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テンニンソウ(天人草)
 テンニンソウ(天人草)は、シソ科テンニンソウ属の多年草です。北海道から九州に分布する日本固有種です。名の由来は不明です。虫食いされた葉の綻びを、破れ衣である羽衣に見立てたとか、花の集まりを天女の舞いに見たてたとの説があります。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。テンニンソウ属(Leucosceptrum J.E.Smith, (1805))は、オドリコソウ亜科に含まれます。日本とヒマラヤに6種があるとされています。

 山間部の木陰に自生し、木化した地下茎で群落を形成します。茎は、シソ科特有の4稜(断面四角形)で直立し、高さ50~100cmになります。葉は対生し、葉柄があります。長さ10~25cm、幅3~9cmの長楕円形から広披針形で鋭頭、鋸歯があり無毛です。

 花期は8月から10月頃。茎頂に長さ10~18cmの穂状花序を出し、淡黄色の唇形花を密生させ、花序の下から順に開花させます。花冠は長さ約8mmで、先は浅く5裂し、上唇は2裂、下唇は3裂します。雄しべ4本、雌しべ1本があり、長く突出します。花柱先端は2裂します。萼は筒形です。果実は堅果です。染色体数は、2n=46。

 類似種のフジテンニンソウ(富士天人草)Leucosceptrum japonicum (Miq.) Kitam. et Murata f. barbinervium (Miq.) Kitam. et Murata は、テンニンソウの一品種(f.:forma)で、葉裏の中肋(ちゅうろく=葉の中央を走る太い葉脈)や花穂の柄に開出毛があります。変種(var.:varietas)に、葉が丸く大きいオオマルバノテンニンソウ(大丸葉の天人草)Leucosceptrum srellipilum (Miq.) Kitam. et Murata var. radicans (Honda) T.Yamaz. et Murata があり、広島・山口・四国・九州に自生します。

Japanese common name : Ten'nin-sou
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Leucosceptrum japonicum (Miq.) Kitam. et Murata

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左:全体 右:蕾の苞は開花と共に落ちる
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テンニンソウ(天人草)
シソ科テンニンソウ属
学名:Leucosceptrum japonicum (Miq.) Kitam. et Murata
花期:8月~10月 多年草 草丈:50~100cm 花序長:10~18cm

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【学名解説】
Leucosceptrum : leuco(白い)+sceptron(長い柄がある帝王の笏)/テンニンソウ属
japonicum : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
Kitam. : 北村四郎 Shirō Kitamura (1906-2002)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Murata : 村田 源 Gen Murata (1927- )

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から47.5km 右岸河川敷 2006.10.09
高山(牛ヶ峰 Alt.717m) 2014.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 October 2006
Last modified: 23 September 2014
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by pianix | 2006-10-20 00:00 | | Trackback | Comments(0)
アメリカタカサブロウ(亜米利加高三郎)
 アメリカタカサブロウ(亜米利加高三郎)は、キク科タカサブロウ属の1年草です。熱帯アメリカ原産で、日本では1981(昭和56)年に梅本氏によって確認された、比較的新しい帰化植物です。関東以西に分布します。名の由来は、アメリカ産のタカサブロウから。タカサブロウの語源は不明です。人名であるとか、タタラビソウ(多々良比草)の転訛であるとする説があります。英名は、Yerba de Tago、false daisy。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味。保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。タカサブロウ属(Eclipta L. (1771))は、温帯から熱帯に広く分布します。

 茎は初め少し這い、その後、斜上して分枝します。タカサブロウに比べて、枝分かれ部分の下の茎が膨らみを持ちます。葉は対生し、幅8~18mm、長さ60~100mmの線状披針形で鋸歯があります。

 花期は7月から10月。頭花は径7~10mmで白色。周囲2列に白色の舌状花が並び、中央に先端が4裂した白色の筒状花があります。総苞は、半球形から鐘形をしています。総苞片は2列で、内片が短く先端が尖ります。葯の色は黄色。属名のEclipta(不完全の・欠けた)は、冠毛が無い事を表しています。

 果実は痩果です。長さ2.1~2.5mm、幅約1.9mmの4稜形で、熟すと黒褐色になります。側面全体に瘤状の隆起があり、タカサブロウに見られるような翼はありません。

