タグ:青色系 ( 10 ) タグの人気記事
早春の野草・その5
 安倍川の水際でオオカワヂシャを観察していたら、散歩の人が声をかけてきました。花の名前を聞かれたのですが、「学名では分からないから普通に」と念を押されました。通常、学名を聞かれる事はありませんし、学名とは何か知らない人も多いはずです。不思議だなと思って話を聞いていたら、生物学を専攻していたとの事。ド素人の私に学名なんぞを聞いてはいけません。観察していたオオカワヂシャの名前だって、その時は度忘れ状態だったのですから。辛うじて思い出した和名を教え、オオイヌノフグリの仲間ですと答えておきました。その人が帰ったので、ほっとして観察を続けました。しかし数分もしない内に、その人はもう一度戻って来ました。「ベロニカだったっけ」と、思い出したのを喜ぶような大きな声で確認しに来たのです。学名は分からないと言っていたのに・・・。帰宅してから、この話を家の者にしました。「オタクって苦手なんだな」と私が言うと、「あんたがオタク」と言われてしまいました。

 ■オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)の花冠は8~10mmです。雄しべ2本、雌しべ1本の両性花で、名の由来となる果実は倒心形の蒴果です。

Japanese common name : Oo-inuno-fuguri
e0038990_8295545.jpg
Veronica persica Poir.
e0038990_830690.jpg
▲内側に曲がった雄しべ2本と、中央に雌しべ1本
e0038990_8301828.jpg
▲名の由来となった蒴果


オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)
別名:テンニンカラクサ(天人唐草)/ルリカラクサ(瑠璃唐草)/ヒョウタングサ(瓢箪草)/ホシノヒトミ(星の瞳)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica persica Poir.
花期:2月~5月 越年草 草丈:10~25cm 花径:8~10mm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
persica : persicus(ペルシャの)
Poir. : Jean Louis Marie Poiret (1755-1834)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2007.01.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]



 ■タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)は、オオイヌノフグリの花冠の半分以下しかありません。また、花柄が無いので花は目立ちません。果実は蒴果で、大きさは3~4mmです。オオイヌノフグリは茎が這うのに対し、タチイヌノフグリは茎が立ち上がります。

Japanese common name : Tati-inuno-fuguri
e0038990_8311270.jpg
Veronica arvensis L.
e0038990_8312732.jpg
▲合弁花で花柄が無く、花冠径は3~4mm。埋もれるように咲く
e0038990_8314258.jpg
▲蒴果


タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica arvensis L.
花期:4月~6月 越年草 草丈:10~25cm 花径:3~4mm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
arvensis : 可耕地の・原野生の・畠地生の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 右岸河川敷 2006.01.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

6 February 2007
Last modified: 24 September 2015
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2007-02-06 00:00 | | Trackback | Comments(0)
イシミカワ
 イシミカワは、タデ科イヌタデ属の1年草です。アジアに広く分布し、国内では全国に分布します。名の由来は不明です。従って漢字表記も、石見川・石実皮・石膠・杠板帰(中国名)、と多種に及びます。

 タデ科(Polygonaceae Juss. 1789)は北半球に約40属800種があります。タデ科の特徴は、葉柄の基部の托葉が茎を包む形の托葉鞘(たくようしょう)となる事です。イヌタデ属(Persicaria (C. Linnaeus) P.Miller, 1754)は北半球に約100種あり、日本には約30種があります。旧属名はPolygonumで、polys(多い)+ gonu(節)の意味を持ち、節が関節のように膨れる事に因みます。

 茎は無毛の蔓状で下向きの鋭い刺(逆刺)が密生し、他の植物に絡みつきながら分枝して、長さ100~200cm以上になります。葉は互生します。淡緑色の三角形で、長さ2~4cm。基部は矢じり形です。葉の基部に楯状の葉柄が付きます。葉柄や葉裏の主脈上にも棘があります。上部に付く托葉鞘は円形の葉状となります。

