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イボタノキ(疣取木/水蝋樹)
 イボタノキ(疣取木/水蝋樹)は、モクセイ科イボタノキ属の落葉低木です。日本・朝鮮・中国が原産です。国内では、北海道・本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、樹皮にカイガラムシの一種であるイボタロウカタカイガラムシ1)(水蝋樹蝋硬貝殻虫)の雄虫が寄生し、イボタロウ(水蝋樹蝋)という蝋物質の分泌物を出すことから。ワックス用途で利用されます。疣取木は、イボを取る民間薬として蝋物質が使われた事から。英名は、Border privet。

 モクセイ科(Oleaceae Hoffmannsegg & Link, 1813-1820)は、北半球と南半球の温帯から熱帯にかけて27属約600種が知られていて、日本には、イボタノキ属、トネリコ属、ハシドイ属、モクセイ属、ヒトツバタゴ属、レンギョウ属の6属があります。イボタノキ属(Ligustrum C. Linnaeus, 1753)はヨーロッパ、北アフリカ、アジア、オーストラリアに約50種があり、日本には約10種が自生します。

 樹皮は灰白色で、新枝には細毛があり、分枝しながら樹高2~3mになります。葉は対生します。長楕円形で長さは20~50mm、幅は2~20mm。全縁で、先は鈍頭、基部はくさび形。葉柄は短く1~3mm。葉表は緑色で不明瞭な葉脈が4~5対あり、葉裏は灰緑色で中脈に毛があります。

 花期は5月から6月頃。枝先に長さ2~4cmの総状花序を出します。花は先が4裂した筒状漏斗形の合弁花です。花冠は白色で長さ7~9mm。雄しべ2本で、葯が花冠から若干突き出ます。雌しべは1本。果実は核果です。長さ6~7mmの楕円形で、熟すと紫黒色となります。種子が1個入っています。鳥などによって捕食され散布されます。

1)イボタロウカタカイガラムシ(水蝋樹蝋硬貝殻虫)
俗称:イボタロウムシ(水蝋樹蝋虫)
カメムシ目(半翅目)(Hemiptera)カタカイガラムシ科(Coccidae)
学名:Ericerus pela (Chavannes, 1848)
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄

Japanese common name : Ibotano-ki
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Ligustrum obtusifolium Siebold et Zucc.
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花と葉(2006.5.30)


イボタノキ(疣取木/水蝋樹)
モクセイ科イボタノキ属
学名:Ligustrum obtusifolium Siebold et Zucc.
花期:5月~6月 落葉低木 樹高:2~3m 花冠長:7~9mm 果期:10~11月

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【学名解説】
Ligustrum : ligare(縛る)/イボタノキ属
obtusifolium : obtusifolius(先が鈍形の葉を持った)
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.05.24, 2006.05.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

13 July 2006
Last modified: 28 Septembe 2011
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by pianix | 2006-07-13 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヒトツバタゴ(一つ葉田子)
 ヒトツバタゴ(一つ葉田子)は、モクセイ科ヒトツバタゴ属の落葉高木です。中国、台湾、朝鮮半島、日本に分布します。国内では限られた地域(長崎県対馬市、岐阜県、愛知県、長野県の木曽川流域)に自生地する在来種で、隔離分布します。自生地である対馬市上対馬町鰐浦のヒトツバタゴは3000本以上を数え、1928年に国の天然記念物に指定されました。他の地域のものは植栽されたものです。

 名の由来は、「一つ葉のトネリコ(タゴ)」から。1825年に植物学者の水谷豊文が命名しました。本州中部以北に生育するトリネコ(サトトネリコ)が複葉なのに対し、本種は単葉である事から。通称のナンジャモンジャの名で親しまれています。英名はSnow Flower、あるいはSnow Blossom。

 モクセイ科(Oleaceae Hoffmanns. & Link (1809))は世界の熱帯から温帯にかけて、約27属600種が分布します。日本には6属(イボタノキ属、トネリコ属、ハシドイ属、モクセイ属、ヒトツバタゴ属(Chionanthus L. (1753))、レンギョウ属)があります。

