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スルガテンナンショウ(駿河天南星)
 スルガテンナンショウ(駿河天南星)は、サトイモ科テンナンショウ属の多年草で、日本原産の在来種です。国内分布は、中部地方の太平洋側山地で、東海地方特産です。マムシグサ(蝮草)の仲間で、ムロウテンナンショウ(室生天南星)の亜種です。名の由来は、旧国名の駿河(静岡県)で見出されたテンナンショウであることから。天南星1)は漢名で、白色星を意味し、白色の球茎を見立てたものと言われています。英名は、Jack in the pulpit。

 サトイモ科(Araceae Juss. 1789)は、115属2000種以上が熱帯を中心に分布します。テンナンショウ属(Arisaema C.F.P. von Martius, 1831)は、東アジア、東南アジア、北米、メキシコ、アフリカ東部などの熱帯や温帯に約150種、日本には約30種が分布します。テンナンショウ属は12節に分類されます(Murata 1992)。

 山の林内に生えます。地下部に球茎があります。茎は直立し、高さは最小で15cm、普通は50cm程です。細い茎の回りを、1~2枚の葉鞘からなる偽茎が取り巻いています。偽茎にはマムシ(蝮)のような紫褐色のまだら模様があります。筒状の苞葉頂部から葉と花序を展開します。葉は2個つき、小葉は鳥足状複葉2)です。葉に斑が入る場合もあります。

 花期は3月から4月頃。仏炎苞3)は淡緑色で白い筋が先端に向かって走り、前方に折れ曲がって舌状の舷部となり附属体を覆います。仏炎苞の内側には乳状突起があります。ホソバテンナンショウ(細葉天南星)に外観が似ています。それらの附属体は棍棒状あるいは棒状ですが、本種の附属体は先端が膨らみ前方に傾斜するのが大きく異なる部分です。附属体の下に附属体の柄があり、花は附属体の柄の下にあります。肉穂花序で、花軸に密着してつきます。

 雌雄異株で、環境によって性転換します。性は地下にある球茎の重さによって決まります。テンナンショウの場合、球茎が4g以下が無性、21gまでが雄、それ以上は雌。球茎にはシュウ酸カルシウムが含まれていて有毒です。雄花と雌花の花被はありません。虫媒花で、媒体の多くはハエ類です。仏炎苞の形状によって虫を内部に閉じ込め、受粉確率を高めていると考えられています。雄性の仏炎苞には下部に開口部があり脱出できますが、雌性の仏炎苞では閉じこめられます。秋に仏炎苞が枯れて、朱赤色の果実(液果)が現れます。

1)竜骨座(Carina)のα星・カノープス(Canopus)
2)鳥足状複葉=とりあしじょうふくよう(pedately compound leaf):葉身が2個以上に全裂した小葉があり、柄が鳥の足のように分かれている
3)仏炎苞(spathe):肉穂花序(花軸に密集してつく小花)を囲むように発達した苞葉。形状が仏像の光背の炎形に似るため。

参考:ウラシマソウ(浦島草)

Japanese common name : Suruga-ten'nansyou
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Arisaema yamatense (Nakai) Nakai subsp. sugimotoi (Nakai) H.Ohashi et J.Murata

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左:(1) マムシ模様の偽茎が立ち上がる。 右:(2) 葉が開く前。
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▲上から見た鳥足状複葉

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左:附属体は先端が膨らみ傾斜する。 右:仏炎苞合わせ目の一部が開いている雄株。

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左:雌株   右:雄株
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斑が入る葉もある

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左:果実は液果の集合果2007.10.05 右:冬に赤く熟した果実が脱落 2006.11.28


スルガテンナンショウ(駿河天南星)
サトイモ科テンナンショウ属
学名:Arisaema yamatense (Nakai) Nakai subsp. sugimotoi (Nakai) H.Ohashi et J.Murata
花期:3月~4月 多年草 草丈:20~100cm 雌雄異株

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【学名解説】
Arisaema : Arum(植物名)の一種(aris)+haima(血)/テンナンショウ属
yamatense : ヤマトの
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
subsp. : subspecies(亜種)
sugimotoi : 杉本順一 Junichi Sugimoto (1901-?) 杉本氏の
H.Ohashi : 大橋広好 Hiroyoshi Ohashi (1936- )
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ)
J.Murata : 邑田仁 Jin Murata (1952- )
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
C.F.P. von Martius : Carl (Karl) Friedrich Philipp von Martius (1794-1868)

