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ヤマハッカ(山薄荷)
 ヤマハッカ(山薄荷)は、シソ科ヤマハッカ属の多年草です。日本・朝鮮・中国に分布します。日本では、北海道から九州までに分布する在来種です。名の由来は、山に生えハッカに似る事から。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。ヤマハッカ属(Isodon (Schrader ex Bentham) Spach, 1840)は、日本、中国、ヒマラヤ、東南アジアにかけて96種が分布します。Plectranthus[*]やRabdosiaの属名が使われる事があります。

 地下茎は木質化します。茎は4稜(断面四角形)があり、下向きの毛があります。上部で分枝して、高さ60cm~90cmになります。葉は対生します。広卵形で、長さ3~6cm、幅2~4cm。縁は鈍鋸歯、先端は鋭頭から鈍頭です。葉脈に毛があり、葉柄は0.5~3cmで翼があります。

 花期は9月から10月。枝先に2~15cmの穂状花序を出し、青紫色の唇形花1)を数段につけます。花冠は長さ7~9mm。上唇弁2)は4裂して蜜標である紫色の斑紋があり、下唇弁3)は2裂して内側に巻き舟形になります。雄しべは4本で、その内2本が長い二強雄ずいです。雄しべと雌しべ(葯と柱頭)は共に下唇弁に包まれます。蜜を求めに来た虫が下唇弁に乗ると下がり、雄しべと雌しべが現れて花粉を付着させる構造です。子房は花筒の奥にあります。

 染色体数は2n=24。果実は子房が4分裂して十字に割れる分果(mericarp)で4個あり、球形です。名前に関わらず、ハッカの代用にはなりません。上唇に線状の斑点が無いのはイヌヤマハッカ Isodon umbrosus (Maxim.) H.Hara です。

[*]Plectranthus : plectron(距)+ anthos(花)
1)唇形花(しんけいか):合弁花冠の一種。花冠の先が唇状に上下に分かれている花。
2)上唇弁(じょうしんべん):上唇。唇形花の上部分
3)下唇弁(かしんべん):下唇。唇形花の下部分

Japanese common name : Yama-hakka
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Isodon inflexus (Thunb.) Kudô

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左:全体 右:葉は対生し、広卵形

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左:花冠 右:額
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2011.10.18 安倍城跡


ヤマハッカ(山薄荷)
シソ科ヤマハッカ属
学名:Isodon inflexus (Thunb.) Kudô
花期:9月~10月 多年草 草丈:60~90cm 花冠長:7~9mm

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【学名解説】
Isodon : iso(等)+dons(歯)/ヤマハッカ属
inflexa : inflexus(内曲した)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Kudô : 工藤祐舜 Yushun Kudo (1887-1932)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川水系 内牧川/上流 2006.10.18
安倍城跡 2011.10.18
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

17 November 2006
Last modified: 18 October 2011
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by pianix | 2006-11-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
メキシカン・セージ(Mexican sage)
 メキシカン・セージ(Mexican sage)は、シソ科アキギリ属の多年草(亜低木)です。メキシコから中米が原産です。名の由来は、メキシコ原産のsageから。sageは薬用として使われた種があることから、salvare(治療)が語源と言われています。日本ではアメジストセージ(Amethyst sage)の名で知られています。アメジストセージは、Amethyst(紫水晶)色である事から。英名は、Mexican Bush Sage。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。アキギリ属(Salvia L.)は熱帯から温帯にかけて分布し500~900種以上があると言われています。日本には10種程が自生します。学名で日本産のサルビアとされるものに、アキノタムラソウ(秋の田村草)Salvia japonica Thunb.があります。

 茎は4稜(断面が4角形)があり、2年目から基部が木質化して、高さ60~150cmになります。葉は十字対生します。長披針形で長さ10~12cm、軟毛があり、先端は鋭頭。短日植物で、日中の日差しが短くなると花芽を形成します。枝先に10~30cmの花穂を傾斜させて出し、6~8の唇形花を付けます。萼は赤紫色でビロード状の軟毛に覆われています。花色は白。雄しべは5本で、内3本が退化して完全雄ずいは2本。柱頭は2裂します。

 果実は4分果です。芽は銀白色。耐寒性はあまりありませんが大株の場合は約-5℃まで耐えます。暖地では露地で越冬可能です。繁殖は、一般的には春先に挿し芽で行います。葉を乾燥させたものを生薬のセージ葉と言い、下痢・芳香性健胃として用います。

