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トウバナ(塔花)
 トウバナ(塔花)は、シソ科トウバナ属の多年草です。日本全国に分布する在来種です。国外では朝鮮半島、中国に分布します。名の由来は、花穂が重なり合って伸びる様子を塔に見立てたもの。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。トウバナ属はオドリコソウ亜科に含まれ、北半球の暖帯から温帯にかけて約50種が分布します。

 茎は細く四角形で微細毛があり、束生します。赤褐色を帯びます。下部は地を這い、途中で立ち上がり草丈10~30cmになります。葉は対生します。葉柄があり、卵形あるいは狭卵形で浅い鋸歯があります。長さは10~30mmで、幅は10~20mm程です。枝先に花穂をつけ数段に輪生します。花は淡紅紫色の唇形花です。5裂した筒状合弁花で、花冠の長さは4~6mm、下唇は3裂します。萼は3~4mmで赤褐色を帯びます。雄しべは4本で長短の2本ずつがあります。両性花です。4分果を付けます。

 近縁種に、白花で萼に軟毛が密生するイヌトウバナ(犬塔花)Clinopodium micranthum (Regel) Haraがあります。間違えやすいものに、クルマバナ(車花)Clinopodium chinense (Benth.) O. Kuntze subsp. grandiflorum (Maxim.) Hara var. parviflorum (Kudo) Haraがあります。
山に多い、ミヤマトウバナ(深山塔花)Clinopodium sachalinense (Fr. Schm.) Koidz.や、白花のヤマトウバナ(山塔花)Clinopodium multicaule (Maxim.) O. Kuntzeもあります。

Japanese common name : Tou-bana
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Clinopodium gracile (Benth.) Kuntze
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トウバナ(塔花)
シソ科トウバナ属
学名:Clinopodium gracile (Benth.) Kuntze
花期:5月~8月 多年草 草丈:10~30cm 花冠長:4~6mm

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【学名解説】
Clinopodium : cline(床・斜)+podion(小足)/トウバナ属
gracile : gracilentus(細長い・か弱い)
Benth. : George Bentham (1800-1884)
Kuntze : Carl Ernst Otto Kuntze (1843-1907)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.05.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 13 May 2006
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by pianix | 2006-05-13 00:00 | | Trackback | Comments(2)
アメリカフウロ(亜米利加風露)
 アメリカフウロ(亜米利加風露)は、フウロソウ科フウロソウ属の1年草です。北アメリカ原産の帰化植物で、昭和初期に京都市で牧野富太郎博士により発見されました。戦後、各地に広まり、本州から九州にかけて分布します。名の由来は、アメリカ産のフウロソウ(風露草)の意味です。フウロソウは、イブキフウロ(伊吹風露)であるらしいのですが、名の由来は不明です。英名は Carolina geranium。

 フウロソウ科(Geraniaceae Juss. (1789))は、世界の温帯地域に12属約730種が分布します。フウロソウ属(Geranium L. (1753))は全世界に約300種があり、日本には12種が分布します。

 茎は根元で分枝して這い、途中から斜上します。赤みを帯びるものもあります。草丈は幅があり、通常は10~40cm程です。茎や葉には微細な毛を密生します。葉は深く5~7裂し、さらに裂片は羽状に裂けます。葉も赤みを帯びた縁取りが現れる事があります。

 花期は5月から9月頃で、葉腋から花柄を出します。萼片は5枚。淡紅色をした花弁は5枚で径5~10mm程。縦に縞模様が入り、花弁先端はへこみます。雄しべ(stamen)は10本の五長雄しべ(pentadynamous stamen)で、花柱を取り囲む内輪の5本が長くなります。雌しべは1本で、花柱先端は5裂します。葯の色は黄色。自動自家送粉1)を行います。

 果実は朔果です。槍状で、熟すと黒褐色になり、下から縦に5つに裂け弾き飛ばす自動散布(autochory)が行われます。ゲンノショウコ(現の証拠)も同じ仲間なので似ています。種子は長さ2~5mm程。秋に発芽してロゼットで越冬します。ゲンノショウコやツルヨシの生育地に侵入して、在来種を駆逐すると言われています。染色体数は、2n=52。