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Sendai-Yama, Alt.226m) 2007.03.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First draft: 4 April 2007
Last modified: 8 April 2014
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by pianix | 2007-04-04 00:00 | | Trackback(1) | Comments(2)
キチジョウソウ(吉祥草)
 キチジョウソウ(吉祥草)は、キジカクシ科キチジョウソウ属の多年草です。日本や中国(南部~東南部)に分布します。国内では、関東地方以西から四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、吉事があると開花すると言う伝説から。吉祥は、よい前兆とか、めでたいきざしの事。稀に花を咲かせるような錯覚を起こさせるのは、葉に埋もれて花を咲かせるので目に付きにくいというのが一因かもしれません。吉祥草は漢名。英名は、Pink Reineckea。

 APG植物分類体系ではキジカクシ科(Asparagaceae Juss. (1789))で、約300種が分布します。旧分類のユリ科(Liliaceae Juss. (1789))は、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。キチジョウソウ属(Reineckea Kunth, 1844)は1属1種。

 暖地の半陰地になる林内に自生します。根茎は地面を這って伸び、群落を作る事があります。葉は根生し、常緑で束生します。明るい色をした緑色で3~5本の平行脈があります。広線形で長さ10~30cm、幅0.5~2cm。花茎は帯紅色で8~12cmになり、3~8cmの穂状花序に淡紅紫色の花を付けます。花被片は6個で、長さ8~12mm。花被片内側は白色。花径は約1cm。上半部は反り返り、雄しべや花柱を突出させます。下半部は合着して筒状となります。

 雄花と両性花があります。雄しべは6個。花序の上側につく雄花は、雌しべが退化して雄しべだけがあります。花序の下側につく両生花の花柱は、雄しべよりも長く突き出ます。子房上位。果実は液果です。6~9mmの球形で、熟すと赤くなります。性質は強健、繁殖力は旺盛です。観葉植物としての植栽は多いですが、自生は少ないかもしれません。

Japanese common name : Kitijou-sou
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Reineckea carnea (Andrews) Kunth

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左:全体:上に雄花、下に長い花柱を持つ両生花が付く 右:赤く熟した果実


キチジョウソウ(吉祥草)
キジカクシ科キチジョウソウ属
学名:Reineckea carnea (Andrews) Kunth
花期:8月~10月 多年草 草丈:10~30cm(花茎8~12cm) 花径:1cm

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【学名解説】
Reineckea : Johann Heinrich Julius Reinecke (1798-1871)に因む/キチジョウソウ属
carnea : carneus(肉色の・肉紅色の)
Andrews : Henry Charles Andrews (fl. 1794-1830)
Kunth : Carl Sigismund Kunth (1788-1850)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.10.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

4 November 2006
Last modified: 10 November 2016
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by pianix | 2006-11-04 00:00 | | Trackback | Comments(0)
テリハノイバラ(照葉野茨)
 テリハノイバラ(照葉野茨)は、バラ科バラ属の落葉低木です。朝鮮半島、中国、日本に分布します。日本では、福島県以南の本州・四国・九州・沖縄に分布します。名は、葉に光沢があるノイバラ(野茨)の意味。別名のハイイバラ(這茨)は、匍匐性である事から。イバラ(茨)は、棘のある低木の総称で、省略してバラとなったと言われています。「薔薇」は漢名で、ソウビと読まれていました。薔薇は茨城県の県花で、字の如く、茨で城を築いた事に由来します。英名は、Memorial Rose。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、ほぼ全ての大陸(南極を除く)に、107属3100種が分布します。バラ属(Rosa L. (1753))は、北半球の亜寒帯から熱帯山地に約200種の野生種があり、日本には11種と3変種の野生種が存在します。園芸品種は10000以上があります。

 茎は、匍匐性で地を這って伸び、枝分かれします。緑色あるいは赤褐色で無毛、鉤状の棘があります。葉は互生します。奇数羽状複葉で、小葉は2~4対で5~9枚あります。広倒卵形から倒卵状楕円形で長さ1~2cm。表面は濃緑色、裏面は淡緑色で両面とも光沢があり無毛です。鋸歯があり、葉先は鈍頭。葉柄の基部に托葉があります。

