カテゴリ:花( 369 )
ハクチョウソウ(白蝶草)
 ハクチョウソウ(白蝶草)は、アカバナ科マツヨイグサ属の多年草です。北アメリカが原産です。日本には、1863年頃に文久遣欧使節によって移入されたと言われています。当時は、ヤマモモソウ属(Gaura L. (1753))のヤマモモソウ(山桃草)とされていました。現在はマツヨイグサ属です。逸出して日本全国で野生化している帰化植物です。名の由来は、白い花冠をチョウに見立てたもの。中国名は、山桃草(shān táo cǎo)。英名は、White gaura。

 アカバナ科(Onagraceae Juss. (1789))は、世界に約37属640種が分布します。日本には5属28種があります。マツヨイグサ属(Oenothera L. (1753))は、約125種があり、日本に自生種は無く、14種が帰化しています。

 茎は根元で分岐して直立します。草丈は50~150cm。茎葉はロゼット状。葉は互生します。葉柄が無い披針形で、長さ1~9cm。まばらに鋸歯があります。茎や茎葉には毛があります。

 花期は5月から11月頃までと長く続きます。長い茎の先に総状花序を出します。花柄と萼は赤味を帯びます。蕾に毛があります。萼は4枚で、後方に大きく反り返り、斜めに立ち上がります。

 花径は2~3cm。花色は白色で、桃色もあります。花弁は倒卵型で、長さ12~20mm。4枚が上側に半円状に並びます。雄しべと雌しべは長く突き出ます。雄しべは8本で葯は赤褐色。雌しべは1本で、白色の柱頭は4裂します。

 一日で萎む一日花ですが、下から順に咲き続けます。子房下位で4室。果実は蒴果です。長さ7~8mm、幅約3mmの紡錘形で堅果。種子は長さ2~2.5mmで赤褐色。染色体数は、2n=2x=14。

 種子繁殖します。園芸では、挿し木、株分けでも行われます。繁殖力が強く、放置すると簡単に雑草化します。

Japanese common name : Hakuchou-sou
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Oenothera lindheimeri (Engelm. et A.Gray) W.L.Wagner et Hoch

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左:萼片は4枚、雄しべ8、柱頭は4裂する。右:萼は4枚で後方に反り返る。

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左:風でよく揺れる。右:葉はまばらに鋸歯がある披針形。

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左:茎は根元で分岐して直立する。右:1~2年で野生化するほど繁殖力が強い。


ハクチョウソウ(白蝶草)
別名:ヤマモモソウ(山桃草)
流通名:ガウラ
アカバナ科マツヨイグサ属
学名:Oenothera lindheimeri (Engelm. et A.Gray) W.L.Wagner et Hoch
Synonyms : Gaura lindheimeri Engelm. et A.Gray
花期:5月~11月 多年草 草丈:60~150cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Oenothera : oinos(酒)+ther(野獣)/マツヨイグサ属
lindheimeri : Ferdinand Jakob Lindheimer (1801-1879)氏の
Engelm. : Georg (George) Engelmann (1809-1884)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
A.Gray : Asa Gray (1810-1888)
W.L.Wagner : Warren Lambert Wagner (1950- )
Hoch : Peter Coonan Hoch (1950- )
---
Gaura : 立派な、華美な/ヤマモモソウ属

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から6.25km 安倍川柳町緑地公園
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 24 August 2018
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by pianix | 2018-08-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツタバウンラン(蔦葉海蘭)
 ツタバウンラン(蔦葉海蘭)は、オオバコ科ツタバウンラン属の蔓性多年草です。ヨーロッパの地中海沿岸地方が原産です。園芸用途として大正12(1823)年に移入され、逸出した帰化植物です。日本では、北海道、本州、四国、九州に帰化しています。名の由来は、花がウンラン(海蘭)に、葉がツタ(蔦)に似る事から。英名は、coliseum ivy、Ivy-leaved Toadflax。

 オオバコ科(Plantaginaceae Juss. (1789))は、約90属1700種が分布します。日本には15属43種が自生分布します。旧分類ではゴマノハグサ科1)で、世界に約220属3000種の分布でしたが、現在は約56属2100種に減少しました。ツタバウンラン属(Cymbalaria Hill (1756))は、ヨーロッパ西部、地中海からイランに約10種が分布します。

 石垣や斜面等に自生します。糸状の細い茎を10〜60cmに伸ばし、不定根を出しながら石垣などに絡みつきます。茎は無毛の紫褐色で、径約1mm。もろく、簡単に引きちぎれます。葉柄は10~17mm。葉は互生します。円形や扁円形で、掌状に5〜7浅裂し、長さ1~3cm、幅1.5~4cm。裂片は幅が広く、先端は小型葉が鋭頭、大型葉は微鋭頭の傾向があります。

 花期は、5月から10月頃まで。葉腋から紫色を帯びた10~17mmの花柄を出し、先端に花をつけます。花冠は唇形花2)で、白色や淡紫色。上唇は暗紫色の縦筋が入り、斜めか直立して2裂します。下唇は3浅裂して、基部は背面から押されて湾曲し隆起します。2個の凸部の上部が黄色の蜜標3)になり、内部への通路を塞ぐ形状になります。虫媒花で、訪れた虫が下唇に乗ると開く構造です。後端に長さ約3mmの距があります。花冠の幅は7~10mm、長さは7~10mm。萼は5裂します。萼片は線状披針形で長さ約3mm。

