オオミスミソウ(大三角草)
 オオミスミソウ(大三角草)は、キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草です。北半球温帯(ヨーロッパ、ロシア、中国、朝鮮半島、日本、北米)に分布し、日本では北陸地方の日本海側に分布します。ミスミソウの品種で日本固有変種です。岩手県では、絶滅危惧II類。名の由来は、ミスミソウより大型である事から。ミスミソウは、葉が三角状である事から。葉先が丸いものをスハマソウ(州浜草)と言います。

 キンポウゲ科(Ranunculaceae Juss. (1789))は、世界に62属2500種が分布します。日本には22属149種が分布します、日本固有種は、1属80種(9亜種26変種)があるとされています。ミスミソウ属(Hepatica P. Miller (1754))は、温帯に約9種が分布します。日本には2変種3品種があるとされています。

 低山の落葉広葉樹林や、その斜面等に自生します。葉は根生し、10cm程の葉柄を出します。三角状で3浅裂し、基部が心形で、裂片は全縁で鋭頭か鈍頭。革質で光沢があり、長さ5~6cm、幅6~8m。根生葉の葉腋から白色の長毛がある花柄を出します。草丈は10~20cm。

 花期は、3月から4月。花は茎頂に単生します。花弁は無く、花弁状の萼片が6~10個あります。裂片は卵状披針形から線状披針形で、長さ11~15mm、幅3~6mm。花径は2~3cm。両性花。 雄しべと雌しべは多数あります。萼片に見えるのは総苞片で3枚が輪生します。

 交雑しやすい事から花色の変異が大きく、白色、淡紅色、赤紫色、青色等があり、葯色も白色から淡紅色と多彩です。園芸種も多くあり、雪割草の名で出回っています。花後に花柄を下に向けます。果実は痩果です。総苞片に囲まれて残存花柱がある集合果となります。染色体数は、2n=141)

 本州中部以西、四国、九州に分布し、染色体数が2n=14のミスミソウ(三角草)2)、花色が黄色のエチゼンミスミソウ(越前三角草)3)[福井県県域絶滅危惧I類]、東北から関東の太平洋側に分布するスハマソウ(州浜草)4)があります。近畿以西と四国に分布し、染色体数が4倍体の2n=28, 42で、葉の両面に白毛があるケスハマソウ(毛州浜草)5)があります。それぞれは、一般的に言われている分布域だけでは判別できない事があり、形状も中間型があるなど、注意を要します。

脚注:
1)Nuclear DNA amounts in angiosperms: targets, trends and tomorrow - Annals of Botany Page 1 of 124
2)ミスミソウ(三角草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. japonica (Nakai) Yonek.
3)エチゼンミスミソウ(越前三角草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. lutea Kadota
4)スハマソウ(州浜草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. variegata (Makino) Nakai
5)ケスハマソウ(毛州浜草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. pubescens (M.Hiroe) Kadota

Japanese common name : Oo-misumi-sou
e0038990_18065198.jpg
Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. magna (M.Hiroe) Kitam.

e0038990_18130343.jpge0038990_18130782.jpg
葉は3浅裂し、基部が心形。花柄に白色の長毛がある。

e0038990_18154927.jpge0038990_18221549.jpg
萼片に見えるのは総苞片で3枚。花後に花茎は下向く。花弁に見えるのは萼片。


オオミスミソウ(大三角草)
別名:雪割草
キンポウゲ科ミスミソウ属
学名:Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. magna (M.Hiroe) Kitam.
花期:3月~4月 多年草 草丈:10~20cm 花径:2~3cm

e0038990_2163229.gif


【学名解説】
Hepatica : hepaticus(肝臓)/ミスミソウ属
nobilis : nobilius(より気高い)
Schreb. : Johann Christian Daniel von Schreber (1739-1810)
var. : varietas(変種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
f. : forma(品種)
magna : magnus(大きい)
M.Hiroe : 廣江美之助 Minosuke Hiroe (1914-2000)
Kitam. : 北村四郎 Shiro Kitamura (1906-2002)
---
Yonek. : 米倉浩司 Koji Yonekura (1970- ) Tohoku University
lutea : luteus(黄色の)
Kadota : 門田裕一 Yuichi Kadota (1949- )
variegata : variegatus(斑紋がある)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
pubescens : 細軟毛がある

撮影地:岩手県盛岡市
新庄字下八木田 2018.03.25
[Location : Morioka City, Iwate Prefecture JAPAN]

