タグ:赤色系 ( 63 ) タグの人気記事
イヌタデ(犬蓼)
 イヌタデ(犬蓼)は、タデ科イヌタデ属の1年草です。朝鮮・中国や千島・樺太に分布し、国内では北海道から沖縄までの全国に分布する在来種(史前帰化植物)です。名の由来は、ヤナギタデ(柳蓼)のような葉に辛み成分を持たず、香辛料として使えないので、役に立たない意味でのイヌ(犬)を付けたもの。通常、タデと言えばヤナギタデを指す事になります。別名のアカマンマ(赤まんま)は、花被を赤飯に見立てたもの。

 タデ科(Polygonaceae Juss. (1789))は北半球に約40属800種があります。タデ科の特徴は、葉柄の基部の托葉が茎を包む形の托葉鞘(たくようしょう)となる事です。イヌタデ属(Persicaria (L.) P. Miller, 1754)は北半球に約100種あり、日本には約30種があります。旧属名はPolygonumで、polys(多い)+ gonu(節)の意味を持ち、節が関節のように膨れる事に因みます。

 茎は赤味を帯びます。下部は地を這い、節から根を出し、高さ20~50cmになります。葉は互生します。長さ3~8cm、幅1~2.5cmの広披針形から披針形で、先端が尖ります。葉表の縁や裏面の葉脈上に毛があります。托葉鞘は筒形で長さ7~8mm、托葉鞘と同じ長さの剛毛が縁に付きます。

 花期は、7月から11月頃。茎の先に1~5cmの穂状花序を出し、紅色の花を多数付けます。稀に白花種があります。花弁に見えるのは萼が5裂したもので、花弁はありません。花被の長さは1.5~2mm。雄しべは通常8個、雌しべの柱頭は3裂します。果実は痩果です。花後の花被が痩果を包みます。種子は3稜形で、光沢がある黒色です。染色体数は、2n=40。

 類似種として、白花品種のシロバナイヌタデ(白花犬蓼)Persicaria longiseta (Bruijn) Kitag. f. albiflora (Honda) Masam. 、イヌタデよりも大きくなるオオイヌタデ(大犬蓼)Persicaria lapathifolia (L.) Delarbre var. lapathifolia があります。

Japanese common name : Inu-tade
e0038990_1993872.jpg
Persicaria longiseta (Bruijn) Kitag.

e0038990_1546570.jpge0038990_15461914.jpg

左:托葉鞘/10月 右:托葉鞘/12月

e0038990_15491478.jpge0038990_15492717.jpg
左:光沢がある黒い種子が見える 右:花
e0038990_15493917.jpg
シロバナイヌタデ(白花犬蓼)
Persicaria longiseta (Bruijn) Kitag. f. albiflora (Honda) Masam.


イヌタデ(犬蓼)
別名:アカマンマ(赤まんま)
タデ科イヌタデ属
学名:Persicaria longiseta (Bruijn) Kitag.
花期:7月~11月 1年草 草丈:20~50cm 花径:2~3mm 花序長:1~5cm

e0038990_2163229.gif

【学名解説】
Persicaria : persica(モモ)に似る/イヌタデ属
longiseta : longius(長い)+seta(刺毛)
Bruijn : Ary Johannesde Bruijn (1811-1895)
Kitag. : 北川政夫 Masao Kitagawa (1909-1995)
---
f. : forma(品種)
albiflora : albiflorus(白花の)
Honda : 本田政次 Masaji Honda (1887-1984)
Masam. : 正宗厳敬 Genkei Masamune (1899-1993)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.10.12 / 12.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

4 December 2006, 07 April 2014
Last modified: 16 June 2014
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-12-04 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ウナギツカミ(鰻攫)
 ウナギツカミ(鰻攫)は、タデ科イヌタデ属の1年草です。日本・朝鮮・中国・シベリアに分布します。国内では北海道から九州に分布します。名の由来は、茎に棘があり、ウナギ(鰻)でも掴む事ができるとの例えから。

 タデ科(Polygonaceae Juss. (1789))は北半球に約40属800種があります。タデ科の特徴は、葉柄の基部の托葉が茎を包む形の托葉鞘となる事です。イヌタデ属(Persicaria (L.) P.Miller, 1754)は北半球に約100種あり、日本には約30種があります。

