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ナヨテンマ(弱天麻)
 ナヨテンマ(弱天麻)は、ラン科オニノヤガラ属の腐生植物1)(菌従属栄養植物)です。本州(関東)以西に点在します。絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。名の由来は、中国名のテンマ(天麻)=オニノヤガラ(鬼の矢柄)に似るが、細くナヨナヨしている事から。中国名は、細天麻(xì tiān má)。

 ラン科(Orchidaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜寒帯に約700属、15000種以上、日本には約73属約220種が分布します。オニノヤガラ属(Gastrodia R.Br. (1810))は、アフリカ、インド、マレーシア、オーストラリア、ニュージーランド、東アジアに約50種が分布し、日本には約10種があります。

 湿った山林に自生します。肥厚した根茎は腐生菌類に寄生して養分を得ます。淡褐色の細い花茎を10~60cmに伸ばします。鱗片葉をまばらに付けますが、葉緑素を持たないので光合成は行いません。

 花期は6月頃。花茎を出して総状に数個の花を付けます。花冠は淡褐色の鐘状。花冠長は約1cm。萼片と側弁が合着した筒状となり、花被片先端は3〜5裂します。唇弁は赤橙色で約6mm。対の球状突起があります。果実は朔果です。種子は微細。染色体数は、2n=22(Aoyama and Tanaka 1986)。

脚注:
1)腐生植物:腐生菌類に寄生する植物。菌従属栄養植物は,必要な栄養を光合成に代わって共生する菌に依存する植物。

参考文献:
Takasi TUYAMA: Notes on Gastrodia of Japan (2) . March 1956 Journ. Jap Bot. Vol. 31 No. 3

Aoyama, M. and Tanaka, R. 1986. Karyomorphological studies in Gastrodia elata and G. confusa. La Kromosomo II-42: 1336-1340. (in Japanese with English summary)

Japanese common name : Nayo-tenma
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Gastrodia gracilis Blume


ナヨテンマ(弱天麻)
別名:ナガイモヤガラ(長芋矢柄)
ラン科オニノヤガラ属
学名:Gastrodia gracilis Blume
花期:6月 腐生植物 草丈:10~60cm 花冠長:約1cm

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【学名解説】
Gastrodia : gaster(胃)/オニノヤガラ属
gracilis : 細い、痩せた
Blume : Carl Ludwig Blume (1789-1862)
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
R.Br. : Robert Brown (1773-1858)

撮影地:静岡県静岡市
位置情報非公開 駿河区 2021.06.21.
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 4 July 2021
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# by pianix | 2021-08-28 00:00 | | Comments(0)
ナルトサワギク(鳴門沢菊)
 ナルトサワギク(鳴門沢菊)は、キク科キオン属の1年草~多年草です。南アフリカが原産 1)です。北米、南米、ハワイ、オーストラリア、南アフリカ、スワジランド等に分布します。日本へは、米国経由の緑化資材に種子が混入して移入されたと考えられています。1976年に徳島県鳴門市で発見されました。1996年に同定され、特定外来生物に指定されました。現在は、本州から九州にかけて帰化しています。名の由来は、発見地「鳴門」の名をつけたサワギク(沢菊)2)。英名は、Madagascar ragwort等。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化種は100種以上あります。Asteraceaeは、aster(星)の意味、保留名のCompositae Giseke, 1792は、「合成された」との意味から。キオン(黄苑)属(Senecio L. (1753))は、世界に約2000種が分布します。日本全国に分布し、10種以上が自生します。

 造成地、埋立地等の残土搬入地に多く、温暖な地域では年中発生します。分枝しながら株立ちします。草丈は、30~70cm。葉は互生します。線状披針形から羽状中裂、単葉と変異があります。鋸歯があり、鋭頭。

 花期は通年。茎先を分枝させて頭状花序を出します。頭花は黄色で、舌状花と筒状花があり、径2~2.5cm。舌状花は約13個。総苞片は、長さ約4mm。自家不和合性。アレロパシー(Allelopathy)作用3)があります(岩崎 et al. 2005)。

 果実は、痩果です。長さ1.5~3 mmで、縦肋4)に短毛があります。冠毛は白色で長さ3.5~6.5mm。虫媒花。風散布で拡散されます。染色体数は、2n=20。

 下痢や嘔吐、肝障害を起こすセネシオニン(Senecionine, C18H25NO5)などのピロリジジンアルカロイド(Pyrrolizidine alkaloid)が含まれ、海外では家畜等の中毒死が報告5)されています。

 キオン属全種は、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」で、種類名証明書の添付が必要な生物に加えられています。在来種と競合しています。

脚注:
1)Radford 1997; Scott et al. 1998; Le Roux et al. 2006
2)サワギク(沢菊)Nemosenecio nikoensis> (Miq.) B.Nord.
サワギクの名が付けられたものは、台湾に分布するタイワンサワギク(台湾沢菊)Nemosenecio formosanus (Kitam.) B.Nord. 、蔓性でオレンジ色のメキシコサワギク(メキシコ沢菊)Pseudogynoxys chenopodioides (Kunth) Cabrera 等があります。
3)アレロパシー(allelopathy):多感作用。広義には、微生物を含む植物相互間の生化学的な関わり合い。植物が生産する化学物質が放出される事により他植物に直接・間接的に阻害や促進の影響を与える作用。Hans Molisch (1856-1937)による1937年提唱の用語。
4)縦肋(じゅうろく):縦方向に走る規則的な隆起。
5)農林水産省「食品中のピロリジジンアルカロイド類に関する情報(2021年3月16日)」/Small, AC et al. (1993) Pyrrolizidine alkaloidosis in a two month old foal. J. Vet. Med. A 40, 213-218

Japanese common name : Naruto-sawagiku
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Senecio madagascariensis Poir.

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ナルトサワギク(鳴門沢菊)
別名:コウベギク(神戸菊)
キク科キオン属
学名:Senecio madagascariensis Poir.
花期:通年 草丈:30~70cm 1~多年草 花径:2~2.5cm 

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【学名解説】
Senecio : senex(老人)/キオン属
madagascariensis : マダガスカルの
Poir. : Jean Lo9uis Marie Poiret (1755-1834)
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Bercht. : Friedrich von Berchtold (1781-1876)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
J.Presl : Jan Svatopluk Presl (1791-1849)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
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※~iensisは地名の形容詞化。地名を形容詞とする場合は、語尾に-nus, -num, -anus(-ana,-anum), -ianus(-iana,-ianum), -icus(-ica,-icum)、あるいは-ensis, -iensisを付ける。

撮影地:静岡県静岡市
林道俵峰門屋線 2021.03.11, 2021.03.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 10 August 2021
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# by pianix | 2021-08-10 00:00 | | Comments(0)