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ミズバショウ(水芭蕉)
 ミズバショウ(水芭蕉)は、サトイモ科ミズバショウ属の多年草です。アジア北東(カムチャッカ半島、サハリン)や日本に分布します。日本では、本州(兵庫県、中部以北)から北海道に分布します。名の由来は、葉がバショウ(芭蕉)に似て、水辺や湿地に咲く事から。

 サトイモ科(Araceae Juss. (1789))は、115属2000種以上が熱帯を中心に分布します。ミズバショウ属(Lysichiton Schott, 1857)は、世界に2種あり、北米と東アジアに1種ずつ分布します。

 湿地や湿原に自生します。径4~5cmで1mを越す太く長い根茎があり、ひげ根が多数あります。不溶性蓚酸塩1)を含み、全草が有毒です。根生葉を輪生させ、草丈は60~80cmになります。葉は、長さ40~80cm、幅15~30cmの長楕円形で、全縁。花後にも成長します。葉腋から、長さ10~30cmの花茎を出します。

 花期は4月から5月頃で、産地によって異なります。多肉花軸の周囲に柄のない花を均等に密生させる肉穂花序 (spadix)を立ち上げます。穂状花序(spike)を特殊化した形態で、無限花序の一つです。肉穂花序は、円柱状で長さ12cmぐらい。まわりを囲む花弁状の仏炎苞2)があり、長さ10~15cmの白色の卵形で、基部は筒状、上部は舟形です。

 両性花で、雌雄異熟。柱頭が先に熟す、雌性先熟です。花は、径3~4mmの六角状で、4個の淡緑色をした花被片と4個の雄しべ、1個の雌しべがあります。花粉は黄色。果実は液果で、緑色に熟します。子房は2室で、各室に種子2個をつけます。種子は褐色で、水面に浮き、長さ約4mm。染色体数は、2n=28。

 本種の他に、北米に分布し仏炎苞が黄色の、アメリカミズバショウ(アメリカ水芭蕉)Lysichiton americanum Hulten et St.John があります。

1)蓚酸塩(しゅうさんえん・oxalate):接触により皮膚炎症、誤食により、口腔炎症、嘔吐、重度の下痢、強直性痙攣(低カルシウム症)等を起す。
2)仏炎苞(spathe):肉穂花序(花軸に密集してつく小花)を囲むように発達した苞葉。形状が仏像の光背の炎形に似るため。

 ※高山の池に咲く水芭蕉は、地元JA静岡市水見色女性部が移植したもので、自生ではありません。1995(平成7)年に群馬県片品村から24株を譲り受けたものです。高山や高山の池については、静岡市役所 経済局 農林水産部 中山間地振興課 〒421-1212 静岡市葵区千代538-11 静岡市林業センター 電話054-294-8807 Fax054-278-3908 へお問い合せ下さい。
 ※高山(牛ヶ峰)のハイキングコースについては、静岡市観光交流文化局 スポーツ振興課 電話:054-221-1038へお問い合せ下さい。

参考:オランダカイウ(阿蘭陀海芋)

Japanese common name : Mizu-basyou
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Lysichiton camtschatcense (L.) Schott

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両性花で、雌雄異熟。
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2015.04.17

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左:花期 2015.04.17 <花は、径3~4mmの六角状> 右:花後 2008.05.07
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花期のミズバショウ
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1月のミズバショウ 2015.01.20

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左:水面が凍っている2月 2008.02.22 右:水が緩んだ3月 2008.03.06
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高山の池 2008.03.06

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左:4月 2008.04.04 右:5月 2008.05.07
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4月の高山の池 (窪地にできた小さな池です)


ミズバショウ(水芭蕉)
サトイモ科ミズバショウ属
学名:Lysichiton camtschatcense (L.) Schott
花期:4月~5月(~7月) 多年草 草丈:60~80cm 花径:3~4mm

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【学名解説】
Lysichiton : lysis(分離)+chiton(衣服)/ミズバショウ属
camtschatcense : カムチャッカの(camtschatcensis, camtschaticus)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Schott : Heinrich Wilhelm Schott (1794-1865)
---
ca. : circa(約、およそ)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt. 716.7m)/高山の池(Alt. ca. 580m)/移植
2008.02.22, 2008.03.06, 2008.04.04, 2008.05.07
2015.01.20, 2015.04.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