 枝先に1~2cmの総状花序を出し、長さ3~4mmで淡緑白色の目立たない花を10~20個ほど付けます。花弁はなく、深く5裂した広楕円形の花被(萼)に包まれていて、ほとんど開きません。雄しべと雌しべは同じ長さです。花序の基部には、茎を貫通した円形で葉状の苞があります。

 果実は痩果です。外花被片は多肉化して痩果を包み、球形となります。初め緑白色で、熟す毎に、紅紫色・青藍色(コバルトブルー)へと変化します。苞の上に果実が乗った独特の形になり、一見硬そうな果実は果汁が含まれて軟らかいです。痩果は光沢がある黒色で、約3mm程。染色体数は、2n=24。

Japanese common name : Isimikawa
e0038990_15563512.jpg
Persicaria perfoliata (L.) H. Gross

e0038990_15564737.jpge0038990_15565647.jpg
左:果実 右:葉と茎の棘

e0038990_15584932.jpge0038990_1559238.jpg
左:三角形の葉(裏) 右:円形葉状の托葉鞘(裏)

e0038990_15592859.jpge0038990_15594128.jpg
左:黒色の痩果が一部露出している 右:花後の状態


イシミカワ
タデ科イヌタデ属
学名:Persicaria perfoliata (L.) H.Gross
花期:7月~10月 1年草 草丈:100~200cm(蔓性) 花被片長:3~4mm

e0038990_2163229.gif

【学名解説】
Persicaria : persica(モモ)に似ている/イヌタデ属
perfoliata : perfoliatus(貫生葉の・抱茎の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
H.Gross : Hugo Gross (1888-1968)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km 右岸河川敷 2006.11.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 30 November 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-11-30 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オオセンナリ(大千成)
 オオセンナリ(大千成)は、ナス科オオセンナリ属の1年草です。南アメリカのペルーが原産で、日本へは江戸時代末期に園芸用途で渡来しました。1964年に福岡県北九州市で野生化が確認された帰化植物です。名の由来は、ホオズキ属のセンナリホオズキ(千成酸漿)Physalis pubescens L.と比べて大型との意味から。千成りとは、たくさん群がって実が生る事。英名は、Apple of Peruで「ペルーの林檎」ですが、果実は有毒1)で食べられません。

 ナス科(Solanaceae Juss. (1789))は、世界に90属約2300種が分布します。オオセンナリ属(Nicandra Adanson, 1763)は1属1種で、南アメリカのチリとペルーに分布します。

 茎には稜があり、分枝して30~100cmになります。葉は互生します。柄があり、長さ5~10cmの長楕円形あるいは卵形で、先端が尖り、荒い鋸歯があります。花期は7月から9月頃。葉腋から、葉と対生の位置に長い柄を持った花を付けます。淡青紫色の浅く5裂した5角形の鐘形で、花冠径は3~5cm。萼は筒状で、基部に5個の尾状突起があり、側面に5個の翼があります。

 果実は液果です。長さ約25mmの袋状になった肥大した萼に包まれ、袋は熟すと割れます。液果表面には茶褐色の斑点があります。種子は1.5~2mmの扁平した円形で多数あります。染色体数は、n=10, 2n=19,21。

 全草を生薬「假酸漿(カサンショウ)」として止咳、清熱、去痰、解毒に用います。

1)ニカンドレノン(Nicandrenone, C28H34O6)

【参考文献】
0.NALBANDOV, R.T.YAMAMOTO and G.S.FRAENKEL(1964) Nicandrenone, a new compound with insecticidal properties, isolated from Nicandra Physalodes. Jour. Agric. Food Chem. 12:55-59.

殺虫力をもつ新植物成分ニカンドレノン
農技研 平野千里 日本応用動物昆虫学会誌 第8巻 第2号 1964-06-25,122p.

