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セイヨウアブラナ(西洋油菜)
 セイヨウアブラナ(西洋油菜)は、アブラナ科アブラナ属の1年草です。北ヨーロッパからシベリアにかけてが原産の帰化植物です。明治初期に栽培目的で導入され、逸出して野生化しました。日本全国に分布します。名の由来は、ヨーロッパから導入したアブラナから。アブラナは、油を取る菜であることから。別名はヨウシュナタネ(洋種菜種)。ナタネ(菜種)は、本来はアブラナの種子を指します。英名は、rape colza。

 アブラナ属全般をナノハナ(菜の花)と呼ぶ場合があります。双子葉綱ケシ目のアブラナ科(Cruciferae Juss. (1789))は、世界の温帯を中心に約370属4000種が知られています。日本には100種以上があります。科名は十字架を意味し、4弁の十字状の花を付ける事に由来します。以前は十字花科とされていました。アブラナ属(Brassica L. (1753))は、地中海周辺から中央アジアアジアが原産と考えられています。この属には、キャベツ・カリフラワー・ハクサイ・カブ等の野菜類が多くあります。

 草丈は50~100cmになります。茎や葉には蝋質の白粉があり水を弾きます。葉は柄が無く茎を抱きます。下葉の葉脈上には剛毛があります。茎は無毛の白緑色で直立し、総状花序を付けます。下から順に咲く無限花序です。(上から下へと咲くのは有限花序)。花弁は黄色で長さ10~18mm。4枚が十字状につきます。萼片は斜めに立ちます。雄しべは6本あり、4本が長く2本は短い4強雄しべ(4長雄しべ)です。蕾の時は内向きで、開花時に外向きになります。雄しべ1本に花粉袋2個が付き、熟すと縦に割れ、袋が裏返しになって花粉を出します。子房上位で、子房の下には緑色の蜜腺が4個あります。

 果実は長さ5~10cmの長角果(ちょうかくか)です。2部屋に分かれ、熟すと下から2裂します。長さ10cm程の長角果にある種子は、1部屋に10~15粒あります。種子は黒褐色で黒種と呼ばれます。直径は約1mmで重量は約4mg。15度以上で発芽します。種子を搾ったのが菜種油で、含油量は約40%。染色体数は、複二倍体(amphidiploid)である、2n=4x=38。類似種に、日本在来種のアブラナ(油菜)Brassica campestris L.があり、萼片は開出し、種子は褐色で赤種と呼ばれます。

 遺伝子組換えナタネ種子が1997年から輸入され流通しています。これが逸出して、2003年頃から港などでの自生が確認されています。アブラナ科植物は交雑しやすい性質があり、交配による遺伝子攪乱の危険性が指摘されています。

Japanese common name : Seiyou-aburana
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Brassica napus L.

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左:花冠 右:子房の下の蜜腺は緑色で4個ある

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右:葉の基部は茎を抱く 左:果実は長角果


セイヨウアブラナ(西洋油菜)
別名:ヨウシュナタネ(洋種菜種)
アブラナ科アブラナ属
学名:Brassica napus L.
花期:3月~5月 1年草(越年草) 草丈:50~100cm 花径:約2cm

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【学名解説】
Brassica : キャベツの古いラテン語/アブラナ属
napus : カブラ(蕪)のラテン名
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
藁科川(安倍川水系) 河口から1.5km/左岸 2007.01.31
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 March 2007
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by pianix | 2007-03-21 00:00 | | Trackback | Comments(2)
早春の花木・その1
 梅園でロウバイを見ていたら、自転車に乗った男性に話しかけられました。「それは何という梅?」と聞かれたので「ロウバイです、ロウソクの蝋と梅と書いて蝋梅です」と答えたところ、「梅の仲間なんだろ」と言って走り去ってしまいました。梅園にあるから全部が梅の仲間で、名前に梅と付くから梅の一種と思ったのかもしれません。ロウバイはロウバイ科ロウバイ属ですから仲間ではありません。

