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ホトトギス(杜鵑草)
 ホトトギス(杜鵑草)は、ユリ科ホトトギス属の多年草です。北海道から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、花にある斑紋が鳥のホトトギス(杜鵑)にある胸の斑紋に似ている事から。

 ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ホトトギス属(Tricyrtis Wallich (1826))は、日本・台湾・朝鮮半島等の東アジアに19種が分布し、日本には13種が分布します。

 山野の林内に自生します。休眠芽は地中にあります。短い根茎を持ち、茎には上向きの毛があります。垂れ下がるか直立して、草丈は40~100cmになります。葉は互生します。基部は茎を抱き、長楕円形から披針形、先端は鋭尖で、長さ8~18cm、幅2~5cm。

 花期は9月から10月。散房花序を出し、葉腋に1~3個の花を上向きに咲かせます。花被片は内花被片3と外花被片3の6枚で、長さ約2.5cm、斜め上に開きます。白地に紅紫色の斑点模様が多数あります。花被片下部には、蜜標である環状の黄橙色斑紋があります。外花被の基部には袋状に曲がった3つの距があります。これはホトトギス属の学名Tricyrtis=treis(三)+cyrtos(曲)の由来となっています。距には蜜があります。

 雄しべ花糸は6で紫斑があり、3本は雌しべ下に重なり、湾曲した先端に葯をT字状に付けます。蜜を求めて訪れた虫が花被片に乗った時に花粉を着けやすくする構造になっています。雌しべ花柱は紫斑があり、腺毛状突起が密生し、上部で3裂した後、先端で2裂します。長さ1.5~2cm。4日間ほど花を咲かせます。雌雄同花、自家和合性があり、雄性先熟の虫媒花。子房上位。子房が成長すると花柱がせり上がってきます。果実は朔果で、種子繁殖します。細長い果実で、内部は3室に別れ、扁平な種子を多数含みます。熟すと先端が3裂して種子を出します。染色体数は、2n=26, 24 and 25.Ogihara(1971)。

 他に、白花を咲かせる変種のシロホトトギス(白杜鵑草)Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook. f. albescens (Makino) Hiyama があります。よく似ているものに、台湾や西表島に分布するタイワンホトトギス(台湾鵑草)Tricyrtis formosana Baker があり、交雑種も園芸品種として多く出回っています。

Japanese common name : hototogisu
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Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook.

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左:花柱には紫斑があり、葯はT字状に付く。右:子房が成長して花柱がせり上がる。
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2010.10.23
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2010.10.23


ホトトギス(杜鵑草)
ユリ科 ホトトギス属
学名:Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook.
花期:9月~10月 多年草 草丈:40~100cm 花径:約2cm

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【学名解説】
Tricyrtis : treis(三)+cyrtos(曲)/ホトトギス属
hirta : hirtus(短い剛毛のある)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Hook. : William Jackson Hooker (1785-1865)
---
※シロホトトギス(白杜鵑草)
var. : varietas(変種)
albescens : 白味を帯びた
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
---
※タイワンホトトギス(台湾鵑草)
formosana : formosanus(台湾の)
Baker : John Gilbert Baker (1834-1920)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt.435m) 2008.09.27 / 2010.10.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

23 October 2010
Last modified: 26 July 2016
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by pianix | 2009-07-29 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)
 ヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)は、ユリ科ホトトギス属の多年草です。北海道から九州にかけて分布する日本固有の在来種です。名の由来は、山道沿いに多く見られ、花にある斑紋が鳥のホトトギス(杜鵑)にある胸の斑紋に似ている事から。

 ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ホトトギス属(Tricyrtis Wallich (1826))は、日本・台湾・朝鮮半島等の東アジアに19種が分布、日本には13種が分布します。

 山地の林内に自生します。草丈は30~70cm。茎には下向きの毛が密生します。葉は互生します。基部は心形で茎を抱き葉は卵状長楕円形から狭長楕円形で毛があります、先端は鋭尖、長さは8~18cm。油点状斑紋があります。