 花期は6月から7月頃で、枝先に1から数個、白色の5弁花を円錐花序につけます。花弁は先端がへこむ倒卵形。平開し、直径30~35mm。萼片は5個で卵形。雄しべは多数、花柱は白色の毛があります。

 果実は偽果です。偽果とは、花床や花軸など子房以外の部分が加わってできている果実の事で、子房だけが発達したものを真果と呼んで区別します。径6~8mmの卵球形で熟すと赤くなります。生薬エイジツ(営実)の代用として使われます。挿し木で容易に発根します。接ぎ木の台木として使われ、蔓性園芸薔薇の元になっています。

Japanese common name : Teriha-noibara
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Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crèp.

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左:(480x640/37kb)            右: (480x640/28kb)
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ピンク種


テリハノイバラ(照葉野茨)
別名:ハイイバラ(這茨)
バラ科バラ属
学名:Rosa luciae Rochebr. et Franch. ex Crèp.
synonym : Rosa wichuraiana Crèp.
花期:6月~7月 落葉低木 樹高:15~50cm 花径:30~35mm 果期:10~11月

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【学名解説】
Rosa : ギリシャ語のrhodon(バラ)、ケルト語のrhodd(赤色)に由来/バラ属
Luciae : Paul Amedee Ludovic Savatier (1830-1891)の婦人、栽培家Luciaの
Rochebr. : Alphonse Tremeau de Rochebrune (1834-1912)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
ex : ~による
Crèp. : François Crépin (1830-1903)
---
wichuraiana : Max Ernst Wichura (1817-1866)の

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.06.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

19 June 2006
Last modified: 24 April 2014
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by pianix | 2006-06-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)
アオキ(青木)
 アオキ(青木)は、アオキ科(ミズキ科)アオキ属の常緑低木です。ヒマラヤ、中国南部、韓国の済州島と欝陵島、および台湾北端部、日本に分布する在来種です。当初は日本固有種とされてきました。日本には北海道西南部から沖縄にまで分布します。名の由来は、年中葉が青い事、あるいは枝が青い事から。

 アオキは地域的に分化していることが知られています。国内での分布状況1)は、太平洋側と日本海側で分化し、染色体レベルで東日本・西日本の分化があります。東北から四国東部の太平洋側には、2n=32の4倍体、中国と四国地方以西では、2n=16の2倍体です。東経134度付近を境界に、西側に2倍体、東側に4倍体が分布する事が分かっています。

 従来はミズキ科(Cornaceae Bercht. & J. Presl, 1825)とされてきましたが、ミズキとは関係がない事が近年分かり、APG植物分類体系ではアオキ科(Aucubaceae (Endl., 1850) J. Agardh, 1858)、あるいはガリア科(Garryaceae Lindl. (1834))とされています。アオキ科は、中国を中心に1科1属、約15種が分布します。従来のミズキ科は、北半球に10属約100種が分布します。アオキ属(Aucuba Thunberg (1783))は約3種が分布し、日本にはアオキが分布します。

 樹高が1~2mになる常緑低木で、耐陰・耐湿性があります。葉は対生します。光沢がある8~20cm程の長楕円形で、上半部に粗い鋸歯があり先端は尖ります。花期は3月から5月で、枝先端に円錐花序を付けます。雌雄異株の単性花です。雄株花序は7~15cm、雌株花序は2~5cmです。花は紫褐色で、稀に緑色がある4弁花で、6~10mmの大きさです。雄花は1mm程の雄しべ4本が花盤の縁にあり、葯の色は黄色です。雌花は緑色の花柱が1個あり、3mm程の子房があります。子房下位。

 果実は液果で15~20mmの卵形です。熟すと赤くなります。中には黄・白・橙となるものもあります。種子1個があります。染色体数は、2n=4x=32, 2n=2x=16。鳥により散布されます。

 1783年にヨーロッパへ雌株が、1860年に雄株が移入されました。庭園木として斑入り種が多く植栽されています。葉や果実にイリドイドのアウクビン(aucubin)が含まれます。民間薬として脚気・浮腫・膀胱カタル・利尿、外用として火傷・霜焼けに利用されてきました。