 両性花です。雄しべは長2短2の計4本で、葯は薄黄色。雌しべは1本で、花柱は紫色を帯びます。花冠内部に腺毛があります。子房上位。花後は果柄を25~45mmに伸ばし、下垂します。果実は蒴果です。球形で2室あり、径5~6mm。熟すと裂開します。種子はヒダ状のシワがあり径約1mm。染色体数は、2n=14。

 同属のCymbalaria aequitriloba (Viv.) A.Chev.が、ヒメツタガラクサ(姫蔦唐草)の園芸名で流通しています。花冠が似た種として、ムラサキサギゴケ(紫鷺苔)、トキワハゼ(常磐爆/常盤黄櫨)、カキドオシ(垣通し)、マツバウンラン(松葉海蘭)等があります。

脚注:
1)Scrophulariaceae Juss. (1789)
2)唇形花(しんけいか):合弁花で、筒状の花冠が唇のように上下に分かれる形状の花(lip)
3)蜜標(みつひょう) : 昆虫に蜜の所在を示す標識(nector guide)

Japanese common name : Tutaba-unran
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Cymbalaria muralis G.Gaertn., B.Mey. et Scherb.

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白色花冠。上唇は2裂、下唇は3浅裂。右:背面は大きく窪(くぼ)む。
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紫色花冠。後部に距がある。萼は5裂。

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雄しべは長2短2の計4本。葯色は薄黄色。花冠内部には腺毛がある。

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萼は5裂して萼片は長さ約3mmの線状披針形。葉腋から紫色を帯びた花柄を出す。

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葉は大小があり掌状に5〜7浅裂。裂片は小型葉が鋭頭、大型葉は微鋭頭の傾向。

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花期は長い。

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細い茎を斜面に這わせる。果実は蒴果で下垂し径5~6mm。

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左:若い果実の内部。 右:種子はヒダ状のシワがあり径約1mm。


ツタバウンラン(蔦葉海蘭)
別名:ツタガラクサ(蔦唐草)、ウンランカズラ(海蘭葛)
オオバコ科ツタバウンラン属
学名:Cymbalaria muralis G.Gaertn., B.Mey. et Scherb.
synonym : Linaria cymbalaria (L.) Mill
花期:5月~10月 多年草 草丈:蔓性 花冠長:7~10mm

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【学名解説】
Cymbalaria : kymbalon(シンバル)のような/ツタバウンラン属
muralis : 壁に生える
G.Gaertn. : (P.Gaertn.) Philipp Gottfried Gaertner (1754-1825)
B.Mey. : Bernhard Meyer (1767-1836)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Scherb. : Johannes Scherbius (1769-1813)
---
Cymbalaria aequitriloba (Viv.) A.Chev.
aequitriloba : aequalis(同形の)+trilobus(三片の)
Viv. : Domenico Viviani (1772-1840)
A.Chev. : Auguste Jean Baptiste Chevalier (1873-1956)

撮影地:静岡県静岡市
葵区池ヶ谷 2018.05.16, 2018.06.19
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 25 June 2018
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by pianix | 2018-06-25 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オオミスミソウ(大三角草)
 オオミスミソウ(大三角草)は、キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草です。北半球温帯(ヨーロッパ、ロシア、中国、朝鮮半島、日本、北米)に分布し、日本では北陸地方の日本海側に分布します。ミスミソウの品種で日本固有変種です。岩手県では、絶滅危惧II類。名の由来は、ミスミソウより大型である事から。ミスミソウは、葉が三角状である事から。葉先が丸いものをスハマソウ(州浜草)と言います。

 キンポウゲ科(Ranunculaceae Juss. (1789))は、世界に62属2500種が分布します。日本には22属149種が分布します、日本固有種は、1属80種(9亜種26変種)があるとされています。ミスミソウ属(Hepatica P. Miller (1754))は、温帯に約9種が分布します。日本には2変種3品種があるとされています。

 低山の落葉広葉樹林や、その斜面等に自生します。葉は根生し、10cm程の葉柄を出します。三角状で3浅裂し、基部が心形で、裂片は全縁で鋭頭か鈍頭。革質で光沢があり、長さ5~6cm、幅6~8m。根生葉の葉腋から白色の長毛がある花柄を出します。草丈は10~20cm。

 花期は、3月から4月。花は茎頂に単生します。花弁は無く、花弁状の萼片が6~10個あります。裂片は卵状披針形から線状披針形で、長さ11~15mm、幅3~6mm。花径は2~3cm。両性花。 雄しべと雌しべは多数あります。萼片に見えるのは総苞片で3枚が輪生します。

 交雑しやすい事から花色の変異が大きく、白色、淡紅色、赤紫色、青色等があり、葯色も白色から淡紅色と多彩です。園芸種も多くあり、雪割草の名で出回っています。花後に花柄を下に向けます。果実は痩果です。総苞片に囲まれて残存花柱がある集合果となります。染色体数は、2n=141)

 本州中部以西、四国、九州に分布し、染色体数が2n=14のミスミソウ(三角草)2)、花色が黄色のエチゼンミスミソウ(越前三角草)3)[福井県県域絶滅危惧I類]、東北から関東の太平洋側に分布するスハマソウ(州浜草)4)があります。近畿以西と四国に分布し、染色体数が4倍体の2n=28, 42で、葉の両面に白毛があるケスハマソウ(毛州浜草)5)があります。それぞれは、一般的に言われている分布域だけでは判別できない事があり、形状も中間型があるなど、注意を要します。

脚注:
1)Nuclear DNA amounts in angiosperms: targets, trends and tomorrow - Annals of Botany Page 1 of 124
2)ミスミソウ(三角草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. japonica (Nakai) Yonek.
3)エチゼンミスミソウ(越前三角草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. lutea Kadota
4)スハマソウ(州浜草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. variegata (Makino) Nakai
5)ケスハマソウ(毛州浜草)Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. pubescens (M.Hiroe) Kadota

Japanese common name : Oo-misumi-sou
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Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. magna (M.Hiroe) Kitam.

