カテゴリ:花( 365 )
ハナミョウガ(花茗荷)
 ハナミョウガ(花茗荷)は、ショウガ科ハナミョウガ属の多年草です。中国、台湾、日本に分布します。日本では、関東以西から九州に分布する在来種です。名の由来は、葉が茗荷に似て目立つ花を咲かせる事から。

 ショウガ科(Zingiberaceae Martinov (1820))は、熱帯から亜熱帯にかけて約47属1400種が分布します。ハナミョウガ属(Alpinia Roxburgh (1810))は、東アジアから太平洋諸島にかけて約250種が分布します。

 山地の林縁に自生します。根茎から叢生1)し、細毛のある緑色の偽茎2)を40~60cmに斜上させます。葉は広披針形で、長さ15~40cm、幅5~8cm。葉表は無毛、裏面は短毛が密生します。花期は5月から6月頃です。偽茎の先に穂状花序3)を出します。花序は10~15cmで、多数の蘭に似た唇弁花を付けます。花弁の長さは約25mm。先端が3裂する唇弁は白地に赤い縞模様が入ります。萼(外花被)は白色の筒状で先端が赤くなります。

 雌雄異熟の両性花です。中裂片の内側に雄しべ1、雌しべ1が立ち上がります。雄性先熟で花柱の位置運動が行われます。子房下位。果実は蒴果4)です。はじめは緑色で熟すと赤色。広楕円形で、長さ12~18mm。細毛があり、残存萼5)が先端にあります。種子は白い仮種皮に包まれ、4~5mm。染色体数は、2n=48。

 生薬名は伊豆縮砂(いずしゅくしゃ)で、芳香性健胃薬として用いられます。乾燥種子を粉末にした物です。外国産の縮砂(日本薬局方収載生薬)Amomum xanthioides Wallichの代用品として用いられてきました。縮砂の主要成分は、d-camphor、d-borneol、bornylacetate、linalool、 nerolidol、liquiritin、glucovanillic acid等で、漢方薬の「安中散」等に配合されています。

 品種に、果実が黄色の、キミノハナミョウガ(黄実の花茗荷)Alpinia japonica (Thunb.) Miq. f. xanthocarpa Yamasiro et M.Maeda があります。

◎  ◎  ◎

 冬の里山などで「この赤い実は何?」と良く聞かれます。赤い実を付ける植物は結構多く、目立つからです。しかし、ハナミョウガは多くの方が名を知らないようです。特に花を見た事がないと言われる方が圧倒的です。暖地の山地では、ありふれた植物の一つです。

1) 叢生(そうせい):=束生(そくせい)。群がって束になって生える事。
2) 偽茎(ぎけい): 地下茎から出た多数の葉鞘(葉の基部で茎を取り巻いている部分)が重なり茎に見えるもの。
3) 穂状花序(すいじょうかじょ):花序軸に柄のない花が並ぶ形状。
4) 蒴果(さくか):裂開果の一つで、果実が成熟すると心皮と同数の裂片に裂けて種子を散布するもの。
5) 残存萼(ざんぞんがく):果実になる時期にも残る萼。

参考:ヤブミョウガ(藪茗荷)

Japanese common name : Hana-myouga
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Alpinia japonica (Thunb.) Miq.

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左:膜質の苞(左)に包まれていた穂状花序。右:白色で紅色の条がある唇弁花

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左:葉表 右:葉裏は短毛が密生する

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左:葉と花 右:地下茎と叢生する偽茎
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果実

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果実は鳥などに食べられる
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左にある突起が残存萼の一部
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種子は白い仮種皮に包まれている
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一個の果実に含まれていた種子


ハナミョウガ(花茗荷)
ショウガ科ハナミョウガ属
学名:Alpinia japonica (Thunb.) Miq.
花期5月~6月 多年草 草丈:40~60cm 花冠長:約2.5cm 花序長:10~15cm

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【学名解説】
Alpinia : Prospero Alpinio (1553-1617)に因む/ハナミョウガ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Alt.226m) 2007.06.04(花)
安倍城跡(Alt.435m) 2008.05.20(蕾)/2008.06.07(花)/2012.02.21(実)/2012.02.24(根)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

Last modified: 26 February 2012
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by pianix | 2012-02-26 00:00 | | Trackback | Comments(2)
センブリ(千振)
 センブリ(千振)は、リンドウ科センブリ属の二年草です。日本、中国、朝鮮半島に分布し、日本では北海道、本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、千回振り出し(=煎じ)ても苦みが残ると言われる事から。三大民間薬1)の一つです。

 リンドウ科(Gentianaceae Juss. (1789))は、世界に約80属1000種が分布し、日本には10属約30種が分布します。センブリ属(Swertia L. (1753))は、世界に約80種、日本には9種あります。

 日当たりの良い山野に自生します。根は黄褐色の毛状根。1年目は根生葉を車輪状に出し、2年目に茎を立ち上げます。茎は紫褐色で直立し、4稜(四角)で径1~2mm。草丈15~20cmになり、上部で分岐します。葉は対生します。線状披針形で、幅2.5mm、長さ10~42mmの全縁、尖頭、無柄。

 花期は8月から11月頃。茎先や葉腋から緑色の長柄を出し、先端に花をつけて円錐花序を形成します。花冠は白色で紫色の条線が入った4~5深裂の合弁花。裂片は狭長楕円形で長さ10~15mm。萼は裂片数と同数で線形。裂片基部に楕円形の蜜腺2個と白い線毛があります。雄しべは5本。果実は蒴果です。披針形で、2裂して種子を出します。種子は径約0.4mmで多数。染色体数は、2n=18,20,24。