 水湿地に生育します。茎は4稜(断面が四角形)があります。地を這い、分枝しながら茎や葉柄にある下向きの棘によって他の植物に引っ掛けながら成長し、高さ60~100cmになります。葉の付け根にある托葉鞘1)は、長さ0.7~1cmの筒形。葉は、互生します。長さ5cm~10cmの卵状披針形から長被針形で、先端は鋭頭、基部が耳状に張り出し茎を取り巻くような形の、やじり(矢尻|鏃)形です。せんけい(箭形)とも言います。

 花期は7月から11月頃。茎の先端や葉腋から枝分かれして、その先端に小花が数十個集まった頭状花序を出します。花柄は無毛。小花は花弁はなく、白色で先端が淡紅色の深く5裂した萼の花被があり、花径は3~4mm。果実は痩果です。染色体数は、2n=36。

 類似種に、
シロバナウナギツカミ(白花鰻攫)Persicaria sagittata (L.) H.Gross f. viridialba (Honda) H.Hara
ヤノネグサ(矢の根草)Persicaria muricata (Meisn.) Nemoto
があります。

1)托葉鞘(たくようしょう、ochrea):托葉が癒合して鞘状となり茎を取り巻くもの。
托葉(たくよう、stipule):葉の基部ある葉に似た器官で、芽生えの葉身を保護する。
葉鞘(ようしょう、leaf sheath):葉の基部で茎を取り巻いている部分。

Japanese common name : unagi-tukami
e0038990_1692498.jpg
Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe

e0038990_169385.jpge0038990_1694613.jpg
左:葉は矢じり形 右:下向きの棘


ウナギツカミ(鰻攫)
別名:アキノウナギツカミ(秋の鰻攫)
タデ科イヌタデ属
学名:Persicaria sagittata (L.) H.Gross var. sibirica (Meisn.) Miyabe
synonym : Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki
花期:7月~11月 1年草 草丈:60~100cm 花被長:3mm

e0038990_2163229.gif


【学名解説】
Persicaria : persica(モモ)に似ている/タデ科
sagittata : sagittatus(ヤジリ形の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
H.Gross : Hugo Gross (1888-1968)
var. : varietas(変種)
sibirica : sibiricus(シベリアの)
Meisn. : Carl Daniel Friedrich Meisner (1800-1874)
Miyabe : 宮部金吾 Kingo Miyabe (1860-1951)
---
*synonym : Persicaria sieboldii (Meisn.) Ohki
sieboldii : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)に因む
Ohki : 大木麟一 Kiichi Ohki (1882-?)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から0.00km 左岸河川敷 2006.11.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 November 2006
Last modified: 05 March 2015 (Scientific name update)
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-11-25 00:00 | 水辺の植物 | Trackback | Comments(0)
ヨモギ(蓬)
 ヨモギ(蓬)は、キク科ヨモギ属の多年草です。日本や朝鮮半島に分布します。日本では、本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、諸説があります。四方に根茎を伸ばして増える意味から、ヨモギ(四方草)、良く燃えるのでヨモギ(善燃草)等の説があります。又、蓬の漢字を充てるのは間違えとの説もあります。中国名は艾(ài)、あるいは艾蒿(ài hāo)。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。ヨモギ属(Artemisia L. (1753))は、約250種が北半球の温帯を中心に広く分布し、日本には約30種があります。

 地下茎は横に伸びて増殖します。他の植物の発芽を抑制するアレロパシー(allelopathy)作用があります。茎は直立し、多数に分枝しながら高さ50~120cmになります。茎や葉裏には白色の綿毛が密生します。乾燥させた葉から採った綿毛は、鍼灸で用いるモグサ(艾)の原料となります。葉は、互生します。長さ6~12cm、幅4~8cmで、羽状に深裂し、2~4対の裂片となり、鋸歯があります。柄があり、基部に仮托葉がありあります。表面は緑色、裏面は綿毛が密生して灰白色。早春の若葉は草餅に使われます。乾燥葉をガイヨウ(艾葉)と称し、漢方で腹痛、吐瀉、止血などに用います。花期には根生根や茎下の葉は枯れます。

 花期は、8月から10月頃。枝先に円錐花序を出します。頭花は下向きに多数咲き、筒状花のみで舌状花はありません。花径は1.3~1.6mmで黄緑色。中心に両生花があり、周りに雌花があります。受粉後は茶色になります。総苞は長楕円状鐘形で長さ2.5~3.5mm、総苞片は4列に並びます。風媒花で、花粉症の原因花となります。花粉の大きさは26~28μm。果実は痩果で、長さ1.5mm。染色体数は、2n=34。