 タカサブロウとアメリカタカサブロウは共に帰化植物で、酷似するので区別は難しくなります。一番分かりやすいのは痩果を比べる事です。タカサブロウにはヒレのような翼がありますが、アメリカタカサブロウにはありません。瘤状の隆起は、タカサブロウが中央部分だけに対し、アメリカタカサブロウは側面全体にあります。葉は、細長くて鋸歯が目立つ方がアメリカタカサブロウです。茎の節の膨らみは、タカサブロウが上側なのに対し、アメリカタカサブロウは下側になります。

Japanese common name : Amerika-takasaburou
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Eclipta alba (L.) Hassk.

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左:果実は痩果 右:瘤状の隆起があり翼がない種子


アメリカタカサブロウ(亜米利加高三郎)
キク科タカサブロウ属
学名:Eclipta alba (L.) Hassk.
花期:7月~10月 1年草 草丈:60~100cm 花径:7~10mm

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【学名解説】
Eclipta : ecleipo(不完全の・欠けた)/タカサブロウ属
alba : 白い[albus(男性形)|alba(女性形)|album(中性形)]
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Hassk. : Justus Carl Hasskarl (1811-1894)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 October 2006
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by pianix | 2006-10-18 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヌマダイコン(沼大根)
 ヌマダイコン(沼大根)は、キク科ヌマダイコン属の多年草です。日本を含む東アジア、東南アジア(台湾・中国・インド・スリランカ)に分布します。日本では、本州の関東以西から四国・九州・沖縄に分布する在来種です。名の由来は、湿地に生え、大根の葉に手触りが似ている事から。英名は、Club-wort、あるいはkamanamana。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。ヌマダイコン属(Adenostemma J.R.Forst. & G.Forst. (1776))は、暖帯から熱帯に分布します。フジバカマ属と似ていますが、冠毛が棍棒状で粘液を出す事で区別されます。

 暖地の湿地に生育します。茎は上部で分枝し、高さ30~100cmになります。葉は対生します。卵形または卵状長楕円形で、長さ4~20cm、幅3~12cm、両面に短毛がまばらにあり、鈍鋸歯があります。葉柄は長さ1~6cm。

 花期は9月から11月頃。枝先に集合花である頭花を付けます。頭花は白色の約30本の筒状花のみで、舌状花はありません。両生花です。花柱は白色で2分し、先端は丸みを帯びます。総苞は半球形で、直径5~8mm。総苞片は2列あり同じ長さで、花後に反り返ります。

 果実は痩果です。倒皮針形で長さ約4mm。冠毛は棍棒状で4本あり、長さ約1mm。疣状小突起や腺点が密にあり粘液を出します。俗称、ひっつき虫の一種です。動物などに取り付き散布されます。染色体数は、2n=20。

※果実が疣状であるヌマダイコン(沼大根)Adenostemma lavenia (L.) Kuntze と、果実が平滑であるオカダイコン(岡大根)Adenostemma latifolium D.Don があります。

Japanese common name : Numa-daikon
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Adenostemma lavenia (L.) Kuntze

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左:花序    右:頭花。総苞片は2列同長

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左:2分した白色の花柱と薄桃色の筒状花    右:痩果


ヌマダイコン(沼大根)
キク科ヌマダイコン属
学名:Adenostemma lavenia (L.) Kuntze
花期:9月~11月 多年草 草丈:30~100cm 花径:5~8mm

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【学名解説】
Adenostemma : adenos(腺)+stemma(冠)/ヌマダイコン属
lavenia : Lāuīnĭa ローマ神話の王の娘
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Kuntze : Carl Ernst Otto Kuntze (1843-1907)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.09.25, 2006.10.18, 2006.10.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 17 October 2006
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by pianix | 2006-10-17 00:00 | ひっつき虫 | Trackback | Comments(0)
ゴマ(胡麻)
 ゴマ(胡麻)は、ゴマ科ゴマ属の1年草です。アフリカが原産で、日本へは縄文後期、あるいは奈良時代に渡来したと言われています。日本では栽培のみで自生種はありません。名の由来は、中国名の漢字を音読みしたもの。胡は、中国西域諸国の意味で、麻に似た種子を付ける事から。中国を経由した事に因みます。英名は、sesame。

