例年だと姿を見せ始めている野生の花達は、ほとんど見つけられずにいます。ちょっとした異変です。河川敷のど真ん中で寒風にさらされ、鼻水をすすりながら歩き回るのは慣れてしまいました。茶色に枯れた草も倒れかかり、鬱蒼としていた姿は見る事ができません。そのお陰で草むらだったところは通る事ができるようになりました。安倍川には、幾つもの小さな川が注いでいます。その一つに降り立つと、一株のスイセン(水仙)が目に飛び込んできました。誰も入り込まないような荒れ果てた場所に、ひっそり咲いている姿を見て、寒さの中に天使を見つけたような気分でした。
スイセンは、ヒガンバナ科スイセン属の多年草です。地中海沿岸やスペイン、ポルトガルが原産地と言われています。属名のNarcissusは、ギリシャ神話の美少年ナルキッソスに因むと言われ、その名前は麻痺させると言う意味です。スイセンには30種類ほどの野生種があり、ニホンズイセンは平安時代に中国経由で渡来したと言われています。 スイセンの園芸分類は英国王立園芸協会で作成されたものを元にしていますが、登録品種は1万を超えています。分類は、12の部門の数字と花弁の色、副花冠内部底・中央・縁の3部分の色を記号で表し、ハイフンでつなげます。花色はW(白)、Y(黄色)、P(ピンク)、O(オレンジ)、R(赤)、G(緑)です。例えば「8W-OOO」は「房咲きスイセン(8)の花弁が白色(W)、副花冠が橙色(O)」という品種になります。略して8W-Oとも表記されます。 12の部門の詳細は次の通りです。 部門01|ラッパズイセン:副花冠が花被片と同長かそれよりも長いもの。1茎1花。 部門02|大杯スイセン:副花冠が花被片の1/3を超え花被片よりも短いもの。1茎1花。 部門03|小杯スイセン:副花冠が花被片の1/3を超えないもの。1茎1花。 部門04|八重咲きスイセン:副花冠・雄しべ・雌しべが花弁になり八重咲きになるもの。 部門05|トライアンドラス・スイセン:野生種トリアンドルスの特徴を持つもの。 部門06|シクラミニウス・スイセン:野生種キクラミネウスの特徴を持つもの。 部門07|ジョンクィラ・スイセン:野生種ヨンクィルラの特徴を持つもの。 部門08|房咲きスイセン:野生種タゼッタ(房咲きスイセン)の特徴を持つもの。 部門09|口紅ズイセン:他の種の混じらない口紅ズイセンの園芸種。 部門10|種・野生の変種タイプおよび野生の雑種。 部門11|スプリット・コロナ・スイセン:副花冠が1/3以上裂けるもの。 部門12|前記のどの部門にも属さないもの。 ※ニラ(韮)と思い込んだスイセンの誤食事故が多数おきています。生半可な知識で採取するのは危険です。十分にご注意下さい。 参考:早春の野草・その1(スイセン) Japanese common name : Suisen スイセン(水仙) 別名:ニホンズイセン(日本水仙)/セッチュウカ(雪中花) ヒガンバナ科スイセン属 学名:Narcissus tazetta L. var. chinensis M.Roem. 花期:12月~4月 多年草(耐寒性球根) 花径:3~4cm 草丈:30~40cm 【学名解説】 Narcissus : ギリシャ神話の美少年ナルキッソスに因む/スイセン属 tazetta : 小さいコーヒー茶碗 L. : Carl von Linne (1707-1778) var. : varietas(変種) chinensis : 支那(中国)の M.Roem. : Max Joseph Roemer (1791-1849) 撮影地:静岡県静岡市 安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.01.04 6 January 2006, 11 June 2008 Last modified: 12 March 2016
by pianix
| 2006-01-06 00:00
| 花
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 2月末日現在) 合計676,607人 (前年同月比 -5,483人) 男:329,454人 女:347,153人 世帯数324,388戸 (前年同月比 +1.770戸) 最新のコメント
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