コバギボウシ(小葉擬宝珠)は、クサスギカズラ科(キジカクシ科)ギボウシ属の多年草です。日本を主とする東アジアが原産で、国内では本州から九州に分布する在来種です。名の由来は、蕾の形が橋や寺社の欄干に付けられる飾りのギボシ(擬宝珠)に似ていて、類似種のオオバギボウシ(大葉擬宝珠)と比べて葉が小型である事から。
いる属です。 クサスギカズラ科(Asparagaceae Juss. (1789))は、約150属2500種が分布します。エングラー分類体系ではユリ科(Liliaceae Juss. 1789)で、世界の温帯と熱帯に約240属4000種が分布します。ギボウシ属(Hosta Trattinick, 1814)は、日本や中国など亜寒帯から温帯にかけての東アジアに20~40種あり、日本には12属、47種が自生します。分類上の見解が分かれている属です。 日当たりの良い湿地に生育します。根茎は横に這います。茎は30~40cmに直立します。葉は多数根生して斜上し、長さ10~15cmの葉柄があります。葉は長さ10~16cm、幅5~8cmの狭卵形から卵状長楕円形で、先端は突頭で基部は翼状、葉脈は平行脈で窪みます。灰緑色で光沢はありません。 花期は、7月から8月。花茎の先に総状花序を付け、数個の花を下から順に咲かせます。花冠は淡紫色の筒状鐘形で、長さ4~5cm、花被内面に濃紫色の筋があり、横かやや下向きに咲きます。花被片は6枚で、花被の合着部には透明線があります。基部には緑色の船形の苞が1枚あります。雄しべは6本で、それよりも長い雌しべ1本があり内側に反り返ります。 朝に開花し夕方には萎む一日花です。他花受粉をします。虫媒花で、媒介者は主としてマルハナバチ(丸花蜂)です。果実は痩果で、熟すと3裂します。黒褐色の種子には翼があり、風によって散布されます。若葉と蕾は食用になります。 同じ属の類似種に、オオバギボウシ(大葉擬宝珠)Hosta sieboldiana (Hook.) Engl. var. sieboldiana や、ミズギボウシ(水擬宝珠)Hosta longissima Honda ex F.Maek. があります。 Japanese common name : Koba-gibousi コバギボウシ(小葉擬宝珠) クサスギカズラ科ギボウシ属 学名:Hosta sieboldii (Paxton) J.W.Ingram var. sieboldii f. spathulata (Miq.) W.G.Schmid synonym : Hosta albo-marginata (Hook.) Ohwi 花期:7月~8月 多年草 草丈:30~40cm 花冠長:4~5cm 【学名解説】 Hosta : Nicolaus Thomas Host (1761~1834)に因む/ギボウシ属 sieboldii : Philipp Franz Balthasar von Siebold (1796-1866)への献名 Paxton : Joseph Paxton (1803-1865) J.W.Ingram : John William Ingram (1924-?) var. : varietas(変種) f. : forma(品種) spathulata : spathulatus(スプーン型の) Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871) W.G.Schmid : Wilhelm Gustav Gunther Schmid (1888-1949) --- albo-marginata : albo-marginatus(白い縁取りのある) Hook. : William Jackson Hooker (1785-1865) Ohwi : Jisaburo Ohwi 大井 次三郎 (1905-1977) 撮影地:静岡県静岡市 安倍川/河口から8.5km左岸土手 2006.07.28 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 1 August 2006, 7 July 2015 Last modified: 25 July 2021
by pianix
| 2006-08-01 00:00
| 花
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Comments(2)
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brizu at 2006-08-03 10:04
青とか紫の花って言うのは
なんか僕の琴線に触れてくるものがあります。 黄色や赤もキレイだけど・・。 この花もそんな感じがします。 自生のコバギボウシ・・見つけられるところがすごいです。
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pianix at 2006-08-03 19:03
brizuさん
いつもコメントありがとうございます。 以前の幼少時に思ったコメント「死んじゃったんだ」は、いまだに私の中に残っています。生命に対する畏怖が現れていました。 この写真は写りが汚すぎるので困っていました。本当はもっと綺麗なのです。暗い曇り空の影響もあるかと思います。もう少し綺麗に撮れたら入れ替えますからご勘弁を。 草刈りが行われていなかった土手の一角に自生のコバギボウシがありました。植栽だったらどこででも見られますが、自生にこだわりました。それを知っているbrizuさんは、凄い。
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
自然体験活動指導者 《静岡県》 森林環境教育指導者 環境学習指導員 ◆専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けたら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【見にくい場合】スマホでレイアウトが乱れて見にくい場合は、ご利用のブラウザアプリでPC版に切り替えて下さい。PC版で最適化しています。 【検索する】和名はカタカナ表記です。漢字やひらがなで検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】[停止中]承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布、及び栽培方法、生育地の詳細、民間薬としての使い方等を問い合せされてもお応えできません。 静岡県の推計人口 (2024年 2月 1日現在) 総数3,544,597人 (前月比 -3,553人) 世帯数1,515,983世帯 (前月比 -292世帯) 静岡市の人口・世帯数 (2024年 2月末日現在) 合計676,607人 (前年同月比 -5,483人) 男:329,454人 女:347,153人 世帯数324,388戸 (前年同月比 +1.770戸) 最新のコメント
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