 ゴマ科(Pedaliaceae R. Brown, 1810)は、アフリカ南部からマダガスカル、熱帯アジアにかけて15属50種が分布します。ゴマ属(Sesamum L. (1753))は、アフリカ南部からインドまでの熱帯地方に15種分布し、栽培されているのは本種のみです。

 全体に軟毛が密生します。茎は四角柱状で直立し、所々で分枝して高さは60~100cmになります。葉は、長さ10cm内外の長楕円形か皮針形です。下部で対生し、上部で互生します。花期は7月から9月で、葉腋に花を付け、茎の中程から上に向かって、順次開花させます。花冠は筒状の先端が5裂した唇形花で、長さ25~30mm。花色は種子の色と関連します。白色は白ゴマ、淡紫色を帯びた白色(ピンク)は黒ゴマです。萼は深く5裂します。染色体数は、2n=26。

 果実は朔果です。長さ25mm程の円柱状で4~8房室があり、1室に約15~20粒があります。熟すと縦に裂開して多数の種子を出します。種子は2種類の皮と、内部に胚乳・子葉があり、脂肪油を40~50%含みます。日本薬局方ゴマ油は、軟膏やリニメント剤などの基剤として用いられます。

 主な原産国は、中国、スーダン、ナイジェリア、タンザニアです。栽培面積比率はインドが30%で世界最大です。日本での主な産地は茨城・埼玉・三重・佐賀・長崎ですが、1950年代から減り始め、現在では輸入依存状態になっています。1997年の輸入量は、15万2000tで、世界貿易量の約3割を占めます。因みに各国での呼称は、イギリスではセサミシード(Sesameseed)、フランスではグランドセサム(graines de sésame)、ドイツではゼーザムザートゥ(Sesamsaat)、イタリアではセーメ・ディ・セサモ(Seme di Sesamo)、中国ではチーマ(芝麻)。

Japanese common name : Goma
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Sesamum indicum L.
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果実は朔果


ゴマ(胡麻)
ゴマ科ゴマ属
学名:Sesamum indicum L.
花期:7月~9月 1年草 草丈:60~100cm 花冠長:25~30mm 果期:9~10月

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【学名解説】
Sesamum : zesamm(ギリシャ語)・sessem(アラビア語)の古語に由来/ゴマ属
indicum : indicus(インドの)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬学植物園 2006.09.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

4 October 2006
Last modified: 18 March 2014
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by pianix | 2006-10-04 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)
フユイチゴ(冬苺)
 フユイチゴ(冬苺)は、バラ科キイチゴ属の常緑小低木です。日本や朝鮮、台湾、中国等の東アジアが原産です。国内では、本州、四国、九州に分布し、林床・林縁に生育する在来種です。名の由来は、果実が冬に熟すイチゴである事から。中国名は、寒莓。英名は、Buerger's raspberry。学名の種小名にあるbuergeriは、シーボルトの助手であったBürger氏に因みます。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、ほぼ全ての大陸(南極を除く)に、107属3100種が分布します。キイチゴ属(Rubus L. (1753))は、北半球の寒帯から温帯地方に多く、南半球の熱帯山岳地区、北極圏と太平洋の島々にも分布し、400~500種あります。日本には8亜属70種が自生します。

 匍匐茎は蔓性で這い、長さ1~2mになります。途中から匍枝を出し、20~30cm程に斜上させます。細く木質で、褐色の短毛が密生します。ミヤマフユイチゴ(深山冬苺)のような棘はありません。葉柄は2~10cmあります。葉は単葉で互生します。基部は心形で、長さ5~11cm、幅5~9.5cm。先端は丸みを帯び、縁は浅く3~5裂し、細かな単鋸歯があります。光沢のある濃緑色で革質、裏面には短毛が密生します。

 花期は8月から10月頃。葉腋から花枝を出し、花を数個密集させて付けます。花は離弁花で、花径は約2cm。白色で長さ7~9mmの花弁が5個あります。花托には雌しべが多数あり、多数の雄しべがそれを取り巻きます。薄黄緑の萼片は反り返ります。果実は集合果(果実の集合体)です。雌しべの子房が成長した小核果が集まり、径7~10mm程の球形となります。小核果から出ている髭状のものは、残った花柱です。熟すと赤色になり、食用になります。染色体数は、2n=42,56。

Japanese common name : Fuyu-itigo
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Rubus buergeri Miq.