Japanese common name : Oo-sen'nari
e0038990_16471823.jpg
Nicandra physaloides (L.) Gaertn.

e0038990_16481399.jpge0038990_16483013.jpg
萼は筒状、基部に5個の尾状突起、側面に5個の翼がある。葉は互生する。
e0038990_16544333.jpg
イチモンジセセリが訪花していた。

e0038990_1649726.jpge0038990_1649192.jpg
果実は液果。肥大した萼に包まれている。2006.10.19


オオセンナリ(大千成)
ナス科オオセンナリ属
学名:Nicandra physaloides (L.) Gaertn.
花期:7月~9月 1年草 草丈:30~100cm 花径:3~5cm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Nicandra : ギリシャの詩人Nikandros(197-130 BC.) に因む/オオセンナリ属
physaloides : ホオズキ属(Physalis)のような|Physalis:physa(水泡・気泡)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Gaertn. : Joseph Gaertner (1732-1791)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.25, 2006.10.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 July 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-07-26 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(4)
タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)
 タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)は、オオバコ科クワガタソウ属の越年草です。ヨーロッパ原産で、北アフリカ、アジア、オーストラリア、南北アメリカ等の寒帯から温帯にかけて分布します。日本へは明治初期に渡来したと言われています。1870年頃、東京で野生が確認された帰化植物で、非意図的移入とされています。

 名の由来は、茎が立ち上がるイヌノフグリ(犬の陰嚢)の意味から。しかし、在来種であるイヌノフグリの花色は薄桃色で、本種は帰化植物のオオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)に近い青紫の花色となります。英名は、Corn speedwell。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. (1753))は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 茎は根本で分枝して叢生し、直立して草丈を10~25cmに伸ばします。短毛があります。葉は、下部で対生、上部で互生します。大部分は無柄で鈍い鋸歯があり、下部の葉は広卵形、上部で長卵形となり、小さい包葉となります。両面に短毛があります。

 花期は,4月から6月頃。花は葉腋に単生します。合弁花で花柄が無く、花冠径は3~4mm。8~10mmあるオオイヌノフグリよりずっと小型で隠れるように咲くので目立ちません。また、晴れた日の数時間しか開きません。花冠は青紫色で、深く4裂します。 花の大きさは、オオイヌノフグリ>イヌノフグリ>タチイヌノフグリで、タチイヌノフグリには花柄が無い事が最大の特徴です。

 雄しべ2本、雌しべ1本の両性花で自家受粉します。果実は蒴果です。柄が無く、扁平で倒心形の腺毛がある3~4mmの実がペアに付きます。これが名称の元になっています。0.8mm程の種子が20個内外あります。染色体数は、2n=16。

Japanese common name : Tachi-inuno-fuguri
e0038990_23411494.jpg
Veronica arvensis L.
e0038990_23414115.jpg
花冠径は3~4mm。雄しべ2本、雌しべ1本の両性花。
e0038990_23422946.jpg
花は葉腋に単生し埋れるように咲く

e0038990_23425564.jpge0038990_23431380.jpg
左:全体の様子 右:果実は蒴果


タチイヌノフグリ(立犬の陰嚢)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica arvensis L.
花期:4月~6月 越年草 草丈:10~25cm 花径:3~4mm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
arvensis : 可耕地の・原野生の・畠地生の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸土手 2006.05.24
安倍川/河口から9.0km 左岸河川敷 2007.03.06, 2007.04.14
安倍城跡(Alt. 435m) 2010.04.03
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 June 2006, 7 April 2010
Last modified: 24 September 2015
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-06-24 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ワスレナグサ(忘れな草/勿忘草)
 ワスレナグサ(忘れな草/勿忘草)は、和名がシンワスレナグサ(真忘れな草)で、ムラサキ科ワスレナグサ属の多年草です。ヨーロッパ原産で、日本には、明治時代に渡来したと言われています。観賞用に導入され栽培されていたものが逸出し、1950年代に北海道と長野県で野生化が確認されました。北海道・本州・四国に分布します。「勿忘」を現代日本語にすると、「忘れるな」となります。名の由来は、英語のforget-me-notを直訳したもの。恋人ベルタに、この花を贈ろうとしてドナウ川に落ちて死んだドイツの騎士ルドルフの物語から、最後に残した言葉「僕を忘れないで(Vergiss-mein-nicht)」に因みます。英名は、True Forget-me-not、あるいはWater Forget-me-notと呼ばれ、他のワスレナグサ属と区別しています。

