カテゴリ:虫( 108 )
ジャコウアゲハ(麝香揚羽)
 ジャコウアゲハ(麝香揚羽)は、アゲハチョウ科ジャコウアアゲハ属の蝶です。日本、中国、朝鮮半島、台湾等の東アジアに分布します。日本では、本州、四国、九州、南西諸島に分布します。名の由来は、雄が麝香のような匂い1)を出すアゲハチョウの仲間である事から。中国名は、麝鳳蝶(shè fèng dié)。英名は、Chinese windmill。

 年に3~4回発生します。幼虫はアルカロイド毒(アリストロキア酸 Aristolochic acid)を含むウマノスズクサ(馬の鈴草)Aristolochia debilis Siebold et Zucc.を食草として体内に蓄積します。捕食を避ける効果があると言われています。この毒は人にも腎障害等の影響を与えます。ウマノスズクサは蔓性の多年草で、関東以南の里山や河川敷に自生します。ジャコウアゲハの分布は、この自生地域に重なります。

 成虫は、4月から10月頃に現れます。雄と雌では翅色が異なります。雄は光沢のある黒色で、雌は灰褐色です。後翅周辺に橙色斑点(夏型は黄色)が数個あり、長い尾状突起があります。胴体には赤黒の斑模様があります。前翅長は42~60mmで、翅を広げると90~110mmです。雄は麝香臭1)を出します。

 完全変態(卵・幼虫・蛹・成虫)します。卵は橙色で、径1~1.5mm、小突起が縦に並びます。終齢幼虫(5齢)は黒色で、白色の帯模様があります。多数の肉質突起があり、先端が橙色になります。

 冬期は蛹で越します。蛹は一般的に「お菊虫」と言われています。これは、蛹の形態が後ろ手に縛り上げられた番町皿屋敷のお菊を彷彿することによります。

Atrophaneura alcinous alcinous (Klug, 1836)は、日本本土・大陸亜種。
他に次の亜種があります。
屋久島亜種 : Atrophaneura alcinous yakushimana (Esaki et Umeno, 1929)
奄美・沖縄亜種 : Atrophaneura alcinous loochooana (Rothschild, 1896)
宮古島亜種 : Atrophaneura alcinous miyakoensis (Omoto, 1960)
八重山亜種 : Atrophaneura alcinous bradana (Fruhstorfer, 1908)

1)麝香臭の成分は、フェニルアセトアルデヒド (phenylacetaldehyde, C8H8O)。

学名確認文献:日本産蝶類和名学名便覧 © 猪又敏男・植村好延・矢後勝也・神保宇嗣・上田恭一郎(日本昆虫学会 日本昆虫目録編集委員会 鱗翅目分科会), 2010-2012

Japanese common name : Jakou-ageha
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Atrophaneura alcinous alcinous (Klug, 1836)

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翅が変な感じ。横から見て納得、交尾していた。上がメス。辰起川 2007.08.23

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葉の上と、ノアザミ(野薊)にとまるジャコウアゲハ♀。

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コセンダングサ(小栴檀草)にとまるジャコウアゲハ♂。辰起川 2007.09.14
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♀ 安倍城跡 2010.07.21
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♀ 安倍城跡 2011.08.16
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♀ 産卵中 辰起川(土手) 2007.08.20

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お菊虫 辰起川(土手) 2007.08.20

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お菊虫(抜け殻) 辰起川(土手) 2007.08.23


ジャコウアゲハ(麝香揚羽)
チョウ目(鱗翅目)アゲハチョウ科(アゲハチョウ亜科・キシタアゲハ族)ジャコウアアゲハ属
学名:Atrophaneura alcinous alcinous (Klug, 1836)
Type species : Atrophaneura alcinous (Klug, 1836)
Synonym : Byasa alcinous (Klug, 1836)

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体長:(前翅長)42~60mm
出現期:4月~10月(年3~4回)
分布:本州・四国・九州・南西諸島
食草:ウマノスズクサ(馬の鈴草)

