アオダイショウ(青大将)は、ナミヘビ科ナメラ属の蛇です。北海道、本州、四国、九州に分布する日本固有種です。名の由来は、不明です。本土最大長の蛇である事から大将が付けられた、また、大蛇が訛ったとする説があり、青味がかった色合いの大きな蛇との意味合いと考えられています。英名は、Japanese Rat Snake。
山地から平地に棲息します。平地では田畑や水辺周辺に多いようです。長さは100~200cm、太さ5cm程です。昼行性のヘビで、本土では最大のヘビです。地域変異の顕著な種として知られています。体色は緑褐色で濃淡の変化があります。胴体に淡い黒線が縦に入るものがありますが、不明瞭なものもあります。腹側は淡白色です。瞳孔は丸形。眼の後ろに黒線が流れたような模様があります。体列鱗数は、23列あるいは25列。側稜鱗により木登りが得意です。 人間の生活圏の中では最も馴染みのある蛇と言われています。成蛇は鼠などを捕食するために人家付近にも棲息し、時に家屋に侵入します。密閉度の低い木造の家屋が多かった昔は、家の中に入り込み、近所総出での捕獲騒ぎも経験しました。無毒ですが締め付ける力が強いので注意が必要です。 上顎の内側(口の中)にヤコブソン器官(Jacobson's organ)があり、匂いを感知します。先端が2分岐した舌で匂いをこの器官に送り込んでいると言われています。鼻の上の穴の上にはピット器官(Pit organ)があり、赤外線を感知して他生物の位置を判断しています。総排出腔以降が尾です。怒った時は、総排出腔から悪臭を出します。 ネズミや爬虫類、鳥等を捕食します。5月からが交尾期で、7月から8月頃に産卵します。卵数は7~17個。約50日で孵化します。幼蛇は長さ15~40cm程で、ニホンマムシに似た横縞模様が入ります。ニホンマムシのように太くはなく銭型模様ではありませんが間違われやすいようです。11月頃から冬眠し、4月頃に目覚めます。染色体数は、2n=36。 冒頭の写真は、安倍城跡山頂で撮影したものです。2m50cm程と記憶しています。異様に長く、驚いてしまいました。ちょうど倒木の脇を真っ直ぐになってすり抜けたので、木を目安に後で計測する事にしていましたが、翌日には倒木が撤去されていて計測不可能となり残念でした。当初は標本にしようかと捕獲も考えたのですが、撮影していると、おっとりとしていて、可愛い顔をしているのに気付き、可哀想に思ったのでやめました。 Japanese common name : Ao-daisyou アオダイショウ(青大将) 有鱗目ヘビ亜目ナミヘビ科ナメラ属 学名:Elaphe climacophora (Boie, 1826) 全長:100~200cm/太さ:約5cm 産卵期:7~8月 食餌:ネズミ、爬虫類、鳥等 撮影地:静岡県静岡市 安倍城跡(Alt. 435m) 2008.04.30 高山(牛ヶ峰 Alt. 717m) 谷沢ルート 2008.05.15 賤機山(Alt. 171m) 2009.05.29 千代山(Alt. 226m) 2010.06.11 安倍川/河口から10.50km 左岸河川敷 2007.07.03 市立日本平動物園・展示室(骨格標本) 2016.05.03 ふじのくに地球環境史ミュージアム・展示室(骨格標本) 2016.06.08 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] Last modified: 13 May 2016
by pianix
| 2016-05-13 00:00
| その他の生物
|
Comments(1)
Commented
by
里山ライフ
at 2018-11-05 20:45
x
> 撮影していると、おっとりとしていて、可愛い顔をしているのに気付き、・・・
全く、同感です。 造成分譲住宅団地のわが家にも出没し、家屋東側の日当たりの良い場所で日向ぼっこをし、くつろいでいることがあります。 意外なほどに顔立ちが可愛らしく、おっとりとした性質なので、親しみが湧き、鶏卵を口元に差し出してみたことがありますが、顔を背けて嫌がられました。掌で温めても見向きもされませんでした。わが家が気に入っているらしく、2㍍程の大蛇から数十㌢の子蛇と世代を継ぎながら庭先に住み着いています。家屋西側の薄暗い場所には、ヤマカガシが出没します。ヤマカガシは、アオダイショウと性質が正反対で、ひとけを感じるとすぐに物陰に移動し、身を潜めてしまいます。
0
|
by pianix カテゴリ
タグ
白色系(136)
紫色系(80) 黄色系(75) 赤色系(67) キク科(64) チョウ目(鱗翅目)(50) シソ科(33) マメ科(23) バラ科(22) 赤い実(22) カメムシ目(半翅目)(18) 緑色系(16) 茶色系(14) アオイ科(14) ナス科(13) タテハチョウ科(13) ユリ科(11) ヒガンバナ科(11) ヒルガオ科(11) 多色系(10) 記事ランキング
Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 1月末日現在) 合計677,147人 (前年同月比 -5,763人) 男:329,734人 女:347,413人 世帯数324,434戸 (前年同月比 +1.576戸) 最新のコメント
以前の記事
2023年 11月
2023年 06月 2022年 12月 2022年 08月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 05月 2020年 07月 2020年 04月 2020年 01月 more...
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||