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葉は互生し、革質で単鋸歯がある。花径は約2cmで雄しべ、雌しべとも多数。

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フ2006.11.03 ユイチゴの果実。集合果 2006.11.17

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左:葉表 右:葉裏


フユイチゴ(冬苺)
別名:カンイチゴ(寒苺)
バラ科キイチゴ属
学名:Rubus buergeri Miq.
花期:8月~10月 常緑小低木 樹高(蔓性):20~30cm 花径:約2cm 果期:11~1月

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【学名解説】
Rubus : ruber(赤)/キイチゴ属
buergeri : Heinrich Bürger (1806-1858))氏の (日本植物の採集家ブュルゲル)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川 2006.08.22
安倍城跡(Alt.435m) 2006.11.03, 2014.11.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

01 September 2006, 08 October 2010, 30 November 2014
Last modified: 23 November 2016
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by pianix | 2006-09-01 00:00 | | Trackback | Comments(2)
オオイヌタデ(大犬蓼)
 オオイヌタデ(大犬蓼)は、タデ科イヌタデ属の1年草です。日本や北半球の温帯から暖帯に分布します。国内では北海道から九州までの全土に分布します。新帰化植物(江戸時代末期から現代の間に帰化したもの)と言われています。名の由来は、イヌタデ(犬蓼)よりも大型である事から。イヌタデは食用にならないタデの意味。食用となるのはヤナギタデ(柳蓼)。英名は、Curlytop knotweed。

 タデ科(Polygonaceae Juss. (1789))は北半球に約40属800種があります。タデ科の特徴は、葉柄の基部の托葉が茎を包む形の托葉鞘(たくようしょう)となる事です。イヌタデ属(Persicaria (L.) P.Miller (1754))は北半球に約100種あり、日本には約30種があります。旧属名はPolygonumで、polys(多い)+ gonu(節)の意味を持ち、節が関節のように膨れる事に因みます。

 赤味を帯びた茎は分枝しながら80~200cmになります。茎の太さは1cm前後。節は膨らみ托葉鞘(ochrea)となります。托葉鞘とは、茎に取り巻き融合して鞘状になった葉の事です。托葉鞘は約2cm、筒形の膜質で無毛です。無毛である事は、オオイヌタデとサナエタデ(早苗蓼)共通の特徴です。葉は互生します。先が尖った披針形で、長さは15~25cmです。側脈は20~30対あり、葉裏面には綿毛があります。

 花期は6月から11月頃。花序は3~7cmの穂状で、淡紅色か白色の小花を多数付け、開花時には先が垂れ下がります。小花の花弁に見えるのは3mm程の萼片で、花被は4~5裂します。種子繁殖します。畑地では堆肥に混入した種子による侵入が多く、強害雑草となります。堆肥発酵温度60℃/24hで種子は死滅1)します。果実は痩果で、種子は黒褐色の扁平楕円形です。染色体数は、2n=22,24。

1)Effect of duration of heat exposure on upland weed seed viability : Tomoko Nishida, etc. J.Weed Sci.Tech. Vol.44 (1) 59-66 (1999)

Japanese common name : Oo-inutade
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Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre var. lapathifolia
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オオイヌタデの托葉鞘。無毛が特徴。


オオイヌタデ(大犬蓼)
別名:カワタデ(川蓼)/タデクサ(蓼草)
タデ科イヌタデ属
学名:Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre var. lapathifolia
synonym : Polygonum lapathifolium L. subsp. nodosum (Pers.) Fr.
花期:6月~11月 1年草 草丈:80~200cm 花径:2~6mm 花序長:3~7cm

