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エビネ(海老根)
 エビネ(海老根)は、ラン科エビネ属の多年草です。日本、朝鮮、中国に分布し、日本では北海道から沖縄にかけて分布する在来種です。環境省レッドブックで準絶滅危惧(NT)。名の由来は、地下茎の形状を海老に見立てたもの。園芸愛好家の間ではジエビネ(地海老根)の名前が使われています。

 ラン科(Orchidaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜寒帯に約700属、15000種以上、日本には約73属約220種が分布します。エビネ属(Calanthe R.Brown ex Ker-Gawler, 1821)は、東南アジア、東アフリカ、オーストラリア、南米などに変種を含んで約210種が分布し、日本には21種が自生します。

 山野の林内に自生します。球状で2cm程の偽鱗茎1)を地表浅く横に伸します。偽鱗茎からは径2~3mmの根を多数出します。葉は根生します。基部は花茎を抱き、披針状長楕円形で幅3~6cm、長さ15~30cmの薄い葉を2~3枚を出します。縦に5本の葉脈があり縮れます。茎の太さは3~5mm程で2~3個の小さな苞がつき、直立して高さ30~40cm。

 花期は4月から6月頃。総状花序を出し、径2~3cmの花を8~15個、下垂させてつけます。花柄は長さ約16mm。花は左右相称のラン形花冠で、幅約20~33mm。萼片(外花被片)3個と花弁(内花被片)がそれぞれ3個あり、萼片3個と花弁の2個(側花弁)は暗褐色で先が尖ります。花弁中央は唇弁で、白色や薄紫紅色、長さ約6.5mmで深く3裂し、さらに中央の中裂片は浅く2裂、3本の隆起線があります。基部が袋状の距となり長さ5~10mm、入口部に雄しべと雌しべが合着した蕊柱(ずいちゅう)があります。

 両性花。花粉は黄色で花粉塊となります。子房下位。果実は蒴果2)です。長さ3cm位の楕円形で、熟すと縦に6個の裂目ができて種子を飛ばします。種子は菌根菌に依存する微小な埃種子で多数あり、風によって散布されます。染色体数は、2n=40。

 品種(forma=f.)に、アカエビネ(赤海老根)C. f. rosea (Hatus.) Honda[萼片と側花弁が紫褐色で唇弁が淡紅色]、ダイダイエビネ(橙海老根)C. f. rufoaurantiaca (Iwata) Honda[萼片と側花弁が黄褐色で唇弁が白色]、があります。

 変種(varietas=ver.)に、カツウダケエビネ(嘉津宇岳海老根)C. var. kanashiroi Fuk.[沖縄県に分布]、ハノジエビネ(八の字海老根)C. var. divaricatipetala Ida[徳之島に分布]、があります。変種とされていた絶滅危惧IAのアマミエビネ(奄美海老根)C. var. amamiana(Fuk.)Masam.[奄美大島および徳之島に分布]はsynonym(異名)とされ、Calanthe amamiana Fukuy.に変更3)されました。

 1)偽鱗茎(ぎりんけい):蘭の複数の茎の節間にできる栄養貯蔵組織。
 2)蒴果(さくか):裂開果の一つで、熟すと果皮が割れて種子を出す果実。
 3)米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)

※以下の写真は、アカエビネ(赤海老根)です。

Japanese common name : Ebi-ne
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Calanthe discolor Lindl. f. rosea (Hatus.) Honda

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全体 2本の花茎があるので合計6枚の葉が見える。花は8~15個つく。
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萼片と花弁が3個ずつあり、白っぽく見えるのが唇弁で3裂している。

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左:地表浅くにある偽鱗茎。 右:前年度の古い葉。上に本年度の葉が見える。

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葉は根生し、花茎を抱く。長さ15~30cmの薄い葉を2~3枚を出す。

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左:花柄の下に白色の距があり、長さ5~10mm。 右:茎に付く披針形の苞(鱗片葉)

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左:果実は蒴果で、窪んだ部分が裂けて種子を出す(6月4日)。右:裂開後(9月6日)。

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2014年に出てきた新芽 2014.03.31


エビネ(海老根)
別名:ジエビネ(地海老根)
ラン科エビネ属
学名:Calanthe discolor Lindl.
花期:4月~6月 草丈:30~40cm 多年草 花径:2~3cm

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【学名解説】
Calanthe : calos(美)+anthos(花)/エビネ属
discolor : dis(分離)+color(色)[異なる部分が二色の]
Lindl.: John Lindley(1799-1865)
---
f. : forma(品種)
rosea : roseus(バラ色の・淡紅色の)
Hatus. : 初島住彦 Sumihiko Hatusima (1906-2008)
Honda : 本田正次 Masaji Honda (1897-1984)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2013.04.21 - 06.04(果実) - 09.06(裂開後果実)
2014.03.31(新芽)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

