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コウヤボウキ(高野箒)
 コウヤボウキ(高野箒)は、キク科コウヤボウキ属の落葉低木です。日本と朝鮮半島、中国に分布します。日本では、関東以西から九州に分布する在来種です。名の由来は、霊場である和歌山県の高野山で、枝を束ねて竹箒の代用としたことから。厠箒(かわやぼうき)の転訛したものとの説もあります。古名に、玉箒(多麻婆波伎=たまばはき/たまははき)があります。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。コウヤボウキ属((Pertya C.H. Schultz-Bip. (1862))は、約15種があります。

 山地の林縁に自生します。束生1)(叢生)し、枝分かれしながら樹高60~90cmになります。枝は細く短毛があります。葉は互生します。広卵形で長さ2~3cm、先尖、両面に毛があり、鋸歯がまばらにあります。2年目の枝には披針形の葉を3~5枚、束生します。

 花期は9月~10月。枝先に白色の頭花をつけます。筒状花が10~14個あり、長さ約10mm。花被は5深裂し、リボン状となって先端を巻きます。雄しべ(集葯雄ずい2))5個、雌しべ1個があり、花冠から突出します。総苞は狭卵形の総苞片が重なり合い円柱形。果実は痩果3)です。種子の長さは約5~6mmで、冠毛があり、風に舞って拡散する風散布型です。染色体数は、2n=24。核型4)は、K=24=2A1m+2A2sm+2tB1sm+4B2sm+4C1sm+6C2m+2Dsm+2Em. (Arano, 1957)

 仲間に、2年枝の葉が細く束生するナガバノコウヤボウキ(長葉の高野箒)Pertya glabrescens Sch.Bip. ex Nakai があります。

脚注:
1)束生(そくせい:fascicled):葉のつく節間が詰まって複数の節から束状になって葉が出る様子。この場合の葉序(phyllotaxis)は、互生、対生、輪生がある。叢生(そうせい)ともいう。
2)集葯雄ずい(集葯雄蕊・しゅうやくゆうずい):雄しべが集合し、葯の部分が合着して管状となったもの。
3)痩果(そうか:achene):種子が堅い果皮に包まれ熟すと乾燥する果実。1室に1個の種子がある。
4)核型(かくけい):karyotype(カリオタイプ)、染色体の数と形状の類型

参考文献:
Hisao ARANO : The karyotype analysis and its karyotaxonomic considerations in tha tribe Mutisieae. Jap. Jour. Genet. 32(1957):293-299

Japanese common name : kouya-bouki
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Pertya scandens (Thunb.) Sch.Bip.

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左:頭花は筒状花の集まり。右:総苞は円柱形で、総苞片が重なり合う。
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葉は互生し、広卵形


コウヤボウキ(高野箒)
キク科コウヤボウキ属
学名:Pertya scandens (Thunb.) Sch.Bip.
花期:9~11月 落葉低木 樹高:50~90cm 花冠径:約10mm 果期:11~12月

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【学名解説】
Pertya : Joseph Anton Maximillian Perty (1804-1884)に因む/コウヤボウキ属
scandens : よじ登る性質の
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Sch.Bip. : Carl (Karl) Heinrich Schultz Bipontinus (1805-1867)

撮影地:静岡県静岡市
大山(Alt. 986m)/突先山(Alt. 1021.7m) 2008.10.29
安倍城跡(Alt.435m) 2008.10.21, 2008.11.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

13 December 2010
Last modified: 5 September 2017
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by pianix | 2010-12-08 00:00 | | Comments(2)
Commented by 多摩NTの住人 at 2010-12-11 18:51 x
こんにちは。
コウヤボウキはクルクルっと巻いた花弁が可愛いですね。
マンサクも同じような形になりますね。
名前の由来がよくわかりました。
Commented by pianix at 2011-02-18 18:07
多摩NTの住人さん、こんにちは。
花好きなひとに可愛いと言われてコウヤボウキは照れているかもしれません。
でも、箒にされてしまうのですね。
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