Last modified: 17 June 2018
e0038990_1703595.gif

[PR]
# by pianix | 2018-06-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ゲンゲ(紫雲英)
 ゲンゲ(紫雲英)は、マメ科ゲンゲ属の越年草1)です。中国原産で、江戸時代以前に移入されたとされている帰化植物です。日本では、全国に分布します。名の由来は、渡来時の漢名を充てたもの。紫雲英は、紫色雲の花(英)の意味。一般的に、レンゲソウ(蓮華草)の名で親しまれています。蓮華草は、蓮華の花に似る事から。中国名は、紫云英(zǐ yún yīng)。

 マメ科(Fabaceae Lindl. (1836))は、約650属12000種が分布します。日本には41属100種が分布します。ゲンゲ属(Astragalus L. (1753))は、北半球の温帯に約4000種が分布し、日本には帰化種を含めて約14種があります。

 根に根粒菌が根粒を形成して共生します。根粒菌から窒素の供給を受けます。畑では、この窒素固定作用による窒素肥料として活用されます。近年は、化学肥料(硫安[硫酸アンモニウム]、塩安[塩化アンモニウム]、硝安[硝酸アンモニウム]、尿素、チリ硝石、石灰窒素等)の利用が多くなり、緑肥の利用は減少傾向にあります。

 茎は毛があり、基部で分岐して這った後、斜上します。葉は、奇数羽状複葉で9~11個つきます。小葉は倒卵形から楕円形で、長さ1〜1.5cm。葉裏に毛があります。葉柄基部には卵形の托葉が互生します。

 花期は、4月から6月。花柄を15cm程伸ばして、紅紫色の蝶形花を輪状に7~10個付けます。蝶形花は、左右相称の蝶に似た形状の花です。旗弁と、翼弁2枚に包まれた舟弁(竜骨弁)2枚の計5枚の花弁があります。虫媒花。介在する昆虫が花に乗ると、翼弁と舟弁が下がり、雄しべと雌しべが露出して葯が付着する仕組みです。萼は毛があり、5裂します。

 両性花です。雄しべは10本あり、基部は筒状に子房を取り巻き、9裂します。1本が独立している二体雄ずい2)を形成します。果実は、豆果です。約3cmで黒色に熟します。種子は長さ約3mm。染色体数は、2n=16, 32。

 蜜源、窒素肥料、飼料としての活用があります。品種として花冠が白い、シロバナゲンゲ(白花紫雲英)Astragalus sinicus L. f. albiflorus S.Okamoto があります。

脚注:
1)越年草(えつねんそう):秋に発芽し、年を越して翌年に開花結実して枯れる植物。あくまでも人間社会の暦による分け方で、12ヶ月を超えないので冬型1年草とも言う。1年草は、年内に発芽して枯れる植物。
2)二体雄ずい(二体雄しべ):雄しべ花糸の合着が二つに分かれるる形態。雄しべの全部が筒状に合着するものを単体雄蕊、二つにまとまるものを二体雄蕊と言う。マメ科では1本対9本になるものが多い。

Japanese common name : Genge
e0038990_12442449.jpg
Astragalus sinicus L.

e0038990_18055149.jpge0038990_18055537.jpg
輪状に蝶形花をつける。葉は奇数羽状複葉。
e0038990_18080024.jpg
スズメノテッポウと共演

e0038990_10261048.jpge0038990_10261608.jpg
左:草丈は10~30cm。右:蝶形花の部分名称。

e0038990_10272854.jpge0038990_10273216.jpg
雄しべ基部は子房を包み、先が9裂、1本独立の二体雄ずい。緑色は子房。
e0038990_18080381.jpg
果実は豆果。種子は約3mm。

e0038990_10290709.jpge0038990_10291077.jpg
葉は倒卵形。葉裏や茎に伏せ毛がある
e0038990_10315434.jpg
シロバナゲンゲ(白花紫雲英)
Astragalus sinicus L. f. albiflorus S.Okamoto


ゲンゲ(紫雲英)
別名:レンゲソウ(蓮華草)、レンゲ(蓮華)
マメ科ゲンゲ属
学名:Astragalus sinicus L.
花期:4月~6月 越年草 草丈:10~30cm 花冠長:10~15mm

e0038990_12135938.gif


【学名解説】
Astragalus : ギリシャ古語の距骨(くるぶし)/ゲンゲ属
sinicus : sinensis(支那の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
f. : forma(品種)
albiflorus : 白花の
S.Okamoto : 岡本清逸 Seiitsu Okamoto (col. 1914 - )

撮影地:静岡県静岡市
葵区城北(水田) 2007.03.30, 2009.04.09, 2018.04.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

30 April 2018
Last modified: 10 May 2018
e0038990_1703595.gif

[PR]
# by pianix | 2018-04-30 00:00 | | Trackback | Comments(0)