 生薬名は当薬(とうやく)で、苦味(くみ)配糖体であるスウェルチアマリン等2)を有する苦味健胃剤(食欲増進、胃液分泌促進等)として用いられます。

1) 三大民間薬:
ドクダミ(毒溜)Houttuynia cordata Thunb.
 日本薬局方「ジュウヤク」(十薬)
センブリ(千振)Swertia japonica (Schult.) Makino
 日本薬局方「センブリ」(当薬)
ゲンノショウコ(現の証拠)Geranium thunbergii Siebold ex Lindl. et Paxton
 日本薬局方「ゲンノショウコ」

2) 含有成分(Swertiae Herba):
スウェルチアマリン(Swertiamarin)、スウェロシド(Sweroside)、アマロゲンチン(Amarogentin)、ゲンチオピクロシド(Gentiopicroside)、ベリジホリン(Bellidifolin)

類似種:
ムラサキセンブリ(紫千振)
Swertia pseudochinensis H.Hara 《準絶滅危惧(NT)》
イヌセンブリ(犬千振)
Swertia tosaensis Makino 《絶滅危惧Ⅱ類(VU)》
(Swertia diluta (Turcz.) Benth. et Hook.f. var. tosaensis (Makino) H.Hara)

Japanese common name : Sen-buri
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Swertia japonica (Schult.) Makino

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花冠は合弁花で、裏は紫色を帯び、内側は紫色の条線がある。葉は細く、対生する。

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左:雄しべ5。 右:乾燥した花冠(2012.02.07)。果実は蒴果で2裂する。


センブリ(千振)
リンドウ科センブリ属
学名:Swertia japonica (Schult.) Makino
花期:8月~11月 2年草 草丈:15~20cm 花径:2~3cm

【学名解説】
Swertia : Emanuel Sweert (1552-1612)*に因む/センブリ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Schult. : Josef (Joseph) August Schultes (1773-1831)
Makino : 牧野富太郎 Tomitaro Makino (1862-1957)
*オランダの園芸家、画家

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撮影地:静岡県静岡市
ダイラボウ(Alt.560.8m) 2011.10.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 09 February 2012
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by pianix | 2012-02-09 00:00 | | Trackback | Comments(0)
カナビキソウ(鉄引草)
 カナビキソウ(鉄引草)は、ビャクダン科カナビキソウ属の多年草で、半寄生植物です。半寄生植物は、自ら光合成を行いながら他の植物から養分を吸収します。シベリア、中国、朝鮮半島、日本に分布します。国内では、北海道南部から沖縄にかけて分布する在来種です。名の由来は、不明です。中国名は、百蕊草(ヒャクズイソウ[bǎi ruǐ cǎo])。

 ビャクダン科(Santalaceae R.Brown, 1810)は、世界に約35属400種(APG分類体系では45属約1000種)があり、半寄生植物。日本には2属[1]が分布します。カナビキソウ属(Thesium L. (1753))は、日本にはカナビキソウ、カマヤリソウ(鎌槍草)の2種が分布します。

 田畑や土手、日当たりの良い荒れ地に自生します。細い寄生根(parasitic root)があり、宿主に半寄生して養分を吸い取ります。茎は細く稜があり無毛、緑色で、やや粉白色を帯びます。下部で分枝し、草丈は10~25cmになります。葉は互生します。短い葉柄があり、全縁、鋭頭で長さ2~5cm、幅1~3mmの線形。葉緑素を持ち光合成をします。

 花期は4月から6月。葉腋に4mm程の短い花柄を出し、花を単生します。筒状花で、萼先端が4~5中裂し、先が尖ります。萼は外側が淡緑色、内側が白色。萼裂片が花弁の様に見えます。花径は4~6mm。小苞は萼の下に付き、線形披針形で2枚、長さ3~4mm。両性花で、雄しべは萼裂片と同数の4~5本。裂片の基部に付き、葯色は黄色。子房下位。果実は楕円状壺形で、長さ2~2.5mm、くちばし状の閉じた萼裂片(宿存萼)が先端に付きます。熟すと網状の脈が現れ、種子1個を出します。

 本種は、ツチカメムシ科シロヘリツチカメムシCanthophorus niveimarginatus (Scott, 1874)の食草として知られています。

[1]日本に分布するビャクダン科の2属3種
カナビキソウ属:
 カナビキソウ(鉄引草)Thesium chinense Turcz.
 カマヤリソウ(鎌槍草)Thesium refractum C.A.Mey.
ツクバネ属:
 ツクバネ(衝羽根)Buckleya lanceolata (Siebold et Zucc.) Miq.

Japanese common name : Kanabiki-sou
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Thesium chinense Turcz.

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左:葉腋に花が単生。花径4~6mm。右:先端が5裂した萼片。雄しべは萼裂片と同数。

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左:萼は外側が淡緑色、内側先端が白色。花下に2枚の小苞。右:宿存萼が付く果実。


カナビキソウ(鉄引草)
ビャクダン科カナビキソウ属
学名:Thesium chinense Turcz.
花期:4月~6月 多年草(半寄生) 草丈:10~25cm 花径:4~6mm

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【学名解説】
Thesium : theseion(ギリシャのヘファイストス神殿)に由来する/カナビキソウ属
chinense : chinensis(中国の)
Turcz. : Porphir Kiril Nicolas Stepanovich Turczaninow (1796-1864)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から11~13.5km、左岸土手 2005.04.15, 2006.04.20-21, 2009.04.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

