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ヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)
 ヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)は、ユリ科ホトトギス属の多年草です。北海道から九州にかけて分布する日本固有の在来種です。名の由来は、山道沿いに多く見られ、花にある斑紋が鳥のホトトギス(杜鵑)にある胸の斑紋に似ている事から。

 ユリ科(Liliaceae Juss. 1789)は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ホトトギス属(Tricyrtis Wallich, 1826)は、日本・台湾・朝鮮半島等の東アジアに19種が分布、日本には13種が分布します。

 山地の林内に自生します。草丈は30~70cm。茎には下向きの毛が密生します。葉は互生します。基部は心形で茎を抱き葉は卵状長楕円形から狭長楕円形で毛があります、先端は鋭尖、長さは8~18cm。油点状斑紋があります。

 花期は8月から10月。茎頂や葉腋から花柄を出して1~3個の花を上向きに付けます。花被片は内花被片3と外花被片3の6枚で、花被片1/3あたりで平開します。下部には他のホトトギスの仲間のような黄色ではないものの、蜜標である環状の斑紋があります。外花被片は内花被片より幅が広く、基部には袋状に曲がった3つの距があります。これはホトトギス属の学名Tricyrtis=treis(三)+cyrtos(曲)の由来となっています。距には蜜が貯められています。

 雄しべ花糸は6で黄白色。3本は雌しべ下に重なり、湾曲した先端に葯を付けます。蜜を求めて訪れた虫が花被に乗った時に花粉を着けやすくする構造になっています。雌しべ花柱は、上部で3裂した後、先端で2裂します。3裂した上部には腺毛状突起が密生します。花柱には紅紫色の斑点がありますが、基部の子房部分は花糸に囲まれていています。

 雌雄同花、自家和合性があり、雄性先熟の虫媒花。子房上位。子房が成長すると花柱がせり上がってきます。果実は朔果で、種子繁殖します。細長い果実で、内部は3室に別れ、扁平な種子を多数含みます。熟すと先端が3裂して種子を出します。染色体数は、2n=26。

 同属に、よく似たヤマホトトギス(山杜鵑草)Tricyrtis macropoda Miq. があります。ヤマジノホトトギスの花被は平開しますが、ヤマホトトギスの花被は強く反曲します。他に、花序形成の違い、蜜標のあるなしが異なる部分です。共に花糸に紅紫色の斑点はなく、花柱に斑点があります。

Japanese common name : Yamaji-no-hototogisu
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Tricyrtis affinis Makino

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内花被片3と外花被片3が平開。茎には下向きの毛、花被基部には3つの距がある。

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雄しべ6、雌しべは上部で三裂して先端で二裂。茎頂や葉腋に1~3個の花をつける。
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葉は互生し、油点状斑点がある。


ヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)
ユリ科ホトトギス属
学名:Tricyrtis affinis Makino
花期:8月~10月 多年草 草丈:30~70cm 花径:約2~3cm

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【学名解説】
Tricyrtis : treis(三)+cyrtos(曲)/ホトトギス属
affinis : 酷似した・近似の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
牛ヶ峰(高山)Alt.717m/谷沢(Yazawa)ルート 2008.09.03
牛ヶ峰(高山)Alt.717m/八十岡(Yasooka)ルート 2014.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 July 2009
Last modified: 24 September 2014
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by pianix | 2009-06-27 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヤマホトトギス(山杜鵑草)
 ヤマホトトギス(山杜鵑草)は、ユリ科ホトトギス属の多年草です。日本、朝鮮半島、中国に分布します。日本では、岩手県以西の太平洋側、及び長野県に分布します。名の由来は、花にある斑紋が鳥のホトトギス(杜鵑)にある胸の斑紋に似て、山地に生える事から。

 ユリ科(Liliaceae Juss. 1789)は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ホトトギス属(Tricyrtis Wallich, 1826)は、日本・台湾・朝鮮半島等の東アジアに19種が分布、日本には13種が分布します。

 山野の林内に自生します。休眠芽は地中にあります。短い根茎を持ち、茎には下向きの毛があります。草丈は40~70cm。葉は互生します。基部は心形で茎を抱き、長楕円形から長卵形、先端は鋭尖、長さ7~12cm。茎頂1)や葉腋2)から長い柄を出します。これは、この種名の学名macropoda(長い柄の)の由来となっています。

