カノコガ(鹿子蛾)は、ヒトリガ科カノコガ亜科カノコガ属の蛾です。日本、中国、朝鮮半島に分布します。日本では、ほぼ全国に分布する在来種です。昼行性の蛾です。キオビツチバチ(黄帯土蜂)1)や、オオフタオビドロバチ(大二帯泥蜂)2)等に擬態していると言われています。名の由来は、翅の斑紋が子鹿の背の模様に似る事から。中国名は、雙黃環鹿蛾(shuāng huáng huán lù é)。英名は、white-spotted moth。
以前はカノコガ科(Ctenuchina W.Kirby, 1837)とされていましたが、現在ではヒトリガ科(Arctiidae Leach, 1815)のカノコガ亜科(Syntominae)に分類されています。カノコガ属(Amata Fabricius, 1807)は、日本や中国、朝鮮半島、台湾に分布します。日本には3種が分布3)します。チョウ目(鱗翅目)は、日本には約5000種以上あり、蝶と呼ばれるものは約280種類で、蛾は約4800種とされています。 6月から9月頃に、河川敷や庭、住宅街等に現れます。頭部は光沢のある黒色をしています。頭部・肢・触角全体に黒っぽい色です。触覚は糸状。翅には黒褐色の地に半透明の白い斑紋があります。胴体地色は黒色で、オレンジ色の帯び模様が胴体を一周する2本があります。それ以外に短い帯模様が腹部に4本あります。 幼虫(毛虫)で越冬します。完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)します。成虫は花の蜜を吸汁します。幼虫はタンポポの枯れ葉を食草としているようです。 本種は人の生活圏内で見られますが、生態に関しては不明なところが多く、研究が進められています。その1つとして、中齢~終齢期に動物性タンパクが必要である事、配偶行動にはフェロモンが関与する可能性が高い事が報告4)されています。 脚注: 1)キオビツチバチ(黄帯土蜂)Scolia oculata (Matsumura, 1911) 2)オオフタオビドロバチ(大二帯泥蜂)Anterhynchium flavomarginatum micado (Kirsch, 1873) 3)日本に分布するカノコガ属の3種。 ツマキカノコ(褄黄鹿子)Amata flava aritai Inoue, 1965 [与那国島に分布] カノコガ(鹿子蛾)Amata fortunei fortunei (d'Orza, 1869) キハダカノコ(黄肌鹿子)Amata germana nigricauda (Miyake, 1907) 4)昼行性蛾類カノコガAmata fortuneiの飼育法と配偶行動 近藤勇介(岐阜大)・中 秀司(農環研)・安藤 哲(農工大)・土田浩治(岐阜大) 日本応用動物昆虫学会大会講演要旨 (49), 49, 2005-03-01 Japanese common name : Kanoko-ga カノコガ(鹿子蛾) チョウ目(鱗翅目)ヒトリガ科(カノコガ亜科)カノコガ属 学名:Amata fortunei fortunei (d'Orza, 1869) 体長:(前翅長)15~18mm/(開張)30~37mm 出現期:6月~9月(年2回) 分布:北海道、本州、四国、九州 食草:タンポポ、シロツメグサ、スギナ、ギシギシ 撮影地:静岡県静岡市 安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.06.14 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] Last modified: 21 June 2006
by pianix
| 2006-06-21 00:00
| 虫
|
Comments(0)
|
by pianix カテゴリ
タグ
白色系(136)
紫色系(80) 黄色系(75) 赤色系(67) キク科(64) チョウ目(鱗翅目)(50) シソ科(33) マメ科(23) バラ科(22) 赤い実(22) カメムシ目(半翅目)(18) 緑色系(16) 茶色系(14) アオイ科(14) ナス科(13) タテハチョウ科(13) ユリ科(11) ヒガンバナ科(11) ヒルガオ科(11) 多色系(10) 記事ランキング
Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 1月末日現在) 合計677,147人 (前年同月比 -5,763人) 男:329,734人 女:347,413人 世帯数324,434戸 (前年同月比 +1.576戸) 最新のコメント
以前の記事
2023年 11月
2023年 06月 2022年 12月 2022年 08月 2021年 08月 2021年 07月 2021年 05月 2020年 07月 2020年 04月 2020年 01月 more...
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||