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【学名解説】
Persicaria : persica(モモ)に似ている/イヌタデ属
lapathifolia : Lapathum属+efolia(のような葉の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Delarbre : Antoine Delarbre (1724-1813)
var. : varietas(変種)
---
Polygonum : polys(多)+gonu(膝、節)
lapathifolium : lapathifolus(Lapathum=acetosaスイバのような葉の)
subsp. : subspecies(亜種)
nodosum : nodosus(結節がある)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)
Fr. : Elias Magnus Fries (1794-1878)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2006.08.15, 2006.08.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

28 August 2006, 27 October 2014
Last modified: 19 October 2017
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by pianix | 2006-08-28 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ヘクソカズラ(屁糞蔓)
 ヘクソカズラ(屁糞蔓)は、アカネ科ヘクソカズラ属の多年草です。東南アジア、東アジアが原産で、国内では全国に分布する在来種です。名の由来は、全草に悪臭がある事から。ただし、潰さない限り臭いは分かりません。この臭いの元はメルカプタン(Mercaptans)です。万葉集で詠まれている名称はクソカズラ。別名のヤイトバナ(灸花)は、花冠中央部の紅紫色をヤイト(灸)の跡に見立て、サオトメバナ(早乙女花)は、早乙女の笠に見立てた名です。中国名は、雞矢藤(jī shǐ téng)。

アカネ科(Rubiaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜熱帯に約500属6000種以上があり、日本には約30属60種があります。ヘクソカズラ属(Paederia L. (1767))は、アジアとアメリカの亜熱帯から温帯地方に約20種があります。

 茎は蔓性で、基部は木質化します。他の植物に左巻き(反時計回り)で絡まって伸びます。葉は対生します。楕円形か狭卵形で、長さ4~10cm、幅1~7cm。葉柄の根元に托葉が合着した三角形の鱗片(葉間托葉)があります。

 花期は、7月から9月頃。葉腋から集散花序を出します。花は、先が浅く5裂して平開した細長い鐘形の合弁花で、長さは1cm前後。花冠は灰白色で、中央部(喉)と内部は紅紫色です。内部には2本の長い紐状の花柱と短い雄しべ4~5本があり、腺毛が多くあります。萼の内側に花外蜜腺があります。

 果実は核果です。径5~6mmの球形で、熟すと光沢がある黄褐色になり、2個の核に種子が1個づつ入っています。生の果実を潰したものは、民間薬として古来から虫刺されや霜焼けの薬として使われてきました。

Japanese common name : He-kuso-kazura
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Paederia foetida L.

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底にある毛は子房を守る為と言われています。Y字形に見えるのは花柱。

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左:花冠表面 右:花冠内部の腺毛
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果実は核果で、黄褐色。


ヘクソカズラ(屁糞蔓)
別名:ヤイトバナ(灸花)/サオトメバナ(早乙女花)
アカネ科ヘクソカズラ属
学名:Paederia foetida L.
synonym : Paederia scandens (Lour.) Merr.
花期:7月~9月 多年草 草丈:蔓性 花径:4~5mm 果期:10月

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【学名解説】
Paederia : paidor(悪臭)/ヘクソカズラ属
foetida : foetidus(臭い、悪臭を放つ)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
synonym : (シノニム)同物異名
scandens : よじ登る性質の
Lour. : Joao de Loureiro (1717-1791)
Merr. : Elmer Drew Merrill (1876-1956)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.07.28, 2006.08.10, 2017.08.18
賤機山(Shizuhata-yama) 2017.11.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 August 2006, 7 August 2015
Last modified: 5 December 2017
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by pianix | 2006-08-15 00:00 | | Trackback(2) | Comments(4)
ペラペラヨメナ(ぺらぺら嫁菜)
 ペラペラヨメナ(ぺらぺら嫁菜)は、キク科ムカシヨモギ属の多年草です。中央アメリカが原産で、アフリカやヨーロッパ、アジアに分布します。日本には園芸用途で移入されたもので、逸出して1949年に京都、1952年に金沢で野生化が確認された帰化植物です。現在では、関東以西に分布しています。