 花期は7月から9月。散房花序3)を出し、花は上向きに咲きます。花被片は内花被片3と外花被片3の6枚で、基部から1/3あたりで強く反り返るのが特長です。白地に紅紫色の斑点模様がまばらにあり、縁側は少ないか全くない場合があります。また、模様や色の個体変異があります。花被片下部には、他のホトトギスの仲間に多く見られる、蜜標である黄橙色の環状の斑紋がありません。外花被片は内花被片より幅が広く、基部には袋状に曲がった3つの距があります。これはホトトギス属の学名Tricyrtis=treis(三)+cyrtos(曲)の由来となっています。距には蜜が貯められています。

 雄しべ花糸は6個で黄白色、斑紋はありません。内3個は雌しべ下に重なり、外に湾曲した先端に葯を付けます。蜜を求めて訪れた虫が花被片に乗った時に花粉を着けやすくする構造になっています。雌しべ花柱は、上部で3裂した後、先端で2裂します。3裂した上部には腺毛状突起が密生します。花柱には紅紫色の斑点がありますが、基部の子房部分は花糸に囲まれていています。長さは1.5~2cm。

 2日間ほど花を咲かせます。雌雄同花、自家和合性があり、雄性先熟の虫媒花。子房上位。子房が成長すると花柱がせり上がってきます。果実は朔果で、種子繁殖します。細長い果実で、内部は3室に別れ、扁平な種子を多数含みます。熟すと先端が3裂して種子を出します。染色体数は、2n=26。

 同属に、よく似たヤマジノホトトギス(山路の杜鵑草)Tricyrtis affinis Makino があります。イガイ目イガイ科の貝に同名のヤマホトトギス(Musculus japonica (Dunker))があります。

1)茎頂(けいちょう):茎の先端
2)葉腋(ようえき):葉のつけ根の茎に面した部分
3)散房花序 (corymb):花軸に複数の花柄が付き、下部の花柄ほど長くなる事で花の位置が平面か半球状に揃う花序。

Japanese common name : yama-hototogisu
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Tricyrtis macropoda Miq.

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左:外花被片の基部には3つの距がある/右:花被片の幅が広いのが外花被片

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花被片は内花被片3と外花被片3の6枚で、基部から1/3あたりで強く反り返る。
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茎頂や葉腋から柄を出して散房花序を形成する。2008.09.17


ヤマホトトギス(山杜鵑)
ユリ科ホトトギス属
学名:Tricyrtis macropoda Miq.
花期:7月~9月 多年草 草丈:40~70cm 花径:約2.5cm

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【学名解説】
Tricyrtis : treis(三)+cyrtos(曲)/ホトトギス属
macropoda : macropodus(長柄の・太い軸の)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2007.09.17 - 2008.09.27
牛妻不動の滝(静岡市葵区) 2007.09.18
竜爪山(薬師岳 Alt. 1051m) 2008.09.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 June 2009
Last modified: 26 July 2016
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by pianix | 2009-06-24 00:00 | | Trackback | Comments(0)
シタキソウ(舌切草)
 シタキソウ(舌切草)は、キョウチクトウ科シタキソウ属の蔓性常緑小高木です。千葉県以西から九州、沖縄に分布する在来種です。和名は、江戸時代の本草学者である井岡冽(Retu Inooka, 1778-1837)氏が命名、シタキリソウを略してシタキソウ。名の由来は不明です。中国名は、黑鰻藤(hei man teng)。

 キョウチクトウ科(Apocynaceae Juss. (1789))は、熱帯・温帯に分布し、215属2100種に及ぶ大きな植物群です。旧分類のガガイモ科(Asclepiadaceae R.Brown (1810))は、熱帯から亜熱帯に約250属2700種が分布し、日本には6属、数十種類があります。シタキソウ属(Jasminanthes Blume (1850)) は、世界に15種が分布します。

 海に近い山地に自生します。葉は単葉で対生します。柄があり、長さは1.5~3cm。葉の形状は、卵形から卵状楕円形で長さ6~12cm、幅5~11cm。基部は心臓形で、先端は鋭頭、革質で厚みがあり、鋸歯はありません。茎は蔓となり、他の物に絡みついて立ち上がります。若い茎は緑色で淡褐色の毛があり、茶褐色の木質化した古い茎の途中から分枝します。若い茎や葉には乳液が含まれます。

 花期は6月から7月頃。葉腋から集散花序を出します。花冠は白色。基部は筒状で、先が深く5裂し開出する筒状花です。強い芳香があります。裂片は肉厚で、分岐部で交互に重なります。筒部の長さは約1cm。花冠の径は4~6cm。萼片は5全裂し先端が丸く、長さ約7mm。両生花で、雄しべと雌しべが合着した蕊柱(ずいちゅう:gynostemium)があります。子房上位。