29 April 2015
Last modified: 29 June 2015
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by pianix | 2015-06-29 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤマネコノメソウ(山猫の目草)
 ヤマネコノメソウ(山猫の目草)は、日本・朝鮮・中国にかけて分布する、ユキノシタ科ネコノメソウ属の多年草です。国内では、北海道から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、花後の裂開した果実が猫の瞳孔に似る事から。ヤマをつけてネコノメソウ(猫の目草)と区別します。

 ユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、温帯から寒帯にかけて約17属500種があります。以前は約80属1200種が属する大きな科でしたが、近年に幾つかの科が分離され減少しました。ネコノメソウ属(Chrysosplenium L. (1753))は、世界に約55種、日本に14種が分布します。

 山地の林下に群生します。ネコノメソウと異なり走出枝はありません。花茎と葉柄には軟毛が散生します。茎葉は互生します。ネコノメソウは対生します。腎円形で長さ1~3cm。丸みを帯びた浅い鋸歯があります。花茎の先に花を付けます。萼は平開し、裂片4枚は黄緑色で基部が黄色がかります。花の径は5mm内外で、花弁はありません。雄しべは8個、あるいは4個で、葯の色は黄色です。

 果実は蒴果です。縦に裂けて開き、褐色で楕円形の種子を多数つけます。ネコの目のような形の皿に褐色の多数のゴマが乗っているように見えます。この種子は雨滴散布されます。花の後、花茎の基部に珠芽をつけます。秋頃に芽生えて根出葉で越冬します。染色体数は、2n=24。

参考:ニッコウネコノメ(日光猫目) ハナネコノメ(花猫の目) キバナハナネコノメ(黄花花猫の目)

Japanese common name : Yama-nekonome-sou
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Chrysosplenium japonicum (Maxim.) Makino

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左:茎葉は腎円形で互生。全体的に軟質。 右:雄しべは8個か4個で、葯は黄色。 

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左:果実は蒴果。2007.03.13 右:褐色で楕円形の種子が多数つく。2007.04.06

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左:葉裏。茎には軟毛が散生する。 右:根

ヤマネコノメソウ(山猫の目草)
ユキノシタ科ネコノメソウ属
学名:Chrysosplenium japonicum (Maxim.) Makino
花期:3月~4月 多年草 草丈:10~20cm 花径:約5mm

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【学名解説】
Chrysosplenium : chrysos(金の)+spleen(脾臓)/ネコノメソウ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Maxim.: Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
千代山 2007.03.01~04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 3 May 2007
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by pianix | 2007-05-03 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ハナイカダ(花筏)
 ハナイカダ(花筏)は、ハナイカダ科ハナイカダ属の落葉低木です。中国、朝鮮半島と日本に分布します。国内では、北海道南部から本州・四国・九州に自生します。名の由来は、花や実を乗せた葉を筏に見立てたもの。中国名は、青莢葉(せいきょうよう・qīngjiáyè)。英名は、Japan helwingia。

 APG植物分類体系では、ハナイカダ科(Helwingiaceae Decaisne, 1836)として独立させています。ハナイカダ科はハナイカダ属(Helwingia Willdenow, 1806)のみがあり、世界に4種、日本には1種が分布します。クロンキスト及びエングラー体系では、ミズキ科(Cornaceae Bercht. & J. Presl, 1825)で、北半球の温帯から熱帯に約14属100種が分布します。

 樹高1~3mになる雌雄異株の低木で、上部で分枝します。樹皮は緑褐色で滑らか。葉は互生します。長さ4~13cm、幅2~7cmの卵型あるいは広楕円形で、鋸歯があり鋭尖頭、葉表は緑色で光沢があります。葉裏は灰緑色で両面共に無毛。葉柄は長さ5~13mm、托葉は長さ4~6mmで繊維質。葉の中央あたりまで主脈が太く、その脈上に花をつけます。この奇異な形状は、花序の軸が葉の主脈部分に癒合している為と考えられています。

 花期は4月から6月頃。雄株には数個の雄花が付き、花の径は3~4mmで淡緑色。花弁は3から4枚。花柱は退化。雌株は1つの雌花を付けるのが普通で稀に2~3個付くことがあります。花の径は4~5mmで淡緑色。花弁は僅かに反り返り、三角卵形で3から4枚。花柱は3裂。子房下位。果実は液果です。7~11mmの偏球形で、初めは緑色、8月以降に熟して紫黒色となります。種子は1~4個あり、長さ5~7mmです。染色体数は、2n=114。

Japanese common name : Hana-ikada
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Helwingia japonica (Thunb.) F.Dietr.

