オニシバリ(鬼縛り)は、ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属の常緑小低木です。日本、中国、朝鮮半島に分布します。日本では、本州(福島県以南)、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、引きちぎりにくい枝で、鬼を縛れる程の強さとの例えから。別名のナツボウズ(夏坊主)は、夏に落葉させる事から。
ジンチョウゲ(沈丁花)科(Thymelaeaceae Juss. (1789))は、世界の温帯から熱帯に44属、約500種が分布し、日本には4属、16種が自生します。ジンチョウゲ属(Daphne L. (1753))は、世界に約90種、日本には7種程が自生します。 丘陵や山地の林内に自生します。茎は灰茶色で樹皮は強靱でしなやか。繊維に富む事から和紙の補助材として利用されます。樹高は50cm~80cm。葉は互生します。倒披針形、あるいは披針形で、長さ4~10cm、幅1~3cm、全縁。落葉は夏の7~8月頃の一ヶ月間程で、その後に新葉を出します。 花期は2月から4月。葉腋から束生状に淡黄緑色の花をつけます。花冠は筒状で、長さ6~8mmの萼筒の先を4裂させた萼裂片を開き、反り返ります。雌雄異株。雌花の萼筒は雄花の半分程の長さで小さい。雄しべ8個。子房上位。 果実は核果です。長楕円形で長さ6~8mm。熟すと赤くなります。セイヨウオニシバリ(西洋鬼縛り)Daphne mezereum L.と同様に、ダフネトキシン(daphnetoxin|C27H30O8)を含み有毒です。半数致死量(LD50)は、0.3mg/kg-1(mouse)。皮膚吸収の可能性があり、炎症を引き起す事があります。薬用としては、樹皮を慢性皮膚病、リウマチの消腫目的で使用されます。 似た種に、ナニワズ(難波津)Daphne jezoensis Maxim.があります。長野県の絶滅危惧IB類(EN)。 参考文献:Constituents of the Leaves of Daphne pseudo-mezereum (T.Konishi, S.Wada, S.Kiyosawa 1993) --- 2015.01.29 開花を確認/2016.01.13 開花を確認/2017.02.03 開花を確認 Japanese common name : Oni-shibari ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() オニシバリ(鬼縛り) 別名:ナツボウズ(夏坊主) ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属 学名:Daphne pseudomezereum A.Gray 花期:2月~4月 常緑小低木 樹高:50cm~80cm 花冠径:約14mm ![]() ![]() 【学名解説】 Daphne : ギリシャ神話の女神名(月桂樹)/ジンチョウゲ属 pseudomezereum : pseudo(似た)+mazeriyn(殺す)[セイヨウオニシバリに似た] A.Gray : Asa Gray (1810-1888) --- Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836) L. : Carl von Linne (1707-1778) 撮影地:静岡県静岡市 安倍城跡(Alt.435m) 2014.02.19 - 04.16 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 05 March 2014 Last modified: 17 May 2016 ![]() ■
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| 2014-05-13 00:00
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ヤブコウジ(藪柑子)は、サクラソウ科ヤブコウジ属の常緑小低木です。東アジアの台湾、中国、朝鮮等に分布し、日本では北海道、本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、藪に生える小さなみかんから。コウジ(柑子)とは、小さなミカンの一種で、ヤマミカン(山蜜柑)と呼んでいたのが、万葉時代はヤマタチバナ(夜麻多知婆奈)となり、ヤブコウジへと変遷したものと考えられています。センリョウ(千両)、マンリョウ(万両)に対して、カラタチバナ(唐橘)は百両、ヤブコウジは十両と呼ばれ、正月の縁起物としてもお馴染みです。
サクラソウ科(Primulaceae Batsch ex Borkh. (1797))は、28属約1000種があります。旧ヤブコウジ科(Myrsinaceae R.Brown, 1810)は、熱帯・暖帯・温帯に37属約1300種が分布し、日本には4属1)12種が自生します。ヤブコウジ属(Ardisia O.Swartz, 1788)は、約300種が分布し、日本には約6種があります。 丘陵や山地(垂直分布1200m)の林内に自生します。地下茎は横に這い、所々から地上茎を出しながら樹高10から20cmに立ち上げ群生します。葉は、単葉で互生し、茎上部で輪生状につきます。長楕円形で長さ7cm程、幅3cm程、革質で光沢があり、細かな鋸歯があります。 花期は7月から8月頃。葉腋に散形花序2)を出し、7~10mmの花柄の先に下向きに花を咲かせます。花は白色で赤味のある細かい斑紋があります。合弁花で5深裂し、径5~8mm。先が尖る裂片5.萼5、雄しべ5個、雌しべ1個の雌雄同体。子房上位。果実は核果です。熟すと赤くなります。果肉には若干の甘みがあり、鳥に食べられて種子散布されます。 庭の下草としての利用があります。中国では、全草を乾燥させたものを紫金牛(しきんぎゅう)として利尿や咳止めに用いられます。 1)ヤブコウジ属、イズセンリョウ属(Maesa Forssk. (1775))、ツルマンリョウ属(Myrsine L. (1753))、タイミンタチバナ属(Rapanea Aublet, 1775) 。 2)散形花序[さんけいかじょ(umbel)]:無限花序のひとつで、放射状(傘形)に花柄をつける花序。 