 果実は袋果です。基部からハの字形となる莢(さや)状で長さ13~20cm程。基部に5個の萼片が残ります。種子は袋果にぎっしりと詰込まれ、卵形で扁平、長さ約10~12mm。先端に2.5cm程の冠毛があり、風によって散布されます。

 よく似た園芸種にステファノティス属の、アフリカシタキヅル(マダガスカルジャスミン)Stephanotis floribunda (R.Br.) Brongn.があります。

※分類は、APG分類体系(Angiosperm Phylogeny Group)によります。

【謝辞】市内在住の寺内氏から自生地と開花の情報を提供して頂き、本種を河川敷で撮影する事ができました。ご厚意に感謝し、お礼申し上げます。

Japanese common name : Sitaki-sou
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Jasminanthes mucronata (Blanco) W.D.Stevens et P.T.Li

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左:花冠裂片は分岐部で交互に重なる      右:筒部の長さは約1cm

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ハエの仲間(左)や、蟻(右)などが媒介する

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右:基部が筒状で先が深く5裂する 左:葉は単葉で対生
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葉は、卵状楕円形で長さ6~12cm、幅5~11cm、先が尖る

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左:茎の下部 右:茎の上部

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左:花冠基部 萼は5全裂し先端は丸い  右:花冠基部内部

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左:果実は袋果で、全体の長さは約30cm。2013.08.19 右:種子 2013.03.29
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袋果内の種子。扁平で冠毛がある。縦に切れ目が入って裂開する。2017.01.31


シタキソウ(舌切草)
別名:オキナワシタキヅル(沖縄舌切蔓)
キョウチクトウ科シタキソウ属
学名:Jasminanthes mucronata (Blanco) W.D.Stevens et P.T.Li
synonym : Stephanotis lutchuensis Koidz. var. japonica (Makino ex Nakai) Hatus.
花期:6月~7月 蔓性常緑低木 草丈:蔓性(~12m) 花径:40-45mm

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【学名解説】
Jasminanthes : Jasminum(ジャスミン)+anthos(花)/シタキソウ属
mucronata : mucronatus(微凸頭の)
Blanco : Francisco Manuel Blanco (1778-1845)
W.D.Stevens : Warren Douglas Stevens (1944-)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
P.T.Li : Ping-t'ao Li (1936-)
---
synonym : (シノニム) 同意語、異名
Stephanotis : stephanos(冠)+otis(耳)/ステファノティス属
lutchuensis : 琉球産の
Koidz. : 小泉源一 Koidzumi Genichi (1883-1953)
var. : varietas(変種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
ex : ~による
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
Hatus. : 初島住彦 Sumihiko Hatusima (1906-2008)
※小泉源一:日本植物分類学会創立者

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.75km 右岸河川敷 2008.06.05, 2008.06.06
安倍城跡(Alt.435m) 2008.07.11, 2013.03.29, 2013.08.19
賤機山(Alt. 171m) 2016.05.31
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

18 December 2008, 21 August 2013, 9 June 2014, 25 June 2014,
2 July 2014, 13 September 2016
Last modified: 31 January 2017
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by pianix | 2008-12-18 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ギンリョウソウ(銀竜草)
 ギンリョウソウ(銀竜草)は、ツツジ科ギンリョウソウ属の多年草です。日本、中国、朝鮮半島、台湾、インドシナ半島、サハリンなどに分布します。国内では全国に分布する在来種の菌寄生植物(菌従属栄養植物)です。名の由来は、鱗片葉がついた茎を胴体に、うつむき加減の花を頭に見立て、全体が白色である事から銀の竜に例えたもの。別名のユウレイタケ(幽霊茸)は、薄暗い雑木林に咲く白い妖艶な姿を白衣をまとった幽霊のようなキノコに例えたもの。ただしキノコの仲間ではありません。中国名は球果沙晶蘭。蘭とありますがランの仲間ではありません。

 APG分類体系では、ツツジ科(Ericaceae Juss. (1789))で、約125属4000があり、シャクジョウソウ*亜科(Monotropoideae)に、旧分類のシャクジョウソウ科やイチヤクソウ科がまとめられました 。クロンキスト体系では、シャクジョウソウ科(Monotropeae Dumort. (1829))で、北半球の温帯から熱帯にかけて約10属15種が分布します。新エングラー体系ではイチヤクソウ科(Pyrolaceae Dumortier (1829))ギンリョウソウ亜科とされます。ギンリョウソウ属(Monotropastrum H.Andres, in Handel-Mazzetti, 1936)は、2種があり、国内には1種が自生します。

