。花を玉に例えるとの説もあるようですが、少し無理がある感じがします。中国名は、蔥蓮です。

Japanese common name : Tama-sudare
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Zephyranthes candida (Lindl.) Herb.


タマスダレ(玉簾)
別名:ギョクレン(玉簾)/ゼフィランサス(Zephyranthes)
ヒガンバナ科タマスダレ属
学名:Zephyranthes candida (Lindl.) Herb.
花期:7月~10月 多年草(球根) 草丈:15~20cm 花径:3~5cm

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【学名解説】
Zephyranthes : zephyros(西風・ギリシャ神話の西風神)+anthos(花)/タマスダレ属
candida : candidus(純白の・白毛ある)
Lindl. : John Lindley (1799-1865)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km 左岸土手 2005.10.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 12 October 2005
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by pianix | 2005-10-12 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハマユウ(浜木綿)
 ハマユウ(浜木綿)は、ヒガンバナ科ハマオモト属の多年草です。アジアに分布し、日本では千葉県以南の海に面した地域に分布します。名の由来は、白布(ゆう)のような花色で海岸近くに咲く事から。ハマオモト(浜万年青)は、葉がオモト(万年青)に似て海岸近くに咲く事によります。オモトの語源は不明です。豊前の御許山からとか、オオモト(大本)やアオモト(青木)からの転訛と言われています。漢名の万年青は、葉がいつも青々としている事から。

 ヒガンバナ科(Amaryllidaceae J.St.-Hil. (1805)) は、世界の熱帯から温帯にかけて約59属860種が分布します。クロンキスト体系ではユリ科(Liliaceae Juss. (1789))に分類され、世界の熱帯と温帯に約280属4000種が分布します。ハマオモト属(Crinum L. (1753))は、約180種が分布します。

 7月30日、無線機店へアマチュア無線のQSLカードを発送するために出かけました。せっかく海の近くまで来たのだからと海岸へ足を運びました。日が落ちてきた頃、ハマユウが涼しそうに咲いているのを見つけました。

 この帰り道は渋滞続きでした。静岡市で毎年行われる「安倍川花火大会」の日だったからです。戦時下、空襲で焼き出された方々の慰霊のために始まった花火大会です。多くの人たちが安倍川河川敷で荼毘(だび)に付されました。現在はその意味合いも薄れてしまったようですが、多くの人たちが見物に出かけてきます。車の規制が至るところで行われます。私は花火の音だけを聴きました。

 当時も咲いていたであろうハマユウと、家も人も焼き尽くした焼夷弾。なんとも不釣り合いな光景が脳裏にありました。

※有毒(リコリン)
染色体数は、2n=22。

Japanese common name : Hama-omoto
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Crinum asiaticum L. var. japonicum Baker


ハマユウ(浜木綿)
和名:ハマオモト(浜万年青)
ヒガンバナ科ハマオモト属
学名:Crinum asiaticum L. var. japonicum Baker
花期:7月~9月 多年草 草丈:50~80cm 花径:5~10cm

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【学名解説】
Crinum : crinon(百合)/ヒガンバナ科
asiaticum : asiaticus(アジアの)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Baker : John Gilbert Baker (1834-1920)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.25km 左岸土手 2005.07.30

Last modified: 18 August 2005
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by pianix | 2005-08-18 00:00 | 海辺の植物 | Trackback | Comments(0)