ナヨクサフジ(弱草藤)
 ナヨクサフジ(弱草藤)は、マメ科ソラマメ属の1年草です。ヨーロッパ原産で、飼料として移入されました。1943(昭和18)年に帰化が確認され、現在は全国に野生分布しています。名の由来は、在来種のクサフジ(草藤)よりも茎が細く柔らかい事から。英名は、hairy vetch。中国名は、歐洲苕子(ōu zhōu sháo zǐ)。

 マメ科(Fabaceae Lindl. (1836))は、世界に約650属18,000種があります。日本には、70属198種11亜種7変種17品種が分布します。ソラマメ属(Vicia L. (1753))は、北半球と南半球の温帯域に2亜属22節、約140種があります。

 河川敷や荒れ地に自生します。茎は稜があり、軟毛がまばらにあります。蔓性で他の物に絡みついたり這いながら150~200cmに伸びます。葉は互生します。羽状複葉で先端は巻きひげになります。小葉は狭楕円形で、6~12対(12~24枚)。葉柄の基部付近に不定形の托葉が互生します。

 花期は、5月から8月。葉腋から総状花序を出し、10~30の花を一方向に偏って穂状に斜上させます。花序長は約10cm。蕾は黄緑色で先端は黄白色。花は紫色の蝶形花で、長さ約1.5cm。左右相称の離弁花冠で、旗弁1枚、舟弁(竜骨弁)2枚、翼弁2枚の計5弁で構成されます。舟弁は時間経過と共に白色化します。

 花柄は長さ2~3mmで、萼筒の下部に付き後部が突き出ます。萼裂片は5裂し線形です。旗弁の筒状の爪部は、立ち上がった舷部の2倍の長さ(クサフジ、ツルフジバカマは同長)。旗弁基部に蜜標があり、奥に蜜腺があります。雄しべは10本あり、内1本が独立しています。

 果実は、豆果です。狭長楕円形で長さ2~3cm。若い内は扁平で、熟すと膨らみ、鞘が固くなり、裂開します。種子は径4~5mmの球形で、鞘内に3~6個程が入っています。染色体数は、2n=14, 28。アレロパシー効果(他感作用)があります。

 緑肥作物としての利用があります。環境省の生態系被害防止外来種リストで、適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)に指定されています。

 類似種として、毛が多いビロードクサフジ(天鵞絨草藤)Vicia villosa Roth subsp. villosa、小葉の幅が広いオオバクサフジ(大葉草藤)Vicia pseudo-orobus Fisch. et C.A.Mey.、在来種のクサフジ(草藤)Vicia cracca L.、ツルフジバカマ(蔓藤袴)Vicia amoena Fisch. ex Ser.があります。

参考:クサフジ(草藤)

Japanese common name : Nayo-kusa-fuji
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Vicia villosa Roth subsp. varia (Host) Corb.
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蔓性で他の物に絡みついたり這いながら150~200cmに伸びる。
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総状花序を出し一方向に偏って穂状に斜上させる。
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花柄は萼筒の下部に付く。筒状の爪部は、立ち上がった舷部の2倍の長さ。

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蕾は黄緑色で先端は黄白色。花序の下から咲く。萼筒に毛がある。

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茎は稜がある。葉に若干の毛がある。

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左:雄しべと花柱が残っている若い果実。果実は豆果。


ナヨクサフジ(弱草藤)
マメ科ソラマメ属
学名:Vicia villosa Roth subsp. varia (Host) Corb.
花期:5月~8月 1年草 草丈:蔓性(150~200cm) 花弁長:約1.5cm

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【学名解説】
Vicia : vincire(巻き付く)/ソラマメ属
villosa : villosus(長軟毛のある)
Roth : Albrecht Wilhelm Roth (1757-1834)
subsp. : subspecies(亜種)
varia : variatus(変わりやすい)
Host : Nicolaus Thomas Host (1761-1834)
Corb. : François Marie Louis Corbière (1850-1941)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から5.75km右岸 2009.04.15
安倍川/河口から4.25km左岸 2010.05.18, 2010.06.09
安倍川/河口から6.75km左岸 2016.05.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 11 December 2018
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# by pianix | 2018-12-19 00:00 | | Comments(0)
ニオイタチツボスミレ(匂立坪菫)
 ニオイタチツボスミレ(匂立坪菫)は、スミレ科スミレ属の多年草です。北海道、本州、九州、四国に分布する在来種です。名の由来は、香りがあるタチツボスミレである事から。タチツボスミレは、庭などに立ち上がって咲くスミレの意味。スミレは、語源不明です。墨入れに似るとか、摘み入れ草の転化であるとかの説があります。

 スミレ科(Violaceae Batsch, 1802)は、21属約800種があり、スミレ亜科には19属があります。スミレ属(Viola L. (1753))は約400種があり、日本には約60種があります。

 山地の日当たりの良い草地に自生します。短い根茎があります。茎は白色の細かな毛があります。草丈は、花期に高さ10~15cm、花後に徒長して果実期に約30cmになります。葉は、根出葉。円心形で長さ1.5~3cm、鋸歯があり、無毛で鈍頭。

 花期は、4月から5月。萼片は披針形で5枚。花弁は濃紫色で、丸形で重なり合い、長さ12~15mm。基部が白色で濃紫色の筋模様があります。花弁は上弁2枚、側弁2枚、唇弁1枚の計5枚。蜜を溜めた距は上向きに反り返り、長さ約6mm。雄しべは5個。花柱は棒状で黄色の雄しべ付属体に包み込まれ、その下側に雄しべが取り囲みます。花径は、1.5~2cm。

 果実は、蒴果です。上向きになり熟すと3裂して種子をはじき飛ばします。種子は、種沈(caruncle)が付き、長さ約1.5mm。染色体数は、2n=20。

Japanese common name : Nioi-tatitubo-sumire
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Viola obtusa (Makino) Makino


ニオイタチツボスミレ(匂立坪菫)
学名:Viola obtusa (Makino) Makino
スミレ科スミレ属
花期:4月~5月 多年草 草丈:(花期)10~15cm 花径:1.5~2cm

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【学名解説】
Viola : 紫色の/スミレ属
obtusa : obtusus(鈍形の)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰)Alt. 717m 2015.04.17
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 07 December 2018
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# by pianix | 2018-12-13 00:00 | | Comments(0)