 花期は8月から10月。茎頂や葉腋から花柄を出して1~3個の花を上向きに付けます。花被片は内花被片3と外花被片3の6枚で、花被片1/3あたりで平開します。下部には他のホトトギスの仲間のような黄色ではないものの、蜜標である環状の斑紋があります。外花被片は内花被片より幅が広く、基部には袋状に曲がった3つの距があります。これはホトトギス属の学名Tricyrtis=treis(三)+cyrtos(曲)の由来となっています。距には蜜が貯められています。

 雄しべ花糸は6で黄白色。3本は雌しべ下に重なり、湾曲した先端に葯を付けます。蜜を求めて訪れた虫が花被に乗った時に花粉を着けやすくする構造になっています。雌しべ花柱は、上部で3裂した後、先端で2裂します。3裂した上部には腺毛状突起が密生します。花柱には紅紫色の斑点がありますが、基部の子房部分は花糸に囲まれていています。

 雌雄同花、自家和合性があり、雄性先熟の虫媒花。子房上位。子房が成長すると花柱がせり上がってきます。果実は朔果で、種子繁殖します。細長い果実で、内部は3室に別れ、扁平な種子を多数含みます。熟すと先端が3裂して種子を出します。染色体数は、2n=26。

 同属に、よく似たヤマホトトギス(山杜鵑草)Tricyrtis macropoda Miq. があります。ヤマジノホトトギスの花被は平開しますが、ヤマホトトギスの花被は強く反曲します。他に、花序形成の違い、蜜標のあるなしが異なる部分です。共に花柱に紅紫色の斑点があり、花糸にはありません。

・花柱(かちゅう)style:雌しべ(Pistil)の柱頭(Stigma)と子房(Ovary)をつなぐ柄の部分。
・花糸(かし)Filament:雄しべ(Stamen)の葯(Anther)を支える糸状の部分。

Japanese common name : Yamaji-no-hototogisu
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Tricyrtis affinis Makino

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内花被片3と外花被片3が平開。茎に下向きの毛、花被基部に3つの距がある。

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雄しべ6、雌しべは上部で3裂、先端で2裂。茎頂や葉腋に1~3個の花をつける。
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葉は互生し、油点状斑点がある。


ヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)
ユリ科ホトトギス属
学名:Tricyrtis affinis Makino
花期:8月~10月 多年草 草丈:30~70cm 花径:約2~3cm

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【学名解説】
Tricyrtis : treis(三)+cyrtos(曲)/ホトトギス属
affinis : 酷似した・近似の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
牛ヶ峰(高山)Alt.717m/谷沢(Yazawa)ルート 2008.09.03
牛ヶ峰(高山)Alt.717m/八十岡(Yasooka)ルート 2014.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 July 2009
Last modified: 24 September 2014
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by pianix | 2009-06-27 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヤマホトトギス(山杜鵑草)
 ヤマホトトギス(山杜鵑草)は、ユリ科ホトトギス属の多年草です。日本、朝鮮半島、中国に分布します。日本では、岩手県以西の太平洋側、及び長野県に分布します。名の由来は、花にある斑紋が鳥のホトトギス(杜鵑)にある胸の斑紋に似て、山地に生える事から。

 ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ホトトギス属(Tricyrtis Wallich (1826))は、日本・台湾・朝鮮半島等の東アジアに19種が分布、日本には13種が分布します。

 山野の林内に自生します。休眠芽は地中にあります。短い根茎を持ち、茎には下向きの毛があります。草丈は40~70cm。葉は互生します。基部は心形で茎を抱き、長楕円形から長卵形、先端は鋭尖、長さ7~12cm。茎頂1)や葉腋2)から長い柄を出します。これは、この種名の学名macropoda(長い柄の)の由来となっています。

 花期は7月から9月。散房花序3)を出し、花は上向きに咲きます。花被片は内花被片3と外花被片3の6枚で、基部から1/3あたりで強く反り返るのが特長です。白地に紅紫色の斑点模様がまばらにあり、縁側は少ないか全くない場合があります。また、模様や色の個体変異があります。花被片下部には、他のホトトギスの仲間に多く見られる、蜜標である黄橙色の環状の斑紋がありません。外花被片は内花被片より幅が広く、基部には袋状に曲がった3つの距があります。これはホトトギス属の学名Tricyrtis=treis(三)+cyrtos(曲)の由来となっています。距には蜜が貯められています。