 ムラサキ科(Boraginaceae Juss. (1789))は地中海沿岸などの温帯に約154属2500種類が分布します。日本には14属28種があり、11種の草本が自生します。ワスレナグサ属(Myosotis L. (1753)は、北半球の温帯から亜寒帯(ユーラシア大陸・アフリカ・オセアニア)にかけて約50種が分布します。日本にはエゾムラサキの1種が自生分布します。

 水湿地に生育し群生します。地下茎があり、根は横に這います。伏毛のある茎は束生し、20~45cm程の草丈になります。葉は互生し全縁、柄がある倒披針形で、産毛があります。上部では柄がなく長楕円形になります。花期は5月から7月頃。渦巻き状になる蠍(さそり)形状の花序(巻散花序)となり、径6~9mmで淡青色の合弁花冠を付けます。萼は5裂し、先端は尖ります。花冠は5裂し、平開します。中央にある鱗片状の副花冠(corona)は黄色で、花冠の切れ目に向かって放射状に白色の稜が走ります。雄しべは5本で、子房は4裂します。両性花です。果実は小堅果状の4分果で、種子は艶のある黒色をしています。風や雨、動物などにより伝播されます。染色体数は、2n=66。

 耐寒性多年草で、冷涼地では夏を越すことが可能です。園芸では1年草として扱います。低温を経験する事で花芽ができます。一般的には春の花ですが、北海道では初夏の花になります。小型で豪華さはありませんが群生すると美しさが引き立つ花です。

 近縁種に、在来種のエゾムラサキ(蝦夷紫)Myosotis sylvatica Hoffm.、ヨーロッパ原産のノハラワスレナグサ(野原忘れな草)Myosotis alpestris F.W.Schmidtがあります。萼に鉤状の毛があります。園芸店ではワスレナグサとして売られていることがあります。

Japanese common name : Sin-wasurena-gusa
e0038990_11133750.jpg
Myosotis scorpioides L.
e0038990_11134869.jpg
中央にある鱗片状の副花冠は黄色。花冠の切れ目に向かって放射状に白色の稜が走る


シンワスレナグサ(真忘れな草)
別名:ワスレナグサ(勿忘草/忘れな草)
ムラサキ科ワスレナグサ属
学名:Myosotis scorpioides L.
花期:5月~7月 多年草 草丈:20~45cm 花径:6~9mm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Myosotis : myos(二十日鼠)+otis(耳)|葉の状態を例えた/ワスレナグサ属
scorpioides : サソリの尾のような・卷いた形の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系)/右岸 2006.04.24
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 2 May 2006
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-05-02 00:00 | | Trackback | Comments(6)
オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)
 オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)は、オオバコ科クワガタソウ属の越年草です。ヨーロッパ原産で、アジア・南北アメリカ・オセアニア・アフリカ等に広く分布します。日本では全国で野生化している外来種です。1887年に東京で確認され、大正時代初期に全国に拡大しました。史前帰化植物の在来種、イヌノフグリ(犬の陰嚢)を駆逐しています。名の由来は実の形が、雄犬の陰嚢に似ているイヌノフグリより大型、という意味からです。犬であろうと何であろうと、ちょっと困った名前であるので、別名が多く存在しています。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss.(1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. 1753)は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 茎は長さ30cm程で、分枝して地を這います。葉は卵円形で鋸歯があり、茎の下部で対生し、上部で互生します。花期は、2月から5月頃。立ち上がった茎の葉腋に花柄を出し、瑠璃色の花を付けます。花冠は4裂していますが花弁が基部で合着する合弁花です。両性花で、雄しべは2本。一日花で、花冠は簡単に剥離します。温暖な地では秋にも咲きます。果実は倒心形の蒴果で、長さ2mm以下の種子が8個程入っています。1株あたり300個以上の種子があり、風などで散布されます。扁平形であるのはクワガタソウ属の特徴です。染色体数は、2n=28。

