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ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)
 ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)は、ケシ科キケマン属の多年草です。日本、中国、台湾に分布います。日本では、関東以西から四国、九州に分布する、在来種です。何とも変わった名前です。スミレを伊勢地方の方言で太郎坊と呼ぶのに対し、本種を二郎坊と呼んだのが由来とされています。延胡索は漢名で、玄胡索が元になっています。玄が尊称である為に延に置き換えられたと言われています。「玄」は黒、「胡」は国名、「索」は縄の意味。根茎が黒く、胡の国に咲く苗に紐状のものがあるとの意味になります。

 新エングラー体系、APG体系ではケシ科(Papaveraceae Juss. (1789))に分類されます。北半球に43種820種が分布します。日本には7種20種、日本固有種は1属4種3変種があるとされています。クロンキスト体系では、ケマンソウ科(Fumariaceae Marquis (1820))に分類され、世界に約16属450種が分布します。キケマン属(Corydalis DC. (1805))は、世界に約200種、日本では約20種が分布します。

 平地や山地に自生します。根茎は約1cmの偏球形。茎は弱く、地面を這い、途中で立ち上がります。草丈は10~20cm。葉は互生します。2回3出複葉。花期は、4月から5月。茎の先端に総状に花をつけます。長さ12~15mmの筒状で先端は唇形。距があります。咲き始めは紅紫色や青紫色で、徐々に色素が抜けて白っぽくなります。花柄基部の苞葉は、全縁の卵形で先端がとがります。果実は蒴果です。線形の鞘状で長さ15~20mm。種子は種沈があり、経約1.5mm。

 根茎を生薬「延胡索」として胃腸薬に用いますが、日本薬局方では中国種の延胡索(Corydalis turtschaninovil Bess. forma yanhusuo Y.H.Chou et C.C.Hsu)を用います。アルカロイド(有毒)成分を含みます。

 品種として、花冠が白色のシロバナジロボウエンゴサク(白花次郎坊延胡索)Corydalis decumbens (Thunb.) Pers. f. albescens (Takeda) Ohwi ex S.Akiyama があります。類似種に、山野に分布するヤマエンゴサク(山延胡索)Corydalis lineariloba Siebold et Zucc. 、北陸から東北地方に分布するミチノクエンゴサク(陸奥延胡索) Corydalis capillipes Franch. 、北海道から東北地方に分布するエゾエンゴサク(蝦夷延胡索)Corydalis fumariifolia Maxim. subsp. azurea Liden et Zetterlund 、その品種であるシロバナエゾエンゴサク(白花蝦夷延胡索) Corydalis fumariifolia Maxim. subsp. azurea Liden et Zetterl. f. candida Yonek. 等があります。

Japanese common name : Jirobou-engosaku
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Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.

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山地や山に近い草地に多く自生する
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距がある
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先端部


ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)
ケシ科キケマン属
学名:Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.
花期:4月~5月 多年草(宿根草) 草丈:10~20cm 花冠長:12~15mm

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【学名解説】
Corydalis : Korydallis(雲雀)|花の形に由来/キケマン属
decumbens : 横臥した
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷 2006.03.20
千代みどりの森 2007.03.02
安倍城跡 2017.03.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

21 March 2006
Last modified: 23 June 2017
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by pianix | 2006-03-21 00:00 | | Trackback | Comments(4)
クロッカス(Crocus)
 ロシア国民楽派の作曲家である、ムソルグスキー1)様。あなたが1867年に作った「禿山の一夜」等は、私の好きな曲です。しかし奇才のあなたは窮乏し、友人関係から孤独感を強め、酒におぼれ、絶望の内に42歳で亡くなりました。もし私が同時代に生まれていたのなら、このような結果にはさせなかったと目頭が熱くなります。

 『なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。』マタイによる福音書6章28~30節(新共同訳聖書)

