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タチツボスミレ(立坪菫)
 タチツボスミレ(立坪菫)は、スミレ科スミレ属の多年草です。日本・クリル諸島・韓国・台湾および中国に分布します。日本では北海道から沖縄までの全国に分布する在来種です。垂直分布も広く、海抜2000mあたりまで生育します。名の由来は、身近な坪(道端や庭)に生えるツボスミレ(坪菫)に似ていて、花後に茎が立ち上がり丈が高くなる事によります。

 スミレ科(Violaceae Batsch, 1802)は、21属約800種があり、スミレ亜科には19属があります。スミレ属(Viola L. (1753))は約400種があり、日本には60種ほどがあります。

 スミレ(菫)と同様に、ごく普通に見られる種類です。交雑種も多く変異があります。スミレの仲間は、地上茎を持たない(葉と花が直接地面から立ち上がる)ものと、地上に伸びた茎から葉と花を出すものに分かれます。本種は後者の地上茎を持つ種類です。地下茎を持ち、数本の茎を出します。花時の茎は5~10cm程ですが、花後に茎を30cm程までに伸ばします。種子を遠くまで飛ばすのに有利な状況を作り出しているようです。葉は互生します。心形で先端が尖り、鋸歯があります。長さは15~25mm、幅は15~20mmです。葉柄は3~8cm。花や葉柄の基部には深く裂けた歯状の托葉があります。

 花期は3月から5月頃。花は離弁花で、淡紫色の5弁花をつけます。上弁2個、紫色の筋がある側弁2個(無毛)と唇弁1個に分かれます。花弁の長さは12~15mmです。花を咲かせない閉鎖花もあり、自家受粉で種子を付けます。花の背後に長さ6~8mmの細長い円筒状で紫色を帯びた距があり、ここに蜜を蓄えています。雄しべは5本。染色体数は、2n=20。

 果実は朔果で、破裂して種子を散布します。種子にはエライオソーム(elaiosome)という、白色でゼラチン状の蟻誘因物質が付着しています。それを餌として蟻が運び種子だけを捨てる双利共生の関係にあり、散布範囲を広げています。これはスミレ特有ではなく、200種類ほどのアリ散布植物があります。

 類似種に、オオタチツボスミレ(大立坪菫)Viola kusanoana Makino、エゾノタチツボスミレ(蝦夷の立坪菫)Viola acuminata Ledeb. があります。距の色、距の長さ、側弁基部の毛によって見分けます。タチツボスミレの距は紫色で長く、側弁基部に毛はありません。オオタチツボスミレの距は白色で長く、側弁基部に毛はありません。エゾノタチツボスミレの距は白色で短く、、側弁基部に毛が多くあります。

Japanese common name : Tatitubo-sumire
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Viola grypoceras A.Gray


タチツボスミレ(立坪菫)
スミレ科スミレ属
学名:Viola grypoceras A.Gray
花期:3月~5月 多年草 草丈:10~30cm 花径:12~15mm 果期:5~6月

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【学名解説】
Viola : 紫色の/スミレ属
grypoceras : 曲がった角
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)
---
acuminata : acuminatus(鋭尖の)
Ledeb. : Carl Friedrich von Ledebour (1785-1851)
---
kusanoana : Shunsuke Kusano 草野俊助 (1874-1962)氏の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から47.5km 右岸 2006.05.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 19 May 2006
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by pianix | 2006-05-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ニワゼキショウ(庭石菖)
 ニワゼキショウ(庭石菖)は、アヤメ科ニワゼキショウ属の多年草です。北アメリカ原産で、日本へ1887年(明治20年)頃に観賞用植物として渡来し、小石川植物園に植えられました。その後に逸出して日本各地に広まった帰化植物と言われて来ましたが、現在では別経路で侵入帰化したと考えられています。名の由来は、サトイモ科のセキショウ(石菖)に葉が似ていて、庭園に植栽されていた事からと言われています。セキショウの花は肉穂花序であり、当然の事ながら本種とは全く異なります。中国名は、庭菖蒲。英名は、blue-eyed grass。

