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ヒメガマ(姫蒲)-3/種子の自然散布
 ヒメガマ(姫蒲)は、ガマ科ガマ属の多年草です。温帯から熱帯に広く分布し、日本でも北海道から西南諸島の水辺に多く生育する水生植物です。それらは湿性植物・抽水植物・浮葉植物・沈水植物・浮漂植物などに別れます。ヒメガマは抽水植物で、挺水植物とも言います。根が水に浸かった地に張り、茎や葉の一部が水上に出る植物の事です。当然ながら根は水没しているわけで、根に酸素を供給する必要があるため、茎には通気組織があります。これらの抽水植物は、近年の環境変化により、多くが消滅の一途を辿っています。

 その昔は、安倍川流域にもたくさんのガマやヒメガマが存在していましたが、現在は激減し、探し出すのが難しい状態です。細々と小さな群生をしている箇所でヒメガマを採取して屋内で保存していました。それがある日、爆発したような状態で種子が飛び出してきたので驚いた事があります。生育地で実際に種子を出している所を見た事がありませんでしたから、何度も観察に出かけました。そしてついに、それを見る事ができました。綿毛の付いた種子が北風に乗って舞い立つ姿を見たのです。誇らしげなヒメガマの姿でした。

 ヒメガマは、ガマと草丈が同じくらい(150~200cm)です。異なるのは、ガマに比べて葉の幅が狭く6~10mm程しかないことです。男性的なガマに対比させて、ほっそりしている形態から女性的と例え、「姫」が冠せられました。雄花穂と雌花穂がつきますが、ガマが接触するのに対し、ヒメガマは5cm程離れています。雄花穂が先に脱落しますが、穂があった部分の茎色が変色していますから、ガマかヒメガマかを区別できます。

 なお、園芸店でヒメガマと称して出回っているのは、ティファ・ミニマ(Typha minima)という草丈80cm程の小型種である場合が多いようです。

参考ヒメガマ(姫蒲)-1 ヒメガマ(姫蒲)-2/種子の室内散布

Japanese common name : Hime-gama
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Typha domingensis Pers.


ヒメガマ(姫蒲)
英名:narrow-leaved cattail
ガマ科ガマ属
学名:Typha domingensis Pers.
花期:6月~8月 多年草 草丈:150~200cm

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【学名解説】
Typha : tiphos(沼)/ガマ属
domingensis : domingo+ensis(中米サンドミンゴの)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km 右岸河川敷 2006.01.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

11 January 2006
Last modified: June 11, 2008
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by pianix | 2006-01-11 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ユズリハ(譲葉/交譲木/楪)
 ユズリハ(譲葉/交譲木/楪)は、ユズリハ科ユズリハ属の常緑高木です。福島県以西に分布し、太平洋岸の暖地に生育する常緑高木です。ユズリハ科(Daphniphyllaceae Muller Argau, in Candolle, 1869)には10属があり、ユズリハ属(Daphniphyllum Blume, 1826)には約10種があります。名の由来は、新しい葉が出揃うと古い葉(2年葉)が後を譲るように一斉に落葉する事から。新旧の交代が限りなく続くようにとの願いを込めて、縁起物として正月の飾りに使われました。

 雌雄異株で、雌花は花弁と萼片を欠く小さな緑色、雄花は暗赤色です。新しく出た葉の付け根に付きます。葉は長楕円形で、長さ20cm程。厚く光沢があり、互生し放射状に取り巻きます。新しい葉は上向きに、古い葉は垂れ下がります。葉枝は赤くなります。アルカロイドを含み、動物(牛)の中毒事例(北海道・静岡)が報告されています。果実は赤く、熟すと黒藍色になります。

 庭木として利用されます。変種として、矮性(樹高2m程度)のエゾユズリハ(蝦夷譲葉)D. macropodum Miq. var. humile (Maxim.) Rosenth.もあります。古来は「ゆずる葉」として、万葉集に「あど思へか阿自久麻山のゆずる葉の含まる時に風吹かずかも」(巻十四、三五七二)と詠まれています。                       

Japanese common name : Yuzuri-ha
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Daphniphyllum macropodum Miq.


ユズリハ(譲葉/交譲木/楪)
ユズリハ科ユズリハ属
学名:Daphniphyllum macropodum Miq.
花期:4月~5月 常緑高木 樹高:4~10m 総状花序:4~8cm 雌花:7mm 果期:10~11月

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【学名解説】
Daphniphyllum : daphne(月桂樹の古名)+ phyllon(葉)/ユズリハ属
macropodum : 長柄の/太い軸の
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)

撮影地:静岡県静岡市
西ヶ谷総合運動場(植栽) 2005.11.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 11, 2008
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by pianix | 2005-12-31 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キンエノコロ(金狗尾)
 秋の風情を醸し出すエノコログサの仲間は幾つかあります。エノコログサ(狗尾草)、アキノエノコログサ(秋の狗尾草)、キンエノコロ(金狗尾)です。キンエノコロと思いながら、写真を見て花穂(かすい)の垂れ下がり方が気になりはじめました。その時に採取してくれば問題は無かったのです。再度確認に出かける事になりました。

 撮影地点へ行くと、そこにはエノコログサの形跡がありません。草刈りされたのかと驚きました。しばらくしてから撮影ポイントが若干ずれていた事に気が付き、無事探し当てる事ができました。