06 September 2013
Last modified: 06 April 2014
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by pianix | 2013-09-06 00:00 | | Trackback | Comments(4)
スズメノヤリ(雀の槍)
 スズメノヤリ(雀の槍)は、イグサ科スズメノヤリ属の多年草です。日本から東南アジア、東シベリアにかけて分布します。日本では全国に分布する在来種です。名の由来は、頭花の形状が大名行列で使われた毛槍に似る事から。毛槍は、先端に鳥毛の飾りをつけた儀仗用の槍で、大名行列の先頭などで振り歩く時に使われました。スズメは、小さなという意味。中国名は、地楊梅。

 イグサ科(Juncaceae Juss. (1789))は、世界の寒帯から温帯に、7属約430種類が分布します。スズメノヤリ属(Luzula DC. 1805)は、世界の温帯から亜寒帯にかけて約80種が分布し、日本には約10種があります。

 日当たりの良い草地に生育します。地下茎は小さな塊状。この事からシバイモ(芝薯)の別名を持ちます。スズメノヒエ(雀の稗)はイネ科に異種同名があるため混同される恐れがあります。茎は1mm程で細く、叢生[1]して草丈10~30cmになります。葉は根生葉で、長さ7~15cm、幅2~3mmの線形で扁平、葉の縁に白色の長軟毛が多生します。花茎に茎葉が2~3枚付きます。

 花期は、4月から5月頃。茎頂に赤褐色で卵球形の頭花を1個、まれに2~3個つけます。花被片は6枚あり、長さ2.5~3mmの長楕円状披針形で全縁、紫褐色。両性花で雌雄異熟花の雌性先熟[2]です。雌しべは線形で、花柱先端を3裂させて柱頭となります。雄しべは6個で、短い花糸の先に2mm程の線状長楕円形で黄色の葯をつけます。風媒花。

 果実は朔果です。褐色をした倒卵形で花被片と同長の2.5~3mm。2mm弱の種子が3個入っていて、白色の種沈(caruncle)が基部に付いています。この種沈はエライオソーム(Elaiosome)で、蟻を誘因する化学物質(脂肪酸、アミノ酸、糖)からなり、蟻によって運ばれて食べられ、残った種子が発芽する事で生息域を広げます。染色体(分散型動原体[3])数は、2n=12。

 スズメノケヤリ(雀の毛槍)は、ワタスゲ(綿菅)[4]の別名で本種とは異なります。よく似た種に、ヤマスズメノヒエ(山雀の稗)Luzula multiflora Lejeuneがあり、近縁種として、オカスズメノヒエ(丘雀の稗)L. pallidula Kirschner、ヌカボシソウ(糠星草)L. plumosa E.Meyer等があります。

[1] 叢生(そうせい|簇生):群がり生えること。
[2] 雌性先熟 : 雌しべが先に熟して受粉し(雌性期)、後で雄しべが花粉の散布を行う(雄性期)。
[3] 高等真核生物の場合は通常、各染色体に1つずつ1次狭窄の位置に動原体をもっているが、次狭窄が存在せず、染色体全体が動原体として機能するものを分散型動原体(diffuse centromere)と言う。植物では、スゲ属、カヤツリグサ属、スズメノヤリ属、モウセンゴケ属、動物ではチョウやガ、カメムシにある。
[4] ワタスゲ(綿菅) : カヤツリグサ科ワタスゲ属
学名 : Eriophorum vaginatum L. subsp. fauriei (E.G.Camus) A. et D.Love

Japanese common name : Suzume-no-yari
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Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom.
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日当たりの良い草地に叢生する。葉の縁の長い白毛が目立つ。2011.03.27

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雌性期。花被片の隙間から雌しべを出す。

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雄性期の始まり頃。花被片を広げて葯が伸びてくる。

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左:茎葉は2~3枚で茎を抱く。右:雌しべは細く柱頭は3裂する。雄しべは太い黄色。

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左:果実は朔果。 右:散布後。

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草丈は10~30cm。根生葉は、長さ7~15cm、幅2~3mmの線形。根はごく細い。


スズメノヤリ(雀の槍)
別名:シバイモ(芝薯)/スズメノヒエ(雀の稗)
イグサ科スズメノヤリ属
学名:Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom.
花期:4月~5月 多年草 草丈:10~30cm 頭花径:8~13mm 花径:4mm

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【学名解説】
Luzula : lux(光)縮小形/スズメノヤリ属
capitata : capitatus(頭状の・頭状花序の)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
ex : ~による
Kom. : Vladimir Leontjevich Komarov (1869-1945)
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
DC. : Augustin Pyramus de Candolle (1778-1841)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川(河川敷・土手) 2006.4.18 - 2011.6.22
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

Last modified: 14 August 2011
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by pianix | 2011-08-14 00:00 | | Trackback | Comments(2)
チカラシバ(力芝)
 チカラシバ(力芝)は、東アジアが原産です。オーストラリア、北アメリカには帰化しています。日本では、北海道から沖縄までの全土に分布します。根の由来は、根が張って引き抜く時に力がいる事から。別名のミチシバ(路芝)は、道端に生える事から。英名は、Chinese fountain grass。中国名は、狼尾草。