Japanese common name : Mekisikan-sēgi
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Salvia leucantha Cav.
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唇形花で、萼は赤紫色ビロード状の軟毛に覆われる


メキシカン・セージ(Mexican sage)
別名:アメジストセージ(Amethyst sage)/メキシカンブッシュセージ(Mexican bush sage)/ベルベットセージ(velvet sage)/サルビア・レウカンサ(Salvia leucantha)
シソ科アキギリ属
学名:Salvia leucantha Cav.
花期:9月~12月 多年草(亜低木) 草丈:60~150cm 花穂長:10~30cm

【学名解説】
Salvia : sage(セージ)の古名|salvare(治療)・salveo(健康)/アキギリ属
leucantha : leucanthus(白い花の)
Cav. : Antonio Jose Cavanilles (1745-1804)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.10.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 7 November 2006
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by pianix | 2006-11-07 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字)
 セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字)は、シソ科ヤマハッカ属の多年草です。本州の関東や中部地方平洋側に分布する在来種です。名の由来は、丁字形に花冠をつけ、秋咲きである事から。関屋とは、関所の番小屋の事で、関守のいる家。箱根に多く自生していた事から、ここでは箱根の関屋を指しています。英名は、日本語のsekiya-no-akichoujiと呼ばれます。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。ヤマハッカ属(Isodon (Schrader ex Bentham) Spach, 1840)は、日本、中国、ヒマラヤ、東南アジアにかけて96種が分布します。Plectranthus*)やRabdosiaの属名が使われる事があります。

 山地の木陰に生える多年草です。茎は細く、四角柱状で無毛か微軟毛があります。枝分かれして高さ30~90cmになります。葉は対生します。長さ5~15cm、幅2~5cmの長楕円形で基部と先の両端で尖鋭形。鋸歯があり、葉裏に細毛、葉柄は0.5~2cm。

 枝先や葉腋から10~20cmの円錐花序を出し、多数の花を付けます。花柄は細く、長さ10~25mmで無毛。花は青紫色で、花冠長は12~18mm。長い管状の唇形で、上唇は4裂、下唇は浅く2裂し舟形になります。文字の丁のような花の付き方をします。小包葉に小斑点があります。萼は5裂し裂片は尖ります。雄しべ4個で、二長雄しべ。果実は小堅果で、長さ1.5mmの球形。

 同属のアキチョウジ(秋丁字)は、岐阜県以西に分布し、萼の先が尖らず、花柄に細毛があって10mm以下であることがセキヤノアキチョウジと異なる点です。

Japanese common name : Sekiya-no-akichouji
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Isodon effusa (Maxim.) H. Hara

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左:花序 右:花冠後方から:葉序と先端が尖る萼
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花冠横向きの拡大
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花冠先端の拡大:上唇は4裂します
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明るい場所では紫色、暗い場所では青系に見える。2010.11.11


セキヤノアキチョウジ(関屋の秋丁字)
シソ科ヤマハッカ属
学名:Isodon effusus (Maxim.) H. Hara
花期:9月~10月 多年草 草丈:30~90cm 花冠長:12~18mm

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【学名解説】
Isodon : iso(等)+dons(歯)/ヤマハッカ属
effusa : effusus(甚だしい開度の・非常に開いた・非常にばらばらの)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
H. Hara : 原 寛:Hara Hiroshi (1911-1986)
---
*Plectranthus : plectron(距)+ anthos(花)
ヤマハッカ属保留名(Plectranthus L'Heritier, 1788)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.10.25
安倍城跡(Alt.435m) 2010.11.11
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

2 November 2006
Last modified: 11 November 2010
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by pianix | 2006-11-02 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヒメヤブラン(姫藪蘭)
 ヒメヤブラン(姫藪蘭)は、キジカクシ科(旧分類ユリ科)ヤブラン属の多年草です。日本や中国が原産で、国内では北海道から沖縄にかけての全土に分布する在来種です。名の由来は、小さな藪に生える蘭から。ヤブラン(薮蘭)より小型なのはコヤブラン(小藪蘭)で、それよりも小型である事から。英名は、Monkey grass。