 アヤメ科(Iridaceae Juss. (1789))は、全世界に分布し、約92属1800種があります。ニワゼキショウ属(Sisyrinchium L. (1753))は、全てが北アメリカ原産です。分類に混乱があり、70から150種と学説が定まっていません。

 単子葉植物です。アヤメ科の仲間は3を基本に花弁や雄しべなどが構成されます。茎は叢生し、扁平で、狭い翼があり無毛です。茎葉は幅2~3mmの線形で基部は茎を抱き、アヤメ科の特徴が見られます。

 花期は5月から6月頃。ヘラ形をした1~2枚の葉状の苞から非常に細い花茎を出し、茎頂に径10~15mmの花をつけます。花被片は6個で、先端は尖り、基部は筒状です。花被片と筒状部分には紫色の縞があります。アヤメ科の植物は、内花被片と外花被片が3枚ずつあり、その大きさが異なる事がほとんどですが、本種は花被片6個がすべて同形で、筋の本数だけが異なっています。筒状の中心部と葯の色は黄色です。

 両性花で、雄しべは3本。雌しべ花柱先端は糸状に3裂します。子房下位。花色は白と赤紫色があります。花は朝に咲き夕方に萎む1日花です。遺伝では赤紫が劣性、白花が優性です。従って、第一世代(F1)は全て白花になります。交雑種が出やすい傾向にあります。果実は球形の朔果です。径3mm程で艶がある紫褐色をしています。熟すにつれて下を向き、3裂して細かな種子を散布します。染色体数は、2n=32。

 近似種に、草丈があり花径が小さい淡青色の、オオニワゼキショウ(大庭石菖)Sisyrinchium sp.(学名未確定)、藍色で花弁先端が細く尖る、ルリニワゼキショウ(瑠璃庭石菖)Sisyrinchium graminoides Bicknell、等があります。ヒレニワゼキショウ(鰭庭石菖)やアイイロニワゼキショウ(藍色庭石菖)とも言われます。和名、学名共に混乱があります。

Japanese common name : Niwa-zekisyou
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Sisyrinchium rosulatum E.P.Bicknell

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花被片は6個で、先端は尖る。筒状の中心部と葯の色は黄色。

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花被片先端部分が白色の花。赤紫が劣性、白花が優性遺伝。
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▼オオニワゼキショウ(大庭石菖)

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Sisyrinchium sp.
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種子


ニワゼキショウ(庭石菖)
アヤメ科ニワゼキショウ属
学名:Sisyrinchium rosulatum E.P.Bicknell
花期:5月~6月 多年草 草丈:10~20cm 花径:10~15mm

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【学名解説】
Sisyrinchium : sys(豚)+rhynchos(鼻)/ニワゼキショウ属
rosulatum : rosulatus(ロゼット状の・薔薇模様のある)
E.P.Bicknell : Eugene Pintard Bicknell (1859-1925)
---
sp. : species(種)/未確定種の場合、属名+sp.と記される。

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.05.05, 2006.05.10
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2009.05.01, 2013.05.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First draft: 11 May 2006, 05 April 2014, 24 May 2017
Last modified: 02 August 2017

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by pianix | 2006-05-11 00:00 | | Trackback | Comments(4)
オキナグサ(翁草)
 オキナグサ(翁草)は、キンポウゲ科オキナゲサ属の多年草です。日本・朝鮮半島・中国大陸・欧州を原産とし、日本では、本州から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、花後の果実に付く毛が綿帽子状になり、それが老人(翁)の白髪に見える事から。白頭翁(はくとうおう)と呼ばれるのは生薬名で、これは中国産のヒロハオキナグサ(広葉翁草)を指します。