1)自動自家送粉:自動的に自家受粉を行う仕組み。自家送粉(self pollination)

Japanese common name : Amerika-fuuro
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Geranium carolinianum L.
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花弁5、10本の五長雄しべ。果実は朔果。2010.05.17


アメリカフウロ(亜米利加風露)
フウロソウ科フウロソウ属
学名:Geranium carolinianum L.
花期:5月~9月 1年草 草丈:10~40cm 花径:5~10mm

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【学名解説】
Geranium : geranos(鶴)の古名geranionに因む/フウロソウ属
carolinianum : carolinianus(北米カロライナの)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

※誤りやすい表記:アメリカフロウ、アメリカフウロウ、セイヨウフロウ、セイヨウフウロ etc.

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.25km 右岸河川敷 2006.04.24
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

First draft: 29 April 2006
Last modified: 17 May 2010
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by pianix | 2006-04-29 00:00 | | Trackback | Comments(2)
アケビ(木通/通草)
 アケビ(木通/通草)は、アケビ科アケビ属の落葉高木です。東アジアの中国、朝鮮半島、日本の本州から九州にかけて分布する在来種です。名の由来は、果実が熟すと割れて中の果肉が見える事から「開け実」や「開肉」、あるいは熟しても果実が割れないムベ(郁子)に対して「開け郁子」で、それぞれが転訛したものとの説があります。木通(モクツウ, mù tōng)は中国名で、蔓に道管がある事から。英名は、chocolate vine。

 アケビ科(Lardizabalaceae R.Br. (1821))は、東アジアとチリに約7属35種が分布します。アケビ属(Akebia Decaisne (1837))は、日本に3種1雑種が分布します。

 薬用果実として知られています。中国では、2000年前の漢の時代に成立した「神農本草経」に木通(通草)が記載されていて、鎮痛薬(消炎性利尿薬、関節)の処方薬とされています。日本薬局方では、アケビまたはミツバアケビの茎を生薬のモクツウ(木通)として利尿・鎮痛・排膿に利用されます。

 蔓は左巻きに巻き付いて成長します。葉は、小葉5枚の掌状複葉です。これは学名の種小名quinataにも採用されていて、他の仲間との区別になります。小葉は楕円形で鋸歯がありません。同じ仲間のミツバアケビ(三葉木通)1)は小葉が3枚の3出複葉、自然交雑種のゴヨウアケビ(五葉木通)2)は小葉が5枚の掌状複葉ですが鋸歯があります。

 花は、雌雄同株、雌雄異花で自家不和合性があります。総状花序の先端に雄花、基部に雌花が付きます。雌花は雄花より大きく径25~30mm程で、暗紫色の萼片が3つあります。中央から濃暗紫色の雌しべを放射状に6~9本出します。雄花は径10~16mm程の薄黄色で、中央部に6本の雄しべを出します。果実は裂開果3)の袋果4)で、熟すと紫色になり、5~10cm程の長さになり裂開します。果肉は白色半透明で、食用になります。種子は黒色です。染色体数は、2n=16,32。

1)ミツバアケビ(三葉木通)Akebia trifoliata (Thunb.) Koidz.
2)ゴヨウアケビ(五葉木通)Akebia x pentaphylla (Makino) Makino
3)裂開果(れっかいか):熟すと果皮が自然に裂けて種子を放出する果実(dehiscent fruit)
4)袋果(たいか):一枚の心皮からなる子房からなる果実で内縫線あるいは外縫線で裂ける(follicle)

Japanese common name : Akebi
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Akebia quinata (Houtt.) Decne.
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▲雄花

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左:果実は袋果(2016.10.31) 右:小葉5枚の掌状複葉


アケビ(木通/通草)
アケビ科アケビ属
学名:Akebia quinata (Houtt.) Decne.
花期:4月~5月 落葉低木(蔓性) 花径:雄花10~16mm/雌花25~30mm 果期:9~10月