 幹は直立して分枝します。葉は対生します。葉柄が長く、4~10cm程の長楕円形から広卵形で、全縁(鋸歯が無い)です。枝先に5~8cmの円錐花序を作り、樹冠全体を被うようになります。その様子から俗称「雪の花」とも呼ばれます。花は白色の合弁花(管状花)で、花弁が深く4つに裂け、15~20mm程の細いヘラ形となります。香気(微香)があります。雄株両性花異株です。つまり、両性花と雄株(雄性花)があり、雌株はありません。果実は8~10mm程の核果で熟すと紫黒色になります。種子は縦に皺がある尖頭楕円体です。染色体数は、2n=92。

★ ★ ★

 静岡市葵区にある城北公園には、花時計を囲むように86本のヒトツバタゴ(一つ葉田子)が咲いています。一般には、ナンジャモンジャの名称で知られています。そこにある掲示板には、次のように記されています。

「ヒトツバタゴ 別名なんじゃもんじゃ モクセイ科」
 日本では長崎県対馬市、岐阜県、愛知県、長野県の木曽川流域にのみ自生し、高さ二十メートルほどにもなる落葉木です。花は五月の始め頃に白い清楚な花が咲き雪をかぶったように見えます。現在、自生木は減少し環境省が発行しているレッドデータブックには「絶滅危惧種II類(VU)」に指定されている希少木です。
 公園内の木は昭和五十九年明治神宮外苑と岐阜県瑞浪市の篤志家からお譲りいただきました。

「なんじゃもんじゃ」の名の由来
 この不思議な名の由来は、通説として水戸黄門(光圀)が、参勤交代の途次に下総神崎(千葉県神崎町)の神埼神社に参詣され、社殿横にある大木(御神木)をご覧になり、「この木はなんじゃ」と尋ねられた。土地の人は聞き取れず「なんじゃもんじゃ」と問い返した所、黄門は木の名と思い「なんじゃもんじゃであるか」といわれた。以来この御神木を「なんじゃもんじゃ」と呼び、大切に保護をしてきた。他説では、神社、仏閣にある御神木・尊い木と、その地方で見慣れぬ種類の大木を「なんじゃもんじゃ」とよんでいる。
(以上原文のまま)

Japanese common name : Hitotuba-Tago (Nanja-Monja)
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Chionanthus retusa Lindl. et Paxton

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学名の通りに雪が積もったように見える。2010.05.12
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2010.05.12

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左:樹形     右:樹皮
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葉裏 葉脈上に細かな毛がある


ヒトツバタゴ(一つ葉田子)
別名:ナンジャモンジャ
モクセイ科ヒトツバタゴ属
学名:Chionanthus retusa Lindl. et Paxton
花期:5月~6月 落葉高木 樹高:15~20m 花序:5~8cm 果期:10月

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【学名解説】
Chionanthus : chion(雪)+anthos(花)/ヒトツバタゴ属
retusa : retusus(微凹形の)
Lindl. : John Lindley (1799-1865)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Paxton : Joseph Paxton (1803-1865)

撮影地:静岡県静岡市
葵区/城北公園(植栽) 2006.05.09, 2010.05.12

9 May 2006
Last modified: 12 May 2010
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by pianix | 2006-05-09 00:00 | | Trackback | Comments(2)
シナレンギョウ(支那連翹)
 桜が咲く頃、鮮やかな黄色の花を咲かせるレンギョウ(連翹)があります。辺り一面が明るい雰囲気になります。このレンギョウの後ろにサクラが咲くとコントラストが美しく、毎年楽しみにする風景の一つになっています。付近に咲くレンギョウを調べて回ったら、ほとんどがシナレンギョウでした。

 シナレンギョウ(支那連翹)はモクセイ科レンギョウ属の落葉低木です。中国が原産で、日本へは古くに観賞用として渡来しました。1923年渡来との説もあります。名の連翹は漢名を音読みしたもので、中国ではトモエソウ(巴草)Hypericum ascyron L.を指し、これを誤って付けたもの。本来の漢名は黄寿丹です。英名は、Golden-bolls。

