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キブシ(木五倍子)
 キブシ(木五倍子)は、キブシ科キブシ属の落葉低木です。東アジアからヒマラヤにかけて分布します。日本では、北海道、本州、四国、九州に分布する日本固有種です。名の由来は、果実をフシ(五倍子)1)の代用としたことから。別名のキフジ(木藤)は、花序をフジ(藤)に見立てたもの。

 キブシ科 (Stachyuraceae J.Agardh (1858))は、キブシ属の1属のみがあります。キブシ属(Stachyurus Siebold et Zucc. (1836))は、約5種があり、日本にはキブシのみの1種5品種2)があります。

 林縁や谷沿い斜面、崩壊地に自生します。斜上して分枝し、高さ3~5mになります。樹皮は赤褐色や灰褐色。花後に葉を出します。葉は互生します。長卵形または楕円形で、長さ6~12cm、幅3~5cm。側脈は5~7対で、鋸歯があり、鋭尖頭。葉柄は長さ1〜3cm。

 花期は3月〜4月。葉に先立ち花をつけます。葉腋から穂状花序を下垂させます。花序は長さ3~20cm。花は鐘形で、淡黄色。長さ6〜9mm。黒褐色の萼片4枚。花弁4枚。雌雄異株。雄株、雌株、両性株があります。雄しべ8本、雌しべ1本。雌株は花序が短く、雄しべは退化し短くなります。子房が花冠からやや突き出ます。子房上位、4室。胚珠は側膜胎座3)につき多数あります。

 果実は液果です。径1cm程の楕円形で、黄褐色に熟します。長さ約2mmの多数の種子を含みます。タンニン( tannin)が含まれ、染料として利用します。染色体数は、2n=24。

脚注:
1)フシ(五倍子)は、ヌルデ(白膠木)の葉に寄生したヌルデシロアブラムシ(白膠木白油虫)Schlechtendalia chinensis (Bell, 1851)の虫瘤。長さ8cm、幅1~6cmになる。
2)品種に、ニシキキブシ(錦木五倍子)Stachyurus praecox Siebold et Zucc. f. bicolor Sakata、ケキブシ(毛木五倍子)Stachyurus praecox Siebold et Zucc. f. leucotrichus (Hayashi) H.Hara、フクリンキブシ(覆輪木五倍子)Stachyurus praecox Siebold et Zucc. f. marginatus Hiyama、コバノキブシ(小葉の木五倍子)Stachyurus praecox Siebold et Zucc. f. microphyllus (Nakai) H.Hara、マルバキブシ(丸葉木五倍子)Stachyurus praecox Siebold et Zucc. f. rotundifolius (Tuyama) Tuyama ex H.Hara があります。
3)側膜胎座(そくまくたいざ・parietal placentation): 胚珠が子房壁に縦列に付くもの。胎座のひとつで、子房内部での胚珠の付き方や並び方を言う。胚珠が中軸生の中軸胎座や、独立中央胎座、側壁生の側膜胎座、等がある。

Japanese common name : Kibusi
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Stachyurus praecox Siebold et Zucc.

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左:花序は長さ3~20cm。短い花序が雌株。右:雄しべ8本。

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花は鐘形で、淡黄色。長さ6〜9mm。萼片4枚。花弁4枚。

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キブシ(木五倍子)
別名:キフジ(木藤)、エノシマキブシ(江ノ島木五倍子)
キブシ科キブシ属
学名:Stachyurus praecox Siebold et Zucc.
花期:3~5月 落葉低木 樹高:3~5m 花冠長:6〜9mm 花序長:3~20cm 果期10~12月

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【学名解説】
Stachyurus : stachyus(穂)+oura(尾)/キブシ属
praecox : 早咲きの、早熟の、早期の
Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt.435m) 2008.03.28, 2013.03.21
林道横山線 2019.03.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 2 July 2020
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# by pianix | 2020-07-02 00:00 | 樹木 | Comments(0)
ミツマタ(三椏)
 ミツマタ(三椏)は、ジンチョウゲ科ミツマタ属の落葉低木です。中国南部が原産地。室町時代の慶長年間に移入され、和紙の原料として栽培されています。逸出して野生化し、本州(関東地方以西)、四国、九州に分布します。名の由来は、枝が3分枝する事から。中国名は、结香(jié xiāng)。