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【学名解説】
Akebia : 日本名(アケビ)/アケビ属
quinata : quinatus(五の・五小葉の)
Houtt. : Maarten Houttuyn (1720-1798)
Decne. : Joseph Decaisne (1807-1882)
---
trifoliata : trifoliatus(三葉の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Koidz. : 小泉源一 Gen-ichi Koidzumi (1883-1953)
pentaphylla : pentaphyllus(五葉の)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.04.07
帆掛山 2016.10.31
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

28 April 2006, 9 August 2016
Last modified: 8 November 2016
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by pianix | 2006-04-28 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハナミズキ(花水木)
 ハナミズキ(花水木)は、ミズキ科ミズキ属(旧ヤマボウシ属)の落葉小高木です。北アメリカ原産で、日本には明治中期に渡来したと言われています。1912(大正4)年、東京市長であった尾崎行雄が日米親善の為にワシントンへソメイヨシノ(染井吉野)を贈りました。その返礼として、1915年にアメリカから40本の白花ハナミズキが贈られて、1917年に13本の紅花ハナミズキが追加されました。バージニアの州花です。当時は、日本産のヤマボウシ(山法師)に似ている事から、アメリカヤマボウシ(亜米利加山法師)と呼ばれていました。植物園に植栽される程度で一般的ではありませんでしたが、植栽利用が増えた事でハナミズキ(花水木)と命名されました。現在の和名はアメリカヤマボウシに戻っています。英名は、dogwood。

 ミズキ科(Cornaceae Bercht. et J.Presl (1825))は、北半球の温帯から熱帯に約14属100種、ミズキ属(Cornus L. (1753)) はアジア、アメリカの温帯に約60種が分布し、日本には5種が自生します。

 春の花は、葉が出る前に咲きます。花弁に見えるのは4枚の総苞片で、先端が窪んでいるところがヤマボウシと異なります。総苞片の中央に本当の花の集まりである花序があり、4枚の花弁と雄しべ4本があります。雌雄同株。受精すると脱落しますが、総苞片は長い期間残る事になります。対生する葉は全縁で、明瞭な側脈があり、裏面には白色の毛があります。秋の紅葉も風情があります。果実は核果で、赤色をしています。街路樹や庭木として植栽され、静岡市市の花にもなっています。

 花木としては強い性質を持っていますが、強風に弱く、潮風には特に弱いので浜辺の近くでは不向きです。通常は切り接ぎで繁殖させますが、種子捲きの場合は秋か春にします。種子の赤い果肉を取り除き乾燥させないように保存する必要があります。長雨時のウドンコ病には注意を要します。

 紅色種のベニバナハナミズキ(紅花花水木)があり、白花種とコントラストを付けて植栽されている場合があります。'Alba Plena'は八重咲き白花、'Cherokee Sunset'は斑入りの赤花、'Cherokee Chief'は濃紅色花、'Cherokee Princess'は白花、'Cloud Nine'は白色多花性、'Junior Miss'は淡紅色花、 'Red Giant'は紅花大輪、'Rainbow'は葉に黄色の斑入り、'Pendula'は枝が強く垂れる品種です。他に次のような品種があります。
'Apple Blossom' 'Cherokee Brave' 'Daybreak' 'Green Glow' 'Pink Flame'
'Purple Glory' 'Royal Red' 'Spring White' 'Sweetwater Red' 'World's Fair' 等。

※ヤマボウシとハナミズキの簡易な見分け方:花びらに見える4枚の総苞片を確認します。先端が尖(とが)っているのがヤマボウシで、窪(くぼ)んでいるのがハナミズキです。樹皮が細かく割れているのはハナミズキです。

参考:ハナミズキ(花水木)の実

Japanese common name : Amerika-yamabousi (Hana-mizuki)
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Cornus florida L.