 山地の落ち葉が積もった暗く湿った雑木林などに生える真菌寄生の植物です。短くて太く、鱗片が密集した茶色の地下茎があります。この地下茎に外生菌根(モノトロポイド菌根/monotropoid mycorryhiza)を形成し、ベニタケ属の菌類から有機物栄養を吸収します。葉緑素を持たない為、全体的に透明感がある白色ですが、内部に紫色の色素があります。草丈は10~20cmで、株を作り立ち上がります。

 花期は5月から8月頃。花茎は多肉質で水っぽく、上向きに鱗片葉が互生します。茎頂に、うつむき加減に花冠を1個付けます。鐘形の合弁花で、花冠裂片は3から5個。花冠の長さは、15~25mm。雄しべは10個内外で子房に取り巻くように付き、軟毛があり、葯色は黄色。雌しべ先端は、やや広がり暗紫色。果実は卵球形の液果で、熟すと黒褐色となります。種子は0.3mm内外で、約5000個が含まれると言われています。

 類似種に、ギンリョウソウモドキ(銀竜草擬)Monotropa uniflora L. があります。別名をアキノギンリョウソウ(秋の銀竜草)と言います。8月から10月にかけて咲く、ツツジ科シャクジョウソウ属の多年草です。ギンリョウソウの果実は下向きに付き、胚珠1)は側膜胎座2)ですが、ギンリョウソウモドキの果実は朔果であり、中軸胎座3)で、上向きになります。品種として、淡い紅色に色づく、ベニバナギンリョウソウ(紅花銀竜草)Monotropastrum humile (D.Don) H.Hara f. roseum (Honda) Yonek.があります。

※シャクジョウソウ(錫杖草)

1)胚珠【はいしゅ】(ovule):子房内部にある粒で、種子になる部分。
2)側膜胎座【そくまくたいざ】(parietal placentation):子房の側壁に胚珠が付くもの。
3)中軸胎座【ちゅうじくたいざ】(axial placentation):子房の中軸に胚珠が付くもの。

Japanese common name : Ginryou-sou
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Monotropastrum humile (D.Don) H.Hara

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2008.05.20 - 花冠の裂片は3~5個 - 2008.05.17

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左:雄しべと雌しべ(2014.04.16) 右:鱗片葉が互生する茎(2008.05.20)
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花冠裂片が脱落して子房が露出(2008.06.04)

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左:暗紫色部分が雌しべ柱頭、雄しべは10個内外で軟毛がある。右:子房側面。

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 子房断面。果実は液果

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▼右:果実表皮の一部が腐って内部が露出。
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▲左:枯れると全体が黒褐色になり地に倒れる。(2008.08.05)
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落ち葉が積もった暗く湿った雑木林などに生える真菌寄生の植物


ギンリョウソウ(銀竜草)
別名:マルミノギンリョウソウ(丸実の銀竜草)/コギンリョウソウ(小銀竜草)/ユウレイタケ(幽霊茸)
ツツジ科ギンリョウソウ属
学名:Monotropastrum humile (D.Don) H.Hara
花期:5月~8月 多年草 草丈:8~20cm 花冠長:15~25mm

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【学名解説】
Monotropastrum : Monotropa(シャクジョウソウ属)+astrom(似る)/ギンリョウソウ属
※Monotropa : monos(一つ)+tropos(向く)/シャクジョウソウ属
humile : humilis(低い)
D.Don : David Don (1799-1841)
H.Hara : 原 寛 Hara Hiroshi (1911-1986)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(alt.435.2m) 2008.05.17 / 05.20 / 06.04, 2014.04.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

9 August 2008, 18 April 2014, 3 June 2014, 20 May 2016
Last modified: 8 November 2016
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by pianix | 2008-08-05 00:00 | | Trackback(1) | Comments(3)
ナルコユリ(鳴子百合)
 ナルコユリ(鳴子百合)は、キジカクシ科アマドコロ属の多年草です。中国・朝鮮・日本に分布し、国内では全国に分布します。名の由来は、花の形状を鳥を追い払う農機具の鳴子に見立てたもの。

 キジカクシ科(Asparagaceae Juss. (1789))は、約150属2500種が分布します。旧分類ユリ科(Liliaceae Juss. 1789)は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。アマドコロ属(Polygonatum P.Miller, 1754)は、北半球の温帯に約40種が分布しています。