 キジカクシ科(Asparagaceae Juss. (1789))は、約150属2500種が分布します。旧分類ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ヤブラン属(Liriope Loureiro, 1790)は、東アジアに6種、日本に3種が分布します。3種の内訳は、葉幅が10mm程のヤブラン(薮蘭)、葉幅が4~7mmで小型版と言えるコヤブラン(小藪蘭)、より小型で葉幅が1.5~3mmのヒメヤブラン(姫藪蘭)です。

 根茎は短く、匐枝を横に伸ばして増殖します。葉は根生し、線形で長さ10~20cm、幅は1.5~3mm、鋸歯はありません。花茎は葉よりも短い10~15cmで、茎先に花を付けます。

 花期は7月から9月。花は総状に付き、径5~6mmの淡紫色で、花被片は楕円形で6個あります。平開して斜め上向きに咲きます。果実は蒴果ですが、成熟する前に薄い果皮が脱落します。従って、裸出した種子そのものです。これはヤブラン属とジャノヒゲ属に共通する特徴です。径4~5mmの球形で、熟すと紫黒色になります。染色体数は、2n=36。

 花色が白い品種は、シロバナヒメヤブラン(白花姫藪蘭)Liriope minor (Maxim.) Makino f. albiflora (Murai) Okuyama です。

Japanese common name : Hime-yaburan
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Liriope minor (Maxim.) Makino

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▲ 左:種子(4~5mm)の内部 右:花径は5~6mm
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▲ 葉は細く線形でで、幅1.5~3mm


ヒメヤブラン(姫藪蘭)
キジカクシ科ヤブラン属
学名:Liriope minor (Maxim.) Makino
花期:7月~9月 多年草 草丈:10~15cm 花径:5~6mm 実径:4~5mm

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【学名解説】
Liriope : ギリシャ神話の女神の名/ヤブラン属
minor : minus(より小さい)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz(1827-1891)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
---
f. : forma(品種)
albiflora : albiflorus(白花の)
Murai : 村井三郎 Saburo Murai (fl. 1962-)
Okuyama : 奥山春季 Shunki Okuyama (1909-1998)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.10.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

11 October 2006
Last modified: 4 October 2015
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by pianix | 2006-10-11 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ツリガネニンジン(釣鐘人参)
 ツリガネニンジン(釣鐘人参)は、キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草です。日本、朝鮮半島、中国、カラフトが原産で、日本では沖縄を除く北海道から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、花冠が釣り鐘型で、根がチョウセンニンジン(朝鮮人参)に似る事から。英名は、Ladybells。

  キキョウ科(Campanulaceae Juss. (1789))は、Campanula(釣鐘)に由来し、温帯から熱帯に約60属2000種があります。ツリガネニンジン属(Adenophora F.E.L. Fischer, 1823 )は、ユーラシア大陸に50種ほどあり、日本には約10種が自生します。

 山野に自生し、低地から1700mあたりまで垂直分布します。根は薄黄色で、60~80cmに伸びます。若芽はトトキと称して食用になり、山菜として親しまれています。朝鮮語でツリガネニンジンをトドック(希幾)と言い、トトキとは、それが転訛したものと言われています。乾燥根は、漢方生薬名シャジン(沙参)として、鎮咳・去痰薬として用いられます(日本薬局方外生薬規格)。

 茎は円柱(断面円形)で細毛が密生し、ほとんど分枝せずに直立して、高さ40~100cmになります。全体に腺細胞があり、切ると乳液を出します。これはツリガネニンジン属の学名であるAdenophora(腺がある)に表されている特徴です。

 根生葉1)は長い柄があり円心形です。花期に枯れますが、刈り取り後に再生する事があります。茎生葉2)は柄が極短く、3~6枚が輪生します。互生・対生する場合もあります。長楕円形・卵形・線状披針形等と変異が多く、長さ4~8cm、幅5~40mm。鋸歯があり先端は鋭頭です。

 茎頂に円錐花序を出し、数段に花を数個ずつ、やや下垂させて輪生します。花冠は釣鐘型の合弁花で、先端が5裂し淡緑色を帯びます。花色は、淡紫色や白色があります。花冠長は12~20mmで、花径は10mm程。雄しべ5本、雌しべ1本があり、雄しべは花冠から突き出ます。

 両生花で他家受粉をします。自家花粉を避ける雄性先熟です。初め雌しべは綿棒のような棍棒状で(雄花期)、雄しべが枯れると先端を浅く3裂させて受粉可能(雌花期)となります。枯れた雄しべは花冠に貼り付きます。萼は5裂します。萼裂片は長さ3~5mmの線形で細く、突起状鋸歯が1~4個あり、反り返ります。染色体数は、2n=34。