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紅花種
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4枚の総苞片は先端が窪んでいる 中央に緑色の頭花がある

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白花種

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左:開き初め  右:樹皮 ヤマボウシと異なり細かく割れている


ハナミズキ(花水木)
和名:アメリカヤマボウシ(亜米利加山法師)
ミズキ科ミズキ属
学名:Cornus florida L.
synonym : Benthamidia florida (L.) Spach
花期:4月~5月 落葉小高木 樹高:3~12m 花(総苞片)径:8~9cm 果期:10~11月

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【学名解説】
Cornus : cornu(角)に由来/ミズキ属
florida : floridus(花の目立つ・花の充満した)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
Benthamidia : George Bentham (1800-1884)に因む/ヤマボウシ属
Spach : Edouard Spach (1801-1879)

撮影地:静岡県静岡市
葵区秋山町(植栽) 2006.04.24
葵区平和2丁目(街樹) 2006.04.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 April 2006
Last modified:30 April 2014
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by pianix | 2006-04-24 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ジンチョウゲ(沈丁花)
 ジンチョウゲ(沈丁花)は、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の落葉低木です。中国原産で、日本へは室町時代に渡来したものと言われています。名の由来は、ジンコウ(沈香)とチョウジ(丁子)から採れる香料の香りを持っている事から。香りは気温の低い朝夕の湿度が高い時ほど強くなります。中国名はズイコウ(瑞香)。英名はWinter Daphne。

 ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae A.L. de Juss. 1789)は、世界の温帯から熱帯に44属、約500種が分布し、日本には4属、16種が自生します。ジンチョウゲ属(Daphne L. (1753))は、世界に約90種、日本には7種程が自生します。

 肉厚の花びらのように見えるのは萼片で、花弁はありません。萼は筒状で4裂し、反り返ります。外側は赤紫色、内面は白色です。雌雄異株で、雄株しか渡来しなかったので通常は結実しません。最近、雌株も入ってきたらしく、紅色の楕円形液果を付けます。雄しべは8本で、半数ずつが高さの違う2組に分かれます。葉は単葉で全縁。染色体数は、2n=28。

 品種に、白色のシロバナジンチョウゲ(白花沈丁花)、葉に黄斑の入るフクリンジンチョウゲ(覆輪沈丁花)、薄紅色のウスイロジンチョウゲ(薄色沈丁花)があります。

シロバナジンチョウゲ(白花沈丁花)
 Daphne odora Thunb. f. alba (Hemsley) Hara
フクリンジンチョウゲ(覆輪沈丁花)
 Daphne odora Thunb. f. marginata Makino
ウスイロジンチョウゲ(薄色沈丁花)
 Daphne odora Thunb. f. rosacea (Makino) Hara

Japanese common name : Zintyouge
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Daphne odora Thunb.
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シロバナジンチョウゲ(白花沈丁花)
Daphne odora Thunb. f. alba (Hemsl.) H.Hara


ジンチョウゲ(沈丁花)
別名:チョウジグサ(丁子草)/ズイコウ(瑞香)/センリコウ(千里香)
ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属
学名:Daphne odora Thunb.
花期:3月~4月 常緑低木(雌雄異株) 樹高:1~1.5m 花径:10~13mm 果期:6月

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【学名解説】
Daphne : ギリシャ神話の女神の名/ジンチョウゲ属
odora : odoratus(芳香のある)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
---
f. : forma(品種)
alba : 白い(albus・男性形/alba・女性形/album・中性形)
Hemsl. : William Botting Hemsley (1843-1924)
H.Hara : 原寛 Hiroshi Hara (1911-1986)

撮影地:静岡県静岡市
葵区昭府(植栽) 2006.03.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 13 March 2006
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by pianix | 2006-03-13 00:00 | | Trackback(1) | Comments(4)
カラスノエンドウ(烏野豌豆)
 カラスノエンドウ(烏野豌豆)は、マメ科ソラマメ属の越年草です。標準和名は、ヤハズエンドウ(矢筈豌豆)。アジア、ヨーロッパの温帯地域に分布し、日本では本州以西に分布する史前帰化植物です。名の由来は、野のエンドウ(豌豆)に、熟すと黒くなる豆果をカラスに見立てたものです。これより小さなものに、スズメノエンドウ(雀野豌豆)があり、その中間にカスマグサ(カス間草)があります。ヨーロッパ原産の外来種であるオオカラスノエンドウ(大烏野豌豆)1)もあります。ヤハズエンドウ(矢筈豌豆)は、葉が矢筈(矢羽)形をしている事から。同じマメ科にヤハズソウ(矢筈草)2)があります。