 名の由来は、葉が薄くペラペラしてヨメナ(嫁菜)に似ている事から。金沢で採取された時の名前はペラペラヒメジョオン(ぺらぺら姫女菀)でしたが、京都のほうが早かった為に命名の優先権1)によって決められました。別名のゲンペイコギク(源平小菊)は、花色を源氏の白旗と平家の赤旗に見立てたもの。ムキュウギク(無休菊)は、花期が長いため。英名は、Mexican fleabane。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))2)は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。ムカシヨモギ属(Erigeron L. (1753))は、温帯から寒帯に約250種あり、日本には数種が分布します。

 茎は根元で分枝し、匍匐して広がり、斜上します。草丈は、20~50cm。葉の形状は上下で異なります。下の葉は柄があり2~5cmの倒披針形で3~5に中裂します。上部の葉は線形から披針形で、柄が無く全縁です。枝先に1個の小花の集合花である、頭状花を付けます。周囲を囲む舌状花は白色で、時間の経過と共に紅紫色に変化します。中心にある筒状花は黄色で多数あります。虫媒花です。果実は痩果。種子は1mm程で、長短の冠毛があり風で飛ばされます。染色体数は、2n=36。

★  ★  ★

 撮影場所は、安倍川から分岐して与一を流れ、秋山川に合流して安倍川に戻る地域です。川幅4~5mの小さな流れで、川の側面を覆う石垣に野生していました。ある人から花の名前を知りたいと問われて出かけましたが、その時は花がありませんでした。1ヶ月ほど後に、また咲き始めたと言われて再度出かけました。川を清掃をしている近所のボランティア男性1名がいました。話を伺うと、綺麗な川だったが、下水の影響で汚れてしまったと嘆いていました。

 近くの家の方を紹介されて話を伺ったところ、同じ話をされました。昔は洗濯ができたようですが、水が綺麗になった現在でも魚はいないとの事。但し、ペラペラヨメナは「草か花か」と聞かれた時は困惑しました。草本で花をつけますから答えようがありません。よくよく考えると、草は雑草、花は園芸種を言っているのだと推測できました。しかしこれも園芸種であり、野生化した雑草でもあるので、説明に苦慮しました。

1) 国際植物命名規約で優先権があるのは学名で、和名には制約がない。
2) Compositae Giseke, 1792は保留名。

Japanese common name : Perapera-yomena
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Erigeron karvinskianus DC.

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ペラペラヨメナ(ぺらぺら嫁菜)
別名:ゲンペイコギク(源平小菊)/ムキュウギク(無休菊)
キク科ムカシヨモギ属
学名:Erigeron karvinskianus DC.
花期:5月~11月 多年草 草丈:20~50cm 花径:10~20mm

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【学名解説】
Erigeron : eri(早い)+geron(老人)/ムカシヨモギ属
karvinskianus : Wilhelm Friedrich Karwinski von Karwin (1780-1855)の
DC. : Augustin Pyramus de Candolle (1778-1841)

撮影地:静岡県静岡市
静岡市葵区与一 2006.07.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 July 2006
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by pianix | 2006-07-27 00:00 | | Trackback | Comments(2)
イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)
 イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)は、シソ科イブキジャコウソウ属の落葉矮小低木です。日本・中国・モンゴル・ヒマラヤが原産です。国内では北海道から九州に分布する在来種です。名の由来は、滋賀県と岐阜県の県境にある伊吹山に多く分布し、ジャコウ(麝香)のような芳香がある事から。麝香は、ジャコウジカ(麝香鹿)の雄の麝香腺分泌物の事。名前に草と付きながら実際は木本。日本のタイムとも呼ばれます。英名は、和名と同じくIbuki-Zyako-So。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。イブキジャコウソウ属(Thymus L. (1753))は、ヨーロッパ・アジア・アフリカなどに約350種(古い図鑑では35種)が分布し、日本には本種1種のみが自生します。

 日当たりの良い高山の岩礫地から海岸までに生育します。茎は細く木質化し、地を這い、分枝して節から根を出し群落を作ります。葉は対生します。卵形あるいは狭卵形で、長さ5~10mm、幅2~6mm。全縁で、短い柄があり、基部はくさび形、先端は鈍頭。葉の両面には腺点があります。

 花期は6月から7月頃で、枝先に穂状花序を付けます。花冠は淡紅色の唇形花で、長さは5~8mm、幅8mm内外。花色は低地ほど淡くなります。稀に白花があります。下唇は3裂します。萼に長い毛があり、類似種のタチジャコウソウと異なる部分です。雄しべは4本で、内2本が長くなって花冠から出ます。雌しべに先立ち熟す、雄しべ先熟です。繁殖は通常、挿し木や株分けで行います。染色体数は、2n=24。

Japanese common name : Ibuki-zyakou-sou
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Thymus quinquecostatus Celak.


イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)
シソ科イブキジャコウソウ属
学名:Thymus quinquecostatus Celak.
synonym : Thymus serpyllum L. subsp. quinquecostatus (Celak.) Kitam.
synonym : Thymus serpyllum L. var. ibukiensis Kudo
花期:6月~7月 落葉矮小低木 樹高:5~15cm 花冠長:5~8mm

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【学名解説】
Thymus : thyo(香)|thyme(力)|thymo(神聖な)/イブキジャコウソウ属
quinquecostatus : 五本の主脈ある
Celak. : Ladislav Josef Celakovsky (1834-1902)
---
serpyllum : serpens(蛇のような・這っている・匍匐性の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
quinquecostatus : 五本の主脈がある
Celak. : Ladislav Josef Celakovsky (1834-1902)
Kitam. : 北村四郎 Shirō Kitamura (1906-2002)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.25km 左岸土手 2006.07.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 July 2006
Last modified: 9 June 2014
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by pianix | 2006-07-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
クマノミズキ(熊野水木)
 クマノミズキ(熊野水木)は、ミズキ科ミズキ属の落葉高木です。日本・朝鮮・台湾・中国からヒマラヤにかけてが原産で、国内では本州・四国・九州に分布します。名の由来は、三重県熊野地方に多いミズキである事から。ミズキは、新芽の頃に枝を折ると樹液がしたたり落ちる事から。英名は、Large-leaf dogwood。

 ミズキ科(Cornaceae Bercht. et J.Presl (1825))は、北半球の温帯から熱帯に約14属100種が分布します。ミズキ属(Cornus L. (1753)) はアジア、アメリカの温帯に約60種が分布し、日本には5種が自生します。

 幹は直立します。樹皮は灰褐色で、浅い裂け目が縦に入ります。枝は放射状に斜上します。葉は対生します。長さ5~16cm、幅2~7cmの卵状長楕円形で全縁、先端は急鋭尖頭です。10~50mmの葉柄があり、基部は広いくさび形。葉表は緑色、葉裏は粉白色。落葉時は、淡黄色か紅色を帯びます。葉脈は6対程あり、側脈は曲線になります。

 花期は6月から7月頃。枝先に散房花序を付けます。花序の長さは8~15cm。花は4~5mmの4弁花で、白色。雄しべ4本、雌しべ1本の両生花です。果実は核果です。5~6mmの球形で、熟すと紫黒色になります。主に鳥が種子を散布します。向陽地で水分の多い所に点在し、群生はしません。繁殖は実生か挿し木によります。類似種のミズキは花期が一ヶ月程早く、葉は互生します。

Japanese common name : Kumano-mizuki
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Cornus macrophylla Wall.

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散房花序をつけ、花は白色の4弁花で、雄しべ4、雌しべ1。
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葉は対生し、長さ5~16cm、幅2~7cmの卵状長楕円形で全縁。


クマノミズキ(熊野水木)
ミズキ科ミズキ属
学名:Cornus macrophylla Wall.
synonym : Swida macrophylla (Wall.) Soj.
synonym : Cornus brachypoda C. A. Mey.
synonym : Thelycrania brachypoda (C.A.Mey.) Pojark.
花期:6~7月 落葉高木 樹高:10~15m 花径:4~5mm 果期:10月

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【学名解説】
Cornus : cornu(角)に由来/ミズキ属
macrophylla:macrophyllus(大葉の)
Wall.:Nathaniel (also Nathan Wolf) Wallich (1786-1854)
---
Swida:ミズキ属
Soj.:Jiri Soják (1936- )

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 左岸河川敷 2006.06.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 July 2006
Last modified: 30 April 2014
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by pianix | 2006-07-20 00:00 | | Trackback | Comments(0)