 アオキの仲間に、中国のシナアオキ(支那青木)Aucuba chinensis Benth.、ヒマラヤのヒマラヤアオキ(ヒマラヤ青木)Aucuba himalaica Hook.f. et Thomsonの他、日本海側の小型亜種ヒメアオキ(姫青木)Aucuba japonica Thunb. var. borealis Miyabe et Kudo があります。

1)「葉緑体DNA多型からみる日本列島広域分布種の分布変遷」 小石川植物園後援会ニュースレター2004 大井哲雄

Japanese common name : Aoki
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Aucuba japonica Thunb. var. japonica

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左:展開中の花。右:雄花は雄しべ4本が花盤の縁にあり、葯の色は黄色 (2014.04.16)
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雌株花序

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左:2012.3.1 《果実》 右:2006.2.13
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果実


アオキ(青木)
アオキ科アオキ属
学名:Aucuba japonica Thunb. var. japonica
花期:3月~5月 常緑低木 樹高:1~2m 花径:6~10mm 果期:12~4月 実径:15~20mm

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【学名解説】
Aucuba : 方言のアウクバから、アオキバ(青木葉|日本名)/アオキ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
var. : varietas(変種)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.50km 左岸土手 2006.04.20
安倍城跡(Alt.435m) 2012.03.01, 2014.04.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First draft: 16 May 2006, 27 March 2014
Last modified: 31 August 2016
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by pianix | 2006-05-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)
クロガネモチ(黒鉄黐)
 クロガネモチ(黒鉄黐)は、モチノキ科モチノキ属の常緑高木です。日本、中国、台湾からインドシナ半島北部にかけてが原産地です。日本では関東以西の暖地に分布します。名の由来は、葉柄や若枝が紫褐色で黒鉄に似て、葉が乾燥すると鉄色になる事からと言われています。英名は、クロガネ・ホーリー(kurogane holly)。

 モチノキ科(Aquifoliaceae Bercht. & J.Presl (1825))は、世界に4属450種程が知られていて、日本にはモチノキ属(Ilex L. (1753))のみの23種があります。セイヨウヒイラギ (西洋柊)と同じ仲間です。

 山野の明るいところに多く見られます。樹皮は滑らかで灰白色をしています。葉は濃緑で、革質で光沢があります。5~8cm程の楕円形全縁の葉を互生します。葉柄(ようへい・葉の柄の部分)は1~2cmで、やや紫色を帯びます。春に一斉に葉を落とします。

 5月から6月にかけて、葉腋(ようえき・葉が茎に付着する部分)から出た短い花柄(かへい・個々の花をつけている柄の部分)に、小さな目立たない淡紫色の花を集散花序に付けます。花弁は通常6枚ですが4~7枚の範囲にばらつきます。雌雄異株です。雌花の雄しべは退化して小さく、雄株は逆に目立ちます。果実は広楕円形で、6mm内外の赤い実を10月以降に付けます。この目立つ赤い果実が庭木としての価値を持ちます。冬の赤い実と言えば幾つかが挙げられますが、その筆頭といえます。果実は鳥が食べて種子を散布します。

 性質は強健ですが、寒さに弱いところがあります。街路樹や庭木に利用されます。果実を付けるのは雌株なので、植栽されるのは雌株が多いようです。繁殖は種まきか挿し木によります。

Japanese common name : Kurogane-moti
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Ilex rotunda Thunb.


クロガネモチ(黒鉄黐)
学名:Ilex rotunda Thunb.
モチノキ科モチノキ属
花期:5月~6月 常緑高木 樹高:5~18m 花径:5mm 果期:10~1月 実径:5~8mm

