ホトケノザは、シソ科オドリコソウ属の2年草(越年草)です。北半球に広く分布し、日本では本州から沖縄までに自生する、在来種です。名の由来は、葉の形態を蓮華座に見立て、仏の座に例えたもの。別名のサンガイグサ(三階草)は、葉が段状につくことから。中国名は、寶蓋草(bǎo gài cǎo)。
春の七草に出てくる「ホトケノザ」は、現在のキク科コオニタビラコ(小鬼田平子)であるとされています。秋の七草は愛でるものであり、春の七草は食べるものですが、現在のホトケノザは食用にしません。 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われ、香気を持つものが多くあります。オドリコソウ属(Lamium L. (1753))は世界に約40種が存在します。 温暖地では、秋から現れ始め、春に最盛期を迎えます。年を越して生育するので越年草と分類されます。シソ科の特徴である四角形の茎で、幅2~3mm。草丈は10~30cm。葉は対生します。柄の先に扇状円形の葉をつけます。上部の葉は茎を抱き、長さ1~2cm。鋸歯があります。 花期は3月から6月。紅紫色の唇形花を葉腋から輪状に数個つけます。花は筒状で、長さ約2cm。下唇は3裂し、先端は2裂します。唇から舌を出したような部分は、虫が止まるのに便利なようになっています。上唇に細かな毛が生えています。その内側にオレンジ色の雄しべがあり、蜜を吸いに奥へ入ろうとする虫に花粉を付ける仕組みになっています。雄しべは長短2本ずつの計4本で白毛がつきます。雌しべは雄しべの下につき、先端が2裂します。 花茎には下向きの伏せ毛が密生します。萼は筒形で5裂し、毛が密生します。上唇が開かない、小型の蕾である濃紅色の閉鎖花を多く持ちます。種子は、4分果です。種子は基部に種沈(Elaiosome)がつき、長さ約2mm。こぼれ落ちた種子は、蟻などに運ばれ拡散します。染色体数は、2n=18。 白花品種の、シロバナホトケノザ(白花仏の座)Lamium amplexicaule L. f. albiflorum D.M.Moore があります。近縁種に、オドリコソウ(踊子草)、ヒメオドリコソウ(姫踊子草)があります。 参考:早春の野草・その1 Japanese common name : Hotoke-no-za ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ホトケノザ(仏の座) 別名:サンガイグサ(三階草) シソ科オドリコソウ属 学名:Lamium amplexicaule L. 花期:3月~6月 2年草(越年草) 草丈:10~30cm 花冠長:約2cm ![]() 【学名解説】 Lamium : イラクサ様植物の古代ラテン名|laipos(喉)/オドリコソウ属 amplexicaule : amplexicaulis(茎を抱く) L. : Carl von Linne(1707-1778) --- f. : forma(品種) albiflorum : albiflorus(白色の) D.M.Moore : David Moresby Moore (1933-2013) 撮影地:静岡県静岡市 安倍川/河口から6.75km 右岸河川敷 2006.01.09 安倍川/河口から8.25km 左岸河川敷 2007.03.09(シロバナホトケノザ) 安倍川/河口から13.0km 右岸土手 2014.03.11 薩埵峠(Satta-touge) 2017.02.24 賤機山(Shizuhata-yama) 2018.02.22 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 11 June 2008, 4 April 2014 Last modified: 27 February 2018 ![]() ■
[PR]
by pianix
| 2008-06-11 00:00
| 花
|
Trackback
|
Comments(7)
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。
ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
この「仏の座」という名前を知るまでに時間が掛かりました。
今度は、これが春の七草のホトケノザとは別物と1月7日に知りました。 よくここまで接写できましたね。
こんにちは
この仲間はよく見ると本当にきれいですよね。 目立たないのにっていうところが特に好きです。 タツナミソウなんて、さらにぐっときます。
surugakiさん、brizuさん
コメントありがとうございます。 毎日がてんてこ舞いで、あわてて文を書いて校正なしで書き込んでしまう状態が続いています。 ホトケノザは可愛いのですが、畑で見つけた時に農家の方は、あわてて抜いていました。悪さはしないと思うのですが、管理不行き届きと思ったのでしょうかね。 タツナミソウは、たくさん花が出て少し豪華でしょうか。撮影はしてあるのですが、恥ずかしくて出せません。
【たわごと】
そろそろカメラを修理に出そうかと思っています。 その間……撮影できません……困った。 もっと困った事に……今日掲載しようとするものが何も浮かばない。 凄く困った事に……顔写真を出してしまったので、頭は悪いが顔は良いと言えなくなってしまった。これを言うと、子供は「何の事?」とキョトンとし、年頃の子は上目遣いで私を見るし、それなりのお年の女性は、カラカラと声を出して笑ってくれます。 良いところが何もない私ですが、生かせて頂いています。ありがたい事です。
時々開いて 纏めて勉強させて頂いております。
とても親切に解説してくださり楽しく見ております。山が好きなので高山植物に興味がありましたが、ブログを見せて頂いてから野の花 木に 関心を持つように成りました。ほとけのざのアップ目からうろこでした。
Y.Iさん
「交流日記」を拝見させて頂きましたが、どういう訳かコメント欄が開きませんでした。 ここは冗談に書いているところなので勉強しないで下さいませ。私は、毎日、宿題のつもりで書いていますが、自分が必要としている事だけに絞っています。本当は、花の名前以外は必要ないのですが。 お近くです、どこかでお会いしているかもしれません。
お粗末なブログ見て頂き有難う御座います。
お写真拝見してどこかでお会いしているような気が致します。 近くですものね。 身近な草花なので愛着を持って見るように成りました トラックバックは消しましたが、コメント出ませんでしたか?ハーテ?
|
![]() by pianix カテゴリ
タグ
白色系(134)
紫色系(73) 黄色系(72) 赤色系(64) キク科(60) チョウ目(鱗翅目)(50) シソ科(32) バラ科(22) 赤い実(21) マメ科(19) カメムシ目(半翅目)(17) 茶色系(15) 緑色系(15) アオイ科(14) タテハチョウ科(13) ナス科(13) ユリ科(13) キジカクシ科(11) ヒルガオ科(10) 青色系(10) 記事ランキング
Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
【筆者プロフィール】 自然体験活動指導者 静岡県環境学習指導員 ◆このブログは、「草花と自然」の観察記録余話として作成しています。「草花と自然」では、静岡市安倍川に限定した野草観察記録を年間を通して記載しています。その間に撮りためた園芸種を含めた花などを、ここに記載する事にしました。従って「草花と自然」に掲載しなかった花が含まれています。 ◆対象は中学生位です。専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けるきっかけになったら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【検索する】 和名はカタカナ表記です。漢字で検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】 写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】 記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】 承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】 コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】 民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 その他 Masami Saito All Rights Reserved ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogの著作権は齊藤正巳に帰属します。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布は行っていません。問い合せされてもお応えできません。 問い合わせ 静岡県の推計人口 総数3,666,457人 (前月比-2,176人) 男1,805,689(-1,100) 女1,860,768(-1,076) 関連情報Webサイト 静岡県公式ホームページ →環境局 →環境ふれあい課 静岡市HP →スポーツ振興課 静岡県立大学 →薬草園 →環境科学研究所 最新のコメント
以前の記事
2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 02月 more... ウェブページ翻訳
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||
外部サイトRSS追加 |
||