 この様な名から起きる混乱は、同じ梅園で毎年聞くことになります。紛らわしいことに、黄色の梅と書くオウバイ(黄梅)も、モクセイ科ソケイ属で、ウメの仲間ではありません。もっとも、ウメがバラ科サクラ属であることに驚く人も少なくありません。ロウバイ(蝋梅)は、光沢がある蝋細工のような花で、芳香があります。

Japanese common name : Roubai
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Chimonanthus praecox (L.) Link

ロウバイ(蝋梅)
ロウバイ科ロウバイ属
別名:トウバイ(唐梅)/カラウメ(唐梅)
学名:Chimonanthus praecox (L.) Link
花期:12月~2月 落葉低木 樹高:2~5m 花径:2cm

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【学名解説】
Chimonanthus : cheimon(冬)+anthos(花)/ロウバイ属
praecox : 早期の・早熟の・早咲きの
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Link : Johann Heinrich Friedrich Link (1767-1851)

撮影地:静岡県静岡市
葵区羽鳥「洞慶院」(植栽) 2007.01.25



 ロウバイが花の中心部が暗紫色になるのに対して、ソシンロウバイ(素心蝋梅)は全体が黄色になります。

Japanese common name : Sosin-roubai
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Chimonanthus praecox (L.) Link f. concolor (Makino) Makino
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裏側

ソシンロウバイ(素心蝋梅)
ロウバイ科ロウバイ属
学名:Chimonanthus praecox (L.) Link f. concolor (Makino) Makino
synonym : Chimonanthus praecox Link f. lutea (Makino) Okuyama
花期:12月~2月 落葉低木 樹高:2~5m 花径:2cm

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【学名解説】
Chimonanthus : cheimon(冬)+anthos(花)/ロウバイ属
praecox : 早期の・早熟の・早咲きの
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Link : Johann Heinrich Friedrich Link (1767-1851)
f. : forma(品種)
concolor : con(共に)+color(色)/同色の 
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
---
lutea : luteus(黄色の)
Okuyama : 奥山春季 Shunki Okuyama (1909-1998)

撮影地:静岡県静岡市
葵区羽鳥「洞慶院」(植栽) 2007.01.25

Last modified: 22 February 2007
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by pianix | 2007-02-22 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キヅタ(木蔦)
 キヅタ(木蔦)は、ウコギ科キヅタ属の常緑低木です。日本・朝鮮に分布します。日本では、北海道南部・本州・四国・九州・沖縄に分布します。名の由来は、木本の蔦であることから。別名のフユヅタ(冬蔦)は、冬にも常緑である事から。

 ウコギ科(Araliaceae Jussi. (1789))は、温帯から熱帯にかけて約50属700種が分布します。キヅタ属(Hedera L. (1753))は、ヨーロッパ、北アフリカ、アジアに分布します。日本には1属1種が自生します。

 茎から気根を出し、地表を這ったり樹木に付着して登ります。葉は互生し、光沢がある革質で全縁、長さ3~6cm、幅2~4cmの楕円形から菱状卵形で先端は鋭頭。若い枝に付く葉は、掌状に浅く3~5裂することもあり、形状の違いがあります。葉柄の長さ2~5cm。葉の付け根には黄褐色の鱗片毛があります。

 花期は、10月から12月頃。散形の花序を出し、10~13個の両生花を付けます。花径は4~5mm、花被片は5枚で黄緑色。雄しべは5本。同じ長さの花柄が放射状に出るので、花序は半球状に見えます。果実は核果です。紫黒色の球状で、径6~8mmです。染色体数は、2n=48。

 キヅタは、属名のヘデラ(Hedera)や、アイビ(Ivy)ーの呼び方があります。キヅタは日本に自生し、白覆輪の種類は栽培もされます。ヨーロッパに自生する種類のセイヨウキヅタ(西洋木蔦)Hedera helix L.は、英名がイングリッシュアイビー(English ivy)で、葉に黄色の中斑が入るゴールデンハート、白覆輪のグレーシア、白散斑のゴールドダストが主要な品種です。