Japanese common name : Yabu-kouji ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ヤブコウジ(藪柑子) 別名:ヤマタチバナ(山橘)、ジュウリョウ(十両) サクラソウ科ヤブコウジ属 学名:Ardisia japonica (Thunb.) Blume 花期:7~8月 常緑小低木 樹高:10~20cm 花径:5~8mm 果実径:5~6mm ![]() ![]() 【学名解説】 Ardisia : ardis(鎗先・矢先)/ヤブコウジ属 japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)] Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828) Blume : Carl Ludwig von Blume (1796-1862) --- Batsch : August Johann Georg Karl Batsch (1761-1802) ex : ~による Borkh. : Moritz (Moriz) Balthasar Borkhausen (1760-1806) --- R.Brown : Robert Brown (1773-1858) O.Swartz : Olof Peter Swartz (1760-1818) ※japonicaは、ジャポニカではなくヤポニカと発音します。 撮影地:静岡県静岡市 安倍城跡(Alt. 435m) 2007.12.13 - 2014.02.19 ダイラボウ(Alt. 561m) [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 25 February 2014, 14 March 2014 Last modified: 24 October 2016 ![]() ■
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| 2014-02-25 00:00
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ミヤマシキミ(深山樒)は、ミカン科ミヤマシキミ属の常緑低木です。アジアに分布し、日本では関東以西の山地に分布します。名の由来は、葉がシキミ(樒)に似て、山地に生える事から。
ミカン科(Rutaceae Juss. (1789))は、世界に約150属、900種が分布します。ミヤマシキミ属(Skimmia Thunberg, 1783)は、アジアに約9種が分布し、日本では本種の1種のみがあり、変種・品種が11種程あります。 山地の林下に自生します。樹高は100~150cmになります。葉は互生します。長さ6~13cm、幅3~5cmの倒卵状楕円形で全縁。光沢がある革質で、油点があります。 花期は4月から5月頃。茎頂に円錐花序をつけます。雌雄異株。小花は白色の花弁4枚からなり径8~9mm。芳香があります。雌花は4本の退化した雄しべと1本の雌しべ、雄花は4本の雄しべと退化した雌しべ1本があります。 果実は核果です。赤く熟し、球形で長さ約8mm。広卵形で7mm程の核が2~5個あります。染色体数は、2n=30。 葉や種子に痙攣作用があるスキミアニン(skimmianine)や、ジクタムニン(dictamnine)を含む有毒植物です。古くは頭痛、めまいの民間薬として用いられた経緯があり、農業用殺虫剤としての利用があります。観賞用として栽培される場合もあります。 参考:シキミ(樒) Japanese common name : Miyama-sikimi ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ミヤマシキミ(深山樒) ミカン科ミヤマシキミ属 学名:Skimmia japonica Thunb. var. japonica 花期:4月~5月 常緑低木(雌雄異株) 樹高:100~150cm 果期:12月~2月 ![]() ![]() 【学名解説】 Skimmia : 和名のミヤマシキミに由来/ミヤマシキミ属 japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)] Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828) ※japonicaは、ジャポニカではなくヤポニカと発音します。 撮影地:静岡県静岡市 安倍城跡(Alt. 435m) 2008.02.18 - 2014.02.07 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] Last modified: 08 February 2014 ![]() ■
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| 2014-02-06 00:00
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エビネ(海老根)は、ラン科エビネ属の多年草です。日本、朝鮮、中国に分布し、日本では北海道から沖縄にかけて分布する在来種です。環境省レッドブックで準絶滅危惧(NT)。名の由来は、地下茎の形状を海老に見立てたもの。園芸愛好家の間ではジエビネ(地海老根)の名前が使われています。
ラン科(Orchidaceae Juss. (1789))は、熱帯から亜寒帯に約700属、15000種以上、日本には約73属約220種が分布します。エビネ属(Calanthe R.Brown ex Ker-Gawler, 1821)は、東南アジア、東アフリカ、オーストラリア、南米などに変種を含んで約210種が分布し、日本には21種が自生します。 山野の林内に自生します。球状で2cm程の偽鱗茎1)を地表浅く横に伸します。偽鱗茎からは径2~3mmの根を多数出します。葉は根生します。基部は花茎を抱き、披針状長楕円形で幅3~6cm、長さ15~30cmの薄い葉を2~3枚を出します。縦に5本の葉脈があり縮れます。茎の太さは3~5mm程で2~3個の小さな苞がつき、直立して高さ30~40cm。 花期は4月から6月頃。総状花序を出し、径2~3cmの花を8~15個、下垂させてつけます。花柄は長さ約16mm。花は左右相称のラン形花冠で、幅約20~33mm。