 イネ科(Gramineae Juss. (1789))は、世界のほぼ全域に約600属10000種が分布します。チカラシバ属(Pennisetum L.C.Richard ex Persoon, 1805)は、熱帯と亜熱帯を中心に約130種が分布します。

 根茎が発達して叢生し、株を形成します。茎は直立して、高さ50~80cmになります。扁平な葉鞘があります。葉は根生し、長さ30~70cm、幅4~7mmの線形で葉質は硬くざらつきます。花期は、8月~11月頃。軸の先に、長さ10~20cm、幅約2cmの円柱状花序を出します。小穂(しょうすい)は長さ7~8mmの披針形で、小花を2個付けます。2つの苞頴1)(ほうえい)があり、第1苞頴は退化して極小さく、第2苞頴は小穂の半分の長さで3~4mm。基部には総苞片が変化した、暗紫色で長さ1~3cmの剛毛(芒=のぎ)があり、熟すと小穂と共に脱落します。花序下部に付く小花は雌しべが退化した雄しべ3個の雄花、花序上部の小花は両生花で結実します。染色体数は、2n=18。

 果実は、複数の心皮を持ち1つの種子を含む頴果(えいか|caryopsis)です。先端に剛毛があり、動物に取り付き散布されます。チカラシバの頴果は、発芽能力が高く、20~30℃での高温状態では、発芽率と発芽速度はきわめて大きくなります。

 近縁種に、小穂基部の剛毛が淡緑色であるアオチカラシバ(青力芝)Pennisetum alopeculoides f. viridescens (Miq.) Ohwi、赤味を帯びたベニチカラシバ(紅力芝)Pennisetum alopeculoides f. erythrochaetum Ohwi、があります。《f.:forma(品種)》

 1)苞頴(ほうえい)sterile glume:雌しべや雄しべを覆っているものを頴(えい)glumeと言う。イネ科では、基部から順に第1苞頴、第2苞頴の一対がある。

Japanese common name : Tikara-siba
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Pennisetum alopeculoides (L.) Spreng.

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左:全体 右:根 2006.10.13
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アオチカラシバ(青力芝)
Pennisetum alopeculoides f. viridescens (Miq.) Ohwi


チカラシバ(力芝)
別名:ミチシバ(路芝)
イネ科チカラシバ属
学名:Pennisetum alopeculoides (L.) Spreng.
花期:8月~11月 多年草 草丈:50~80cm 花穂長:10cm~20cm 小穂長:7~8mm

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【学名解説】
Pennisetum : penna(羽毛)+seta(刺毛)/チカラシバ属
alopeculoides : Alopecurus(alopex(狐)+oura(尾))+oides(類する)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Spreng : Christian Konrad (Conrad) Sprengel (1750-1816)
---
f. : forma(品種)
viridescens : 淡緑色の
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
Ohwi : 大井次三郎 Jisaburo Ohwi (1905-1977)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km左岸河川敷 2006.09.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

22 November 2006
Last modified: 07 October 2010
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by pianix | 2006-11-22 00:00 | | Trackback | Comments(2)
チチコグサ(父子草)
 チチコグサ(父子草)は、キク科チチコグサ属の多年草です。日本、中国、韓国、台湾に分布します。日本全国に分布する在来種です。名の由来は、在来種のハハコグサ(母子草)と対比させ、褐色の花に華やかさが無く地味との意味で付けられたと言われています。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味。保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。ハハコグサ属(Gnaphalium L. (1753))は世界で約120種が分布し、日本には数種が自生します。近年にハハコグサ属からチチコグサ属(Euchiton Cassini, 1828)に分離独立されました。

 根は匐枝を横に出し、群生します。根出葉は束生し、葉裏に綿毛が密生する長さ2.5~10cm、幅4~7mmの線状倒披針形です。茎は細く、白色の綿毛を密生します。茎葉は少数が互生し、長さ20~25mm、幅2~4mmの線状。全縁で鋭頭です。両面に毛がありますが、表側はまばらです。草丈は8~25cmになります。

 花期は5月から10月頃。茎頂に頭状花を付けます。茶褐色の頭花は総苞の集合体です。総苞は鐘形で10以上あり、総苞の回りには総苞片があります。合弁花である両性花です。果実は痩果で3mm程の冠毛があり、風によって伝搬されます。繁殖は種子と地下茎によります。染色体数は、2n=28。

 種小名にjaponicusとあります。日本産という意味のラテン語です。ラテン語の場合、名詞には性(gender)があります。男性(masculine)、女性(feminine)、中性(neuter)の3性名詞です。これを「日本」に当てはめると、女性名詞はjaponica(ヤポーニカ)、男性名詞はjaponicus(ヤポーニクス)、中性名詞はjaponicum(ヤポーニクム)となります。チチコグサ属(Euchiton)は男性名詞なので種小名はjaponicusと男性名詞、ハハコグサ属のGnaphaliumという名詞は中性名詞なので、種小名も中性名詞となっています。これは属名と種小名の性の一致という学名規則によっています。このような規則を持った学名でも、中には怪しいものが見受けられます。

