トウバナ(塔花)は、シソ科トウバナ属の多年草です。日本全国に分布する在来種です。国外では朝鮮半島、中国に分布します。名の由来は、花穂が重なり合って伸びる様子を塔に見立てたもの。
シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。トウバナ属はオドリコソウ亜科に含まれ、北半球の暖帯から温帯にかけて約50種が分布します。 茎は細く四角形で微細毛があり、束生します。赤褐色を帯びます。下部は地を這い、途中で立ち上がり草丈10~30cmになります。葉は対生します。葉柄があり、卵形あるいは狭卵形で浅い鋸歯があります。長さは10~30mmで、幅は10~20mm程です。枝先に花穂をつけ数段に輪生します。花は淡紅紫色の唇形花です。5裂した筒状合弁花で、花冠の長さは4~6mm、下唇は3裂します。萼は3~4mmで赤褐色を帯びます。雄しべは4本で長短の2本ずつがあります。両性花です。4分果を付けます。 近縁種に、白花で萼に軟毛が密生するイヌトウバナ(犬塔花)Clinopodium micranthum (Regel) Haraがあります。間違えやすいものに、クルマバナ(車花)Clinopodium chinense (Benth.) O. Kuntze subsp. grandiflorum (Maxim.) Hara var. parviflorum (Kudo) Haraがあります。 山に多い、ミヤマトウバナ(深山塔花)Clinopodium sachalinense (Fr. Schm.) Koidz.や、白花のヤマトウバナ(山塔花)Clinopodium multicaule (Maxim.) O. Kuntzeもあります。 Japanese common name : Tou-bana ![]() ![]() トウバナ(塔花) シソ科トウバナ属 学名:Clinopodium gracile (Benth.) Kuntze 花期:5月~8月 多年草 草丈:10~30cm 花冠長:4~6mm ![]() 【学名解説】 Clinopodium : cline(床・斜)+podion(小足)/トウバナ属 gracile : gracilentus(細長い・か弱い) Benth. : George Bentham (1800-1884) Kuntze : Carl Ernst Otto Kuntze (1843-1907) 撮影地:静岡県静岡市 安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.05.06 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] Last modified: 13 May 2006 ![]() ■
[PR]
by pianix
| 2006-05-13 00:00
| 花
|
Trackback
|
Comments(2)
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。
ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
ご無沙汰しております。
しそ科の野草もたくさんありますね。 日本の道端には良く合いますね。 そのまま消えないで残っていて欲しいです。
brizuさん
これからの季節は、ハッカ、マルバハッカなどが出てきます。 ついでに、蚊まで出てきますから、虫除けに気を遣います。
|
![]() by pianix カテゴリ
タグ
白色系(134)
紫色系(73) 黄色系(72) 赤色系(64) キク科(60) チョウ目(鱗翅目)(50) シソ科(32) バラ科(22) 赤い実(21) マメ科(19) カメムシ目(半翅目)(17) 茶色系(15) 緑色系(15) アオイ科(14) タテハチョウ科(13) ナス科(13) ユリ科(13) キジカクシ科(11) ヒルガオ科(10) 青色系(10) 記事ランキング
Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
【筆者プロフィール】 自然体験活動指導者 静岡県環境学習指導員 ◆このブログは、「草花と自然」の観察記録余話として作成しています。「草花と自然」では、静岡市安倍川に限定した野草観察記録を年間を通して記載しています。その間に撮りためた園芸種を含めた花などを、ここに記載する事にしました。従って「草花と自然」に掲載しなかった花が含まれています。 ◆対象は中学生位です。専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けるきっかけになったら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【検索する】 和名はカタカナ表記です。漢字で検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】 写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】 記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】 承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】 コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】 民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 その他 Masami Saito All Rights Reserved ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogの著作権は齊藤正巳に帰属します。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布は行っていません。問い合せされてもお応えできません。 問い合わせ 静岡県の推計人口 総数3,666,457人 (前月比-2,176人) 男1,805,689(-1,100) 女1,860,768(-1,076) 関連情報Webサイト 静岡県公式ホームページ →環境局 →環境ふれあい課 静岡市HP →スポーツ振興課 静岡県立大学 →薬草園 →環境科学研究所 最新のコメント
以前の記事
2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 02月 more... ウェブページ翻訳
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||
外部サイトRSS追加 |
||