 北アフリカのカナリー産であるカナリーキヅタHedera canariensis Willd.は、和名オカメヅタで、観葉植物として世界的に栽培され、コルシカ産のコルシカキヅタHedera colchica (C. Koch) C. Kochは大葉の種類です。どの品種も丈夫で、挿し木で容易に繁殖できます。

Japanese common name : Ki-zuta
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Hedera rhombea (Miq.) Bean
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気根 (撮影地:安倍川/河口から12.50km左岸)

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左:11月の花被片が反り返った状態 (撮影地:静岡市牛妻/山道) 右:全体


キヅタ(木蔦)
別名:フユヅタ(冬蔦) 誤記:キズタ
ウコギ科キヅタ属
学名:Hedera rhombea (Miq.) Bean
花期10~12月 常緑低木(蔓性) 花序長:25~30mm 花径:4~5mm 果期:4~6月

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【学名解説】
Hedera : キヅタの古代ラテン名、ギリシャ語でhedra(座)/キヅタ属
rhombea : rhombeus(菱形の)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
Bean : William Jackson Bean (1863-1947)

撮影地:静岡県静岡市
葵区追手町 2006.10.13
安倍川/河口から12.50km左岸
葵区牛妻
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 16 November 2006
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by pianix | 2006-11-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)
スズメウリ(雀瓜)
 スズメウリ(雀瓜)は、ウリ科スズメウリ属の1年草です。日本の本州・四国・九州と韓国の済州島(Cheju Isl.)に分布する在来種です。名の由来は、ウリ科カラスウリ属のカラスウリ(烏瓜)に対して小さい事から。カラスやスズメは個体の大きさを示す事に使われます。雀の卵に似ているからという異説もあります。

 ウリ科(Cucurbitaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜熱帯にかけて約87属800種があります。トウガン、スイカ、キュウリ、カボチャ、メロン、ヘチマ、ニガウリ等があります。科名は「カボチャ」の意味。スズメウリ属(Melothria L. (1753))のMeloはリンゴの語源が転じてメロンやウリの意味。最近、Zehneria (Endlicher, 1833)が使われ始めた。


 山野の、やや湿った所に自生します。茎は細く、蔓性で長く伸び、巻き鬚で他のものに絡みつきます。葉は互生します。柄があり、長さ3~6cm、幅4~8cmの卵円形から三角状卵心形で、基部は心臓形。浅く3裂する場合があります。葉質は薄く、縁は鋸歯状に浅く裂け、鋭頭。雌雄同株です。

 花期は8月から9月。雌花・雄花共に、葉腋から径5~7mmの淡黄色で深く5裂した花を単生します。枝先の雄花は総状花序に付く事があります。雄花の雄しべは3本で花托筒に合着します。雌花は蕾の時から楕円形の子房が目立ちます。子房下位。萼片は短い線形で5枚。

 果実は液果です。2~5cmの非常に細い柄があり、下垂します。球形か卵形で長さ1~2cm。初め緑色で、熟すと灰白色になります。種子は扁平で胚乳を欠き、長さ5~6mmで左右2列に並び、16個あります。蔓の先端が地中に潜り肥大した塊根を作って越冬することもあります。染色体数は、2n=22。

Japanese common name : Suzume-uri
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Zehneria japonica (Thunb.) H.Y.Liu

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果実は液果。若い実は緑で、熟すと灰白色になる


スズメウリ(雀瓜)
ウリ科スズメウリ属
学名:Zehneria japonica (Thunb.) H.Y.Liu
synonym : Melothria japonica (Thunb.) Maxim. ex Cogn.
花期:8月~9月 1年草 草丈:100~500cm(蔓性) 花径:5~10mm 実径:1~2cm

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【学名解説】
Zehneria : 植物画家 Joseph Zehner 氏の/スズメウリ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
H.Y.Liu : 劉和義 Ho-Yih Liu (1956- )
---
Melothria : 白いブドウを指した古名/スズメウリ属
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
ex : ~より (代わりに発表)
Cogn. : Celestin Alfred Cogniaux (1841-1916)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.10.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