 私の野草観察テーマは、「なぜ野草は生き続けるのか」です。絶滅しそうな野草であっても、健気に咲きます。相手がいないのに、なおかつ花粉を作ります。植物は幾多の地球上の危機を乗り越えて繁栄してきました。生存の戦略は巧みです。ですから馬鹿だから絶滅していく種があるとは考えにくい事です。人間は悩みから自分を窮地へ追いやる事があるのに、野草は実に従順に生きているように思うのです。そして、誰も立ち入らないような河川敷の荒れた一角に、今年もクロッカスが花を咲かせていました。たった二株しか野生していないので淋しそうです。しかし、そこには人間ではなく、花粉を運んでくれる昆虫がいました。

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 クロッカス(Crocus)は、アアヤメ科クロッカス属の多年草です。アアヤメ科(Iridaceae Juss. 1789)は、全世界に分布し、約92属1800種があります。クロッカス属(Crocus L. 1753)は、地中海沿岸から小アジアにかけて分布し、約80種があります。

 日本には、観賞用として明治の初めに渡来しています。クロッカスは属名で、crokeは糸を意味します。雌しべの先が糸状になる事に由来しています。一般的に、春咲き種をクロッカス、紫色で秋咲きの種をサフラン(Saffron) Crocus sativus L.と呼び区別します。クロッカスは園芸用、サフランは薬用・香料・染料として利用されてきました。

 サフランの花色が紫色の一色に対し、クロッカスは園芸用として改良され、白色・黄色・紫色・藍色があります。白や紫の絞り品種もあります。12月に開花するレウィガーツス・フォンティネィーは、淡い菫色で外側に紫色の線が入ります。寒咲きクロッカスの別名を持つシーベリは多花性、澄んだ藤青色のトマシニアヌス。濃黄色のアンキイレンシス、多花性で多くの品種があるクリサントス、黄金色のアウレウス、一般的に一番よく知られているヴェルヌスなどがあります。クロッカスには、サフランのような赤く長い雌しべはありません。

 球茎は25mm程の扁平球形です。葉は細い線形で、中央に白色の筋がある根出葉です。花に先立ち伸び、花後も20cm程に成長して黄変します。地上に伸びる茎はなく、短縮肥大した球茎があります。花茎は薄い筒状のさやになります。筒状の花冠となり、6つに深く切れ込みます。花は早朝に開き夜閉じます。これは温度変化の刺激によって起こる温度傾性によるもので、陽が当たって温度が上がると花弁の内側が伸びて開く事になります。光の刺激を受けて平開するものを光傾性、陽の当たる側の茎が縮み傾斜するようなものを光屈性と言います。他に、重力屈性、接触屈性、水分屈性があります。

1) Modest Petrovich Mussorgsky (1839-1881)

Japanese common name : Hana-safuran
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Crocus vernus (L.) J. Hill
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クロッカス(Crocus)
和名:ハナサフラン(花泊夫蘭)/別名:ハルサフラン(春泊夫蘭)
アヤメ科クロッカス属
学名:Crocus vernus (L.) J.Hill
花期:3月~4月 多年草 草丈:5~10cm 花径:4~5cm

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【学名解説】
Crocus : crokos(サフラン)| croke(糸)/クロッカス属
vernus : 春咲きの
L. : Carl von Linne (1707-1778)
J.Hill : John Hill (1716-1775)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.03.03
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 6 March 2006
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by pianix | 2006-03-06 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キュウリグサ(胡瓜草)
 キュウリグサ(胡瓜草)は、ムラサキ科キュウリグサ属の越年草です。東アジアの各地に分布し、国内では全国に分布する在来種です。麦類と共に入ってきた史前帰化植物1)と考えられています。キュウリグサの名の由来は、葉を揉むとキュウリのような臭いがする事から。

 ムラサキ科(Boraginaceae Juss. 1789)は、地中海沿岸などの温帯地域を中心に約154属2500種類が分布し、日本には14属28種が分布します。キュウリグサ属(Trigonotis Steven (1851))は、世界に50種程が知られています。