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左:雌花 右:雄花

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左:雄花に小さな虫が媒介する 右:全体

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左:雌花拡大。花径は4~5mm 右:花後、花弁が脱落

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果実は液果 2014.06.09
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果実は紫黒色に熟す 2015.06.30


ハナイカダ(花筏)
ハナイカダ科ハナイカダ属 (APG植物分類体系)
学名:Helwingia japonica (Thunb.) F.Dietr.
花期:4月~6月 落葉低木 樹高:1~2m 花径:約4mm 果期:8~10月

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【学名解説】
Helwingia : Georg Andreas Helwing (1668-1748)の名に因む/ハナイカダ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
F.Dietr. : Friedrich Gottlieb Dietrich (1768-1850)
※japonicaは、ジャポニカではなくヤポニカと発音します。

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Sendai-yama Alt.226) 2007.04.26 - 2007.05.08
安倍城跡(Alt.435m) 2014.05.07, 2014.06.09, 2015.06.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

26 April 2007, 8 May 2007, 10 May 2014, 10 June 2014
Last modified: 16 July 2015
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by pianix | 2007-04-26 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハリガネゴケ(針金苔)
 ハリガネゴケ(針金苔)は、ハリガネゴケ科ハリガネゴケ属に分類される蘚類(せんるい)です。ヨーロッパとアメリカ熱帯地域を初め、世界に広く分布する汎世界種です。日本では全国に分布します。このハリガネゴケ科は、カサゴケ科やホンマゴケ科とされる場合もあります。

 ハリガネゴケ科(Bryaceae Schwaegr.)は、9属59種があると言われています。ハリガネゴケ属(Rosulabryum J.R.Spence)は、今までBryum Hedw.とされていましたが転属されました。

 コケ植物とは、蘚類(せんるい)・苔類(たいるい)・ツノゴケ類の三群の総称です。葉緑体によって光合成を行い、花は付けず、胞子で繁殖します。水分や栄養の通り道となる維管束(いかんそく|vascular bundle)はありません。

 蘚苔類(せんたいるい)は世界に約20,000種が分布します。その内の蘚類は、葉の中央を走る太い葉脈である中肋(ちゅうろく)があるのが特徴です。茎葉体と胞子体、仮根からなります。世界各地に約100科700属10,000種が分布し、日本には62科305属約1,030種が分布します。

 卵細胞が発達したものが胞子体です。胞子体の上部にある胞子嚢を蒴(さく)と呼びます。この部分と柄に当たる蒴柄を胞子体と呼びます。ハリガネゴケの蒴柄は約30mmです。蒴は、初め緑色で、熟すと茶色へと変色します。この蒴の中では、減数分裂を経て胞子が作り出されます。蒴の先端には蓋があり、外れて胞子を放出します。胞子は風で運ばれます。胞子が発芽すると、糸状の原糸体となります。

 雌雄異株であり、本体である配偶体となって受精し、胞子体を形成します。茎長は20~25mm、葉の長さは15~25mm。染色体数は、n=10。写真のハリガネゴケは岩の上に生育していたものです。

Japanese common name : Harigane-goke
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Rosulabryum capillare (Hedw.) J.R.Spence

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左:若い胞子体。蒴の先端は水滴ではありません。右:全体


ハリガネゴケ(針金苔)
ハリガネゴケ科ハリガネゴケ属
学名: Rosulabryum capillare (Hedw.) J.R.Spence
synonym : Bryum capillare (Hedw.) J.R.Spence
茎長:20~25mm 葉長:15~25mm 蒴柄:約30mm

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【学名解説】
Rosulabryum : rosula(薔薇のつぼみ)+bryum(苔)/ハリガネゴケ属
capillare : capillaris(毛に似た・細毛状の)
Hedw. : Johann Hedwig (1730-1799)
J.R.Spence : John R. Spence (1956- )
---
synonym : (シノニム) 同意語、異名
Bryum : コケの意/ハリガネゴケ属