 環境省レッドデータブックでは絶滅危惧II類(VU)、つまり絶滅の危険が増大している種とされています。100年後の絶滅確率は、ほぼ100%。東京、千葉、和歌山では絶滅とされています。要因は、園芸目的の盗掘や開発によります。

 キンポウゲ科(Ranunculaceae Juss. (1789))は、世界に58属約2500種が分布します。オキナグサ属(Pulsatilla P.Miller, 1754)はキンポウゲ亜科・イチリンソウ連に含まれ、北半球の温帯から亜寒帯にかけて約43種が分布します。日本では2種(オキナグサとツクモグサ)が自生します。

 根は太く、深くにまで伸びます。これは生薬として使われます。花茎は10~30cm程になります。根出葉は束生し、長い柄がある2回羽状複葉で、広卵形の5小葉があります。小葉は卵形から菱状円形で2~5に深く裂け線形になります。茎葉に柄はありません。根出葉や花茎に長い白毛を密生します。花茎が10cm程になると蕾が開き始めます。花茎1本にひとつの花を下向きに付けます。長さ25~30mm程の長楕円形(鐘形)で、暗赤紫色の花弁に見えるものは6個の萼片です。天候の悪い時や夜間は閉じます。

 棍棒状にふくらんだ約300本の雄しべがあり、黄色の葯を付けます。花茎が30cm程になると萼片を落とし、雄しべは30~40mm程になります。雌しべ(花柱)の根元に果実を付けます。熟すと銀色で径6cm程の球状の綿毛を付けます。種子は3mm程の長卵形をした痩果で、風で飛散します。種子は寿命が短いので採り播きをしますが、乾燥後に冷蔵や冷凍保存する事ができます。

 全草にプロトアネモニン(protoanemonin)を含み有毒です。食べると食中毒症状(嘔吐・痙攣・下痢・血便)を起こします。

Japanese common name : Okina-gusa
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Pulsatilla cernua (Thunb.) Berchtold et J.Presl


オキナグサ(翁草)
キンポウゲ科オキナゲサ属
学名:Pulsatilla cernua (Thunb.) Berchtold et J.Presl
synonym : Pulsatilla cernua (Thunb. ex Murray) C.K.Sprenger 
花期:5月~6月 多年草 草丈:10~30cm 花長:25~30mm

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【学名解説】
Pulsatilla : pulso(打つ・鳴る)に由来/オキナゲサ属
cernua : cernuus(点頭した・前屈の)
Thunb. : Thunb.:Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Berchtold : Bedricha (Friedrich) Wssemjra von Berchtold (1781-1876)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
J.Presl : Jan Svatopluk (Swatopluk) Presl (1791-1849)
---
ex : ~による
Murray : Johan Andreas Murray (1740-1791)
C.K.Spreng : Christian Konrad (Conrad) Sprengel (1750-1816)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

8 June 2006, August 12, 2008
Last modified: 2 June 2014
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by pianix | 2006-05-08 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
マツバウンラン(松葉海蘭)
 マツバウンラン(松葉海蘭)は、オオバコ科マツバウンラン属の1~2年草です。北アメリカが原産です。日本では1941年に京都で発見され、西日本から広がった帰化植物です。現在では本州から九州にかけて自生分布します。名の由来は、松葉のような線形の葉を付け海辺に咲く、ウンラン属の在来種である、ウンラン(海蘭)Linaria japonia Miq.の花に似ている事から。但し、蘭と名が付いていてもラン科ではありません。英名は、Blue toadflax。

 APG植物分類体系では、オオバコ科 (Plantaginaceae Juss. (1789)) で、約90属1700種が分布します。マツバウンラン属(Nuttallanthus D.A.Sutton, 1988)は、約270種が分布します。エングラー体系、クロンキスト体系では、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))で、世界に約220属3000種があり、ウンラン属(Linaria P. Miller, 1754)は、北半球に約150種が分布します。