8 November 2006
Last modified: 1 June 2015
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by pianix | 2006-11-08 00:00 | | Trackback | Comments(2)
セイタカアワダチソウ(背高泡立草)
 セイタカアワダチソウ(背高泡立草)は、キク科アキノキリンソウ属の多年草です。北アメリカ原産の帰化植物で、世界では北半球の各国に帰化していますす。日本には、1900(明治33)年頃、観賞用や蜜源植物として導入されました。1940(昭和15)年以降に各地に広がり、1965(昭和40)年以降に大繁殖し、現在では日本全国に分布するに至っています。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物)に指定されています。名の由来は、背が高くなり花が泡立つように咲く様子から。英名は、Tall Golden rod(背高金の鞭)や Yellow-weed、又はYellow-top。アワダチソウ(泡立草)は、ベンケイソウ科のキリンソウ(麒麟草)の事です。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味、保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。アキノキリンソウ属(Solidago L. (1753))は温帯を中心に約100種あり、分布の多くは北アメリカで約80種があります。属名の「Solidago」はラテン語のsolidus(完全)+ ago(状態)で、「完全な状態・合着する・固くする」の意味があり、ヨーロッパで傷薬として用いられた事に由来すると言われています。

 地下茎により繁殖します。根や地下茎は、アレロパシー1)(allelopathy)作用があり、ポリアセチレン化合物のシス-デヒドロマトリカリエステル2)(cis-DME)を分泌します。これによって他の植物の種子発芽を阻害制御し、長期間に渡り独占的に定着します。しかし、制御物質が土中に蓄積される事で、分泌者のセイタカアワダチソウ自身も種子発芽が抑制される結果となります。やがて自家中毒に陥り、大繁殖していた群落は衰退していきます。

 茎は直立して50~250cmになり、上部で分枝して花茎を多数出します。短毛があり、断面は円形。葉は互生し、茎に密生させます。披針形で先が尖り、長さ6~13cm。葉裏の脈上には微毛があります。花期は8月から11月頃。茎の先に長さ10~50cmの円錐花序を出し頭花を多数付けます。頭花は黄色で径5~6mm。雌性の舌状花が周囲に並び、1頭花あたり4~6個の両性の筒状花が中心にあります。舌状部は長さ3~4mm。総苞は長さ3~3.5mm、総苞片は線形で3列。枯れると灰白色の綿毛(冠毛)となり、泡を吹いたように見えます。

 虫媒花です。養蜂の重要な蜜源になります。以前は花粉症の原因と言われていました。虫媒花の花粉は風媒花と比べて重く、風で遠くまで飛ばないので、花粉症への影響は少ないと思われます。果実は痩果です。1株あたり21,000~50,000個の種子を付けます。ロゼットで越冬します。従って、繁殖制御を目的とした場合、ロゼット周辺の草刈りを行う事は、かえって生育を助長させる逆効果を生みます。染色体数は、2n=54。

1)アレロパシー(allelopathy):多感作用。広義には、微生物を含む植物相互間の生化学的な関わり合い。植物が生産する化学物質が放出される事により他植物に直接・間接的に阻害や促進の影響を与える作用。Hans Molisch (1856-1937)による1937年提唱の用語。
※日本での研究機関:社団法人 植物情報物質研究センター

2)シス-デヒドロマトリカリエステル(cis-dehydromatricaria ester|cis-DME):CH3≡CC≡CC≡CCH=CHCOOCH3

Japanese common name : Seitaka-awadati-sou
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Solidago altissima L.

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花の拡大

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左:葉序                       右:茎
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冠毛を付けた晩秋のセイタカアワダチソウ 2004.11.16


セイタカアワダチソウ(背高泡立草)
別名:セイタカアキノキリンソウ(背高秋の麒麟草)
キク科アキノキリンソウ属
学名:Solidago altissima L.
花期:8月~11月 多年草 草丈:50~250cm 花径:5~6mm