 雄しべ花糸は6個で黄白色、斑紋はありません。内3個は雌しべ下に重なり、外に湾曲した先端に葯を付けます。蜜を求めて訪れた虫が花被片に乗った時に花粉を着けやすくする構造になっています。雌しべ花柱は、上部で3裂した後、先端で2裂します。3裂した上部には腺毛状突起が密生します。花柱には紅紫色の斑点がありますが、基部の子房部分は花糸に囲まれていています。長さは1.5~2cm。

 2日間ほど花を咲かせます。雌雄同花、自家和合性があり、雄性先熟の虫媒花。子房上位。子房が成長すると花柱がせり上がってきます。果実は朔果で、種子繁殖します。細長い果実で、内部は3室に別れ、扁平な種子を多数含みます。熟すと先端が3裂して種子を出します。染色体数は、2n=26。

 同属に、よく似たヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)Tricyrtis affinis Makino があります。イガイ目イガイ科の貝に同名のヤマホトトギス(Musculus japonica (Dunker))があります。

1)茎頂(けいちょう):茎の先端
2)葉腋(ようえき):葉のつけ根の茎に面した部分
3)散房花序 (corymb):花軸に複数の花柄が付き、下部の花柄ほど長くなる事で花の位置が平面か半球状に揃う花序。

Japanese common name : yama-hototogisu
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Tricyrtis macropoda Miq.

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左:外花被片の基部には3つの距がある/右:花被片の幅が広いのが外花被片

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花被片は内花被片3と外花被片3の6枚で、基部から1/3あたりで強く反り返る。
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茎頂や葉腋から柄を出して散房花序を形成する。2008.09.17


ヤマホトトギス(山杜鵑)
ユリ科ホトトギス属
学名:Tricyrtis macropoda Miq.
花期:7月~9月 多年草 草丈:40~70cm 花径:約2.5cm

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【学名解説】
Tricyrtis : treis(三)+cyrtos(曲)/ホトトギス属
macropoda : macropodus(長柄の・太い軸の)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2007.09.17 - 2008.09.27
牛妻不動の滝(静岡市葵区) 2007.09.18
竜爪山(薬師岳 Alt. 1051m) 2008.09.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 June 2009
Last modified: 26 July 2016
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by pianix | 2009-06-24 00:00 | | Trackback | Comments(0)
チャボホトトギス(矮鶏杜鵑草)
 チャボホトトギス(矮鶏杜鵑草)は、ユリ科ホトトギス属の多年草です。東海地方から九州にかけて分布する日本固有の在来種です。名の由来は、花にある斑紋が鳥のホトトギス(杜鵑)にある胸の斑紋に似ている事から。チャボは、本種がキバナノホトトギスの矮性種である事から、鶏の矮性種チャボ(矮鶏)に例えたもの。チャボの語源は、ベトナムの地名チャンパ(Champa)によります。地域によっては絶滅危惧II類(VU)に指定されています。

 ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ホトトギス属(Tricyrtis Wallich (1826))は、日本・台湾・朝鮮半島等の東アジアに19種が分布します。日本には、ジョウロウホトトギス節、キバナノホトトギス節、ホトトギス節、ヤマホトトギス節から計13種が分布しています(変種、品種を除く)。内10種は日本固有種です。チャボホトトギスは、キバナノホトトギス節に属します。

 山地の林下に自生します。草丈は2~10cm程で、直立します。茎には毛が散生します。花柄は1.5cm程で、開出毛があります。葉は互生し、基部は茎を抱き、倒披針形で長さ5~15cm。紫褐色の斑紋(油点状斑紋1))があり、上面は無毛で艶があり、裏面には毛があります。

