オニバス(鬼蓮)
 オニバス(鬼蓮)は、スイレン科オニバス属の抽水性1年草です。東アジア(日本、中国、朝鮮半島、台湾)、インドに分布します。日本では本州(新潟以南)、四国、九州に分布する在来種です。絶滅危惧II類 (VU)に指定されています。名の由来は、ハスに似ていて棘がある事から.中国名は、芡(qiàn)。英名は、Gorgon plant。

 スイレン科(Nymphaeaceae Salisb. (1805))は、世界の熱帯域から冷温帯域に8属56種が分布します。日本には、3属6種があります。オニバス属(Euryale Salisbury (1805))は、本種のみの1属1種です。

 池や沼に自生します。根は、地中に短い円筒形で塊状となり、ヒゲ根があり束生します。根茎は円筒状。発芽は、4~5月頃。葉は、根生します。葉は初め水中で矢尻形、楕円形、水面へ出ると円形へと変化した形状を出します。成葉は円形の楯状葉1)で、脈上に鋭い棘があり、径0.3~2m。葉表は、光沢のある緑色。葉裏は、赤紫色で葉脈が網目状に隆起します。

 花期は8月から10月。根茎から長さ1~2.5m、径1~2cmの棘のある花柄を放射状に10数本伸ばし、閉鎖花は抽水し、開放花は水面に出ます。場所によっては葉を破り、突き抜けます。花柄の先に鮮紫色の花(開放花)を1個、頂生します。花径は約4cm。花弁は3~5列に螺旋状に多数並び、萼片よりも短く、斜開します。離弁花。雌しべ柱頭は、へこんだ盤状。雄しべは黄色で多数あります。子房下位、8~13室あり、白色で粉質の胚珠が多数あります。

 萼片は4枚。長楕円状披針形で先が尖り、棘があり、緑色。花は午前に開き、午後は閉じ、これを3日ほど繰り返します。その後、花を閉じて水中へ沈み、結実します。閉鎖花を水中に多くつけ、自家受精するものもあります。開放花の結実は悪いとされています。

 果実は、漿果2)です。卵円形で径5~13cm、幅5~10cm。外側に針状の刺が密に生えます。果皮は水中で腐敗崩壊し、種子を出します。種子は球形で、径1~1.5cm。赤い斑紋がある寒天質の仮種皮に包まれ淡黒色。1果実に8~20個あります。仮種皮で浮き、腐敗すると沈みます。染色体数は、2n=58。

 外果皮を取り除いた種子を乾燥したものを食用、あるいは生薬「芡実(けんじつ)」とし、滋養、強壮等に用いられます。非医薬品。中国からの輸入によります。

 別属のオオオニバス(大鬼蓮)Victoria amazonica (Poepp.) Sowerby は、南米アマゾンに分布し、花は白色です。

脚注:
1)楯状葉(たてじょうよう):円形の葉の中央寄りに葉柄があり、中央から支脈が放射状に広がる葉。
2)漿果(しょうか):液果(えきか)の旧称。水分の多い実。内果皮が堅くならないものを漿果、固くなるものを核果(石果)と言う。

Japanese common name : Oni-basu
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Euryale ferox Salisb.

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萼の先端は尖り葉を突き破り水面から出る。
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花。棘がある額を開き鮮紫色の花弁を斜開する。
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葉の展開途中。葉裏にも棘がある。

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成葉の葉表は緑色で棘がある。葉裏は赤紫色で葉脈が網目状に隆起する
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根茎から花柄を放射状に叢生させる

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左:棘のある花柄。右:内部の繊維。

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左:果実は漿果。右:果実断面。果皮は水中で腐敗崩壊する。

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左:種子は赤い斑紋がある仮種皮に包まれ浮く。左:仮種皮を取り除いた種子。



オニバス(鬼蓮)
スイレン科オニバス属
学名:Euryale ferox Salisb.
花期:8月~10月 抽水性1年草 花径:約4cm

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【学名解説】
Euryale : euryalos(広大な)[ギリシャ神話の怪物メドゥーサの次姉エウリュアレー(Euryalē)]/オニバス属
ferox : 強い刺のある
Salisb. : Richard Anthony Salisbury (1761-1829)
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オオオニバス(大鬼蓮)
Victoria : ビクトリア女王(Alexandrina Victoria 1819-1901)に因む/オオオニバス属
amazonica : 南米アマゾンの
Poepp. : Eduard Friedrich Poeppig (1798-1868)
Sowerby : James Sowerby (1757-1822)

撮影地:静岡県静岡市
麻機遊水地第3工区 2018.08.21, 2018.09.06, 2018.09.17, 2018.09.18, 2018.10.09
麻機遊水地第4工区 2017.09.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 10 November 2018
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# by pianix | 2018-11-10 00:00 | 水辺の植物 | Comments(0)
トキリマメ(吐切豆)
 トキリマメ(吐切豆)は、マメ科タンキリマメ属の蔓性多年草です。日本、中国、朝鮮半島に分布します。日本では、本州(宮城県以西)、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、不明です。葉先が尖る事から尖り(とぎり)との説があります。中国名は、漸尖葉鹿藿(jiàn jiān yè lù huò)。

 マメ科(Fabaceae Lindl. (1836))は、世界に約650属18,000種があります。日本には、70属198種11亜種7変種17品種が分布します。タンキリマメ属(Rhynchosia Loureiro (1790))は、世界に約250種あり、日本には3種が分布します。

 山野に自生します。蔓は長く伸びます。葉は互生します。三出複葉です。小葉は卵型で、長さ5~8cm。基部が広く先にかけて細くなり、先端は尖ります。全体に毛があり、葉裏や萼に黄色の腺点があります。

 花期は7月から9月。葉腋から総状花序を出します。黄色の蝶形花で、長さ約1cm。旗弁、翼弁2枚、舟弁(竜骨弁)2枚の5弁からなります。左右相称。舟弁の中に雌しべと雄しべがあります。雄しべは合着9本と離生1本の計10本。萼は5裂し、長さ4~5mm。萼片は萼筒より短い。

 果実は、豆果です。長楕円形で長さ1.5~2cm。熟すと赤褐色となり、裂けて2個の種子を出します。種子は黒色の偏球形で、約6mm。鞘の縁にぶら下がります。

 類似種に、葉の基部が細く、扇形に広がり、葉先にかけて太くなるタンキリマメ(痰切豆)Rhynchosia volubilis Lour. があります。

Japanese common name : Tokiri-mame
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Rhynchosia acuminatifolia Makino
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葉は、基部が広く先にかけて細くなり先端は尖る。


トキリマメ(吐切豆)
別名:オオバタンキリマメ(大葉痰切豆)
マメ科タンキリマメ属
学名:Rhynchosia acuminatifolia Makino
花期:7月~9月 多年草 草丈:蔓性 花冠長:約1cm 果期:10~11月

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【学名解説】
Rhynchosia : thynchos(くちばし=竜骨弁の形)/タンキリマメ属
acuminatifolia : acuminatifolius(鋭尖した葉の)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
麻機遊水地第3工区 2018.10.03
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 7 November 2018
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# by pianix | 2018-11-07 00:00 | | Comments(0)