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【学名解説】
Solidago : solidus(完全)+ ago(状態)/アキノキリンソウ属
altissima : altissimus(非常に高い・最高の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.10.12
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 1 November 2006
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by pianix | 2006-11-01 00:00 | | Trackback(1) | Comments(0)
コウゾリナ(髪剃菜)
 コウゾリナ(髪剃菜)は、キク科コウゾリナ属の2年草です。日本、千島列島に分布します。日本では、北海道から九州に分布する在来種です。名の由来は、茎や葉にある剛毛をカミソリに例え、転訛であるコウゾリ(髪剃)を充て、若葉を食用としたので「菜」を付けたものです。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味、保留名のCompositaeは、「合成された」との意味から。コウゾリナ属(Picris L.)は、ヨーロッパ、アジア、アメリカ東海岸に分布します。Picrisは、これを食べると「苦い」事に由来します。

 キク科の植物は、総苞に包まれた小花(しょうか|floret)がたくさん集まった頭花(頭状花序1))を形成します。この頭花の要素である小花の組み合わせによって、キク亜科とタンポポ亜科に分けられます。キク亜科には、小花が筒状花2)と舌状花3)の組み合わせと筒状花のみの頭花があり、タンポポ亜科は、小花が全て舌状花のみの頭花となります。コウゾリナは、舌状花のみで構成される頭花を持つので、タンポポ亜科に属します。

 低地から山地の草地に自生します。茎は、高さ30~100cmになります。茎・葉・萼に、褐色や赤褐色の剛毛が密生し、触るとざらつきます。季節によって剛毛の質は変わります。根生葉は長さ7~30cm、幅5~50mmの倒披針形で細鋸歯があり、花期には枯れます。茎葉は、下位置と中位置で形状が異なります。下葉は翼のある柄があり、倒披針形で長さ6~15cm、鋸歯があります。中葉は互生し、披針形で茎を抱き、長さ4~12cm。

 花期は5月から10月頃。分枝した枝先に散房花序を出し、黄色の頭花を付けます。頭花は径2~2.5cmで、小花に筒状花2)は無く、舌状花3)だけからなる舌状花冠(ligulate corolla)です。舌状花は、長さ12~15mm、幅1.5~1.7mmで、基部の筒部分の長さは4.8~5.1mm。1頭花あたり30~34個あり、花片先端は数個の細かい切れ込みがあります。総苞は黒ずんだ緑色の釣鐘形か壺形で、長さ10~11mm。総苞片は線状披針形で、外片は短く、内片は剛毛があります。両生花で、自家受粉を防ぐ為の雄性先熟(雄しべ先熟)花です。染色体数は、2n=10。果実は痩果で赤褐色。白色で羽毛状の冠毛(綿毛)が付き、長さ3.5~6mm。冠毛は小花の萼に相当します。風によって散布されます。ロゼットで越冬します。染色体数は、2n=10。

★  ★  ★

 どこにでも極普通に見られる花は見向きこそしませんが、その時期に無いと違和感を覚えるものです。昨年の安倍川流域には、コウゾリナが少なく心配しました。今年は、それを払拭するかのように土手にたくさん生え、黄色く染めています。そして長い期間、咲き続けます。コウゾリナは、私が野草観察を始めた初期に覚えた名前です。しかしながら、コウゾリナもアキノノゲシも、タンポポにしか見えない人が多いのも確かです。私自身、極普通の花ほど実際はあまりよく知らないという事も実感します。観察中、花の名前を問われる筆頭に、このコウゾリナが含まれます。

1)頭状花序(とうじょうかじょ|head inflorescence、capitulum):柄の無い多数の小花が集まって総苞に包まれて頭状になり、一つの花のように見える花序(inflorescence)。
2)筒状花(とうじょうか|tubular):花弁が合着して管状または筒状になり、花冠が5裂しているもの。
3)舌状花(ぜつじょうか|ligulate):基部が筒状で、上部が片側に伸びて舌状になったもの。5枚の花弁から構成される。

Japanese common name : Kouzori-na
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Picris hieracioides L. subsp. japonica (Thunb.) Krylov