萼片(外花被片)3個と花弁(内花被片)がそれぞれ3個あり、萼片3個と花弁の2個(側花弁)は暗褐色で先が尖ります。花弁中央は唇弁で、白色や薄紫紅色、長さ約6.5mmで深く3裂し、さらに中央の中裂片は浅く2裂、3本の隆起線があります。基部が袋状の距となり長さ5~10mm、入口部に雄しべと雌しべが合着した蕊柱(ずいちゅう)があります。 両性花。花粉は黄色で花粉塊となります。子房下位。果実は蒴果2)です。長さ3cm位の楕円形で6稜があり、熟すと稜の中央から縦に6個の裂目ができて種子を飛ばします。種子は菌根菌に依存する微小な線状の埃種子で多数あり、風によって散布されます。染色体数は、2n=40。 品種(forma=f.)に、アカエビネ(赤海老根)Calanthe f. rosea (Hatus.) Honda[萼片と側花弁が紫褐色で唇弁が淡紅色]、ダイダイエビネ(橙海老根)Calanthe f. rufoaurantiaca (Iwata) Honda[萼片と側花弁が黄褐色で唇弁が白色]、があります。 変種(varietas=ver.)に、カツウダケエビネ(嘉津宇岳海老根)Calanthe var. kanashiroi Fuk.[沖縄県に分布]、ハノジエビネ(八の字海老根)Calanthe var. divaricatipetala Ida[徳之島に分布]、があります。変種とされていた絶滅危惧IAのアマミエビネ(奄美海老根)Calanthe var. amamiana(Fuk.)Masam.[奄美大島および徳之島に分布]はsynonym(異名)とされ、Calanthe amamiana Fukuy.に変更3)されました。 ※乱獲によって自生種は激減しました。種子から花をつけるまでは5年を要すると推測されています。絶滅を防ぐために盗掘はやめましょう。また園芸用途では無菌培養による増殖が確立されていて、乱獲の減少につなげる努力もされています。(環境省RDB図鑑一覧による) 1)偽鱗茎(ぎりんけい):蘭の複数の茎の節間にできる栄養貯蔵組織。 2)蒴果(さくか):裂開果の一つで、熟すと果皮が割れて種子を出す果実。 3)米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList) ※以下の写真は、アカエビネ(赤海老根)です。 Japanese common name : Ebi-ne ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() エビネ(海老根) 別名:ジエビネ(地海老根) ラン科エビネ属 学名:Calanthe discolor Lindl. 花期:4月~6月 多年草 草丈:30~40cm 花径:2~3cm ![]() ![]() 【学名解説】 Calanthe : calos(美)+anthos(花)/エビネ属 discolor : dis(分離)+color(色)[異なる部分が二色の] Lindl.: John Lindley(1799-1865) --- f. : forma(品種) rosea : roseus(バラ色の・淡紅色の) Hatus. : 初島住彦 Sumihiko Hatusima (1906-2008) Honda : 本田正次 Masaji Honda (1897-1984) 撮影地:静岡県静岡市 安倍城跡(Alt. 435m) 2013.04.21 - 06.04(果実) - 09.06(裂開後果実) 2014.03.31(新芽) [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 6 September 2013, 6 April 2014 Last modified: 6 October 2017 ![]() ■
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| 2013-09-06 00:00
| 花
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バショウ(芭蕉)は、バショウ科バショウ属の多年草です。温帯地域を中心に自生分布しています。中国経由で日本に入ってきたと考えられていて、日本では、本州中部以南、四国、九州で観賞用として露地栽培されています。名の由来は、詳細不明です。中国でバナナを芭蕉と当て字し、日本では漢名を音読みしたもの。漢名の一説に、芭は葉の形状が腹ばいに横たわっている状態を表し、蕉は焦がすの意味で黒色を表しているとされています。語源として南方系の言語からとの説もあります。英名は、Japanese Fiber banana、Hardy banana。
バショウ科(Musaceae Juss. (1789))は、熱帯を中心に3属約50種が分布します。バショウ属(Musa L. (1753))は、約40~50種が分布します。 澱粉を含む塊状で宿根性の塊茎(Rhizome)があり、新しい塊茎を側生して繁殖します。茎は葉鞘(Sheath)が発達した偽茎(Pseudostem)で、径約20~25cm。中心部に花茎があり径約4cm、高さ2~5m程になります。偽茎から繊維を取り出し、芭蕉布(ばしょうふ/バシャギン)が作られます。 長さ1~3m、幅30~80cm程になる広楕円形の葉を互生してつけます。葉柄は30cm程、葉先は鈍頭です。主脈がU字形に深く湾曲して溝となり、裏面へと隆起します。強風にあおられると支脈に沿って裂けますが、風の抵抗を減らす為と考えられています。冬季に枯れ、3月後半頃から新葉を展開します。円筒形に巻いた葉を直立させた後、ほぐしながら左右に広げます。枯れると黒褐色となります。乾燥させた葉を、生薬「芭蕉」として用います。 花期は7~9月頃。葉心から果軸(Peduncle)を伸ばして下垂し、黄緑色の苞(Bract)をつけます。黄色で卵状形の苞を次々に開き、果軸の先に花穂を出して薄黄色で唇形の花冠をつけます。雌雄異花で雌性先熟(Protogyny)。自家受粉を避ける為、初めに雌花をつけ、時期を遅らせてから、雄花をつけます。 雌花花序は螺旋状につく果房(Cluster)の先端に出します。多くは不稔性で偽果ですが、希に結実して長さ6cm程の四稜があるバナナ状の果実を付けます。果実は液果(漿果)。種子は暗褐色。 果軸先端で苞を開き、雄花花序を段状に出します。花は筒状唇状で、雄しべは長さ約5cm。苞は径約8cm。