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【学名解説】
Ilex : holly(西洋柊)のラテン語古名/モチノキ属
rotunda : rotundus(円形の・丸味ある)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
葵区西ヶ谷/西ヶ谷総合運動場(植栽) 2005.11.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 01 February 2006
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by pianix | 2006-02-01 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ノイバラ(野茨)
 ノイバラ(野茨)は、バラ科バラ属の落葉低木です。北海道の西南部から九州にかけての低地や山地に普通に見られます。2n=14の染色体をもつ野生種です。日本には11種と3変種の野生種が存在します。これを大別して、花柱(雄しべの軸)が離れているか合着しているかで区別される2節があります。園芸種のもととなった原種は8種のみで、中近東のロサ・フォエティダ、ロサ・ダマスケナ、ロサ・ガリカ、ヨーロッパのロサ・アルバ、ロサ・センチフォリア、中国のコウシンバラ、日本のノイバラ、テリハノイバラです。

 ノイバラはノバラ(野薔薇)であって、野にある薔薇という意味ですが、茨は棘のある低木を指します。棘のある植物を有棘植物と言い、その棘により衣服を引っ掻き破くばかりか、怪我をしてしまう事もあります。ストラスブールの大学生だった21歳のゲーテは、牧師の娘フリーデリーケに恋し、失恋しました。これをもとにしたと言われる「野薔薇」は寓意的ですが、折られる事に抵抗するバラの棘は、生存競争の戦略武器です。この棘は葉が変形してできたものです。キリストが処刑される時に被されたイバラ(ヘブライ語でアタード)は、クロウメモドキ科のトゲハマナツメ(Zizyphus spina-christi L.)との説があり、ノイバラとは関係なさそうです。

 葉は互生し、奇数羽状複葉で小葉は5~9枚、浅い鋸歯を持ち先が尖ります。葉に光沢があり地を這うのはテリハノイバラ(照葉野薔薇)です。花は5弁の白色。地方により変種が存在し、関東・近畿・四国にはフジイバラ(富士茨)、中部以西・四国・九州にミヤコイバラ(都茨)、四国・九州にツクシイバラ(筑紫茨)、近畿地方以西にヤブイバラ(藪茨)が分布します。秋に赤く熟した果実(偽果)を乾燥させたものを、生薬(日本薬局方)のエイジツ(営実)として用います。ローズヒップ・ティーとしての利用もあります。挿し木で繁殖でき、園芸種の台木としても使われます。

Japanese common name : No-ibara
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Rosa multiflora Thunb.


ノイバラ(野茨)
別名:ノバラ(野薔薇)
バラ科バラ属
学名:Rosa multiflora Thunb.
花期:5月~6月 落葉低木 樹高:1~2m 花径:2cm 果期:9~11月

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【学名解説】
Rosa : ギリシャ語のrhodon(バラ)、ケルト語のrhodd(赤色)に由来/バラ属
multiflora : multiflorus(多花の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 左岸河川敷 2006.01.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 11, 2008
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ハナミズキ(花水木)/実
 ハナミズキ(花水木)は、ミズキ科ミズキ属(旧ヤマボウシ属)の落葉小高木です。北アメリカ原産で、明治中期に渡来しました。大正時代にワシントンのポトマック河畔に植栽された桜(ソメイヨシノ)の返礼として、1912年にアメリカから贈られた事があります。在来種のヤマボウシ(山法師)に対する呼び方として、アメリカヤマボウシ(亜米利加山法師)が使われてきました。ヤマボウシの名は、白い総苞を山法師の頭巾に見立てたものです。英名のdagwoodは短剣の木との意味で、古語のdagge(短剣、鋭く尖った物)に由来します。

 ミズキ科(Cornaceae Bercht. & J. Presl, 1825)は、北半球の温帯から熱帯に約14属100種、ミズキ属(Cornus L. (1753)) はアジア、アメリカの温帯に約60種が分布し、日本には5種が自生します。

 春の花は、葉が出る前に咲きます。花弁に見えるのは4枚の総苞片で、先端が窪んでいるところがヤマボウシと異なります。総苞片の中央に本当の花の集まりである花序があり、4枚の花弁と雄しべ4本があります。受精すると脱落しますが、総苞片は長い期間残る事になります。対生する葉は全縁で、明瞭な側脈があり、裏面には白色の毛があります。秋の紅葉も風情があります。実は核果で、赤色をしています。街路樹や庭木として植栽され、静岡市の花木にもなっています。

 花木としては強い性質を持っていますが、強風に弱く、潮風には特に弱いので浜辺の近くでは不向きです。通常は切り接ぎで繁殖させますが、種子捲きの場合は秋か春にします。種子の赤い果肉を取り除き乾燥させないように保存する必要があります。長雨時のウドンコ病には注意を要します。

