人気ブログランキング | 話題のタグを見る
オオセンナリ(大千成)
 オオセンナリ(大千成)は、ナス科オオセンナリ属の1年草です。南アメリカのペルーが原産で、日本へは江戸時代末期に園芸用途で移入されました。1964年に福岡県北九州市で野生化が確認された帰化植物です。名の由来は、ホオズキ属のセンナリホオズキ(千成酸漿)Physalis pubescens L.と比べて大型との意味から。千成りとは、たくさん群がって実が生る事。英名は、Apple of Peruで「ペルーの林檎」ですが、果実は有毒1)で食べられません。

 ナス科(Solanaceae Juss. (1789))は、世界に90属約2300種が分布します。オオセンナリ属(Nicandra Adanson, 1763)は1属1種で、南アメリカのチリとペルーに分布します。

 茎には稜があり、分枝して30~100cmになります。葉は互生します。柄があり、長さ5~10cmの長楕円形あるいは卵形で、先端が尖り、荒い鋸歯があります。花期は7月から9月頃。葉腋から、葉と対生の位置に長い柄を持った花を付けます。淡青紫色の浅く5裂した5角形の鐘形で、花冠径は3~5cm。萼は筒状で、基部に5個の尾状突起があり、側面に5個の翼があります。

 果実は液果です。長さ約25mmの袋状になった肥大した萼に包まれ、袋は熟すと割れます。液果表面には茶褐色の斑点があります。種子は1.5~2mmの扁平した円形で多数あります。染色体数は、n=10, 2n=19,21。

 全草を生薬カサンショウ(假酸漿)として止咳、清熱、去痰、解毒に用います。

脚注:
1)ニカンドレノン(Nicandrenone, C28H34O6)

参考文献:
0.NALBANDOV, R.T.YAMAMOTO and G.S.FRAENKEL(1964) Nicandrenone, a new compound with insecticidal properties, isolated from Nicandra Physalodes. Jour. Agric. Food Chem. 12:55-59.

殺虫力をもつ新植物成分ニカンドレノン
農技研 平野千里 日本応用動物昆虫学会誌 第8巻 第2号 1964-06-25,122p.

Japanese common name : Oo-sen'nari
オオセンナリ(大千成)_e0038990_16471823.jpg
Nicandra physaloides (L.) Gaertn.

オオセンナリ(大千成)_e0038990_16481399.jpgオオセンナリ(大千成)_e0038990_16483013.jpg
萼は筒状、5個の尾状突起、側面に5個の翼がある。葉は互生する。
オオセンナリ(大千成)_e0038990_16544333.jpg
イチモンジセセリが訪花していた。

オオセンナリ(大千成)_e0038990_1649726.jpgオオセンナリ(大千成)_e0038990_1649192.jpg
果実は液果。肥大した萼に包まれている。2006.10.19


オオセンナリ(大千成)
ナス科オオセンナリ属
学名:Nicandra physaloides (L.) Gaertn.
花期:7月~9月 1年草 草丈:30~100cm 花径:3~5cm

オオセンナリ(大千成)_e0038990_12135938.gif


【学名解説】
Nicandra : ギリシャの詩人Nikandros(197-130 BC.) に因む/オオセンナリ属
physaloides : ホオズキ属(Physalis)のような|Physalis : physa(水泡・気泡)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Gaertn. : Joseph Gaertner (1732-1791)

撮影地:静岡県静岡市
静岡県立大学薬用植物園 2006.07.25, 2006.10.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 July 2006
オオセンナリ(大千成)_e0038990_1703595.gif

by pianix | 2006-07-26 00:00 | 静岡県立大学薬用植物園 | Comments(4)
Commented by brizu at 2006-07-27 15:02
へぇーー初めて見ました。
ナス科っぽいのはあるけど
でも独特ですね。
普通に見られるんでしょうか。
Commented by pianix at 2006-07-31 20:19
brizuさん

普通に見るより、目をパチクリしたほうが良いかもしれません。
……そういう事ではないですね。
地域的にばらつきがあるようです。
私が観察している河川敷では見た事がありません。
Commented by 昭和のラビット at 2006-08-16 06:15 x
おはようございます。ウェブリブログから、オオセンナリを探して、飛んで来ました。名前がわからず尋ねていたら、tokoronさんがオオセンナリを教えてくれました。
私の場合、農家の庭先に植えてあったのが、清清しそうに咲いていたのを撮ったものです。
それにしても、詳しく、調べられましたね。
参考にさせていただきます。
Commented by pianix at 2006-08-17 14:39
昭和のラビットさん

花を愛し山を歩く、昭和のラビットさん。ブログを拝見させていただきました。
私も生まれからすればラビットです。今後ともよろしくお願いします。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

<< ペラペラヨメナ(ぺらぺら嫁菜) イブキジャコウソウ(伊吹麝香草) >>