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葉は3浅裂し、基部が心形。花柄に白色の長毛がある。

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萼片に見えるのは総苞片で3枚。花後に花茎は下向く。花弁に見えるのは萼片。


オオミスミソウ(大三角草)
別名:雪割草
キンポウゲ科ミスミソウ属
学名:Hepatica nobilis Schreb. var. japonica Nakai f. magna (M.Hiroe) Kitam.
花期:3月~4月 多年草 草丈:10~20cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Hepatica : hepaticus(肝臓)/ミスミソウ属
nobilis : nobilius(より気高い)
Schreb. : Johann Christian Daniel von Schreber (1739-1810)
var. : varietas(変種)
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
f. : forma(品種)
magna : magnus(大きい)
M.Hiroe : 廣江美之助 Minosuke Hiroe (1914-2000)
Kitam. : 北村四郎 Shiro Kitamura (1906-2002)
---
Yonek. : 米倉浩司 Koji Yonekura (1970- ) Tohoku University
lutea : luteus(黄色の)
Kadota : 門田裕一 Yuichi Kadota (1949- )
variegata : variegatus(斑紋がある)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
pubescens : 細軟毛がある

撮影地:岩手県盛岡市
新庄字下八木田 2018.03.25
[Location : Morioka City, Iwate Prefecture JAPAN]

Last modified: 17 June 2018
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by pianix | 2018-06-17 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ゲンゲ(紫雲英)
 ゲンゲ(紫雲英)は、マメ科ゲンゲ属の越年草1)です。中国原産で、江戸時代以前に移入されたとされている帰化植物です。日本では、全国に分布します。名の由来は、渡来時の漢名を充てたもの。紫雲英は、紫色雲の花(英)の意味。一般的に、レンゲソウ(蓮華草)の名で親しまれています。蓮華草は、蓮華の花に似る事から。中国名は、紫云英(zǐ yún yīng)。

 マメ科(Fabaceae Lindl. (1836))は、約650属12000種が分布します。日本には41属100種が分布します。ゲンゲ属(Astragalus L. (1753))は、北半球の温帯に約4000種が分布し、日本には帰化種を含めて約14種があります。

 根に根粒菌が根粒を形成して共生します。根粒菌から窒素の供給を受けます。畑では、この窒素固定作用による窒素肥料として活用されます。近年は、化学肥料(硫安[硫酸アンモニウム]、塩安[塩化アンモニウム]、硝安[硝酸アンモニウム]、尿素、チリ硝石、石灰窒素等)の利用が多くなり、緑肥の利用は減少傾向にあります。

 茎は毛があり、基部で分枝して這った後、斜上します。葉は、奇数羽状複葉で9~11個つきます。小葉は倒卵形から楕円形で、長さ1〜1.5cm。葉裏に毛があります。葉柄基部には卵形の托葉が互生します。

 花期は、4月から6月。花柄を15cm程伸ばして、紅紫色の蝶形花を輪状に7~10個付けます。蝶形花は、左右相称の蝶に似た形状の花です。旗弁と、翼弁2枚に包まれた舟弁(竜骨弁)2枚の計5枚の花弁があります。虫媒花。介在する昆虫が花に乗ると、翼弁と舟弁が下がり、雄しべと雌しべが露出して葯が付着する仕組みです。萼は毛があり、5裂します。

 両性花です。雄しべは10本あり、基部は筒状に子房を取り巻き、9裂します。1本が独立している二体雄ずい2)を形成します。果実は、豆果です。約3cmで黒色に熟します。種子は長さ約3mm。染色体数は、2n=16, 32。

 蜜源、窒素肥料、飼料としての活用があります。品種として花冠が白い、シロバナゲンゲ(白花紫雲英)Astragalus sinicus L. f. albiflorus S.Okamoto があります。

脚注:
1)越年草(えつねんそう):秋に発芽し、年を越して翌年に開花結実して枯れる植物。あくまでも人間社会の暦による分け方で、12ヶ月を超えないので冬型1年草とも言う。1年草は、年内に発芽して枯れる植物。
2)二体雄ずい(二体雄しべ):雄しべ花糸の合着が二つに分かれるる形態。雄しべの全部が筒状に合着するものを単体雄蕊、二つにまとまるものを二体雄蕊と言う。マメ科では1本対9本になるものが多い。

Japanese common name : Genge
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Astragalus sinicus L.

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輪状に蝶形花をつける。葉は奇数羽状複葉。
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スズメノテッポウと共演

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左:草丈は10~30cm。右:蝶形花の部分名称。

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雄しべ基部は子房を包み、先が9裂、1本独立の二体雄ずい。緑色は子房。
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果実は豆果。種子は約3mm。

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葉は倒卵形。葉裏や茎に伏せ毛がある
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シロバナゲンゲ(白花紫雲英)
Astragalus sinicus L. f. albiflorus S.Okamoto


ゲンゲ(紫雲英)
別名:レンゲソウ(蓮華草)、レンゲ(蓮華)
マメ科ゲンゲ属
学名:Astragalus sinicus L.
花期:4月~6月 越年草 草丈:10~30cm 花冠長:10~15mm

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【学名解説】
Astragalus : ギリシャ古語の距骨(くるぶし)/ゲンゲ属
sinicus : sinensis(支那の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
f. : forma(品種)
albiflorus : 白花の
S.Okamoto : 岡本清逸 Seiitsu Okamoto (col. 1914 - )