 類似種に、関東地方以西から九州・琉球・台湾・中国・東南アジア・インドに分布する、ニシヨモギ(西蓬)Artemisia indica Willd.、近畿地方以北・北海道・樺太・南千島に分布する、オオヨモギ(大蓬)Artemisia montana (Nakai) Pamp. があります。

 ヨモギワタタマバエ(蓬綿玉蠅) Rhopalomyia giraldii Kiefer et Trotter, 1900 に寄生され、虫瘤のヨモギクキワタフシ(蓬茎綿五倍子)が作られる事が多くあります。

Japanese common name : Yomogi
e0038990_21223238.jpg
Artemisia indica Willd. var. maximowiczii (Nakai) H.Hara

e0038990_21224472.jpge0038990_21225421.jpg
▲ 左:全体 右:中心に両生花、周りに雌花がある
e0038990_2123957.jpg
▲ ヨモギワタタマバエによって形成された虫瘤のヨモギクキワタフシ


ヨモギ(蓬)
別名:カズザキヨモギ
キク科ヨモギ属
学名:Artemisia indica Willd. var. maximowiczii (Nakai) H.Hara
synonym : Artemisia princeps Pamp.
花期:8月~10月 多年草 草丈:50~120cm 花径:1.5mm・長さ3.5mm

e0038990_2163229.gif

【学名解説】
Artemisia : ギリシャ神話の女神アルテミス(Artemis)に因む/ヨモギ属
indica : インドの
Willd. : Carl Ludwig von Willdenow (1765-1812)
var. : varietas(変種)
maximowiczii : Maximowiczia, Carl Johann Maximowicz (1827-1891)の名に因む
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
H.Hara : 原 寛 Hiroshi Hara (1911-1986)
---
synonym : (シノニム) 同意語、異名
princeps : 王公・貴公子のような・最上の
Pamp. : Renato Pampanini (1875-1949)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.10.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

16 October 2006
Last modified: 22 July 2015 (Scientific name update)
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-10-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツノゴマ(角胡麻)
 ツノゴマ(角胡麻)は、ツノゴマ科ツノゴマ属の1年草です。北米南部からメキシコが原産で、国内では園芸と食用用途で栽培されています。名の由来は、果実に鋭い鉤爪状の棘がある事から。別名のアクマノツメ(悪魔の爪)は、その果実が熟すと黒色になり悪魔の爪を連想させ、タビビトナカセ(旅人泣かせ)は、その果実が人間や動物を傷つける事がある事から。英名は、devil's hornや、devil's claw、あるいは、desert unicorn plant。

 ツノゴマ科(Martyniaceae Horan. (1847))は、アメリカの熱帯から亜熱帯地方に5属17種が分布します。ゴマ科(Pedaliaceae R.Brown (1810))に含める場合もあります(クロンキスト体系)。ツノゴマ属(Proboscidea Schmidel (1763))は、アメリカの熱帯から亜熱帯にかけての乾燥地帯に9種があります。

 高さは80cm程になり、全体に短い腺毛が密生します。葉は、互生します。円状心臓形で長さ30~40cm、幅10~30cm。粘着性の腺毛があり、食虫植物(Juniper BE, et al: The Carnivorous Plants (Academic Press): 1989)とされています。花期は5月から7月頃。総状花序を出し、花柄の先に筒状の合弁花をつけます。先端が5裂した花冠長5cm程の唇形花で淡桃色。蜜標の黄斑があります。雄しべ4本。

 果実は蒴果です。長さは10cm内外で、若い果実は肉質でピクルスとして食用になります。成熟した果実は木質となって外果皮が2裂し、内果皮が末端部から裂開して2本の湾曲した爪状突起になります。動物に取り付いて種子が散布されます。

 類似種に、花色が黄色でオレンジの斑点模様がある、キバナノツノゴマ(黄花の角胡麻)Ibicella lutea (Lindl.) Van Eselt.があります。別名でオオツノゴマ(大角胡麻)とも呼ばれます。

Japanese common name : Tuno-goma
e0038990_901963.jpg
Proboscidea louisiana (Mill.) Thell.