 茎は束生1)し、細く無毛で、直立します。葉は多肉質で、幅1~2mmの線形で互生します。根元はロゼット状になります。花期は5月から6月。花茎を20~60cm程に伸ばし、3mm程の柄の先に青紫色の合弁花を総状花序に数個付けます。左右相称の唇形花で、上部が2裂、下部は3裂します。花弁の中央部に白色の隆起部分があります。

 果実は3mm程の球形をしていて、角ばった種子を出します。マツバウンランの細胞には銅イオンに対する耐性があるとの報告2)もあります。染色体数は、2n=12。

 静岡市でも、ここ数年の内に急速に勢力の拡大が見られ群生箇所が増えてきました。生育期間が11月から5月にかけてで、草刈り時期を逃れる事と、農家の方も可愛らしい風情を好み、残しておく事が多いのが原因のようです。

 よく似た種に、花が大型で花冠全体に筋模様があるオオマツバウンラン(大松葉海蘭)Nuttallanthus texanus (Scheele) D.A.Sutton があります。 

1)束生(そくせい):茎や花茎等が根ぎわから束になって付いていること、株立ちしていること(ascicled)
2)和田洋、西岡洋、熊谷哲「マツバウンランの重金属耐性について」第14回環境化学討論会 P240 (2005)

Japanese common name : Matuba-unran
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Nuttallanthus canadensis (L.) D.A.Sutton
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左:葉は多肉質で互生し、茎は束生する。

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右:果実と種子


マツバウンラン(松葉海蘭)
オオバコ科マツバウンラン属
学名:Nuttallanthus canadensis (L.) D.A.Sutton
synonym : Linaria canadensis (L.) Dum.Cours.
花期:5月~6月 1~2年草 草丈:20~60cm 花冠長:7~10mm

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【学名解説】
Nuttallanthus : Nuttall*氏の+anthus(花)/マツバウンラン属
*Thomas Nuttall (1786-1859) /英国生まれで米国で活動した植物・動物学者
canadensis : カナダ(Canada)の
L. : Carl von Linne (1707-1778)
D.A.Sutton : David Andrew Sutton (1952-)
---
Linaria : linon(糸|アマ=亜麻)に似る事に由来の古名/ウンラン属
Dum.Cours. : George(s) Louis Marie Dumont de Courset (1746-1824)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から2.75km 右岸土手 2006.04.28
安倍川/河口から6.50km 左岸土手 2016.04.26, 2016.05.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

01 May 2006, 02 April 2016
Last modified: 27 April 2016
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by pianix | 2006-05-01 00:00 | | Trackback(3) | Comments(9)
カキドオシ(垣通/籬通)
 カキドオシ(垣通/籬通)は、シソ科カキドオシ属の多年草です。アジア原産で、中国、シベリア東部、日本に分布します。国内では全国に分布する在来種です。名の由来は、花後に長く蔓が伸びて垣根を通り抜ける程になる事から。別名のカントリソウ(癇取草)は、民間薬として、子供の癇(神経が過敏で小さなことにもいらたち怒る事)に用いた事から。葉が銭形のように連がることから、生薬名でレンセンソウ(連銭草)とも。英名は、Alehoof。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。カキドオシ属(Glechoma L. (1753))は北半球に広く分布し、日本には本種のみが自生します。

 茎は、シソ科の特徴である四角柱状です。初めは直立し草丈5~25cmになります。花後に倒れて蔓状となります。地面を這い、節から根を出しながら伸びます。葉は対生し、長い柄があります。腎円形で、鈍い鋸歯があり、長さ15~25mm程。縁に鈍い切れ込みがあります。茎と葉共に粗毛があります。

 花期は4月から5月で、葉腋に淡紫色で長さ15~25mmの唇形花を付けます。ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)やトキワハゼ(常磐爆米)と異なり、下唇は3裂せず2裂します。萼は5裂します。花弁に蜜標1)である、濃い紫色の斑紋があります。