撮影地:静岡県静岡市
辰起川(安倍川水系) 2007.08.20, 2007.08.23, 2007.09.14
ダイラボウ(Alt.561.1m) 2008.05.27
安倍城跡(Alt.435.2m) 2010.07.21
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

11 March 2012
Last modified: 12 February 2018
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by pianix | 2012-03-10 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヒカゲチョウ(日陰蝶)の給水
 夏の暑い盛りの日。山道を汗を流して登り詰め、山頂で休息をしていました。ヒカゲチョウがやってきて、私の手に止まりました。チョウは長い管状の口器である口吻を伸ばして私の肌に当て、汗を吸い始めました。それは私の予想に反した、しっかりとした感触でした。小さく細い口吻を押しつけられると、小さな鞭で叩かれているような刺激がありました。

 口吻(Proboscis)は、口先の事で、蝶では吸収管の事です。口吻は、溝のある小顎外葉2本が重なり合って管状となり、毛細管現象で吸い上げをします。普段は巻かれて収納されます。口吻を伸ばした時に曲がる点を屈折点と言い、屈折点から先端までを前後に動かす事ができます。この僅かな部分の動きの刺激なのです。

 蝶の給水行動は、体温調整とか栄養補給をしているのではないかと推測されています。水分によって体温を下げる事と、汗などに含まれるナトリウム等のミネラルの摂取です。普段は逃げる蝶が、自ら近寄り摂取するというのは、ある意味、危険を冒しているわけで、そうしなければならない強い事情があるのは確かです。給水行動は危険回避を上回るという本能があるのでしょう。

 大群で来られると恐れをなしてしまいますが、1匹程では親しみが湧くのではないでしょうか。ただ、蝶が嫌いな人も少なからずいるので、汗を吸いに来る蝶に恐怖を感じて逃げる事もあるかもしれません。私の場合は、汗を吸わせてあげるから写真を撮らせてもらうという交換条件を付けます。しばらくの時間を蝶と過ごし、私も給水して、初めての道を下り始めました。

※開張:かいちょう(Wing span)。前翅を広げた時の左右端までの幅。
※前翅長:ぜんしちょう(Forewing length)。前翅の根元から先端までの長さ。

※ヒカゲチョウ(日陰蝶)についてはこちらをご覧下さい

Japanese common name : Hikage-chou
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Lethe sicelis (Hewitson, [1862])

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左:左手の甲で給水している。       右:左人差し指付け根で給水している


ヒカゲチョウ(日陰蝶)
チョウ目(鱗翅目)タテハチョウ科ジャノメチョウ亜科ヒカゲチョウ属
学名:Lethe sicelis (Hewitson, [1862])

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体長:(前翅長)25~34mm/(開張)48~62mm
出現期:5月~10月(年2回)
分布:本州・四国・九州
食草:樹木・タケ類(メダケ・マダケ)・ササ類(クマザサ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍城跡(Alt. 435m) 2008.08.26
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 26 June 2010
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by pianix | 2010-06-14 00:00 | | Trackback | Comments(5)
キアシナガバチ(黄脚長蜂)
 キアシナガバチ(黄脚長蜂)は、スズメバチ科アシナガバチ属の蜂です。日本全国に分布する在来種です。名の由来は、黒地に黄色の体色であり、全体的に黄色味が強い色彩をしているアシナガバチである事から。

 スズメバチの仲間です。アシナガバチ亜科は、世界に26属、日本には3属2)11種が分布します。キアシナガバチは、低山地性で、山や樹木が多い周辺に多く分布します。体長は、21~26mm。スズメバチほどではないものの、アシナガバチとしては攻撃性が強く、毒が強いので注意を要します。

 セグロアシナガバチ(背黒脚長蜂)1)に大きさ・形とも似ています。セグロアシナガバチとの区別点は、前伸腹節3)に黄色斑紋の2縦線がある事です。(沖縄以外では、頭部側から縦線2・横線2・縦線2がキアシナガバチで、縦線2・横線2のみはセグロアシナガバチ)。環境省カテゴリで情報不足(DD)になっている、ヤマトアシナガバチ(大和脚長蜂)Polistes japonicus japonicus Saussre, 1858 も似ています。