 秋に発芽し、ロゼットを形成して越冬します。茎には白色の細毛があります。根元で3~5本に枝分かれします。葉は互生し、単葉の長楕円形で柄があり、全縁です。根生葉は花期に枯れます。花期は3月から5月で、茎の先に渦巻き状の蠍形花序(さそりがたかじょ)を付けます。渦巻きの捩れを解きながら下から順に花を付けながら花序を伸ばします。これはムラサキ科の特徴です。

 萼は5枚。花の径は2mm程で極小さく、5裂しています。5枚の花びらに見えますが、合弁花です。淡青紫色で、花筒に淡黄色で5つの副鱗片があります。その内側に雄しべが5本あります。ワスレナグサ(勿忘草)の超小型版のようです。類似種にハナイバナ属のハナイバナ(葉内花)Bothriospermum zeylanicum (J.Jacq.) Druce.があります。

★  ★  ★

 マクロ撮影をしていると人が寄ってくる事が良くあります。息を殺して伏せていたら、誰だって怪しいと思うのは無理からぬ事です。先日は、2名のご婦人に花の説明をしたら、「あんたは、天皇の家来だ」と言われてしまいました。『雑草という名の植物は無い』と言われた昭和天皇を持ち出して頂き光栄の至りでしたが、残念ながら師弟関係にはありませんでした。少々ひねくれ者の私は、もし新種を発見したら、Zasso japonicaという学名を付けるぞと冗談を飛ばしています。そうなれば、雑草という名の植物はある事になってしまいます。学名の正式記載はまだですが(2005年現在)、ハテナ(Hatena arenicola Okamoto & Inouye, 2005)と言う原生生物は、面白いネーミングだと感心しています。

 1)帰化植物は大別すると次のように分けられます。自然帰化植物、逸出帰化植物、仮住帰化植物、予備帰化植物、史前帰化植物です。自然帰化植物は、気が付かない内に侵入してきて帰化したもの。逸出帰化植物は、人為的帰化植物とも言われ、有用植物が栽培状態から脱して野生化したもの。仮住帰化植物は、侵入後発芽に成功するものの、気候風土になじまず短期間の内に消滅するもの。予備帰化植物は、準帰化植物とも言われ、一部地域に帰化したものの広域には拡大していないもの。史前帰化植物は、有史以前に稲作技術に伴って伝播してきたもので、文献などの記録が無い植物群の事です。

Japanese common name : Kyuuri-gusa
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Trigonotis peduncularis (Trevir.) F.B.Forbes et Hemsl.


キュウリグサ(胡瓜草)
ムラサキ科キュウリグサ属
学名:Trigonotis peduncularis (Trevir.) F.B.Forbes et Hemsl.
花期:3月~5月 越年草 草丈:10~30cm 花径:2mm 果期:5~6月

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【学名解説】
Trigonotis : trigonos(三角)+ous(耳)|種子の形による/キュウリグサ属
peduncularis : 花柄のある
Trevir. : Ludolf Christian Treviranus (1779-1864)
F.B.Forbes : Francis Blackwell Forbes (1839–1908)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Hemsl. : William Botting Hemsley (1843-1924)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12km 左岸河川敷 2006.02.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

28 February 2006
Last modified: 31 May 2014
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by pianix | 2006-02-28 00:00 | | Trackback | Comments(3)
オオアラセイトウ(大紫羅欄花)
 オオアラセイトウ(大紫羅欄花)は、アブラナ科ショカツサイ属の1年草です。中国が原産の帰化植物です。日本全国に分布し、野生化しています。我が国では江戸時代に栽培された記録(1894年)があります。1939年(昭和14)に中国の紫金山から持ち帰った種子によって繁殖されたことから、その地名に因み、紫金草と名付けられ一般に広まりました。「諸葛采」は中国名で、諸葛亮(孔明)に因んだ名前です。兵の食料として栽培させた事によります。標準和名として採用されています。現在は、ムラサキハナナ(紫花菜)の通称で一般的に知られています。