 雄しべは4本。雌しべに隣接した2本と、下側に付く2本があります。雌しべの柱頭は2裂します。種子は分果で、楕円形です。種子及び地下茎で繁殖します。染色体数は、2n=36,45,54。

 葉に斑が入った品種に、フイリカキドオシカキドオシ(斑入垣通)Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara f. albovariegata H.Hara があり、花色が白色のシロバナカキドオシ(白花垣通)Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara f. nivea Hiyama があります。ヨーロッパ原産の園芸種として、セイヨウカキドオシ(西洋籬通)Glechoma hederacea L. subsp. hederacea があります。

 民間薬として利尿、消炎薬として使われてきました。糖尿病・膀胱や尿路結石・黄疸・疳に用いられます。ヨーロッパでも古くから去痰・喘息に用いられてきました。最近は糖尿病に効き目がありそうだと期待されているようです。花期の全草を乾燥させたもの(連銭草)を使います。茶材や薬酒としても利用されています。

1)蜜標(みつひょう):昆虫に蜜の所在を示す標識(nector guide)

Japanese common name : Kakido'oshi
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Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara

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雌しべ柱頭は2裂する


カキドオシ(垣通/籬通)
別名:カントリソウ(癇取草)
シソ科カキドオシ属
学名:Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara
synonym : Glechoma grandis (A.Gray) Kuprian.
花期:4月~5月 多年草 草丈(蔓性):5~25cm 花長:15~25mm

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【学名解説】
Glechoma : ハッカの一種glechonに由来/カキドオシ属
hederacea : hederaceus(キズタ属(Hedera)に似た)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
grandis : 大形の
A. Gray : Asa Gray (1810-1888)
H.Hara : 原 寛 Hiroshi Hara (1911-1986)
---
var. : varietas(変種)
Kuprian. : Lyudmila Andreyeva (Andreevna) Kuprianova (1914-1987)
---
f. : forma(品種)
nivea : niveus(雪白色の)
Hiyama : 桧山庫三 Kozo Hiyama (1905-?)
---
albovariegata : albi(o)(白)+variegatus(斑紋のある)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.50km 左岸土手 2006.04.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First draft: 20 April 2006, 8 April 2014, 10 April 2015
Last modified: 2 May 2016
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by pianix | 2006-04-20 00:00 | | Trackback(1) | Comments(2)
ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)
 ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)は、サギゴケ科サギゴケ属の多年草です。北海道南部から九州にかけて分布する在来種です。海外では中国や台湾に分布します。名の由来は基本種で白色花のサギゴケ(鷺苔)から来ています。花を白鷺に、葉が地を這う形状を苔に見立てたものです。江戸時代から園芸種として扱われてきました。それに対し、本種は花色が紫色である事から紫を冠した名が付けられています。どちらもサギゴケとして区別しない場合もあります。しかし、白色品種をシロバナサギゴケ(白花鷺苔)と呼ぶ事もあります。

 サギゴケ科(Mazaceae)は、世界に2属29種が分布し、日本には1属3種があります。旧分類のゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、世界に約220属3000種があります。サギゴケ属(Mazus Loureiro, 1790)は、東アジアや東南アジア、オーストリアに20種程、日本には3種が分布しています。

 根本から匍匐する茎(匐枝)を出し、節から根を出して増殖します。葉は倒卵形で対生し、根本に集まります。花期は4月から5月で、花茎を立ち上げ、紅紫色で唇形の花冠(唇形花)を付けます。上下2唇に分かれ、上唇は2裂、下唇は3裂します。下唇は横に広がり、膨らみを持った内側には毛が生え、黄褐色の斑点模様があります。

 雄しべは4本で、長い2本と短い2本があります。雌しべ花柱の先端(柱頭)は2裂し、接触刺激を受けると閉じ、時間経過と共に再び開きはじめる柱頭運動を行います。近似種に、トキワハゼ(常磐爆米)Mazus pumilus (Burm. f.) Steenis があります。