 ハチの体は大きく分けると、頭部・胸部・腹部に分けられます。頭部には複眼2個と単眼3個、一対の触角があります。胸部には前翅・後翅の2対4枚があります。胸部と腹部の間は大きくくびれます。キアシナガバチの体長は、21~26mm。腹部後端に刺針があります。脚は、前肢・中肢・後肢の一対6本があります。

 4月頃から、家屋軒下・枝などのやや高めの場所に、釣り鐘状の巣を作ります。巣は10~15cmの大きさで、樹皮繊維を利用した紙質で、強靱です。働き蜂は、約50匹程がいます。家の屋根裏などに集団越冬することもあります。

 翅を持ち上げている時は威嚇のポーズですから、近寄らないようにしたほうが懸命です。当然の事ながら、巣を刺激すれば攻撃されます。肉食で肉団子を作ります。青虫や毛虫を餌とするので益虫とも言えますが、夏場の除草や剪定作業では特に注意を要します。

 10月から11月にかけては、新女王蜂や雄蜂が集団でいる事が多くなります。従って、この時期まで油断はできません。蜜蜂と違い、何度でも刺してきます。見つけたら後ろに静かに下がるようにします。横の動きに敏感、縦の動きに鈍感との性質があるからです。

 刺されたら、つまんで毒を出し(口吸不可)、冷水で洗い流し、虫刺されの薬を塗って保冷剤で冷やす応急処置をして、必ず病院(皮膚科)へ行って下さい。

脚注:
1)セグロアシナガバチ(背黒足長蜂)Polistes jokahamae Radoszkowski, 1887
2)アシナガバチ属(Polistes Latreille, 1802)、ホソアシナガバチ属(Parapolybia)、チビアシナガバチ属(Ropalidia Guérin-Méneville, 1831)
3)前伸腹節(propodeum):胸部と腹部の間の節。(胸部と密着融合した腹部第1節)

参考:
フタモンアシナガバチ(二紋脚長蜂) キイロスズメバチ(黄色雀蜂) ニホンミツバチ(日本蜜蜂)

Japanese common name : Ki-ashinaga-bati
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Polistes rothneyi iwatai van der Vecht, 1968

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胸部の黒い部分に、縦2本、横2本、縦2本の黄色線がある。写真は♂。


キアシナガバチ(黄脚長蜂)
ハチ目(膜翅目)スズメバチ科アシナガバチ亜科アシナガバチ属
学名:Polistes rothneyi iwatai van der Vecht, 1968
(Polistes rothneyi Cameron, 1900)

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体長:21~26mm
出現期:4月~10月
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄
食餌:アオムシ、ケムシ、小昆虫

撮影地:静岡県静岡市
西ヶ谷運動場 2005.11.16
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

21 June 2008, 24 July 2014
Last modified: 31 May 2017
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by pianix | 2008-06-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ヒグラシ(蜩)
 ヒグラシ(蜩)は、セミ科ヒグラシ属の昆虫で、セミの一種です。東アジアに分布し、日本では北海道南部・本州・四国・九州に分布する在来種です。名の由来は、日が暮れる頃に鳴くことが多いことからと言われています。セミは、世界に約2,000種、東南アジア地域に約650種、日本には32種、亜種を含めて36種がいると言われています。

 セミ科に共通する特徴は次のようです。頭部は幅が広い三角形で、左右に複眼があり、複眼の間に単眼が3つあります。触覚は短く毛状です。頭の下から後方にまで伸びる針状の口があり、成虫は樹液を吸汁しまます。幼虫は地中の植物の根から汁を吸います。前翅は後翅よりも大きく、雄は大きな声で鳴き、雌を呼び集めます。

 ヒグラシは、平地や山間部の林内に生息します。体色は赤褐色で、緑色と黒色の紋様があります。7月~9月にかけて、朝夕や日中の薄暗い時に「カナカナカナ」、あるいは「ケケケケケ」と鳴きます。鳴くのは雄成虫のみです。腹部には発音器官があります。薄い発振膜を振動させて小さな音を出し、空洞の腹部が共鳴室となり増幅されます。雌成虫の場合は腹部に産卵器官があり、発音器官はありません。