 「紫花菜」とは紫色の菜の花(花菜)を表しています。ただし、別名として使われる事があるハナダイコン(花大根)は、アブラナ科ハナダイコン属に別種がありますから、和名の異物同名(homonym)として混乱を与える為に使用しません。オオアラセイトウは牧野富太郎博士の命名によります。アラセイトウ(紫羅欄花)はストック(Mathiola incana R.Br)の事で、それに「大」を冠して名付けられました。

  アブラナ科(Cruciferae Juss. (1789))は、西アジアから地中海沿岸地方に多く、約390属3200種が知られています。日本には100種以上があります。科名は十字架を意味し、4弁の十字状の花を付ける事に由来します。以前は十字花科とされていました。ショカツサイ属(Orychophragmus Bunge, 1835)は、1属1種のみです。

 根生葉は深い切れ込みがあります。上部の葉は長楕円形で茎を抱きます。花色は紫色で4弁花です。4弁花の十字形はアブラナ科の特徴です。雄しべ6本と雌しべ1本があります。雄しべの葯と雌しべの柱頭は黄色です。両性花であり、虫媒により長角果を付けます。染色体数は、2n=24。性質は強く、こぼれ種で繁殖します。

Japanese common name : Syokassai (Oo-araseitou)
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Orychophragmus violaceus (L.) O.E.Schulz


オオアラセイトウ(大紫羅欄花)
和名:ショカツサイ(諸葛采)/別名:ムラサキハナナ(紫花菜)/シキンソウ(紫金草))
アブラナ科ショカツサイ属
学名:Orychophragmus violaceus (L.) O.E.Schulz
花期:3月~5月 1年草 草丈:20~50cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Orychophragmus : Orycho(掘り出す)+phragma(隔壁・垣根)/ショカツサイ属
violaceus : 紫紅色の・菫色の
L. : Carl von Linne (1707-1778)
O.E.Schulz : Otto Eugen Schulz (1874-1936)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.00km 左岸土手 2006.02.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 27 February 2006
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by pianix | 2006-02-27 00:00 | | Trackback(1) | Comments(2)
ヤブラン(薮蘭)/実
 ヤブラン(薮蘭)は、キジカクシ科ヤブラン属の多年草です。日本および東アジア原産で、本州以西の温暖な地域に分布します。蘭という名前が付いていますが、ラン科ではなくキジカクシ科に属します。藪に生え、シュンラン(春蘭)に似た葉を持つとの意味です。

  キジカクシ科(Asparagaceae Juss. (1789))は、約150属2500種が分布します。旧分類ユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ヤブラン属(Liriope Loureiro (1790))は、東アジアに6種、日本に3種が分布します。

 日本の3種類は、葉幅が10mm程のヤブラン(薮蘭)、葉幅が4~7mmで小型版と言えるコヤブラン(小藪蘭)Liriope spicata Lour.、より小型で葉幅が2~3mmのヒメヤブラン(姫藪蘭)Liriope minor (Maxim.) Makinoです。園芸品種に、葉に斑が入ったフイリヤブラン(斑入り藪蘭)Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey f. variegata (L.H.Bailey) H.Haraもあります。

 葉は根生し、長さ30~50cm、濃緑色で光沢があります。葉の幅は約10mmで、先端は鈍頭です。伸ばした花茎に穂状花序を付けます。花は径6~7mm程で、淡紫色をした花被片が6枚あります。果実は6~7mmの球形をしている蒴果で、薄い果皮に覆われていて、初めは緑色で熟すと黒紫色になり、果皮が脱落して種子がむき出しの状態になります。

 ジャノヒゲ属のジャノヒゲ(蛇の髭)や園芸品種のタマリュウ(玉竜)等は、花は下向き、種子は濃青色ですが、ヤブラン属では、花は上向き、種子は黒色系となる事で判別できます。性質は耐寒性、耐暑性、耐陰性が強く繁殖力もあります。グランドカバーとしての用途に適しています。増殖は株分けや実生で行う事ができます。

参考:ヤブラン(薮蘭)の花

Japanese common name : Yabu-ran
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Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey


ヤブラン(薮蘭)
別名:ヤマスゲ(山菅)
キジカクシ科ヤブラン属
学名:Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey
synonym : Liriope platyphylla F.T.Wang et T.Tang
花期:8~10月 多年草 草丈:30~50cm 花径:4mm 果期:11月~1月

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【学名解説】
Liriope : ギリシャ神話の女神の名Leiriopeに因む/ヤブラン属
muscari : muscarius(蝿のような)
Decne. : Joseph Decaisne (1807-1882)
L.H.Bailey : Liberty Hyde Bailey (1858-1954)
---
platyphylla : platyphyllus(広い葉の)
F.T.Wang : Fa Tsuan Wang (1899-1985)
et : 及び(命名者が2名の時など・&に同じ)
T.Tan : Tsin Tang (1897-1984)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川源流 2006.02.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 February 2006, 5 June 2015
Last modified: 6 September 2016
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by pianix | 2006-02-20 00:00 | | Trackback | Comments(0)
フラサバソウ(フラサバ草)
 趣味の時間を確保するのは大変です。幾つかの趣味を持っていますが、現在は野草観察に時間を費やしています。やらなければならない事が幾つもあるのに、天候が良いと出かけてしまいます。最近、卒園式の編曲を頼まれていたので外出を控えました。野草観察の時間を使わざるを得なかったからです。できあがって気持ちが軽くなったところで出かけました。そこで見つけたフラサバソウ。安倍川河川敷では見た事がなかったし、咲いていないと思いこんでいました。今日は、その群生に出会って驚きました。

 フラサバソウ(フラサバ草)は、ヨーロッパ及びアフリカを原産とするオオバコ科の越年草です。越年草とは、発芽後に年を越してから開花するものです。フラサバソウは11月頃に芽生えます。本州から九州にかけて分布しています。日本では明治初年に長崎で確認されました。実際は、それ以前から存在していた帰化植物です。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. (1753))は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 一風変わった和名は、フランスの植物学者である、フランシエ氏(Adrien Rene Franchet, 1834-1900)と、サバチエ氏(Paul Amedee Ludovic Savatier, 1830-1891)の名前を組み合わせたものです。だから、Fra-Sava草との意味になります。学名の命名者にFranch. et Sav.と記載されている植物が多くありますが、このお馴染みのお二人の事です。それにしても、カスマグサ(カス間草)と良い勝負の変な名前です。

 フラサバソウは、オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)と同じクワガタソウ属で、大変よく似ています。クガイソウ属(Veronicastrum Heister ex Fabricius, 1759)という似た属名がありますが、果実が扁平形であるのがクワガタソウ属です。多くは群生します。茎は基部で枝分かれし、地を這い、立ち上がって高さ10~20cmとなります。葉は互生し、3~5の切れ込みがある広楕円形をしています。全体的に軟毛が多く、特に萼片に顕著です。この毛深さが特徴です。花色は薄青色で、4~5mmの小さな合弁花を葉腋に咲かせます。繁殖は種子によります。染色体数は、2n=54。

参考:オオカワヂシャ(大川萵苣) カワヂシャ(川萵苣)

Japanese common name : Furasaba-sou
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Veronica hederaefolia L.
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軟毛が多い


フラサバソウ(フラサバ草)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica hederaefolia L.
花期:4月~5月 越年草 草丈:10~20cm 花径:4~5mm

【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
hederaefolia : hedera(キヅタ属)+efolia(のような葉の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.75km 右岸河川敷 2006.02.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

17 February 2006, 02 April 2012, 24 September 2015
Last modified: 8 July 2016
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by pianix | 2006-02-17 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ツルニチニチソウ(蔓日々草)
 ツルニチニチソウ(蔓日々草)は、キョウチクトウ科ツルニチニチソウ属の多年草です。南ヨーロッパから北アフリカにかけての地中海沿岸地方を原産とします。日本には、明治初期に園芸用として導入されました。名の由来は、蔓状のニチニチソウ(日々草)である事から。ニチニチソウは、日々新しい花をつける事から。英名は、large periwinkle。