撮影地:静岡県静岡市
葵区牛妻 2007.02.20, 2007.03.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 February 2007, 20 March 2015
Last modified: 26 February 2017
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by pianix | 2007-02-24 00:00 | 蘚苔類 | Trackback | Comments(0)
カナムグラ(鉄葎)
 カナムグラ(鉄葎)は、アサ科カラハナソウ属の1年草です。日本、中国、台湾に分布します。日本では全国に分布する史前帰化植物です。名の由来は、蔓が強靱であるのを鉄に例え、繁茂する雑草の総称であるムグラ(葎)を充てたもの。中国名は、葎草。英名は、Japanese hop。

 アサ科(Cannabaceae Martinov, 1820)は、10属約70種が分布します。APG植物分類体系で、クワ科(Moraceae Gaudich. 1835)のアサ属(Cannabis L. (1753))とカラハナソウ属を独立させてアサ科とし、旧ニレ科エノキ亜科を加えたものです。カラハナソウ属(Humulus L. (1753))は、北半球温帯に3種が分布します。

 群落を形成します。茎は緑色で、蔓となって他の植物に絡んで、上から見て時計回りの左巻き1)に伸長し、2~5mの長さになります。茎は細くて硬く、下向きの頑丈な刺があります。葉は対生します。長さ5~12cmで、掌状に深く5~7裂し、鋸歯があります。葉柄は約10cm。葉柄と葉脈には棘があります。

 花期は8月から10月頃。葉腋から花茎を出します。雄株は円錐状の花序を上方に出し、花は淡黄色で下垂し、萼片5個があり径5~6mm。雄しべ5個で、短い花糸の先に大きめの黄色い葯が垂れ下がります。雌雄異株。雌株は短い穂状花序を出し、鱗片状で緑色の苞を下垂します。苞の先は尖り、荒い毛が縁にあります。果期には紫褐色になり、苞の先端は反り返ります。

 果実は痩果で、花被に包まれています。茎・葉・果実の地上部全体を、生薬のリツソウ(葎草)として健胃・利尿・解熱に利用されます。ビールの苦味原料となるホップ(hop)の仲間ですが、その用途には使えません。染色体数は、♀2n=14+XX、♂2n=14+Y1XY2。

1)学術用語集植物学編増訂版(1990)の定義による

Japanese common name : Kana-mugura
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Humulus scandens (Lour.) Merr.
雄花序:花径は5~6mmで、5個の葯が垂れ下がる

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葉序 葉は掌状に5~7深裂し、鋸歯がある 左は5裂、右は7裂

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左:葉裏の葉脈には棘がある 右:茎には下向きの棘があり絡みつきやすくなっている 

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左:雌花序は鱗片状の苞 右:雌花

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左:熟した雌花序(蔓は上から見て時計回りの左巻き) 右:鱗片状の苞に包まれた種子


カナムグラ(鉄葎)
別名:リッソウ(葎草)
アサ科(旧クワ科)カラハナソウ属
学名:Humulus scandens (Lour.) Merr.
synonym : Humulus japonicus Siebold et Zucc.
花期:8月~10月 1年草 草丈:2~5m(蔓性) 花径:5~6mm(雄花)

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【学名解説】
Humulus : humus(土)|ホップのラテン名に由来/カラハナソウ属
scandens : よじ登る性質の
Lour. : Joao de Loureiro (1717-1791) 
Merr. : Elmer Drew Merrill (1876-1956)
---
synonym(シノニム):同意語、異名。
japonicus : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 右岸河川敷 2006.10.12 / 10.21 / 10.26, 2016.11.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

30 October 2006, 5 May 2014
Last modified: 14 November 2016
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by pianix | 2006-10-30 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オニドコロ(鬼野老)
 オニドコロ(鬼野老)は、ヤマノイモ科ヤマノイモ属の多年草です。日本・朝鮮半島・中国に分布します。日本では、北海道から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、他の類似種より葉が大きいので鬼を充て、トコロ(野老)はエビ(海老)に対比させた漢字名で、根茎の髭根を老人の髭に見立てたもの。読みの由来は諸説あります。根に塊ができる事から、凝塊の「凝(とこ)り」が転訛してトコロとなったとの説があります。

 ヤマノイモ科(Dioscoreaceae R. Brown, 1810)は、熱帯及び暖温帯に8属約800種が分布します。ヤマノイモ属(Dioscorea C. Linnaeus, 1753)は、東アジア北部に広く分布します。ヤマノイモ科の内、約600種がヤマノイモ属です。約40種が食用とされ、約15種が栽培されていて、日本には13種があります。珠芽があり根茎の根が肥厚するヤマノイモの仲間と、根茎の根が肥厚しないオニドコロの仲間に分ける事ができます。