撮影地:静岡県静岡市
葵区城北(水田) 2007.03.30, 2009.04.09, 2018.04.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

30 April 2018
Last modified: 10 May 2018
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by pianix | 2018-04-30 00:00 | | Trackback | Comments(0)
マンサク(満作)
 マンサク(満作)は、マンサク科マンサク属の落葉小高木です。本州(太平洋側)、四国、九州に分布する在来の日本固有種です。名の由来は、不明です。東北の方言で「まんずさく=先ず咲く」、枝に多数の花がつく事から「満作」との説があります。語源不明なため万作とも書き、漢字表記も当て字と思われます。中国名は、金縷梅(jīn lǚ méi)で、これはシナマンサク1)(支那満作)を指します。

 マンサク科(Hamamelidaceae R.Br. (1818))は、亜熱帯から暖帯に27属約80~90種が分布します。マンサク属(Hamamelis L. (1753))は、東アジアと北米に約4種が分布します。

 山地に多い落葉小高木で、樹高は2~5m。樹皮は灰色。葉柄は長さ5~15mm。葉は互生します。長さ5~10cm、幅5~7cmの菱状円形から倒卵形で、波状の鋸歯があります。葉裏は脈が隆起して目立ちます。葉柄や葉表に軟毛があるのは、シナマンサクです。

 花期は、2月から3月。葉に先立って花を咲かせます。丸めて収められていた花弁を展開するため、ねじれた細長いリボン状となります。花弁は黄色で4枚。長さ12~15mmで、花径は2~3cm。雌雄同株。雄しべ4個、線形の仮雄しべ4個があります。葯室は2個あり、葯色は黄色。雌しべ花柱は先端が2裂します。萼片は、暗紫色の卵形で4個。

 果期は6月頃。果実は蒴果です。褐色の腺毛がある卵形球状で固く、長さ約1cm。2裂して2個の種子を出します。種子は黒色の長楕円形で、長さ7~9mm。染色体数は、2n=24。

 萼片が黄色のものは、岡山県阿哲地方に自生するアテツマンサク2)(阿哲満作)で、準絶滅危惧(NT)。葉先が丸いのは、マルバマンサク2(丸葉満作)です。他に園芸品種が多数あります。

 樹皮を縄の代用として用いる事があります。虫瘤のマンサクメイボフシ(満作芽疣附子)や、マンサクメイガフシ(満作芽毬附子)が付く事があります。また、葉枯れの病気が発生する場合があり、原因の究明が急がれています。乾燥葉を民間療法や収斂化粧水とする事がありますが、薬用として用いられる事はありません。

脚注:
1)シナマンサク(支那満作)
Hamamelis mollis Oliv.
2)アテツマンサク(阿哲満作)
Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. bitchuensis (Makino) Ohwi[準絶滅危惧](NT)
3)マルバマンサク(丸葉満作)
Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. discolor (Nakai) Sugim. f. obtusata (Makino) H.Ohba

Japanese common name : Mansak
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Hamamelis japonica Siebold et Zucc.

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花弁4枚と雄しべ4個、仮雄しべ4個があり、雌しべ花柱は2裂。萼片は暗紫色。

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左:花後に葉が展開する 右:樹皮
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Japanese common name : Atetu-mansak
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アテツマンサク(阿哲満作)
Hamamelis japonica Siebold et Zucc. var. bitchuensis (Makino) Ohwi


マンサク(満作)
マンサク科マンサク属
学名:Hamamelis japonica Siebold et Zucc.
花期:2月~3月 落葉小高木 樹高:2~5m 花径:2~3cm

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【学名解説】
Hamamelis : hamos(似た)+melis(リンゴ)からの転用/マンサク属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Siebold : Philipp Franz (Balthasar) von Siebold (1796-1866)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Zucc. : Gerhard Zuccarini (1790-1848)
---
シナマンサク(支那 満作)
mollis : 軟毛のある
Oliv. : Daniel Oliver (1830-1916)
---
アテツマンサク(阿哲満作)
var. : varietas(変種)
bitchuensis : 備中(現岡山県西部)産の
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
Ohwi : 大井次三郎 Jisaburo Ohwi (1905-1977)
---
マルバマンサク(丸葉満作)
discolor : 2色の
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)
Sugim. : 杉本順一 Jun'ichi Sugimoto (1901-1988)
f. : forma(品種)
obtusata : obtusatus(鈍頭の)
H.Ohba : 大場秀章 Hideaki Ohba (1943- )

撮影地:岩手県盛岡市
北松園緑地 カモシカ峠(植樹) 2018.03.24
[Location : Morioka City, Iwate Prefecture JAPAN]

Last modified: 16 April 2018
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by pianix | 2018-04-16 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヒマラヤユキノシタ(ヒマラヤ雪の下)
 ヒマラヤユキノシタ(ヒマラヤ雪の下)は、ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属の多年草です。ヒマラヤ山脈周辺が原産地です。日本には、明治初期に移入されたと考えられています。北海道から九州にかけて園芸用途で栽培されています。名の由来は、ヒマラヤ地方が原産であり、ユキノシタ科である事から。中国名は、短柄岩白菜(duǎn bǐng yán bái cài)。英名は、Himalayan creeping saxifrage。

 ユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、温帯から寒帯にかけて約17属500種1)があります。ヒマラヤユキノシタ属(Bergenia Moench, 1794)は、中国、ヒマラヤ、中央アジア等に8種があります。