 キョウチクトウ科(Apocynaceae Juss. (1789))は、熱帯・温帯に分布し、215属2100種に及ぶ大きな植物群です。ツルニチニチソウ属(Vinca L. (1753))は温帯性の植物で、日本では2種が知られています。

 耐寒性と耐陰性があり、繁殖力もあることから、温暖な地方では野生化しています。初めは直立し、やがて匍匐するようになります。葉は対生で、光沢があります。3~4cmの長楕円形で、鋸歯は無く、先端は尖ります。斑入り品種もあります。花はプロペラ状をしていて、キョウチクトウ科の特徴が出ています。筒状で5裂します。花色は淡青色です。

 近似種にヒメツルニチニチソウ(姫蔓日々草)Vinca minor Linn.があります。種小名のmajorは大きい、minorは小さいの意味で、ヒメツルニチニチソウはツルニチニチソウより小型である事を表しています。ラテン語なので、majorはマヨール、minorはミノールと読みます。ツルニチニチソウの花色は淡青色ですが、ヒメツルニチニチソウには、紫色・青色・白色があります。また、ツルニチニチソウは萼片に毛がありますが、ヒメツルニチニチソウにはありません。

★  ★  ★

 温暖な静岡と言えども、例年になく寒い日が続きました。突如としての四月の陽気に、今日は暑さを感じました。野草観察の出先で黒の蝶を見て驚きました。そのすぐ後でバッタも見ました。どちらも確認できずに終わりましたが、荒涼とした枯れ草ばかりの場所で生き物に会うのは久しぶりでした。この陽気に誘われたのでしょうか。また、ツルニチニチソウを一花だけ見つけました。そこはツルニチニチソウが野生の群落を作る場所であるのですが、見た瞬間は驚きました。奥まった所にありましたから手前の草を除いていると、ノイバラの棘で手の平を鋭く引っ掻いてしまいました。痛いのを忘れてツルニチニチソウと対面し、今年も逢えたなと声をかけました。

Japanese common name : Turu-nitiniti-sou
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Vinca major L.


ツルニチニチソウ(蔓日々草)
別名:ビンカ
キョウチクトウ科ツルニチニチソウ属
学名:Vinca major L.
花期:3月~5月 多年草 草丈:10~60cm(常緑蔓性) 花径:4~5cm

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【学名解説】
Vinca : vincire(結ぶ・縛る)/ツルニチニチソウ属
major : majus(巨大な・より大きい)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2006.02.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 44 February 2006
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by pianix | 2006-02-14 00:00 | | Trackback | Comments(5)
ヒメオドリコソウ(姫踊子草)
 ヒメオドリコソウ(姫踊子草)は、シソ科オドリコソウ属の越年草です。ヨーロッパの原産で、アジアや北アメリカに分布します。国内では全国に分布し、1893年(明治26年)に東京都の駒場で確認された、非意図的移入とされる自然帰化植物です。名の由来は、花が笠を被った踊子に見立てた在来種のオドリコソウ(踊子草)があり、それより小型であるので、姫を冠した名が付いています。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。オドリコソウ属(Lamium L. (1753))は世界に約40種が存在します。

 茎はシソ科に共通する四角形をしています。地を這い、途中から立ち上がります。赤紫色をしています。葉は対生し、長い柄を持ち、卵形で鋸歯があります。両面に軟毛が多くあります。網目状の葉脈がはっきりとしていて、上部の苞葉は三角状の卵形になります。葉色は緑色ですが、陽が当たる所に咲くものは赤紫を帯びます。大きさは15~30mm程度です。花期は4月から6月頃。花は両性花で、唇形の合弁花です。唇形花(シンケイカ)と言います。上部の葉腋から1cm程の花を数個出します。繁殖力は強く、群生します。染色体数は、2n=18。

 類似種に、ヒメオドリコソウの変種で葉の切れ込みが大きい、モミジバヒメオドリコソウ(紅葉葉姫踊子草)があります。別名はキレハヒメオドリコソウ(切葉姫踊子草)。ヒメオドリコソウとは明らかに形が異なるのですが、たまにホトケノザ(仏の座)と混同しているかたもいるようです。今の時期は、まだ花をつけるものが少なく、葉だけで判別するのが難しいようです。

【類似種】
オドリコソウ(踊子草)
Lamium album L. var. barbatum (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav.
モミジバヒメオドリコソウ(紅葉葉姫踊子草)
Lamium dissectum With.
シロバナヒメオドリコソウ(白花姫踊子草)
Lamium purpureum L. f. albiflorum Goiran
ホトケノザ(仏の座)
Lamium amplexicaule L.