 山野の林内に自生します。根茎は塊状で、節が多くあります。これはアマドコロ属に共通することで属名Polygonatum(多い節)の由来となっています。アマドコロに比べて節間が短めです。根茎を乾燥させたをものを生薬の1)黄精(おうせい)と称して滋養強壮薬に用います。茎の上部は湾曲し、草丈50~80cmになります。茎は丸く、稜はありません。稜があるのは類似種のミヤマナルコユリ(深山鳴子百合)、アマドコロ(甘野老)です。

 葉は互生します。長さ8~15cm、幅1~2.5cmの披針形で、無毛、全縁。葉裏は白色を帯びます。花期は5月から6月頃で、葉腋から枝分かれした細い花柄を出し、緑白色の花1~5個を下垂させます。花柄には苞がありません。花被片は6枚で筒状に合着し、先端は緑色で、浅く6裂します。雄しべは6本で、花糸の下部は花筒に合着します。ミヤマナルコユリは雄しべに白色軟毛がありますが、本種の場合は無毛です。葯は黄色。子房上位。果実は液果です。直径7~10mmの球形で、熟すと黒紫色になります。染色体数は、2n=18,20。

1)黄精は、中国産のカギクルマバナルコユリ(Polygonatum sibiricum Red.)の乾燥根茎であり、日本ではナルコユリを代用とします。岩手県では飴に黄精を配合した銘菓があります。

Japanese common name : Naruko-yuri
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Polygonatum falcatum A.Gray

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左:若い葉は中央に白色の縦筋がある 右:果実は液果で、熟すと黒紫色になる

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左:細い花柄の先に緑白色の花1~5個を下垂させる 右:花糸の下部は花筒に合着。
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子房上位。


ナルコユリ(鳴子百合)
キジカクシ科アマドコロ属
学名:Polygonatum falcatum A.Gray
花期:5月~6月 多年草 草丈:50~80cm 花被片長:2cm内外

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【学名解説】
Polygonatum : polys(多)+gonu(膝・節)/アマドコロ属
falcatum : falcatus(鎌状の)
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
P.Miller : Philip Miller (1691-1771)

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Alt.226m) 2007.06.04 - 2007.06.11
安倍城跡(Alt.435m) 2008.06.04, 2012.05.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

18 August 2007, 31 May 2012, 14 March 2014
Last modified: 8 August 2016
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チゴユリ(稚児百合)
 チゴユリ(稚児百合)は、イヌサフラン科チゴユリ属の多年草です。中国・朝鮮・日本に分布します。国内では、北海道、本州、四国、九州の全国に分布します。名の由来は、姿が小さくて可愛らしい事から稚児に例えたもの。

 イヌサフラン科(Colchicaceae DC. (1804))は、世界の温帯から熱帯に約18属250種があります。旧ユリ科(Liliaceae Juss. 1789)は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。チゴユリ属(Disporum R.A.Salisbury ex D.Don, 1825)は、アジアと北米に約15種が分布し、日本には4種1変種1)が自生します。

 山野の林内に自生します。白色の地下茎があり、栄養繁殖します。多年草ですが、母根が1年以内に枯れることから擬似1年草1)とも言われます。地下茎の先に新しい地下茎を作り翌年の株を作ります。稀に茎を分枝する場合があり、草丈20~35cmになります。葉は、互生します。長さ4~7cm、幅2~3cmの長楕円形で無毛、全縁。基部は丸みを帯び先端は尖ります。

 花期は4月から6月で、茎頂に花柄を出し白色の花を1~2個、斜垂させます。花被片は6枚あり、披針形で、長さは12~16mm。雄しべは6個で、葯は花糸の半分の長さ。雌しべ柱頭は3裂します。子房は花柱の半分の長さ。子房上位で3室あり、各室には2個の胚珠があります。果実は液果です。直径7~10mmの球形で、熟すと黒紫色になります。染色体数は、2n=16。

 1)1年草は、種子から発芽し年内に枯れて世代を終える植物の事。多年草は、地下部と地上部、又は地下部が多年に渡って生きる植物。疑似1年草は、母根が1年で枯れ、新しい地下茎を作る植物。

Japanese common name : Tigo-yuri
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Disporum smilacinum A.Gray

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左:葉裏は白味を帯びる 右:雄しべ6本、柱頭は3裂する

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左:外側の花被片3枚は萼 右:葉は互生し長楕円形


チゴユリ(稚児百合)
イヌサフラン科チゴユリ属
学名:Disporum smilacinum A.Gray
花期:4月~6月 多年草(擬似1年草) 草丈:20~35cm 花径:20~25mm