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左:萼 右:茎や葉には剛毛があり中葉は茎を抱

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左:小花は舌状花のみ 右:冠毛が付いた痩果


コウゾリナ(髪剃菜)
別名:剃刀菜(カミソリナ)
キク科コウゾリナ属
学名:Picris hieracioides L. subsp. japonica (Thunb.) Krylov
花期:5月~10月 2年草 草丈:30~100cm 花径:20~25mm

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【学名解説】
Picris : picros(苦い)/コウゾリナ属
hieracioides : Hieracium(ミヤマコウゾリナ属)+oides(似た)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Krylov : Porphyry Nikitic Krylov (1850-1931)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸土手 2006.10.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 25 October 2006
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by pianix | 2006-10-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
メナモミ(雌なもみ/雌生揉)
 メナモミ(雌なもみ/雌生揉)は、キク科メナモミ属の1年草です。日本や朝鮮・中国に分布します。国内では、北海道から九州までに分布する在来種です。名の由来は、オナモミに対して女性的であるからとの説があります。ナモミについては諸説あり不明です。民間療法で葉を揉んで傷口に塗ったからとか、なずむが転訛したとの説があります。中国名は、キレンソウ([豕+希 Unicode:U+8C68]簽草)。生薬名はキレン。この漢字を充ててメナモミと表記する場合があります。

 キク科(Asteraceae Bercht. & J.Presl (1820))、 保留名(Compositae Giseke (1792))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味、保留名のCompositaeは、合成されたとの意味から。メナモミ属(Siegesbeckia Steud.)は、総苞片と花床の鱗片に腺毛が密生し粘液を出して粘るのが特徴です。

 山野の荒草地や潅木林に生育します。茎は直立し、途中で分枝して高さ60~120cmになります。茎の上部には、白色で長い開出毛(茎葉から直角に出る毛)が密生します。類似種のコメナモミは、伏毛になります。葉は対生します。長さ8~19cm、幅7~18cmの卵形か卵状三角形です。不規則な鋸歯があり、葉の裏面や葉脈に軟毛があります。葉柄には翼と腺があります。

 茎頂や葉腋から腺毛がある花柄を出し、頭花を散房状に付けます。コメナモミの場合、花柄に腺毛はありません。花色は黄色で約2cm、総苞片を含めて約3cm。周囲に雄性で先端が2~3裂した長さ3~3.5mmの舌状花が1列に並び、内側に長さ約1.5mmの両性である筒状花があります。この先端が3裂した舌状花は、ハキダメギクの形状に似ています。小花は緑色の鱗片に包まれます。総苞片は緑色で5個あり、細長い線形で、ヒトデ状に平開し、腺毛があって粘液を出します。子房下位。果実は痩果で、2.5~3.5mm。俗称ひっつき虫の一種で、動物などに付着して運ばれます。染色体数は、2n=30。

参考:オオオナモミ(大雄生揉)

Japanese common name : Me-namomi
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Sigesbeckia pubescens (Makino) Makino
頭花には舌状花と筒状花があり、腺毛があって粘液を出す5個の総苞片が広がる。

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左:頭花と鱗片 右:葉柄には翼がある

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左:長い開出毛が密生 右:全体の様子


メナモミ(雌なもみ/雌生揉)
キク科メナモミ属
学名:Sigesbeckia pubescens (Makino) Makino
synonym : Siegesbeckia orientalis L. subsp. pubescens (Makino) Kitam.
花期:9~10月 1年草 草丈:60~120cm 花径:2cm

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【学名解説】
Siegesbeckia : John Georg Siegebeck (1686-1755)に因む/メナモミ属
pubescens : 細軟毛ある
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
---
orientalis : 極東の
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
Kitam. : 北村四郎 Shirō Kitamura (1906-2002)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.10.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

19 October 2006
Last modified: 5 May 2014
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by pianix | 2006-10-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ラセンソウ(羅氈草)
 ラセンソウ(羅氈草)は、アオイ科(旧分類シナノキ科)ラセンソウ属の1年草です。日本・朝鮮半島・フィリピン・アフリカに分布します。日本では、関東地方以西に自生分布する暖地性の在来種です。県によっては絶滅危惧II類に指定されている希少種です。名の由来は、毛が多い蒴果がラセン(羅氈)の手触りに似ている事から。羅氈は、ラシャ(羅紗)のモウセン(毛氈)の意味で、獣毛をフェルト状に加工した毛織物の事。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は約240属あります。旧分類のシナノキ科(Tiliaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、約50属700種が分布します。ラセンソウ属(Triumfetta L. (1753))は、亜熱帯から暖温帯に10種程が分布します。