Japanese common name : Hime-odoriko-sou
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Lamium purpureum L.

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右:2006.02.23 左:2007.03.06


ヒメオドリコソウ(姫踊子草)
シソ科オドリコソウ属
学名:Lamium purpureum L.
花期:4月~6月 越年草 草丈:15~25cm 花冠長:1cm

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【学名解説】
Lamium : イラクサ様植物の古代ラテン名|laipos(喉)/オドリコソウ属
purpureum : purpureus(紫色の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.02.23
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2007.03.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

5 February 2006
Last modified: 01 April 2014
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by pianix | 2006-02-05 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ムラサキカタバミ(紫傍喰)
 ムラサキカタバミ(紫傍喰)は、カタバミ科カタバミ属の多年草です。南アメリカ原産の帰化植物で、文久年間(1861-1863)に観賞用として持ち込まれたようです。関東以西で野生化しています。花色は淡い紅紫色。花弁は5枚あり、濃紅紫色の筋が入ります。中心部の色は淡黄緑色で、雄しべの葯は白色です。似ている花のイモカタバミの場合は黄色で、中心部が濃い紅紫色である事から区別できます。葉は、3枚のハート形(倒心形)で、10~20cm程の柄があります。種子はできず、鱗茎を増やして繁殖します。染色体数は、2n=14,28。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。

☆  ☆  ☆

 ムラサキカタバミは、私の好きな花の一つですが、昨年よりも見る機会が減りました。礼節を持った気品のある若いお姫様と見えます。寒さの中でも凛としている姿が印象的です。私の場合、花屋で美しい花を見たとしても、あまり心を動かされません。花には興味が薄く、花をプレゼントされて喜ぶ女性のような感覚はありません。ところが、野の花になると話は変わります。誰の手も借りずに花を咲かせ、次の世代に引き継ごうとする生命力を感じます。その姿を美しいと思い、いとおしく感じます。しかし、見方を変えれば、勝手に生えて太々しいまでの強さであり、ゆえに、これらの野の花は嫌われ者であるようです。

参考:カタバミ(傍食) ハナカタバミ(花片喰)

Japanese common name : Murasaki-katabami
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Oxalis debilis Kunth subsp. corymbosa (DC.) Lourteig


ムラサキカタバミ(紫傍喰)
別名:キキョウカタバミ(桔梗片喰)
カタバミ科カタバミ属
学名:Oxalis debilis Kunth subsp. corymbosa (DC.) Lourteig
synonym : Oxalis corymbosa DC.
花期:5~7月 多年草 草丈:5~15cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Oxalis : oxys(酸っぱい)/カタバミ属
debilis : 弱小な
Kunth : Carl Sigismund Kunth (1788-1850)
subsp. : subspecies(亜種)
corymbosa : corymbosus(散房花のある)
DC. : Augustin Pyramus de Candolle (1778-1841)
Lourteig : Alicia Lourteig (1913-2003)
---
corymbosa : corymbosus(散房花序のある)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 左岸河川敷 2004.12.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

18 December 2005, 14 June 2008
Last modified: 18 August 2015
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by pianix | 2005-12-18 00:00 | | Trackback(1) | Comments(5)
コセンダングサ(小栴檀草)
 コセンダングサ(小栴檀草)は、キク科センダングサ属の1年草です。世界の暖帯から熱帯に広く分布します。日本では、江戸時代に経路不明で移入されたと考えられている帰化植物です。本州中部以西に分布し、生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。センダングサ(栴檀草)は、センダン(栴檀)に葉が似ている事に由来し、そのセンダングサより果実が小型であることから。変種が多くあり、和名の混乱があります。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。センダングサ属(Bidens L. (1753))は、暖帯から熱帯に約200種が分布します。

