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ヤブレガサ(破れ傘)
 ヤブレガサ(破れ傘)は、キク科ヤブレガサ属の多年草です。朝鮮半島と日本に分布し、国内では本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、芽吹きの時、白絹毛に覆われた葉の形状が破れた傘のように見える事から。英名は、Palmate Shredded Umbrella Plant。中国名は、兎児傘(トジサン|兔儿伞[tùérsăn])。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。ヤブレガサ属(Syneilesis Maximowicz, 1859)は、東アジアに5種、日本には3種2変種(内、絶滅1)1)が分布します。

 山地の林内に自生します。双子葉植物2)ですが子葉(根出葉)は1枚であることが特徴です。芽出の若葉は白絹毛に覆われ、傘をつぼめた状態で、草丈は10cm内外。この時期の葉は、山菜として用いられることがあります。やがてを傘を広げるように展開します。花茎は分岐せずに直立して50~120cmになります。葉は互生します。柄の先に茎葉を2~3枚つけます。下部の葉の基部は茎を取り巻き合着します。葉は掌状に7~9深裂(掌状深裂3))し、欠刻や粗い鋸歯があり、無毛。円形に平開して30~50cmになります。

 花期は7~8月。茎の先に円錐花序を出し、小花が7~13個集まる頭花を多数つけます。小花は、花冠が5裂する管状花(筒状花)4)のみで構成され、舌状花はありません。花色は白色か薄紅色をおび、頭花径は8~10mm。両性花です。小花を束ねる総苞は、筒状で長さ9~10mm、薄緑白色。総苞片は5枚で、内側に冠毛があります。雄しべは茶褐色の鞘状で花粉は黄色。雌しべ柱頭は白色で先端が2裂し、外側に反り返って巻きます。果実は約4mmで、約7mmの冠毛が付きます。染色体数は、2n=52。

 タケウチケブカミバエ(竹内毛深実蠅 Paratephritis takeuchii Ito. 1950)に寄生され、紡錘状に肥大した虫コブを葉柄基部に付ける事があります。ヤブレガサクキフクレズイフシ(破れ傘茎膨れ髄節)と呼ばれています。

 よく似た種に、葉が紅葉状に裂け円錐花序に頭花を付ける、キク科コウモリソウ(蝙蝠草)属のモミジガサ(紅葉傘)Parasenecio delphiniifolius (Siebold et Zucc.) H.Koyamaがあります。また、モミジガサに酷似した種に、葉裏の葉脈が網目状になる、テバコモミジガサ(手箱紅葉傘)Parasenecio tebakoensis (Makino) H.Koyama(synonym : Cacalia delphiniifolia Siebold et Zucc.)があります。

【食べてみました】
静岡市では山菜として食される習慣がありません。そこでどんな味か試す事にしました。まだ葉が広がっていない、白絹毛に覆われた芽出の若葉を見つけて、茎の下部から折り採取しました。これを1時間ほど水に浸してから天ぷらにしました。天ぷらにすると苦みなどが感じられず、春の山菜としてはインパクトがない味になりました。苦みを味わいたい人は、おひたしにすると良いかもしれません。(2013年3月記)

1) 国内のヤブレガサ属3種
・ホソバヤブレガサ(細葉破れ傘)Syneilesis aconitifolia (Bunge) Maxim.
 (変種)タンバヤブレガサ(丹波破れ傘)Syneilesis aconitifolia (Bunge) Maxim. var. longilepis Kitam.(絶滅(EX))
・ヤブレガサ(破れ傘))Syneilesis palmata (Thunb.) Maxim.
・ヤブレガサモドキ(破れ傘擬き)Syneilesis tagawae (Kitam.) Kitam.
 (変種)ヒロハヤブレガサモドキ(広葉破れ傘擬き)Syneilesis tagawae (Kitam.) Kitam. var. latifolia H.Koyama
2) 双子葉植物:子葉が2枚である種子植物。例外として子葉が1枚であるセツブンソウ(節分草)、ニリンソウ(二輪草)、コマクサ(駒草)、ヤブレガサ等がある。
3) 掌状裂(しょうじょうれつ)は、掌状脈を持った葉が手のひら状に裂けるもので、切れ込みの浅いものから順に、掌状浅裂(~せんれつ)、掌状中裂(~ちゅうれつ)、掌状全裂(~ぜんれつ)、掌状深裂(~しんれつ[palmatipartite])に分類される。
4) 管状花(かんじょうか)[tubular corolla]:合弁花の一つで、花びらが管状になるもの。筒状花(とうじょうか)と同じ。

Japanese common name : Yaburegasa
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Syneilesis palmata (Thunb.) Maxim.

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若葉は白絹毛に覆われている。2007.04.06

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茎を徒長させながら葉が展開する頃、白絹毛は無くなってくる。2007.03.21

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左:花期。2008.07.11 左:蝶が介在している。

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左:花の終わり。2008.07.29 右:2011.09.14

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冠毛が目立つようになった頭花。頭花は管状花の集まり。2011.09.14
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ヤブレガサクキフクレズイフシ(破れ傘茎膨れ髄節)
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モミジガサ(紅葉傘)
Parasenecio delphiniifolius (Siebold et Zucc.) H.Koyama


ヤブレガサ(破れ傘)
キク科ヤブレガサ属
学名:Syneilesis palmata (Thunb.) Maxim.
synonym : Cacalia thunbergii Nakai
花期:7月~8月 多年草 草丈:50~120cm 花径:8~10mm

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【学名解説】
Syneilesis : 合着して巻いた子葉を持つの意/ヤブレガサ属
palmata : palmatus(掌状の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
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Parasenecio : para(異なった)+senex(老人)/コウモリソウ属
delphiniifolius : delphinii+folius(オオヒエンソウ属(Delphinium)のような葉の)
H.Koyama : 小山博滋 Hiroshige Koyama (1937- )

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Alt.226) 2007.03.21
安倍城跡(Alt.435m) 2008.07.11, 2008.7.29, 2011.09.14(モミジガサ)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

Last modified: 29 March 2013
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by pianix | 2011-09-16 00:00 | | Trackback | Comments(2)