 花期は8月下旬から9月上旬頃で、茎頂や葉脇に黄色の花を上向きに1~2個付けます。花柄は長さ約1.5cm。花被片は内花被片3と外花被片3の計6枚で、長さ2~2.5cmの倒披針形。外花被片先端は緑色で尖っています。花被片内側に紫褐色の斑点がまばらにあります。花被片下部には、黄橙色の蜜標である環状の斑紋があります。3枚の外花被の基部には袋状に曲がった3つの距があります。これはホトトギス属の学名Tricyrtis=treis(三)+cyrtos(曲)の由来となっています。

 雄しべは6個で、花糸先端に葯を付けます。突出した花柱は3裂し、先端は2裂します。蜜を求めて訪れた虫が花被片に乗った時に花粉を着けやすくする構造になっています。雌しべ柱頭は腺毛状突起が密生します。雄しべ、雌しべ共に外側に反り返ります。一日花です。雌雄同花、雄性先熟の虫媒花。果実は朔果です。披針形で3稜があり、長さ約2cm。種子は倒卵形です。染色体数は、2n=26。

 類似種として、九州に分布するキバナノホトトギス(黄花の杜鵑草)Tricyrtis flava Maxim. があり、高さが10~30cmになります。

※チャボホトトギスは、「国立公園、国定公園の特別地域内において許可を受けなければ採取、又は損傷してはならない高山植物その他これに類する植物」に含まれます。

 1)油点:細胞間隙または細胞内に油成分が蓄積され点状に見えるもの。色素のあるものを黒点、ないものを明点と言う。

Japanese common name : chabo-hototogisu
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Tricyrtis nana Yatabe

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花糸は6本。花柱は3裂し、先端は2裂する。腺毛状突起が密生する

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外花被片先端は尖っている。外花被片の基部には袋状に曲がった3つの距がある

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左:花被片は内花被片3と外花被片3の6枚。 右:葉は互生し、倒披針形

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左:紫褐色の油点状斑紋 右:窮屈そうに咲くチャボホトトギス
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果実は朔果。披針形で3稜があり、長さ約2cm


チャボホトトギス(矮鶏杜鵑草)
ユリ科ホトトギス属
学名:Tricyrtis nana Yatabe
花期:8月~9月 多年草 草丈:2~10cm 花径:約4cm

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【学名解説】
Tricyrtis : treis(三)+cyrtos(曲)/ホトトギス属
nana : nanus(小さい・低い・小人)/ギリシャ語νᾱνος, nano(十億分の一)の語源
Yatabe : 矢田部良吉 Ryokichi Yatabe (1851-1899)
---
flava : flavus(黄色)
Maxim. : Carl Maximowicz (1827-1891)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡 (Alt. 435m) 2008.8.26, 9.17, 2015.9.15, 09.23
竜爪山 (薬師岳 Alt. 1051m) 2008.9.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

21 June 2009, 23 June 2009, 26 September 2017
Last modified: 1 October 2017
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by pianix | 2009-06-21 00:00 | | Trackback | Comments(3)
ササユリ(笹百合)
 ササユリ(笹百合)は、ユリ科ユリ属の多年草です。中部地方から九州にかけて分布する日本の特産種です。現在では希少植物となっています。名の由来は、葉の形状が笹の葉に似ているユリである事から。

 ユリ科(Liliaceae Juss. 1789)は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ユリ属(Lilium L. (1753))は北半球の亜熱帯から亜寒帯に約100種類が分布します。15種類が日本に自生し、内7種類(ヤマユリ、サクユリ、ササユリ、オトメユリ、イワトユリ、ウケユリ、タモトユリ)は日本特産種です。ユリ属(Lilium C. Linnaeus, 1753)は、1925年に4亜属に分類されました。テッポウユリ亜属、ヤマユリ亜属、カノコユリ亜属です。その他に、これらを掛け合わせた種間雑種があります。