Last modified: 27 September 2011
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by pianix | 2011-09-27 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヤブレガサ(破れ傘)
 ヤブレガサ(破れ傘)は、キク科ヤブレガサ属の多年草です。朝鮮半島と日本に分布し、国内では本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、芽吹きの時、白絹毛に覆われた葉の形状が破れた傘のように見える事から。英名は、Palmate Shredded Umbrella Plant。中国名は、兎児傘(トジサン|兔儿伞[tùérsăn])。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布し、日本には約70属360種があります。ヤブレガサ属(Syneilesis Maximowicz, 1859)は、東アジアに5種、日本には3種2変種(内、絶滅1)1)が分布します。

 山地の林内に自生します。双子葉植物2)ですが子葉(根出葉)は1枚であることが特徴です。芽出の若葉は白絹毛に覆われ、傘をつぼめた状態で、草丈は10cm内外。この時期の葉は、山菜として用いられることがあります。やがてを傘を広げるように展開します。花茎は分岐せずに直立して50~120cmになります。葉は互生します。柄の先に茎葉を2~3枚つけます。下部の葉の基部は茎を取り巻き合着します。葉は掌状に7~9深裂(掌状深裂3))し、欠刻や粗い鋸歯があり、無毛。円形に平開して30~50cmになります。

 花期は7~8月。茎の先に円錐花序を出し、小花が7~13個集まる頭花を多数つけます。小花は、花冠が5裂する管状花(筒状花)4)のみで構成され、舌状花はありません。花色は白色か薄紅色をおび、頭花径は8~10mm。両性花です。小花を束ねる総苞は、筒状で長さ9~10mm、薄緑白色。総苞片は5枚で、内側に冠毛があります。雄しべは茶褐色の鞘状で花粉は黄色。雌しべ柱頭は白色で先端が2裂し、外側に反り返って巻きます。果実は約4mmで、約7mmの冠毛が付きます。染色体数は、2n=52。

 タケウチケブカミバエ(竹内毛深実蠅 Paratephritis takeuchii Ito. 1950)に寄生され、紡錘状に肥大した虫コブを葉柄基部に付ける事があります。ヤブレガサクキフクレズイフシ(破れ傘茎膨れ髄節)と呼ばれています。

 よく似た種に、葉が紅葉状に裂け円錐花序に頭花を付ける、キク科コウモリソウ(蝙蝠草)属のモミジガサ(紅葉傘)Parasenecio delphiniifolius (Siebold et Zucc.) H.Koyamaがあります。また、モミジガサに酷似した種に、葉裏の葉脈が網目状になる、テバコモミジガサ(手箱紅葉傘)Parasenecio tebakoensis (Makino) H.Koyama(synonym : Cacalia delphiniifolia Siebold et Zucc.)があります。

【食べてみました】
静岡市では山菜として食される習慣がありません。そこでどんな味か試す事にしました。まだ葉が広がっていない、白絹毛に覆われた芽出の若葉を見つけて、茎の下部から折り採取しました。これを1時間ほど水に浸してから天ぷらにしました。天ぷらにすると苦みなどが感じられず、春の山菜としてはインパクトがない味になりました。苦みを味わいたい人は、おひたしにすると良いかもしれません。(2013年3月記)

1) 国内のヤブレガサ属3種
・ホソバヤブレガサ(細葉破れ傘)Syneilesis aconitifolia (Bunge) Maxim.
 (変種)タンバヤブレガサ(丹波破れ傘)Syneilesis aconitifolia (Bunge) Maxim. var. longilepis Kitam.(絶滅(EX))
・ヤブレガサ(破れ傘))Syneilesis palmata (Thunb.) Maxim.
・ヤブレガサモドキ(破れ傘擬き)Syneilesis tagawae (Kitam.) Kitam.
 (変種)ヒロハヤブレガサモドキ(広葉破れ傘擬き)Syneilesis tagawae (Kitam.) Kitam. var. latifolia H.Koyama
2) 双子葉植物:子葉が2枚である種子植物。例外として子葉が1枚であるセツブンソウ(節分草)、ニリンソウ(二輪草)、コマクサ(駒草)、ヤブレガサ等がある。
3) 掌状裂(しょうじょうれつ)は、掌状脈を持った葉が手のひら状に裂けるもので、切れ込みの浅いものから順に、掌状浅裂(~せんれつ)、掌状中裂(~ちゅうれつ)、掌状全裂(~ぜんれつ)、掌状深裂(~しんれつ[palmatipartite])に分類される。
4) 管状花(かんじょうか)[tubular corolla]:合弁花の一つで、花びらが管状になるもの。筒状花(とうじょうか)と同じ。

Japanese common name : Yaburegasa
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Syneilesis palmata (Thunb.) Maxim.

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若葉は白絹毛に覆われている。2007.04.06

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茎を徒長させながら葉が展開する頃、白絹毛は無くなってくる。2007.03.21

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左:花期。2008.07.11 左:蝶が介在している。

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花冠が5裂する管状花で、雌しべ柱頭は先端が2裂し、外側に反り返って巻く

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左:花の終わり。2008.07.29 右:2011.09.14

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冠毛が目立つようになった頭花。頭花は管状花の集まり。2011.09.14
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ヤブレガサクキフクレズイフシ(破れ傘茎膨れ髄節)
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モミジガサ(紅葉傘)
Parasenecio delphiniifolius (Siebold et Zucc.) H.Koyama


ヤブレガサ(破れ傘)
キク科ヤブレガサ属
学名:Syneilesis palmata (Thunb.) Maxim.
synonym : Cacalia thunbergii Nakai
花期:7月~8月 多年草 草丈:50~120cm 花径:8~10mm