染色体数は、2n=22(x=11)。 安倍城跡(Alt.435.2m)の西ヶ谷登り口付近に、何本かのバショウが植えられています。訪れた人はバナナだと思って実をつけるのを楽しみにしているようです。多分、実が成ったらよじ登って食べる気でいるからなのでしょう。ところが、いつの時期も実ったバナナを目にする事はありません。たまに実を付けても大変小さく、いつ大きくなるだろうと思って待っていても、そのままで終わってしまいます。このバナナは実を付けない駄目なバナナだと、ののしられる結果となります。・・・だから、バナナ(実芭蕉)ではないって。大変可哀想なバショウです。 参考:ミズバショウ(水芭蕉) 芭蕉の名が付けられているが異なる科属 Japanese common name : Bashou ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ある秋の日、このバショウのほとんどが切り倒されました。70歳代の地主に話を伺うと、このバショウは先代からあったようです。偽茎に鋸を半分ほど入れれば簡単に倒す事ができ、またすぐに生えてくると話してくれました。巨大な「草」が伸びてくるのを心待ちにしました。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() バショウ(芭蕉) バショウ科バショウ属 学名:Musa basjoo Siebold ex Iinuma 花期:7~9月 草丈:4~5m 多年草 雄しべ長:約5cm ![]() 【学名解説】 Musa : バナナのアラビア名(mawza)/ローマのアウグスト大帝の侍医Antonio Musaに因む/バショウ属 basjoo : バショウ Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866) ex : ~による Iinuma : 飯沼慾斎 Yokusai Iinuma (1782-1865) --- et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ) Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848) 撮影地:静岡県静岡市葵区 安倍城跡(Alt.435m) 2008.07.11 - 2013.06.04 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] Last modified: 30 March 2013 ![]() ■
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| 2013-03-30 00:00
| 花
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ミヤマキケマン(深山黄華鬘)は、ケシ科キケマン属の越年草です。本州(近畿地方以東)に分布する在来種です。名の由来は、フウロケマン(風露華鬘)1)の変種で山に生えるキケマン(黄華鬘)2)であることから。華鬘は、仏教で使われる透かし彫りの飾り。
APG体系、新エングラー体系ではケシ科(Papaveraceae Juss. (1789))に分類されます。北半球に43種820種が分布します。日本には7種20種、日本固有種は1属4種3変種があるとされています。クロンキスト体系では、ケマンソウ科(Fumariaceae Marquis (1820))に分類され、世界に約16属450種が分布します。キケマン属(Corydalis DC. (1805))は、世界に約200種、日本では約20種が分布します。 山地の林縁に自生します。茎は叢生し、斜上させて草丈20~45cmになります。褐色で無毛、軟弱で多汁質。折ると汁を出し、悪臭を放ちます。葉は、互生します。1~2回羽状複葉3)で、小葉は羽状に深く裂けます。ただし、発芽時の葉は切れ込みが深くはなく、褐色を帯びる事があります。 花期は4月から6月。茎の先に、長さ4~10cmの総状花序を出します。花序に8~30個ほどの花を付けます。花柄は長さ5~12mm。苞は広披針形。萼片は2個で小さい。花は、花弁4の筒状で黄色、長さ20~23mm。先端が唇状、後部に緩やかに屈曲した距があります。母種であるフウロケマンの距は長くて大きく屈曲します。花弁は外側に2個、内側に2個あります。外側花弁は上下にあり(上下弁)、花弁先端は緑色で、やがて褐色を帯びて反り返ります。内側花弁は側面にあり(側弁)、先端で外側花弁から出て合着します。両性花です。雄しべ2本で、平形の花糸先端が3裂して1本につき3個の葯をつけます。虫媒花です。 果実は蒴果です。弓なりになった線形で、長さ2~3cmの波打った数珠状。熟すと二裂して10前後の種子を出します。種子は1.5~1.7mmで小突起が多数あり、黒色。エライオソーム(Elaiosome)が付着していて、蟻によって運ばれます。 全草にアルカロイド4)を含む毒草です。主成分はプロトピン5)で、誤食によって、嘔吐、麻痺が起こります。食べてはいけません。また、茎を折ったりした時に悪臭がしますが、これを吸い込むと人によっては気持ちが悪くなったりします。臭いを強く吸い込んではいけません。 花の観察のために再訪すると跡形もなく消えているという事が時たまあります。里山では、キンラン(金襴)やササユリ(笹百合)がそれでした。ササユリの場合、翌年に見に行くと1本もありませんでした。それでも山頂に数本あり、誰かが添え木までしてくれてあったので楽しみは残りました。やがてつぼみを持ち開花という時期、山頂へあがって驚きました。掘り返した跡があり一つ残らず消えていました。よくよく見ると、イノシシが荒らし回ったようでした。これにはがっかりしました。 そして今年、ミヤマキケマンを撮り直そうと出かけたら、これも消えていました。一瞬、時期を間違えたかと思いました。登り口付近にたくさんあったのに、今は草ぼうぼうとして以前と比べて荒れ果てています。おかしいと思い、しばらく登って行きましたが見つからず、雨が降りそうな天候だったので、あきらめて下りました。小川を隔ててカモシカが、じっと動かずこちらを伺っていました。付近の山肌では伐採工事が行われて雰囲気が変わっていました。 いつも咲く花が今年も咲くという保証はありません。山の道でさえ、倒木1本で道筋が変わり、崩落して廃道となります。