 類似種として、桃色の花を付けるイヌノフグリ(Veronica didyma Tenore var. lilacina (Hara) T.Yamaz.)の他、青紫色の花で茎が立ち上がるタチイヌノフグリ(Veronica arvensis Linn.)、毛が多く淡青紫色のフラサバソウ(Veronica hederaefolia L.)があります。

オオイヌノフグリ・他の写真
参考:オオカワヂシャ(大川萵苣) カワヂシャ(川萵苣)

Japanese common name : Oo-inuno-fuguri
e0038990_16135244.jpg
Veronica persica Poir.
e0038990_16141040.jpg
e0038990_16142179.jpg
大犬の陰嚢=フグリに似ている果実


オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica persica Poir.
花期:2月~5月 越年草 草丈:10~25cm 花径:8~10mm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
persica : persicus(ペルシャの)
Poir. : Jean Louis Marie Poiret (1755-1834)

撮影地:静岡県静岡市
葵区羽鳥「洞慶院」 2006.01.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

24 January 2006
Last modified: 24 September 2015
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-01-24 00:00 | | Trackback(1) | Comments(6)
ルリヂシャ(瑠璃萵苣)
 ルリヂシャ(瑠璃萵苣)は、地中海沿岸を原産地とするムラサキ科ルリヂシャ属(ボラゴ属)の耐寒性一年草ハーブです。ヨーロッパから北アフリカに分布します。日本には明治の中頃に導入されました。名の由来は、瑠璃色の花をしたレタスの意味から。瑠璃はラピスラズリ(lapis-lazuli)の和名で、JIS色彩規格では「こい紫みの青」とされ、紫色を帯びた鮮やかな青色。チシャ(萵苣)は、レタスの和名。英名は、Borage(ボラージ)。

 ムラサキ科(Boraginaceae Juss. (1789))は、地中海沿岸などの温帯地域を中心に約154属2500種類が分布し、日本には14属28種が分布します。ルリヂシャ属(Borago L. (1753))は、ヨーロッパや西アジアに3種類程があります。

 茎は、中空で全体に白い剛毛で覆われています。花は星型で、萼、花弁ともに5枚。下向きに咲きます。咲き始めはピンクで、やがて瑠璃色に変化します。花色は瑠璃色の他、赤紫色、白色等があります。1日花です。葉は卵形でキュウリの様な香りがあります。染色体数は、2n=16。

 性質は強いのですが、梅雨時の高温多湿には、やや弱いようです。日当たりを好み、土を選びません。繁殖は春秋に直播きで行い、後はこぼれ種による実生で済む場合があります。

 用途は、観賞用の他、野菜として萼以外の全草を食用にします。天ぷらやサラダとして、あるいはハーブティー、入浴剤(葉と花)としての使用もあります。薬用としては、種子から抽出したボリジ油を湿疹や皮膚病に利用します。種子にはγ-リノレン酸(γ-linolenic acid)を含有しています。

Japanese common name : Ruri-zisya
e0038990_224246.jpg
Borago officinalis L.


ルリヂシャ(瑠璃萵苣)
別名:ボリジ(Borage)、ルリジサ、ルリチシャ
ムラサキ科ルリヂシャ属
学名:Borago officinalis L.
花期:4月~11月 1年草 草丈:20~80cm 花径:2cm

e0038990_21323673.gif

【学名解説】
Borago : borra(剛毛)|ボリジの古名/ルリヂシャ属
officinalis : 薬用の・薬効のある
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2005.12.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