 茎は直立し、途中で分枝しながら50~100cmの高さになります。毛があります。葉は互生します。長さ5~13cm、幅1.5~6cmの卵状披針形。鋭頭、鋸歯があり、両面の脈上に荒い毛があります。葉柄は1~4cm。托葉は線形で反り返ります。

 花期は8月から10月で、葉腋から短い集散花序を出します。互生する葉の反対側に数個の小花を密生させます。花は黄色で径7~9mm。花弁は5個で、倒卵状長楕円形。萼片は5個で、先端の裏に刺状の突起があり、花弁よりも長くなります。雄しべは10個で、子房上位。果実は蒴果です。径6~8mmで、鉤状の長い棘が球状に付きます。動物などに付着して散布されます。

 類似種に、沖縄に分布するカジノハラセンソウ(梶の葉羅氈草)Triumfetta rhomboidea Jacq. 、波照間島以南の砂地に分布するハテルマカズラ(波照間蔓)Triumfetta procumbens G.Forst. 、台湾に分布するカラピンラセンソウ(交力坪羅氈草)Triumfetta semitriloba Jacq. 、アジアやアフリカに分布するナガバラセンソウ(長葉羅氈草)Triumfetta pilosa Roth があります。

Japanese common name : Rasen-sou
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Triumfetta japonica Makino

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葉は3脈が目立ち互生する

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左:全体 右:果実には鉤状の棘がある


ラセンソウ(羅氈草)
アオイ科ラセンソウ属
学名:Triumfetta japonica Makino
花期:8月~10月 1年草 草丈:50~100cm 花径:7~9mm

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【学名解説】
Triumfetta : Giovanni Battista Triumfetti (1858-1908)に因む/ラセンソウ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
内牧川(安倍川水系) 2006.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

13 October 2006
Last modified: 20 August 2016
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by pianix | 2006-10-13 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キクイモ(菊芋)
 キクイモ(菊芋)は、キク科ヒマワリ属の多年草です。北アメリカが原産で、南アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オセアニアに分布します。江戸時代の終わり頃である1859(安政6)年に導入され、第2次大戦中には、加工用・肥料用として栽培されました。現在では逸出したものが全国で野生化している帰化植物です。生態系被害防止外来種(旧要注意外来生物1))に指定されています。名の由来は、菊の花に似ていて、薯のような肥大した塊茎を作る事によります。英名は、Jerusalem artichoke。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))2)は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。ヒマワリ属(Helianthus L. (1753)は、北アメリカに多くが分布し、約110種があります。日本には自生種は無く、野生化したものが数種類あります。

 根茎は花後に肥大します。気温17度以下で塊茎の形成が始まります。多糖成分のイヌリン(inurin)を多量に含む事から、糖尿病予防や肥満予防の効果を期待して、食品として商品化もされています。茎は、初め地を這うように伏せる事があり、その後、直立します。高さ1~3mに達し、剛毛があってざらつき、内部には白色の髄があります。

 葉にも毛が多く、ざらつきます。葉序は下部で対生し上部で互生します。卵形か卵状楕円形で粗い鋸歯があり鋭頭、葉柄には狭い翼があります。葉の大きさは実測値で、長さ3~25cm、葉柄を含めると3.5~34cm、幅2~15cm。茎幅は最大で3cmでした。

 花期は9月から10月頃で、分枝した枝先に黄色の花を付けます。小花の集合体である頭状花で、花径60~95mm。周囲に10~20の舌状花が1列に並び、中央に筒状花が多数付きます。筒状花の先端は5裂し、花柱先端は2裂して巻きます。総苞は半球形で、総苞片は3列に並び先端は反り返ります。虫媒花です。果実は痩果で、7mm程。主に地下茎によって繁殖します。染色体数は、2n=102。