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【学名解説】
Syneilesis : 合着して巻いた子葉を持つの意/ヤブレガサ属
palmata : palmatus(掌状の)
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Maxim. : Carl Johann Maximowicz (1827-1891)
---
Parasenecio : para(異なった)+senex(老人)/コウモリソウ属
delphiniifolius : delphinii+folius(オオヒエンソウ属(Delphinium)のような葉の)
H.Koyama : 小山博滋 Hiroshige Koyama (1937- )

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Alt.226) 2007.03.21
安倍城跡(Alt.435m) 2008.07.11, 2008.7.29, 2011.09.14(モミジガサ)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

Last modified: 29 March 2013
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by pianix | 2011-09-16 00:00 | | Trackback | Comments(2)
スズメノヤリ(雀の槍)
 スズメノヤリ(雀の槍)は、イグサ科スズメノヤリ属の多年草です。日本から東南アジア、東シベリアにかけて分布します。日本では全国に分布する在来種です。名の由来は、頭花の形状が大名行列で使われた毛槍に似る事から。毛槍は、先端に鳥毛の飾りをつけた儀仗用の槍で、大名行列の先頭などで振り歩く時に使われました。スズメは、小さなという意味。中国名は、地杨梅(di yáng méi)

 イグサ科(Juncaceae Juss. (1789))は、世界の寒帯から温帯に、7属約430種類が分布します。スズメノヤリ属(Luzula DC. (1805))は、世界の温帯から亜寒帯にかけて約80種が分布し、日本には約10種があります。

 日当たりの良い草地に生育します。地下茎は小さな塊状。この事からシバイモ(芝薯)の別名を持ちます。スズメノヒエ(雀の稗)はイネ科に異種同名があるため混同される恐れがあります。茎は1mm程で細く、叢生1)して草丈10~30cmになります。葉は根生葉で、長さ7~15cm、幅2~3mmの線形で扁平、葉の縁に白色の長軟毛が多生します。花茎に茎葉が2~3枚付きます。

 花期は、4月から5月頃。茎頂に赤褐色で卵球形の頭花を1個、まれに2~3個つけます。花被片は6枚あり、長さ2.5~3mmの長楕円状披針形で全縁、紫褐色。両性花で雌雄異熟花の雌性先熟2)です。雌しべは線形で、花柱先端を3裂させて柱頭となります。雄しべは6個で、短い花糸の先に2mm程の線状長楕円形で黄色の葯をつけます。風媒花。

 果実は朔果です。褐色をした倒卵形で花被片と同長の2.5~3mm。約1mmの種子が3個入っていて、白色の種沈(caruncle)が基部に付いています。この種沈はエライオソーム(Elaiosome)で、蟻を誘因する化学物質(脂肪酸、アミノ酸、糖)からなり、蟻によって運ばれて食べられ、残った種子が発芽する事で生息域を広げます。染色体(分散型動原体3))数は、2n=12。

 スズメノケヤリ(雀の毛槍)は、ワタスゲ(綿菅)4)の別名で本種とは異なります。よく似た種に、ヤマスズメノヒエ(山雀の稗)5)があり、近縁種として、オカスズメノヒエ(丘雀の稗)6)、ヌカボシソウ(糠星草)7)等があります。

脚注:
1)叢生(そうせい|簇生):群がり生えること。
2)雌性先熟 : 雌しべが先に熟して受粉し(雌性期)、後で雄しべが花粉の散布を行う(雄性期)。
3)高等真核生物の場合は通常、各染色体に1つずつ1次狭窄の位置に動原体をもっているが、次狭窄が存在せず、染色体全体が動原体として機能するものを分散型動原体(diffuse centromere)と言う。植物では、スゲ属、カヤツリグサ属、スズメノヤリ属、モウセンゴケ属、動物ではチョウやガ、カメムシにある。
4)ワタスゲ(綿菅) : カヤツリグサ科ワタスゲ属
学名 : Eriophorum vaginatum L. subsp. fauriei (E.G.Camus) Á.Löve et D.Löve
5)ヤマスズメノヒエ(山雀の稗)Luzula multiflora Lej.
6)オカスズメノヒエ(丘雀の稗)Luzula pallidula Kirschner
7)ヌカボシソウ(糠星草)Luzula plumosa E.Mey.

Japanese common name : Suzume-no-yari
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Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom.
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日当たりの良い草地に叢生する。葉の縁の長い白毛が目立つ。2011.03.27

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雌性期。花被片の隙間から雌しべを出す。

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雄性期の始まり頃。花被片を広げて葯が伸びてくる。

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左:茎葉は2~3枚で茎を抱く。右:雌しべは細く柱頭は3裂。雄しべは太い黄色。

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果実は朔果。

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約1mmの種子が3個入っていて、白色の種沈(caruncle)が基部に付く。

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根生葉は、長さ7~15cm、幅2~3mmの線形。根はごく細い。


スズメノヤリ(雀の槍)
別名:シバイモ(芝薯)/スズメノヒエ(雀の稗)
イグサ科スズメノヤリ属
学名:Luzula capitata (Miq.) Miq. ex Kom.
花期:4月~5月 多年草 草丈:10~30cm 頭花径:8~13mm 花径:4mm

