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シマヘビ(縞蛇)
 シマヘビ(縞蛇)は、ナミヘビ科ナメラ属の蛇です。北海道、本州、四国、九州に分布する、日本固有種です。名の由来は、縞のあるヘビから。

 ヘビの仲間(ヘビ亜目)は世界に17科約3000種があると言われています。ナミヘビ(並蛇)科(Colubridae Oppel, 1811)は、南極以外の全大陸に分布します。約2000種があり、ヘビの仲間の約2/3を占めます。ナメラ(滑羅)属(Elaphe Fitzinger, 1833)は、北アメリカ大陸、ユーラシア大陸、インドネシア、日本、台湾に分布します。

 有鱗目1)です。日本に分布する蛇の内でアオダイショウに並んで、よく見かける普通種です。平地から山地に生息していますが、環境の変化で山地の分布が多くなったようです。昼行性です。全長は、80~150cmが普通で、200cmに達するものは一部地域に限られ希です。体鱗列数2)は19列。体色は黄褐色から褐色で、4本の黒褐色縦縞があります。これがこの蛇の名の由来です。眼(虹彩)が赤いのが特徴。腹の部分(腹板)は無模様で、白乳色や黄色です。色素の異常による色彩変異も多く、カラスヘビ(烏蛇)と呼ばれる眼も体色も黒色のものや、白色のアルビノ(Albino)変異体があります。

 カエルなどの小動物を餌にします。気は荒い方で攻撃的です。尾を振るわせて威嚇したり、咬みついてくる事があります。毒はありませんが噛まれたら消毒が必要です。繁殖は卵生です。4月から5月頃に交尾をして、7月から8月頃に白色で細長い卵を4~15個産みます。孵化は40~50日間程です。幼蛇は赤味を帯びた体色で赤褐色の横縞模様があります。シマヘビは在来5種中では最も高位の、平均体温と広い体温範囲を有します3)。12月頃に冬眠に入り、3月頃に目覚めます。野生での寿命は約8年とされています。染色体数は、2n=36。

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 啓蟄の翌日に、山地で2種類のヘビに遭遇しました。気温が上がった日でした。フキ(蕗)の花にハナアブがいたのを見て、確かに啓蟄だと感じたばかりでした。シマヘビは、ヘビの仲間では春先に一番早く現れるとの事です。冬眠から目覚めて気が荒立っている時期なのでしょうか。カメラを構えただけで、とぐろを巻いて飛びつく動作を何回もしました。ヘビどころか生きもの全般が苦手な私は、早く逃げてくれないかなと願いつつ、今しばらくポーズをとってもらい撮影したいという複雑な思いでした。眼の後ろにある黒色の筋模様はアオダイショウとも似ていますが、眼が赤い事で見分ける事ができます。

脚注:
1) 有鱗目(ゆうりんもく|Squamata):鱗がある爬虫類で、トカゲやヘビの仲間の総称。
2) 体鱗列数(たいりんれつすう):主に胴の中央部付近で計測した鱗(うろこ)の数で、種の同定に使われる。
3) Body Temperatures of Snakes in the Fields 3. Concluding Remarks HAJIME FUKADA; Japanese Journal of Herpetology 13 (4): 114-119., Dec. 1990.

Japanese common name : Shima-Hebi
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Elaphe quadrivirgata (Boie, 1826)

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おやおや、木に登るのかい。じゃなくて邪魔だったんだね。横をすり抜けてヌルヌル。
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カメラを向けただけで臨戦態勢。気性が荒い。何度も、噛んじゃうぞと飛びかかろうとする。
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いつまでも怒っていないで逃げた方が良いと思うけど、シマヘビは引き下がりません。
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目が赤いのは徹夜したからではないよ。
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学名quadrivirgataは4本の線。ナメラ属の滑羅は、なめらかな表面を意味する。
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舌を出すので写そうと思ったが速すぎて駄目でした。


シマヘビ(縞蛇)
有鱗目ヘビ亜目ナミヘビ科ナメラ属
学名:Elaphe quadrivirgata (Boie, 1826)

分布:北海道、本州、四国、九州
全長:80~200cm
餌:カエル、トカゲ等の爬虫類、両生類

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撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt.435.2m) 2012.03.06
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

25 March 2012
Last modified: 30 August 2015
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by pianix | 2012-03-25 00:00 | その他の生物 | Comments(1)
Commented by 里山ライフ at 2018-11-05 21:20 x
時折、周辺で見かけます。確かに、気性が荒く、運動能力には目を見張るものがあります。
目撃①:わが家のハナミズキから巣立ったヒヨドリの幼鳥を追いかけ回すシーンを目撃したときには、そのスピード、運動能力(木に登り、枝を伝い、飛び移り)、執念深さ(親鳥の波状攻撃を物ともせずに、数十㍍も追い回す)に驚嘆しました。すんでのところで、幼鳥は逃げ切りましたが。
目撃②:空き地(草地)で、ダルマガエルを襲撃するシーンも凄かった。カエルが尋常ではないジャンプで一目散に飛び跳ねて行く後方から、鎌首をもたげ、カエルめがけて一直線に、草地の中を切り裂くような猛烈なスピードで突っ走っていきました。絶体絶命の状況でしたが、カエルが逃げ切りました。
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