 明るく開けた草地や山地の林縁に自生します。球根(鱗茎)は無皮鱗茎で、白色の卵形。茎が短縮した低盤部に、葉が変形した鱗片が多数着生して多肉化したものです。1球に1茎を生じます。球根の基部から発生する下根(低出根・牽引根)と、茎の地下部から発生する上根(茎出根)があります。葉は短い柄があり、互生します。長さ7~15cmの披針形や楕円形で、笹の葉に似ています。茎は円柱形で、直立して草丈は50~100cmになります。

 花期は6月から7月。花茎の先に漏斗状鐘形の花を一つから複数個、横向きにつけます。倒皮針形の外花被片3個と内花被片3個によって構成される同花被花です。花冠は淡桃色で、個体によって濃度が異なり、白色もあり、芳香があります。花冠の長さは10~15cm。雄しべは6本で葯は赤褐色。子房は上位で3室。染色体数は、2n=24,36。果実は蒴果。熟すと裂開して、扁平な翼状構造の種翼を持つ種子を風によって飛散させます。

 実生から開花球へは5~7年を要し、栽培困難種の一つとなっています。自生地の減少もあり、自生地環境の整備保護が課題とされています。品種に、シロササユリ(白笹百合)Lilium japonicum Houtt. f. album (E.H.Wilson) Sugim.、ベニバナササユリ(紅花笹百合)Lilium japonicum Houtt. f. purpureum Terashita があります。 

Japanese common name : Sasa-yuri
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Lilium japonicum Houtt.

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左:葉が笹に似ている。 右:雄しべは6本で葯は赤褐色。


ササユリ(笹百合)
ユリ科ユリ属
学名:Lilium japonicum Thunb.
花期:6月~7月 多年草 草丈:50~100cm 花径:13~14cm 花冠長:10~15cm

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【学名解説】
Lilium : li(白)+lium(花)/ユリ属
japonicum : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Houtt. : Maarten Houttuyn (1720-1798)
---
f. : forma(品種)
album : albus(白色の)
E.H.Wilson : Ernest Henry Wilson (1876-1930)
Sugim. : 杉本順一 Junichi Sugimoto (1901- )
---
purpureum : purpureus(紫色の)
Terashita : 寺下隆喜代 Takakiyo Terashita (fl.1968- )

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt.435m) 2008.06.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

17 December 2008, 16 June 2012
Last modified: 11 April 2016
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by pianix | 2008-12-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
カノコユリ(鹿の子百合)
 カノコユリ(鹿の子百合)は、ユリ科ユリ属の多年草です。日本と中国、台湾が原産です。国内では九州と四国に自生する在来種です。名の由来は、花被片の斑点模様を鹿子斑に見立てたもの。英名は、showy lily、brilliant lily、lance-leaved lily等。

 ユリ科(Liliaceae Juss. 1789)は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ユリ属(Lilium L. (1753))は北半球の亜熱帯から亜寒帯に約100種類が分布します。15種類が日本に自生し、内7種類(ヤマユリ、サクユリ、ササユリ、オトメユリ、イワトユリ、ウケユリ、タモトユリ)は日本特産種です。ユリ属は、1925年に4亜属に分類されました。テッポウユリ亜属、ヤマユリ亜属、カノコユリ亜属です。その他に、これらを掛け合わせた種間雑種があります。

 ユリの球根は、茎が短縮した低盤部に、葉が変形した鱗片が多数着生して多肉化したものです。1球に1茎を生じます。球根(母球)の基盤部から下根(低出根・牽引根)を出し、土中の地下茎に短い上根(茎出根)を出します。上根部分に木子を付けます。地上部の茎にムカゴ(珠芽)を付けるのは、日本の自生種ではオニユリ(鬼百合)だけです。球根は百合(びゃくごう)として生薬に用いられます。繁殖方法は種子と栄養繁殖があり、栄養繁殖では鱗片・木子・分球・珠芽を用います。カノコユリは木子繁殖が一般的です。

 草丈は50~170cm。葉は互生します。卵状披針形で、長さ12~18cm、幅2~6cm。花期は7月から8月頃。花は薄紅色を帯びた白色で、濃紅色の斑点と乳頭状突起があります。6花被片からなり、外側3枚の外花被、内側3枚の内花被があります。花冠径は10cm内外で、花被片は反り返り、斜め下向きに咲きます。6雄ずい、1雌ずいがあり、葯は赤褐色です。1869年にカノコユリとヤマユリの雑種が作られました。

Japanese common name : Kanoko-yuri
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Lilium speciosum Thunb.