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【学名解説】
Luzula : lux(光)縮小形/スズメノヤリ属
capitata : capitatus(頭状の・頭状花序の)
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
ex : ~による
Kom. : Vladimir Leontjevich Komarov (1869-1945)
---
Juss. : Antoine Laurent de Jussieu (1748-1836)
DC. : Augustin Pyramus de Candolle (1778-1841)
---
ワタスゲ(綿菅)
Eriophorum vaginatum L. subsp. fauriei (E.G.Camus) Á.Löve et D.Löve
Eriophorum : erion(軟毛)+phoros(身に着ける)
vaginatum : vaginatus(鞘になった)
L. : Carl von Linne (1707-1778)
subsp. : subspecies(亜種)
fauriei : Urban Jean Faurie (1847-1915)の
E.G.Camus : Edmond Gustav(e) Camus (1852-1915)
Á.Löve : Áskell Löve (1916-1994)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
D.Löve : Doris Benta Maria Löve (1918-2000)
---
ヤマスズメノヒエ(山雀の稗)
multiflora : multi(多数の)+florus(花)
Ehrh. : Jakob Friedrich Ehrhart (1742-1795)
Lej. : Alexandre Louis Simon Lejeune (1779-1858)
---
オカスズメノヒエ(丘雀の稗)
pallidula : pallidus(淡白色の)
Kirschner : Jan Kirschner (1955- )
---
ヌカボシソウ(糠星草)
plumosa : plumosus(羽毛状の)
E.Mey. : Ernst Heinrich Friedrich Meyer (1791-1858)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川(河川敷・土手) 2006.4.18 - 2011.6.22. 2017.05.08
賤機山(Shizuhata-yama) 2018.04.01
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

14 August 2011, 8 May 2017
Last modified: 10 April 2018
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by pianix | 2011-08-14 00:00 | | Trackback | Comments(2)
シモバシラ(霜柱)
 シモバシラ(霜柱)は、シソ科シモバシラ属の多年草です。関東以西の本州から九州にかけて分布する日本固有種です。名の由来は、初冬に枯れた茎の根元から染み出た水分が凍り、氷柱ができるのを霜柱と見立てたもの。別名のユキヨセソウ(雪寄草)も同様に、氷柱を雪に見立てたものです。

 シソ科(Lamiaceae Martinov (1820))は、北半球の地中海沿岸や中央アジアを中心に約250属7000種が分布します。日本には約28属90種があります。保留名である新エングラー体系でのシソ科の学名Labiataeは、Labea(唇)に基づいた名称で、戦前は唇形科とされていました。英名ではMint familyと言われるように、香気を持つものが多くあります。シモバシラ属(Keiskea Miquel, 1865)は、1属2種で、中国に1種、日本にシモバシラの1種が分布します。

 山地の林下に自生します。茎はシソ科によく見られる4稜形(断面四角形)で、やや木質化し、上部で分枝して長さ40~90cmになります。葉は対生します。5~30mmの葉柄があり、長さ8~20cm、幅3~5.5cmの長楕円形で、先端は尖り、浅い鋸歯があります。表面の脈上には細毛があり、裏面には腺点があります。

 花期は9月から10月。上部の葉腋から総状花序を出します。花穂は長さ5~12cmで、一方向に偏って(偏側生)、短い柄の先に小花が横向きに多数付きます。萼片は長さ約3mmで5深裂し、果時には5~6mmになります。花冠は白色の唇形花で、長さ約7mm。上唇は浅く2裂し、下唇は3裂します。雄しべは長短2個ずつの4本で、先端が2裂した雌しべと共に花冠より突出します。子房は上位。果実は分離果(schizocarp)で1種子を含み、種子は1.5~2mmの球形です。染色体数は、2n=20。

 品種に、神奈川県に分布し花冠が薄紅色を帯びる、ウスベニシモバシラ(薄紅霜柱)Keiskea japonica Miq. f. rubra Kigawa があります。

 冷えた冬の朝に氷結現象を起こし、地表近くの枯れた茎に氷華を形成します。地上部のやや木質化した茎が枯れて残り、木部に二次的にできた水の通路(0.1~0.5mm)に毛細管現象で吸い上げられた水分が滲み出ます(犀川2007)。地表が急激に冷えると押し出してくる水で氷が鰭(うろこ)状にせり出し(前川1995)、氷の膨張によって表皮が破れます。幾つかの植物で同様の現象が起きます。シソ科ではヒキオコシセキヤノアキチョウジ、キク科ではカシワバハグマ、シロヨメナ等があります。

【参考文献】
SAIKAWA, M. : Secondary water path formation in frost column formation in the xylem of Keiskea japonica. Bull. Tokyo Gakugei Univ. Natur. Sci., 59: 55-59 (2007)
SAIKAWA, M. : Some new findings on frost column formation by Keiskea japonica. Bull. Tokyo Gakugei Univ. Natur. Sci., 58: 151-161 (2006)

Japanese common name : Shimo-bashira
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Keiskea japonica Miq.

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葉腋から総状花序を出し、花穂は長さ5~12cm 竜爪山2008.09.25 安倍城跡10.09

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花穂は一方向に偏って小花が横向きに多数付き、萼片は長さ約3mmで5裂する

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葉は対生し、長楕円形で先が尖る(千代山 2007.10.05)
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果実は分離果 2012.10.29



シモバシラの氷華

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左:表皮が破れて横に広がり、霜柱状になる 右:初期段階は氷柱となる

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竜爪山(Alt. 1051m) 2008.12.27


シモバシラ(霜柱)
別名:ユキヨセソウ(雪寄草)
シソ科シモバシラ属
学名:Keiskea japonica Miq.
花期:9月~10月 多年草 草丈:40~90cm 花冠長:約7mm