 根茎は細長く髭根があり、横に這います。苦味があり食用には適しません。有毒成分のジオスコリン(Dioscorine)、ジオスチン(Dioscin)、ジオスコレアサポトキシン(Diosoreasapotoxin)が含まれ、ヤマノイモと間違えて誤食すると嘔吐などの症状が起きます。昔は、救荒植物として灰汁抜きをして食べたようです。根茎を乾燥させたものを、生薬のヒカイ(萆薢)として、関節痛や疼痛の治療に用います。茎は蔓性で長く伸び、右巻きです。葉は互生し、円心形から三角状心形で、長さ幅とも5~12cm。無毛で全縁、先端は鋭頭。葉柄は3~7cm。

 花期は7月から8月。葉腋から花序を出します。雌雄異株。雄花序は上方に立ち上がり、雌花序は下垂します。雄花は淡黄緑色で径約3mm、花被片6個が平開し、完全雄しべ6個があります。雌花は、花被片が径約5mm、雌しべ1個で花柱は3裂します。萼片は6個。子房下位。珠芽は付きません。果実は蒴果で、3翼(3室)がある倒卵状楕円形。種子は長さ約5mmの扁平な楕円形で、片側に長楕円形の翼があります。染色体数は、2n=20で、♀:2n=18+XX、♂:2n=18+XY。XYは、性決定機構。

 同じ属に、オニドコロより葉が細いヒメドコロ(姫野老)、雄しべ6個の内、3個が仮雄しべになったタチドコロ(立野老)があります。ヤマノイモ(山の芋)は、葉が対生で、蔓の巻き方がオニドコロと逆の左巻きです。

Japanese common name : Oni-dokoro
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Dioscorea tokoro Makino

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左:雄花序             右:葉

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左:雌花序             右:雌花
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長楕円形の翼がある種子。ヤマノイモは円形の翼で種子が中央にある。


オニドコロ(鬼野老)
別名:トコロ(野老)
ヤマノイモ科ヤマノイモ属
学名:Dioscorea tokoro Makino
花期:7月~8月 多年草 草丈:蔓性 花径:(雄花)約3mm/(雌花)約5mm

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【学名解説】
Dioscorea : Pedanius(Pedanios) Dioscorides (ca.40-ca.90 AD)に因む
tokoro : トコロ(日本名)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km右岸河川敷 2006.09.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

28 October 2006
Last modified: 02 September 2013
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by pianix | 2006-10-28 00:00 | | Trackback | Comments(0)
カラスビシャク(烏柄杓)
 カラスビシャク(烏柄杓)は、サトイモ科ハンゲ属の多年草です。中国、朝鮮半島、日本が原産で、国内では全土に分布する在来種です。名の由来は、仏炎苞の形を柄杓に見立てたもの。別名のハンゲ(半夏)は中国名で、漢方生薬の名にもなっています。半夏は、半夏生という暦日である七十二候雑節の頃(夏至から数えて11日目で、7月2日頃)に花が咲く事から。

 サトイモ科(Araceae Juss. (1789))は115属2000種以上が熱帯を中心に分布します。ハンゲ属(Pinellia Tenore, 1839)は、アジアの暖帯から温帯に7種があり、日本には2種が自生します。

 畑地や田んぼに自生します。塊茎は白色で1cm程。生薬の半夏(日本薬局方)として使われます。葉は根生し、3小葉をつけます。葉柄は長さ10~20cm。小葉は楕円形から長楕円形で先端は尖り、長さ5~11cm。小葉や葉柄の下部に珠芽を付けます。20~40cmに花茎を伸ばします。花期は5月から8月頃。緑色か帯紫色で長さ5~6cmの仏炎苞を単生させ、肉穂花序に花を密生させます。舷部(筒部の上部にある舌のように伸びる部分)の内部は短毛が密生します。花序の付属体(穂の先端から糸状に伸びる部分)は仏炎苞の外に出ます。果実は、液果です。珠芽や子球で増え、繁殖力が強い畑地の害草です。

 類似種に、深く3裂した大きな葉があるオオハンゲ(大半夏)Pinellia tripartita (Bl.) Schottがあります。因みに、名が似ているハンゲショウ(半夏生)は、ドクダミ科ハンゲショウ属で形が異なります。

★  ★  ★

 非常に暗い曇りの日に、カラスビシャクを見つけました。河川敷で見るのは初めてですが、もしかしたら単に見落としていただけなのかもしれません。1株しかありませんでした。晴れた日に撮影に来ようと考え引き上げました。数日おいて出かけると、姿が見えません。何日か注意して探し回ったのですが、見つけられませんでした。試し撮りしておいた写真は、他の草と混在して、はっきりしないものでした。

Japanese common name : Karasu-bisyaku
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Pinellia ternata (Thunb.) Breitenb.