e0038990_903579.jpge0038990_90458.jpg]
左:若い果実  右:熟すと外果皮が2裂する 2006.10.18


ツノゴマ(角胡麻)
別名:アクマノツメ(悪魔の爪)/タビビトナカセ(旅人泣かせ)
ツノゴマ科ツノゴマ属
学名:Proboscidea louisiana (Mill.) Thell.
花期:5月~7月 1年草 草丈:80~90cm 花冠長:5~6cm

e0038990_21295637.gif

【学名解説】
Proboscidea : proboscideus(ゾウの鼻状をした)果実/ツノゴマ属
louisiana : 米国ルイジアナの
Mill. : Philip Miller (1691-1771)
Thell. : Albert Thellung (1881-1928)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.25, 2006.10.18
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 05 October 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-10-05 00:00 | | Trackback | Comments(0)
イヌコウジュ(犬香薷)
 イヌコウジュ(犬香薷)は、シソ科イヌコウジュ属の1年草です。日本・朝鮮半島・中国に分布します。日本では全国に分布する在来種です。名の由来は、役に立たないとの意味で犬を冠した香薷。香薷は、香りが強く薬草となるもの全般を指し、その代表である漢方薬で解熱剤に使われるナギナタコウジュ(薙刀香薷)に似る事から。中国名は右薺寧。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。イヌコウジュ属(Mosla (Bentham) F. [Buchanan] Hamilton ex Maximowicz, 1875)は、東アジアの温帯から亜熱帯に広く分布します。

 茎は四角形で直立し、細毛があり紅紫色を帯びます。枝分かれしながら草丈30~60cmになります。葉は対生します。卵状披針形か長楕円形で、長さ2~4cm、幅1~2.5cm。6~13の浅い鋸歯があります。花期は9月から10月頃で、枝先に3~8cmの穂状の花序を付けます。花は筒状になった合弁花冠で淡紫色、上唇と下唇に分かれた、花冠長3~4mmの唇形花です。両生花で、雄しべは4個、下側2個は葯を失った仮雄しべです。萼は2~3mmですが、花後には4mm程になります。萼は5裂します。上唇は3裂、下唇は2裂します。上唇の裂片は尖ります。果実は、4分果の小堅果です。倒卵形で網目模様があり、1.2~1.3mmで茶色です。

 類似種に、同じイヌコウジュ属のヒメジソ(姫紫蘇)Mosla dianthera (Buch.-Ham. ex Roxb.) Maxim. があります。こちらは鋸歯が4~6対あり荒く、萼の上唇裂片が尖りません。他に、トウバナ(塔花)Clinopodium gracile (Benth.) Kuntze、ナギナタコウジュ(薙刀香薷)Elsholtzia ciliata (Thunb.) Hyl.、春に咲くミゾコウジュ(溝香薷)Salvia plebeia R.Br.があります。

Japanese common name : Inu-kouju
e0038990_2038465.jpg
Mosla scabra (Thunb.) C.Y.Wu et H.W.Li

e0038990_2048992.jpge0038990_20382424.jpg
左:花冠と尖った萼裂片 右:全体。茎には4稜がある


イヌコウジュ(犬香薷)
シソ科イヌコウジュ属
学名:Mosla scabra (Thunb.) C.Y.Wu et H.W.Li
synonym : Mosla punctulata (J. F. Gmel.) Nakai
花期:9月~10月 1年草 草丈:30~60cm 花冠長:3~4mm

e0038990_2163229.gif

【学名解説】
Mosla : インド語のマサラ(スパイスの意味)/イヌコウジュ属
scabra : scabrum(凸凹ある、ざら付いた、粗面の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
C.Y.Wu : Cheng Yih Wu (1916- )
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
H.W.Li : Hsi Wen Li (1931- )
---
punctulata : punctulatus(細点がある)
J. F. Gmel. : Johann Friedrich Gmelin (1748-1804)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.09.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

30 September 2006
Last modified: 4 June 2014
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-09-30 00:00 | | Trackback | Comments(2)
シュウカイドウ(秋海棠)
 シュウカイドウ(秋海棠)は、シュウカイドウ科シュウカイドウ属の多年草です。中国や東南アジアが原産で、日本へは、江戸時代の1641(寛永18)年に中国から輸入され、逸出して帰化したものです。関東地方以西で野生化しています。名の由来は、中国名「秋海棠」の音読みで、秋に咲く事と合わせ、花を海棠に見立てたもの。英名は、Hardy begonia。海棠はバラ科リンゴ属で、日本ではハナカイドウ(花海棠)Malus halliana Koehne 。