カノコユリ(鹿の子百合)
ユリ科ユリ属
学名:Lilium speciosum Thunb.
花期:7月~8月 多年草 草丈:50~170cm 花径:10cm

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【学名解説】
Lilium : li(白)+lium(花)/ユリ属
speciosum : speciosus(美しい・華やかな)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 8 August 2006
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by pianix | 2006-08-08 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
ヤブカンゾウ(薮萓草)
 ヤブカンゾウ(薮萓草)は、ユリ科ワスレグサ属の多年草です。中国が原産で、古い時代に日本へ渡来した史前帰化植物と言われています。北海道から九州に至る全国に分布しています。名の由来は、漢名である「萓草」を音読したもの。カンゾウと名が付くものは幾つかあります。八重咲きのものがヤブカンゾウ、一重のものはノカンゾウ(野萓草)です。「藪」は「野」よりも人家の近くにある事を表します。別名のワスレグサ(忘れ草)は萓草の意訳で、花を見て憂いを忘れる中国の故事に因んだものです。英名は、Tawny daylily。

 基本種とされるホンカンゾウ(本萓草)1)、別名シナカンゾウ(志那萓草)は、日本には自生しません。ホンカンゾウの根を乾燥させたものが生薬カンゾウコン(萱草根)で、蕾を乾燥させたものがキンシンサイ(金針菜)として用いられます。ヤブカンゾウは代用として用いられる事があります。単にカンゾウと言った場合は、淡紫色の蝶形花を咲かせ生薬の甘草に使われるマメ科の別種を指します。

 ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ワスレグサ属(Hemerocallis L. (1753)) は、ユーラシアの温帯に約20種あり、日本には約5種が自生します。

 匍匐茎を出して繁殖します。葉は根生葉があり、花茎にはありません。長さ40~60cm、幅2.5~4cmの広線形です。葉の間から長さ50~100cmの花茎を出します。花期は6月から8月頃。花は、雄しべが花弁化した橙赤色の八重咲きです。花径は7~8cmで上向きに咲きます。一日花です。染色体数は、2n=3x=33の3倍体であって種子は結実しません。繁殖は栄養繁殖のみになり、従って人の往来のない人里離れた所では繁殖できません。根茎が川の氾濫によって流されたどり着くような場所には多く見られます。若芽と花は食用になります。

1)ホンカンゾウ(本萓草) : Hemerocallis fulva L. var. fulva

Japanese common name : Yabu-kanzou
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Hemerocallis fulva L. var. kwanso Regel

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ヤブカンゾウ(薮萓草)
別名:オニカンゾウ(鬼萓草)/ワスレグサ(忘れ草)
ユリ科ワスレグサ属
学名:Hemerocallis fulva L. var. kwanso Regel
花期:6月~8月 多年草 草丈:50~100cm 花径:7~8cm

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【学名解説】
Hemerocallis : hemera(一日)+callos(美)/ワスレグサ属
fulva : fulvus(茶褐色の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
kwanso : カンゾウ(萱草の日本語読み)
Regel : Eduard August von Regel (1815-1892)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.50km左岸河川敷 2006.07.03 2006.07.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 5 July 2006
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by pianix | 2006-07-05 00:00 | | Trackback | Comments(0)
4月のクイズ
 次の花の名前を当てて下さい。

 ヒント:園芸種で、誰もが知っている花です。写真は、その一部分です。

 お分かりのかたは、最下段の「Comments」をクリックして、コメント欄でお答え下さい。分からなかったかたは「分からない」とお答え下さい。簡単すぎると思われた方は、花の名前は書かずに、それにまつわる話でもお書き下さい。賞品は出ません(もしかしてその内に用意するかもしれませんが……)。