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【学名解説】
Keiskea : 伊藤圭介 Keisuke Ito (1803-1901)の名に因む/シモバシラ属
japonica : 日本の[japonicus(男性形)/japonica(女性形)/japonicum(中性形)]
Miq. : Friedrich Anton Wilhelm Miquel (1811-1871)
---
rubra : 赤色の

※伊藤圭介:シーボルトに師事、1888年(明治21)に日本初の理学博士。日本における近代植物学の祖で、「泰西本草名疏(たいせいほんぞうめいそ)1828-29」、「日本産物誌1873年(明治6)」などの著作がある。彼の名が付く植物には、シモバシラの他に、アシタバ(Angelica keiskei (Miq.) Koidz)、イワチドリ(Amitostigma keiskei Miq.)、スズラン(Convallaria keiskei Miq.)等がある。

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Alt. 226m) 2007.10.05
安倍城跡(Alt. 435m) 2008.09.27, 2008.10.09, 2012.10.29
竜爪山(Alt. 1051m) 2008.09.25, 2008.12.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

10 February 2011
Last modified: 20 December 2014
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by pianix | 2011-02-10 00:00 | | Trackback | Comments(2)
テイショウソウ(禎祥草)
 テイショウソウ(禎祥草)は、キク科モミジハグマ属の多年草です。本州の関東から近畿にかけてと四国に分布します。名の由来は、不明です。「禎祥草」と漢字表記しましたが語源が不明なため不確かです。禎祥は、良い前兆との意味です

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。モミジハグマ属(Ainsliaea A.P. de Candolle, 1838)は、日本や朝鮮、中国に約30種が分布します。

 山地の林下に自生します。細く長い根があり、褐紫色の茎を枝分かれせずに30~60cmに伸ばします。茎の下部に4~5枚の葉を輪生状に付けます。葉は卵状鉾形で、長さ10~15cm、長い葉柄があります。緑白の斑紋がありますが、まれに無い葉もあり、葉裏は暗紫色を帯びます。

 花期は9月から11月。花茎の上部に穂状花序を付けます。花柄は長さ2~3mmで、茎の一方向に花を出し横向きになります。頭花は3個の筒状花の集合体で、花冠径15~20mm程。小花は捻れた線状の裂片が5個あり白色、径10~13mm程。柱頭は花冠から突出して先端が2裂します。雄しべは糸状で、合着して花柱を囲みます。頭花全体では15枚の花びらと3本の雌しべがあるように見えます。総苞は筒状で、長さ10~15mm。総苞片は紫色を帯びた狭長楕円形。

 果実は痩果1)です。無毛で倒披針形。長さ約10mmの羽毛状冠毛がある風媒花です。染色体数は、2n=24。核型2)は、K=24=3Asm+3tB1sm+3B2st+3C1sm+3C2m+3D1sm+3D2tr+3Em.(Arano, 1957)。

 同属でよく似た花は多数ありますが、葉の形状が異なります。 葉に鋸歯がない、マルバテイショウソウ(丸葉禎祥草)Ainsliaea fragrans Champ. ex Benth.、変種で長楕円形や円形の葉の、ヒロハテイショウソウ(広葉禎祥草)Ainsliaea cordifolia Franch. et Sav. var. maruoi (Makino) Makino ex Kitam.があります。
 近畿地方以西に分布し、紅葉(モミジ)のような形状の葉をつける、モミジハグマ(紅葉白熊)Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. acerifolia 、亀甲状のキッコウハグマ(亀甲白熊)Ainsliaea apiculata Sch.Bip.、掌状で静岡県と愛知県に分布する、エンシュウハグマ(遠州白熊)Ainsliaea dissecta Franch. et Savat. 、変種で、紅葉(モミジ)のような形状の葉をつける、オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. subapoda Nakai 等があります。

1)痩果(そうか:achene):種子が堅い果皮に包まれ熟すと乾燥する果実。1室に1個の種子がある。
2)核型(かくけい):karyotype(カリオタイプ)、染色体の数と形状の類型

【参考文献】
Hisao ARANO : The karyotype analysis and its karyotaxonomic considerations in tha tribe Mutisieae. Jap. Jour. Genet. 32(1957):293-299

Japanese common name : Teishou-sou
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Ainsliaea cordifolia Franch. et Sav.
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卵状鉾形で緑白の斑紋がある葉を輪生状に付ける。2009.10.12
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2008.05.13

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2014.10.20


テイショウソウ(禎祥草)
キク科モミジハグマ属
学名:Ainsliaea cordifolia Franch. et Sav.
花期:9月~11月 多年草 草丈:30~60cm 花冠長:15~20mm

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【学名解説】
Ainsliaea : Whitelaw Ainslie (1767-1837)に因む/モミジハグマ属
cordifolia : cordifolius(心臓形葉の)
Franch. : Adrien Rene Franchet (1834-1900)
et : et alii(及び・命名者が2名の時など・&(and)に同じ)
Sav. : Paul Amedee Ludovic Savatier (1830-1891)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.717m) 2008.05.13, 2009.10.12
安倍城跡(Alt. 435m) 2014.10.20
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

29 December 2010, 25 March 2011
Last modified: 21 October 2014
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by pianix | 2010-12-29 00:00 | | Trackback | Comments(0)
オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)
 オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)は、キク科モミジハグマ属の多年草です。本州と九州の北部に分布する在来種です。名の由来は、深山に咲き、葉を紅葉(もみじ)に、花の形をハグマ(白熊=ヤク1))の白い尾毛に例えたもの。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。モミジハグマ属(Ainsliaea DC. (1838))は、日本や朝鮮、中国に約30種が分布します。