カラスビシャク(烏柄杓)
別名:ハンゲ(半夏)
サトイモ科ハンゲ属
学名:Pinellia ternata (Thunb.) Breitenb.
花期:5月~8月 多年草 草丈:20~40cm 仏炎苞長:5~6cm

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【学名解説】
Pinellia : Gian Vincenzo Pinelli (1535-1601)に因む/ハンゲ属
ternata : ternatus(三出の・三数の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Breitenb. : Wilhelm Breitenbach (1856- )

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.08.24
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 15 September 2006
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by pianix | 2006-09-15 00:00 | | Trackback | Comments(0)
コウボウムギ(弘法麦)
 コウボウムギ(弘法麦)は、カヤツリグサ科スゲ属の多年草です。日本・朝鮮・台湾・中国等の東アジアが原産で、国内では北海道から沖縄にかけて分布する在来種です。海浜植物で、砂浜に生育します。名の由来は、根茎の繊維を弘法大師の筆に、穂を麦に見立てたものという説が有力。弘法大師が砂浜でも育つ麦に似た穂を付ける植物を植える指導をしたからとの説は違うと主張する研究者もいます。別名のフデクサ(筆草)は、地下茎の葉鞘の繊維で筆を作った事から。英名は、Japanese sedge、あるいはAsiatic sand sedge。

 カヤツリグサ科(Cyperaceae Juss. (1789))は、世界中に約90属7000種類が分布します。スゲ属(Carex L. (1753))は、世界に約2000種があり、日本には変種を含めると約252種が分布します。

 長い地下茎があり、時に10mを超える事もあります。匍匐茎によって繁殖し群落を作ります。葉は根元から出て、長さ20cm内外の線形で、微細な鋸歯があり、反り返ります。所々の節から花茎を出し、10~20cmに立ち上げます。茎は3稜があり、断面は3角形です。雌雄異株です。

 花期は4月から6月頃。それぞれの花穂は4~6cm。雄花は緑色で、1枚の鱗片があり、雄しべが包まれます。雌花は茶色で、長さ1cm内外の扁平で楕円形をした果胞があり、1枚の鱗片があります。果胞は壺状で、底に雌しべがあり、先端の口から柱頭を出します。海岸の砂防が見込める重要な植物の1つです。

Japanese common name : Koubou-mugi
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Carex kobomugi Ohwi


コウボウムギ(弘法麦)
別名:フデクサ(筆草)
カヤツリグサ科スゲ属
学名:Carex kobomugi Ohwi
花期:4月~6月 多年草 草丈:10~30cm

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【学名解説】
Carex : ラテン古語Cladium mariscus|keirein(切る)/スゲ属
kobomugi : 弘法麦(日本名)
Ohwi : 大井 次三郎 Jisaburo Ohwi (1905-1977)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.00km 大浜海岸 2006.06.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: August 12, 2006
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by pianix | 2006-07-10 00:00 | 海辺の植物 | Trackback | Comments(1)
ヤブカラシ(藪枯らし)
 ヤブカラシ(藪枯らし)は、ブドウ科ヤブカラシ属の多年草です。日本、中国、インド、マレーシアが原産で、国内では全国に分布する在来種です。名の由来は、繁殖直が強く、樹木に巻き付き藪を枯らす程である事から。別名のビンボウカズラ(貧乏蔓)は、繁殖すると家の持ち主が貧乏になるとか、手入れができない貧乏な土地に繁殖するからと言われています。英名は Bushkiller。

 ブドウ科(Vitaceae Juss. (1789))は、熱帯から温帯に12属約700種が分布します。ヤブカラシ属(Cayratia Juss. (1789))は、世界に約45種が分布し、日本には2種が自生します。