 根茎状の木質化した基部は初め這い、途中から花茎を立ち上げます。草丈は、10~50cm。葉は互生します。根生葉は光沢のある革質の倒卵形で、葉縁に棘状の鋸歯があります。長さ15~20cm、幅約10cm。長い葉柄があります。常緑ですが、寒さによっては赤褐色を帯びることがあります。

 花期は、2月から5月。茎先に集散花序を出し、桃色の花を多数付けます。花茎は径1~2mm。花径は2~3cm。花弁は倒卵形で、5~6個付きます。雄しべは10本で赤味を帯び、葯色は黄色、長さ6~7mm。雌しべは薄緑色で、長さ7~8mm。柱頭は2~3裂します。

 萼筒は椀形で、幅5~6mm。萼片は5~6裂し、三角状で、長さ約4mm、幅約4mm、先端は尖りません。果実は朔果です。胚珠は中軸胎座 2)。種子は長卵形で、長さ約0.5mm。染色体数は、2n=34。

 種間交雑品種が多く出回っています。ほぼ手入れなしの放任で毎年花をつけます。繁殖は、実生、株分け等で行います。別名でオオイワウチワ(大岩団扇)と呼ばれることがありますが、オオイワウチワ3)は、イワウメ科の別種です。

脚注:
1)以前は約80属1200種が属する大きな科でしたが、近年に幾つかの科が分離され減少しました。
2)中軸胎座 (axial placentation):合生雌しべで、子房の中軸に胚珠がつくもの。
3)Shortia uniflora (Maxim.) Maxim. var. uniflora

Japanese common name : Himaraya-yukinosita
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Bergenia stracheyi (Hook.f. et Thomson) Engl.

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基部は根茎状。葉は互生し、倒卵形。

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雄しべは10本、雌しべ柱頭は2~3裂する。写真左が2裂、右は3裂。

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茎先に5~8cmの集散花序をつける。

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左:受粉後の雌しべと雄しべ。 右:萼筒は椀形、萼片は5~6個。

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葉縁に棘状の鋸歯がある。 左:葉表 右:葉裏

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左:萼を取り払った雌しべ。3裂。右:種子は長卵形(未熟)

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2裂雌しべ子房部分 右は輪切り状態の子房

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中軸胎座につく胚珠


ヒマラヤユキノシタ(ヒマラヤ雪の下)
ユキノシタ科ヒマラヤユキノシタ属
学名:Bergenia stracheyi (Hook.f. et Thomson) Engl.
花期:2月~5月 多年草(常緑宿根草) 草丈:10~50cm 花径:2~3cm

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【学名解説】
Bergenia : Karl August von Bergen (1704-1759)の名に因む/ヒマラヤユキノシタ属
stracheyi : Lieutenant-General Sir Richard Strachey (1817-1908)の
Hook.f. : Joseph Dalton Hooker (1817-1911)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Thomson : Thomas Thomson (1817-1878)
Engl. : Heinrich Gustav Adolf Engler (1844-1930)

撮影地:静岡県静岡市
葵区昭府町 2017.04.12
自宅 2018.03.12, 2018.03.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

21 March 2018
Last modified: 29 March 2018
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by pianix | 2018-03-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ハルシャギク(波斯菊)
 ハルシャギク(波斯菊)は、キク科ハルシャギク属の1年草です。北米西部原産で、明治初期に栽培用途として移入されたと言われています。栽培種が逸出して野生化しています。和名の波斯は、ペルシャ(現イラン)のことですが、原産地との関係はありません。別名のジャノメソウは、花冠が蛇の目模様であることから。中国名は、兩色金雞菊(liǎng sè jīn jī jú)。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。ハルシャギク属(Coreopsis L. (1753)) は、アメリカやアフリカに約120種が分布します。

 園芸用途での花壇植えの他、日当たりの良い草地などで野生します。茎は無毛で、分枝しながら60~80cmの高さになります。葉は、対生します。2回羽状の複葉で深裂か全裂し、線形から線状披針形で先端は丸まります。蕾は暗赤褐色の筋があり球形。

 花期は、6月から9月頃。複集散花序1)を出し、柄の先に頭状花をつけます。皿状の総苞片は2列。総苞片は内片より外片が長くなります。花径は、3~4cm。花色は黄色で、中心部が紫褐色になります。舌状花は約8枚。先端は山状に浅く3裂します。黄色で、基部は紫褐色、不稔性です。中心部に紫褐色の筒状花が多数あり、両性花で、5本の雄しべの葯は合着して葯筒となります。

 果実は、痩果です。種子は翼があり、長楕円形で黒色、長さ1.5~2.5mm、幅約1mm。属名のCoreopsisは、種子が南京虫(トコジラミ)に似ているとの意味ですが、今では連想できる人は少ないかもしれません。染色体数は、2n=24。

 ハルシャギク属の全種は、外来生物法で輸入時に種類名と数量が記載された「種類名証明書の添付が必要な生物」に指定(外来生物法25条、外来生物法施行規則31条・32条)されています。

 同属のハルシャギクの仲間に次の種類があります。
ホソバハルシャギク(細葉波斯菊)Coreopsis grandiflora Hogg ex Sweet
イトバハルシャギク(糸葉波斯菊)Coreopsis verticillata L.
ハマベハルシャギク(浜辺波斯菊)Coreopsis maritima (Nutt.) Hook.f.
 ヘレニウム属に、マツバハルシャギク(松葉波斯菊)Helenium amarum (Raf.) H.Rock があります。

脚注:
1)複集散花序:複合花序のひとつで、集散花序が組み合わさる花序。主軸から横枝を出し、その分枝を繰り返す。

Japanese common name : Harusya-giku
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Coreopsis tinctoria Nutt.