Japanese common name : Sagigoke
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Mazus miquelii Makino


サギゴケ(鷺苔)
別名:ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)/ヤマサギゴケ(山鷺苔)
サギゴケ科サギゴケ属
学名:Mazus miquelii Makino
花期:4月~5月 多年草 草丈:10~15cm 花長:15~20mm

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【学名解説】
Mazus : mazos(乳頭突起)/サギゴケ属
miquelii : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)に因む
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.04.15
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

18 April 2006
Last modified: 14 July 2016
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by pianix | 2006-04-18 00:00 | | Trackback | Comments(2)
カスマグサ(カス間草)
 カスマグサ(カス間草)は、マメ科ソラマメ属の越年草です。ユーラシア大陸の暖温帯に広く分布し、日本では本州から沖縄にかけて分布します。名の由来は、カラスノエンドウ(烏野豌豆)スズメノエンドウ(雀野豌豆)の中間の大きさである事から、それぞれの頭の文字をとり、カとスの間となったと言われています。

 マメ科(Fabaceae Lindl. (1836))は、世界に約650属18,000種があり、ソラマメ属(Vicia L. (1753))は、2亜属22節、約140種があります。

 細い茎は30~60cmほどになります。葉は互生します。線状で狭長楕円形の小葉は4~6対で8~12枚あり、偶数羽状複葉です。先端が円頭でやや尖ります。頂小葉が無く、先端は巻き髭になります。花期は、4月から5月頃。葉腋から花茎を伸ばし、旗弁に紅紫色の紋様がある5~7mmの花を3~6個つけます。果実は10~15mmの長さで、無毛の豆果です。3~6個の種子を付けますが、通常は4個です。染色体数は、2n=14。

Japanese common name : Kasuma-gusa
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Vicia tetrasperma (L.) Schreb.

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花と豆果


カスマグサ(カス間草)
マメ科ソラマメ属
学名:Vicia tetrasperma (L.) Schreb.
花期:4月~5月 越年草 草丈:30~60cm(蔓性) 花径:5~7mm

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【学名解説】
Vicia : vincire(巻き付く)/ソラマメ属
tetrasperma : tetraspermus(四種子の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Schreb. : Johann Christian Daniel von Schreber (1739-1810)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.75km 左岸土手 2006.04.13
安倍川/河口から8.50km 左岸土手 2016.04.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

13 April 2006, 30 May 2014
Last modified: 19 April 2016
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by pianix | 2006-04-13 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ホタルカズラ(蛍葛)
 ホタルカズラ(蛍葛)は、ムラサキ科ムラサキ属の多年草です。北海道、本州、四国および九州に分布し、生息環境の日当たりがよい場所に自生します。海外では朝鮮・中国・台湾に分布します。生息個体数が激減し、県によっては絶滅危惧Ⅱ類(VU)となっています。名の由来は、花色の青紫色と中央の白い星形をホタルの光と見立てたものと言われています。カズラ(葛)は蔓性植物の総称です。

 ムラサキ科(Boraginaceae Juss. (1789))は、世界に約154属2500種類があり、地中海沿岸などの温帯に分布します。日本には14属28種、11種の草本が自生します。ムラサキ属(Lithospermum L. (1753))は、北半球に約45種類が分布します。

 茎は細く、地を這います。茎と葉は有毛です。花の時期は茎を立ち上げ15cm程になります。花後に匍匐枝(ほふくし|stolon)を出し、発根して新しい株を作り増殖します。葉は互生し、2~6cm程の長さの倒被針形です。花期は4月から5月頃。葉腋に鮮やかな青紫色の花を咲かせます。漏斗状の合弁花で5裂し、中央から5本の白い隆起線を伸ばします。花径は、実測値で18~20mmでした。雄しべは5本。小堅果の白い種子を付けます。染色体数は、2n=16。

 品種に、シロバナホタルカズラ(白花蛍葛)Lithospermum zollingeri A.DC. f. albidum (Honda) H.Hara があります。似た名前のミヤマホタルカズラ(深山蛍葛)Glandora diffusa (Lag.) D.C.Thomas は、ヨーロッパ原産でミヤマホタルカズラ属の常緑小低木であり、園芸用途で扱われます。

Japanese common name : Hotaru-kazura
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Lithospermum zollingeri A.DC.