 マメ科(Fabaceae Lindl. (1836))は、世界に約650属18,000種があり、ソラマメ属(Vicia L. (1753))は、2亜属22節、約140種があります。

 葉は偶数羽状複葉で、互生し、小葉は狭倒卵形です。茎は四角柱状で細かな毛が生えています。複葉の先に巻きひげがあり、絡み合って立ち上がります。この巻きひげは、小葉が変化したもので、通常は3分岐します。托葉に黒色をした花外蜜腺があり、ここから分泌される蜜に虫が集まってきます。

 花期は3月から6月頃。葉腋に短い柄を出し、紅紫色で蝶形の花を1~2個付けます。花弁数は5枚。果実は豆果で、3~4cmの長さ。中に種子が5~10個入っています。熟すると鞘が黒色化して二つに裂け、はじき飛ばします。染色体数は、2n=12,(10,14)。

 根には、マメ科の特徴である根粒があります。根粒は、根粒菌(Rhizobium leg. bv viciae)によって作られる瘤状のものです。カラスノエンドウは光合成産物を提供し、根粒菌はアンモニア(NH3)を提供する共生関係にあります。

1) オオヤハズソウ(大矢筈草) Vicia sativa L. subsp. sativa
2) ヤハズソウ(矢筈草) Kummerowia striata (Thunb.) Schindl.

Japanese common name : Yahazu-endou
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Vicia sativa L. subsp. nigra (L.) Ehrh.
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蝶形の花で花弁数は5枚(2007.03.06)
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托葉の花外蜜腺から分泌される蜜

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左:葉は偶数羽状複葉 右:小葉は矢筈形。茎先端は3分岐した巻きひげとなる

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左:若い豆果(2006.05.10) 右:黒化した豆果(2007.11.12)
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シロバナヤハズエンドウ(白花矢筈豌豆)
Vicia angustifolia L. var. segetalis (Thuill.) Koch f. albiflora Honda ※異分類


カラスノエンドウ(烏野豌豆)
標準和名:ヤハズエンドウ(矢筈豌豆)
マメ科ソラマメ属
学名:Vicia sativa L. subsp. nigra (L.) Ehrh.
synonym : Vicia angustifolia L. var. segetalis (Thuill.) W.D.J.Koch
花期:3月~6月 越年草 草丈:70~150cm 花径:10~15mm 果期:5~7月

【学名解説】
Vicia : vincire(巻き付く)/ソラマメ属
sativa : sativus(栽培された)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
nigra : 黒い
Ehrh. : Jakob Friedrich Ehrhart (1742-1795)
---
synonym : (シノニム) 同物異名
angustifolia : angustifolius(細葉の)
var. : varietas(変種)
segetalis : 穀作地生の
Thuill. : Jean Louis Thuillier(1757-1822)
W.D.J.Koch : Wilhelm Daniel Joseph Koch (1771-1849)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6km 右岸河川敷 2007.03.06, 2007.11.12
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2016.04.19
賤機山 2016.04.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

09 March 2006, 09 April 2011, 30 May 2014, 11 December 2014, 19 April 2016
Last modified: 30 April 2016
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by pianix | 2006-03-09 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ボケ(木瓜)
 ボケ(木瓜)は、バラ科ボケ属の落葉低木です。中国が原産地と言われ、日本へは平安時代頃に伝来したと言われています。当時は薬用植物としての扱いであったようです。「木瓜」は、果実の状態を表しています。長さ10cm、直径7cm程の瓜のような形をした果実を付ける為です。ボクカまたはモクケ(モッケ)と称されたものがボケに変化したと考えられます。「本草和名」には、和名「毛介(モケ)」と記載されています。英名は、Japanese quince(日本のマルメロ)。

 バラ科(Rosaceae Juss. (1789))は、世界に約100属3000種が分布すると言われ、日本には36属、約160種が自生します。6亜科に分類され、日本には4亜科1)があります。ボケはナシ亜科(Maloideae)です。ボケ属(Chaenomeles J.Lindley, 1821)は東アジアに4種が分布します。