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花壇に咲くハルシャギク。茎は細く無毛。中心部の紫褐色模様は変異がある。

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野生化して草地に繁殖する。葉は対生。2回羽状の複葉で、線形から線状披針形。

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果実は、痩果。種子は翼があり長楕円形で黒色。



ハルシャギク(波斯菊)
別名:ジャノメソウ(蛇目草)、クジャクソウ(孔雀草)
キク科ハルシャギク属
学名:Coreopsis tinctoria Nutt.
花期:6月~9月 1年草 草丈:60~80cm 花径:3~4cm

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【学名解説】
Coreopsis : coris(南京虫)+opsis(似ている)/ハルシャギク属
tinctoria : tinctorius(染色用の、染料の)
Nutt. : Thomas Nuttall (1786-1859)
---
ホソバハルシャギク(細葉波斯菊)
grandiflora : 大きな花の
Hogg : Thomas Hogg (1777-1855)
ex : ~による
Sweet : Robert Sweet (1783-1835)
---
イトバハルシャギク(糸葉波斯菊)
verticillata : verticillatus(輪生の、環生の)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
---
ハマベハルシャギク(浜辺波斯菊)
maritima : maritimus(海の、海浜生の)
Hook.f. : Joseph Dalton Hooker (1817-1911)
---
マツバハルシャギク(松葉波斯菊)
Helenium : Menelaus王の妻トロイのヘレン(Helena)の名/オグルマ属
amarum : amarus(苦味の)
Raf. : Constantine Samuel Rafinesque (1783-1840)
H.Rock : Howard Francis Leonard Rock (1925-1964)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km左岸 河川敷(植栽)2005.11.02
麻機湧水地第3工区 2017.09.24, 2017.09.25
麻機湧水地第1工区 2018.08.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

23 January 2018
Last modified: 30 August 2018
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by pianix | 2018-01-23 00:00 | | Trackback | Comments(0)
マユミ(真弓)
 マユミ(真弓)は、ニシキギ科ニシキギ属の落葉小高木です。日本、朝鮮半島、中国、サハリンに分布します。日本では、北海道から九州に分布する在来種です。名の由来は、弓の材料に使われた事から。中国名は、西南卫矛(xī nán wèi máo)、檀(tán)。英名は、Spindle tree。

 ニシキギ科(Celastraceae R. Br. (1814))は、世界に約100属1000種以上があり、ニシキギ属(Euonymus L. (1753))は世界に約220種、日本には18種が分布します。

 山野に自生します。灰白色の樹皮で裂けて縦筋が入り、高さ3~5mになります。庭木としても利用されます。材質は緻密で象牙色である事から、将棋駒、こけし、箱類の木工品用材とされます。枝は稜があり、柔軟で良くしなります。葉は、対生します。長楕円形で、長さ6~12cm、幅2〜8cm。細鋸歯があり鋭頭。葉柄は長さ5~20mm。冬に紅葉して落葉し、果実のみが残ります。

 花期は、5月から6月頃。芽鱗痕の腋から3~6cmの集散花序を出します。淡緑白色で径1cm程の花を1~7個つけます。萼片4個、長卵形の花弁4個、緑色の花盤に雄しべが4個つき、葯は赤色。中央に薄緑色の雌花があります。雌雄同株。花柱の長短2型があり、雌しべが短い花は結実しにくい。不完全雌雄異株説もあります。

 果実は蒴果です。倒三角形で4稜があり、長さ約8~10mm。熟すと4裂して種子を出します。種子は、長さ約7mm、幅約4mmの楕円形で、光沢のある赤色の仮種皮に包まれます。仮種皮を取り除くと、長さ約5.5mm。果実は長くつきます。冬芽は卵形。染色体数は、2n=64。

 果皮や種子はアルカロイド(エボニン1))が含まれ有毒です。誤食により、嘔吐、下痢、悪寒、大量摂取で痙攣を引き起こします2)。頭ジラミの殺虫剤としての利用がありました。

 変種に、カントウマユミ(関東真弓)Euonymus sieboldianus Blume var. sanguineus Nakai 別名、ユモトマユミ(湯元真弓)、アカマユミ(赤真弓)があり、葉裏の葉脈に突起状の毛が密生します。

 同属で、赤い実をつける次のものがあります。
ニシキギ(錦木)Euonymus alatus (Thunb.) Siebold f. alatus
ツリバナ(吊花)Euonymus oxyphyllus Miq. var. oxyphyllus
マサキ(柾)Euonymus japonicus Thunb.

脚注:
1)エボニン(Evonine) : C36H43NO17
2)日本の有毒植物 フィールドベスト図鑑 佐竹元吉著 / 公益財団法人日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報【有毒な木の実・草の実】Ver.1.02

Japanese common name : Mayumi
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Euonymus sieboldianus Blume

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花期は5月から6月頃。集散花序を出し淡緑白色の花をつける。葉は長楕円形。

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左:若い緑色の果実(5月)倒三角形で4稜がある。右:色づいた果実(12月)

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熟すと4裂して種子を出す。種子は光沢のある赤色の仮種皮に包まれる。

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左:仮種皮を取り除いた種子。右:種子の断面。

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左:1月の果実。長い期間残る。 右:寒くなると花序枝が赤くなる。

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左:太くなると灰白色の樹皮は裂けて縦筋が入る。 右:冬芽は卵形で鋭頭。