 セミの体は頭部・胸部・腹部に分かれます。頭部は小さく、両外側につく2つの複眼と、その間に三角形に配置された3つの単眼があります。触覚は毛状で、ごく短く、根元から先端にかけて細くなります。口ばしは管状で、2本の針(大顎刺針・小顎刺針)が納められています。頭部の下から出て前脚の間を通ります。これで樹液を吸います。

 胸部には脚と翅があります。脚は、前脚・中脚・後脚の3対6本があります。翅は前翅と後翅の2対4枚があります。前翅が大きく、後翅は膜状です。透明で翅脈が通ります。胸部の背の前中央には緑色の筋があり、腹部は赤味を帯びます。背面は白い帯状になっています。雄には腹弁があり、雌には尾部に短く硬い産卵管があります。

 不完全変態をします。卵・幼虫・蛹・成虫の過程を経るものを完全変態といい、蛹の時期が無く、卵・幼虫・成虫を経るものを不完全変態と言います。雌は腹尾部にある産卵管を樹皮に差し込み産卵します。卵は白色で、幼虫になると木から下りて土中に潜ります。幼虫の体色は白色で一部透明感があります。前脚は土を掘り起こしやすいツルハシ状になっていて、これを使って土中を掘り進みます。植物の根から汁を吸い、脱皮しながら成長します。その期間は3~4年と言われていますが、生態を含めて詳しく解明されていません。

 長い土中生活を終え終齢幼虫となり、土中から這い出します。草や木にしがみ付き、夕方頃から羽化をはじめます。背中部分が縦に割れ、頭部から出ます。細い紐状のものも出てきますが、幼虫の腹部に数個ある呼吸用の穴の脱皮跡です。羽化直後は体色が白色を帯びていますが、体が乾く朝頃には色も着き飛びまわれるようになります。

★  ★  ★

 デジタルカメラのビデオ機能を使ってヒグラシの鳴き声を収録しながら観察をしました。晴れの日の真昼でしたが、薄暗い林内はヒグラシの声が響き渡っていました。杉の幹を横歩きで移動しながら鳴いていました。鳴く時に場所を変えるのを渡り鳴きと言うようです。セミはどの種類もそうですが、近くで聞くと耳をつんざくような甲高い声です。カナカナカナと鳴いて間を空け、他のヒグラシの声に呼応するように順序良く鳴いていました。

Japanese common name : Higurasi
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Tanna japonensis Distant, 1892
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2007.08.10 幹の周りを横歩きで移動しながら鳴いていました。♂

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腹部先端は粉状に白い。2008.08.08 牛ヶ峰(高山)Alt.717m
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ヒグラシの交尾 左:♂、右:♀。雄の腹部の方が長い。2008.08.08


ヒグラシ(蜩/茅蜩/秋蜩/日暮)
別名:カナカナ/カナカナゼミ
カメムシ目(半翅目)セミ科セミ亜科ヒグラシ属
学名:Tanna japonensis Distant, 1892

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体長:♂28~38mm/♀21~25mm
出現期:7月~9月
分布:日本(北海道・本州・四国・九州)・中国

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Alt. 226m) 2007.08.10
高山(牛ヶ峰)Alt.717m/谷沢ルート 2008.08.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 11 September 2007
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by pianix | 2007-09-11 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ヤマトシリアゲ(大和尻上)
 ヤマトシリアゲ(大和尻上/大和挙尾)は、長翅目シリアゲムシ科の小昆虫です。国内では北海道から九州までに分布する日本固有種です。名の由来は、静止状態の時に尻尾を反り返している事から。英名は、スコーピオンフライ(Scorpionfly)。

 長翅目はシリアゲムシ目の事で、世界に約600種が分布し、日本には5属44種が分布します。シリアゲムシ科(Panorpidae L.)は世界に3属約362種、シリアゲムシ属(Panorpa C. Linnaeus, 1758)は約240種がいます。シリアゲムシ科の昆虫を総称してシリアゲムシ(挙尾虫)と呼んでいます。