 1)根生葉(こんせいよう)radical leaf:地上茎の基部から出る葉。
 2)茎生葉(けいせいよう)cauline leaf:茎葉。地上茎につく葉。

Japanese common name : Turigane-ninjin
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Adenophora triphylla (Thunb.) A. DC. var. japonica (Regel) H.Hara

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▲ 左:花冠先端は5裂する 右:花冠が短い型

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▲ 左:花柱先端が棍棒状の雄花期 右:花柱先端が3裂した雌花期
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萼片は5裂して平開し、花冠裂片先端は軽く反り返り一部が薄緑色。

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▲ 左:輪生する茎生葉 右:茎生葉5枚


ツリガネニンジン(釣鐘人参)
キキョウ科ツリガネニンジン属
学名:Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. var. japonica (Regel) H.Hara
synonym : Adenophora triphylla (Thunb.) A.DC. subsp. aperticampanulata Kitam.
花期:8月~10月 多年草 草丈:40~100cm 花冠長:13~20mm 花径:1cm

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【学名解説】
Adenophora : adenos(腺)+phoreo(有する)/ツリガネニンジン属
triphylla : triphyllus(三葉の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
A.DC. : Alphonse Louis Pierre Pyramus de Candolle (1806-1893)
var. : varietas(変種)
japonica : 日本の[japonicus(男性)|japonica(女性)|japonicum(中性)]
Regel : Eduard August von Regel (1815-1892)
H.Hara : 原 寛 Hiroshi Hara (1911-1986)
---
synonym : (シノニム) 同物異名
subsp. : subspecies(亜種)
aperticampanulata : apertus(開裂の)+campanulatus(鐘形)
Kitam. : 北村四郎 Siro Kitamura (1906-2002)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.08.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

6 October 2006
Last modified: 7 June 2014
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by pianix | 2006-10-06 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ハグロソウ(葉黒草)
 ハグロソウ(葉黒草)は、キツネノマゴ科ハグロソウ属の多年草です。日本を初め、中国、朝鮮半島南部、台湾に分布します。日本では関東以西から九州にかけて自生する在来種です。名の由来は、葉が黒っぽく暗緑色である事から、あるいは花の斑紋をお歯黒に見立てたとの説があります。

 キツネノマゴ科(Acanthaceae Juss. (1789))は、中南米や東南アジア等の熱帯と温帯の一部に約250属2500種が分布します。ハグロソウ属(Peristrophe C.G.D. Nees, in Wallich, 1832)は、アフリカやアジアの温帯から熱帯に、約30種が分布します。

 山地の木陰に自生します。茎は四角形で毛があり、まばらに枝分かれして草丈20~50cmになります。葉は対生します。楕円形から披針形で、長さ2~10cm、幅10~25mm。暗緑色で全縁、先端は尖ります。

 花期は8月から10月で、枝先や葉腋から花柄を出し、2枚の苞の間から紅紫色の花を出します。苞は葉状の広卵形です。花は二唇形の合弁花で、上唇と下唇があります。花冠長は20~25mm。上唇は細く下唇は丸みを帯びて幅が広く、上唇は大きく反り返り先端が浅く3裂します。花弁内側には赤褐色の斑紋があります。

 雄しべは2本、雌しべ1本があります。雄しべは下唇に沿い、雌しべは少し上向きになり先端が2裂します。花柱には細かな毛があります。果実は蒴果で9~12mm。熟すと2裂し、2mm程の種子4個を出します。染色体数は、2n=48。

 花色が白い、シロバナハグロソウ(白花葉黒草)Peristrophe japonica (Thunb.) Bremek. f. albiflora (Hiyama) Yonek. 、苞の縁に長い毛がある、フチゲハグロソウ(淵毛葉黒草)Peristrophe japonica (Thunb.) Bremek. var. japonica があります。

Japanese common name : Haguro-sou
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Peristrophe japonica (Thunb.) Bremek. var. subrotunda (Matsuda) Murata et Terao

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左:葉状で広卵形をした2枚の苞 右:花は二唇形の合弁花
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雄しべは下唇に沿い、雌しべは少し上向きになり先端が2裂する。2010.10.14