マユミ(真弓・檀)
別名:ヤマニシキギ(山錦木)、カンサイマユミ(関西真弓)、オオバマユミ(大葉真弓)、エゾオオバマユミ(蝦夷大葉真弓)
ニシキギ科ニシキギ属
学名:Euonymus sieboldianus Blume
synonym : Euonymus hamiltonianus auct. non Wall.
花期:5月~6月 落葉小高木 樹高:3~5m 花径:約1cm 果期:10~11月

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【学名解説】
Euonymus:eu(良い)+ onoma(名)/ニシキギ属
sieboldianus:Philipp Franz von Siebold (1796-1866)+iānus(シーボルトの)
Blume:Carl Ludwig von Blume (1796-1862)
---
hamiltonianus : William Hamilton (1783-1856)氏の
auct. non : auctorum(著者らの)+non(否定)/著者の命名では無い
Wall. : Nathaniel Wallich (1786-1854)

撮影地:静岡県静岡市
足久保川(安倍川水系) 2006.01.17
賤機山(Shizuhata-yama) 2016.04.29, 2016.05.04, 2016.05.30, 2017.12.28, 2018.01.04
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

9 January 2018
Last modified: 20 January 2018
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by pianix | 2018-01-09 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤマノイモ(山の芋)
 ヤマノイモ(山の芋)は、ヤマノイモ科ヤマノイモ属の蔓性多年草です。日本、中国、朝鮮半島に分布します。日本では、本州から沖縄にかけて分布する在来種です。名の由来は、山に生える芋である事から。里芋に対する名称との説もあります。別名は、ジネンジョ(自然薯)、ジネンジョウ(自然生)、ヤマイモ(山芋)等。中国名は、日本薯蕷(Rìběn shǔyù)。英名は、Yam。

 ヤマノイモ科(Dioscoreaceae R.Br. (1810))は、熱帯及び暖温帯に8属約800種が分布します。ヤマノイモ属(Dioscorea L. (1753))は、東アジア北部に広く分布します。ヤマノイモ科の内、約600種がヤマノイモ属です。約40種が食用とされ、約15種が栽培されていて、日本には13種があります。珠芽があり根茎の根が肥厚するヤマノイモの仲間と、根茎の根が肥厚しないオニドコロの仲間に分ける事ができます。

 日当たりの良い山地の林縁などで自生します。ひげ根がある肥厚した長い担根体(地下茎)があります。地中深くに伸び、長さ1m以上、太さ3cm程になります。食用とされ、粘りが強い事から、「とろろ」として利用されます。栽培では、パイプや波板シートに設置して掘り出しやすいようにしています。

 葉は、対生します。基部が心形の三角状披針形で、長さ5~10cm、幅3~5cm。無毛で鋭尖頭、全緑。葉腋に径1cm内外で腋芽が肥大した偏球形のムカゴ(零余子)を付けます。幅25~28mm。ムカゴは栄養繁殖器官で、落下後に芽を出します。これは食用となります。

 花期は、7月から8月。雌雄異株。葉腋から雄花序と雌花序を出します。雄花序は立ち上がり、花は白色でほとんど開かず、花被片は外花被片3個、内花被片3個の計6個。無柄で径約2mm。雄しべは6個。雌花序は下垂し、基部から順に咲きます。雌しべは3個、柱頭は2裂します。果実は、蒴果です。3つの陵に3室があり、長さ約15mm、幅約25mm。種子は、薄膜状の翼があり、10~15mmの扁平円形。染色体数は、2n=40。

 根茎(担根体)の周皮を取り除き乾燥させたものを、生薬の山薬(第十七改正日本薬局方)として滋養強壮、止瀉、鎮咳に用います。

 ヤマノイモ属は種類が多く、またよく似ているので注意を要します。代表的なものを列挙します。
 ヤマノイモと同じように葉が対生する、帰化種のナガイモ(長薯)Dioscorea polystachya Turcz. 。別名ツクネイモ、中国名は薯蕷。栽培種の逸出で野生する時があります。
 葉が互生するものに、トコロ(野老)の仲間があります。
 オニドコロ(鬼野老)Dioscorea tokoro Makino 別名トコロ(野老)、中国名は山萆薢。山野に多くあり、ヤマノイモと混生している場合があります。雌花は黄緑色。
 タチドコロ(立野老)Dioscorea gracillima Miq. 中国名は纖細薯蕷。本州と九州(2n=20)、四国(2n=40)に分布します。雌花は淡橙黄色。
 ヒメドコロ(姫野老)Dioscorea tenuipes Franch. et Sav. 別名エドドコロ(江戸野老)、中国名は細柄薯蕷。雌花は黄緑色。本州中部以西に分布します。
 カエデドコロ(楓野老)Dioscorea quinquelobata Thunb. 雌花は橙色で、葉が3~9裂します。
 キクバドコロ(菊葉野老)Dioscorea septemloba Thunb. 別名モミジドコロ(紅葉野老)。雌花は黄緑色や暗紫色で、葉は5〜9裂します。
 帰化種のニガカシュウ(苦荷首烏)Dioscorea bulbifera L.f. spontanea (Makino) Makino et Nemoto 別名マルバトコロ、中国名は黃獨。ムカゴがつきます。

Japanese common name : Yama-no-imo
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Dioscorea japonica Thunb.