それでなくても人が入らなくなった山道は消えてしまいます。それを復活させるには並々ならぬ努力が必要となります。話を生物に戻せば、ありふれた人なつこいアホウドリしかり、トキしかり。例え人為的でなくても自然界は流動していることを実感させられました。失って初めて大切さが分かるものです。 ※ササユリは、少し離れた場所で咲きました。2012.06.13に確認、翌日、蕾を持つものも見つかりました。「お前達、よく生きていたな」と思いながら撮影しました。何となく、「山に生きる私たちは、そんなにヤワじゃないわ」と聞こえてくるようでした。 1)フウロケマン(風露華鬘):Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. pallida 2)キケマン(黄華鬘):Corydalis heterocarpa Siebold et Zucc. var. japonica (Franch. et Sav.) Ohwi 3)羽状複葉(うじょうふくよう):葉の軸から小葉が左右に鳥の羽のように並ぶ葉の形態。pinnate compound leaf。二回羽状複葉は、再複葉(decompound leaf)のひとつで、羽状複葉の小葉が羽状になっているもの。bipinnate compound leaf。 4)アルカロイド(alkaloid):窒素原子を分子内に含む塩基性成分の総称。植物毒のひとつで、薬用として用いられるものもある。 5)プロトピン(protopine):C20H19NO5 ミヤマキケマンの成分:protopine, capauridine, capaurimine, capaurine, l-tetrahydropalmatine(以上、フウロケマンと同じ), sanguinarine (金子・成戸 1970) 。 Japanese common name : Miyama-ki-keman ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ミヤマキケマン(深山黄華鬘) ケシ科キケマン属 学名:Corydalis pallida (Thunb.) Pers. var. tenuis Yatabe 花期:4月~6月 越年草 草丈:20~45cm 花冠長:20~23mm 花序長:4~10cm ![]() ![]() 【学名解説】 Corydalis : Korydallis(雲雀)/キケマン属 pallida : pallidus(淡白色の) Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828) Pers. : Christiaan Hendrik Persoon (1761-1836) var. : varietas(変種) tenuis : 軟質の Yatabe : 矢田部良吉 Ryokichi Yatabe (1851-1899) 撮影地:静岡県静岡市 高山(牛ヶ峰 Alt.716.9m) 2008.03.29 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 22 June 2012 Last modified: 9 April 2018 ![]() ■
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| 2012-06-16 00:00
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コアジサイ(小紫陽花)は、アジサイ科アジサイ属の落葉低木です。関東以西の本州から九州にかけて分布する日本固有種です。名の由来は、装飾花を持たない小型の花序を付けるアジサイである事から。アジサイは、古語で集真藍(あづさあい〉であって、青い小さな花が集まって咲くからと言われています。漢字表記の紫陽花は中国の別の花からとった当て字です。アジサイの中国名は、绣球(xiù qiú)。別名のシバアジサイ(柴紫陽花)は、山野の小雑木を表す柴を冠したアジサイとの意味から。
アジサイ科(Hydrangeaceae Dumort. (1829))は、北半球の温帯から亜熱帯に16属約190種があります。旧分類のユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、温帯から寒帯にかけて約17属500種があります。以前は約80属1200種が属する大きな科でしたが、近年に幾つかの科が分離され減少しました。アジサイ属(Hydrangea L. (1753))は、東アジアとアメリカに約40種が分布し、日本には約10数種が分布します。 山地の林内に自生します。落葉低木で、樹高100~150cmになります。枝は紫褐色で毛がまばらにあります。葉は、対生します。長さ1~4cmの葉柄があり、葉身は長さ4~8cm、幅3~5cmの広卵形。葉先4分の3~3分の2に大きめの鋸歯があり、先は鋭尖頭。葉の表裏に毛がまばらにあり、特に葉脈に沿って多くあります。 花期は6月から7月頃です。分岐した枝先に径5~8cm程の散房花序を出します。芳香があります。装飾花はありません。小花は径3~5mmで淡青色や白色[1]があります。花弁は5個で長楕円形。両性花です。雄しべは10本で長さ3mm、葯は乳白色。雌しべは3~4本。萼片は5個で裂片は卵状三角形。子房半上位。 果実は朔果です。残存花柱がある幅約2mmの球形で、花柱部分を含めると長さ約3mm。種子は淡褐色の長卵形で長さ約0.5mm。疣状少突起が縦に並びます。染色体数は、2n=36。 5月の終わり頃、里山へ入るとコアジサイが迎えてくれます。一面に咲いている場所もあり、甘い香りがあたりに漂います。初夏であることを香りで実感し、同時に過去のでき事も脳裏によみがえらせます。息を弾ませながら、汗を流して一歩一歩登る私をなごませてくれるのです。飾り気が無く、どこにでも咲いているありふれたアジサイの仲間ですが、私はコアジサイが一番好きです。 Japanese common name : Ko-ajisai ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() コアジサイ(小紫陽花) 別名:シバアジサイ(柴紫陽花) アジサイ科アジサイ属 学名:Hydrangea hirta (Thunb.) Siebold et Zucc. 