ハグロソウ(葉黒草)
キツネノマゴ科ハグロソウ属
学名:Peristrophe japonica (Thunb.) Bremek. var. subrotunda (Matsuda) Murata et Terao
花期:8月~10月 多年草 草丈:20~50cm 花冠長:20~25mm

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【学名解説】
Peristrophe : peri(周囲)+strophe(左方に転回)=捻れる/ハグロソウ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Bremek. : Cornelis Eliza Bertus Bremekamp (1888-1984)
var. : varietas(変種)
subrotunda : subrotundus(やや円形の)
Matsuda : 松田定久 Sadahisa Matsuda (1857-1921)
Murata : 村田 源 Gen Murata (1927- )
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Terao : 寺尾 博 Hiroshi Terao (?- )

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.09.25
賤機山 2010.10.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 28 September 2006
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by pianix | 2006-09-28 00:00 | | Trackback | Comments(0)
シオン(紫菀)
 シオン(紫菀)は、キク科シオン属の多年草です。中国が原産と言われ、中国・シベリア・朝鮮半島・日本に分布します。日本では、中国地方以西から九州の一部に野生分布します。朝鮮か中国から薬用植物として移入されたものと考えられ、平安時代には栽培されていた記録があります。乾燥させた根茎や根を鎮痰去痰薬として用います(日本薬局方外生薬規格)。現在は園芸用途で栽培されています。環境省レッドデータブックでは、絶滅危惧II類(VU)で、絶滅の危険が増大している種とされています。

 名の由来は、中国名の紫菀あるいは青苑の音読み。根が紫色を帯びるので紫、菀は草木が繁る意味。別名として、オニノシコグサ(鬼の醜草)、ジュウゴヤソウ(十五夜草)とも。英名は、Tatarian aster。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。Compositae Giseke, 1792は保留名。シオン属(Aster L. (1753))は世界に約400種あり、その内、北米に250種、日本には約20種が自生します。

 茎は剛毛があり、直立して上部で分枝し、高さ1~2mになります。根生葉は、長さ20~50cmのヘラ状長楕円形で、花期には無くなります。茎葉は互生し、卵形か長楕円形で長さ20~35cm、幅6~10cm。鋸歯があり先端は尖ります。

 花期は、8月から11月頃で、枝先に径30~35mmで淡紫色の頭花を散房状に多数つけます。頭花は、淡紫色の舌状花が周囲1列に並び、中央に長さ6~7mmで黄色の管状花が多数あります。総苞は長さ7~10mmの半球型で、総苞片は槍型で3列に並びます。果実は痩果です。長さ3mm、幅1mm程の倒皮針形で、長さ6mm程の冠毛が付いています。染色体数は、2n=54。

Japanese common name : Sion
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Aster tataricus L.f.

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草丈は2m程になり見上げてしまう。茎葉も大きい。


シオン(紫菀)
キク科シオン属
学名:Aster tataricus L.f.
花期:8~11月 多年草 草丈:100~200cm 花径:30~35mm

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【学名解説】
Aster : aster(星)/シオン属
tataricus : ダッタンの・中央アジアの・ソ連タタール州の
L.f. : Carl von Linne, filius (1741-1783)

撮影地:静岡県静岡市
葵区内牧(植栽)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 September 2006
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by pianix | 2006-09-27 00:00 | | Trackback | Comments(2)
キツネノマゴ(狐の孫)
 キツネノマゴ(狐の孫)は、キツネノマゴ科キツネノマゴ属の1年草です。日本や東南アジアに分布します。日本では本州以西に分布する在来種です。名の由来は、諸説があり不明です。花冠を狐の顔、花穂を狐の尻尾に見立て、小さいので孫を充てたとの説があります。

 キツネノマゴ科(Acanthaceae Juss. (1789))は、中南米や東南アジア等の熱帯と温帯の一部に約250属2500種があります。キツネノマゴ属(Justicia L. (1753))は、熱帯から温帯に約300種が分布し、日本には本種のみが自生します。

 茎は4稜(断面四角形)があり、地を這った後、直立か斜上します。まばらに枝分かれし、草丈10~50cmになります。茎には短毛があります。葉は対生します。長さ2~5cm、幅1~2cmの卵形から長楕円形で全縁です。枝先に2~5cmの穂状(すいじょう)花序を出し、淡紅紫色の唇形花を付けます。花冠の長さは7~8mm。上唇は細く2浅裂して白色、下唇は大きく3裂し淡紅紫色に白色の斑紋があります。萼弁や苞の縁に白色の毛があります。