 シュウカイドウ科(Begoniaceae Bercht. & J. Presl, 1820)は、熱帯から亜熱帯に4属2000種以上が分布します。シュウカイドウ属(Begonia L. (1753) )は、熱帯から亜熱帯に900~1000種が分布し、日本では2種が自生します。

 半日陰の湿地や林の中で野生化しています。ある程度の耐寒性があり、根茎で越冬します。シュウカイドウ属は園芸用途で温室栽培される事が多く、日本の冬を屋外で越冬できるのは本種のみと言われています。塊茎から、肉質で多汁な緑色の地上茎を出します。草丈は40~80cmになります。葉は互生し、長い柄があります。葉の形は左右非相称の偏心形で長さ8~20cm、幅7~15cm。左右非相称になるのはシュウカイドウ属の大きな特徴です。不規則な鋸歯があります。上部の葉腋から花柄を伸ばし分枝して花序を出します。分枝した茎は赤味を帯びます。

 雌雄異花で、花序中に雌雄の花があります。雄花は花被片4枚がある離弁花です。大きな萼片2枚と小さな花弁2枚からなります。花径は2~3cm。中央に黄色の葯を持つ雄しべが密集し、基部は合着します。雌花は、基部にある三角形の翼の形をした子房が発達し、先端が分岐した花柱3本を出します。子房下位です。雄花が先で雌花は後から咲きます。果実は子房室の背面(背縫線部分)で裂ける胞背裂開蒴果です。蒴果とは、果実が熟して縦に裂けて種子を散布するものです。葉腋に珠芽ができ、これによっても繁殖します。全草に蓚酸を含み酸っぱく、その殺菌作用によって皮膚病の民間薬として使われてきました。

Japanese common name : Syuukaidou
e0038990_211384.jpg
Begonia grandis Dryand.
e0038990_2115186.jpg
▲ 全体

e0038990_212423.jpge0038990_2121546.jpg
▲ 左:雄花の葯 右:裏側。大きいのが萼


シュウカイドウ(秋海棠)
別名:ヨウラクソウ(瓔珞草)
シュウカイドウ科シュウカイドウ属
学名:Begonia grandis Dryand.
花期:7月~9月 多年草 草丈:40~80cm 花径:2~3cm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Begonia : Michel Begon(1638-1710)に因む/シュウカイドウ属
grandis : 大形の・偉大な
Dryand. : Jonas Carlsson Dryander (1748-1810)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.09.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 29 September 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-09-29 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ルコウソウ(縷紅草)
 ルコウソウ(縷紅草)は、ヒルガオ科サツマイモ属の多年草です。熱帯アメリカが原産で、日本へは江戸時代初期の1634(寛永11)年に園芸用途で移入されたと考えられている帰化植物です。名の由来は、糸のように細い葉を持ち、赤い花を付ける事から。縷は、細い糸の事。英名は、Cypress vine。

 ヒルガオ科(Convolvulaceae A.L. de Juss. (1789))は、熱帯から亜熱帯に約58属1650種が分布し、日本には4属があります。サツマイモ属(Ipomoea L. (1753)) は、500種程があります。旧分類のルコウソウ属(Quamoclit Moench, 1794)は、熱帯アメリカやインドに約10種があります。

 蔓性で長さ100~400cmになります。花色と茎色の遺伝子は連鎖します。葉は互生します。羽状に深く裂け、裂片は糸状です。花期は8月から10月で、葉腋から長い花柄を出し、先端に1~2個の花を付けます。花冠は2~3cmで、星形に5裂する高杯形です。花色は、濃紅色・桃色・白色があります。雄しべ5本、雌しべ1本。子房は4室。果実は蒴果で、種子は4個。染色体数は2n=30。

 類似種のマルバルコウ(丸葉縷紅)は、本州中部地方以西に帰化しています。また、ルコウソウとマルバルコウの交雑種である、モミジルコウ(紅葉縷紅)Ipomoea x multifida (Raf.) Shinners があります。

Japanese common name : Rukou-sou
e0038990_13511580.jpg
Ipomoea quamoclit L.