 園芸として盛んになったのは江戸時代からで、品種作出は大正時代からと言われています。栽培は北海道から九州までの地域で行われています。耐寒性があるため、欧米でも貴重な花木とされ、幾つかの品種が生み出されています。我が国には、日本原産のクサボケ(草木瓜・Choenomeles japonica (Thunb.) Lindl. ex Spach)があり、ボケとクサボケの交雑品種も多く生み出されています。約200品種があり、登録されている品種は約50種です。

 葉は互生します。長さ3~7cm程の長楕円形で、光沢があります。細かい鋸歯があり、先は尖ります。葉の付け根には扇形の托葉があり、短枝は鋭い棘になります。花期は3月から4月で、基本種は花径2~3cmの5弁花を多数付けます。品種により、一重・八重があります。雌雄同株です。花後に洋梨形の果実ができます。果柄は、ほとんどありません。染色体数は、2n=34。

 園芸品種として、クサボケ育成種で二季咲きの「長寿梅」、冬咲き一重大輪の「寒木瓜」、春咲き3色同一株の「東洋錦」、ボケ品種で黒みが入った一重大輪の「黒光」、一重大輪で緋赤色の「緋の御旗」、八重大輪で鮮紅色に白斑入りの「昭和錦」、八重大輪で白花の「大八州(おおやしま)」、ボケとクサボケ間種で一重大輪の「谷間の雪」等があります。外国品種としては、サーモンピンク色の「ピンク・レディー」、葯が黄色で花弁が緋赤色の「クリムソン・アンド・ゴールド」等があります。

 カリンも同じボケ属です。カリンと同様に、ボケの果実を使ってボケ酒が作られます。繁殖は通常、挿し木によります。

1)バラ亜科(Rosoideae)、サクラ亜科(Prunoideae)、ナシ亜科(Maloideae)、シモツケ亜科(Spiraeoideae)の4つの亜科。

Japanese common name : Boke
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Chaenomeles speciosa (Sweet) Nakai


ボケ(木瓜)
別名:カラボケ(唐木瓜)
バラ科ボケ属
学名:Chaenomeles speciosa (Sweet) Nakai
花期:3月~4月 落葉低木 樹高:1~3m 花径:2~3cm 果期:7~8月

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【学名解説】
Chaenomeles : chaino(開ける)+melon(リンゴ)|裂けた林檎/ボケ属
speciosa : speciosus(美しい、華やかな)
Sweet : Robert Sweet (1783-1835)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)

撮影地:静岡県静岡市
葵区伊呂波町(植栽) 2006.02.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 February 2006
Last modified: 24 March 2014
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by pianix | 2006-02-25 00:00 | | Trackback | Comments(2)
キダチアロエ(木立アロエ)
 キダチアロエ(木立アロエ)は、ススキノキ科(分類体系によりアロエ科、ユリ科、ツルボラン科)アロエ属の多年草です。南アフリカ原産で、日本へは鎌倉時代に入り、江戸時代に広まったと言われていますが、諸説があります。関東以西では露地植が可能で、日本の風土に合った種類と言われています。生産国は日本と韓国で、伊豆半島はアロエ産地として有名です。

 アロエ属の科は分類体系によって異なり、、APG植物分類体系(APG III)ではススキノキ科((Xanthorrhoeaceae Dumort. (1829)))、新エングラー体系ではユリ科(Liliaceae Juss. (1789))、クロンキスト体系ではアロエ科(Aloaceae Batsch (1802))になります。アロエ科には5属700種が分布します。アロエ属は、世界に約350種類、日本には約80種類があると言われています。

 アロエは、木立性種と無茎種に分けられます。キダチアロエは木立性種で、原産地では3m程の低木になります。狭披針形で肉厚の葉を持ち、棘状の鋸歯を持ちます。葉肉の汁には苦味成分のアロイン(Aloin)が含まれています。食用に使うのは、苦味のないアロエベラ(Aloe vera)です。俗称、「医者いらず」で、便秘や健胃に用いる他、外用として火傷に使われます。総状花序に4cm程の赤橙色の筒状花を付けます。繁殖は挿し芽、株分けで行います。

 別名、キダチロカイ(木立蘆薈)は、アロエ(Aloe)をロエと誤発音し、廬=ロ・薈=エとしたものをロカイと誤読したものです。従って、あえてこの名称を使用する必要は無いと思われます。聖書にも何度も出てきます。最初に出てくるアロエの箇所は、「それは広がる谷 大河の岸の園のようだ。それは主が植えられたアロエの木のよう 水のほとりの杉のようだ。」民数記24章6節(新共同訳)です。

参考:アロエ・ストリアーチュラ(Aloe striatula)

Japanese common name : Kidati-aroe
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Aloe arborescens Mill.