 ジンチョウゲ科(Thymelaeaceae Juss. (1789))は、世界の温帯から熱帯に44属、約500種が分布し、日本には4属、16種が自生します。ミツマタ属(Edgeworthia Edgeworthia Meisn (1841))は、4種が分布します。

 山地の林内等に栽培、あるいは自生します。樹高は、1~2m。樹皮は灰色で繊維は強靱。枝は3分枝します。葉は互生します。狭長楕円形で、長さ5~18cm、幅2~5cm、全縁。葉裏は、毛が密集して灰白色。葉柄は5~8mm。花序を包む総苞は冬の間に脱落します。

 花期は、3月から4月。葉を付ける前の枝先や葉腋に、小花の集合体である頭状花序をつけます。球状に集まり、花序径は約5cm。小花は、筒状で約30~50個程が頭花の周囲から咲き始め、下向きになります。萼筒の先が4裂し、筒部の長さは13~20mm、小、花径は約0.8cm。肉厚で白毛が密生し、内側は黄色。花弁はありません。両性花。雄しべは8個で萼壁に4本ずつ2段に並びます。雌しべ1個。

 果実は核果です。宿存萼に包まれた緑色の楕円体で長さ約1cm。核は紡錘形で長さ4〜5mm。種子1個が含まれます。染色体数は、2n=36。

 コウゾ(楮)やガンピ(雁皮)と共に和紙の原料にされます。樹皮を紙幣やふすま紙として利用します。原料用としての採取は、11月~4月頃に行われます。繁殖は、主に実生で、株分け、挿し木、 埋幹でも行われます 。

 園芸品種として、花色が赤いアカバナミツマタ(赤花三又)Edgeworthia chrysantha cv. Rubra があります。ガンピ(雁皮)Diplomorpha sikokiana (Franch. et Sav.) Honda は、ジンチョウゲ科ガンピ属。コウゾ(楮)Broussonetia x kazinoki Siebold は、クワ科コウゾ属。

参考:紙を漉く糊料のネリ(糊)として用いるトロロアオイ(黄蜀葵)

Japanese common name : Mitu-mata
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Edgeworthia chrysantha Lindl.

ミツマタ(三椏)_e0038990_23315133.jpgミツマタ(三椏)_e0038990_23313993.jpg
萼筒の先が4裂する。開口部に雄しべ4本が見える。筒部の長さ13~20mm。

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左:雄しべは萼壁に4本ずつ2段に並ぶ 右:子房は緑色で周辺に毛が多い

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左:頭状花序の背面 右:枝は3分枝しながら伸びる。

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冬:葉は互生し狭長楕円形。蕾を包む総苞は冬の間に脱落する。(2016.12.08)


ミツマタ(三椏/三又)
ジンチョウゲ科ミツマタ属
学名:Edgeworthia chrysantha Lindl.
synonym : Edgeworthia papyrifera Siebold et Zucc
花期:3月~4月 落葉低木 樹高:1~2m 花序径:約5cm 果実期6〜7月

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【学名解説】
Edgeworthia : Michael Pakenham Edgeworth(1812-1881)氏の/ミツマタ属
chrysantha : chrys(黄金色の)+anthos(花)
Lindl. : John Lindley (1799-1865)
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cv. : cultivana varietas(園芸品種)
Rubra : rubrum(赤色の)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡 2007.03.01, 2007.03.07, 2013.03.21. 2016.12.08
林道横山線 2019.03.08
分解写真 2019.03.18, 2019.03.28
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

19 April 2020
Last modified: 9 May 2020
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# by pianix | 2020-04-21 00:00 | 樹木 | Comments(0)