 変種に朝鮮原産のチョウセンレンギョウ(朝鮮連翹)があります。日本原産種に、ヤマトレンギョウ(大和連翹)とショウドシマレンギョウ(小豆島蓮翹)があります。モクセイ科は世界の熱帯から温帯にかけて、約27属600種が分布します。レンギョウ属は東アジア、ヨーロッパ東部に数種が分布します。

 枝や幹は直立します。チョウセンレンギョウの場合は枝が湾曲します。枝は中空で、髄があり隔壁(薄い膜の仕切り)があります。レンギョウにはありません。葉は対生し、鋸歯が先端の半分程まであります。チョウセンレンギョウの場合は、ほぼ全面にあります。葉の長さは5~10cm程。花冠は25mm程で、黄色。深く4裂し、下向きに咲きます。雌雄異株です。雄しべは2個で、花柱は雄しべより長く突き出ます。卵形の朔果をつけます。生薬として使うのは、この果実で、消炎・利尿・排膿・解毒に利用されます。挿し木で簡単に殖やせます。

***
【日本原産】
ヤマトレンギョウ(大和連翹):Forsythia japonica Makino
ショウドシマレンギョウ(小豆島蓮翹):Forsythia togashii Hara
【中国原産】
レンギョウ(連翹):Forsythia suspensa (Thunb.) Vahl
【朝鮮原産】
チョウセンレンギョウ(朝鮮連翹):Forsythia viridissima Lindl. var. coreana Rehd.
【バルカン原産】
フォルシティア・エウロパエア:Forsythia europaea Deg. et Bald.

Japanese common name : Shina-rengyou
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Forsythia viridissima Lindl.


シナレンギョウ(支那連翹)
モクセイ科レンギョウ属
学名:Forsythia viridissima Lindl.
花期:3月~4月 落葉低木 樹高:2~3m 花径:25mm

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【学名解説】
Forsythia : William Forsyth(1737-1804)に由来/レンギョウ属
viridissima : viridissimus(濃緑色の)
Lindl. : John Lindley (1799-1865)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.25km 左岸土手(植栽) 2006.03.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 31 March 2006
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by pianix | 2006-03-31 00:00 | | Trackback | Comments(0)
トウネズミモチ(唐鼠黐)
 トウネズミモチ(唐鼠黐)は、モクセイ科イボタノキ属の常緑小高木です。中国が原産地です。明治初年に日本に移入され、1960年代から植栽が盛んに行われるようになりました。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。名の由来は、在来種のネズミモチ(鼠黐)からで、果実がネズミの糞のように見え、モチノキ科モチノキ属のモチノキ(黐の木)に似ている事から。そのネズミモチの類似種であり、中国渡来の意味で唐を冠したものです。

 モクセイ科(Oleaceae Hoffmannsegg & Link, 1813-1820)は、北半球と南半球の温帯から熱帯にかけて27属約600種が知られていて、日本には、イボタノキ属、トネリコ属、ハシドイ属、モクセイ属、ヒトツバタゴ属、レンギョウ属の6属があります。イボタノキ属(Ligustrum C. Linnaeus, 1753)はヨーロッパ、北アフリカ、アジア、オーストラリアに約50種があり、日本には約10種が自生します。

 葉は、5~12cm程の大きさで、対生します。先端が尖った全縁(葉の縁が滑らか)の卵形で、艶があり柔らかです。ネズミモチと類似しますが大きめで、葉脈(主脈・側脈)が透けて見える事で識別することが出来ます。6月から7月頃に、円錐花序に白い5mm程の小さな花をつけます。花弁は4枚、雄しべは2本あります。虫媒の両性花で、染色体数2n=46です。花期はネズミモチより一月ほど遅れます。実は楕円形で、熟すと黒紫色となり、非常に多くを房状につけます。ネズミモチよりも大型です。液果(果皮が肉質で液汁の多い果実)であり、1)鳥(ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、キジバト、ムクドリ、コムクドリ)によって運ばれ散布されます。