ルコウソウ(縷紅草)
ヒルガオ科サツマイモ属
学名:Ipomoea quamoclit L.
synonym : Quamoclit pennata Bojer
花期:8月~10月 多年草 草丈:100~400cm(蔓性) 花径:約2~3cm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Ipomoea : ips(芋虫)+homoios(似た)/サツマイモ属
quamoclit : kuamos(豆)+klitos(低い)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
Quamoclit : kyamos(豆)+clitos(低い)/ルコウソウ属
pennata : pennatus(羽状の)
Bojer : Wenzel Bojer (1797-1856)
---
x : 二種間交配種
multifida : multifidus(多数に中裂した)
Raf. : Constantine Samuel Rafinesque-Schmaltz (1783-1840)
Shinners : Lloyd Herbert Shinners (1918-1971)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬学植物園 2006.09.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

21 September 2006
Last modified: 18 April 2014
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-09-21 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)
センリゴマ(千里胡麻/胡面莽)
 ご注意:掲載種は、センリゴマでは無い可能性があると、静岡県立大学教授から連絡を頂きました。遺伝子解析によるものです。ジオウ属(Rehmannia)の何かではあるようで、R. henryiR. solanifolia、ジオウ(地黄) R. glutinosaに近いものとの事です。
e0038990_17193525.jpg


 センリゴマ(千里胡麻/胡面莽)は、ゴマノハグサ科ジオウ属の多年草です。中国が原産で、日本での分布は静岡県と岐阜県の山間部で僅かに見られる程度。近い将来に絶滅する危険性が極めて高い絶滅危惧IA類(CR)です。ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Durande, 1782)は、熱帯から寒帯に約200属3000種以上が分布します。ジオウ属(Rehmannia Liboschitz ex F.E.L. Fischer & C.A. Meyer, 1835)は、東アジアに10種程があります。

 茎は、15~50cmになります。根生葉は長さ15~25cmの卵状楕円形で鋸歯があります。茎の葉は柄があり互生します。葉脈は窪み、茎・葉・花の全体に毛が密生します。筒形の花冠は5~6cmで紅紫色。先端が上唇2枚と下唇3枚に5裂した、唇形花冠です。筒内部には、蜜標である斑点があります。雌性先熟で、虫媒花です。果実は2裂します。

e0038990_0313263.jpg
Rehmannia japonica Makino

e0038990_031466.jpge0038990_032062.jpg
▲ 左:(480x640/41kb) 右:2006.07.25 (480x640/52kb)

e0038990_0332622.jpge0038990_0334271.jpg
▲ 左:萼の様子 (480x640/40kb) 右:花冠の長さ (480x640/46kb)

センリゴマ(千里胡麻/胡面莽)
別名:ハナジオウ(花地黄)
ゴマノハグサ科ジオウ属
学名:Rehmannia japonica Makino
花期:5月~8月 多年草 草丈:15~50cm 花冠長:5~6cm

【学名解説】
Rehmannia : Joseph Rehmann (1779-1831)に因む(ロシア皇帝の侍医)/ジオウ属
japonica : 日本の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県立大学薬用植物園 2006.09.08
[PR]
by pianix | 2006-09-11 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(7)
コマツナギ(駒繋)
 コマツナギ(駒繋)は、マメ科コマツナギ属の落葉小低木です。日本と中国が原産で、国内では本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、馬を繋ぎ留められる程、根が丈夫であるからとか、葉が馬の好物で場所を離れないから、等と言われています。駒とは馬の事です。

 マメ科(Fabaceae Lindl. (1836))は、世界に約650属18,000種があり、日本には70属198種、11亜種7変種17品種があり、41属100種が自生します。コマツナギ属(Indigofera L. (1753))は、熱帯から亜熱帯に約700種が分布します。Indigoferaは、藍色を持つの意味で、藍色の染料が採れる事からの命名です。

 根は地中深く張り側根も長く出ます。茎は叢生し40~100cmになります。葉は、奇数羽状複葉で互生し、小葉は7~13枚。長さ8~20mm、幅2~10mmの長楕円形で全縁。茎や葉には伏毛があり、葉は夜に閉じます。

 花期は7月から9月頃。葉腋から4~10cmの円錐花序を出します。小花は淡紅色で、長さ4~5mmの蝶形花です。花序の下から上に向かって順に咲きます。果実は長さ25~30mm、幅2.5~3mmの豆果です。熟すと黒色となり、裂開して黄褐色の種子3~8個を散布します。染色体数は2n=16。

Japanese common name : Koma-tunagi
e0038990_15242756.jpg
Indigofera pseudotinctoria Matsum.