 雑木林の縁などに生息します。体長は15~22mmで、光沢のある黒色か黄褐色をしています。体色や翅の斑紋には変化があります。細長い触覚2本があります。脚は6本で長く、黄褐色。口吻は長く伸びて特異な形状です。腐った物や小昆虫の体液、死骸などを吸います。清掃に一役買っていると言えます。翅は膜質で先端が丸みを帯び、前翅・後翅の計4枚があり同形です。前翅の長さは13~20mm。黒色の条紋が中央付近から翅端にかけて2筋あります。

 飛翔力は弱く、速度は遅めです。雄の尾端はサソリのような形状で丸まって立ち上がります。雌の尾端は反りますが丸まりません。先端に鋏(はさみ)状の付属器があり、交尾する時に雌を挟む役割をします。刺したりするものではありませんから危険はありません。

 年2回発生(1000m以上の高地では年1回)し、5月の発生が1化目、8月の発生が2化目です。1化目の成虫は黒色、2化目は黄褐色で鼈甲(べっこう)色に似ています。この事から2化目をベッコウシリアゲとし、別種として分類していた時期がありました。現在では同一種の季節型として扱われています。

 5月と8月に交尾期を迎えます。5月に産卵したものは8月に、9月に産卵したものは翌年5月に成虫となります。卵・幼虫・蛹・成虫を経る完全変態をします。土中に産卵します。卵の期間は約7日間です。土中で幼虫・蛹の時期を過ごします。終令幼虫(4令)で越冬します。

Japanese common name : Yamato-siriage
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Panorpa japonica Thunberg, 1784
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2化目のベッコウ色型ヤマトシリアゲ♂ 2007.10.23
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♀ 2014.06.09


ヤマトシリアゲ(大和尻上/大和挙尾)
長翅目シリアゲムシ科シリアゲムシ亜科
学名:Panorpa japonica Thunberg, 1784

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体長:15~22mm/(前翅長)13~20mm
分布:北海道・本州・四国・九州
出現期:5~9月(年2回)
食餌:小昆虫(死骸を含む)・植物

撮影地:静岡県静岡市
千代山(Sendai-yama, 226m) 2007.05.08
安倍城跡(Alt. 435m) 2014.06.09
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

12 July 2007
Last modified: 12 June 2014
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by pianix | 2007-07-12 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツバメシジミ(燕小灰蝶)
 ツバメシジミ(燕小灰蝶)は、北海道・本州・四国・九州に広く分布するシジミチョウ科の小型の蝶です。明るい平地の草地に生息します。名の由来は、後翅にある糸状の尾状突起形状をツバメの尾羽に例えたシジミチョウの意味から。英名は、Short-Tailed Blue。全体に白色である印象がありますが、翅を広げると全く異なった模様になり、その変化の大きさが特徴の一つです。成虫の出現期は3月~10月で、年4~5回の羽化があります。食草は、マメ科植物です。

 シジミチョウ科(Lycaenidae)は、世界中に分布し約5500種を抱える、鱗翅目の中で最大の科です。6000種類を数え、チョウ全体の4割を占めると言われています。日本には約80種類が分布します。この仲間の主な特徴は、小形で、後翅に糸状尾状突起を持つ種類が多い事、翅の表と裏では全く違う模様を持つものが多い事、幼虫はワラジムシ型で、雄の前脚は、やや退化している事が挙げられます。この科は、9亜科に分類されます。日本に生息するものは、ウラギンシジミ亜科・カニアシシジミ亜科・ベニシジミ亜科・ヒメシジミ亜科・ミドリシジミ亜科の5亜科です。ヒメシジミ亜科(Polyommatinae)は、アフリカ、ユーラシア大陸、オーストラリア等に広く分布します。

 チョウの体は、頭部・胸部・腹部に分けられます。翅は前翅・後翅の2対4枚あります。ツバメシジミの翅の表はオスが青紫色、メスが暗褐色です。後翅裏面は灰白色で、橙色の紋と黒斑があります。後翅に糸状の尾状突起があります。雌の場合、春型と夏型があります。大きさは、前翅長9~19mm、開張20~30mm。前翅長とは、前翅の基部から翅端までの直線距離を言います。開張は、前翅を広げた左右の翅端間の事です。