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左:雄花はほとんど開かない 右:雌花と果実

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左:ムカゴが着生。 右:葉は基部が心形の三角状披針形。

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果実は蒴果。3室あり、円形の薄膜状の翼がある種子を出す。

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左:ヤマノイモ栽培農地     右:梱包状態の販売商品



ヤマノイモ(山の芋)
別名:ジネンジョ(自然薯)、ヤマイモ(山芋)
ヤマノイモ科ヤマノイモ属
学名:Dioscorea japonica Thunb.
花期:7月~8月 多年草 草丈:蔓性 花径:約2mm

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【学名解説】
Dioscorea : Pedanius(Pedanios) Dioscorides (ca.40-ca.90 AD)に因む/ヤマノイモ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
---
ca. : circa(およそ)
---
ヒメドコロ(姫野老)Dioscorea tenuipes Franch. et Sav.
tenuipes : 細い柄のある
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Sav. : Paul Amedée Ludovic Savatier (1830-1891)
---
タチドコロ(立野老)Dioscorea gracillima Miq.
gracillima : gracillimus(非常に細長い)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
---
カエデドコロ(楓野老)Dioscorea quinquelobata Thunb.
quinquelobata : quinquelobatus(五浅裂した)
---
キクバドコロ(菊葉野老)Dioscorea septemloba Thunb.
septemloba : septemlobus(種の中の真正のもの)
---
ニガカシュウ(苦荷首烏)Dioscorea bulbifera L.f. spontanea (Makino) Makino et Nemoto
bulbifera : 鱗茎のある
L.f. : Carolus Linnaeus filius (1741-1783)
spontanea : spontaneus(野生の、自生の)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Nemoto : 根本莞爾 Kwanji Nemoto (1860-1936)/日本植物総覧共著者

撮影地:静岡県静岡市
葵区内牧 2006.08.18, 2006.10.27, 2006.10.30, 2006.11.24
葵区昭府町(茶臼山) 2017.12.21
葵区新伝馬 2017.12.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

26 December 2017, 31 December 2017
Last modified: 2 January 2018
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by pianix | 2017-12-26 00:00 | | Trackback | Comments(0)
スイフヨウ(酔芙蓉)
 スイフヨウ(酔芙蓉)は、アオイ科フヨウ属の落葉低木です。日本、中国、台湾に分布します。日本では、沖縄、九州・四国に自生します。栽培種として観賞用に関東地方以西に分布します。名の由来は、中国名の木芙蓉(mù fú róng)の略名。中国での芙蓉は、ハスのことで、フヨウがハスの花に似ていることから。スイフヨウは、フヨウの花色が変化する様子を酒に酔った顔色に例えたもの。中国名は、醉芙蓉(zuì fú róng)。

 アオイ科(Malvaceae Juss. (1789))は、熱帯から冷帯にかけて、250属(APG)が分布します。クロンキスト体系(Cronquist system)では、約75属、約1500種でした。フヨウ属(Hibiscus L. (1753))は、約250種が分布します。

 フヨウの1品種として栽培されています。耐寒性がやや弱く、四国・九州・沖縄で自生、暖地で路地植えが可能です。樹高は、150~300cm。葉柄は長さ5~12cm。葉は、互生します。先が浅く3~7裂した五角形状で、基部は心形。長さ幅共に、10~20cm。冬に落葉します。葉や葉柄、萼と副萼片、果実には星状毛と腺毛があります。

 花期は、7月から10月。萼は5裂し、副萼片は線形で10個。花冠は基部で合着し、花径は10~15cm。雄しべが花弁化する八重咲きがほとんどですが一重や半八重もあります。咲き始めは白色で、夕方には紅色へと変化します。1日花です。

 色の変化は、アントシアニン1)(シアニジン-3-サンブビオシド2)、シアニジン-3-グルコシド3))によります。低温下での生合成は弱く、気温25℃以上で進みます。アントシアニン合成酵素のメッセンジャーmRNA 4)の発現量が増加し、アントシアニン色素が花弁液胞内に蓄積して赤色になっていきます5)。紫外線の影響ではありません。

 果実は蒴果です。球形で径25~27mm、裂開して径約32mm。子房上位で5室があります。種子は腎臓形で長さ約2~3mm。背面に長い剛毛があります。八重咲き種は不稔性です。よって繁殖は、挿し木が一般的です。

脚注:
1)Anthocyanin : 植物色素アントシアン(Anthocyan)の一つ。酸性で紅色、アルカリ性で青色にな る。
2)Cyanidin 3-sambubioside(C26H29O15)
3)Cyanidin 3-glucoside(Cl C21H21O11)
4)messenger RNA : 伝令RNA。DNAの遺伝情報を写しとって伝えるRNA(Ribonucleic acid)で、タンパク質合成させる機能をもつ。
5)花色変化メカニズムに関する研究(第3報)—スイフヨウ—(奥尚枝、三島鮎美、石黒京子)武庫川女大薬学部 : 日本薬学会年会要旨集(2011.03.05)

Japanese common name : Sui-fuyou
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Hibiscus mutabilis L. 'Versicolor'

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左:葉は3~7浅裂した掌状。花色が赤に変わっていく<2017.10.11> 右:幹

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果実は蒴果。星状毛と腺毛で覆われている。縦に5裂して多数の種子を出す。

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種子は腎臓形で、背面に長毛がある。


スイフヨウ(酔芙蓉)
アオイ科フヨウ属
学名:Hibiscus mutabilis L. 'Versicolor'
花期:7月~10月 落葉低木 樹高:150~300cm 花径:10~15cm 果期:10月

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【学名解説】
Hibiscus : 由来不明、ゼニアオイ属の古代ギリシャ及びラテン古名/フヨウ属
mutabilis : 変化しやすい、不安定な、色々に変わる
L. : Carl von Linne (1707-1778)
Versicolor : 斑入り、変色、種々の色のある

撮影地:静岡県静岡市
賤機山 2017.10.11, 2017.11.27, 2017.12.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

19 December 2017
Last modified: 20 January 2018
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by pianix | 2017-12-19 00:00 | | Trackback | Comments(0)