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【学名解説】
Disporum : dis(二重の)+spora(種子)/チゴユリ属
smilacinum : smilacinus(サルトリイバラ属(Smilax)の)
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
R.A.Salisbury : Richard Anthony (nee Markham) Salisbury (1761-1829)
D.Don : David Don (1799-1841)

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Sendai-yama) 2007.04.26 - 2007.04.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

17 August 2007, 25 August 2008
Last modified: 8 August 2016
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by pianix | 2007-08-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ホウチャクソウ(宝鐸草)
 ホウチャクソウ(宝鐸草)は、イヌサフラン科チゴユリ属の多年草です。朝鮮・中国・日本に分布し、国内では全国に分布します。名の由来は、花の形を宝鐸(ホウチャク)に例えたもの。宝鐸は、寺院の軒先四隅に吊される大型の鈴の事。

 イヌサフラン科(Colchicaceae DC. (1804))は、世界の温帯から熱帯に約18属250種があります。旧ユリ科(Liliaceae Juss. 1789)は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。チゴユリ属(Disporum R.A.Salisbury ex D.Don, 1825)は、アジアと北米に約15種が分布し、日本には4種1変種1)が自生します。

 山地の林内に自生します。匍匐枝を出して栄養繁殖します。若芽は有毒です。茎は30~50cmに直立し、上部で分枝して斜上します。葉は対生します。長さ5~15cm、幅1.5~4cmの長楕円形。光沢があり、全縁、鋭頭で、葉脈は3~5脈があり目立ちます。

 花期は4月から5月で、茎の先端の葉腋から短い柄を出して2~3個の筒状釣鐘形の花を下垂して付けます。花被片は花弁3枚と萼3枚の計6枚。倒披針形で長さ20~30mm、花径は15mm程です。花被片は合着せず、淡緑白色で、先端にかけて緑色が濃くなります。

 雄しべは6本あり葯袋は黄色、雌しべ花柱先端は3裂します。子房上位で、子房は3室あります。虫媒花。果実は1cm程の球状をした液果です。初めは緑色で熟すと黒くなります。褐色をした1~6個の種子があります。染色体数は2n=2x=16、2n=3x=24。

1)日本に自生するチゴユリ属は次の4種です。
チゴユリ(稚児百合)Disporum smilacinum A.Gray
オオチゴユリ(大稚児百合)Disporum viridescens (Maxim.) Nakai
キバナチゴユリ(黄花稚児百合)Disporum lutescens (Maxim.) Koidz.
ホウチャクソウ(宝鐸草)Disporum sessile D.Don ex Schult. et Schult.f.
また、ホウチャクソウの変種として、ナンゴクホウチャクソウ(南国宝鐸草)Disporum sessile D.Don ex Schult. et Schult.f. var. micranthum Hatus. ex M.N.Tamura et M.Hotta があります。

Japanese common name : Houchaku-sou
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Disporum sessile D.Don ex Schult. et Schult.f.

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葉は艶がある。花は下垂する

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左:雄しべは6本 右:花柱先端は3裂する

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左:花期終わり頃の花(4月26日) 右:果実は液果(6月11日)


ホウチャクソウ(宝鐸草)
イヌサフラン科チゴユリ属
学名:Disporum sessile D.Don ex Schult. et Schult.f.
花期:4月~5月 多年草 草丈:30~50cm 花冠長:2~3cm

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【学名解説】
Disporum : dis(二重の)+spora(種子)/チゴユリ属
sessile : sessilis(無柄の・無花茎の)
D.Don : David Don (1799-1841)
ex : ~による
Schult. : Josef (Joseph) August Schultes (1773-1831)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Schult. f. : Julius Hermann Schultes (1804-1840)
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
Salisbury : Richard Anthony (nee Markham) Salisbury (1761-1829)

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Sendai-yama, Alt.226m) 2007.04.03 - 2007.06.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 July 2007
Last modified: 8 August 2016
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by pianix | 2007-07-20 00:00 | | Trackback | Comments(0)
フタリシズカ(二人静)
 フタリシズカ(二人静)は、センリョウ科チャラン属の多年草です。中国、朝鮮半島、日本に分布し、国内では北海道から九州までに分布する在来種です。名の由来は、ヒトリシズカに対し2本の花穂が立つ事が多く、それを磯禅師の娘で源義経の愛妾である静御前(Ca.1165-1211)と亡霊が舞う姿に例えられたと言われています。