 目は黒色の複眼で、2個あります。チョウの触角には、紡錘状・棍棒状・鉤状・球管状があります。ツバメシジミの触角は棍棒状で2本あり、白黒の帯状模様があります。鼻に相当する下唇髭(かしんしゅ)=パルピ(Pulpi)は上向きに反っています。脚は胸部に前脚・中脚・後脚の3対6本があります。脚の作りは、根本から基節(きせつ)・転節(てんせつ)・腿節(たいせつ)・脛節(けいせつ)・付節(ふせつ)・爪から成っています。

 卵・幼虫・蛹・成虫の成長過程を経る、完全変態をします。卵は白色の円形で小さな突起があります。幼虫は緑色のワラジムシ型です。蛹の形態は、垂蛹(すいよう)と、帯蛹(たいよう)に大別されます。垂蛹は尻尾部分で垂れ下がり、帯蛹は胸に帯糸(たいし)をつけて体を上向きにします。ツバメシジミは、帯蛹型です。幼虫で越冬します。

 類似種として、本州(和歌山県)、四国、九州(全県)に分布するタイワンツバメシジミ(台湾燕小灰蝶)Everes lacturnus kawaii Matsumura, 1926があり、こちらは絶滅危惧I類の希少種で、出現期が8~10月です。混同しやすいのは、ルリシジミ(瑠璃小灰蝶)Cerastrina argiolus ladonides (de l'Orza, 1869)です。

Japanese common name : Tubame-sijimi
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Everes argiades hellotia (Menetries, 1857)

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左:春のツバメシジミは初々しい柔らかな雰囲気。 右:♀ パルピ(Pulpi)は上向き
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♀ メスの翅表は暗褐色

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♂オスの翅表は青紫色
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橙色紋付近の鱗片。動いているチョウのマクロ撮影は無謀…

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左:2006.06.29 右:2006.08.02


ツバメシジミ(燕小灰蝶)
チョウ目(鱗翅目)シジミチョウ科ヒメシジミ亜科ツバメシジミ属
学名:Everes argiades hellotia (Menetries, 1857)

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体長:(前翅長)9~19mm/(開張)20~30mm
出現期:3月~10月(年4~5回)
分布:北海道・本州・四国・九州
食草:マメ科植物(メドハギ・クサフジ・シロツメクサ・コマツナギ)

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から12.5km 左岸河川敷 2007.03.08
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 12 March 2007
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by pianix | 2007-03-12 00:00 | | Trackback | Comments(0)
ツチイナゴ(土稲子/土蝗)
 おじさん、こんにちは。遊びに来たよ。僕がおじさんと夏に会った時、まだ幼虫だったけど、ようやく大人になったよ。大人になったら遊びにおいでと言われたけど、おじさんち、ぼろ屋だね。大きなクズの葉っぱがなくて、こんな小さなフジの葉しかないじゃん。掴みにくくてしょうがない。僕の家は大きなクズの葉だぞ。

 えっ? おじさんちはこの葉っぱじゃないのか。泣き虫イナゴなんて悪口言ったので、お返しだよ。僕たちの目は複眼だけど、その下に黒い筋があるので泣いているように見えるのかな。毛深いって? そりゃあ、日本に住む僕たちは毛深いけど、南に住むタイワンツチイナゴは毛深くないよ。僕たちは、このまま越冬しなくちゃあならないから、毛深い方が良いんだよ。他のバッタ君達は卵で越冬するからつまらないぞ。冬はね、枯れ草の中で春を待つんだ。6月頃まで生きられるかもしれない。だから夏は子供ばかりなんだ。

 名前が格好良いだろう。パタンガ・ヤポーニカ! 日本のイナゴ。japonicaは日本の事だけど、どっこい僕らの仲間は、中国やインドにまでいるんだ。日本ではツチイナゴと呼ばれているけど、土色をしたイナゴで、そのまんまじゃん。おじさんはこれから葉っぱの観察に出かけるんだね。来年の僕たちの子供とも遊んでやってね。じゃあね。