 柔らかい地下茎を横に伸ばして増殖し、所々から稜角(尖った角)がある茎を立ち上げます。茎は蔓性で、巻きひげで他の樹木に絡み付きます。葉は鳥足状複葉で、長さ4~8cm、幅2~4.5cmの5小葉からなり、長さ1~3cmの葉柄があります。頂小葉は波状鋸歯がある狭卵形です。

 花期は6月~8月。扁平な集散花序をつけます。花は径3~6mmで、淡緑色の花弁4枚は平開し、反り返ります。早朝に開花し、花弁と花盤周辺にある4本の雄しべのほとんどは午後には脱落します。花盤は赤橙色に変化し、花盤中央の雌しべだけが残ります。果実は5mm内外で、初め白く、熟すと黒色になります。染色体数は、2n=40,59。2倍体と3倍体があり、2倍体は関東以西に多いとの報告があります。

Japanese common name : Yabu-karasi
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Cayratia japonica (Thunb.) Gagnep.

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左:全体の様子  右:花弁は4枚、雄しべ4本

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左:葉表 《葉は鳥足状複葉の5小葉》 右:葉裏


ヤブカラシ(藪枯らし)
別名:ヤブガラシ/ビンボウカズラ(貧乏蔓)
ブドウ科ヤブカラシ属
学名:Cayratia japonica (Thunb.) Gagnep.
花期:6月~8月 多年草 草丈:50~200cm(蔓性) 花径:3~6mm

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【学名解説】
Cayratia : geniculatus(関節の・膝のように曲がった)の土名cay rat/ヤブカラシ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Gagnep. : Francois Gagnepain (1866-1952)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.75km 左岸河川敷 2006.06.24, 2006.07.04 
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

03 July 2006, 04 July 2006
Last modified: 08 December 2014
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by pianix | 2006-07-03 00:00 | | Trackback(1) | Comments(3)
ミクリ(実栗)
 ミクリ(実栗)は、ミクリ科ミクリ属の多年草です。アジアに広く分布します。国内では、北海道から九州に分布する在来種です。名の由来は、実が栗に似ている事から。英名は、Bur reed。ミクリ科(Sparganiaceae Hanin, 1811)は、ミクリ属(Sparganium L. (1753))の1属のみがあり、温帯から寒帯に20種、日本には8種があります。

 抽水植物です。水辺に生育する植物は水生植物(Aquatic Plant)と言われ、淡水域に生育する植物の総称です。水生維管束植物は世界に約1000種、日本に約100種あると言われています。抽水植物は、根が水底の土中にあり、一定期間、葉や茎の一部が水面に出る植物を言います。水質の浄化機能、生物の繁殖・生育に役立つとされています。他に、葉を水面に浮かせる浮葉植物、水底に根を張らずに浮く浮漂植物、全てが水中にある沈水性植物があり、湿地や湿原に生育するものも含まれます。

 水底の土中に匍匐する地下茎があり、分枝して地上茎を直立させます。茎は40~150cmになり、枝分かれします。葉は根生し2列に互生します。沈水葉と気中葉があります。線形で幅8~20mm、鋸歯は無く、先端は円頭です。葉裏中央に稜があり、基部は葉鞘となり茎を抱きます。海綿質で断面は三綾形です。

 花期は6月から7月頃。球状花序で無柄、雌花序が下、雄花序が上につく、雌雄同株です。雌花の子房は花托の上に着座する子房上位花(hypogynous flower)で、径15~20mmの球果になります。果実は堅果です。菱状卵形の集合果で、外果皮は海綿質、肉果皮は堅く、裂開しません。染色体数は、2n=30。

 花序が枝分かれしないヤマトミクリ(大和実栗)Sparganium fallax Graebn.は絶滅危惧II類(VU)です。他に、オオミクリ(大実栗)Sparganium erectum L. var. macrocarpum (Makino) H.Haraや、絶滅危惧II類(VU)のヒメミクリ(姫実栗)Sparganium stenophyllum Maxim.等があります。

Japanese common name : Mikuri
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Sparganium erectum L.
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白い棘状の部分が雌花


ミクリ(実栗)
ミクリ科ミクリ属
学名:Sparganium erectum L.
花期:6月~7月 多年草(抽水植物) 草丈:40~150cm 花径:2cm 実径:15~20mm

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【学名解説】
Sparganium : sparganon(帯)の縮小形|sparganionに由来/ミクリ属
erectum : erectus(直立した)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川 2006.05.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 23 June 2006
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by pianix | 2006-06-23 00:00 | | Trackback | Comments(0)