キダチアロエ(木立アロエ)
別名:キダチロカイ(木立蘆薈)
ススキノキ科(分類体系によりアロエ科、ユリ科、ツルボラン科)アロエ属
学名:Aloe arborescens Mill.
Aloe arborescens Mill. var. natalensis A. Berger
花期:12月~3月 多年草 草丈:20~100cm 花序:20cm

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【学名解説】
Aloe : alloeh(苦い)/アロエ属
arborescens : 亜高木の
Mill. : Philip Miller (1691-1771)
---
var. : varietas(変種)
natalensis : ナタール(南アフリカ)の
A. Berger : Alwin Berger (1871-1931)

撮影地:静岡県静岡市
駿河区中島(植栽) 2005.11.22
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 18 February 2006
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by pianix | 2006-02-18 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ザクロ(柘榴)
 ザクロ(柘榴)は、ミソハギ科ザクロ属の落葉小高木です。ただし亜熱帯地方では常緑樹です。ペルシャ(イラン)原産で、平安時代以前に中国から薬用として日本へ入りましたが、主に庭木としての利用が多く、果実栽培としての主な産地は日本にはありません。ザクロ属(Punica L. (1753))は2種が知られるだけです。その内の一つであるプニカ・プロトプニカ Punica protopunica Balf.f. は、国際自然保護連合によれば絶滅危惧種となっています。ザクロの品種は原産地においては200種ほどあるようです。日本での園芸種としては、矮小種のヒメザクロ(姫石榴)、八重咲きのハナザクロ(花石榴)等があります。

 「石榴」は中国名を充てています。中国では、古くは安石瘤としていました。瘤を同じ発音の榴に置き換えて、安石榴や石榴を使用していますが、安石は安石国の事で、イランを指します。夏の濃い緑の中で赤い花が目立つことから、中国の詩人安石が「万緑叢中紅一点」と詠み、日本でも紅一点の言葉が使われるようになりました。聖書にもたびたび現れます。旧約聖書で初めに出てくるのは、「上着の裾の回りには、青、紫、および緋色の毛糸で作ったざくろの飾りを付け、その間に金の鈴を付ける。」出エジプト記28章33節です。「エシュコルの谷に着くと、彼らは一房のぶどうの付いた枝を切り取り、棒に下げ、二人で担いだ。また、ざくろやいちじくも取った。」民数記13章23節。

 葉は対生し、長楕円形です。花は朱赤色の花弁が6枚です。果実は球形の液果で、固い外皮に包まれています。熟すと割れて種子を表します。種子を取り囲むゼリー状の部分に、クエン酸・カリウム・ビタミン・ミネラルなどが含まれます。1964年にエストロゲンが含まれていることが分かり、更年期障害の予防効果を期待されましたが、これは種子に含まれる(17mg/1kg)もので、種子を含まないジュースなどでは効果がありません。国民生活センターは、2000年4月に効能・効果を期待させる表示が多く見られることから、薬事法上問題であり、過度の期待を抱かないように注意を喚起しています。幹・枝・皮を乾燥させたものを漢方のセキリュウヒ(石榴皮)と言い、生薬(日本薬局方)として用いられます。昔は寄生虫駆除剤として使われましたが、現在では使用されません。繁殖には、挿し木が一般的に行われます。

☆  ☆  ☆

 ある女子中学生が、「試験は全く駄目だった」と、暗い顔で報告してきました。公立高校受験結果発表の前日でした。「もし駄目だったら、どのように報告したら良いのか」と、不安を隠せない状態でした。そして発表の日、昨日とは打って変わっての明るい声で、「合格しました」と電話をしてきました。ソメイヨシノはまだ咲かないけれど、一足早く一人の女の子に桜が咲きました。高倍率の難関をみごと突破したのです。桜は良いとして、どういう訳か女性という事で、ザクロが頭に思い浮かびました。それで季節外れですがザクロになりました。