 類似種に、チチコグサモドキ(父子草擬)、ウラジロチチコグサ(裏白父子草)があります。

Japanese common name : Titi-ko-gusa
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Gnaphalium japonicum Thunb.
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チチコグサ(父子草)
キク科チチコグサ属
学名:Euchiton japonicus (Thunb.) Anderb.
synonym : Gnaphalium japonicum Thunb.
花期:5月~10月 多年草 草丈:8~25cm 総苞:4~5mm

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【学名解説】
Euchiton : eu(良)+chiton(衣服)/チチコグサ属
japonicus : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Anderb. : Arne A. Anderberg (1954 - )
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
---
Gnaphalium : gnaphallon(一握りの尨毛=獣の毛)|フェルトに由来/ハハコグサ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.05.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 May 2006
Last modified: 31 December 2014
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by pianix | 2006-05-25 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ハシリドコロ(走野老)
 ハシリドコロ(走野老)は、ナス科ハシリドコロ属の多年草です。日本と韓国、中国が原産で、国内では、本州・四国・九州に分布する在来種です。標高500~1600m程度の沢沿いの落葉樹林内や斜面に自生します。「野老」は、トコロと読み、ヤマノイモ科のオニドコロ(鬼野老)を指します。根茎の髭根を老人の髭に見立てた当て字です。名の由来は、オニドコロの根に似ていて、有毒であり誤食すると錯乱状態に陥り苦しみから走り回る事から。

 ナス科(Solanaceae Adans., 1763)は、世界中に90属約2300種が分布します。日本には6属14種があります。ハシリドコロ属(Scopolia N.J. Jacquin, 1764)は、世界に変種を含めて約11種があります。

 ヤマトリカブトと並ぶ猛毒植物として知られています。地下茎は太く、湾曲します。薄紫色をしたロート根です。日本薬局方のロートエキス(Scopolia Extract)や硫酸アトロピンの原料(鎮痛薬や目薬)になります。茎は無毛で、草丈30~60cmになります。基部に鱗片葉があります。葉は互生します。長い柄があり、長さ10~20cm、幅3~7cmの楕円状卵形で、先端は尖ります。鋸歯はありませんが、下部の葉は荒い鋸歯が見られることがあります。

 葉腋から花柄を出し、花を下垂させます。浅く5裂した筒状の鐘形で、長さは2~3cm。花冠の外側は暗紅紫色で、内側は黄緑色です。雄しべは5本。果実は蒴果の一種の蓋果(がいか|pyxis)です。球形をしていて、成熟すると果皮が横に裂開して多数の種子を飛ばします。

 中毒事例報告のある有毒植物で、嘔吐・下痢・血便・瞳孔散大・視力障害・痙攣・興奮・狂躁・幻覚等の症状が現れます。大量摂取により重篤となり、昏睡して死に至る場合もあります。主成分はヒオスチアミン(hyoscyamine)、アトロピン(atropine)です。アトロピン経口推定致死量は、小児で10-20mg。マウス(経口)LD50:548mg/kg。

Japanese common name : Hasiri-Dokoro
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Scopolia japonica Maxim.
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楕円状卵形の葉が互生する


ハシリドコロ(走野老)
ナス科ハシリドコロ属
学名:Scopolia japonica Maxim.
花期:4月~5月 多年草 草丈:30~60cm 花冠長:2~3cm

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【学名解説】
Scopolia : Giovanni Antonio Scopoli (1723-1788)の名に因む/ハシリドコロ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.04.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 May 2006
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by pianix | 2006-05-18 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)
ウラジロチチコグサ(裏白父子草)
 ウラジロチチコグサ(裏白父子草)は、キク科ウスベニチチコグサ属の多年草です。南アメリカ原産の帰化植物で、北アメリカ、オーストラリア、ユーラシア、アフリカなど世界中に帰化しています。日本では1970年に帰化が確認されました。日本各地に分布します。名の由来は、在来種のチチコグサ(父子草)に似ていて葉裏が白い事によります。英名は、Shiny cudweed、Spiked cudweed。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化種は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。Compositae Giseke, 1792は保留名。APG体系では、ウスベニチチコグサ属(Gamochaeta Weddell, 1856)としてハハコグサ属から独立させています。エングラー体系では、ハハコグサ属(Gnaphalium L. (1753))で、世界で約120種が分布し、日本には数種が自生します。

