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ツバメシジミ(燕小灰蝶)
 ツバメシジミ(燕小灰蝶)は、北海道・本州・四国・九州に広く分布するシジミチョウ科の小型の蝶です。明るい平地の草地に生息します。名の由来は、後翅にある糸状の尾状突起形状をツバメの尾羽に例えたシジミチョウの意味から。英名は、Short-Tailed Blue。全体に白色である印象がありますが、翅を広げると全く異なった模様になり、その変化の大きさが特徴の一つです。成虫の出現期は3月~10月で、年4~5回の羽化があります。食草は、マメ科植物です。

 シジミチョウ科(Lycaenidae)は、世界中に分布し約5500種を抱える、鱗翅目の中で最大の科です。6000種類を数え、チョウ全体の4割を占めると言われています。日本には約80種類が分布します。この仲間の主な特徴は、小形で、後翅に糸状尾状突起を持つ種類が多い事、翅の表と裏では全く違う模様を持つものが多い事、幼虫はワラジムシ型で、雄の前脚は、やや退化している事が挙げられます。この科は、9亜科に分類されます。日本に生息するものは、ウラギンシジミ亜科・カニアシシジミ亜科・ベニシジミ亜科・ヒメシジミ亜科・ミドリシジミ亜科の5亜科です。ヒメシジミ亜科(Polyommatinae)は、アフリカ、ユーラシア大陸、オーストラリア等に広く分布します。

 チョウの体は、頭部・胸部・腹部に分けられます。翅は前翅・後翅の2対4枚あります。ツバメシジミの翅の表はオスが青紫色、メスが暗褐色です。後翅裏面は灰白色で、橙色の紋と黒斑があります。後翅に糸状の尾状突起があります。雌の場合、春型と夏型があります。大きさは、前翅長9~19mm、開張20~30mm。前翅長とは、前翅の基部から翅端までの直線距離を言います。開張は、前翅を広げた左右の翅端間の事です。

 目は黒色の複眼で、2個あります。チョウの触角には、紡錘状・棍棒状・鉤状・球管状があります。ツバメシジミの触角は棍棒状で2本あり、白黒の帯状模様があります。鼻に相当する下唇髭(かしんしゅ)=パルピ(Pulpi)は上向きに反っています。脚は胸部に前脚・中脚・後脚の3対6本があります。脚の作りは、根本から基節(きせつ)・転節(てんせつ)・腿節(たいせつ)・脛節(けいせつ)・付節(ふせつ)・爪から成っています。

 卵・幼虫・蛹・成虫の成長過程を経る、完全変態をします。卵は白色の円形で小さな突起があります。幼虫は緑色のワラジムシ型です。蛹の形態は、垂蛹(すいよう)と、帯蛹(たいよう)に大別されます。垂蛹は尻尾部分で垂れ下がり、帯蛹は胸に帯糸(たいし)をつけて体を上向きにします。ツバメシジミは、帯蛹型です。幼虫で越冬します。

 類似種として、本州(和歌山県)、四国、九州(全県)に分布するタイワンツバメシジミ(台湾燕小灰蝶)Everes lacturnus kawaii Matsumura, 1926があり、こちらは絶滅危惧I類の希少種で、出現期が8~10月です。混同しやすいのは、ルリシジミ(瑠璃小灰蝶)Cerastrina argiolus ladonides (de l'Orza, 1869)です。

Japanese common name : Tubame-sijimi
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Everes argiades hellotia (Menetries, 1857)

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左:春のツバメシジミは初々しい柔らかな雰囲気。 右:♀ パルピ(Pulpi)は上向き
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♀ メスの翅表は暗褐色

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♂オスの翅表は青紫色
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橙色紋付近の鱗片。動いているチョウのマクロ撮影は無謀…

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左:2006.06.29 右:2006.08.02


ツバメシジミ(燕小灰蝶)
チョウ目(鱗翅目)シジミチョウ科ヒメシジミ亜科ツバメシジミ属
学名:Everes argiades hellotia (Menetries, 1857)

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体長:(前翅長)9~19mm/(開張)20~30mm
出現期:3月~10月(年4~5回)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:マメ科植物(メドハギ・クサフジ・シロツメクサ・コマツナギ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.5km 左岸河川敷 2007.03.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 12 March 2007
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by pianix | 2007-03-12 00:00 | | Comments(0)
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