花期:6月~7月 落葉低木 樹高:100~150cm 花径:5mm 果期:9~10月 ![]() 【学名解説】 Hydrangea : hydro(水)+angeion(容器)/アジサイ属 hirta : hirtus(短い剛毛のある) Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828) Siebold : Philipp Franz von Siebold (1796-1866) et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&に同じ) Zucc. : Joseph Gerhard Zuccarini (1797-1848) --- [1]シロバナコアジサイ(白花小紫陽花) 学名:Hydrangea hirta (Thunb.) Siebold et Zucc. f. albiflora (Honda) Okuyama --- f. : forma(品種) albiflora : albiflorus(白花の) Honda : 本田正次 Masaji Honda (1897-1984) Okuyama : 奥山春季 Shunki Okuyama (1909-1998) --- Hydrangeaceae : Hydrangea|hydro(水)+angeion(容器)/アジサイ科 Dumort. : Barthelemy Charles Joseph Dumortier (1797-1878) Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836) 撮影地:静岡県静岡市 安倍城跡(Alt.435m) 2008.05.20, 2012.05.30, 2012.06.08, 2018.02.14 牛ヶ峰(Alt.717m) 2008.05.28, 2008.06.06 ダイラボウ(Alt.561m) 2010.06.02 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 9 May 2012, 13 June 2012, 11 December 2015 Last modified: 17 February 2018 ![]() ■
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by pianix
| 2012-06-09 00:00
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ユキノシタ(雪の下)は、ユキノシタ科ユキノシタ属の多年草です。日本、中国に分布し、日本では本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、冬の雪下で枯れずに残るからとか、白い花を雪に見立てて下に葉があるから(牧野富太郎)等の諸説があります。中国名の虎耳草(こじそう)は、葉が虎の耳に似ている事から。
ユキノシタ科(Saxifragaceae Juss. (1789))は、温帯から寒帯にかけて約17属500種があります。ユキノシタ属(Saxifraga L. (1753))は、北半球に約300種が分布し、日本には16種が分布します。日本固有種は6種1)があります。 山地の半日陰や岩場などで自生します。また、民間薬や山菜として用いられてきた事もあり、植栽も多くみられます。紅紫色で糸状の長い匍匐枝2)を出し、栄養繁殖します。草丈は20~50cm。茎、葉、萼の全体に毛が密生しています。葉は根生します。腎円形で、浅い鋸歯があり、基部は心形で、長さ3~6cm、幅3~9cm。5~13cmの長い葉柄があります。アントシアン色素による赤味を帯びた緑色で、葉脈に沿って白色の筋があります。葉裏は赤紫色。 花期は、5月から7月頃。花茎の先に円錐状集散花序をつけます。花は白色で、左右相称の離弁花です。花弁は5枚。上側3枚は卵形で先端が尖り、長さ3.5~5.5mm。紅色の斑点があり、基部には黄色の斑点があります。下側2枚は白色の披針形で、長さ12~20mm、幅4~8mm。花冠全体は、長さ20~28mm、幅15~25mm。萼は5裂し、腺毛があります。 両性花です。雄しべは10本で、葯色は紅色。花弁に沿って放射状に平開し、やがて前方に立ち上がり花粉を放出します。その後、元の位置に戻ります。雌しべ花柱は2本。雄しべ基部に子房を覆う黄色の花盤(蜜腺)が半円状にあります。 果実は蒴果です。先端が2裂した、くちばし状で長さ約4mm。種子は0.5mm程の広卵形で、細かい突起があります。染色体数は、2n=30(Ma et al.,1990)、2n=30,36,54。 漢方薬として、乾燥葉を虎耳草(こじそう)として用います。民間薬として、解熱、鎮咳、消炎、解毒、利尿、止血等の広範囲に用いられてきました。主要成分は、硝酸カリウム(potassium nitrate)、塩化カリウム(potassium chloride)、ベルゲニン(Bergenin)。硝酸カリウムは毒性が強い食品添加物として知られています。山菜として、葉を天ぷらなどにします。 1)日本の固有種 エゾノクモマグサ(蝦夷の雲間草)Saxifraga nishidae Miyabe et Kudô エチゼンダイモンジソウ(越前大文字草)Saxifraga acerifolia Wakabayashi et Satomi ハルユキノシタ(春雪の下)Saxifraga nipponica Makino フキユキノシタ(蕗雪の下)Micranthes japonica (H.Boissieu) S.Akiyama et H.Ohba ジンジソウ(人字草)Saxifraga cortusaefolia Siebold et Zucc. センダイソウ(仙台草)Saxifraga sendaica Maxim. 2)匍匐枝(ほふくし):主茎基部から地上近くを水平に這って伸びる茎で、植物体になる芽をつけるもの。栄養繁殖集合体を形成して栄養繁殖する。(匍匐茎:ほふくけい|stolon)。 