 山地の林下に自生します。花茎は高さ30~80cm程に立ち上がり、毛がまばらにあります。葉は花軸の中程に5~13cmの葉柄を出し、4~7枚を輪生状に互生します。葉は腎心形または円心形で長さ6~12cm、幅6~18cm。掌状に浅く裂け、両面に軟毛があります。葉の切れ込みが深いのは本種の母種にあたる、モミジハグマ(紅葉白熊)Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. acerifoliaで、近畿地方以西に分布します。

 花期は、8月から10月。穂状に白色の頭花を横向きにつけます。花柄は約2mm、総苞は1.2~1.5mmで、総苞片が多数並んだ筒形。花冠の長さは12~15mm。頭花は筒状の小花3個の集まりで、小花の花冠は線状に5裂して捻れます。雌しべ1本が長く突き出します。従って頭花は、合計15の裂片と3本の雌しべがあります。果実は痩果2)です。長さ9~10mm、幅2mmの倒披針形3)で、約10mmの羽毛状冠毛があります。染色体数は、2n=24。

 同属でよく似た花は多数ありますが、葉の形状が異なります。近畿地方以西に分布し、紅葉(モミジ)のような形状の葉をつける、モミジハグマ(紅葉白熊)Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. acerifolia 、亀甲状のキッコウハグマ(亀甲白熊)Ainsliaea apiculata Sch.Bip. 、卵状鉾型のテイショウソウ(禎祥草)Ainsliaea cordifolia Franch. et Savat. や、掌状で静岡県と愛知県に分布する、エンシュウハグマ(遠州白熊)Ainsliaea dissecta Franch. et Savat. 等があります。

1)ヤク(Yak):ウシ科ウシ属の動物 Bos grunniens Linnaeus, 1766。ヤクの尾毛を兜や槍の装飾品とし、軍帽では色によって黒熊(こぐま)、白熊(はぐま)、赤熊(しゃぐま)がある。
2)痩果(そうか:achene):種子が堅い果皮に包まれ熟すと乾燥する果実。1室に1個の種子がある。
3)披針形(とうひしんけい):披針形を逆さにした形。細長く、基部よりも先端の方が広い形状。

Japanese common name : okumomiji-haguma
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Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. subapoda Nakai

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葉は花軸の中程から出し、掌状に浅く裂ける


オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)
キク科モミジハグマ属
学名:Ainsliaea acerifolia Sch.Bip. var. subapoda Nakai
花期:8月~10月 多年草 草丈:30~80cm 花冠長:12~15mm

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【学名解説】
Ainsliaea : Whitelaw Ainslie (1767-1837)に因む/モミジハグマ属
acerifolius : カエデ属(Acner)の葉に似た(主に掌状)
Sch.Bip. : Carl (Karl) Heinrich Schultz Bipontinus (1805-1867)
var. : varietas(変種)
subapoda : sub(ほとんど)+apoda(無柄の)
Nakai : 中井猛之進 Takenoshin Nakai (1882-1952)

撮影地:静岡県静岡市
竜爪山(Alt. 1051m) 2008.09.25
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

Last modified: 24 December 2010
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by pianix | 2010-12-22 00:00 | | Trackback | Comments(0)
キッコウハグマ(亀甲白熊)
 キッコウハグマ(亀甲白熊)は、キク科モミジハグマ属の多年草です。日本、朝鮮半島に分布します。日本では、北海道、本州、四国、九州に分布する在来種です。名の由来は、葉の形が亀甲の形状で、花の形をハグマ(白熊=ヤク1))の白い尾毛に例えたもの。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。モミジハグマ属(Ainsliaea DC. (1838))は、日本や朝鮮、中国に約30種が分布します。

 山地の木陰に自生します。葉は根生して輪生状につきます。5角形の亀甲形状で、長さ1~3cm、幅1~2.5cm。葉柄は1~5cmで、葉の両面に毛があります。葉形変異があり、心臓形や腎臓形、卵形もあります。花茎は高さ10~30cm程になり、毛があります。

 花期は9月から10月。花茎頂に数個の頭花を総状につけます。頭花は、白色の小花3個の集合体です。小花は管状花(筒状花)で、5深裂します。裂片の幅は0.4~0.6mmで、先端は鉤状に巻いて右横に向き、全体で一輪状となります。頭花裂片の合計は15個で、花冠径は7~8mm。総包葉は長さ10~15mmの筒状。雄しべ先熟で、雄しべは合着して淡赤褐色の葯筒となり、雌しべ先端は2裂します。

 総苞片に包まれたままの閉鎖花をつけることがあり、閉鎖花は自家受粉します。果実は痩果2)です。倒披針形3)で、長さは4~5mm。長さ7~10mmの淡褐色で羽状の冠毛があります。風で種子散布する風媒花です。染色体数は、2n=24。核型4)は、K=24=3Asm+2B1tr+4B2st+3C1m+3C2sm+3D1tr+3D2m+3Em. (H.Arano, 1957)

 同属でよく似た花は多数ありますが、葉の形状が異なります。卵状鉾型の、テイショウソウ(禎祥草)Ainsliaea cordifolia Franch. et Savat. や、掌状で静岡県と愛知県に分布する、エンシュウハグマ(遠州白熊)Ainsliaea dissecta Franch. et Savat. 、変種で、紅葉(モミジ)のような形状の葉をつける、オクモミジハグマ(奥紅葉白熊)Ainsliaea acerifolia Sch. Bip. var. subapoda Nakai 等があります。

1)ヤク(Yak):ウシ科ウシ属の動物。Bos grunniens Linnaeus, 1766。ヤクの尾毛を兜や槍の装飾品とした。軍帽では色によって黒熊(こぐま)、白熊(はぐま)、赤熊(しゃぐま)がある。
2)痩果(そうか:achene):種子が堅い果皮に包まれ熟すと乾燥する果実。1室に1個の種 子がある。
3)倒披針形(とうひしんけい):披針形を逆さにした形。細長く、基部よりも先端の方が広い形状。
4)核型(かくけい):karyotype(カリオタイプ)、染色体の数と形状の類型

【参考文献】
Hisao ARANO : The karyotype analysis and its karyotaxonomic considerations in tha tribe Mutisieae. Jap. Jour. Genet. 32(1957):293-299

Japanese common name : Kikkou-haguma
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Ainsliaea apiculata Sch.Bip.