参考:夏に出会ったツチイナゴのこども

Japanese common name : Tuti-inago
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Patanga japonica (Bolivar, 1898)

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左:2006.11.14 右:2017.06.05


ツチイナゴ(土稲子/土蝗)
バッタ目(直翅目)イナゴ科ツチイナゴ亜科ツチイナゴ属
学名:Patanga japonica (Bolivar, 1898)

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体長:♂50~55mm/♀50~70mm
出現期:3~7月/10~11月
分布:本州・四国・九州・沖縄
食草:クズの葉、カナムグラ

撮影地:静岡県静岡市
自宅 2006.11.14
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

23 November 2006
Last modified: 18 June 2017
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by pianix | 2006-11-23 00:00 | | Trackback | Comments(2)
ハラビロカマキリ(腹広蟷螂)
 ハラビロカマキリ(腹広蟷螂)は、カマキリ目(蟷螂目)カマキリ科の昆虫です。東南アジアに分布します。日本では、本州以西から沖縄にかけて分布する在来種です。名の由来は、腹が広く見えるカマキリであることから。Mantidaeとは、mantis(予言者)に由来し、前脚を持ち上げたポーズが祈っている姿に似ることからで、英名は、praying mantis(祈る予言者)。日本でも「拝み虫」と呼ばれることがあります。

 カマキリは、カマキリ目(Mantodea Burmeister, 1838)の総称です。世界では熱帯、亜熱帯地方に多く、約2,000種類が分布します。日本には、カマキリ科(Mantidae Burmeister, 1838)とハナカマキリ科(Hymenopodidae)の2科9種が生息しています。カマキリ科の特徴は、前脚が鎌状であり、胸が長い事です。

 ハラビロカマキリの特徴は、前脚の鎌状になった捕獲肢の幅が広く、基部に3~5個の黄色の疣状突起体があります。体色は主に緑色で、褐色型は稀です。前翅中央付近に白紋があり、後翅は透明な膜状で、前翅の下に畳まれます。前胸は太めで短く、腹部は幅が広く見えます。頭部は三角形で黄緑色の大きな複眼があり、触角は糸状です。樹木上や林縁の草地に生息し、待ち伏せをして小昆虫を補食します。前脚を上げ、中脚と後脚で支えます。

 カマキリの仲間では好戦的な部類です。尾部を上げて威嚇します。交尾中に雌が雄を共食いをする場合は3%程度で、多くの場合の共食いは獲物が少ない環境にある時です。多数の卵を産みます。木の幹に産卵されることが多く、卵鞘(らんしょう)に産み付けられます。卵鞘は硬くて艶があり、長さ15mm×幅20mm前後。卵で越冬します。不完全変態(卵・幼虫・成虫)をします。

 写真の成虫は♀で、腹がふくれているのは卵を持っているからです。葉の裏に隠れたりして、まるでカメムシのような動作をしていました。

Japanese common name : Harabiro-kamakiri
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Hierodula patellifera (Serville, 1839)

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左:前脚基部に黄色の疣状突起体、前翅の中ほどに白紋がある 右:威嚇する幼虫


ハラビロカマキリ(腹広蟷螂)
カマキリ目(蟷螂目)カマキリ科ハラビロカマキリ属
学名:Hierodula patellifera (Serville, 1839)

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体長:45~71mm(♂45~65mm/♀52~71mm)
出現期:8月~10月
分布:本州・四国・九州・沖縄

撮影地:静岡県静岡市
足久保川(安倍川水系) 左岸 2006.10.31
安倍川/河口から8.5km 左岸河川敷 2006.8.10(幼虫)
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 6 November 2006
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by pianix | 2006-11-06 00:00 | | Trackback | Comments(2)
つぶらな瞳
 たまには息抜き。今日も、この2種に出会いました。厳密に言うと瞳ではありませんが。人間だけがこの世に生きている訳ではなく、小さな虫達も頑張って生きています。このような小さな虫達を見ていると童心に帰ります。観察していると、かなり過酷な世界のようです。

