ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)
 ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)は、ケシ科キケマン属の多年草です。日本、中国、台湾に分布います。日本では、関東以西から四国、九州に分布する、在来種です。何とも変わった名前です。スミレを伊勢地方の方言で太郎坊と呼ぶのに対し、本種を二郎坊と呼んだのが由来とされています。延胡索は漢名で、玄胡索が元になっています。玄が尊称である為に延に置き換えられたと言われています。「玄」は黒、「胡」は国名、「索」は縄の意味。根茎が黒く、胡の国に咲く苗に紐状のものがあるとの意味になります。中国名は、伏莖紫堇(fú jīng zǐ jǐn)。

 APG体系、新エングラー体系ではケシ科(Papaveraceae Juss. (1789))に分類されます。北半球に43種820種が分布します。日本には7種20種、日本固有種は1属4種3変種があるとされています。クロンキスト体系では、ケマンソウ科(Fumariaceae Marquis (1820))に分類され、世界に約16属450種が分布します。キケマン属(Corydalis DC. (1805))は、世界に約200種、日本には約20種が分布します。

 平地や山地に自生します。根茎は約1cmの偏球形。茎は弱く、地面を這い、途中で立ち上がります。草丈は10~20cm。葉は互生します。2回3出複葉。小葉は2~3深裂し、裂片は狭卵形。花柄基部の苞葉は、全縁の卵形で先端がとがります。

 花期は、3月から5月。茎の先端を枝分かれさせながら総状に数個の花をつけます。長さ12~15mmの筒状で、後部に距があります。咲き始めは花冠が紅紫色や青紫色で、徐々に色素が抜けて白っぽくなります。花柄は中央よりやや後ろ側の筒状花冠から筒部に入り、緑色の線状子房をつけ、そこから雌しべ、雄しべを出します。

 子房や雄しべと雌しべを包み込む内筒があり、先端は白色の翼状突起となり、左右2枚が合着して十字状となります。外筒の先端は上下に2裂し、唇形となり、上下とも裂片が2つに切れ込みます。

 雄しべは2本あり、先端は3裂します。葯色は橙色。花糸は半透明の白色で、膜状。雌しべを取り巻き基部で合着。雌しべ花柱は緑色。果実は蒴果です。熟すと花冠が脱落し、果実を露出します。線形の鞘状で長さ15~20mm。2裂して種子を数個出します。種子は種沈があり、黒色の球形で、経約1.5mm。

 根茎を生薬「延胡索」として胃腸薬に用いますが、日本薬局方では中国種の延胡索(Corydalis turtschaninovil Bess. forma yanhusuo Y.H.Chou et C.C.Hsu)を用います。アルカロイド(有毒)成分のコリダリン(Corydaline)やプロトピン(Protopine)を含みます。

 品種として、花冠が白色のシロバナジロボウエンゴサク(白花次郎坊延胡索)Corydalis decumbens (Thunb.) Pers. f. albescens (Takeda) Ohwi ex S.Akiyama があります。類似種に、山野に分布するヤマエンゴサク(山延胡索)Corydalis lineariloba Siebold et Zucc. 、北陸から東北地方に分布するミチノクエンゴサク(陸奥延胡索) Corydalis capillipes Franch. 、北海道から東北地方に分布するエゾエンゴサク(蝦夷延胡索)Corydalis fumariifolia Maxim. subsp. azurea Liden et Zetterlund 、その品種であるシロバナエゾエンゴサク(白花蝦夷延胡索) Corydalis fumariifolia Maxim. subsp. azurea Liden et Zetterl. f. candida Yonek. 等があります。

Japanese common name : Jirobou-engosaku
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Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.

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山地や山に近い草地に多く自生する
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花柄は中央よりやや後ろ側の筒状花冠から筒部に入り、緑色線のようにつながる。
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外筒は上下2裂し先端は二つに切れ込む。内筒は左右が合わさり十字状となる。

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内筒の先端は白色の翼状突起となり、左右2枚の合わせ目が、わずかに開く。

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雄しべ2本は基部で合着、先端は3裂する。雌しべ花柱は緑色。

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子房と雌しべ。
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シロバナジロボウエンゴサク(白花次郎坊延胡索)
Corydalis decumbens (Thunb.) Pers. f. albescens (Takeda) Ohwi ex S.Akiyama


ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)
ケシ科キケマン属
学名:Corydalis decumbens (Thunb.) Pers.
花期:3月~5月 多年草(宿根草) 草丈:10~20cm 花冠長:12~15mm

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【学名解説】
Corydalis : Korydallis(雲雀)|花の形に由来/キケマン属
decumbens : 横臥した
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836)
---
f. : forma(品種)
albescens : やや白い
Takeda : 武田 久吉 Hisayoshi Takeda (1883-1972)
Ohwi : 大井 次三郎 Jisaburo Ohwi (1905-1977)
ex : ~による
S.Akiyama : 秋山 忍 Shinobu Akiyama (1957- )

撮影地:静岡県静岡市
葵区福田ヶ谷 2006.03.20, 2007.03.28
千代みどりの森 2007.03.02, 2007.03.13
安倍城跡 2017.03.16, 2018.03.10
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

21 March 2006, 23 June 2017
Last modified: 16 March 2018
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by pianix | 2006-03-21 00:00 | | Trackback | Comments(4)
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Commented by brizu at 2006-03-24 10:24
こんにちは ご無沙汰しております。
この種類は、なんともいえない美しさをしていますよね。
キケマン、ムラサキケマンなども
この時期になると目で探しているときがあります。
立ち姿の美しい花だと思います。
Commented by surugaki at 2006-03-25 08:03
はじめて見ました。幻の花という感じがします。今まで、気づかず、踏みつけていたかもしれません。
Commented by pianix at 2006-03-27 18:11
brizuさん

ジロボウエンゴサクは、安倍川河川敷では見た事がありませんでした。
立派な桜の近くで野草を撮影しているので、そのお宅の方に不審がられたかもしれません。
Commented by pianix at 2006-03-27 18:12
surugakiさん

確かに、ハハコグサなどは踏みつぶされていました。
?私が踏みつぶしたかも
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