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左:葉は根生して輪生状 右:雄蘂は合着して淡赤褐色の葯筒となり雌蘂先端は2裂
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頭花は管状花が3個の集合体。裂片の先端は鉤状に巻いて右横に向く


キッコウハグマ(亀甲白熊)
キク科モミジハグマ属
学名:Ainsliaea apiculata Sch.Bip.
花期:9月~10月 多年草 草丈:10~30cm 花冠長:10~15mm 花冠径:7~9mm

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【学名解説】
Ainsliaea : Whitelaw Ainslie (1767-1837)に因む/モミジハグマ属
apiculata : apiculatus(短突起のある)
Sch.Bip. : Carl (Karl) Heinrich Schultz Bipontinus (1805-1867)

撮影地:静岡県静岡市
高山(牛ヶ峰 Alt.717m) 2008.10.27 2014.10.30
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

15 December 2010
Last modified: 19 November 2015
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by pianix | 2010-12-15 00:00 | | Trackback | Comments(2)
コウヤボウキ(高野箒)
 コウヤボウキ(高野箒)は、キク科コウヤボウキ属の落葉低木です。日本と朝鮮半島、中国に分布します。日本では、関東以西から九州に分布する在来種です。名の由来は、霊場である和歌山県の高野山で、枝を束ねて竹箒の代用としたことから。厠箒(かわやぼうき)の転訛したものとの説もあります。古名に、玉箒(多麻婆波伎=たまばはき/たまははき)があります。

 キク科(Asteraceae Bercht. et J.Presl (1820))は、世界に約950属2万種が分布します。日本には約70属360種があり、帰化植物は100種以上あります。双子葉植物の中で最も進化した植物群と言われています。コウヤボウキ属((Pertya C.H. Schultz-Bip. (1862))は、約15種があります。

 山地の林縁に自生します。束生1)(叢生)し、枝分かれしながら樹高60~90cmになります。枝は細く短毛があります。葉は互生します。広卵形で長さ2~3cm、先尖、両面に毛があり、鋸歯がまばらにあります。2年目の枝には披針形の葉を3~5枚、束生します。

 花期は9月~10月。枝先に白色の頭花をつけます。筒状花が10~14個あり、長さ約10mm。花被は5深裂し、リボン状となって先端を巻きます。雄しべ(集葯雄ずい2))5個、雌しべ1個があり、花冠から突出します。総苞は狭卵形の総苞片が重なり合い円柱形。果実は痩果3)です。種子の長さは約5~6mmで、冠毛があり、風に舞って拡散する風媒花です。染色体数は、2n=24。核型4)は、K=24=2A1m+2A2sm+2tB1sm+4B2sm+4C1sm+6C2m+2Dsm+2Em. (Arano, 1957)

 仲間に、2年枝の葉が細く束生するナガバノコウヤボウキ(長葉の高野箒)Pertya glabrescens Sch.Bip. ex Nakai があります。

1)束生(そくせい:fascicled):葉のつく節間が詰まって複数の節から束状になって葉が出る様子。この場合の葉序(phyllotaxis)は、互生、対生、輪生がある。叢生(そうせい)ともいう。
2)集葯雄ずい(集葯雄蕊・しゅうやくゆうずい):雄しべが集合し、葯の部分が合着して管状となったもの。
3)痩果(そうか:achene):種子が堅い果皮に包まれ熟すと乾燥する果実。1室に1個の種子がある。
4)核型(かくけい):karyotype(カリオタイプ)、染色体の数と形状の類型

【参考文献】
Hisao ARANO : The karyotype analysis and its karyotaxonomic considerations in tha tribe Mutisieae. Jap. Jour. Genet. 32(1957):293-299

Japanese common name : kouya-bouki
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Pertya scandens (Thunb.) Sch.Bip.

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左:頭花は筒状花の集まり。右:総苞は円柱形で、総苞片が重なり合う。
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葉は互生し、広卵形


コウヤボウキ(高野箒)
キク科コウヤボウキ属
学名:Pertya scandens (Thunb.) Sch.Bip.
花期:9~11月 落葉低木 樹高:50~90cm 花冠径:約10mm 果期:11~12月

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【学名解説】
Pertya : Joseph Anton Maximillian Perty (1804-1884)に因む/コウヤボウキ属
scandens : よじ登る性質の
Thunb. : Carl Peter Thunberg (1743-1828)
Sch.Bip. : Carl (Karl) Heinrich Schultz Bipontinus (1805-1867)

撮影地:静岡県静岡市
大山(Alt. 986m)/突先山(Alt. 1021.7m) 2008.10.29
安倍城跡(Alt.435m) 2008.10.21, 2008.11.13
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture]

13 December 2010
Last modified: 5 September 2017
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by pianix | 2010-12-08 00:00 | | Trackback | Comments(2)