 冬はロゼットを形成して過ごします。幅が広い長楕円形をしています。茎は、地を這い走出枝(runner)を伸ばして増殖し、成長と共に立ち上がってきます。白い綿毛に被われています。在来種のチチコグサよりも大型になります。葉は、縁が波打ち鈍頭、表側は無毛で鮮緑色、葉裏は綿毛を密生させて白くなります。茎の上部に頭花を穂状に付けます。両性花です。総苞は先端が細くなります。総苞片は、成長と共に赤紫色から褐色に変化していきます。花後の頭花は壺型になります。果実は痩果です。染色体数は、2n=38。

 類似種に、花が淡紅紫色になるウスベニチチコグサ(薄紅父子草)Gamochaeta purpurea (L.) Cabrera があります。葉裏が白くなるのでウラジロチチコグサと混同する場合があります。チチコグサモドキ(父子草擬)Gamochaeta pensylvanica (Willd.) Cabrera は、葉裏が白くなりません。

Japanese common name : Urajiro-titiko-gusa
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Gamochaeta coarctata (Willd.) Kerguélen

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左:茎の上部に頭花を穂状に付ける。蕾は紅紫色。  右:葉裏は白色。


ウラジロチチコグサ(裏白父子草)
キク科ウスベニチチコグサ属
学名:Gamochaeta coarctata (Willd.) Kerguélen
synonym : Gnaphalium spicatum L.
花期:6月~8月 多年草 草丈:20~25cm 総苞径:6~7mm

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【学名解説】
Gamochaeta : gamos(結婚)?+chaeta(ひげ、長い毛)/ウスベニチチコグサ属
coarctata : coarctatus(密集した)
Willd. : Carl Ludwig von Willdenow (1765-1812)
Kerguélen : Michel Francois-Jacques Kerguélen (1928-)
---
Gnaphalium : gnaphallon(一握りの尨毛=獣の毛)|フェルトに由来/ハハコグサ属
spicatum : spicatus(穂状花ある・穂状をなした)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.05.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

17 May 2006
Last modified: 11 June 2014
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by pianix | 2006-05-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
チチコグサモドキ(父子草擬)
 チチコグサモドキは、キク科ウスベニチチコグサ属の1年草です。北アメリカ原産で、暖帯から温帯にかけた南アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、オセアニアに分布します。日本には大正時代に渡来したと言われる帰化植物で、1916年(大正4)に報告があり、非意図的移入とされています。全国に分布します。

 名の由来は、在来種のチチコグサ(父子草)に似たとの意味から。変異が多く、学名や和名は諸説あります。英名は、Wandering cudweed、あるいはManystem cudweed。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化種は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。Compositae Giseke, 1792は保留名。エングラー体系では、ハハコグサ属(Gnaphalium L. (1753))で、世界で約120種が分布し、日本には数種が自生します。APG体系では、ウスベニチチコグサ属(Gamochaeta Weddell, 1856)として独立させています。

 根生葉があり、ロゼットを形成します。茎には白い綿毛があり、10~30cm程になります。葉は3~7cmのへら形で、表裏面ともに綿毛に被われていますが、裏面のほうがより白味がかって見えます。縁が波打つのが特徴です。チチコグサの場合は細長い線形です。

 花期は4月から9月頃。茎の上部の葉腋に3~5mm程の頭花をつけます。総苞は先端で細り、白い綿毛で被われた総苞外片があります。花は褐色の筒状花(合弁花)です。褐色茎の成長と共に頭花は散在します。種子は痩果で、白い冠毛があり、主に風により伝播します。気温が下がる秋に発芽します。染色体数は、2n=28。

 近似種に、葉の裏が白いウラジロチチコグサ(裏白父子草)、花色が淡紅紫色のウスベニチチコグサ(薄紅父子草)等があり野生化しています。

Japanese common name : Titikogusa-modoki
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Gamochaeta pensylvanica (Willd.) Cabrera


チチコグサモドキ(父子草擬)
キク科ウスベニチチコグサ属
学名:Gamochaeta pensylvanica (Willd.) Cabrera
synonym : Gnaphalium pensylvanicum Willd.
花期:4月~9月 1年草 草丈:10~30cm 花径:3~5mm

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【学名解説】
Gamochaeta : gamos(結婚)?+chaeta(ひげ、長い毛)/ウスベニチチコグサ属
pensylvanica : 米国ペンシルバニア(Pennsylvania)の
Willd. : Carl Ludwig von Willdenow (1765-1812)
Cabrera : Angel Lulio Cabrera (1908-1999)
---
synonym : (シノニム) 同意語、異名
Gnaphalium : gnaphallon(一握りの尨毛=獣の毛)|フェルトに由来/ハハコグサ属
pensylvanicum : 米国ペンシルバニア(Pennsylvania)の

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷 2006.05.01
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 6 May 2006
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by pianix | 2006-05-06 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ウラシマソウ(浦島草)
 ウラシマソウ(浦島草)は、サトイモ科テンナンショウ属の多年草です。北海道南部から九州にかけて分布する日本の固有種です。和名は、花序から伸びる付属体を昔話「浦島太郎」の釣り糸に、葉を腰蓑に見立てたものです。