 子房上位で2室があります。雄しべ2本は上唇に付きます。葯は上下に2室あり、下側が大きく、基部に突起があります。虫媒花です。果実は蒴果で長さ5~6mm、幅1.5mm。熟すと上部から2裂し、胚珠の柄の弾力で種子4個を弾き飛ばします。種子は黒色で丸く、長さ1~1.5mmです。染色体数は、2n=18,36。

 次の種、変種があります。
葉の形状が異なる、キツネノヒマゴ(狐の曾孫)
  Justicia procumbens L. var. riukiuensis Yamamoto
キツネノメマゴ(狐の女孫)
  Justicia hayatae Yamamoto
白花の、シロバナキツネノマゴ(白花狐の孫)
  Justicia procumbens L. var. leucantha Honda

Japanese common name : Kitune-no-mago
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Justicia procumbens L. var. leucantha Honda f. japonica (Thunb.) H.Hara

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左:全体 右:雄しべ2本は上唇に付き、下唇には白色の斑紋がある


キツネノマゴ(狐の孫)
キツネノマゴ科キツネノマゴ属
学名:Justicia procumbens L. var. leucantha Honda f. japonica (Thunb.) H.Hara
花期:8~10月 1年草 草丈:10~50cm 花径:2~5mm

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【学名解説】
Justicia procumbens L. var. procumbens
Justicia : James Justice (1698-1763)に因む/キツネノマゴ属
procumbens : 伏臥した・這った・倒伏形の
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
leucantha : leucacanthus(白い刺の)
Honda : 本田正次 Masaji Honda (1897-1984)
f. : forma(品種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
H.Hara : 原 寛 Hiroshi Hara (1911-1986)
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キツネノヒマゴ Justicia procumbens L. var. riukiuensis Yamam.
riukiuensis : 琉球の
Yamam. : 山本由松 Yoshimatsu Yamamoto (1893-1947)
キツネノメマゴ Justicia hayatae Yamam.
hayatae : 早田文蔵 Bunzo Hayata (1874-1934)氏の
シロバナキツネノマゴ Justicia procumbens L. var. leucantha Honda
Honda : 本田政次 Masaji Honda (1887-1984)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.0km 左岸河川敷 2006.09.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

19 September 2006, 19 September 2014
Last modified: 22 December 2014
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by pianix | 2006-09-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤブラン(薮蘭)
 ヤブラン(薮蘭)は、キジカクシ科(旧分類ユリ科)ヤブラン属の多年草です。日本および東アジアが原産で、国内では本州以西の温暖な地域に分布します。名の由来は、藪に生え、シュンラン(春蘭)に似た葉を持つ事から。蘭という名前が付いていますが、ラン科ではなくキジカクシ科です。英名は、Big blue lily-turf。

 キジカクシ科(Asparagaceae Juss. (1789))は、約150属2500種が分布します。旧分類ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ヤブラン属(Liriope Loureiro (1790))は、東アジアに6種、日本に3種が分布します。

 日本の3種類は、葉幅が10mm程のヤブラン(薮蘭)、葉幅が4~7mmで小型版と言えるコヤブラン(小藪蘭)Liriope spicata Lour.、より小型で葉幅が2~3mmのヒメヤブラン(姫藪蘭)Liriope minor (Maxim.) Makinoです。園芸品種に、葉に斑が入ったフイリヤブラン(斑入り藪蘭)Liriope muscari cv. "Variegata"もあります。

 葉は根生し、長さ30~50cm、濃緑色で光沢があります。葉の幅は8~12mmで線形、先端は鈍頭です。花期は8月から10月で、8~12cmの総状花序に多数の小花を付けます。小花は径6~7mmで、淡紫色をした花被片が6枚あります。雄しべは6本。果実は6~7mmの球形をした蒴果でが、薄い果皮に覆われていて、熟す前に果皮は脱落します。従って、裸出した種子そのものとなります。初めは緑色で熟すと黒紫色になります。染色体数は、2n=72,108。

 ジャノヒゲ属のジャノヒゲ(蛇の髭)や園芸品種のタマリュウ(玉竜)等は、花は下向きに咲き、種子は濃青色ですが、ヤブラン属では、花は上向き、種子は黒色系となる事で判別できます。性質は、耐寒性・耐暑性・耐陰性が強く、繁殖力もある事から、園芸のグランドカバーとしても使われています。増殖は株分けや実生で行う事ができます。