 野草は、コウゾリナが目立ち、チカラシバ、エノコログサなどの仲間、オオオナモミカナムグラ等がありました。マツヨイグサや、クズは種子を付けています。タデ類は最盛期です。珍しく、ハルジオンが咲いていました。春と勘違いしたのでしょうか。温暖な静岡では、春に咲くものが秋にも咲く事があります。我が家の近くでは見かけなかったノハラアザミも、今年始めて確認しました。秋が深まりつつあります。

Japanese common name : Tonosama-batta
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Locusta migratoria Linnaeus, 1758
説明:成虫幼虫


トノサマバッタ(殿様飛蝗)
別名:ダイミョウバッタ(大名飛蝗)
バッタ目(直翅目)バッタ亜目バッタ科トノサマバッタ属
学名:Locusta migratoria Linnaeus, 1758

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体長:35~65mm(♂35~40mm/♀45~65mm)
出現期:7月~11月(年1~2回)
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄
食草:イネ科の植物

撮影地:撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9.75km 右岸河川敷 2006.10.07
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

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Japanese common name : Miyama-akane
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Sympetrum pedemontanum elatum (Selys, 1872)
説明:成虫


ミヤマアカネ(深山茜蜻蛉)
トンボ目(蜻蛉目)トンボ科アカネ属
学名:Sympetrum pedemontanum elatum (Selys, 1872)

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出現期:6月~11月
体長:32~38mm/(腹長)20~26mm(後翅長)26~31mm
分布:北海道・本州・四国・九州・沖縄

撮影地:静岡県静岡市
安倍川/河口から9km 右岸河川敷 2006.09.27
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 21 October 2006
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by pianix | 2006-10-21 00:00 | | Trackback | Comments(0)
アカサシガメ(赤刺亀虫)
 アカサシガメ(赤刺亀虫)は、サシガメ科アカヘリサシガメ亜科の昆虫です。本州・四国・九州に分布します。名の由来は、体色が赤いサシガメから。多くのカメムシ類は草食性ですが、サシガメの仲間は捕食性で、刺すカメムシの意味です。カメムシ目(半翅目)サシガメ科に属する陸生のカメムシの一種です。

 カメムシ目(半翅目)は、世界に134科82,000種があり、日本には800種以上が生息します。前翅の根元は硬い革質となり、その先が柔らかな膜質となります。ここから半翅目の名が付けられました。サシガメ科(Reduviidae)は、世界で23亜科930属6,800種があります。サシガメ科の特徴は、体が扁平か細長く、前脚は獲物を捕らえるのに都合が良い形をしていて、昆虫や動物の血を吸う事が挙げられます。

 山間部の低木葉上で見る事ができます。体長は14~16mm。扁平で赤橙色をしています。前・中・後の3対の脚の付け根である基節は赤く、そこから先は黒褐色。折りたたむと楕円形になる前翅膜質部は褐色です。頭部は円筒状で、複眼が突出します。複眼より後方に単眼2個があります。

 一部が白っぽくなった長い触角は3節からなり、その後方には小さな棘状の突起があります。長く鋭い針状の口吻を持っていて、幼虫・成虫共に小昆虫の体液を吸います。人の血を吸う訳ではありませんが、素手で不用意に捕まえたりすると刺される事があります。幼虫から蛹を経ずに成虫になる、不完全変態をします。

Japanese common name : Aka-sasigame
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Cydnocoris russatus Stal, 1866
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昆虫や動物の血を吸う。頭部は円筒状で複眼が突出する。


アカサシガメ(赤刺亀虫)
カメムシ目(半翅目)異翅亜目サシガメ科アカヘリサシガメ亜科
学名:Cydnocoris russatus Stal, 1866

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体長:(翅端まで)14~16mm
出現期:5月~9月
分布:本州・四国・九州・対馬

撮影地:静岡県静岡市
安倍川支流/内牧川上流 2006.09.23
[Location : Shizuoka City, Shizuoka Prefecture JAPAN]

Last modified: 12 November 2006
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by pianix | 2006-10-12 00:00 | | Trackback(1) | Comments(2)