Japanese common name : Yuki-no-sita ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ユキノシタ(雪の下) 学名:Saxifraga stolonifera Curtis ユキノシタ科ユキノシタ属 花期:5月~7月 多年草 草丈:20~50cm 花冠長:20~28mm ![]() ![]() ![]() ![]() 【学名解説】 Saxifraga : saxum(石)+ frangere(砕く)/ユキノシタ属 stolonifera : stolonifer(匍枝を持った) Curtis : William Curtis (1746-1799) --- Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836) L. : Carl von Linne (1707-1778) 撮影地:静岡県静岡市 葵区牧ヶ谷(Alt. 34m) 2008.05.27 高山(牛ヶ峰 Alt.716.9m) 2008.05.28 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] 30 March 2012 Last modified: 20 November 2016 ![]() ■
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by pianix
| 2012-03-30 00:00
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マルミノヤマゴボウ(丸実の山牛蒡)は、ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属の多年草です。日本、台湾、中国等に分布し、日本では関東以西から四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、ヤマゴボウ(山牛蒡 Phytolacca acinosa Roxb.)に対して、分果を作らない球果(丸い実)である事から。
ヤマゴボウ科(Phytolaccaceae R.Br. (1818))は、世界に22属120種が分布し、日本にはヤマゴボウ属の1属があります。ヤマゴボウ属(Phytolacca L. (1753))は、熱帯・亜熱帯に約35種が分布します。日本には2種1)が自生し、1種2)が帰化しています。 山地の林縁に自生します。根は太く塊根状。茎は丸く緑色で、100~150cmに直立します。葉は互生します。長い柄があり、長さ10~15cm、幅5~10cmの長楕円形から卵状長楕円形で、全縁、鋭尖頭、無毛。 花期は6月から9月。円錐花序を直立してつけます。ヨウシュヤマゴボウと異なり、花序は果期にも下垂しません。花序長は10~20cm。花茎は薄緑で、果期には濃紅色になります。1~3cmの柄の先に花を多数付けます。花は花弁はなく5個の萼片のみで、径約8mm。白から淡紅色で、やがて濃紅色になります。両性花。心皮3)は7~10個で合生(ヤマゴボウは離生)します。葯色は白色です。 果実は液果です。多心皮の雌しべ7~10個が合着した扁平な球形で、径約8mm。熟すと黒紫色になります。種子は約3mmの腎臓形で光沢がある黒色、同心円状の細い横条線があります。染色体数は、2n=72。 生薬名をショウリク(商陸)と言い、民間療法で乾燥根を利尿に用います。根には硝酸カリウム(potassium nitrate / KNO3)が含まれます。 1)日本のヤマゴボウ属 ヤマゴボウ(山牛蒡) Phytolacca acinosa Roxb. synonym : Phytolacca esculenta Van Houtte マルミノヤマゴボウ(丸実の山牛蒡) Phytolacca japonica Makino 2)日本に帰化したヤマゴボウ属 ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡) Phytolacca americana L. 3)心皮 (carpel):雌しべ(pistil)を構成する特殊な葉。複数の雌しべの集合体。 多心皮の雌しべ:不特定多数の心皮で作られる 参考:ゴボウ(牛蒡) Japanese common name : Marumino-yamagobou ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() マルミノヤマゴボウ(丸実の山牛蒡) ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属 学名:Phytolacca japonica Makino 花期:6月~9月 多年草 草丈:100~150cm 花径:約8mm ![]() ![]() 【学名解説】 Phytolacca : phyton(植物)+lacca(深紅色の顔料)/ヤマゴボウ属 japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)] Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957) 撮影地:静岡県静岡市 高山(牛ヶ峰 Alt.716.9m) 2008.05.28, 2008.07.22, 2008.08.08 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN] Last modified: 17 March 2012 ![]() ■
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by pianix
| 2012-03-17 00:00
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ヤブミョウガ(藪茗荷)は、ツユクサ科ヤブミョウガ属の多年草です。日本、中国、朝鮮、台湾、インドシナに分布します。日本では、関東以西に分布する在来種です。名の由来は、藪に生え、葉が茗荷に似ている事から。茗荷の名は付いてもショウガ科ではなくツユクサ科で、葉の付き方も2列互生ではありません。