ホタルカズラ(蛍葛)
ムラサキ科ムラサキ属
学名:Lithospermum zollingeri A.DC.
花期:4月~5月 多年草 草丈:10~15cm 花径:15~20mm

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【学名解説】
Lithospermum : lithos(石)+sperma(種子)/ムラサキ属
zollingeri : Heinrich Zollinger (1818-1859) オランダの植物学者ツォーリンゲルの
A.DC. : Alphonse Louis Pierre Pyramus de Candolle (1806-1893)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸土手 2006.04.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

8 April 2006
Last modified: 3 April 2015
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by pianix | 2006-04-08 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ムラサキケマン(紫華鬘)
 ムラサキケマン(紫華鬘)は、ケシ科(ケマンソウ科1))キケマン属の2年草です。中国、朝鮮半島、日本に分布し、国内では全国に分布する在来種です。名の由来は、花色が黄色のキケマン(黄華鬘)に対して、本種は紫色である事から。華鬘とは、寺院の堂内を飾る花の輪を形取った透かし彫り仏具の事です。しかし似ている訳ではありません。別名のヤブケマン(藪華鬘)は、藪に生える事から。まとめてケマンソウ(華鬘草)と言いたいところですが、ケマンソウはコマクサ属の別種です。

 APG体系、新エングラー体系ではケシ科(Papaveraceae Juss. (1789))に分類されます。北半球に43種820種が分布します。日本には7種20種、日本固有種は1属4種3変種があるとされています。キケマン属(Corydalis A.P. de Candolle, in Lamarck et A.P. de Candolle, 1805)は、世界に約200種、日本には約20種が分布します。

 茎の断面は5角形。草丈は20~50cm程になります。葉は互生し、葉柄があります。羽状に細かく裂ける2回3出複葉です。茎や葉を傷つけると嫌な臭いがします。花期は4月から6月。茎の上部に紅紫色の筒状唇形花を総状に付けます。花冠長は約2cm。萼片は2個で小型で糸状。雄しべは2個。虫媒花です。

 果実は蒴果です。マメ科の鞘のような形をしていて、長さ約1.5cm。熟すと二つに裂開し、径1.5~2mm程の黒い種子を散らす自動散布をします。種子は痩果で、仮種皮が付いています。種沈(エライオソーム(Elaiosome))があり、蟻などに運んでもらう動物散布で分布を広げます。

 全草にプロトピン(Protopine)等の毒があり、誤って食べた場合は嘔吐・呼吸困難・心臓麻痺等の中毒症状が出ます。

 稀に白色品種の、シロヤブケマン(白藪華鬘)Corydalis incisa (Thunb.) Pers. f. pallescens Makino があります。

1)クロンキスト(Arthur John Cronquist, 1919-1992)体系では、ケマンソウ科(Fumariaceae Marquis (1820))です。モクレン綱(Magnoliopsida)、モクレン亜綱(Magnoliidae)、ケシ目(Papaverales)です。ケマンソウ科は、北半球に16属450種程が分布します。

Japanese common name : Murasaki-keman
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Corydalis incisa (Thunb.) Pers.