 紅色種のベニバナハナミズキ(紅花花水木)があり、白花種とコントラストを付けて植栽されている場合があります。'Alba Plena' は八重咲き白花、'Cherokee Sunset' は斑入りの赤花、'Cherokee Chief' は濃紅色花、'Cherokee Princess' は白花、'Cloud Nine' は白色多花性、'Junior Miss' は淡紅色花、 'Red Giant' は紅花大輪、'Rainbow' は葉に黄色の斑入り、'Pendula' は枝が強く垂れる品種です。他に次のような品種があります。
'Apple Blossom' 'Cherokee Brave' 'Daybreak' 'Green Glow' 'Pink Flame'
'Purple Glory' 'Royal Red' 'Spring White' 'Sweetwater Red' 'World's Fair' 等。

参考:ハナミズキ(花水木)/花

Japanese common name : Amerika-yamabousi
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Cornus florida L.


ハナミズキ(花水木)
和名:アメリカヤマボウシ(亜米利加山法師)
ミズキ科ミズキ属
学名:Cornus florida L.
synonym : Benthamidia florida (L.) Spach
花期:4月~5月 落葉小高木 樹高:3~12m 花(総苞片)径:8~9cm 果期:10~11月

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【学名解説】
Cornus : cornu(角)に由来/ミズキ属
florida : floridus(花の目立つ・花の充満した)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
Benthamidia : George Bentham (1800-1884)に因む/ヤマボウシ属
Spach : Edouard Spach (1801-1879)

撮影地:静岡県静岡市
静岡市西ヶ谷総合運動場(植栽) 2005.11.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 11, 2008
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by pianix | 2006-01-08 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ナンテン(南天)
 ナンテン(南天)は、メギ科ナンテン属の常緑低木です。「難転」という読み替えで縁起を担ぎ、厄除けにするという縁起木としての取扱を受けています。縁起物は、この駄洒落が多いようです。それも我が国特有の語感を大切にする習慣を引き継いでいるためと思われます。万葉の時代には、言葉には霊力が宿るとされる「言霊(ことだま)」信仰がありました。言(こと)が事(こと)に通じるとの考えかたです。お祝いの席で不吉な語呂を持つ言葉を発しないように気を遣うのは、昔も今も変わらないようです。ナンテンの名前は、漢名の南天竹を日本語読みにしたものです。日本・中国・インドが原産地で、国内では本州中部以南に分布します。

 花は初夏に小さな白い花をたくさん付けます。茎は、樹木と異なった構造をしている事から、草質が堅くなった見せかけの木と言われます。根本から多数に分岐します。緻密堅牢な性質なので、床柱・壁止めとしての利用もあります。京都金閣寺や柴又帝釈天題経寺では、皮肌を生かした床柱として使用されていますが、珍しい例とされます。薬用として、咳止めや強壮剤として利用されます。

 葉は複葉で、互生します。葉が、赤飯の上や魚料理に飾られている事がありますが、解毒作用があるからです。ナンテンチクヨウ(南天竹葉)という生薬として利用されます。また、祝儀に用いる時は葉表を、不祝儀では葉裏を添えるという風習もあるようです。果実は渋みがあり、薬効も強めです。南天実(なんてんじつ)として咳止めに利用されます。どの部位も薬用に用いられますが、ナンテニンというアルカロイドを含むため、多量の摂取は麻痺を引き起こすので注意を要します。

Japanese common name : Nanten
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Nandina domestica Thunb.


