サネカズラ(実葛)は、マツブサ科サネカズラ属の常緑蔓性木本です。日本、台湾、朝鮮半島に分布し、日本では関東以西に分布する在来種です。名の由来は、実が目立つ葛から。サネ(実)は種子、カズラ(葛)は蔓植物の総称で、頭を飾るカミツラ(髪蔓)が転訛したものと言われています。別名のビナンカズラ(美男葛)は、江戸時代に茎の粘液を男性の整髪料として使った事によります。中国名は、日本南五味子(Rìběn nán wǔwèizǐ)。英名は、scarlet kadsura。
マツブサ科1)(Schisandraceae Blume (1830))は、アジア東部と北アメリカに2属約50種(3属約100種)があり、日本には3種が分布します。サネカズラ属(Kadsura Juss. (1810))は、約24種が分布します。 低山の林地に自生します。茎は蔓状で、太い部分は約2cm。巻き付くものがあると、上から見て左巻に登ります。樹皮に含まれる粘液の成分は、キシログルクロニド (xyloglucuronide)で、昔は整髪、製紙用糊料に用いられていました。葉柄は1~1.5cm。葉は、互生します。濃緑色で長楕円形。光沢のある革質で、小鋸歯があり、長さ5~12cm、幅2.5~6cm。 花期は8月頃。雌雄異株、あるいは同株の単性花で、稀に両性花があります。葉腋から花柄を出して広鐘形の花を下垂します。花被片は楕円形や倒卵形の黄白色で、8~17枚。雄花は中心が赤色、雌花は中心が淡緑色で花柱は白色。葉の下に隠れる事が多いので、やや気づきにくいかもしれません。雌花よりも雄花の方が数多く付きます。雄花は時期が来ると花冠ごと脱落します。 果実は、核果の集合果です。果柄は花期より長くなります。5~8mmの分果が花托の回りに球状にまとまり、径約2~3cm。初め緑色で熟すと赤色になります。ポリフェノールの一種であるリグナン(lignan)類のシキサンドリン(schizandrin)、ゴミシン(gomisin)等が含まれます。種子は長さ4~5mmの腎臓形で、淡褐色。分果に1~3個が含まれます。染色体数は、2n=28。 乾燥した果実を、生薬の南五味子(ナンゴミシ)として鎮咳、滋養、強壮に用います。中国では、マツブサ属のカチュウゴミシ(华中五味子)Schisandra sphenanthera Rehd. et E.H.Wilson を用います。北五味子は、マツブサ属のチョウセンゴミシ(朝鮮五味子)Schisandra chinensis (Turcz.) Baill. です。 脚注: 1)マツブサ科 : 松房科 参考: カズラと名が付く主なものに、フウトウカズラ(風藤葛)、サネカズラ(実葛)、テイカカズラ(定家葛)があります。その他に、ヘクソカズラ(屁糞葛)、ネナシカズラ(根無葛)、アメリカネナシカズラ(亜米利加根無蔦)、スイカズラ(吸葛)、ホタルカズラ(蛍葛)、ノウゼンカズラ(凌霄花) 等があります。 Japanese common name : Sane-kazura サネカズラ(実葛) 別名:ビナンカズラ(美男葛) マツブサ科サネカズラ属 学名:Kadsura japonica (L.) Dunal 花期:8月 常緑蔓性木本 花径:1.5cm 果期:11月 【学名解説】 Kadsura : 日本名カズラ/サネカズラ属 japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)] L. : Carl von Linne (1707-1778) Dunal : Michel Felix Dunal (1789-1856) --- カチュウゴミシ(华中五味子) Schisandra : マツブサ属 sphenanthera : spheno(楔)+anthera(葯) Rehd. : Alfred Rehder (1863-1949) et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ) E.H.Wilson : Ernest Henry Wilson (1876-1930) --- チョウセンゴミシ(朝鮮五味子) chinensis : 中国の Turcz. : Nicolai Stepanowitsch Turczaninow (1796-1863) Baill. : Henri Ernest Baillon (1827-1895) --- Blume : Carl Ludwig Blume (1789-1862) Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836) 撮影地:静岡県静岡市 駿河区谷田(日本平) 2007.12.20 葵区池ヶ谷(賤機山) 2016.08.17, 2016.08.24, 2017.09.06 ダイラボウ (Alt. 560.8m) 2016.09.01 葵区西ヶ谷(安倍城跡) 2016.09.03 賤機山(Shizuhata-yama) 2021.01.14 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 15 October 2016, 17 October 2016, 13 May 2017, 6 September 2017 Last modified: 24 January 2021
by pianix
| 2016-10-15 00:00
| 花
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Comments(2)
Commented
at 2016-10-26 16:28
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented
at 2017-11-20 21:30
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 1月末日現在) 合計677,147人 (前年同月比 -5,763人) 男:329,734人 女:347,413人 世帯数324,434戸 (前年同月比 +1.576戸) 最新のコメント
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