参考:ヤブラン(藪蘭)の実

Japanese common name : yabu-ran
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Liriope muscari (Decaisne) L.H.Bailey

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左:総状花序に多数の小花を付ける。

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葉序 葉の幅は1cm前後。


ヤブラン(薮蘭)
別名:ヤマスゲ(山菅)
キジカクシ科ヤブラン属
学名:Liriope muscari ((Decne.) L.H.Bailey
Synonyms : Liriope platyphylla F.T.Wang et Tang
花期:8~10月 多年草 草丈:30~50cm 花径:6~7mm 果期:11月~1月

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【学名解説】
Liriope : ギリシャ神話の女神Leiriopeに因む/ヤブラン属
muscari : muscarius(ハエのような)
Decne. : Joseph Decaisne (1807-1882)
L.H.Bailey : Liberty Hyde Bailey (1858-1954)
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platyphylla : platyphyllus(広い葉の)
F.T.Wang : Fa Tsuan Wang (1899-1985)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Tang : Tsin Tang (1897-1984) (Sin Tang, Chin Tang)
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cv. : cultivar(園芸品種)
Variegata : variegatus(斑入りの)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.0km 左岸 2006.08.14, 2006.08.16
安倍川支流/内牧川上流 , 2006.08.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

08 September 2006, 25 March 2014, 4 October 2015
Last modified: 20 November 2016
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by pianix | 2006-09-08 00:00 | | Trackback | Comments(0)
アレチヌスビトハギ(荒れ地盗人萩)
 アレチヌスビトハギ(荒れ地盗人萩)は、マメ科ヌスビトハギ属の1年草です。北アメリカ原産で、日本では関東以西に多く分布します。1940(昭和15)年に大坂で確認された帰化植物です。名の由来は、実の形を盗人の足形に見立てたヌスビトハギ(盗人萩)があり、荒れ地でも育つ繁殖力を持つ種である事から。英名は、Panicledleaf tick-trefoil、あるいは Panicled tick-trefoil。

 マメ科(Fabaceae Lindl. (1836))は、世界に約650属18,000種があり、日本には70属198種、11亜種7変種17品種があり、41属100種が自生します。ヌスビトハギ属(Desmodium Desvaux, 1813)は約400種あり、日本には9種が自生します。

 茎は木質化し、開出毛が多くあり、分枝して高さ50~100cmになります。葉は3出複葉です。小葉は長さ5~8cm、幅1~4cmの狭卵形で先端は尖り、両面に伏毛があります。円錐花序に花を付けます。花は紅紫色の蝶形花(ちょうけいか)で、花冠の長さは7~8mm。蝶形花の花弁は5枚で、旗弁(flag)1枚、竜骨弁あるいは舟弁(keel)2枚、翼弁(wing)2枚で構成されています。旗弁は丸みを帯びて、薄緑色で長楕円形の斑紋が2つあります。雄しべ9個と雌しべは、訪虫されると竜骨弁から跳ね上がって飛び出しますが、出たままになり収納されません。

 果実は節果(せっか:loment)で、扁平で節毎にくびれます。節果とは、鞘に節があって分離されるものを言います。節毎を小節果と言います。長さ6~7mm前後の小節果が3~6個あります。熟すと節が茶色になり、節からちぎれて扁平の三角形状になります。小節果ひとつに種子が一つ入っていて、表面にある鉤状の毛によって動物に取り付き、散布されます。在来種のヌスビトハギに比べ、節果のくびれは大きくありません。花は可愛いけれど、果実には閉口させられます。染色体数は、2n=22。

Japanese common name : Areti-nusubito-hagi
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Desmodium paniculatum (L.) DC.
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▲全体の様子

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▲ 左:節果 右:葉


アレチヌスビトハギ(荒れ地盗人萩)
マメ科ヌスビトハギ属
学名:Desmodium paniculatum (L.) DC.
花期:8月~10月 1年草 草丈:50~100cm 花冠長:7~8mm

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【学名解説】
Desmodium : desmos(絆・鎖)+eidos(構造)/ヌスビトハギ属
paniculatum : paniculatus(円錐花序の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
DC. : Augustin Pyramus de Candolle (1778-1841)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.09.03 - 09.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 6 September 2006
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by pianix | 2006-09-06 00:00 | | Trackback | Comments(2)