 センリョウ科 (Chloranthaceae R.Br. ex Sims, 1820) は、熱帯地方を中心に5属約60種が分布します。日本には1属4種があります。雄しべ1~3個と雌しべ1個の花被が無い花を付けます。チャラン属(Chloranthus Swartz)は、日本には3種1)があります。

 山地の林内に自生し、4月から6月頃に花をつけます。茎は無毛で、分枝せずに直立して、高さ30~60cmになります。下部の節に付く葉は広卵形で、膜質の鱗片状となり対生します。これを鱗片葉と言います。上部の節に付く葉は2~3対あり、間隔を開けて対生します。長さ6~9cm、幅4~9cmの楕円形から卵状楕円形で、細かな鋸歯があり、鋸歯先端は棘状となります。葉の先端は尖ります。ヒトリシズカのような光沢はありません。

 葉の展開後、茎頂に穂状花序をつけます。花穂の長さは2~5cmで、1~5本を直立させます。花は長さ2~3mmで白色、約1mmの花柄があります。花弁が無い無花被花です。雄しべ3個が子房を巻くようにつきます。雄しべは広卵形の幅が広い花糸で、葯は内側に付き褐色、両側2本は1個づつ、中央には2個があります。花粉は白色。茎の下部に閉鎖花をつけます。染色体数は、2n=30。果実は核果で径3mm程の広倒卵形。熟すと濃緑色となります。

1)日本のチャラン属3種
キビヒトリシズカ(吉備一人静)Chloranthus fortunei (A.Gray) Solms
ヒトリシズカ(一人静)Chloranthus japonicus Siebold
フタリシズカ(二人静)Chloranthus serratus (Thunb.) Roem. et Schult.

Japanese common name : Futari-shizuka
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Chloranthus serratus (Thunb.) Roem. et Schult.

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左:花穂は通常2本が多い 右:5本でもゴニンシズカではない(笑)

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左:無花被花で、雄しべ3個が巻いてつく 右:葉は対生で鋸歯がある


フタリシズカ(二人静)
センリョウ科チャラン属
学名:Chloranthus serratus (Thunb.) Roem. et Schult.
花期:4月~6月 多年草 草丈:30~60cm 花径:2~3mm 花穂長:2~5cm

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【学名解説】
Chloranthus : chloros(黄緑)+anthos(花)/チャラン(茶蘭)属
serratus : 鋸歯がある
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Roem. : Johann Jacob Roemer (1763-1819)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Schult. : Josef (Joseph) August Schultes (1773-1831)

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Sendai-yama Alt.226m) 2007.05.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 June 2007
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by pianix | 2007-06-26 00:00 | | Trackback | Comments(0)
マルバウツギ(丸葉空木)
 マルバウツギ(丸葉空木)は、アジサイ科ウツギ属の落葉低木です。日本固有種で、関東以西の本州、四国、九州に分布します。名の由来は、葉がウツギよりも丸みのある形状で、茎が中空である事から。英名は、Fuzzy deutzia。

 アジサイ科(Hydrangeaceae Dumortier, 1829)は、北半球の温帯から亜熱帯に16属約190種が分布します。この分類はAPG及びクロンキスト(1988)分類体系によるもので、新エングラー体系ではユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))になります。ウツギ属(Deutzia Thunberg, 1781)は、東アジアとアメリカに約60種、東アジアからヒマラヤに約50種、メキシコに2種があり、日本には7種が分布します。

 日当たりの良い山地に生えます。樹高は30~150cm、樹皮は灰褐色で幹は中空です。枝は紫褐色で細く、分枝します。葉は対生します。柄があり、基部は円形、卵形から卵状楕円形で鋸歯があり、長さ4~7cm。両面に星状毛が密生し、ざらつきがあります。花序の下にある葉は柄が無く茎を抱きます。徒長枝の葉柄は極短くあります。秋に紅葉します。

 花期は5月頃で、枝先に長さ5cm程の円錐花序をつけます。花序全体に星状毛が密生します。花は白色で、花径10~15mm、上向きに咲き平開します。萼片5、花弁5枚の離弁花です。花盤は橙色で目立ちます。雄しべは10個で花糸に翼があり、基部が太く先は細くなります。葯色は黄色。雌しべ花柱は3裂します。両性花です。果実は蒴果です。径3mmの椀形で、花柱が残り、星状毛が密生します。熟すと茶色になり、裂けて種子を出します。染色体数は、2n=26。

Japanese common name : Maruba-utugi
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Deutzia scabra Thunb.