 茎は多数に分岐します。草丈は、50~100cm。葉は鋸歯があり、下部で対生、上部で互生し、羽状に分裂します。卵形~長楕円形で鋭頭、鋸歯があります。花期は7月から11月頃。花は、径約10mm。黄色の筒状花だけで、稀に小さな舌状花が付いている事があります。全ての花に白い舌状花があるものは、変種のコシロノセンダングサ(小白の栴檀草)で、黄色の舌状花の場合は、センダングサです。

 果実は痩果です。長さ約15mmの線形で放射状に広がってつきます。アメリカセンダングサ(亜米利加栴檀草)より細長く、先端には2~4本の棘状の物があり、これで動物などに付着します。ひっつき虫。染色体数は、2n=36,48,72。

☆  ☆  ☆

 寒気が入り込み、寒さが身に凍みるこの頃、河川敷は茶色に染まり、花の姿が見られません。それでも、時間さえあれば野草観察に出かけます。花がないのに観察とはどういう事なのかと問われそうです。それは、「花がない事を確認するため」です。ところが、例外はどの世界にもあるようで、季節外れの花を見かける事も多くあります。また、種子の採取も目的とします。

 コセンダングサは、あまり付き合いたくない花の一つです。しかし、毎年の如く、一番多く付き合ってしまう花になってしまいます。原因は、その種子にあります。衣服や靴紐に取り付くので、その場で払うようにしています。拡散させないためです。そのような事をやっていると、次の観察ポイントまでの移動が遅れる事になります。冬は日が落ちる時間が早いので、観察する時間も短縮されます。それをコセンダングサが邪魔をしてくれるのです。

 「私たち、友達だよね」とコセンダングサが語りかけてくるようです。「そんな訳、無いだろうが」「そんな冷たい事を言わないで、今日もたくさん実をあげるから」。撮影したい花を見つけても、コセンダングサが道を阻んでいる場合が多くあります。何とか通れそうな、細い道にあるコセンダングサを切り落とそうとすると、その最中にも大量の種子が付着します。今日は被害に遭わなかったと喜んで帰宅した日も、見えなかった部分にたくさん付いていたりします。悩ましいコセンダングサです。

 しかしよく考えると、コセンダングサが歩き回り種子を散布する訳ではありません。とすると、動物自体がコセンダングサに近づき自ら散布している事になります。植物が、動き回る動物がいると知り得たのは何故なのでしょう。

Japanese common name : Ko-sendan-gusa
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Bidens pilosa L. var. pilosa

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頭花は筒状花のみで舌状花は無い
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コシロノセンダングサ(小白の栴檀草)
Bidens pilosa L. var. minor Sherff


コセンダングサ(小栴檀草)
キク科センダングサ属
学名:Bidens pilosa L. var. pilosa
花期:7月~11月 1年草 草丈:50~100cm 花径:約10mm

コシロノセンダングサ(小白の栴檀草)
別名:シロノセンダングサ(白の栴檀草)/シロバナセンダングサ(白花栴檀草)
キク科センダングサ属
学名:Bidens pilosa L. var. minor (Blume) Sherff
花期:7月~11月 1年草 草丈:50~100cm 花径:約20mm

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【学名解説】
Bidens : bi(二)+dens(歯)/センダングサ属
pilosa : pilosus(軟毛がある)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
var. : varietas(変種)
---
minor : minus(より小さい)
Blume : Carl Ludwig Blume (1789-1862)
Sherff : Earl Edward Sherff (1886-1966)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.75km 左岸河川敷 2005.12.06
ダイラボウ(Alt. 561.1m) 2008.11.25
帆掛山(Alt. 304m) 2015.10.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 December 2005
Last modified: 19 September 2017
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by pianix | 2005-12-15 00:00 | ひっつき虫 | Trackback | Comments(2)