 類似種に、イヌキクイモ(犬菊芋)Helianthus strumosus L.があり、7月頃から咲き始める事と、舌状花の数が10枚以下で、総苞片は2列、根茎が小さいか無い場合がある事が違いとなります。キクイモの変種とする説もあります。

1)「河川敷固有の在来種等と競合・駆逐のおそれがある」との理由で、外来生物法による要注意外来生物に指定されています。要注意外来生物とは、「被害に係る一定の知見はあり、引き続き特定外来生物等への指定の適否について検討する外来生物」と定義されています。
2)キク科は、Compositae Giseke, 1792 とする場合もあります。

Japanese common name : Kiku-imo
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Helianthus tuberosus L.

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▲ 左:頭花の断面 右:まだ肥大していない根茎

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▲ 左:下部の葉は対生 右:上部の葉は互生


キクイモ(菊芋)
キク科ヒマワリ属
学名:Helianthus tuberosus L.
花期:9月~10月 多年生 草丈:1~3m 花径:60~95mm

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【学名解説】
Helianthus : helios(太陽)+anthos(花)/ヒマワリ属
tuberosus : 塊茎のある・塊茎状の
L. : Carl von Linne (1707-1778)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.09.29
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

02 October 2006
Last modified: 18 March 2014
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by pianix | 2006-10-02 00:00 | | Trackback | Comments(5)
オミナエシ(女郎花)
 オミナエシ(女郎花)は、オミナエシ科オミナエシ属の多年草です。日本、中国、朝鮮、シベリア東部が原産で、国内の北海道・本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、オトコエシ(男郎花)と比べて女性的である事から。オミナは女。詳細は不明です。エシは飯であり、黄色の小さな花を古代に女性が食していた粟飯に例え、オミナメシ(女飯)が転訛したものとの説があります。この女郎花の漢字表記は、平安時代の901~923年(延喜年間)の頃から始まったとされています。秋の七草の一つ。英名は、Dahurian patrinia。

 APG体系では、スイカズラ科(Caprifoliaceae Juss. (1789))で、約16属500種が分布します。クロンキスト体系とエングラー体系では、オミナエシ科(Valerianaceae Batsch (1802))で、約8属があり、日本には3属10種が分布します。オミナエシ属(Patrinia Juss. (1789))は、東アジアと中央アジアに15種が分布し、日本には6種があります。

 根茎は横に這い増殖します。根生葉は長柄がある卵状披針形。茎葉は対生し、羽状に深く分裂します。茎は上部で枝分かれして、高さ60~100cmになります。茎に付く毛はまばらです。やや円錐状の散房花序を出し、黄色の小花多数を付けます。小花は、筒部が短い漏斗形の合弁花で、花冠は5裂し、径3~5mm。雄しべ4本、雌しべ1本があります。染色体数は、2n=22。

 子房は3室に分かれ、内1室のみが結実し、残り2室は結実しません。果実は痩果です。長楕円形で長さ3~4mm、幅2mm。ロゼット葉で越冬します。

Japanese common name : Omina-eshi
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Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir.

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左:茎葉は対生し羽状に裂ける 右:花冠は漏斗形の合弁花で5裂し、径3~5mm


オミナエシ(女郎花)
別名:オミナメシ(女郎花/女飯)/アワバナ(粟花)
スイカズラ科オミナエシ属
学名:Patrinia scabiosifolia Fisch. ex Trevir.
花期:7月~9月 多年草 草丈:60~100cm 花径:3~4mm

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【学名解説】
Patrinia : Eugene Louis Melchior Patrin (1742-1815)に因む/オミナエシ属
scabiosaefolia : scabiosaefolius(マツムシソウ属Scabiosaのような葉の)
Fisch. : Friedrich Ernst Ludwig von Fischer (1782-1854)
ex : ~による
Trevir. : Ludolf Christian Treviranus (1779-1864)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.09.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

26 September 2006
Last modified: 04 December 2014
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by pianix | 2006-09-26 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Trackback | Comments(0)