 サトイモ科(Araceae Juss. (1789))は、115属2000種以上が熱帯を中心に分布します。テンナンショウ属(Arisaema C.F.P. von Martius (1831))は、東アジア、東南アジア、北米、メキシコ、アフリカ東部などの熱帯や温帯に約150種、日本には約30種が分布します。テンナンショウ属は12節に分類されます(Murata 1992)。

 扁球形の球根(球茎)に子球を着け、根を出します。この球根・新芽・実にはサポニン類似成分が含まれ有毒です。食べると嘔吐や腹痛皮膚炎を起こします。雌雄偽異株という性質を持ち、性転換を行います。栄養状態が悪く球根が発達しない状態では雄株となり、発達すると雌株になります。花粉だけを作る雄株と異なり、結実させるには良好な栄養状態が必要で、その為に成熟した個体が雌株に性転換する事になります。

 葉は根生します。複数枚あるように見えますが1枚です。鳥の足のように深裂する鳥足状複葉1)です。葉柄は10~40cmで偽茎です。倒披針形の小葉は11~15個あり、頂小葉の長さは10~25cmになります。葉は、花よりも高い位置につきます。

 花期は、3月から6月頃。10~20cmの花茎を伸ばし、暗紫色の仏焔苞2)を付けます。長さは10~18cm程です。仏炎苞の上部には褐色でフードのような舌状の舷部があります。仏炎苞の中に肉穂花序3)を付けます。そこから糸状の付属体が伸びて垂れ下がり、長さ30~50cmになります。ほとんどの場合、仏焔苞より上にある葉まで上がり、そこでもたれ掛り、先端を垂れ下げます。

 虫媒花です。雄花の総苞には虫の出口が下部に用意されていますが、雌花の総苞は出口がありません。花粉を付けた虫が長く留まるようにする構造です。食虫植物ではありません。秋に仏炎苞が枯れて赤色の果実が現れます。液果で、トウモロコシのような集合果です。鳥類による種子散布が行われると考えられています。栄養繁殖と種子繁殖が行われます。染色体数は、2n=28。

 類似種に、ナンゴクウラシマソウ(南国浦島草)Arisaema thunbergii Bl. subsp. thunbergii や、矮性のヒメウラシマソウ(姫浦島草)Arisaema kiushianum Makino があります。また、仏焔苞に長い付属体のないものはマムシグサ(蝮草)Arisaema serratum (Thunb.) Schott か、その仲間です。 参考→スルガテンナンショウ(駿河天南星)

1)鳥足状複葉(とりあしじょうふくよう):葉身が2個以上に全裂した小葉があり、柄が鳥の足のように分かれている葉(pedately compound leaf)
2)仏炎苞(ぶつえんほう):仏像が背負う火炎状の光背を例えた名称。肉穂花序を包む大形の苞葉(spathe)
3)肉穂花序(にくすいかじょ):太い肉質の中軸の周囲に無柄の小花が密生するもの(spadix)

Japanese common name : Urashima-sou
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Arisaema thunbergii Blume subsp. urashima (H.Hara) H.Ohashi et J.Murata
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鳥足状複葉 複数見えるのが小葉

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糸状付属体が伸びるのが特徴

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左:雄花総苞下部にある虫の出口(開口部) 右:果実は液果で、種子は直径3~6mm


ウラシマソウ(浦島草)
サトイモ科テンナンショウ属
学名:Arisaema thunbergii Blume subsp. urashima (H.Hara) H.Ohashi et J.Murata
花期:3月~6月 多年草(球根) 草丈:30~60cm 苞長:10~18cm 花序長:30~50cm

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【学名解説】
Arisaema : Arum(植物名)の一種(aris)+haima(血)/テンナンショウ属
thunbergii : Carl Peter Thunberg (1743-1828)に因む
Blume : Carl Ludwig von Blume (1796-1862)
subsp. : subspecies(亜種)
urashima : ウラシマソウの略(日本名)
H.Hara : 原 寛 Hara Hiroshi (1911-1986)
H.Ohashi : 大橋広好 Hiroyoshi Ohashi (1936- )
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
J.Murata : 邑田 仁 Jin Murata (1952-)
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
C.F.P. von Martius : Carl (Karl) Friedrich Philipp von Martius (1794-1868)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.50km 左岸土手及び丘稜地 2006.04.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

22 April 2006
Last modified: 8 April 2010
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by pianix | 2006-04-22 00:00 | | Trackback | Comments(0)
スギ(杉)
 スギ(杉)は、ヒノキ科スギ属の常緑高木です。日本が原産で、秋田県以西から九州屋久島まで分布します。日本特産の針葉樹とされています。縄文時代には落葉樹と共に大森林を形成していた事が分かっています。名の由来は、まっすぐに伸びる意味の直木(すぐき)からスギに変遷したとの説があります。吉野杉、秋田杉、北山杉などの産地に因んだ銘木があり、推定樹齢2500年から3000年と言われる縄文スギは著名です。英名は、Japanese Cedar(日本杉)。