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答えは、チューリップでした。 nenemu8921さんが解答してくれました。

チューリップ(Tulip)
和名:ウコンコウ(鬱金香)
ユリ科チューリップ属
学名:Tulipa gesneriana L.
花期:3月~5月 多年草 草丈:20cm~70cm 花径:5cm~

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【学名解説】
Tulipa : tulipan(頭巾)/チューリップ属
gesneriana : Gesnerianus(コンラッド・ゲスネル(Conrad von Gesner (1516-1565)氏の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 12 April 2006
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by pianix | 2006-04-12 00:00 | クイズ | Trackback | Comments(2)
タカサゴユリ(高砂百合)
 河川敷のとある草藪の中で、百合が咲いていました。テッポウユリ(鉄砲百合)かと思いましたが、葉が細いのでタカサゴユリ(高砂百合)ですね。どこにでもある普通のユリとはいえ、うっそうとした藪の中で、ひときわ清楚な雰囲気を醸し出していたので見とれました。

 ユリは全世界で約100種類あり、北半球に分布しています。15種類が日本に自生し、内7種類(ヤマユリ、サクユリ、ササユリ、オトメユリ、イワトユリ、ウケユリ、タモトユリ)は日本特産種です。テッポウユリ亜属には、テッポウユリ、ハカタユリ、オトメユリ、ササユリ、ウケユリ、タモトユリ、リーガル・リリー、そしてタカサゴユリがあります。これらの花は筒状で横向きに咲きます。

Japanese common name : Takasago-yuri
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Lilium formosanum A.Wallace


タカサゴユリ(高砂百合)
別名:ホソバテッポウユリ(細葉鉄砲百合)/タイワンユリ(台湾百合)
ユリ科ユリ属
学名:Lilium formosanum A.Wallace
花期:7~10月 草丈:50~150cm 花径:10~15cm(長さ20~25cm)

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【学名解説】
Lilium : li(白)+lium(花)/ユリ属
formosanum : formosanus(台湾の)
A.Wallace : Alexander Wallace Wallace (1829-1899)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.75km 左岸河川敷 2005.08.15
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 20 August 2005
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by pianix | 2005-08-20 00:00 | | Trackback(1) | Comments(2)
オニユリ(鬼百合)
 我が家から500m程離れた土手に、オニユリ(鬼百合)の群生が見られます。この場所のオニユリは、背丈が低く、遠目ではヤブカンゾウのように見えます。

 幾つかの場所で背丈のあるオニユリを見つけて、ムカゴ採取をしてみました。ユリは鱗(りん)茎から鱗片を取り出すか、その上に付いている木子(きこ)で増やす事ができますが、ムカゴで増やすのが一番簡単なようです。ムカゴ(珠芽)がつくのがオニユリ、つかないのがコオニユリ(小鬼百合)です。

 大きなヒマワリと同じように、このオニユリが咲くと夏本番を感じさせられます。

Japanese common name : Oni-yuri
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Lilium lancifolium Thunb.


オニユリ(鬼百合)
別名:テンガイユリ(天蓋百合)
ユリ科ユリ属
学名:Lilium lancifolium Thunb.
花期:7月~8月 多年草 草丈:100~200cm 花径:10~12cm

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【学名解説】
Lilium : li(白)+lium(花)/ユリ属
lancifolium : lancifolius=lancea(槍)+folium(葉)/披針形葉の
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
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コオニユリ(小鬼百合)
Lilium leichtlinii Hook.f. f. pseudotigrinum (Carrière) H.Hara et Kitam.
leichtlinii : Maximilian Leichtlin (1831-1910)氏の
Hook.f. : Joseph Dalton Hooker (1817-1911)
f. : forma(品種)
pseudotigrinum : pseudo(偽の)+tigrinus(虎模様)/虎模様のような
Carrière : Elie-Abel Carrière (1818-1896)
H.Hara : 原寛 Hiroshi Hara (1911-1986)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Kitam. : 北村四郎 - Shirō Kitamura (1906-2002)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸土手 2005.07.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 July 2005
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by pianix | 2005-07-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)