Japanese common name : Zakuro
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Punica granatum L.
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ザクロ(柘榴)
ミソハギ科ザクロ属
学名:Punica granatum L.
花期:5月~6月 落葉小高木 樹高:3~5m 花径:5~6cm 果期:8~9月

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【学名解説】
Punica : punicus(カルタゴの)/ザクロ属
granatum : granatus(粒状の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から17.50km 左岸河川敷(植栽) 2005.10.20, 2008.06.05
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

15 February 2006
Last modified: 22 July 2015 (Family Name Update)
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by pianix | 2006-02-15 00:00 | | Trackback | Comments(0)
タバコ(煙草)
 タバコ(煙草)は、ナス科タバコ属の多年草です。南熱帯アメリカが原産で、日本では1年草として扱われます。名の由来は、ポルトガルから日本へ渡来した時のtabacoから。煙草は中国名で、当字。英名は、Tobacco。

 ナス科(Solanaceae Juss. (1789))は、世界に90属、約2300種が分布します。タバコ属(Nicotiana L. (1753))は、世界に66種類(野生種64種・栽培種2種)が分布しています。内訳は、南北アメリカ大陸45種、オセアニア20種、アフリカ(ナミビア)1種です。フランスの駐ポルトガル大使ジャン・ニコ(Jean Nicot (1530-1600))がフランスに持ち帰った事に因み、属名Nicotianaが付けられました。

 タバコの有効成分ニコチン(Nicotine)の名もこれに由来します。ニコチンはC10H14N2の構造式を持ち、幼児の致死量は15mg、大人の経口致死量は50~60mgとされています。殺虫剤として使用されることから毒物である事が分かります。当初は医薬品として利用されました。日本には1586年(天正14年)以後に入ったと言われています。栽培は1605年(慶長10年)に長崎で始まりました。

 花期は、7月から8月頃。花は、茎の先端部分に群生します。ピンク色の漏斗形をしている管状合弁花で、先端が星形に5裂します。萼片も5裂します。雄しべ5本、雌しべ1本があります。通常、花が出るとすぐに摘花されます。花への栄養を葉に回すためです。

 葉は、先端の鋭い大きな卵形で互生します。下から「下葉・中葉・合葉・本葉・上葉」と呼ばれ、各数枚ずつ計約20枚が付きます。ニコチン含有量は下部が少なく上に行くほど増えます。表面には毛茸(もうじ)と呼ばれる産毛が生えています。長さ約70cm、幅約30cmの大きさまで成長します。

 種子は、約0.7mm×0.5mmの回転楕円体で、重量50μg(マイクログラム)程です。1gの20万分の1と言う微細さです。種子対植物体重量の比は1,500万倍に達します。染色体数は、2n=48。

 紙巻き煙草の原料とされるのは、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum L.)=写真=と、ニコチアナ・ルスチカ(Nicotiana rustica L.)の栽培種2種類のみです。ニコチアナ・タバカムには、バーレー種・黄色種・在来種の各品種があります。タバコの専売制度が廃止(1985年)された以後、タバコ属の園芸種(alata種)が解禁となり市場に出回るようになりました。

Japanese common name : Tabako
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Nicotiana tabacum L.

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管状合弁花で、先端が星形に5裂する <2006.12.21> 萼裂片は5個

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雄しべ5,雌しべ1 <2005.12.21> 葉は卵形で互生し、約20枚がつく


タバコ(煙草)
ナス科タバコ属
学名:Nicotiana tabacum L.
花期:7月~8月 多年草(日本では1年草) 草丈:120cm

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【学名解説】
Nicotiana : Jean Nicot (1530-1600)フランスの外交官に因む/タバコ属
tabacum : tabaca(タバコ)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2005.12.02, 2005.12.21, 2006.12.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 22 January 2006
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by pianix | 2006-01-22 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)