ツユクサ科(Commelinaceae Mirb. (1804))は、熱帯から温帯にかけて約40属650種が分布し、日本には4属が分布します。ヤブミョウガ属(Pollia Thunberg (1781))は、約26種があり、日本には約8種が分布します。 山地の林縁に自生します。白色で細い地下茎を伸ばして栄養繁殖し、細毛がある茎を50~90cmに立ち上げます。茎の中間に葉を密生して互生します。葉表は細毛がありざらつきます。基部は鞘状で茎を巻き、狭長楕円形で、長さ15~30cm、幅3~7cm、鋭尖頭。 花期は8月から9月。茎の先に20~30cmの円錐花序を付けます。5~6段の輪生状に枝を出して花を付け、下部から咲かせます。一枝の先に10前後の花を順に咲かせていきます。花弁は白色の倒卵円形で、花の径は7~10mm。萼片3個、花被片3個。 同じ株に両性花と雄性花が混在します。両性花は花柱が長く、雄性花は雌しべが退化して短く、子房も退化、雌しべよりも長い6個の雄しべがあります。葯色は黄色。一日花です。子房上位。果実は液果です。5~6mmの球形で黒紫色。種子は、長さ1.5~2.5mmの不定多角形でイボ状突起があります。染色体数は、2n=32,40。 その他に同じ属で南方系の、鹿児島県以南に分布しヤブミョウガよりも小型の、コヤブミョウガ(小藪茗荷) Pollia miranda (H.Lev.) H.Hara、石垣島に分布し絶滅危惧II類のザルゾコミョウガ(ナンゴクヤブミョウガ) Pollia secundiflora (Blume) Bakh.f. があります。 染色体核型: K=2n=32=4Am+4Bsm+4Cm+4Dm+4Esm+4Fsm+4Gst+4Hm K=2n=40=4Asm1+2csAsm2+4Ast3+6Bsm1+2Bst2+2Csm1+6Cm2+10Dsm1+2tDm2+2Dm3 [Karyological Studies in Commelinaceae II, Hirosumi FUJISHIMA] 参考:ハナミョウガ(花茗荷) Japanese common name : Yabu-Myouga ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ヤブミョウガ(藪茗荷) ツユクサ科ヤブミョウガ属 学名:Pollia japonica Thunb. 花期:8月~9月 多年草 草丈:50~90cm 花径:7~10mm 花序長:20~30cm ![]() 【学名解説】 Pollia : Jan van der Poll (1726-1781)に因む/ヤブミョウガ属 japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)] Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828) 撮影地:静岡県静岡市 内牧川(安倍川水系) 2006.08.22, 2007.07.31 安倍川/河口から12.50km 左岸土手 2007.07.03, 2007.09.18 賤機山 2009.08.12, 2011.08.08 徳願寺山 2011.08.12 [Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture] Last modified: 03 March 2012 ![]() ■
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by pianix
| 2012-03-03 00:00
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Introduction
「草花と自然Blog」へお越し下さってありがとうございます。このブログは2005年8月1日に開始しました。
【筆者プロフィール】 自然体験活動指導者 静岡県環境学習指導員 ◆このブログは、「草花と自然」の観察記録余話として作成しています。「草花と自然」では、静岡市安倍川に限定した野草観察記録を年間を通して記載しています。その間に撮りためた園芸種を含めた花などを、ここに記載する事にしました。従って「草花と自然」に掲載しなかった花が含まれています。 ◆対象は中学生位です。専門的なことをなるべく排除して、さらに必要な知識を得るための基礎となる内容を心がけています。少しでも生物についての興味を持って頂けるきっかけになったら幸いです。 ◆私の趣味は、アマチュア無線・競歩等です。興味のあるものは、天文学・理論物理学等です。残念ながら花には深い思い入れがありません。名前を覚えるのが苦手なので、せめて目にした野草の名前の幾つかを覚えようと観察を始めました。もっとも、聖書に書かれている「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。」(マタイ 6:28-30抜粋・新共同訳)に触発されたのが根底にあります。 【検索する】 和名はカタカナ表記です。漢字で検索しないほうが良好な結果が得られます。 【写真を拡大する】 写真をクリックすると拡大されます。その写真をクリックすると元に戻ります。ブラウザの設定によっては動作しません。 【コメントする】 記事タイトルをクリックすると「コメントする」ボタンが最下部に現れます。パスワードは削除する時に必要なものです。投稿者のあなたが決めて下さい。 【トラックバックする】 承認制としさせて頂いていますので、確認後に有効にさせていただきます。問い合わせの必要はありません。 【間違いの指摘】 コメント欄の「非公開コメント」にチェックを入れて書き込んで頂ければありがたいです。 【注意】 民間療法、生薬などは、使い方を誤ると重大な結果を招きます。知識無く利用する事は危険です。専門家の指導無しに利用する事は避けてください。 その他 Masami Saito All Rights Reserved ・このブログに掲載されている写真・画像・イラスト・文章を無断で使用することを禁じます。 ・写真にリンクを貼ることは固くお断りします。 ・当Blogの著作権は齊藤正巳に帰属します。 ・当Blogを利用することで生じる損害その他一切の不利益について、作者は責任を負いません。 ・種子等の配布は行っていません。問い合せされてもお応えできません。 問い合わせ 静岡県の推計人口 総数3,666,457人 (前月比-2,176人) 男1,805,689(-1,100) 女1,860,768(-1,076) 関連情報Webサイト 静岡県公式ホームページ →環境局 →環境ふれあい課 静岡市HP →スポーツ振興課 静岡県立大学 →薬草園 →環境科学研究所 最新のコメント
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