20 January 2006, 13 April 2014
Last modified: 8 July 2014
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2006-01-20 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(2)
オオカワヂシャ(大川萵苣)
 オオカワヂシャ(大川萵苣)は、オオバコ科クワガタソウ属の多年草です。ヨーロッパからアジア北部が原産と言われています。1867(慶応3)年に神奈川県相模で定着が確認され、関東以西に分布域を広げ、現在ではかなりの地域に侵入拡大しています。チシャ(萵苣)はレタスの別名で、球状のレタスはタマヂシャ(玉萵苣)と呼ばれます。オオカワヂシャの名は、川辺に生える大きな萵苣、との意味です。名前は似ていますが、チシャはキク科アキノノゲシ属で、オオカワヂシャはオオバコ科クワガタソウ属であり、科属が異なります。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))は、約90属1700種があります。ゴマノハグサ科から再編されました。旧ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae Juss. (1789))は、熱帯から寒帯に約220属3000種がある双子葉植物・合弁花類です。クワガタソウ属(Veronica L. (1753))は、北半球に約300種が分布します。日本には、約13種があります。

 日当たりの良い水辺や湿地に自生します。横に広げた根茎で栄養繁殖します。草丈は、20~100cm。葉や茎の色は濃い緑色で無毛。葉は対生します。無柄。基部が心臓形で茎を抱きます。長楕円形から披針形で、艶があり、僅かな鋸歯があります。花期は、4月から10月頃。葉腋から穂状花序を出します。花柄を湾曲しながら斜上させ、紫色の筋模様を持った淡紫色の花を多数付けます。花は4深裂して径約5mm。オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)と、そっくりな花です。果実は蒴果です。球形で約2mmの残存花柱があります。種子は、約0.5mmの楕円形。染色体数は、2n=36。

 葉と茎の色が黄緑色である在来種のカワヂシャ(川萵苣)は、今や準絶滅危惧種です。帰化種であるオオカワヂシャが競合し、脅かし、駆逐しているのです。やっかいな事に、オオカワヂシャとカワヂシャの交雑種にホナガカワヂシャ(穂長川萵苣)があり、在来種の生態系を乱す遺伝的攪乱という問題を引き起こしています。

 オオカワヂシャ(大川萵苣)は外来種であり、「外来生物法」で特定外来生物に指定されています。飼育、栽培、保管及び運搬、輸入が原則禁止、野外へ放つ、植える及びまくこと、譲渡し、引渡しなどをすることが禁止され、違反者には懲役あるいは罰金が科せられます

参考:オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)フラサバソウ(フラサバ草)

Japanese common name : Oo-kawa-disya
e0038990_1593625.jpg
Veronica anagallis-aquatica L.

e0038990_1595317.jpge0038990_1510595.jpg


オオカワヂシャ(大川萵苣)
オオバコ科クワガタソウ属
学名:Veronica anagallis-aquatica L.
花期:4月~10月 多年草 草丈:20~100cm 花径:6~7mm

e0038990_21223647.gif

【学名解説】
Veronica : Vettonicaの転訛|聖Veronicaに因む/クワガタソウ属
anagallis-aquatica : anagallis-aquaticus(水中の、ルリハコベ属Anagallisに似た)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川 2005.11.29
安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2007.04.06
安倍川/河口から10.25km 左岸河川敷 2007.04.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

4 December 2005, 15 December 2014, 24 September 2015
Last modified: 19 November 2016
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2005-12-04 00:00 | | Trackback | Comments(2)
マルバアメリカアサガオ(丸葉亜米利加朝顔)
 安倍川堤防土手は、車の通行ができる場所と歩行者専用の区分があります。また、土手が途中で途切れたりしている箇所があります。バイクで野草撮影に出かけて、行った事がない小道へ入ると、そこから先は自転車だけが走れる土手につながっていました。バイクを置いて歩き始めると、その1km程先には見慣れた河川敷が広がっていました。

 土手沿いにコセンダングサが広がっています。その中に薄い空色をした朝顔が咲いていました。マルバアメリカアサガオ(丸葉亜米利加朝顔)でした。ヒルガオ科サツマイモ属の1年草です。アメリカアサガオの葉が丸みを帯びているものを差します。葉には細かな毛が生えています。花は小振りで3cm程ですが、実の大きさは一人前で、そのアンバランスを感じます。実の萼は大きく反り返り、荒毛が目立ちます。フェンスや標識などにも巻き付いています。染色体数は、2n=30。