 旧スギ科(Taxodiaceae Saporta (1865))は、世界に10属16種程が分布します。日本にはスギ属(Cryptomeria D. Don (1838))のスギだけが自生します。現在は、ヒノキ科(Cupressaceae Gray (1822))に分類されます。

 樹皮は褐色で幹の樹皮は縦に裂けます。葉の先は針状に尖ります。花期は3月から4月頃まで。雌雄同株です。雌花は5mm程の球形で緑色です。雄花は楕円形で、小枝の先に多数が付きます。この雄花から黄色で33×39μm(最大値)程の花粉を大量に飛ばす風媒花です。VI級(26年生)以上のスギは花粉生産量が多いとされています。実は球果で直径15~25mm、緑色から熟して茶色になります。染色体数は、n=11, 2n=22。品種により異なり、2n=2x=22, 2n=3x=33, 2n=4x=44。

 スギの人工林が展望無く多く作られ、花粉症の被害が広がりました。商業的に成長が早いスギを安易に植林したのが原因です。森の自然体系を守るには、間伐は必要な事です。実は、森を守るには大変な労力が必要なのです。林野庁は、スギ林の中から雄花が多い木を選び伐採する計画を実施しています。スギ花粉にアレルギーを持つ人の多くがヒノキ花粉でもアレルギーを起こす事が分かっています。一度に全てを伐採してしまいたい花粉症患者もいる事でしょう。しかし、大規模な大量伐採が行われると山肌が地崩れを起こすなどの自然災害を誘発する事になります。伐採した木材の利用を確保し、植林をしながら進めなければいけないので経費もかさみます。問題点は、林業に活力がない事です。外材に押され、売れば赤字がかさむという状況があります。

 有益な森林を伐採する愚かさも過去にはありました。南方熊楠1)は、神社合祀反対運動を起こしました。鎮守の森の木が商業目的で合法的に伐採されて行くのに反対したものです。また、森林伐採や隠花植物、及び粘菌が絶滅することを危惧したのですが、その結果、投獄に至りました。彼の粘り強い働きのお陰で、森は禿山にならなかったと言えるほどです。日本でのエコロジー先駆者と言われています。彼の訴えで残った巨木「野中の一方杉」は熊野古道の名所の一つです。森は河川流域だけでなく海にまで影響を及ぼします。その為、現代人が真剣に考えなければならないエコロジーの原点と言えます。

 杉は諸外国でも有用な建築材料です。聖書には、ソロモン王がレバノンスギ2)で宮殿を建てた記述があります。「彼は神殿の内壁を床から天井の壁面までレバノン杉の板で仕上げ、内部を木材で覆った。神殿の床にも糸杉3)の板を張り詰めた。また、神殿の奥の部分二十アンマに床から天井の壁面までレバノン杉の板を張って、内部に内陣、すなわち至聖所を造った。 」列王記6章15~16節(新共同訳聖書)。ただし、このレバノンスギは、マツ科ヒマラヤスギ属の針葉樹です。

★  ★  ★

 私は、入浴中に新聞を読みます。それが習慣になってしまっています。新聞は隅から隅まで、一部数字の羅列欄を除いて読みます。野草観察から帰っても風呂に入ります。花粉取りシャンプーも用意して使っています。花粉を家の中にばらまかない為です。私自身は、花粉の吹き飛ぶ河川敷に長くいても全く大丈夫なのですが、家族には気を遣います。

1)南方熊楠 Kumagusu Minakata (1867-1941)
2)レバノンスギ(Lebanon杉):マツ科ヒマラヤスギ属 Cedrus libani A. Rich. 1823
3)イトスギ(糸杉):ヒノキ科イトスギ属/ホソイトスギ Cupressus sempervirens L.

Japanese common name : Sugi
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Cryptomeria japonica (L. fil.) D. Don

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【上段】 雄花。 【下段】 左:球果 右:樹皮
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スギ(杉)
ヒノキ科スギ属
学名:Cryptomeria japonica (L.f.) D.Don, 1839
花期:3月~4月 常緑高木 樹高:30~40m 果期:9~10月

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【学名解説】
Cryptomeria : cryptos(隠れた)+meris(部分・関節・突起)/スギ属
japonica : japonicus/japonicum(日本の)
L.f. : Carl von Linne, filius (1741-1783)
D.Don : David Don (1799-1841)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.50km 左岸 2006.03.02
牛ヶ峰(高山) 2008.03.21, 2015.01.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

11 March 2006, 13 January 2015
Last modified: 20 January 2015
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by pianix | 2006-03-11 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツクシ(土筆)
 ツクシ(土筆)は、スギナ(杉菜)の胞子茎で、トクサ科トクサ属の1年草です。北半球の暖帯から寒帯にかけて広く分布しま、日本では全国に分布すろ在来種です。名の由来は多くあります。スギナに付いているので「付子」、土から出る様子から「突く子」等です。「土筆」は、形状が筆に似ている事から充てられた漢字です。馴染みが深い事から、全国的に方言が多数あります。

