フキ(蕗)は、キク科フキ属の多年草です。日本を中心に、サハリン、朝鮮半島、中国に分布します。国内では本州から沖縄にかけて自生します。農作物として関東以西で多くが栽培されていて、愛知県と群馬県が産地として知られています。栽培作付面積は全国で700ha以上あります。北海道から東北北部に分布するのは、亜種のアキタブキ(秋田蕗)1)です。
名前の由来は幾つかあります。古名のフフキ(布々岐)が、フユキ(冬葱)あるいはフユキ(冬黄)となり、それが転訛したもの説があります。淡い藍色を浅葱色と言い、冬の浅葱色した植物を指します。「拭き」が由来との説もあります。葉を拭く用途に使用した為です。本草和名(918年)ではカントウ(款冬)を、和名抄(932年)ではフキ(蕗)の漢字を充てています。蕗は路傍に生える草を表しています。中国では蜂斗菜(fēng dǒu yè)。英名は、Japanese Butterbur(日本蕗)。 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。Compositae Giseke, 1792は保留名。フキ属(Petasites P.Miller (1754))は、北半球に約20種が分布します。 フキは、草本植物としては数少ない雄雌異株です。白い花を咲かせるのは雌株、花粉で黄白色の花は雄株です。雄株の花茎は10~25cm程になり、雄株花序は密散房状で径7~10mmの頭花を多数付けます。頭花は筒状花です。苞に包まれた若い花茎と蕾の部分をフキノトウ(蕗の薹)と言い山菜として食用にします。花茎を鎮咳、解毒、健胃薬として用いる事もあります。雌株は、花後に50cm程になります。 野生種は有性繁殖をする2倍体(2n=58)で、種子を作り、綿毛をつけた種子を飛ばします。栽培種は3倍体(2n=3x=87)であるので種子を作りません。品種改良は進んでいません。地下茎を伸ばし繁殖する栄養繁殖を行います。花後に地下茎から長い中空の葉柄がある腎円形の葉を出します。大きさは15~30cm程で、灰白色の綿毛があり、鋸歯があります。 ある季節になると特定の花が咲き出すと言うのは不思議ではありません。しかし、宇宙規模で見ると若干感覚が異なります。地球は秒速約30km(29.78km/s)で太陽の回りを公転しています。円周を考えると一日に凡そ1度移動する事になります。若干の楕円軌道であり、北半球の冬は太陽に一番近い距離に位置しています。近いのに冬とは意外な感じがされるかもしれませんが、地軸の傾きの影響によるものです。遠心力が強まり、公転速度が速まります。つまり、太陽と地球の位置関係が一定の所で花が咲くのです。これから古代の人たちは農作業の目安として暦を作り出しました。立春や啓蟄等の二十四節気は、この目安として使われています。 1)アキタブキ(秋田蕗)Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. subsp. giganteus (G.Nicholson) Kitam. 参考文献:栽培および野生フキの形態・生態ならびに細胞学的研究(第4報),染色体数について,今津正・藤下典之,園芸学会雑誌.第31巻第4号,p293-302 Japanese common name : Fuki フキ(蕗) キク科フキ属 学名:Petasites japonicus (Siebold et Zucc.) Maxim. 花期:3月~5月 多年草 草丈:15~50cm 花径:7~10mm 【学名解説】 Petasites : petasos(鍔広の帽子)/フキ属 japonicus : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)] Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866) et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ) Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848) Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891) --- subsp. : subspecies(亜種) giganteus : 巨大な G.Nicholson : George Nicholson (1847-1908) Kitam. : 北村四郎 Shiro Kitamura (1906-2002) 撮影地:静岡県静岡市 葵区西ヶ谷 2006.03.15 自宅 2017.02.17 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 15 March 2006 Last modified: 20 February 2017
by pianix
| 2006-04-06 00:00
| 花
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 2月末日現在) 合計676,607人 (前年同月比 -5,483人) 男:329,454人 女:347,153人 世帯数324,388戸 (前年同月比 +1.770戸) 最新のコメント
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