ナンテン(南天)
メギ科ナンテン属
学名:Nandina domestica Thunb.
花期:6月~7月 常緑低木 樹高:100~200cm 花径:6mm
果期:11~2月 実径:6~7mm

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【学名解説】
Nandina : 南天/ナンテン属
domestica : domesticus(国内の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)

撮影地:静岡県静岡市
藁科川(安倍川水系) 河口から2.0km 右岸土手 2005.11.24
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 14, 2008
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by pianix | 2005-12-14 00:00 | | Trackback | Comments(1)
カラスウリ(烏瓜)-2
 カラスウリ(烏瓜)は、ウリ科カラスウリ属の多年草です。実は知っているのに、花を見た事がないと言う人は結構多いようです。花は、夏場の夕方から咲き始めるので、見る機会が限られるのだと思います。白いレースのような幻想的な花で、夜明け前には萎んでしまいます。

 対して、実は赤く熟れ、目立ちます。実の成り初めは緑色で縞模様があり、小型の瓜そっくりです。スズメウリ(雀瓜)に比べて、実が大きいのでカラスウリと名が付いています。カラスやスズメは大きさを表しています。強烈に苦くて食べられないそうですが、中を割って見ても食べる部分が無く、納豆状に種子が入っているだけです。それでも鳥は突く事があるそうです。

 種子はカマキリの頭のような形をしています。打ち出の小槌、米俵に乗った大福様と見方は色々で、財布の中に入れておく縁起物として使われたようです。別名のタマズサ(玉章)は、種子の形が結び文(手紙)に似るところから来ています。

 茎が膨れて捻れているのを見ることがありますが、カラスウリクキフクレフシ(烏瓜茎膨五倍子)で、ハエ目(双翅目)タマバエ科のウリウロコタマバエ(瓜鱗玉蠅)Lasioptera sp. の虫瘤です。

参考:カラスウリ(烏瓜)-1(花)

Japanese common name : Karasu-uri
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Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim. ex Franch. et Sav.
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実の中身
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カマキリの頭のような形をした種子

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瓜に似た縞模様があり、熟す毎に色が変わり完熟すると縞模様はなくなる


カラスウリ(烏瓜)
別名:タマズサ(玉章)
ウリ科カラスウリ属
学名:Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim. ex Franch. et Sav.
花期:8月~9月 多年草 草丈:蔓性 花序径:2~10cm

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【学名解説】
Trichosanthes : trichos(毛)+anthos(花)/カラスウリ属
cucumeroides : Cucumis(キュウリ属)に似た
Ser. : Nicolas Charles Seringe (1776-1858)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
ex : ~による
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Sav. : Paul Amedee Ludovic Savatier(1830-1891)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.25km/左岸河川敷 2005.11.15
大道山(Alt. 448m) 2015.10.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

27 November 2005, June 21, 2008
Last modified: 22 October 2015
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by pianix | 2005-11-27 00:00 | | Trackback | Comments(6)
ツルウメモドキ(蔓梅擬)
 ツルウメモドキ(蔓梅擬)は、ニシキギ科ツルウメモドキ属の落葉低木です。山野に生育する落葉性の蔓植物です。しっかりとした茎を持っているので蔓植物に見えないかもしれません。よく見ると、枝の先端部分が蔓となって他の木に絡みついている事が分かります。生け花の花材として使われる事があります。

 雌雄異株で、雌花は花弁4枚の薄緑色をした6mm程の小さな花をつけます。雄花は8mm程で、5本の雄しべがあります。11月になると黄色の果実ができ、その仮種皮が3裂して光沢のある赤い実を現します。

 ウメモドキ(梅擬)に似た蔓植物ということから名前が付いています。ウメモドキは、その葉が梅に似ている、モチノキ科モチノキ属の植物です。赤い実を付けますが、ツルウメモドキのように仮種皮はありません。

 この時期になると、あらゆる所のツルウメモドキは枝を切り落とされ持ち去られているようです。生け花、リース材料、庭木、盆栽などに使われています。挿し木(密閉挿し)による増殖が可能です。

Japanese common name : Turu-ume-modoki
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Celastrus orbiculatus Thunb. var. orbiculatus


ツルウメモドキ(蔓梅擬)
ニシキギ科ツルウメモドキ属
学名:Celastrus orbiculatus Thunb. var. orbiculatus
花期:5月~6月 落葉低木 樹高:蔓性 花径:6~8mm 果期:10~12月 実:7~8mm

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【学名解説】
Celastrus : Celastros(西洋木蔦)からの転語。celasは晩秋の意/ツルウメモドキ属
orbiculatus : 円形の
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)/スウェーデンの植物学者
var. : varietas(変種)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11.75km 右岸河川敷 2005.11.01
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: June 22, 2008
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by pianix | 2005-11-09 00:00 | | Trackback | Comments(2)