 ちなみに、トクサ目の化石にカラミテス(ロボク)(Calamites suckowi Brongniart)があります。古生代ペルム紀(約2億9000万年前)に栄え、今は絶滅していますが、高さ30m、直径30cmもの巨木でした。トクサ科(Equisetaceae A.Michaux ex Alph. de Candolle, (1804))は、トクサ属(Equisetum L. (1753))の1属だけがあり、約15種が北半球の温帯地域に分布します。

 同じ地下茎からスギナとツクシは出ます。この二つを地上茎と言います。スギナは光合成により栄養を作る事から栄養茎と呼び、ツクシは繁殖の為の胞子を作る事から胞子茎と呼びます。胞子茎は、光合成をする事が無く、分岐もしません。ツクシの茎は、節間と呼ばれる縦に伸びる柱が集まってできています。途中に葉鞘(ようしょう)と呼ばれる袴が付いています。茎を囲んでいる葉の事です。

 茎の先端に胞子嚢が集まった胞子嚢穂(ほうしのうすい)を付けます。いわゆるツクシの筆部分です。胞子嚢には緑色の胞子が入っています。胞子は、大胞子・小胞子があり、雌雄の別があります。球形で4本の紐が付いています。胞子嚢穂の表面は六角形状をした胞子葉の集まりで、成長と共に間隔が開き始め、そこから胞子嚢に含まれていた胞子が飛び立ちます。この胞子によって繁殖します。ツクシが枯れてからスギナが芽生えてきます。スギナを乾燥させたものを生薬の問荊(もんけい)として利尿、入浴剤等に用います。染色体数は、n=108、2n=216。

 ツクシは食用になります。しかし、途中に幾つかある袴取りが面倒です。この袴には胞子が溜まっている事が多く、爪の間に入り込んで真っ黒にしてしまいます。数が必要ですから簡単に下準備ができるわけではありません。そのままにしておくと翌日には茶色の溶けた状態になってしまいますから、使う分だけ処理をしたほうが良いでしょう。冷凍保存も変色するので注意が必要です。袴を取ったツクシは、まるでモヤシです。水洗いや灰汁抜きの為に茹でる必要もあります。それから調理します。過去2年間、私だけでなく家族全員に食べてもらいました。好評なのは天ぷらでした。しっかりと灰汁抜きしてあれば苦味もありません。誰も腹痛を起こしませんでした。一雨降った後のツクシは急激に伸びますから、このような日を選んで採取すると楽です。

 日大産官学連携知財センター(NUBIC)が、製薬会社の池田薬草と協力して、スギ花粉症に効くと言われる「つくし飴」を発売しています。ツクシのエキスを配合したもので、6割の人に効果が現れ、即効性もあるとの事。そのような人には、ツクシ料理もありがたいかもしれません。
◆   ◆   ◆

 家族は勉強に精を出しています。以前、家内が医学用語をたびたび尋ねて来るので不審に思っていたら、受かる筈のない試験の為に勉強をしていることが分かりました。それにまぐれで合格したのに気を良くし、今年も他の試験に挑戦しています。これに筆記合格したと喜んでいます。次に実技試験が迫っているようです。長女は難関の試験を受けようと勉強しているようです。長男は博士論文の追い込みに忙しい(ようです)。(ようです)は、私は目撃していないから分からないのです。そして私は、時間さえあれば草花と遊んでいます。一人だけ我が家の勉強ブームから取り残されています。これで良いのかと悩みます。悩んでも仕方ないので草花と遊ぶ事にしています(?)。引き戻されるのが嫌なので、携帯電話を持つ事を拒絶しています。野草観察は、実に資格に結びつかない趣味ですが、人間性には少しプラスになるのではないかと思っています。とか言いながら、それは、強制される勉強は昔も今も嫌いだとの逃げ口上かもしれません。

Japanese common name : Tukusi
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Equisetum arvense L.

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左:胞子嚢穂の開き初め 右:胞子嚢穂の各段がほぼ開いた状態
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スギナ

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胞子嚢の緑色胞子。茶色の部分が胞子葉。

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左:胞子嚢穂の切断面 右:胞子を排出した後


ツクシ(土筆)
【スギナ(杉菜)の胞子茎】
トクサ科トクサ属
学名:Equisetum arvense L.
花期:3月~4月 多年草 草丈:10~20cm

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【学名解説】
Equisetum : equus(馬)+saeta(刺毛)/トクサ属
arvense : arvensis(可耕地の・原野生の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.25km 左岸土手 2006.02.23
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2007.03.06
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2007.03.09
安倍川6.5km支流/辰起川 2007.03.09
安倍川/河口から11.25km 左岸土手 2007.03.28
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First draft: 24 February 2006
Last modified: 31 March 2014
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by pianix | 2006-02-24 00:00 | | Trackback | Comments(4)