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果実は狭長楕円形の蒴果で下垂させる

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果実は、熟すとパチンと激しく爆ぜて2つに裂開して丸まり、種子を飛ばす
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シロヤブケマン(白藪華鬘))
Corydalis incisa (Thunb.) Pers. f. pallescens Makino


ムラサキケマン(紫華鬘)
別名:ヤブケマン(藪華鬘)
ケシ科キケマン属
学名:Corydalis incisa (Thunb.) Pers.
花期:4月~6月 2年草 草丈:20~50cm 花径:5mm 花冠長:約2cm

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【学名解説】
Corydalis : Korydallis(雲雀)/キケマン属
incisa : incisus(鋭く裂けた)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)
---
f. : forma(品種)
pallescens : 淡白色の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
A.P. de Candolle = DC. : Augustin Pyramus de Candolle (1778-1841)
Lamarck : Jean Baptiste Antoine Pierre de Monnet de Lamarck (1744-1829)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.03.23
千代山(Sensdai-yama Alt.226m) 2007.04.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First draft: 1 April 2006, 5 July 2015, 16 November 2016
Last modified: 1 April 2017
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by pianix | 2006-04-01 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キランソウ(紫藍草/金瘡小草)
 キランソウ(紫藍草/金瘡小草/金襴草)は、シソ科キランソウ属の多年草です。普通に見られる野草ですが、個体数が多いわけではありません。キランソウの名の由来は定かではありません。「紫藍草」の「キ」は紫の古語、「ラン」は藍色で、花色に由来したものとする説、また「金襴草」は、織物の切れ端に例えたものとの説があります。「金蒼小草」は中国名です。

 別名のジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)はインパクトがあります。春の彼岸の頃に花が咲くので、先祖の霊を閉じこめるものとの説は違和感を覚えます。そうではなく、薬効がある為に瀕死の重病人が地獄へ落ちる事を妨げる蓋に例えたものとの説が有力です。単に、茎葉が覆うように生えるから地面の蓋に例えたとする説もあります。要するに蓋は出さないか入れないかに注目している訳で、入れない説に道理があります。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。キランソウ属は、世界の温帯から熱帯にかけて約50種が分布し、日本には12種1変種1品種が自生します。キランソウは、中国、朝鮮半島、また日本では本州から九州に分布します。

 シソ科の植物は茎が四角形である事が特徴ですが、本種は珍しく丸い茎を持っています。地を放射状に這う匍匐茎で、立ち上がりません。長さは15cm程になりますが、高さは3~5cm程です。綿毛を密生し、茎色は紫色を帯びます。根生葉は広倒披針形で先端は鈍頭、4~6cmの長さがあります。茎上の葉は対生し、葉柄があります。葉の縁は波打っていて、裏側は紫色です。花は濃紫色の唇形で、下唇は3裂、上唇は2裂します。雄しべは4本で、内2本が長く突き出ます。果実は卵球状で2mm以下の大きさです。

 生薬として乾燥葉が「キランソウ」として販売されていて、鎮咳、去淡、解熱、健胃、下痢止めに使われます。

 類似種として、関東地方から東海地方に分布し準絶滅危惧種(NT)の、タチキランソウ(立金蒼小草)Ajuga makinoi Nakai、沖縄から台湾北部に分布する、ヒメキランソウ(姫金蒼小草)Ajuga pygmaea A. Gray、キランソウとジュウニヒトエの自然雑種で関東から四国までに分布する、ジュウニキランソウ(十二金蒼小草) Ajuga x mixta Makino、等があります。ジュウニヒトエ(十二単)やセイヨウジュウニヒトエ(西洋十二単)も、この仲間です。

Japanese common name : Kiransou
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Ajuga decumbens Thunb.


キランソウ(紫藍草/金瘡小草)
別名:ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)
シソ科キランソウ属
学名:Ajuga decumbens Thunb.
花期:3月~5月 多年草 草丈:3~5cm(地を這う) 花冠:1cm

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【学名解説】
Ajuga : a(無)+jugos(軛くびき・束縛)|abiga(畸形・奇形)/キランソウ属
decumbens : 横臥した
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷 2006.03.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 30 March 2006
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by pianix | 2006-03-30 00:00 | | Trackback | Comments(0)