e0038990_152063.jpge0038990_153184.jpg
小花は淡紅色で、長さ4~5mmの蝶形花

e0038990_12591068.jpge0038990_155524.jpg
葉は奇数羽状複葉で互生し、伏毛があります


コマツナギ(駒繋)
マメ科コマツナギ属
学名:Indigofera pseudotinctoria Matsum.
花期:7月~9月 落葉小低木 樹高:40~100cm 花冠長:4~5mm

e0038990_2163229.gif

【学名解説】
Indigofera : indigo(藍)+fero(有する)/コマツナギ属
pseudotinctoria : pseudo(偽の、疑似)+キアイ(木藍)*
Matsum. : 松村 任三 Jinzo Matsumura (1856-1928)
*タイワンコマツナギ(台湾駒繋)Indigofera tinctoria L.

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 右岸土手 2006.07.28
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

11 August 2006
Last modified: 2 March 2017
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-08-11 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ジギタリス(Digitalis)
 ジギタリス(Digitalis)は、オオバコ科ジギタリス属の多年草です。ヨーロッパ原産で、日本へは1879(明治12)年に薬用と園芸目的に移入されました。名の由来は、管状の花冠を手袋の指に見立てたもので、digitusは指を意味します。別名のキツネノテブクロ(狐の手袋)も同様で、英名のFox-gloveからの直訳。妖精が休息場を動き回るキツネに困って、足音を消す為にジギタリスを履かせたという伝承によります。fairies'glove(妖精の手袋)の転訛と言われています。因みにDigitalisは、デジタル(digital)の語源です。

 APG分類体系では、オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))で、約90属1700種があるとされています。エングラー分類体系では、ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))で、極寒地を除いた地域に約222属4450種があります。ジギタリス属(Digitalis L. 1753)は、ヨーロッパやアジアに19種が分布します。

 茎は分枝せずに直立して50~150cmになります。根出葉は叢生し長い柄があり、長さ2~15cm。茎に付く葉は互生します。葉は卵状長楕円形で長さ10~30cm、鋸歯があります。葉裏は綿毛が密生して葉脈が網目状に突出します。

 花期は5月から7月頃。茎の先に30~60cmの総状花序を付けます。花冠は合弁花の鐘形で紅紫色。花冠の長さは30~75mmで、花径は2~4cm。花穂の片側に偏り下向きに咲きます。下唇に蜜標である暗紫色の斑点模様があります。下から順に咲きます。萼片は5深裂。雄しべは4本、内2本が長い2強雄ずい。両生花で雌性先熟、虫媒花です。果期は8~9月。果実は蒴果です。長さ1.5cm程の卵形。染色体数は、2n=48,56。

 毒成分を含む毒草です。ステロイド配糖体の一種であるジギトキシン(digitoxin)やギトキシン(gitoxin)を含有し、心収縮力増強作用がある劇物です。ジギタリスの薬効は、民間療法師から受け継いだウイリアム・ウィザーリング(William Withering, 1741-1799)が近代医学に初めて導入したものです。強心利尿薬として使われてきました。日本薬局方に初版から収載され、現在は削除されています。1979(昭和54)年に薬用としての栽培は中止されました。

 園芸用途で親しまれていますが、民間薬としての利用は厳禁です。誤食による死亡事故が昭和39年から平成2年までの間に2例報告されています。推定致死量は2g。コンフリーやボリジと誤認するのが原因です。類似種として強い力価を持つ、ケジギタリス(Digitalis lanata Ehrh.)があります。

Japanese common name : Gigitarisu
e0038990_1131227.jpg
Digitalis purpurea L.

e0038990_113345.jpge0038990_1135179.jpg
撮影地:静岡市葵区富厚里 2010.06.02


ジギタリス(Digitalis)
別名:キツネノテブクロ(狐の手袋)/※ジキタリスは誤読
オオバコ科ジギタリス属
学名:Digitalis purpurea L.
花期5~7月 多年草 草丈:50~150cm 花径:2~4cm 花冠長:30~75mm

e0038990_10353896.gife0038990_12135938.gif


【学名解説】
Digitalis : digitus(指)/ジギタリス(キツネノテブクロ)属
purpurea : purpureus(紫色の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.25
葵区富厚里(ダイラボウ線) 2010.06.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

10 August 2006
Last modified: 10 June 2010
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-08-10 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)