 成熟した果実を乾燥したものを、漢方薬の女貞子(ジョテイシ)として利用します。薬理作用は、強壮・強心・利尿・鎮咳・免疫増強・抗菌です。オレアノール酸、ベツリン、ルペオール、マンニトール、オレイン酸、リノレン醸、パルミチン酸等を含む苦味のある生薬です。中心性網膜炎、老人性白内障の眼科薬としても使用されます。葉を乾燥させた女貞葉は、消炎・鎮痛薬として使われます。

 公園樹や路側帯樹、生け垣などに利用されます。性質が強く繁殖も容易であることから、野生化して勢力を拡大しています。在来種ネズミモチの遺伝的攪乱も危惧1)されています。安倍川河川敷にも野生化したものが見られます。平成17年(2005年)に外来生物法で要注意外来生物に指定されました。現在は、生態系被害防止外来種とされています。

 1) 吉永智恵美・亀山章(2001)都市におけるトウネズミモチ(Ligustrum lucidum Ait.)の分布拡大の実態。日本緑化工学会誌27(1):44-49。

Japanese common name : Tou-nezumimoti
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Ligustrum lucidum Aiton


トウネズミモチ(唐鼠黐)
モクセイ科イボタノキ属
学名:Ligustrum lucidum Aiton
花期:6月~7月 常緑小高木 樹高:10~15m 花序長:10cm 果期:10~12月 実径:8~9mm

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【学名解説】
Ligustrum : ligare(縛る)/イボタノキ属
lucidum : lucidus(強い光沢のある・輝く)
Aiton : William Aiton (1731-1793)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から7.0km 左岸河川敷 2006.01.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 02 February 2006
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by pianix | 2006-02-02 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キンモクセイ(金木犀)
 キンモクセイ(金木犀)の時期だという事を夕方になって思い出しました。道行く途中にも甘い香りが流れてきます。道沿いにキンモクセイが何本かありました。臭いで木の存在を知ることになります。私が見たいのは1本だけ。昨年も見た、土手沿いに咲くキンモクセイです。モクセイは静岡県の木に制定されています。

 キンモクセイは、モクセイ科モクセイ属の常緑小高木です。中国原産と言われていますが定かではありません。普通、モクセイと言えば白花のギンモクセイ(銀木犀)を指し、香りが強い橙黄色花のキンモクセイ(金木犀)はギンモクセイの変種とされています。これよりも薄い橙黄色の花をつけるウスギモクセイ(薄黄木犀)、ギンモクセイとヒイラギの雑種であるヒイラギモクセイ(柊木犀)があります。木犀は、これらの総称です。

 ウスギモクセイは実をつけますが、キンモクセイは実をつける事はなく、繁殖は挿木によります。4枚の花弁の合弁花で、雄しべが2本あります。

 「やあ、君。今年も咲いたね」と、しばらくキンモクセイと語らい、満足して帰宅する事ができました。

モクセイ(木犀)Osmanthus fragrans Lour
ギンモクセイ(銀木犀)Osmanthus fragrans Lour. var. fragrans
ウスギモクセイ(薄黄木犀)Osmanthus fragrans Lour. var. thunbergii Makino
ヒイラギモクセイ(柊木犀)Osmanthus × fortunei

Japanese common name : Kin-mokusei
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Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino f. aurantiacus (Makino) P.S.Green

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キンモクセイ(金木犀)
モクセイ科モクセイ属
学名:Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino f. aurantiacus (Makino) P.S.Green
花期:9月~10月 常緑小高木 樹高:3~6m 花径:5mm

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【学名解説】
Osmanthus:osme(香り)+ anthos(花)/モクセイ属
fragrans : 芳香のある
Lour. : Joao de Loureiro (1717-1791)
var. : varietas(変種)
aurantiacus : 橙黄色の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
f. : forma(品種)
P.S.Green : Peter Shaw Green (1920-2009)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 右岸土手(植栽) 2005.10.06, 2007.10.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

08 October 2005
Last modified: 05 January 2015
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by pianix | 2005-10-08 00:00 | | Trackback(1) | Comments(3)