 草丈の実測をしました。86cmありました。色からしてキンエノコロだと思ったのですが、花穂が垂れ下がるのはアキノエノコログサです。二つを比べてみると、アキノエノコログサの花穂のほうが大きく、比べものにならないほど垂れて湾曲しています。葉は似たような長さでしたが、幅がアキノエノコログサのほうが広いのが明らかです。面白い事に、葉表を撫でると、どちらも付け根方向に滑りません。細かな逆毛があるようです。

 キンエノコロで良かったようです。逆光で撮影すると、よく分からなくなる事があるので、確認を怠らないようにする必要がありまが、その失敗例でした。エノコログサに似ていますが、枝分かれが少なく、花穂には黄金色の剛毛が密生しています。花穂の向きは、ほぼ直立か湾曲が僅かにある程度です。

 近くにはチカラシバ(力芝)も咲いていました。チカラシバは形状は似ていますがイネ科チカラシバ属です。採取してきた幾つかを眺め、小穂を接眼鏡で観察するなどしました。ありふれたエノコログサの仲間ですが、ずいぶんと楽しめました。それにしても気温が下がって肌寒くなっているこの頃です。急に秋が来た感じがします。

 類似種に、コツブキンエノコロ(小粒金狗尾)Setaria pallidefusca (Schumach.) Stapf et C.E.Hubb. があります。

【イネ科】
参考:スズメノカタビラ(雀の帷子) ジュズダマ(数珠玉)

Japanese common name : Kin-enokoro
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Setaria pumila (Poir.) Roem. et Schult.


キンエノコロ(金狗尾)
イネ科エノコログサ属
学名:Setaria pumila (Poir.) Roem. et Schult.
synonym : Setaria glauca (L.) P.Beauv.
花期:8月~10月 1年草 草丈:50~90cm 花穂長:3~10cm 花径:2~3mm

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【学名解説】
Setaria : seta(剛毛)/エノコログサ属
pumila : pumilus(小さい)
Poir. : Jean Louis Marie Poiret (1755-1834)
Roem. : Johann Jacob Roemer (1763-1819)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Schult. : Josef August Schultes (1773-1831)
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glauca : glaucus(白粉を被ったような)
L. : Carl von Linne(1707-1778)
P.Beauv. : Ambroise Marie Francois Joseph Palisot de Beauvois(1752-1820)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2005.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

28 September 2005
Last modified: 24 June 2016
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by pianix | 2005-09-28 00:00 | | Trackback | Comments(4)
ヒメガマ(姫蒲)-2/種子の室内散布
 9月7日。ちょうど後一ヶ月で、私の歳が一つ繰り上がるなと考えていました。年齢に応じた生き方ができているのだろうかと自省してしまいました。そんな事を考えながら部屋に入ると、異変に気が付きました。片隅に置いてあったヒメガマ(姫蒲)が爆発したような形状になっていたのです。びっくりして、自分の年齢なんてどこかへ吹っ飛んでしまいました。また、ちょうどこの日、朝日新聞朝刊「花おりおり」にヒメガマが掲載されていましたからタイミングが良いというか、ヒメガマのアピール度が増したのは言うまでもありません。

 花が終わった頃、採取してきたものです。雄花穂は脱落して軸だけが残り、下部の雌花穂は赤褐色の鮮やかさが失われて見栄えが悪くなっていました。昨日まで何事もなかったのに、一部が爆発したように爆ぜ、長い綿毛を持つヒメガマの種子が飛び出してきたのです。この綿毛が風に吹かれて飛んでいくのでしょうが、はてさて、部屋の中で種を出して、ヒメガマも困惑しているかもしれません。小さな子供達は種を蒔くと言い出しましたが、果たして成長するものなのかどうか、理科の実験材料となりそうです。

参考:ヒメガマ(姫蒲)-1 ヒメガマ(姫蒲)-3/種子の自然散布

Japanese common name : Hime-gama
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Typha domingensis Pers.


ヒメガマ(姫蒲)
英名:narrow-leaved cattail
ガマ科ガマ属
学名:Typha domingensis Pers.
花期:6月~8月 多年草 草丈:150~200cm

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【学名解説】
Typha : tiphos(沼)/ガマ属
domingensis : 中米サンドミンゴの(domingo+ensis)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)

撮影地:撮影地:静岡県静岡市
自宅 2005.09.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 9 September 2005
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by pianix | 2005-09-08 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(2)
ヒメガマ(姫蒲)-1
 古事記の時代から知られている植物で、その時代は「カマ」と呼ばれ、転訛(てんか)して現在のガマになったようです。ヒメガマは、二つの穂の間が5cm程開いています。上が雄花穂、下が雌花穂です。雄花穂から先に散ります。

 安倍川流域で見た事がなかったので、私は喜びました。見た途端に思い起こしたのは、若い人たちが「フランクフルト」に似ていると言っていた事でした。確かに、そう言えなくもありません。水辺のフランクフルト「ガマ」は、若い人にも興味を持たせる程の面白い形であるようです。

 花粉を蒲黄(ホオウ)と称し、外用して止血薬、漢方では内用して消炎利尿薬とします。英名は、southern cattail。

参考:ヒメガマ(姫蒲)-2/種子の室内散布 ヒメガマ(姫蒲)-3/種子の自然散布

Japanese common name : Hime-gama
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Typha domingensis Pers.


ヒメガマ(姫蒲)
ガマ科ガマ属
学名:Typha domingensis Pers.
花期:6月~8月 多年草 草丈:150~200cm

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【学名解説】
Typha : tiphos(沼)/ガマ属
domingensis : 中米サンドミンゴの(domingo+ensis)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km 右岸河川敷 2005.07.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 19 July 2005
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by pianix | 2005-07-19 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)