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左:花序 右:橙色の花盤が目立つ

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左:葉裏には星状毛が密生し脈上で開出毛が目立つ 右:葉表
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花序下の葉は柄が無く茎を抱く


マルバウツギ(丸葉空木)
アジサイ科ウツギ属
学名:Deutzia scabra Thunb.
花期:5月 落葉低木 樹高:30~150cm 花径:10~15mm 果期:9~10月

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【学名解説】
Deutzia : Johan van der Deutz (1743-1788)に因む/ウツギ属
scabra : scaber(凸凹がある・ざら付いた)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
---
Hydrangeaceae : Hydrangea|hydro(水)+angeion(容器)/アジサイ科
Dumort. : Barthelemy Charles Joseph Dumortier (1797-1878)
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.25km 左岸土手 2007.05.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 30 May 2007
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by pianix | 2007-05-30 00:00 | | Trackback | Comments(2)
コゴメウツギ(小米空木)
 コゴメウツギ(小米空木)は、バラ科コゴメウツギ属の落葉低木です。朝鮮半島や中国、日本に分布します。国内では北海道から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、小さい蕾を小米に見立てたもの。小米は砕けた米粒の事。ウツギは茎が中空である事から。英名は、Lace shrub。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、南極を除く、ほぼ全ての大陸に約107属3100種が分布します。コゴメウツギ属(Neillia D. Don, 1825) は東アジアに5種、日本には2種が自生します。旧属名は、Stephanandra Siebold & Zuccarini, 1843。

 山間部に叢生します。樹高は1~2m。樹皮は灰褐色で、縦に細い裂目があり、中空1)です。枝は細く髄があり、良く分枝します。葉は互生します。長さ20~60mm、幅15~35mmの三角状広卵形で、先端は尾状に伸びた鋭尖頭、重鋸歯があり葉縁は羽状に裂けます。葉は黄緑色で葉裏は白味を帯び両面に散毛があります。

 花期は、5月から6月頃。枝先や葉腋から花柄を出し総状花序をつけます。花は白色でヘラ形の花弁5枚があり径4~5mm。萼は花弁より短い卵形の白色で5枚があり、花弁と合わせて10枚に見えます。日が経つと黄白色になります。

 旧属名は、雄しべが雌しべの周囲に輪状に並ぶ事が属名の由来となっています。stephanos(冠)+andron(雄しべ)で、周囲に雄しべが囲むとの意味合いです。雄しべは10個で葯の色は黄色。雌しべが中央に1個の両性花です。果実は袋果です。球形で径2~3mm。種子は1~2個あり約1mmです。染色体数は、2n=18 (Yoshikane Iwatsubo and Naohiro Naruhashi, 1992)。

1)中空茎の植物は、木本、草本に関わらず多くが存在しています。また、初めは髄が詰っていて、時間経過と共に柔らかい髄の細胞質が壊れて消失し、中空になる場合があります。コゴメウツギの場合は、古くてある程度の太さの茎が中空になります。葉を付けた枝には髄が詰っています。

Japanese common name : Kogome-utugi
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Neillia incisa (Thunb.) S.H.Oh

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左:花(径4~5mm)と蕾 右:雄しべ10本が雌しべを取り囲む

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左:一見すると花弁が10枚のように見える 右:蕾
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裏側から見た萼の様子。長い方が花弁で短いのは萼
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茎標本
【詳細説明】 左から外径(内径) : 11.6mm(6.4mm)。10.5mm(5.3mm)。8mm(2.7mm)、2.42mm(1.8mm)。左は完全に空洞で多数の蟻が入っていた。左から2番目はオレンジ色に変色した髄が詰っていた。左から3番目は細い空洞。左から4番目は葉が付く枝で白色の髄が詰っている。ラベル表記は、旧属名。


コゴメウツギ(小米空木)
バラ科コゴメウツギ属
学名:Neillia incisa (Thunb.) S.H.Oh
synonym : Stephanandra incisa (Thunb.) Zabel
花期:5月~6月 落葉低木 樹高:1~2m 花径:4~5mm 果期:9~10月

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【学名解説】
Neillia : Patrick Neill (1776-1851)氏の/コゴメウツギ属
incisa : incisus(鋭く裂けた)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
S.H.Oh : Sang-Hun Oh (?- )
---
Stephanandra : stephanos(冠)+andron(雄しべ)/コゴメウツギ属
Zabel : Hermann Zabel (1832-1912)

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Sendai-Yama) 2007.04.30
安倍城跡(Alt. 435m) 2014.05.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

26 May 2007, 27 May 2014
Last modified: 17 December 2015
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by pianix | 2007-05-26 00:00 | | Trackback | Comments(0)