 北アメリカ原産の帰化植物で、戦後に輸入穀物に混入し、各地で野生化しました。茎は上から見て反時計回り(右巻き)*で絡みつきます。果期の萼片は大きく湾曲します。英名は、Entireleaf Morning Glory。Entireleafは、全縁の意味。

*学術用語集植物学編増訂版(1990)の定義による

Japanese common name : Maruba-amerika-asagao
e0038990_12175514.jpg
Ipomoea hederacea Jacq. var. integriuscula A.Gray

e0038990_12181060.jpge0038990_1112515.jpg
茎は反時計回り(右巻、Z巻)


マルバアメリカアサガオ(丸葉亜米利加朝顔)
ヒルガオ科サツマイモ属
学名:Ipomoea hederacea Jacq. var. integriuscula A.Gray
花期:8月~10月 1年草 草丈:蔓性~100cm 花径:3cm

e0038990_12135938.gif

【学名解説】
Ipomoea : ips(芋虫)+homoios(似た)/サツマイモ属
hederacea : hederaceus(キズタ属(Hedera)に似た)
Jacq. : Nicolaus Joseph Baron von Jacquin (1727-1817)
var. : varietas(変種)
integriuscula : integri~(接頭辞)全て+~usculus(接尾辞)似た
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から16.25km 左岸河川敷 2005.11.02
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

June 22, 2008
Last modified: 21 September 2016
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2005-11-11 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツユクサ(露草)
 ツユクサ(露草)は、ツユクサ科ツユクサ属の1年草です。東アジアに分布し、日本では全国に分布する在来種です。名の由来は、不明です。朝露のように短時間しか観る事ができない事からとか、ツキクサ(着草)が転訛したとの説があります。英名は、Dayflower。

 ツユクサ科(Commelinaceae Mirb. (1804))は、約40属650種が分布します。ツユクサ属(Commelina L. (1753))は世界に180種、日本には5種が分布します。

 花弁は、上部2枚と下部1枚の3枚。雄しべは、花弁側から黄色の短3本,中1本があり、雌しべと同長の長2本の計6本があります。朝5時頃から咲き始め、午前中には閉じてしまう短命の花です。咲いた花は萼(がく)の中に戻り、溶けていきます。染色体数は、2n=88。

 朝(あした)咲き夕べは消(け)ぬる鴨頭草(つきくさ=ツユクサ)の消ぬべき恋も我はするかも 【朝開 夕者消流 鴨頭草之 可消戀毛 吾者為鴨 万葉集巻十第二二九一】

 午前中に忙しく動き回る人は、あまり目にする事も無いかもしれません。残念な事だと思うのですが、季節が進むと、午後にも花が咲いている事があります。

Japanese common name : Tuyu-kusa
e0038990_2171829.jpg
Commelina communis L.

e0038990_1622079.jpge0038990_1623815.jpg

e0038990_183538.jpg
シロバナツユクサ(白花露草)
Commelina communis L. f. albiflora Makino


ツユクサ(露草)
別名:アオバナ(青花)/ボウシバナ(帽子花)
古名:ツキクサ(着草)染色に用いられた
ツユクサ科ツユクサ属
学名:Commelina communis L.
花期:6月~9月 1年草 草丈:15~50cm 花径:2~3cm

e0038990_2163229.gif

【学名解説】
Commelina : Caspar Commelin (1667-1731) 氏に因む
communis : 普通の、通常の、共通した
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
f. : forma(品種)
albiflora : albiflorus(白花の)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県
伊豆の国市/修善寺 2005.07.18
葵区内牧 2006.09.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 5 August 2005
e0038990_1703595.gif

[PR]
by pianix | 2005-08-05 00:00 | | Trackback | Comments(0)